6. Dr.マッドの、世界
「わたしたちだけの……世界を作る……?
こんなとんでもない計画を立ててまでやりたかったのが、そんなちっぽけなことなの……?」
「そう言ってやるな。詳しい事情は分からんが、奴が全てを費やしてでも実行したかった計画じゃ。奴にとってはそれが何よりも重要な事なのじゃろう。
オヌシら以外の全てを滅ぼすというやり方は、擁護できんがの」
「でも、そうなるともうDr.の計画って完遂してるって事にならない?もうこの世界に残されてるのはほとんど私達だけなんでしょ?」
「それがの、どうもそうではないようなのじゃ。奴の願いは、『この世界を永遠に存続させる事』。まだこの世界は永遠に続けるには条件が整っておらん、という事らしい」
永遠に続ける……?それってわたし達も永遠に生き続けるってこと?
そんな事ありえないのに、どうやって実行するつもりなんだろう。
「とにかく。Dr.マッドは既に正気を失っておる。この世界を永遠に続けるだの、女児だけの世界を作るだの、そんな事は現実的に不可能じゃ。じゃから、ワシらはヤツの目を覚まさせなければならん。
この世界にはほとんどオヌシらしかいなくなってしもうたが……まだ終わりではない。イチからやり直せば良いだけの話じゃ。
そのためにはまずオヌシらが『女児力』を身に付ける事がスタートになる。さぁ、ここからはビシビシ修行じゃ。校庭に行くぞ!」
「えぇ〜っ……少し休んでからにしようよ〜!」
「ダメじゃダメじゃ!そんな事を言うておったらいつまでも始められん!さぁ、体操服にお着替えじゃ。早うせんと、無理やり脱がせてしまうぞぉ〜?」
「きゃーっ!!のじゃ猫ちゃんエッチ〜!」
こんなとんでもない計画を立ててまでやりたかったのが、そんなちっぽけなことなの……?」
「そう言ってやるな。詳しい事情は分からんが、奴が全てを費やしてでも実行したかった計画じゃ。奴にとってはそれが何よりも重要な事なのじゃろう。
オヌシら以外の全てを滅ぼすというやり方は、擁護できんがの」
「でも、そうなるともうDr.の計画って完遂してるって事にならない?もうこの世界に残されてるのはほとんど私達だけなんでしょ?」
「それがの、どうもそうではないようなのじゃ。奴の願いは、『この世界を永遠に存続させる事』。まだこの世界は永遠に続けるには条件が整っておらん、という事らしい」
永遠に続ける……?それってわたし達も永遠に生き続けるってこと?
そんな事ありえないのに、どうやって実行するつもりなんだろう。
「とにかく。Dr.マッドは既に正気を失っておる。この世界を永遠に続けるだの、女児だけの世界を作るだの、そんな事は現実的に不可能じゃ。じゃから、ワシらはヤツの目を覚まさせなければならん。
この世界にはほとんどオヌシらしかいなくなってしもうたが……まだ終わりではない。イチからやり直せば良いだけの話じゃ。
そのためにはまずオヌシらが『女児力』を身に付ける事がスタートになる。さぁ、ここからはビシビシ修行じゃ。校庭に行くぞ!」
「えぇ〜っ……少し休んでからにしようよ〜!」
「ダメじゃダメじゃ!そんな事を言うておったらいつまでも始められん!さぁ、体操服にお着替えじゃ。早うせんと、無理やり脱がせてしまうぞぉ〜?」
「きゃーっ!!のじゃ猫ちゃんエッチ〜!」
────────────
「…………あからさまにはぐらかしたわね。
あんな言い方じゃ、何人か気付く子がいるわよ。賢い子達ばかりだもの」
「その時はその時じゃ。
……もう時間がない。多少無理やりにでも話を進めんと、手遅れになるからの」
「そう、ね。だけど、
あの子だけは……あの子にだけは、真実を悟られてはいけないわよ」
「分かっておる。いくらワシでも、こんな
残酷すぎる真実を、伝えられるはずもない」
あんな言い方じゃ、何人か気付く子がいるわよ。賢い子達ばかりだもの」
「その時はその時じゃ。
……もう時間がない。多少無理やりにでも話を進めんと、手遅れになるからの」
「そう、ね。だけど、
あの子だけは……あの子にだけは、真実を悟られてはいけないわよ」
