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ロスト・ハピネス 第1話 本落
「はぁ…はぁ…」
なんで、こんなことに…
「はぁ…ぐすっ…なんで…」
どうして、あたしがこんな目に?
「あたしは…こんなの望んでない…」
どうして?
「あたしは…普通にしてたかった…」
どうして…
あたしは………
アタシには…………………
「お前が羨ましそうにしか見えんかったよ」
───────────────あの日、あたしの平凡な日常は消えた。何も無い。個性もなかったあたしは、アタシになった。
………………………
………………………………………
………………………………………………………
青空小学校4年2組教室
「起立、礼」
「「さようなら〜」」
1日の授業が終わり、あたしは帰る支度をしていた。
「幸来〜今日の放課後空いてる?」
あたしの隣の席の子が放課後の予定を聞いてきた。
「ごめん。今日も塾なんだ…。」
「そっかぁ…幸来勉強好きだもんね〜頑張ってね!」
「うん、ありがとう。」
勉強するのは確かに好き。
新しいことを覚えるのが凄くワクワクする。
けれど、友達がせっかく誘ってくれたのに断ってしまうのはかなりごめんなさいって思う…。
「また今度、誘ってね。」
「もちろん!じゃあね幸来〜」
「うん、また明日。」
そう言って、あたしは教室を出た。
あたしは1週間の3回だけ、塾に通っている。
親がそうしろと言った訳じゃなくて、自分で行ってみたいと思ったから。
親がそうしろと言った訳じゃなくて、自分で行ってみたいと思ったから。
学校が終わって家に帰って、すぐに塾へ行く準備をして向かうのにようやく慣れてきた。
だけど未だに慣れないのが、夜の帰り道。
街灯とかがないわけじゃないけど、暗い道を1人で帰るのはちょっぴり…いやすごく怖い…。
だって、お化け苦手なんだもん…。
…………………
……………………………………
…………………………………………………
「あっ、もうこんな時間か。遅くなるといけないから今日はこの辺にしよう本落さん。」
「はい!今日もありがとうございました!」
時刻は夜8時を指していた。
あたしがついつい勉強に夢中になっちゃって、塾の先生も嬉しそうに色々教えてくれるから本来の終わる時間よりだいぶ過ぎてしまうことがたまにある。
あたしがついつい勉強に夢中になっちゃって、塾の先生も嬉しそうに色々教えてくれるから本来の終わる時間よりだいぶ過ぎてしまうことがたまにある。
「途中まで送っていくよ。」
「ありがとうございます…。お願いします。」
先生とは途中まで帰り道が同じだから一緒に帰るようにしてもらっている。
もう少し遅くなった時にはさすがにお母さんかお父さんに迎えに来てもらってる。
もう少し遅くなった時にはさすがにお母さんかお父さんに迎えに来てもらってる。
でもあたしはもうこの時間からすでにすごく怖いと感じる…。
「あはは…本落さんお化け苦手なんだっけ?」
苦笑いをした先生が話しかける
「だ、大丈夫です…。」
「でも、その割には…」
見栄を張ったけれど、あたしの右手は
先生のシャツをがっちりと掴んでいた。
先生のシャツをがっちりと掴んでいた。
「ごめんなさい。」
「いや、私が時間を気にしてなかったせいだ。次からは気を付けるよ。今日は家まで送っていこうか?」
「そこまでは大丈夫です!いつもの分かれ道は真っ直ぐ行くだけなので!」
あたしは先にどうしても先生にそこまでしてもらうわけにはいかないという気持ちが勝ってしまった…。
「それもそうだな。まだこの時間だし、何より化け猫様が守ってくれてるからな。」
「化け猫様…?」
「あれ、本落さん聞いたことない?妖怪の化け猫様がこの辺り一帯に住み着いてて、私らを守っているってお話。ま、本当かは微妙なところだけどね。」
先生は少しでも気を紛らわすように笑いながら言った。
だけど、この時あたしはすごく腕から体にかけてザワザワと震えた。
だけど、この時あたしはすごく腕から体にかけてザワザワと震えた。
「そ、そうなんですね…だったら大丈夫かな…」
と、またつい見栄を張ってしまった…。
………………………………
「じゃあ、私はこれで。本当に大丈夫?」
「大丈夫です!ありがとうございました!また色々教えて下さい!」
「もちろん、それじゃまた。」
「はい!」
あたしは十字路で先生とお別れし、自分の家へと向かう。
怖いから早く帰りたいという焦りが歩くスピードを自然と早くする。
まったく先生ったら、化け猫?そんなものいるわけないじゃん…。
きっと余計怖がらせようと意地悪でデタラメな話をしたんだ…。
きっと余計怖がらせようと意地悪でデタラメな話をしたんだ…。
なんか、そう考えるとムカッとするなぁ…。
「お化けなんてないさ…お化けなんて嘘さ…なんて…小学4年生にもなってお化けが怖いなんてみっともないもんね。」
ドオオオオオオオン!
