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創作女児小学生ズ@wiki

セブンスカラー サイドストーリー 不死鳥と砂糖水

最終更新:2021年02月23日 22:14

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セブンスカラー サイドストーリー 不死鳥と砂糖水
更新日:2021/02/23 Tue 22:14:36

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セブンスカラー 紫水龍香 魔龍少女




朧月の中、アルビレオは歩いていた。

退屈だ。退屈すぎて死ぬ。

父は外に行ってしまったし、母はまだ病み上がりだし、遊んでくれる博士達もどこかに出掛けてしまった。

「暇すぎるのだー!」

一人で言っても、虚しいだけで。

「お?」

そんな時、あるノートが目に飛び込んできた。

ピンク色の、古びたノートだ。

この家の中で、一番古そうだ。

「んー?」

捲ってみたら、パリパリと音がした。

随分と古いノートだ。黄ばんでいたり、染みが出来たりしている。

気になった物を読むだけでも、退屈をまぎらわせそうだ。

「読んでみるのだ!」

アルビレオは誰に言うでもなくそう宣言し、広い部屋に木霊する自分の声で、また虚しくなりながら、ノートを覗き込むのだった。

2003 2/4(火) 晴れ

転校生がやって来た。

姓は鳳凰堂、名前は雲雀。

担任の、宮天寺先生が書いた黒板の文字。

「くも……なんだって?」

あたしの双子の兄が呟く。

「ほうおうどう、ひばりさんですよ」

先生の声に、兄が笑った。

「女見てぇーな名前」

その瞬間、兄の顔面に転校生の鉄拳がめり込んでいた。



2003 2/14(金) 雪

転校生が、ノートを忘れていった。

あたしは面倒に思ったが、無かったら困るだろうし、家に届けてやった。

「……ありがとう」

無愛想なやつだが、顔立ちは整っている。

なぜか泥だらけだが。

「ねえ、何してたの?」

気になって、恐る恐る聞いてみたら、こう返ってきた。

「おれ、鳥になりたいんだ」



2003 2/23(日) 曇

今日も、ヒバリの飛ぶ練習を見ていた。

また泥だらけで傷だらけだった。

鳥になりたいと言うのは、本当らしい。

彼は、あぐらをかいて機械をいじっていた。

ある漫画から着想を得た、竹で出来た代物だ。

「鳥になって、何したい?」

何も話す話題がなくて、あたしは聞く。

「そうだな…」

彼は、発明品から目を離さずに言った。

「逃げたい、かな」

あたしは、彼の言葉の意味が分からなかった。



2003 3/5(水) 晴れ

「アリア」

彼がはじめて、あたしのあだ名を呼んでくれた。

「有栖川」

しかし、直ぐに名字で呼び直された。きっと兄が睨んだからだ。

「これ、落としたぞ」

ヒバリが、これを見つけてくれた。

「あたしの日記帳……!ありがとう、鳳凰堂くん」

あたしは今、彼に感謝してこの日記を書いている。そう言えば、彼も日記を書いてると言っていた。同じ趣味があって、少し驚きだ。でも、何故か嬉しい。



2003 3/21(月) 晴れ

彼と買い物に出掛けた。友達から、デートかとからかわれた。否定したが、それも悪くないかもと思い始めている。

彼はお守りを買っていた。

「色々な災厄から守ってくれますように」

傷だらけで、包帯が少し増えた彼が、そう呟いていた。



2003 3/28(金) 雨

終業式だ。

あたしは、彼の事が不安だった。

春休みになって、会う口実が無くなって、彼が怪我をしていないか。

あたしは、こっそり彼の家に行ってみた。

玄関に、彼はいた。

スーツを着た、大きな男の人に頭を下げている。

「すみません、まだ無理です」

「お前の親父に何百万貸してると思ってんだ!」

「すみません」

彼は無表情で、ロボットみたいに同じ言葉を繰り返して頭を下げている。

「ケッ女みたいな顔しやがって」

彼の手が、一瞬ピクリと動いたが、止まった。

「来月までに返さんかったらこの家燃やしたるからな!」

あたしは、男の人に見つからないように隠れていた。

何がなんだか分からないけど、あたしは結局彼の顔を見に戻れなかった。



2003 4/6(日) 曇

明日は始業式だ。

あの日から、あたしはヒバリに会っていなかった。何か、怖かったからだ。

でも、今日は違う。なんだか、会いたくなった。時間が立って、恐怖が和らいだからだろうか?