「分かっておる。いくらワシでも、こんな
残酷すぎる真実を、伝えられるはずもない」
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『女児力』を習得するための修行は、
想像以上に過酷を極めた。
本来命の危機にならなければ使えない力を、
意識的に引き出すためにまずやる事と言えば
『実際に命を落としかねない状況にする』こと。
のじゃ猫ちゃんにはその辺の容赦が一切なく、避けられなければ間違いなく即死レベルの大岩を叩きつける、本物の刀を使っての剣道、『力』を発揮しなければ死ぬであろう崖から平気で叩き落とすなど、死人が出てもおかしくない修行の日々が続いた。
しかも『女児力』を手に入れる修行なので「何があっても符号は使用禁止」という制限付き。正直誰も死なずに来れたのが奇跡としか思えなかった…………。
想像以上に過酷を極めた。
本来命の危機にならなければ使えない力を、
意識的に引き出すためにまずやる事と言えば
『実際に命を落としかねない状況にする』こと。
のじゃ猫ちゃんにはその辺の容赦が一切なく、避けられなければ間違いなく即死レベルの大岩を叩きつける、本物の刀を使っての剣道、『力』を発揮しなければ死ぬであろう崖から平気で叩き落とすなど、死人が出てもおかしくない修行の日々が続いた。
しかも『女児力』を手に入れる修行なので「何があっても符号は使用禁止」という制限付き。正直誰も死なずに来れたのが奇跡としか思えなかった…………。
だけど、2ヶ月の修行を経て、ほとんどの子が『女児力』をある程度発揮できるようになり、そして何よりみんなの結束が今まで以上に強くなったのはとても大きな成果だと思う。何度も死線を乗り越えた仲間になったわたし達に、もはや怖いものはない!……と、思う。たぶん。
「ふむふむ。怖いものはないと来たか。
ではいよいよ、女児力の実践じゃ。
これからオヌシらには機人と戦ってもらう」
「へ?????」
「へ、ではない!何のためにこれまで死ぬほどキツイ修行をして来たと思っておる。機人と対等に戦えるようにするためじゃ。
奴らを倒す術は前に教えたな?
まず顔を潰し、視界を奪い、その隙に下半身のモーターを破壊する。これで奴らは動く事はできん。ただし、銃器類は生きておる。
完璧に無力化するためには、バックパックにあるバッテリーを抜き取る必要があるが……
あまり有効な策とは言えん。
奴らの背中は他の部分以上に厳重にガードされておるからな。とにかくモーターを破壊するところまで行けば、少なくとも動きを止められる。
数人がかりでも良い、機人を1体倒してみよ!
これが最後の試験じゃ!!」
いやいやいやいや何言ってんののじゃ猫ちゃん!?!?
いくらわたし達が女児力を身につけたからって、いきなり実戦なんてそんな無茶な……!
ではいよいよ、女児力の実践じゃ。
これからオヌシらには機人と戦ってもらう」
「へ?????」
「へ、ではない!何のためにこれまで死ぬほどキツイ修行をして来たと思っておる。機人と対等に戦えるようにするためじゃ。
奴らを倒す術は前に教えたな?
まず顔を潰し、視界を奪い、その隙に下半身のモーターを破壊する。これで奴らは動く事はできん。ただし、銃器類は生きておる。
完璧に無力化するためには、バックパックにあるバッテリーを抜き取る必要があるが……
あまり有効な策とは言えん。
奴らの背中は他の部分以上に厳重にガードされておるからな。とにかくモーターを破壊するところまで行けば、少なくとも動きを止められる。
数人がかりでも良い、機人を1体倒してみよ!
これが最後の試験じゃ!!」
いやいやいやいや何言ってんののじゃ猫ちゃん!?!?
いくらわたし達が女児力を身につけたからって、いきなり実戦なんてそんな無茶な……!
……でも。そうだ。
やらなきゃいけない。
いつかは、こうなると分かっていた。
わたし達は、世界に残された唯一の希望。
戦わなきゃ、いけないんだ。
命をかけて…………!!