「…へ?」
驚いたのも束の間、あたしの視界は煙で覆われてしまった。
塵が目に入り、目を瞑り拭おうとする。
「相変わらず容赦ないのぅ…」
見えない煙の向こうで声が聞こえる。
誰かが誰かに話しているようだ。
誰かが誰かに話しているようだ。
「ダマれ、今日こそぉまえをタオス!」
さらに奥からガラガラした野太く強い声が聞こえた。
まだ前が見えない、目に塵が入ったのが取れなくて涙が出てくる。
「ン?ニンゲンのニオイガする…」
「なに?この時間帯でこの辺りは早々ウロウロとしないはず…」
というかさっきから奥の方の言ってることが怖すぎる…。
目は開けられるようになったけど、まだあたしの目の前に何が居るのかよく分からない…。
目は開けられるようになったけど、まだあたしの目の前に何が居るのかよく分からない…。
ふわっ
「え?」
次の瞬間、あたしの体は誰かに持ち上げれるようにふわっと浮き、煙から遠ざかって行った。
スタッと着地して顔を上げるとそこに居たのは…
「ば…化け猫…様?」
黒髪に猫耳が生え、尻尾も生えており。
何故か上は下着なのか水着なのか分からないけど際どい格好で下はショートパンツを履いた人?が居た。
何故か上は下着なのか水着なのか分からないけど際どい格好で下はショートパンツを履いた人?が居た。
「カッカッカッ、化け猫”様”とは
随分な扱いじゃの。突然のことで困惑しておると思うが、お主の安全のため距離を取らせて貰った。」
随分な扱いじゃの。突然のことで困惑しておると思うが、お主の安全のため距離を取らせて貰った。」
喋り方に特徴があってなんか耳に残りそう…。
というか本当に…。
というか本当に…。
「本当に居たんですね。妖怪って…。」
「ぬっ、さてはお主今まで信じてなかったな?」
「うっ、だって…。」
だって本当に居たらなんて考えたら怖いもん…。
「”本当に居たら怖い”…か。愛いやつめ。」
え?今あたしの心を?
