5. 新たなる、力
「のじゃ猫ちゃん!!無事だったんだね!!
わたし達、ずーっと心配してたんだよ!」
「すまんのぅ、ワシもまさかこんなに長い間ここを空ける事になるとは思わなんだ。それにしても、いつの間にか学園の中に牧場やら立派な畑やらできておるではないか!オヌシら、流石じゃのぉ〜」
みんなでのじゃ猫ちゃんを囲んで、再会を喜び合う。
もしかしたらもう会えないかも……なんて不吉な事を考えてしまっていたけれど、杞憂で済んで良かった。
「でも、のじゃ猫ちゃん今までどこで何をしてたの?」
「うム、それはの……ちょっとワシの口からは話しづらいと言うか……」
「構わないわ。この子達はもう、Dr.マッドの事は知っているから」
「……………………そうか。オヌシら、辛かったじゃろう。大変な時にここにおる事ができず、すまなんだ。ワシがここを離れておった間の事、それから今後の事を話したい。場所を変えようかの」
わたし達、ずーっと心配してたんだよ!」
「すまんのぅ、ワシもまさかこんなに長い間ここを空ける事になるとは思わなんだ。それにしても、いつの間にか学園の中に牧場やら立派な畑やらできておるではないか!オヌシら、流石じゃのぉ〜」
みんなでのじゃ猫ちゃんを囲んで、再会を喜び合う。
もしかしたらもう会えないかも……なんて不吉な事を考えてしまっていたけれど、杞憂で済んで良かった。
「でも、のじゃ猫ちゃん今までどこで何をしてたの?」
「うム、それはの……ちょっとワシの口からは話しづらいと言うか……」
「構わないわ。この子達はもう、Dr.マッドの事は知っているから」
「……………………そうか。オヌシら、辛かったじゃろう。大変な時にここにおる事ができず、すまなんだ。ワシがここを離れておった間の事、それから今後の事を話したい。場所を変えようかの」
所変わって視聴覚室。
わたし達はここを大事な話をする時の会議室として使っている。全員は入れないので、一部の女子だけで席に着く。
「ワシは最後にここを出た直後に、ヤツが率いる機人部隊に襲われた。2、30体はおったかの」
「Dr.マッドが、直接この町に来てたの!?じゃあ、今ももしかしたらこの近くに……!?」
「いや、機人を使えば移動はあっという間じゃ。アレは装備を変えれば空を飛ぶ事もできるからの。今は恐らく本拠地に戻っておるじゃろう」
「のじゃ猫ちゃん、Dr.マッドの本拠地がどこか、知ってるの?」
「正確には分からん。じゃが、おおよその位置は分かっておる。ま、その話はまた後じゃ。今はヤツの居場所を知る必要はないからの」
わたし達はここを大事な話をする時の会議室として使っている。全員は入れないので、一部の女子だけで席に着く。
「ワシは最後にここを出た直後に、ヤツが率いる機人部隊に襲われた。2、30体はおったかの」
「Dr.マッドが、直接この町に来てたの!?じゃあ、今ももしかしたらこの近くに……!?」
「いや、機人を使えば移動はあっという間じゃ。アレは装備を変えれば空を飛ぶ事もできるからの。今は恐らく本拠地に戻っておるじゃろう」
「のじゃ猫ちゃん、Dr.マッドの本拠地がどこか、知ってるの?」
「正確には分からん。じゃが、おおよその位置は分かっておる。ま、その話はまた後じゃ。今はヤツの居場所を知る必要はないからの」
のじゃ猫ちゃんは一度話を区切り、
黒板にカツカツと文字を書いていく。
流石、年季の入った達筆だ。
全く読めない。
「ヤツに襲われた時、機人を何体かは潰せたものの、ヤツのしつこさたるや想像を絶しておった。じゃからワシは一計を案じる事にしたのじゃ……死んだフリをしてこの場をやり過ごそう、とな」
のじゃ猫ちゃん、さらりととんでもない事を言ってる気がする。あの圧倒的な強さを誇る機人を、何体か倒したの……?
