『特異点』
更新日:2020/07/28 Tue 12:41:16
目次
「あ、あなたは…?」
吹きさすぶ冷たい風に身を震わせながら、愛歩は聞いた。
「私はだよロリ犬!人間さんの味方だよ!」
だよロリ犬と名乗った少女は、人懐っこそうな笑顔を愛歩に向ける。
「あいつ、君が怒らせたの?」
「ち、違うよ!鼠さんが…」
「鼠かぁ」
怒り狂っただべロリ白熊が、また咆哮を上げた。
だよロリ犬が不快そうな顔をする。
「まあ、ここは私に任せるんだよ!下がってて!」
「あ、待って!だべロリ白熊さんは私を助けようとしてくれたの……あんまり酷いことはしないで…」
「大丈夫だよ!私はあの猫みたいに過度に相手を傷付けたりしないから」
だよロリ犬はウインクして愛歩を下がらせた。
吹きさすぶ冷たい風に身を震わせながら、愛歩は聞いた。
「私はだよロリ犬!人間さんの味方だよ!」
だよロリ犬と名乗った少女は、人懐っこそうな笑顔を愛歩に向ける。
「あいつ、君が怒らせたの?」
「ち、違うよ!鼠さんが…」
「鼠かぁ」
怒り狂っただべロリ白熊が、また咆哮を上げた。
だよロリ犬が不快そうな顔をする。
「まあ、ここは私に任せるんだよ!下がってて!」
「あ、待って!だべロリ白熊さんは私を助けようとしてくれたの……あんまり酷いことはしないで…」
「大丈夫だよ!私はあの猫みたいに過度に相手を傷付けたりしないから」
だよロリ犬はウインクして愛歩を下がらせた。
「全く、困った人なんだよ」
ビスケットやクッキーが氷でふやけてぐちゃぐちゃになっていた。
怒り狂っただべロリ白熊は、妖怪と言うより獣だ。手当たり次第に拳を振り回し、氷を生成し、物を恐し、人を傷付ける。
そんな性格を"本人が"嫌い、食べ物がたくさんあるこのリビング・ラビリンスに引きこもっていた。
「がァァァァァァァァァァァァ!!!」
お陰でむやみやたらに怒り狂う事は無くなり、心穏やかに過ごせていたが、代わりに身体が大きくなってしまった。
だべロリ白熊は決して人間が嫌いと言う訳では無いが、侮辱されたら許さない。
「怒りなら弱者じゃなく私にぶつけろ!」
だよロリ犬は叫び、だべロリ白熊に向かっていった。
だべロリ白熊は向かってきた敵を無意識に追い、氷の塊を放り投げた。
「ドラドラドラドラ!!!」
だよロリ犬はラッシュをかけてその塊を砕いた。
だべロリ白熊が投げつけてくる塊を避け、砕き、時には受け止めながらだよロリ犬は標的に近づいていった。
「ワンマンアーミー!!!」
射程距離に入った!だよロリ犬はだべロリ白熊の腹に渾身の必殺技『ワンマンアーミー=孤独の軍隊』を放った。
「ぐぇぇぇ!」
だべロリ白熊は腹に受けた衝撃によりバランスを崩し、激しく横転する。
「ドラァ!」
転倒しただべロリ白熊の顔面に、トドメとばかりに鉄拳が叩き込まれた。
ビスケットやクッキーが氷でふやけてぐちゃぐちゃになっていた。
怒り狂っただべロリ白熊は、妖怪と言うより獣だ。手当たり次第に拳を振り回し、氷を生成し、物を恐し、人を傷付ける。
そんな性格を"本人が"嫌い、食べ物がたくさんあるこのリビング・ラビリンスに引きこもっていた。
「がァァァァァァァァァァァァ!!!」
お陰でむやみやたらに怒り狂う事は無くなり、心穏やかに過ごせていたが、代わりに身体が大きくなってしまった。
だべロリ白熊は決して人間が嫌いと言う訳では無いが、侮辱されたら許さない。
「怒りなら弱者じゃなく私にぶつけろ!」
だよロリ犬は叫び、だべロリ白熊に向かっていった。
だべロリ白熊は向かってきた敵を無意識に追い、氷の塊を放り投げた。
「ドラドラドラドラ!!!」
だよロリ犬はラッシュをかけてその塊を砕いた。
だべロリ白熊が投げつけてくる塊を避け、砕き、時には受け止めながらだよロリ犬は標的に近づいていった。
「ワンマンアーミー!!!」
射程距離に入った!だよロリ犬はだべロリ白熊の腹に渾身の必殺技『ワンマンアーミー=孤独の軍隊』を放った。