「ぐがあああ!!」
「キャア!」
突然の怒号に思わず悲鳴を上げてしまったあたし。
声のした方は先程自分が居た路地。そこに居たのは大人2人分程の身長はありそうな大きな体をした巨人
「なにあれ…」
「彼奴は…そうじゃな、お主らに分かりやすく言うとダイダラボッチと言えばわかるかの?」
「ダイダラボッチってあの!?」
「そう、あのダイダラボッチじゃよ」
姿を見て言われても信じられないと思わず聞き返してしまった。
自分の近くに本当に妖怪が居たことに驚いていることはもちろん、自分がその場面に遭遇するなんて思いもしなかった。
自分の近くに本当に妖怪が居たことに驚いていることはもちろん、自分がその場面に遭遇するなんて思いもしなかった。
「とにかくワシは彼奴をなんとかせねばならん。お主はそこの柱の後ろにでも隠れておれ。」
化け猫様が指を指した電柱の後ろにあたしはすぐさま走る。
「のじゃロリ猫ォ!そのニンゲンをかばうのかァ!」
「当たり前じゃ、ここはワシの縄張り、人間1人も貴様らに指1本触れさせてなるものか。」
のじゃロリ猫…それが、あの化け猫様の名前…?どこかで聞いたことあるような…。
「ふひっ、せぃゼイガンバれ!!」
不気味に笑みを浮かべたダイダラボッチはのじゃロリ猫に言い放った後に上から殴りかかろうとする
「ほっ。」
しかしそれをのじゃロリ猫は意図も容易く回避
ダイダラボッチの腕に乗ってそのまま駆け上がる
ダイダラボッチの腕に乗ってそのまま駆け上がる
「遅すぎてあくびが出るわ」
顔まで駆け上がったのじゃロリ猫はそのまま回転しダイダラボッチの頬にパァン!と尻尾を叩きつける
「ぐぬ、オォ…」
頬を引っぱたかれた衝撃でダイダラボッチは1歩2歩と後ろへ仰け反る
「ほれ、さっさと降参するかここから立ち去るか選ぶんじゃな。」
「ふ、ぐふへへへ…」
「何がおかしいんじゃ?」
「ぃや、ォマェも油断スルンダナと思ってな…」
「何?…まさか!?」
あれ、のじゃロリ猫さんがあたしの方見てる…?
え?どうして?
え?どうして?
ビュオオオオオオ!
「キャッ!」
突然台風に直撃した時の天気のような強い風が吹いた
「ぐっ、なんで。さっきまで”風なんか吹いてなかった”のに!」
「ヒヒヒ、久しぶりの人間だぁ…」
「え?」
「ダイダラ…お先に頂くぜぇ!」
目を開けるとそこに居たのは鼬のような姿をしているものの、手が鎌になってて宙を浮いていた化け物だった。
「キャアアア!!」
「危ない!」
グサッ!
「…はっ!化け猫様!」
襲いかかってきた化け猫に目を瞑ってしまい両腕で咄嗟に顔を隠したものの、何もなかった。
それもそのはず、目の前でのじゃロリ猫さんがあたしを”庇ってくれた”からだ。
それもそのはず、目の前でのじゃロリ猫さんがあたしを”庇ってくれた”からだ。
「ヒャヒャヒャ!俺にものじゃロリ猫に痛手を負わせてやったぜ!!!こいつぁ自慢できるァ!」
「化け猫様!血が!」
「”今の”ワシに触るな!!」
「っ!」
あたしはこの時不覚にも、のじゃロリ猫様の肩を”触ってしまった”…。
触った手のひらを見ると、真っ黒い液体のようなものが付いていた…。
触った手のひらを見ると、真っ黒い液体のようなものが付いていた…。
「鎌鼬…ダイダラボッチ…」
「あ〜?なんだ、俺の名前を気安く呼ぶんじゃあねぇよ大妖怪のじゃロリ猫さんよ〜」
すっかり調子に乗っている鎌鼬と呼ばれた化け物が、のじゃロリ猫様を煽っている。
「オヌシラ、覚悟は出来ておるんじゃろうなぁ!?」
「ヒィ!?」
……………………………………
実はその後のことは覚えていない。
気が付いたらあたしは自分のベッドの上にいて、すぐ横でお母さんがあたしが起きるのを待っていたのか、眠っていた。
あ、でも一つだけ覚えてることがある。
気が付いたらあたしは自分のベッドの上にいて、すぐ横でお母さんがあたしが起きるのを待っていたのか、眠っていた。
あ、でも一つだけ覚えてることがある。
あの時怒声を上げたのじゃロリ猫様に何故か
「すまない」
と言われたのは覚えている。
何に対しての「すまない」だったんだろう…。
あたしはこの時、確かにのじゃロリ猫様の肩に触れた右手のひらを見つめていた。
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