ヒバリは、あたしが来ると顔を上げて、直ぐに発明品の方へ顔を戻した。

「もう来ないのかと思った」

「ちょっと、おしゃれに手間取っちゃって」

あたしの言葉に、ふんと鼻で笑って、発明品を磨く彼。

「なあ有栖川」

「どうしたの」

「名前で呼んでいいか」

突然の事に、あたしは面食らった。

「別に、いいけど」

「理愛」

「なぁに?」

「おれの事も、名前で呼べよ」

あたしは暫く間をあけて、言った。

「ヒバリ」

それは、はじめて口にした言葉だった。日記では良く書くし、家族の前では言う事もあったけど、彼の前でその名を呼んだのははじめてだ。

彼は何も言わず、ずっとぶっちょうずらだったけど、少しだけ照れている気がした。



書くことでも無いかもしれないけど、心に残っているから、一応書こうと思う。

ヒバリの家から帰る時、変な男とぶつかった。

あたしは謝ったけれど、男は何も言わず、フラフラとどこかへ行ってしまった。

あたしの耳に、男の言葉がこびりついている。

「黒き王の怒りを……沈めねば……生け贄を……」



2003 5/16(金) 晴れ

あたしは彼と付き合うことになった。

彼とは、ヒバリの事だ。

幸せで有頂天だ。

しかし、気になる事がひとつある。

あの男が、変な言葉を呟いていたあの男が、あたしの後をつけている気がするのだ。

彼に相談すると、彼は怒ってくれた。

「そんな事するやつは、おれが許さないぞ」

あたしは、それだけで問題が解決したような気がした。



2003 6/7(土) 晴れ

彼と夏祭りに行った。

浴衣の間から見える包帯と、包帯の下にあるであろう筋肉に、ドキドキしてしまった。

花火も上がったけど、あたしは隣にいる彼の事が気になって仕方なかった。



2003 6/8(日) 曇

彼が険しい顔をしていた。

あたしを送った帰り道、おかしな格好の女と出会ったらしい。

女はぶつぶつと何か呟きながら歩いていたそうだ。

「お前が目撃した変質者と、同類かもしれない。気を付けろよ」

まさか、それを言う為だけに、あたしの家に来たのだろうか。



2003 7/24(木) 晴れ

友達と海に来ていた。

ヒバリも一緒だ。

兄がヒバリに向けて言う。

「妹との仲、認めた訳じゃないから勝負しろ!」

兄は海の中から言った。ブーイングが起きる。

ヒバリは水着を持ってきていなかったし、何より、全身傷だらけなせいで、海なんて入れないだろう。

「リア、後悔はさせない。問題もない」

それでも、ヒバリは挑戦を受けた。

結果はヒバリの勝ちだ。

と言っても、兄が手加減した為の勝ちだ。

後で聞いてみると、兄は、ヒバリが挑戦を受けた段階で、彼の事を認めたのだと言う。

あたしは呆れながら、傷が傷んで休んでいるヒバリの元へ向かった。

男の子って、なんだかかなりめんどくさい。



2003 8/17(日)晴れ

ヒバリがうちに泊まりに来た。

あたしは嬉しかったけど、兄はもっと喜んでいた。

あたしの彼氏なんだから、あたしの部屋で一緒に寝るべきだと主張したのに、あっさり断られた。いつもはあたしの意見に耳を貸してくれるママも、兄の部屋に泊まらせた。

あたしは憤慨しながらも、楽しんでいた。

夕食は、庭でバーベキューだったし、一緒にゲームも出来たんだから。



2003 9/1(月) 雨

新学期だ。

兄がやらなくちゃいけない宿題を一個忘れて、友達に見せてもらうドタバタ劇以外、特に書くことは無かったけれど、今しがた、奇妙な事が起きた。

あたしの部屋の窓から、男が顔を覗かせたのだ。

あの男だった。

「黒き獣が啼いている……生け贄寄越せと啼いている……」

あたしが悲鳴を上げる前に、男は消えていた。

はじめは、新学期がはじまる憂鬱から見た、幻覚かと思った。

でも、良く考えれば、幻覚なんかでは無いと分かる。しっかり閉めた筈の窓があいているし、部屋に、食べた覚えの無いチョコレートのような匂いが充満しているのだ。

今日は久しぶりに、双子の兄と一緒に寝ようと思う。



2003 10/7(火) 晴れ

文化祭の出し物を決める事になって、なんとあたしが人魚姫の主役に選ばれた。

王子役は、ヒバリだ。

あたしは頑張って、役を演じようと思う。

ヒバリはあんまり乗るきじゃ無いけれど、二人の舞台なのだ。気合いをいれなくちゃ。



2003 11/15(土) 雨

文化祭は、大成功に終わった。

あたしとヒバリが舞台の上に立つと、あちこちから拍手の音が聞こえた。

あたしはホームルームの後、大切な友人達とジュースで乾杯した。大人が言う、打ち上げ会みたいな物だ。いや、女の子しかいないから、女子会か?

楽しかった。

あの男が現れるまでは。

あの男が、窓からあたしの事を見つめていた。

そんな馬鹿な。ここは三階だ。どうして、窓の直ぐ外からあたしの事が見られるのだ?

男は浮いているのか?水道管か何かを見つけて、よじ登ってきたのか?

唇を動かしている。

きっと、また何か呟いているのだろう。

あたしは逃げた。

打ち上げ会を放棄して逃げた。

このままあの場にいたらヤバイ。そう感じたのだ。

ヒバリか、兄か、いや、二人は先に帰ってしまった。

誰か、頼れる人を……。

そう思ったけど、やめた。だって、直ぐそこにいるんだもの。

全身を真っ黒に包んだ、あの男が。

中肉中背。髪はない。仮面みたいな物をしている。声の様子から男。

あたしはこの日記を書いている。

あたしが死んだ後、誰かが見つけて、犯人を逮捕してくれる事を願って。



564/219

マスターに言われたので、日記を書いてみる事にしました。

この日記、前にも使われていたみたいですね。

私は、いじめを受けています。

同じ、『リビングスイーツ』の仲間からです。

マスターの緑の人に相談したら、日記を書いてみろと言われたので、書いてみる事にしました。

そう言えば、マスター、今日はちょっと様子がおかしかったです。

「時空が歪んでいる……?どうにかしないと、オウマがトキが危ないかも~」

どういう意味でしょうか?アクエリアスには分かりません。



187/42219

私は、目の前の人を見つめていました。

人?人なのでしょうか?翼が折られた、赤い鳥みたいな感じです。

舐めてみても、甘くないので、『リビングスイーツ』では無いみたいです。

私は気絶しているその人に、血を浴びせかけました。

私はアクエリアスと言うジュースのリビングスイーツ。あたしの血を飲んだ生物は、大抵は元気になるのです。えっへん。まあ、元気に出来るだけであって、折れた翼を治したりは出来ませんでしたけど。

赤い鳥の人が目を覚ましました。

一瞬目をトロンとさせて、直ぐにハッとして、ガバッと起き上がり、辺りを見渡します。

「危険はないですよ。ここはリビングラビリンスです。敵がいたら、オーナーや黒き獣さんが黙っていません」

私の言葉に、その人は緊張を解きました。

整った顔立ちのハンサムさんです。その人が、私の名前を聞きました。

「アクエリアスです」

「そうか……」

その人は、何故か残念そうな声をあげました。

「俺はフェニックス。シードゥスのフェニックスだ」

そう名乗られました。あたしは、フェニックスの為に取って置きのスイーツをあげました。

彼は特に美味しいとは思わないようでしたが、黙々と食べていました。

美味しくないのと聞いたら、辛党だと言われました。辛党とはなんでしょう?

彼が食べている間、あたしは色々な話をしました。砂糖で出来ているから、ここでしか暮らせないとか、他の仲間にいじめられているとか、それこそ色んな話を。

フェニックスは、あたしの話を聞いているのかいないのか、分からないけれど、いてくれるだけでなぜだか安心しました。

書くことは、これくらいでしょうか。あとはいつも通り、周りの皆に馬鹿にされたりしながら、海面をただ泳ぐだけ。

ああ、退屈です。



375/644

フェニックスと過ごしていくうちに、私は安らぎと言う物を覚えました。

ある日、私と同族の者が、彼を「女のような顔」と言いました。

当人は褒めたつもりなのでしょうが、フェニックスはムッとしています。指を少しだけピクつかせました。

その仕草に、私は心がざわつきました。

何故でしょう?

一体?何故?

女顔と呼ばれて怒る人、整った顔立ち、無愛想。

私の中で、何かが弾けました。

この顔!この目!この仕草!

あたしは記憶を取り戻した。

先ずフラッシュバックしたのは、あたしの耳、口、鼻、他にも色々な場所から流れ込んでくる水、いや、アクエリアス。

あたしを人間ではない者にした、あのチョコレートの化け物!

痛い、苦しい、助けて……!