……まぁでも、のじゃ猫ちゃんならそれくらいはできるだろうな、と思い直して彼女の話に意識を戻す。
「機人の砲撃が当たる直前に、ワシは自分の身体をバラバラにして爆散させた。自分の異能を使って身体をバラバラにする分には、時間はかかるが自己再生できる。それでヤツはワシを倒したと思い込み、去っていったと言うわけじゃ。
……本当はあの場で奴を倒すつもりだったのじゃが、ワシも衰えたものよ。機械人形ごときに、逃げの一手しかできんとはな」
「……………………」
神楽坂さんは話を聞いている間、何とも言えない顔でのじゃ猫ちゃんを見つめていた。
黒板にカツカツと文字を書いていく。
流石、年季の入った達筆だ。
全く読めない。
「ヤツに襲われた時、機人を何体かは潰せたものの、ヤツのしつこさたるや想像を絶しておった。じゃからワシは一計を案じる事にしたのじゃ……死んだフリをしてこの場をやり過ごそう、とな」
のじゃ猫ちゃん、さらりととんでもない事を言ってる気がする。あの圧倒的な強さを誇る機人を、何体か倒したの……?
……まぁでも、のじゃ猫ちゃんならそれくらいはできるだろうな、と思い直して彼女の話に意識を戻す。
「機人の砲撃が当たる直前に、ワシは自分の身体をバラバラにして爆散させた。自分の異能を使って身体をバラバラにする分には、時間はかかるが自己再生できる。それでヤツはワシを倒したと思い込み、去っていったと言うわけじゃ。
……本当はあの場で奴を倒すつもりだったのじゃが、ワシも衰えたものよ。機械人形ごときに、逃げの一手しかできんとはな」
「……………………」
神楽坂さんは話を聞いている間、何とも言えない顔でのじゃ猫ちゃんを見つめていた。
「さて、これまでの話は一旦やめとして、
問題は今後の話じゃ。オヌシらにとっては少し悪い報せかも知れんがの」
なぜか意地の悪い笑みを浮かべ、皆を見渡すのじゃ猫ちゃん。
「皆にはこれから、ある『修行』をしてもらう。その名も……『女児力』を身につける
ための修行じゃ!!」
問題は今後の話じゃ。オヌシらにとっては少し悪い報せかも知れんがの」
なぜか意地の悪い笑みを浮かべ、皆を見渡すのじゃ猫ちゃん。
「皆にはこれから、ある『修行』をしてもらう。その名も……『女児力』を身につける
ための修行じゃ!!」
バァ────ン!!
なぜかのじゃ猫ちゃんの後ろで効果音が鳴ったような気がした。
「……あの、『女児力』って、なんですか……?」
おずおずと猫丸ちゃんが手を挙げる。
当然のように新しい単語が出てきたので、
全員同じ疑問を抱いているはずだ。
「カカカ、慌てるでない。これからその説明をするところじゃ。
『女児力』とは、読んで字の如く女児だけが発揮できる力。様々な能力として発現する『符号』とは異なり、純粋なパワーとして顕れるもの。上手く使えば空高く飛び上がる事や、重たい岩を持ち上げたりできるはずじゃ」
「そ、そんな漫画みたいな事ができるようになるんですか……!?」
「ウム。とはいえ、欠点もある。
女児としてのイノセントなエネルギーを使う都合上、『女児力』を発動しておる間は『女児符号』を使う事ができんのじゃ。使い分けが重要になる」
そこでなぜかのじゃ猫ちゃんはちらり、とこちらを見た。
「はもはもちゃんやアナザーはもはもちゃんは、既にこの『力』の片鱗を発揮しておるはずじゃ。心当たりはないかの?」
みんなの視線が、こちらに集まる。
え……?わたし、女児力なんて一度も使った事……。
はっ、とする。
そうだ。数ヶ月前。
食料を探して外に出た時、機人に襲われたわたし達は、咄嗟に「何か」したはずだ。
機人と戦うため。機人の攻撃を避けるため。
「……あの、『女児力』って、なんですか……?」
おずおずと猫丸ちゃんが手を挙げる。
当然のように新しい単語が出てきたので、
全員同じ疑問を抱いているはずだ。
「カカカ、慌てるでない。これからその説明をするところじゃ。
『女児力』とは、読んで字の如く女児だけが発揮できる力。様々な能力として発現する『符号』とは異なり、純粋なパワーとして顕れるもの。上手く使えば空高く飛び上がる事や、重たい岩を持ち上げたりできるはずじゃ」
「そ、そんな漫画みたいな事ができるようになるんですか……!?」
「ウム。とはいえ、欠点もある。
女児としてのイノセントなエネルギーを使う都合上、『女児力』を発動しておる間は『女児符号』を使う事ができんのじゃ。使い分けが重要になる」
そこでなぜかのじゃ猫ちゃんはちらり、とこちらを見た。
「はもはもちゃんやアナザーはもはもちゃんは、既にこの『力』の片鱗を発揮しておるはずじゃ。心当たりはないかの?」
みんなの視線が、こちらに集まる。
え……?わたし、女児力なんて一度も使った事……。
はっ、とする。
そうだ。数ヶ月前。
食料を探して外に出た時、機人に襲われたわたし達は、咄嗟に「何か」したはずだ。
機人と戦うため。機人の攻撃を避けるため。
無意識に『力』を使っていた…………!
