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ロスト・ハピネス 第二話 目覚
「すまない…。」
あの夜の出来事があってから、あたしは夜は出歩かないようにしていた。
またあんな悪い妖怪に遭遇したら自分だけではどうしようも無い…。
それに…
「化け猫様…大丈夫かな…。」
あの時、あたしのせいでのじゃロリ猫さんは傷を負ってしまった。
せめて一言謝りたい…
「…落」
けれど夜は出歩きたくないし…
「本落」
どうしたらいいんだろう…。
「本落!」
「!、はい!」
「ボケっとするな、授業中だぞ…教科書の20ページから読んでくれ。」
「…はい。」
先生の呼びかけで我に返り、思わず立ち上がってしまった。
あたしは慌てて先生に言われたページを開きそのまま静かに座り教科書を音読する。
ダメだ全然授業に集中出来てない…。
……………………………………
「起立、礼。」
「「ありがとうございました〜。」」
「ふぅ…。」
授業を終えて一息つくように溜息がこぼれる。
「さーきちゃん」
「あっ」
「どうしたの今日。なんだか授業上の空だったみたいだけど…。」
「ちょっと、考え事をしてて…。」
先程の授業中のあたしを見兼ねて声をかけてくれた。
やっぱりいつものあたしらしくないよね…。
早くなんとかしないと…。
「幸来!」
「へ!?あっ、ごめんあたしまた考え事を…」
「そうじゃなくて”右腕”!」
「え?」
友達が突然慌てた声であたしの右腕を指さす。
「え…。」
全く気付きもしなかったのが不思議でしかならなかった。
自分の右腕に視線を向けると
あたしの右腕から真っ黒い右腕が生えており筆箱に鉛筆を入れ、教科書を閉じたりとあたしの机の上の整理整頓を行っていた。
「なにこれ…。」
あたしはただただ呆然としてしまった。
まるでその黒い腕は”生きている”ようであたしの意識とは全くお構い無しに行動しているようにしか見えないからだ。
「幸来!」
今度は突然あたしの名前を大声で呼ぶ友達。
あたしは思わず体がビクッと驚いてしまった。
あたしは思わず体がビクッと驚いてしまった。
「な、なに…。」
「これって『女児符号』ってやつじゃない!?」
じょじふごう…?
「えと…それって何…?」
「女児小学生にしか出てこないその人が持つ特別な力みたいな?わたしは持ってないんだけど…隣のクラスの子たちが確か使える子が沢山居たはず…!」
「そんな漫画みたいな…」
そんな日曜朝とか平日の夜にやってるアニメじゃないんだし…そんなことが…。
「だって幸来のそれも言っちゃえば漫画みたいじゃん!」
確かに…。
「まぁ…確かに…。」
「でしょ!だから今日放課後隣のクラスに相談しに行ってみたら!?」
「え、なんでそうなるの…。」
「だって自分のそれがなんなのか知りたくないの?」
「それは…。」
それは確かに知りたい。
自分もその女児符号って凄いものだったら色々教えてもらいたい。
自分もその女児符号って凄いものだったら色々教えてもらいたい。
「じゃあ、放課後一緒に来てくれる…?」
1人では少し、いやかなり心細いから…。
「…ごめん、私今日ママから早く帰ってくるよう言われてて…。」
ガーン
「大丈夫!幸来なら行ける!」
「どこからその自信が出てくるの…。」
まぁ…このままじゃもっと授業にも集中出来ないし、行くしかないか…。
「…。」
?
「!…。」
あの子って確か…えっと…音羽初さん…?
凄いじっとこっち見てたけど…やっぱり気になるのかな…。
凄いじっとこっち見てたけど…やっぱり気になるのかな…。
…………………………
……………………………………………
…………………………………………………………
『キーンコーンカーンコーン』
放課後
あたしは荷物をまとめ、友達が言っていた隣のクラスの教室の前まで向かう。
まだこっちのクラスは帰りの会が終わっていないみたいだ。
うぅ…隣のクラスって妙に近付き難いというか、緊張する…。
「ねぇ。」
「はひ!」
突然呼びかけられ、思わず変な声で応答してしまうあたし。超恥ずかしい…。
「もしかして、こっちのクラスが終わるの待ってるの?」
「そうだけど…。あなたも…って。」
恥ずかしくなって思わず下を向いてて上を向くまで気付かなかった。
あたしに話しかけてきていたのは先程休み時間にあたしをじっと見ていた音羽初さんだった。
「えっと、音羽さんだよね…?」
「うん、そうだよ。覚えてくれてるんだね。」
「そりゃ、同じクラスだし…一応。そういう音羽さんもこっちのクラスを待ってるの?」
というか、音羽さん身長あるなぁ…。
見た目完全に男子じゃん…。
見た目完全に男子じゃん…。
「そうだよ。私は玲亜を待ってるんだ。あ、虹富玲亜ちゃんね。」
「虹富さんてあの…断末魔の…。」
「ぷふっ、そうそう。」
調理実習の断末魔…
見た目は凄い可愛いのにあの断末魔は正直びっくりした…。
「本落さんはやっぱり休み時間の”アレ”?」
「やっぱり見てたんだ…。」
「うん、だって…。」
すると音羽さんは自分の上着のポケットからマイクのようなものを取り出した。
「私も持ってるんだ。女児符号。」
もっと近くにいたじゃん…友よ…。
「私のクラスには居ないかと思ってたよ。」
「うん、あたしも。」
音羽さんの顔を見ると凄く嬉しそうな顔をしていた。
「そうだ、それでその女児符号ってなんなの。」
「うーんと、多分休み時間にも聞いたと思うけど女児小学生にしか生まれないその子だけが持てる特別な力みたいな…例えば私のは」
そう言うと、音羽さんは先程のマイクを自分の口元に持っていき、少し深く息を吸った。
「”風よ吹け!”」
ビュオオオ!