そうだ、全て思い出した。彼が思い出させてくれた。猿のような顔をした駅員が、あたしをここに解き放ったのだ。

あたしは周りに馴染めず、一人ぼっちだった。

水面に浮かんで、プカプカ浮いていた所に、彼とであった。

彼が、苦しむあたしの顔を、心配そうに見つめてきた。

「……ヒバリ」

そう呼んでも、彼は反応してくれない。きっと、彼も人ではない者になってしまったのだろう。

あたしは、彼を抱き締めた。

「お願い、フェニックス。私をここから連れ去って」

「アクエリアス。そうしたら、お前は死んでしまうのでは無かったのか?」

あたしはもっと彼を抱き締めた。

「いいから!外に連れていって!あなたと生きたい!あなたといさせて!」

フェニックスは戸惑いつつも、抱き締め返してくれた。

「よし、分かった。丁度翼も治った所だ。一緒に行くぞ。アクエリアス、後悔はさせない」

フェニックスに、ヒバリの姿が重なる。

あたしは笑って、彼と共に飛んだ。

人間界に出た。もう大丈夫。今は、仮の住まいとなる場所でこの日記を書いている。

例えヒバリが覚えていなくても、彼が、彼の魂がそばにいると分かるだけで、あたしは幸せだ。



2008 4/9(水)晴れ

朧月の中、あたしの為だけに作られたプールの中で、ドクドクと動く卵を愛おしげに見つめた。

この中に、あたしとフェニックスの愛の結晶がいる。

あたし専用のプールの上には、止まり木があって、そこにフェニックスが止まっていた。あたしに何かあったら、直ぐに助け出すために、あたしの側にいてくれる。

「名前を考えたんだ」

あたしが彼の隣に座ると、誇らしげな顔をした彼が、歌うように言った。

「女の子なら、アルタイル。男の子なら、アルビレオ」

あたしは頷き、微笑んで、彼の肩に頭を預けた。



















「母様が、りびんぐすいーつ?なんなのだ、それ?」

アルビレオは聞き覚えの無い言葉に顔をしかめた。

うーんと言いながらノートの前面を見てみると、そこには『有栖川 理愛』と、可愛らしい女の子の文字で書いてあった。

「お?」

アルビレオは、もう一つ、古いノートがあるのに気が付いた。

今度は緑色のノートだ。

理愛と言う文字が書いてある物より、ボロボロだ。名前も書いてあったが、漢字が難しすぎて、読めない。

「読んでみるのだー!」















2/2(日)

父親が借金を抱え、逃げるように叔父の家に引っ越してきた。

憂鬱だ。きっとおれに、いいことなんか無い。



2/4(火)

同じクラスになった有栖川星彦とか言うやつに、女顔だと馬鹿にされた。

うるせぇコンプレクスなんだよ。

気付いたら、そいつの顔面をぶん殴っていた。

バカ親父の事で気が立っていたから、思わず手を出してしまったのだ。

反省しなければ。



2/14(金)

バカ彦の妹のお陰で、この日記が書ける。

今日、借金取りが来た。

こんな所まで追いかけてくるのか、と面食らった。

張り手×4

拳骨×3

叔父に怒鳴った回数8

おれは執念深い質だ。

いつかきっちりツケを払ってやる。



2/15(土)

驚いた事に、バカ彦の妹がまた来た。

「あなたが鳥になる姿を、是非見させてほしいの」

だと。

あんなの、借金取りにぼこぼこにされた事の言い訳にすぎないのに。

変わった女だ。

だが、面白い。おれは今まで、趣味と言う物を持った事が無かった。これからは、空を飛ぶのを目標に、何か発明でもしてみようか。



2/23(日)

今日もバカ彦の妹が来ている。

おれが"空を飛ぶ練習"をしていると思って。

こいつの長話は、いつも五月蝿い。

どうしてこんなに口が回るんだ?

おれが、追い出してやろうかと考えていると、女はこう言った。

「ねえ、鳳凰堂くん。鳥になって、何したい?」

おれは考えた。鳥になるか……。鳥になんて大地がひっくり返ってもなれるわけ無いが、もし空を行くことが許されるなら……。

「逃げたい、かな」

おれは言った。殴ってくるあの男から。借金から。すがるような親の目から。

「宇宙まで行くんだ。色んな災厄から身を守ってくれる宇宙まで」

そうしたら、宇宙じゃ鳥は飛ばないわよ、等と現実的な事を言いやがる。

別にいいじゃないか。ただの夢物語なんだから。



3/4(水)

帰り道に、ノートが落ちていた。

名前が書いてある。

『有栖川 理愛』

バカ彦の妹の名前だ。

全く、世話が焼けるな。

ため息をつくと、風でノートが開いた。

誓って言う。中を覗こうなどと思った訳ではない。風の悪戯だ。

そのノートは、日記帳だった。

あの五月蝿い女も日記を書くのか。意外だ。

取り合えず、明日返してやらないとな。



3/5(木)

おれの視線の先、ちょこちょこ動き回る女がいた。

首もとで結ばれた二つの赤毛。

小声で無い!とか、どこやっちゃったんだろ……とか言っている。

おれはそいつに声をかけた。

「アリア」

間違えてしまった。きっと、日記を書くと言う習慣に見いだした親しみがそうさせたのだろう。直ぐに咳払いし、呼び正す。

「有栖川」

バカ彦の妹が、顔を上げる。涙目だ。おれはドキリとした。何故かは分からない。

「これ、落としたぞ」

声が裏返らないように注意しつつ、そのノートを渡してやると、

「あたしの日記帳……!ありがとう、鳳凰堂くん」

にっこりと笑いやがった。

おれはその顔に、ドキッとした。何か分からないが、なんだか落ち着かない。

「おれも日記書いてるんだ。大事な物だろう。今度から落とさないようにしろよ」

数週間前の自分を棚上げして、そう言っておいてやった。



3/21(月)

春分の日で、学校は休みだ。

有栖川から電話が来た。

「ちょっと、買い物に付き合ってくれない?」

現れた有栖川は、学校では着ないような服を着ていた。露出度が高いスカートや、柔らかいブラウスだ。髪の毛も、学校でしているいも臭い二つ結びのよう物では無く、編み込んだり、結い上げたりしている。

おれはその姿を見て、意外に思いながらも、買い物に付き合った。

有栖川が買ったのは、男物のネクタイだ。

「丁度もうすぐ、パパの誕生日だから」

「バ……星彦と来ればいいじゃないか?」

有栖川は、これだから男は、みたいな顔をする。

「お兄ちゃんと来たら、サプライズじゃないでしょ!」

その言葉に、おれは内心ため息をついた。

女ってのはめんどくさい生き物だ。

途中で気になったお守りを買って、カフェに入った。

おれは顔をしかめた。辛党なんだよと伝えると、辛いメニューもあるから、と流されてしまった。

「カップル料金、半額だって」

有栖川が小声で言う。

「あたし、あまりお金持ってないんだけど、これにしない?」

「……いいんじゃないか?」

やった!と小声で言う女を見て、おれは何故か気分がよくなった。



3/28(金)

借金取りが、また来た。これで何度目だろうか。

「すみません、今日は……甥の終業式で……」

おれの叔父は、気は弱いが、優しい人だ。

おれの為に、借金取りに立ち向かってくれている。

借金取りが舌打ちした。

「そんじゃまた後でくるわ」

もう二度と来ないで欲しいのだが、こんな事は言えない。言ったら、もっと酷い目にあわされるだろう。

おれは、暗い気持ちで終業式に向かった。

式は、モヤモヤとした気持ちのまま、終わりを向かえた。

有栖川が何か言っていたが、おれは無視する。今、喋る気にはなれない。

玄関まで行って、ハッとした。

借金取りの声がする。

おれは立ち向かった。

叔父さんを守るために、借金取りと叔父さんの間に回り込む。

「叔父さんは、家の中に行ってて」

おれは叔父さんを守るため、頭を下げた。

「すみません、まだ無理です」

「お前の親父に何百万貸してると思ってんだ!」

「すみません」

頭に強い痛みが襲った。ひっぱたかれたのだ。

頭蓋骨殴打×1

ツケの追加だ。

「ケッ女みたいな顔しやがって」

おれは、気にしている事を言われ、イラッとした。心の中で、燃えてはいけはい何かが燃え上がりそうになる。

しかし、押さえた。おれがここで殴りかかれば、叔父さんにもっと迷惑がかかる。

「来月までに返さんかったらこの家燃やしたるからな!」

男は指を突きつけて、言った。

いつもの脅し文句だ。

借金取りが去ると、おれはため息をついて、家に入ろうとする。

その時、家の垣根の隙間から赤毛が見えた。二つ、首の所で結ばれていて揺れている。

おれは目を擦って、もう一度見てみた。それは消えていた。きっと、気のせいだ。でも、何故か胸騒ぎが止まらなかった。



3/29(土)