「あれが、『女児力』……?」
「オレも、何も考えずに使ってたのか……」
「そう。『女児力』とは本来、命に危機が迫った時などに無意識に発揮されるもの。いわゆる「火事場の馬鹿力」というやつじゃな。
それを意識的に使うとなれば、それなりに修行が必要になる。その覚悟はあるかの?」
「えーと、ちょっといいですか?」
また女児達の中からばっ、と手が上がる。
朝河ちゃんだ。
「ウム、質問は大歓迎じゃ。どうした?朝河ちゃん」
「その『女児力』を身につけるのは良いんですけど、それってつまり……私たち、これからDr.マッドと戦わなきゃいけない、って事ですか?」
しん、と部屋の中が静まり返る。
ここにいる誰もが、その可能性を感じつつもそれを言い出せずにいた。
「……ま、いつかはこの話になるじゃろうなと思ってはおったが。良い機会じゃ、話しておこう。Dr.マッドの目的と、それをワシらが防がねばならん理由を、の」
「オレも、何も考えずに使ってたのか……」
「そう。『女児力』とは本来、命に危機が迫った時などに無意識に発揮されるもの。いわゆる「火事場の馬鹿力」というやつじゃな。
それを意識的に使うとなれば、それなりに修行が必要になる。その覚悟はあるかの?」
「えーと、ちょっといいですか?」
また女児達の中からばっ、と手が上がる。
朝河ちゃんだ。
「ウム、質問は大歓迎じゃ。どうした?朝河ちゃん」
「その『女児力』を身につけるのは良いんですけど、それってつまり……私たち、これからDr.マッドと戦わなきゃいけない、って事ですか?」
しん、と部屋の中が静まり返る。
ここにいる誰もが、その可能性を感じつつもそれを言い出せずにいた。
「……ま、いつかはこの話になるじゃろうなと思ってはおったが。良い機会じゃ、話しておこう。Dr.マッドの目的と、それをワシらが防がねばならん理由を、の」
────────────
私には、何もなかった。
中学校。高校。大学。
どこに行っても、待っていたのは華やかな学生生活などではなく、孤独で、暗いだけの
つまらない日々。
友人もおらず、仲間もおらず、たった1人で本を読んで過ごすだけ。
中学校。高校。大学。
どこに行っても、待っていたのは華やかな学生生活などではなく、孤独で、暗いだけの
つまらない日々。
友人もおらず、仲間もおらず、たった1人で本を読んで過ごすだけ。
当然だ。
他ならぬ私自身が、それを望んだのだから。
他ならぬ私自身が、それを望んだのだから。
友人なんて要らない。
仲間なんて要らない。
家族なんて、要らない。
私にとって、大切な物はたった1つだけ。
子供の頃の、忘れがたい記憶。
私の人生でただひとつ、
鮮やかな色が付いた美しい思い出。
それだけを糧に、生きてきた。
仲間なんて要らない。
家族なんて、要らない。
私にとって、大切な物はたった1つだけ。
子供の頃の、忘れがたい記憶。
私の人生でただひとつ、
鮮やかな色が付いた美しい思い出。
それだけを糧に、生きてきた。
だから。
この思い出を、永遠に残そう。
それしか存在しない世界にしよう。
他の物なんて、邪魔でしかない。
全部全部滅ぼしてやる。
お前たちは、お前たちの手で生み出した怪物に滅ぼされるのだ────。
この思い出を、永遠に残そう。
それしか存在しない世界にしよう。
他の物なんて、邪魔でしかない。
全部全部滅ぼしてやる。
お前たちは、お前たちの手で生み出した怪物に滅ぼされるのだ────。
カタカタ。
カタカタカタ。
カタカタカタカタ。
ッターン!!