「ぐぇぇぇ!」
だべロリ白熊は腹に受けた衝撃によりバランスを崩し、激しく横転する。
「ドラァ!」
転倒しただべロリ白熊の顔面に、トドメとばかりに鉄拳が叩き込まれた。
「この人……大丈夫かな?」
愛歩は顔面に鉄拳を叩き込まれ伸びているだべロリ白熊を覗き込んだ。
「大丈夫だよ!塵になってたいでしょ?」
「塵?」
「そうそう、人間さん達の考える死は、私達にとっては塵になることなんだ」
「塵か…」
のじゃロリ猫も塵になるのだろうか?殺しても死ななそうだけど。
「塵になっちゃったら嫌だな」
愛歩は小さく呟いたのだった。
愛歩は顔面に鉄拳を叩き込まれ伸びているだべロリ白熊を覗き込んだ。
「大丈夫だよ!塵になってたいでしょ?」
「塵?」
「そうそう、人間さん達の考える死は、私達にとっては塵になることなんだ」
「塵か…」
のじゃロリ猫も塵になるのだろうか?殺しても死ななそうだけど。
「塵になっちゃったら嫌だな」
愛歩は小さく呟いたのだった。
だよロリ犬は今までの事を話すように頼んできた。
愛歩はどこをどう話したらいいか分からなくて悩んでいる。
名前は伏せるべきだろうか?偶然迷い混んできた人を装うか?
愛歩はだよロリ犬の様子を伺った。人懐っこい様子で、悪意などは無さそうだ。尻尾もブンブン振ってるし
「えっと私は愛歩。とある謎を追っていたらここに迷い込んだの」
「とある謎?私に出来る事なら何でもするんだよ!」
「あ、それじゃあ」
愛歩はだべロリ白熊に頼んだ事をだよロリ犬にも頼んだ。
「そんなのお安いご用だよ!捕まってて!」
だよロリ犬は愛歩を抱えて走り出したのだった。
愛歩はどこをどう話したらいいか分からなくて悩んでいる。
名前は伏せるべきだろうか?偶然迷い混んできた人を装うか?
愛歩はだよロリ犬の様子を伺った。人懐っこい様子で、悪意などは無さそうだ。尻尾もブンブン振ってるし
「えっと私は愛歩。とある謎を追っていたらここに迷い込んだの」
「とある謎?私に出来る事なら何でもするんだよ!」
「あ、それじゃあ」
愛歩はだべロリ白熊に頼んだ事をだよロリ犬にも頼んだ。
「そんなのお安いご用だよ!捕まってて!」
だよロリ犬は愛歩を抱えて走り出したのだった。
だよロリ犬の腕の中で、色々な世界を見た。
チョコレートのような色の水が流れる川とか、プディングの岡だったりとか。
景色を眺めていると、辺りがだんだん暗くなってきた。
もう夜なのだろうか?
だよロリ犬の腕の中で暫く揺られているうちに、メローナの言っていた言葉を思い出していた。
ーーーあなた、のじゃ猫ちゃんが言ってたーーー
「あれ、どうかしたの?」
元気の無い愛歩を、だよロリ犬が気遣ってくれた。
「だよロリ犬ちゃんって、のじゃロリ猫ちゃんの事知ってるんだっけ?」
愛歩の質問に、一瞬嫌な顔をした。
辺りは少し暗くなっていたが、空に浮かぶ月の光が辺りを優しく照らしている。
そのお陰でだよロリ犬の表情が分かったのだ。
「まあね」
「……のじゃロリ猫ちゃんって、人食べるの?」
だよロリ犬は少し考えてから答える。
「昔は食べてたみたいだよ。今は分からない…」
「…そっか」
愛歩は気になってもう一つ質問した。
「あなたも人間を食べるの?」
「そんな事はしないよ!あ、ごめん怒鳴っちゃって、私は特異点のような物なんだよ。他のアナザーやのじゃロリ猫本人よりも人間さんの味方をしてるつもりだよ」
だよロリ犬は即答する。
少し気まずい空気になった。愛歩は話題を変える。
「ここ、何処に繋がってるの、あの白熊さんは厨房って言ってたけど」
「うんと、ここは喫茶店、オウマがトキ。人ではない妖怪や悪魔が働いている場所だよ」
「人ではない…」
愛歩は頷いた。のじゃロリ猫は人ではないし、メローナも人間では無いのだろう。
「あのさ、メローナさんって知ってる?」
「メローナ?ああ、メローナちゃんね。ロリポップ姉妹の長女の!おっとりしてて優しくていいこなんだよ!」
(おっとり?優しい?)