今日は何もない日だった。有栖川は来なかった。



4/6(日)

結局一度も有栖川とは会わず、明日には始業式を向かえる。

暇だ。暇すぎて死ぬ。

何の意義もない春休みだった。

大の字になって寝転がっていると、叔父さんが声をかけてきた。

「理愛ちゃんが来たよ」

おれは急いで、なんでもない風を繕った。

久しぶりに、有栖川の顔をみる。

じっくり眺めたいが、恥ずかしくて見れない。

やっとの事で、おれは言った。

「もう来ないのかと思った」

「ちょっと、おしゃれに手間取っちゃって」

その言葉を聞いて、理解した。おれは、こいつとの会話を待ち望んでいたのだ。

孤独と言うのは、こんなに辛いものだったのかと、驚いている。

おれは、勇気を出して一歩踏み出した。

「なあ有栖川」

「どうしたの」

「名前で呼んでいいか」

「別に、いいけど」

「理愛」

おれの声に、リアはくすぐったそうな声で答えた。

「なぁに?」

「おれの事も、名前で呼べよ」

リアは暫く間をあけて、言った。

「ヒバリ」

おれはその声が脳の奥に響くような気がした。

何故だか、凄く気持ちがいい声だ。

おれは口許が緩まないように気を付けながら、発明品を磨き続けた。



4/7(月)

始業式だ。

式が終わると、リアが落ち着かない様子でおれに話しかけてきた。

おれの家から帰る時、変な男とぶつかったらしい。

その変質者が、後をつけてきている気がするとの事。

おれは、唸り声を上げた。

「そんな事するやつは、おれが許さないぞ」



5/16(金)

リアを学校裏に呼び出した。

なんて書けばいいか分からないが、告白した。

リアからは快い返事がもらえた。

おれはそれだけで、幸せな気持ちで一杯だった。



6/7(土)

彼女と夏祭りに行った。

手を繋いで、歩いて、花火を見て、屋台で食べる。この町に来て、こんなに幸せになれるとは、思いもしなかった。

おれは可愛い彼女を抱き寄せる。シャンプーやリンスか、はたまた香水か、甘くて、くすぐったい匂いが、鼻中に広がった。

「今日は楽しかったよ、ありがとう」

「ああ、おれもさ」

リアを家まで送っていった帰り、変な女にあった。

この祭りの場所に似つかわしくない黒い喪服を着て青白い顔をした妙な女だ。フラフラして、何か呟いている。

「あの子……あの子がいいのですか……分かりました。」

おれは不気味に感じ、直ぐに逃げようと女から背を向けた。

しかし、女が向かっていく方向は、リアの家ではないか。

おれは勇気を振り絞って、女の方へ振り返った。不気味な事に、その女は消えていた。一体、なんだったのだろうか?



6/8(日)

日が明けてから、また有栖川家の近くに行ってみた。

変なものが無いか、確認してからチャイムを鳴らす。

「お前を送った帰り道、おかしな格好の女と出会った。お前が目撃した変質者と、同類かもしれない。気を付けろよ」

おれはそれだけ言って、帰った。

何故だか、凄く嫌な予感がする。



7/24(木)

リアに誘われて、海に行った。

リアの友達と、バカ彦も一緒だ。

バカ彦が服を脱ぎ、海パン姿になって、海に飛び込む。

そしてバカみたいに(いや、バカ彦はバカだが)おれに指を突きつけ、言った。

「おれはまだ、妹との仲、認めた訳じゃないから勝負しろ!」

おれは海を見た。海水だ。きっと傷口に響くだろう。それと、おれは水着を持ってきていなかった。どうせ泳がないだろうと、タカを括っていたのだ。

不安そうな、リアの顔が目に入る。

おれは決意を固めた。

「リア、後悔はさせない。問題もない」

おれは挑戦を受けた。

結果はおれの勝ちだ。

と言っても、バカ彦が手加減した為の勝ちだろうと、感づいていた。

「お前が水ん中に入ってきた時点で、おれは負けてたんだよ」

バカ彦は、おれだけに聞こえる声で、言った。

「妹は病弱だし、勝ち気だけどあんまりメンタルも強い方じゃないんだ」

鼻をすすりながら、言う。

「妹の事、よろしくな」

おれは星彦の目を見て、ニヤッと笑って、言ってやった。

「分かったよ、義理兄さん」



8/17(日)

おれは有栖川家に泊まりに来た。

「よく来てくれた!」

星彦がそう言い、おれの背中をバシバシ叩く。

おれと星彦は、夕食の時間になるまでの暫くの間、星彦の部屋で作戦会議を立てた。

内容は、リアを襲った謎の男についてだ。

しかし、考えても考えても、纏まらない。

おれたちが真剣に考えていると、突然ノックの音が部屋に響き渡る。

おれも星彦も、びっくりして肩をはねあがらせた。

ドアから覗いたのは、リアだった。

「ちょっと、二人とも手伝ってよって、どうしたの?そんなに間抜けな顔をして」

それを聞いたおれたちは、何故かおかしくて、笑い転げた。

リアは訳が分からない様子で首をかしげていた。

その後は、不審者の事を一旦置いておいて、バーベキューやゲームを楽しんだ。

今、星彦の隣でこの日記を書いている。イビキが五月蝿い上に寝相が悪い。

全く、バカ彦のやつめ。

でもまあ、友達だから許してやることにする。



10/7(火)

文化祭の季節だ。

出し物を決めることになり、リアが人魚姫をやる事になった。そこまではよかったが、なんと、おれまで劇に参加させられる事になった。

おれはあんまり乗るきじゃ無かった。人魚姫の物語は、バッドエンドだ。

これがもし白雪姫や眠れる森の美女、美女と野獣なら、気合いをいれて挑んだかもしれない。だが、バッドエンドと決められた話をするのは、なんだか気が進まなかった。

それに、おれには進めなくてはいけない事があった。星彦から聞いた。リアが、また謎の男と会ったらしい。しかも、今回は自室の窓から身を乗り出して来たそうだ。

何としても、おれが守らなければ……。



11/15(土)

文化祭は終わった。直ぐに、星彦と作戦会議をしに、家に戻った。

その選択が間違いだった。



11/16(日)

リアが行方不明になった。変質者に襲われたのだと思う。最悪だ。











2006 8/20(日)

久し振りに、この日記を開く。

おれは高校に入学している。

親友の星彦と同じ学校だ。

リアが失踪してから、三年が経過していた。

手がかりも、何もない。リアが行方不明になってから、おれはいっそう星彦と親密になった。

リアを助け出すために、ありとあらゆる知恵を絞った。

しかし、全く解決しない。どうすればいいか分からない。

おれがこの日記を開いたのは、今、おれの身体に変化が起きているからだ。

身体が、燃えるように暑くて、痛い。

思い当たる節は、ひとつある。

雨だ。

ネバネバした雨に当たった。

その雨が、全身を包み込み、染み込んで、おれの中に入っていったのだ。

夢なんかでは、きっと無い。

おれの中に染み込んだ雨が、声を上げた。

『俺はファージ、名をフェニックス、俺に捧げろ、その身体を』

おれはこの日記を、星彦に見せるつもりだ。

リアとの想い出を見せる事になるのは癪だが、親友の星彦なら、信じてくれるだろ?