カタカタカタ。
カタカタカタカタ。
ッターン!!
「ふ、ふふふっ、ふふふふっ!!
さぁさぁ、完成だ。ようやくお披露目の時が来た!あぁ、この時をどれだけ待ちわびた事か!!」
さぁさぁ、完成だ。ようやくお披露目の時が来た!あぁ、この時をどれだけ待ちわびた事か!!」
「さぁ、始めよう。
私は!!世界に!!宣戦布告する!!!」
私は!!世界に!!宣戦布告する!!!」
起動したプログラムを確認する。
全て問題なく作動している。
私が作り出した、
無数の巨大円盤型ドローン。
計画の第一段階は、こいつで世界各地を襲撃する事からだ。
全て問題なく作動している。
私が作り出した、
無数の巨大円盤型ドローン。
計画の第一段階は、こいつで世界各地を襲撃する事からだ。
それと同時にインターネットに
「宇宙人が現れた」「奴らは日光がなければ行動できない」という情報を流す。
CGで作成したエイリアンの映像を断片的に混ぜれば完璧だ。
「宇宙人が現れた」「奴らは日光がなければ行動できない」という情報を流す。
CGで作成したエイリアンの映像を断片的に混ぜれば完璧だ。
それだけで人類は勝手に「エイリアンが攻めてきた」のだと勘違いする。
そして、勝手に地下にシェルターを作り、閉じこもってくれる。
定期的にドローンで砲撃をしてやれば、地上に出てきたり、エイリアンの正体を疑ったりする余裕もなくなる。
何度も何度も何度も何度も平行世界に飛んではシミュレーションを繰り返した。想定通りに行動しない面倒な人間も一定数いるが、そういう奴らは予め消しておけば事足りる。
そして、勝手に地下にシェルターを作り、閉じこもってくれる。
定期的にドローンで砲撃をしてやれば、地上に出てきたり、エイリアンの正体を疑ったりする余裕もなくなる。
何度も何度も何度も何度も平行世界に飛んではシミュレーションを繰り返した。想定通りに行動しない面倒な人間も一定数いるが、そういう奴らは予め消しておけば事足りる。
そして、人間は最終的に「自らを滅ぼす最終兵器」を産み出してくれる。
「対敵性地球外生命体機甲式無人兵」、
通称「機人」。
奴らは全人類で協力してこれを作り出したと思い込んでいるが、実際は違う。
プログラマーや設計者がインターネットでやり取りしている相手の大半は私であり、様々な悪性プログラムを仕込んでやった。
「対敵性地球外生命体機甲式無人兵」、
通称「機人」。
奴らは全人類で協力してこれを作り出したと思い込んでいるが、実際は違う。
プログラマーや設計者がインターネットでやり取りしている相手の大半は私であり、様々な悪性プログラムを仕込んでやった。
全ては最終的に私が機人を乗っ取り、効率的に人類を滅ぼすため。
わざわざ最初に宇宙人の襲来を装うのは、あちこちに逃げられないよう全員を逃げ場のない地下シェルターに閉じ込めるためだ。
まさに一分の隙もない、完璧な計画。
我ながら自分が恐ろしい。
わざわざ最初に宇宙人の襲来を装うのは、あちこちに逃げられないよう全員を逃げ場のない地下シェルターに閉じ込めるためだ。
まさに一分の隙もない、完璧な計画。
我ながら自分が恐ろしい。
画面が、赤く染まる。
それはまるで、これからの世界の行く末を
示しているかのようで。
私は、これを見るだけで、
とてもとても興奮するのだ。
それはまるで、これからの世界の行く末を
示しているかのようで。
私は、これを見るだけで、
とてもとても興奮するのだ。
世界が、変わる。
私が変えるのだ。
こんな無価値で無意味で無情な世界は。
全て消え去る。
私が変えるのだ。
こんな無価値で無意味で無情な世界は。
全て消え去る。
誰も私を止める事はできない。
否、否、否!!
止められるものなら止めてみろ!!
止めてみるがいい、うら若き少女たちよ!!
世界は、この時を中心に、裏返る。
────────────
「そん、な……。
エイリアンの存在自体が、嘘……?