「うわっ!」
音羽さんがマイクに向かって叫ぶと
窓が開いていない廊下にいきなり風が吹いた。
窓が開いていない廊下にいきなり風が吹いた。
「私の女児符号は『言刃』って言って、今みたいに私の言ったことが現実に起こせるんだ。」
「なにそれすごい…なんでも出来るじゃん…。」
「うん…”なんでも出来るから気を付けて使わないといけない”んだけどね…。」
「?」
なんでも出来そうで凄いなとつい口に出してしまったけれど、音羽さんには凄く複雑な事情があるのだろうか…。
「ごめんあたし…音羽さんの気に障ることを言って…。」
「ううん、気にしないで!」
「そう…。」
あたしは少し気まずい空気になってしまい、口ごもってしまった。
それから少し沈黙が続き、2人で待っているとクラスの教室内から挨拶が聞こえてきた。
どうやら帰りの会が終わったようだ。
どうやら帰りの会が終わったようだ。
ガラガラガラ
「あぁ…やっぱり待たせちゃったね。初ちゃん。」
「ううん、大丈夫だよ玲亜。」
この子が虹富玲亜さん…。
「あれ、この子は?」
「あっ、紹介するよ。私のクラスの本落幸来さん。今日の休み時間に女児符号が目覚めたから、玲亜達に色々教えてもらおうってことになって。」
「あっ、なるほど…。」
音羽さんに事情を聞いた虹富さんが納得するとあたしの方へ向き、にこっと微笑むと
「本落さん初めまして!虹富玲亜です!同じ符号保持者同士よろしくね!」
「あっ…よろしく…。」
自己紹介をされ握手を求められてたじたじになってしまったあたしはそっと虹富さんの手を握り返す。
って陰キャかあたしは!
「それでそれで!本落さんの符号ってどんなのなの?見せて見せて!」
「玲亜落ち着いて…いきなりそんな質問責めしたら…。」
「あっ…ごめん私ったら。」
「あっ、いや、隣のクラスなんて今まで寄るタイミングなかったし、あたしも初対面の人と話すのはあんまり…。」
「そうだよねぇ…とりあえずみんなに相談しに来たのなら、教室入ってお話聞かせてよ。」
「うん、じゃあ…お願いします。」
虹富さんに引っ張られ教室に入るあたしと音羽さん。
まだ教室には何人か残っているみたい。
まだ教室には何人か残っているみたい。
「あれ、玲亜そいつは?」
あたし達に気付き、話しかけてきたのは外ハネ髪にアホ毛が生えている男の子…?
「そいつて…初ちゃんと同じクラスの本落幸来さん。今日女児符号に目覚めたから色々私たちから話を聞きたいって。」
「なになに!女児符号がなんだって!?」
外ハネ髪さんの後ろからひょこっと出てきたのは太陽の髪飾りを付けた女の子。
というか続々と虹富さんのお友達が集まってくる。初対面の人ばかりであたしにはちょっと…。
というか続々と虹富さんのお友達が集まってくる。初対面の人ばかりであたしにはちょっと…。
「美奈旭ストップストップ。ごめんね本落さん…こいつら落ち着きがなくて…。」
「「誰がこいつらだ!」」
「ううん、賑やかだなぁって。」
「玲亜うるさいって。」
「ぐれあちゃんしずかに~」
「なんで私なんだよ!」
「ふふっ」
あたしは3人のやり取りに思わず笑ってしまった。
「それじゃ、本落さんの女児符号について教えて貰える?」
「うん。────────」
ちなみにさっき虹富さんも落ち着きなくあたしにガンガン質問責めしてたのになと思ってそうな顔をしている音羽さんには誰も気付いてなかったんだろうな…。
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