8/20(日)

鳳凰堂雲雀の身体を乗っとる事に成功。

ファージを研究している諸星博士の殺害成功。

『宇宙科学研究所』

見習いの有栖川星彦以外、全て殺害。

有栖川は逃走。

プロウフに報告後、要らぬ記憶は削除する。

しかし、この日記には懐かしい事が書かれている。

俺が乗っ取る目安をつけた時のこと、侵食していた時の経過が書いてある。研究熱心なスピカ辺りに報告すれば喜ぶかもしれない。

ふむ、この日記帳は取っておくとしよう。

メモにでも使えるし、日々のことを書き連ねて後に見返して思い出に耽るのもいいかもしれない。



2007 1/1

今日も退屈だ。炎を浴びせれば、敵は直ぐに焼き滅ぼされる。

あのトゥバン程では無いが、戦いに飢えている。

何か、面白い事は無いものか。



2008

俺の周りで色々な事があった。思い出せるだけの事を、書き連ねていくとしよう。



まず、桃色の髪の女…そして裏切り者のカノープスと戦った。

どうやら奴らはまだ戦闘慣れはしてないようで形勢は俺が有利だった。しかし、やつが持っていたあるものに目を奪われた。

「お前の持っている、それはなんだ?」

桃色の髪の女は、それを見せながら答える。

「これは私のお守りよ。夫と息子、家族がどんなに離れていてもいつも一緒にいる証。貴方達には家族なんて、分からないと思うけど。」

女の回答に、思考が止まる?

ムスコ?オット?カゾク?一体何を。

ふと音が聞こえてきた。目の前にいる女から、女とはまた別の鼓動。弱々しくも自分はここにいると主張する鼓動に何故か圧倒される。

「おまえッ」

「だから……」

その音に気をやった瞬間女が跳躍し、剣を振るう。

「負けるわけにはいかないのよ!」

女の剣が、俺を切り捨てた。

その一撃で、俺の翼が叩き折られた。

「貴方達に!」

翼を斬られてグラリと体勢が崩れた所に奴は左手に持っていた盾で思い切り俺を殴り付けてきた。俺は吹っ飛ばされ、視界が暗転する。気絶していたと分かった時には、妙な場所にいた。





アクエリアスとか言う女に助けられた。

いや、女か?妙な生き物だ。シードゥスでは無いらしい。

叩き折られた翼は、何故か治らない。

飛べない為、この甘ったるい空間にいるしかなさそうだ。

その女は、長いこと俺とお喋りをしていた。

俺は殆ど聞いていなかったが、何故かその女の言葉が心地よかった。



アクエリアスが、ここから出たいと言った。

「出て、どうするんだ?」

俺は聞いた。

「お前、ここから出たら死ぬんだろ」

アクエリアスは、何故か嬉しそうに笑った。

「聞いててくれたんですね、私の話」

「お前が勝手に話すから、覚えただけだ」

こいつの長話に意識を集中させていると、治らない翼にイライラしなくてすむ。

「それで、ここから出て、どうしたいんだ?」

「そうですね……」

アクエリアスはうーんと考えている。

俺がそっぽを向こうとした時、ようやく言った。

「そうだ、お母さんになりたいです」

「お母さん?」

「はい、私、好きな人がいる気がするんです。だから、その人を見つけて、結婚して、お母さんになりたいです」

俺はその言葉に、内心イラついた。何故かは分からない。

「気がするってなんだよ?」

俺のトゲのある言い方に、アクエリアスは驚いた。

「うーん、それが、私にも分からないんですよね。なんだか、そんな気がして……」

俺は顔をしかめてアクエリアスを見た。

妙な女だ。



アクエリアス以外の女は、対したこと無い、普通の女だった。

ある女が、俺の顔を女に見えると馬鹿にした。

いや、その女は褒めたつもりかもしれないが、俺は馬鹿にされたと感じた。

その時、アクエリアスに変化が起きた。

頭を抱えて、うめきだしたのだ。

俺はビックリして、アクエリアスの顔を覗き込んだ。

アクエリアスが、突然俺を抱き締めた。

「お願い、フェニックス。私をここから連れ去って」

「アクエリアス。そうしたら、お前は死んでしまうのでは無かったのか?」

アクエリアスが、もっと俺を抱き締めた。

「いいから!外に連れていって!あなたと生きたい!あなたといさせて!」

俺は戸惑いつつ、抱き締め返した。

アクエリアスに抱き締められると、どうしてか、全く治る兆しの無かった翼が再生していく。

遂に、完全に元の形状を取り戻した。

俺はアクエリアスを見つめる。

脳内で、人間の声が響いた。

『ずっとお前に抗い続けてきたが、お前なら、おれよりもリアを守ってくれるのか』

俺は訳が分からず、その言葉を聞いていた。

『お前がリアを守るなら、おれは溶けても構わない。完全に、お前にこの身体をくれてやるよ』

俺の中で、何かが弾けた。いや、消えてなくなったのか?完全に溶けて一つになったのか?

訳が分からず、俺は腕の中の女を見つめた。

アクエリアスが、どうしてこんな事を言ったのか、分からない。しかし、アクエリアスがそうしたいと望むなら、叶えてやろうじゃないか。

俺は、おれは、俺は、おれは、俺は、言った。

「よし、分かった。丁度翼も治った所だ。一緒に行くぞ。アクエリアス、後悔はさせない」



アクエリアスと、外の世界に飛び出た。

当てもなく、飛んでいく。

直後、プロウフから連絡が来た。脳内に、直接語りかけられる。

[今まで、どこにいたのですか?]

[少し、女と会っていた]

[はぁ]

明らかに疑っている。俺が、プロウフの弱味でも探していると思っているのか。でもいい。今の俺には、アクエリアス以外どうでもいい。

アクエリアスが、水が飲みたいと言った為、俺は川に連れていった。

[女とは……?]