全部、最初からDr.マッドの計画だったっていうの……?」
「そうじゃ。いくらワシや神楽坂が衰えたと言うても(バキッ)、宇宙人なんてモンが攻めてくれば流石に気付く。ワシらが攻撃の直前まで気付かなんだのは、あの円盤が空っぽの単なるラジコンだったからじゃ」
神楽坂さんに殴られながらも、のじゃ猫ちゃんは話を続ける。
……神楽坂さん、のじゃ猫ちゃんの前だとやけに子供っぽくなる気がするな……。
エイリアンの存在自体が、嘘……?
全部、最初からDr.マッドの計画だったっていうの……?」
「そうじゃ。いくらワシや神楽坂が衰えたと言うても(バキッ)、宇宙人なんてモンが攻めてくれば流石に気付く。ワシらが攻撃の直前まで気付かなんだのは、あの円盤が空っぽの単なるラジコンだったからじゃ」
神楽坂さんに殴られながらも、のじゃ猫ちゃんは話を続ける。
……神楽坂さん、のじゃ猫ちゃんの前だとやけに子供っぽくなる気がするな……。
「つまり、機人は最初っからDr.マッドが人類を滅ぼすために作り出した兵器だったってわけだ。
なんて用意周到な……というか、まるで未来を読んでいるかのような行動だけど」
好香ちゃんの言う通り、Dr.マッドの行動は余りにも計画通り進みすぎている、という印象だ。
こんな壮大な計画、どこかで綻びが生じてもおかしくないのに、今に至るまで彼女の計画は見事なまでに成功しているのだから。
「その通り。ヤツの『符号』には未だ謎が多いが、ワシや神楽坂の見立てではヤツは『未来を読める』。というより、『無数の未来をシミュレーションしている』という方が正しいかの。様々な平行世界を渡り歩き、実際に起きた未来を観測しておるのじゃ。じゃからほぼ予知に近い精度で未来に起こる事が分かっておる。……いや、分かっておった、か。恐らくじゃが、今のヤツにはもうその力はない。もしその力が今もあるなら、みすみすワシを逃したりはせんじゃろうからな」
それは確かにそうだ。
のじゃ猫ちゃんを殺すつもりで襲撃したのに、死んだフリで難を逃れた事に気付いていないのは、今は未来予知ができないからに他ならない。
それなら、今後の戦いにも希望が持てるかも知れない。
化け物みたいな強さの機人に加え、本人が未来を見る事ができると来たらもう勝ち目ないもんね……。
なんて用意周到な……というか、まるで未来を読んでいるかのような行動だけど」
好香ちゃんの言う通り、Dr.マッドの行動は余りにも計画通り進みすぎている、という印象だ。
こんな壮大な計画、どこかで綻びが生じてもおかしくないのに、今に至るまで彼女の計画は見事なまでに成功しているのだから。
「その通り。ヤツの『符号』には未だ謎が多いが、ワシや神楽坂の見立てではヤツは『未来を読める』。というより、『無数の未来をシミュレーションしている』という方が正しいかの。様々な平行世界を渡り歩き、実際に起きた未来を観測しておるのじゃ。じゃからほぼ予知に近い精度で未来に起こる事が分かっておる。……いや、分かっておった、か。恐らくじゃが、今のヤツにはもうその力はない。もしその力が今もあるなら、みすみすワシを逃したりはせんじゃろうからな」
それは確かにそうだ。
のじゃ猫ちゃんを殺すつもりで襲撃したのに、死んだフリで難を逃れた事に気付いていないのは、今は未来予知ができないからに他ならない。
それなら、今後の戦いにも希望が持てるかも知れない。
化け物みたいな強さの機人に加え、本人が未来を見る事ができると来たらもう勝ち目ないもんね……。
「ねぇのじゃ猫ちゃん。エイリアンそのものがDr.マッドの狂言だったってのはわかったけど、結局のところDr.の目的ってなんなのさ?
人類を滅亡させること?」
「いいや、ヤツの狙いは別にある。……と言うより、既にほぼ達成されてしまっておるのじゃがの」
「えっ?なにそれ?」
「ヤツの狙いは、
『女児だけの世界を作ること』。
つまり……オヌシらだけがこの世界に生き残っておる今の状況そのものが、ヤツの目的なのじゃ」
人類を滅亡させること?」
「いいや、ヤツの狙いは別にある。……と言うより、既にほぼ達成されてしまっておるのじゃがの」
「えっ?なにそれ?」
「ヤツの狙いは、
『女児だけの世界を作ること』。
つまり……オヌシらだけがこの世界に生き残っておる今の状況そのものが、ヤツの目的なのじゃ」