やらなきゃいけない。
いつかは、こうなると分かっていた。
わたし達は、世界に残された唯一の希望。
戦わなきゃ、いけないんだ。
命をかけて…………!!
「行くぞ!鹵獲した機人は全部で6体!!
機銃もそのまま!!全員、命がけでこいつらを倒してみよ!!」
ズズズズズ……!!!
のじゃ猫ちゃんの影の中から、
巨大な機影が姿を見せる。
機人。
わたし達にとって、いや、人類にとって
圧倒的な絶望の存在。
こいつらを乗り越える事が、
わたし達にとって最大の試練なんだ……!!
機銃もそのまま!!全員、命がけでこいつらを倒してみよ!!」
ズズズズズ……!!!
のじゃ猫ちゃんの影の中から、
巨大な機影が姿を見せる。
機人。
わたし達にとって、いや、人類にとって
圧倒的な絶望の存在。
こいつらを乗り越える事が、
わたし達にとって最大の試練なんだ……!!
「ギギギギギギギィィ!!!」
真っ赤な目が、こちらを見る。
無機質な銃口が、こちらに向けられる。
あの時と、同じだ。
でも。今のわたしは、あの時とは違うっ!!
真っ赤な目が、こちらを見る。
無機質な銃口が、こちらに向けられる。
あの時と、同じだ。
でも。今のわたしは、あの時とは違うっ!!
「やあああああああああああっ!!!!!」
ドゥッ!!!!!
『女児力』を全開にし、機銃から銃弾が放たれるよりも速く、足元に潜り込む。
「なっ、はもはもちゃん、何をしておる!?
まずは頭を潰さねば……」
「うぅんっ、これで、いいのっ!!
わたしは、これで……!!」
機人の腕に取り付けられた、機銃の銃身を掴み、振り上げ、そのまま────。
ドゥッ!!!!!
『女児力』を全開にし、機銃から銃弾が放たれるよりも速く、足元に潜り込む。
「なっ、はもはもちゃん、何をしておる!?
まずは頭を潰さねば……」
「うぅんっ、これで、いいのっ!!
わたしは、これで……!!」
機人の腕に取り付けられた、機銃の銃身を掴み、振り上げ、そのまま────。
投げる!!!!
「おりゃああああああああああああっ!!!!!!!」
「おりゃああああああああああああっ!!!!!!!」
ズドオオォォン!!!!!!
「なっ、なな、投げおった───!?
機人を投げ飛ばすなんぞ、ワシでもそんな無茶苦茶な事やらんぞ!?」
「なっ、なな、投げおった───!?
機人を投げ飛ばすなんぞ、ワシでもそんな無茶苦茶な事やらんぞ!?」
ジッ……ジジジ……バチバチッ……!!
投げ飛ばされた機人は、背中から地面に叩きつけられる。
いかに強固な装甲でガードされたバッテリーでも、機人の全重量がのしかかればひとたまりもない。
バッテリーが破壊された事で、機人は完全に沈黙した───。
投げ飛ばされた機人は、背中から地面に叩きつけられる。
いかに強固な装甲でガードされたバッテリーでも、機人の全重量がのしかかればひとたまりもない。
バッテリーが破壊された事で、機人は完全に沈黙した───。
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「……驚いた。まさかたった1人で、しかも一撃で機人を倒してしまうとはの。
他の皆も、思い思いのやり方で難なくターゲットの破壊を完了しておる。
正直なところ、ここまでとは思っておらなんだ。皆、本当に強くなったのぉ。これで、
修行は完了じゃ!」
「えぇ、本当に。みんな、お疲れ様。
ご褒美に今日はご馳走を用意したから、まずは汗を流してらっしゃい。
その後で、ご飯にしましょう!」
「「「やった───!!」」」
他の皆も、思い思いのやり方で難なくターゲットの破壊を完了しておる。
正直なところ、ここまでとは思っておらなんだ。皆、本当に強くなったのぉ。これで、
修行は完了じゃ!」
「えぇ、本当に。みんな、お疲れ様。
ご褒美に今日はご馳走を用意したから、まずは汗を流してらっしゃい。
その後で、ご飯にしましょう!」
「「「やった───!!」」」
──これが、わたし達が青空学園で過ごす、
最後の日となった。
最後の日となった。