プロウフが、尚も俺に語りかけてくる。

俺が答える前に、何者かの気配を察知した。

[また、後でかける]

[ちょっと待ちなさい。フェニーーーー]

俺はプロウフとのコネクトを切り、警戒しながら辺りを見渡す。

木の影に、男がいた。

赤毛に、メガネをかけた男だ。

俺達の事を見つめている。

俺はアクエリアスを守るように立ちふさがり、直ぐに、腕が触れるように身構えた。

だが、何故か攻撃する気になれない。

『こいつは無害だ。攻撃してはいけない』

頭の中で誰かの「声」が響く。

俺は腕を下ろした。

俺が攻撃してこないと分かると、男が手を上げて近づいてきた。

メガネの奥にある瞳は、深い悲しみをたたえている。この世の全ての苦しみを味わったばかり、と言ったような表情だ。

「警戒しないでくれ、おれは怪しい人間じゃない。この森の直ぐ近くに、おれ達のアジトがあるんだ。ちょっと話をさせてくれないか?ああ、紹介が遅れたな。おれの名前はーーーー」



俺達は、男の基地にやってきた。

俺は疲れて眠ってしまったアクエリアスをおぶって、男についていった。俺の中の「声」が、こいつは危険じゃない。寧ろ有益な存在だ、ついていこうと言っているのだ。

男が言う。

「我々は"シードゥスとの共存"をはかるもの。『朧月』だ」

「朧月?」

新月なら知っているが、朧月等と言う名前は聞いた事もない。

「シードゥスと言えど、元は人間。おれ達は、シードゥスの元となるファージを人間と切り離す方法や、ファージが憑依できる器の開発をしている」

「……随分と、ぬるいんだな」

俺は、素直な感想を言った。

「そうだな」

男もため息をついて認める。そんなことはないだとか、信じれば夢は叶うとか、生暖かい綺麗事を吐くかと思っていたので、面食らう。

「朧月は、新月と違って、数人しか活動していない。全員、家族や親しいものがシードゥスに変わってしまった奴等だ。後で紹介しよう」



俺は、ベッドにアクエリアスを寝かせ、周りを見渡してみた。

森に出来た洞窟を、人が手を加えて整えた施設らしい。

俺が危険な物はないか辺りを探っていると、さっきのメガネ男が戻ってきた。

「案内するよ。君に紹介したいんだ」

「人間みたいな扱いだな」

「君はきちんと思考し、理性がある。理性?理性と行っていいか分からないが、何かが君を止めているんだろう」

「…」

頭の中に、アクエリアスと、俺が憑いた男の顔が思い浮かぶ。が、直ぐに消えた。

「だから、おれは君を尊重して扱う。君も、おれ達を尊重してくれれば、万々歳だ」

俺は黙った。俺の中のシードゥスが、俺を罵る。こんな男、さっさと切り捨ててしまえと。しかし、今、俺の中には、もう一人の俺がいた。

さっきは分からなかったが、これはきっと、鳳凰堂雲雀ーーーー人間としての"俺"だ。

「さあ、ここがメインルームだ。皆、件のシードゥスを連れてきたぞ」

通された広間には、二人の子供と、三人の大人がいた。

ボードゲームをしたり、ガムを噛んだり、好き勝手にやっていた奴等が、一斉に俺を見る。

「おや、その人が?」

「まるで人間みたいな顔してるね」

緑色の髪の男と、猫のような顔をした、亜麻色髪のガキが言った。

「か、か、か、格好いい……顔してます、ね、ね、ね」

「チィ!おいスバル!そのドモリやめろ!兄貴を思い出して腹が立つ!」

長い髪の男がドモリ、オレンジ色の髪のガキが怒鳴った。

「まあまあ皆。落ち着いて、ね?その人が、フェニックスさん……?」

最後の女は、優しい声でそう質問してきた。

「ああ、そうだ。こいつはフェニックス。今日からおれ達の仲間になる」

俺はぎょっとして、メガネを睨んだ。そんな話、されていないぞ。

メガネは、後で話すと俺に合図し、紹介し始めた。



緑髪の男は、森嶋 恒河と言う名前だ。

数ヵ月前、恋人がシードゥスになって、音信不通らしい。穏やかながら、意志の強そうな瞳をしている。

猫顔のガキは、立光 明紘というらしい。

父親が変身し、『アルバシャク』と名乗ったとか。

夢尾 昴と言うのが、髪の長い男だ。

どんな物にも怯えているようで、おどおどしている。溺愛していた愛娘が変身し、妻(娘にとっては母)を殺したとか。

オレンジ色の短髪のガキは、ステラ・ウィリアムズ。血気盛んな女だ。数年前『ディアディム』とか言うシードゥスに兄を取られたらしい。

最後の女は、諸星 龍燐と名乗った。

静かに、穏やかに笑っている。それぐらいしか書くことがない。



俺は全員の顔を眺め、メガネに目を向けた。

「俺を仲間にするって、どう言うことだ?」

「新月と違って、おれ達はただの一般人でね。ここのボディガードをしてほしい。あと、研究だな。君の身体を調べさせて欲しい」

「それで、俺達のメリットは?」

「君達が快適に暮らせるよう、サポートする。他に何か条件があれば、言ってくれ。出来るだけ叶えよう」

俺は暫く考え込み、腕を伸ばした。

炎が上がり、俺の腕が波打つ。

それを剣のような形に変え、メガネの方へふった。

メガネは逃げずにしっかと立っていた。

俺は舌打ちし、メガネの首に当たる寸前で剣を止めた。

「……何故避けない?」

「新月が地球を守る剣《ソード》なら、おれ達朧月は地球を守る盾《シールド》だ。その盾の代表であるおれが、同じ地球に住むお前を拒む事は出来ない」

メガネは真面目な顔で言い、ふっと力を抜き、笑った。

「それに、お前なら寸止めにすると思っていた」

俺は黙ってそれを聞き、ため息をついた。

「条件は二つ」

俺はメガネを睨みながら述べた。

「アクエリアスに何かあったら、お前の首を撥ね飛ばして、直ぐにここを立ち去る」

メガネはまばたきもせず、俺の顔を見つめている。

俺は少し視線を外し、他の奴等を眺めた。

武器を構えていたのは三人。

ステラは小型の銃。明紘は刃渡り十センチほどのナイフ。恒河は箱形のような何か。

「その箱は、なんだ?」

俺は気になって聞いてみた。

「あなたの大切な人が眠っている部屋に仕掛けさせて頂いた、ダイナマイトの起爆スイッチです」

恒河はつらつらと答える。

「他の者に手を出したら、私が押す段取りになっておりまして、まあもしかしたら、他にもこれと同じ物を持っている人がいるかもしれませんがね」

武器を構えなかった残り二人を見る。

昴は腰を抜かしていて、龍燐はまだ穏やかに笑っている。二人とも手をポケットに突っ込んでいる。いざとなれば、直ぐに押せそうだ。

起爆スイッチを持っているのは、龍燐か?それとも、昴は腰を抜かしている演技をしているだけか?いや、ステラか明紘が武器の他に隠し持っているのかもしれない……。全員持っているという可能性もある。