愛歩は少し疑問に思ったが、脱線したくなかったので質問を続ける事にした。
「その、ロリポップ……姉妹って事は複数人いるよね。何人いるの?」
「七人だよ。メローナ、フロート、アイベリー、シトロン、マーマレード、プラム、ピオーネ。皆いい子」
「!」
愛歩は胸がざわついた。『連続女児行方不明事件』の被害者と同じ数だったのだ。
「あ、厨房への扉を見つけたんだよ!」
その扉は突然現れた。銀色の重そうな扉だ。
「この扉を抜ければ厨房。愛歩ちゃんの追っている謎も、ロリポップ姉妹に聞けばいいんだよ!皆優しいから」
愛歩は最後にラビリンスと呼ばれた場所を見渡す。
月が出ていると思ったら、それは丸い形の煎餅だった。
「そう、優しければいいね」
愛歩は厨房の扉へ飛び込むのだった。
チョコレートのような色の水が流れる川とか、プディングの岡だったりとか。
景色を眺めていると、辺りがだんだん暗くなってきた。
もう夜なのだろうか?
だよロリ犬の腕の中で暫く揺られているうちに、メローナの言っていた言葉を思い出していた。
ーーーあなた、のじゃ猫ちゃんが言ってたーーー
「あれ、どうかしたの?」
元気の無い愛歩を、だよロリ犬が気遣ってくれた。
「だよロリ犬ちゃんって、のじゃロリ猫ちゃんの事知ってるんだっけ?」
愛歩の質問に、一瞬嫌な顔をした。
辺りは少し暗くなっていたが、空に浮かぶ月の光が辺りを優しく照らしている。
そのお陰でだよロリ犬の表情が分かったのだ。
「まあね」
「……のじゃロリ猫ちゃんって、人食べるの?」
だよロリ犬は少し考えてから答える。
「昔は食べてたみたいだよ。今は分からない…」
「…そっか」
愛歩は気になってもう一つ質問した。
「あなたも人間を食べるの?」
「そんな事はしないよ!あ、ごめん怒鳴っちゃって、私は特異点のような物なんだよ。他のアナザーやのじゃロリ猫本人よりも人間さんの味方をしてるつもりだよ」
だよロリ犬は即答する。
少し気まずい空気になった。愛歩は話題を変える。
「ここ、何処に繋がってるの、あの白熊さんは厨房って言ってたけど」
「うんと、ここは喫茶店、オウマがトキ。人ではない妖怪や悪魔が働いている場所だよ」
「人ではない…」
愛歩は頷いた。のじゃロリ猫は人ではないし、メローナも人間では無いのだろう。
「あのさ、メローナさんって知ってる?」
「メローナ?ああ、メローナちゃんね。ロリポップ姉妹の長女の!おっとりしてて優しくていいこなんだよ!」
(おっとり?優しい?)
愛歩は少し疑問に思ったが、脱線したくなかったので質問を続ける事にした。
「その、ロリポップ……姉妹って事は複数人いるよね。何人いるの?」
「七人だよ。メローナ、フロート、アイベリー、シトロン、マーマレード、プラム、ピオーネ。皆いい子」
「!」
愛歩は胸がざわついた。『連続女児行方不明事件』の被害者と同じ数だったのだ。
「あ、厨房への扉を見つけたんだよ!」
その扉は突然現れた。銀色の重そうな扉だ。
「この扉を抜ければ厨房。愛歩ちゃんの追っている謎も、ロリポップ姉妹に聞けばいいんだよ!皆優しいから」
愛歩は最後にラビリンスと呼ばれた場所を見渡す。
月が出ていると思ったら、それは丸い形の煎餅だった。
「そう、優しければいいね」
愛歩は厨房の扉へ飛び込むのだった。