俺はにやりとした。こいつら、ただの人畜無害の甘ちゃんでは無いらしい。

「ほう。それじゃあ、第二の条件だ」

俺は条件を言い、メガネの名前を呼んだ。

「俺とアクエリアスの子供を開発しろ。お前なら出来るだろう?有栖川星彦さんよ」







「星彦博士が出てるのだ!」

アルビレオは興奮して、大きな声を出した。

星彦博士は、アルビレオを作った産みの親だ。

朧月の中では、特に尊敬している。

「あれ、レオ君だ」

自分の物ではない声に、アルビレオはビクッとする。

見ると、十代後半か、二十代くらいの男女が、出入り口の所にいる。

男は亜麻色髪の猫顔で緑色のパーカー姿、女はオレンジの短髪に同じくオレンジのジャージにショートパンツ姿だ。

「あきひろ博士!ステラ!」

立光 明紘と、ステラ・ウィリアムズだ。

「こら!あたしもステラ博士って呼ばんかい!」

ステラが指を突きつけると、アルビレオは不服そうに頬を膨らませた。

「えーステラは威張りそうだから嫌なのだ!あきひろ博士は遊んでくれるからいいのだ!」

「だぁぁぁぁ!この生意気め!」

「まあまあステラさん。レオ君。僕達はもう行くけど、あんまりはしゃぎすぎちゃ駄目、だよ?」

アルビレオはしょんぼりして、言った。

「もう行っちゃうのか?」

「ちょっとここの所、忙しくて。また今度遊ぼう。じゃあ行こうか、ステラさん」

「おう!じゃあな、レオン」

「分かったのだ!頑張るのだー!」



「ふぅ…」

明紘とステラが去った後、アルビレオは椅子に腰掛け、一息ついた。

「ぬ?」

アルビレオは、もう一冊、ノートがある事に気付いた。

名前も書いてあったが、何故かボロボロで読めない。

『アル…イル…誕……書』

と書いてある。

アルビレオはそれに手を伸ばしてみる。

と、手が触れた途端、ドンと言う大きな音がして、椅子から飛び上がった。

「ああ、レオ君。驚かせてごめんね」

「あは、あは、あは、お、落としてし、しまいました」

今度は、森嶋 恒河と夢尾 昴だ。昴が屈み、よっこいしょと、パソコンを持ち上げている。

「あーこうが博士、すばる博士、驚かせないで欲しいのだー!」

アルビレオは頬を膨らませて怒る。

「レ、レ、レオ君。ご、ごめん、ごめんね」

髪を短くきった昴が、ドモリながら笑った。

ここ数ヵ月で、ある事情に踏ん切りがついたと言ってバッサリ切っていたが、もしかすると、シードゥスとやらの話なのかもしれない。

「何をしていたんですか?」

恒河が、興味深そうに覗き込んできた。

「な、何でもないのだ!あはは!ちょ、ちょっと暇でー」

アルビレオはノートを隠し、慌てて誤魔化す。

恒河博士は、穏やかだけど、怒ると怖い。フェニックスは、無愛想ながらアルビレオには甘かったが、恒河博士は父親のように甘くない。もしこのノートが見てはいけない物だと、きつく怒られるかもしれない。

「こ、こ、恒河さん、ぼ、ぼくたちもい、い、行かないと」

「そうでしたね。それではレオ君。また後でね」

はーい!と元気に返す。

内心では冷や汗たらたらだ。

二人が出ていくのを見届けてから、アルビレオは再びノートを見つめた。



黄色のノートだ。所々、焼け焦げた後が残っている。

アルビレオはそれを捲ってみた。

「何なのだ……これは?」

アルビレオが顔をしかめると、また声がかかった。

「レオ君。何を見ているのかな?」

アルビレオはハッとして、顔を上げる。

「星彦博士!」

赤毛に眼鏡をかけた、三十代くらいの男性が、アルビレオに声をかけた。

アルビレオは、ノートを机に置き、尊敬する博士に無邪気に抱きつく。

星彦博士も、抱き締め返してくれた。

「アルビレオ、いいかい、朗報だ。今日は、何の日だと思う?」

「何の日……?」

アルビレオは考え込んだ。

「なんとね、君が生まれてから丁度十年がたったんだ!」

「ええ、それって……」

アルビレオは、いつも拠点としている家ーーーー朧月のアジトにいた為、日数の感覚は掴めなかった。

「誕生日だよ。パーティだ。もう支度は出来ている。後は君が来るのを待つだけさ。父様と母様もいるぞ」

「父様と母様が!」

アルビレオは目を輝かせる。

「ご馳走と、誕生日プレゼントもね」

「わぁ!なんて日なのだ!凄いのだ!」

アルビレオはワクワクしながら言い、そういえば、と、星彦博士に聞いてみた。

「龍香は呼ばないのか?ボクの友達……って事でいいのかなって思うんのだけど」

その言葉に、星彦博士は一瞬たじろいだ。

「今日は急で無理だけど、来年は呼ぼう

、ね?さあ、早く行こう。料理が冷めてしまうよ」

それもそうか、とアルビレオは納得し、星彦博士と手を繋いだ。



何とか見られずにすんだかと、星彦は安堵した。

全く、よりにもよってあそこに置き忘れてしまうなんて……。

何年も努力した結果だった。かなりの非人道的行為もした。報いを受ける日がいつか来るかもしれない。いや、しかし、その非人道的な行為のお陰で、アルビレオと出会えたのだ。よしとしよう。何年も睨んできたノートだ。そこに書かれている言葉が、一字一句、思い出せる。

いや、今はそんな事はどうでもいい。折角作ったご馳走と、誕生日プレゼントだ。

喜んでくれるといいが……。














~~~
時は少し遡る。

2010 5/4 深夜………


星が瞬く明るい夜空が広がる森の中にある廃キャンプ場。虫の音と風が草木を撫でる音が響くそんな場所にフェニックスは足を運んでいた。

「来たわね。」

目の前に黒い女性型のシードゥスシェダルがいた。そんなシェダルに対して面倒くさそうにフェニックスがぼやく。

「おいおい。こんな所に呼び出して何の用だ?俺は今忙しいし、イライラしてんだ。下らない用事だったら、焼き尽くすぞ?」

フェニックスが脅すように言うが、シェダルはフェニックスを見つめたまま、言う。

「人間と仲良くすることがそんなに忙しいんですか?」

「!」

シェダルの言葉にフェニックスの目付きが鋭くなる。そんなフェニックスの変わりようにシェダルははぁとため息をつき、呆れたように言う。

「気付かれないとでも思ったのですか?…我々を甘く見すぎですよ。」

フェニックスとシェダルの間に張り詰めた空気が流れる。そんな空気の中シェダルは人差し指を立て、提案する。

「ですがプロウフは貴方程の人材を失うのは惜しいと言ってくださいました。貴方はこの配慮に報いるべきです。」

「……何をさせるつもりだ。」

「簡単ですよ。今仲良くしている人間達を、“皆殺し”にするのです。そうするだけで貴方は我々の仲間だと、言えるのですよ?」

「……。」

黙るフェニックスにシェダルは畳み掛けるように続ける。

「考えてもみなさい。あなたは確かに強い。だが、ツォディアの面々やプロウフと戦って勝てますか?…人間側についたサダルメリクがどうなったか、貴方もご存知でしょう?」

フェニックスはしばし黙って俯く。

『おまえがリアを守るなら、おれは』

そしてハァとため息をつくと、俯けていた顔をあげる。

「分かった、分かったよ。お前が言いたいこともな。しょうがねぇ。俺は俺の、為すべきことをしよう。」

「分かりましたか。では、私が証人となりましょう。今からその人間達の」

次の瞬間フェニックスの周りに炎が噴き上がったかと思うと同時にフェニックスの右手に握られた炎の剣がシェダルを切り裂く。

「は?ぁ、あ?」

何が起きたか分からず、一瞬困惑するシェダルの首をフェニックスは掴む。

「悪いな。俺は、“俺の為すべきことをする”んだ。そしてそれはお前らに従うことじゃない。」

「ば、かな。これは、裏切り」

「そのために足掻いてやるさ、出来る限り。」

「愚か、なッ!!」

シェダルが反撃しようとするが、フェニックスの手から炎が噴き出すと、シェダルの首が吹き飛ぶ。

首を失い、糸が切れた人形のように倒れたシェダルの身体を抱えるとフェニックスは炎の翼を広げ、夜空へと飛び立った。

「…俺は必ず、生き抜く。リアと共に。」

その呟きと共にフェニックスは闇夜の中に消えていった。



















[以下、星彦博士の日記(一部抜粋)]



2008 4/9

人工シードゥス作成計画Ⅰ①材料

赤子の遺体(虐待された者や、捨て子等、遺体がなくなっても誰も悲しまい個体の物が好ましい)

AED(心臓に血を流す為)

フェニックスの血液(父親の遺伝子かつ蘇生要因)

アクエリアスの血液(母親の遺伝子かつ生命維持要因)



人工シードゥスの作り方②手順

①赤子の遺体の心臓部にAEDをセット。

②壊死した心臓にフェニックスの血液を注入、起動準備を確認する。

③AEDを起動。フェニックスの血が全身に駆け巡り、細胞組織を蘇らせていく。

④アクエリアスの血液を投入。細胞を癒着させ、繋ぎ止める。

⑤卵に入れ、温めさせる。

⑥魂が宿れば、卵は割れる筈。それまで待機する。

結果

↓

いつまでたっても卵が割れず、失敗。

殻を砕いてみたら、蘇生はしていたのか、呼吸をし、眠っていた。しかしいつまでたっても起きず、泣かず、乳も飲まない。

調整が難しかったのか、材料が足りなかったのか。数ヵ月後もそのままの状態。これでは子供といえないだろう。次の計画に移行するため、殺処分。フェニックスとアクエリアスには、死産していたと報告するとしよう。



2009 1/17

人工シードゥス作成計画Ⅱ①材料

赤子の遺体(なるべく死にたての物。虐待やネグレクトをしているような、悲しまない親の所から拐ってくるのが良)

AED(心臓に血を流す為)

フェニックスの血液(父親の遺伝子かつ蘇生要因)

フェニックスの肉片(シードゥスの細胞)

アクエリアスの血液(母親の遺伝子かつ生命維持要因)



人工シードゥスの作り方②手順

①死にたての赤ん坊の遺体に、フェニックスの肉片……シードゥスの細胞を投与する。脳みそ、心臓には特にたっぷりと細胞を入れる。

②その赤子の遺体の心臓部と脳にAEDをセット。

③壊死した心臓にフェニックスの血液を注入、脳みそに電磁波を起こす装置を装着。起動準備を確認する。

④AEDを起動。フェニックスの血が全身に駆け巡り、細胞組織を蘇らせていく。脳みそにも電磁波を当て、脳の蘇りをはかる。

⑤アクエリアスの血液を投入。細胞を癒着させ、繋ぎ止め、電気ショックから我が子を守らせる。

⑥その肉体に魂が、意識が宿れば成功。

⑦生命維持装置付きの卵に入れ、温めさせる。

⑧魂が宿れば、卵は割れる筈。それまで待機する。

結果

↓

成功。

殻を破り、意識が宿り、産声を上げた。

死体が女の子だったからか、この子も女の子だ。アルタイルと言う名前がつけられた。

殻を破った直後、赤ん坊くらいのサイズから、小学校高学年位の大きさに変貌した。

フェニックスの血の影響か、はじめから知恵があり、人語を理解し、文字を書いたり計算をしたりするのが得意だ。

運動能力も凄まじい。

父親の身体能力と、母親の頭脳を受け継いだらしい。



しかし、誕生から一年後、突如として消えてしまった。

肉体が暴走し、どこかへ飛んでいってしまった。

フェニックスの細胞とアクエリアスの血液が拒絶反応でも起こしたのか?

何ヵ月も探し回ったが、見つからなかった。

かなりショックだが、しかたない。もう一度、やり直しだ。



2010 5/5

人工シードゥスの作り方Ⅲ①材料

赤子(捨て子や孤児、刑務所で生まれた犯罪者の子供等)

AED(心臓に血を流す為)

フェニックスの血液(父親の遺伝子かつ蘇生要因)

シェダルのファージ(フェニックスが取ってきたシードゥスの核細胞)

アクエリアスの血液(母親の遺伝子かつ生命維持要因)



人工シードゥスの作り方②手順

①刑務所から譲り受けた死刑囚の子供を絞め殺す。

②赤子の遺体を切り開き、シェダルの核細胞を心臓と脳みそに念入りに注入する。

③壊死した心臓にフェニックスの血液を注入、脳みそに電磁波を起こす装置を装着。起動準備を確認する。

④AEDを起動。フェニックスの血が全身に駆け巡り、細胞組織を蘇らせていく。脳みそにも電磁波を当て、脳の蘇りをはかる。

⑤アクエリアスの血液を投入。細胞を癒着させ、繋ぎ止め、電気ショックから我が子を守らせる。

⑥その肉体に魂が、意識が宿れば成功。

⑦生命維持装置付きの卵に入れ、温めさせる。

⑧魂が宿れば、卵は割れる筈。それまで待機する。

結果

↓

成功。

意識が宿り、産声を上げた。

死体が男の子だった為、アルビレオと名付けられる。

順調に成長中。

だが、七歳までは油断が出来ない。厳重に監視する。



現在のアルビレオ(一歳)

姉のアルタイルと違い、言葉を覚えさせねばならなかった。

見たところ、翼等を覗けば、普通の赤ん坊のようだ。嫌なことがあれば泣きわめくし、親や俺にくっついて甘えてくる。

世話係は、年の近いステラか明紘にお願いしようか……。



現在のアルビレオ(三歳)

アルビレオが俺の後をついてまわるようになった。鳥の雛みたいで可愛らしい。

拒絶反応が出るのは、今が一番可能性が高いと見ているが、そのような兆しは無い。

アルビレオは、姉と違い、運動神経はよくなく、頭も悪い。両親の悪い所を受け継いだのか?いや、こんな事を書いたらヒバ……フェニックスに殺されるな。やめておこう。

だが、出来ぬ子程可愛いと言う言葉もある。まさにその通りだと、俺は思っている。



現在のアルビレオ(七歳)

アルビレオが七歳を越えた。もう細胞が拒絶反応を起こしたり、突然死したりはしないだろう。

俺は大いに喜んだ。

これでもう、妹も、親友もいなくならなくてすむ。おれにとって、大切なのはそれだけだ。

シールドとか、地球を守る盾だとか、そんなのはただの御託。

おれは、おれの大切な人が側にいてくれれば、それでいい。朧月は、そんな奴等の集まりだ。

ああ、そうだ。おれはおじさんになったんだな。

これからもよろしくな。アルビレオ。



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