安価でオブジェクト製作スレ @ ウィキ

『モンタージュ柄の平和思想』第三章

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はいはいこんにちは未来の誰か。これはお姉さんと私の大好きなお爺ちゃんとの約束の通りに、データの抹消作業をしてる可哀想で可愛いいとある少女からのちょっとした悪戯。
 後悔なんてしない。けど迷惑はかけたと思ってる。楽しかった。
 ここまでさ、サクラダファミリアも、どこぞの捩れに捩れたレスボス島大狂乱事件もかぐやってほど丁寧に仕上げたのに、全部全部なかったことにしようとしてるのはさ、私の母国の言葉で言えば『立つ鳥跡を濁さず』ってんで最高なんだけど。
 そもそも人間ってのは生きてるだけで証拠を残したがるもんでしょ。遺伝子のカケラの細胞がおっこちてくのはなんで?指紋ってなんのため?そんなの、多様性と自分の照明のためでしょ。
 だから自分は残すよ。私の最高傑作を。
 これを見てるのが誰かなんて関係ない。悪だろうと正義だろうと黒幕だろうとベイビーフェイスだろうと。
 ただ、私のやってことをすごいって褒めて欲しいだけ。

 宝の山へようこそ、アラジン。君の願いを叶えよう。

ああ、けど願いを叶える前に一つだけ。ちょーっと天才たる私と天才だったお姉さんと人を食ったようなお爺ちゃんとで考えたパズルなんだけどさ、正解すればするほど情報が出てくるからさ、ぜひチャレンジしてみて。ちょーっとオーバーテクノロジーしてるけど許してね!!なんてったって私と私の家族は天才だから!!



第三章 星穿つ夢追い人


机上の空論という言葉はあくまで『空想』であるから喜ばれる。

「だからこそ映画でゾンビモノが流行ってエイリアンが日常に紛れ込んでんだよ」

 戦闘準備前の倉庫に二人はいた。忙しなくスコープを確認しつつ、備品にチェックを入れていたヘイヴィアはどうやらもう全てがどうでも良くなって来たようだ。そもそもやる気が連戦で潰えていた。

「何が言いたいワケ」
「じゃあはっきり言ってやろう学生に貴族様からわかりやすくな。誰もワープだのトンデモ技術を現実で見て興奮できるワケじゃねえんだ。ましてや個人がオブジェクトを保有するとかどんな冗談だ?」
「ところがどっこい、これがげんじつ!あっとうてきげんじつ!なのです!!」

 急に響いた声に振り返る。そこにいたのは『情報同盟』の軍服に身を包んだ少女だった。派手な紫色の髪に紫色の虹彩という変わった見た目の少女はビシッと敬礼もどきをしながら言った。

ウリエル=ナウマン『上等兵』でっす!でんれいをつたえにきました」
「どうやって来たんだ??」
「ええー?こんかいの『合同演習』の『情報』、いちばんもってる『資本企業』はちょっと例の『アナザー001』とかいうワープオブジェクトでていっぱいでしょ?んで、ちょーっとおいめがあるウチがじょうほうをいちばんとりまとめてて、きょうゆうするためにわざわざわたしがやってきーたーの」

 ニコニコ少女はテキパキと情報を取りまとめていく。手にしていたタブレット端末から二人へと資料を転送し、自分は紙の資料を掲げる。

「おさらい!『バルカノン』はステンドグラスがさーらーにこなごなになってダイヤモンドといっしょにまいそうされたばしょ。つまり。『13つの国境、12つの国家、6つの民族、4つの言語、7つの宗教』といわれる、『他民族社会』ここまでおーけ?」

 ジャガイモたちが頷いたのを確認して少女先生は続ける。

「こんかいはんめいしたのは、そこのステンドグラスの中にほんしゃをかまえていたとーあーる『資本企業』のみんかんきぎょうがバカみたいなオブジェクトをつくってたってはんめいしたからぜんいんでぶっつぶそうぜってはなしです」

忙しなく体全体で表現をしていた紫少女に若干呆れつつ話を聞き流していた二人は、唐突にゾッと背筋に冷たいものを当てられたような感覚を与えれた。誰から?そんなの決まっている。目の前の、少女から。

「……こんかい、あなたたち『ドラゴンキラー』もさまざままきこまれたときいています。けれども。それは『どの陣営』もおなじだとおもってください。ぜんいんがあいつにころがされた。それはワタシとしてたえがたい『侮辱』なんですよね。ふふ、だってねえ?」

 ドロリとした感情を少女が滲ませたのは一瞬だった。

「と、いーうーわーけーで!こんかいはよろしくです!!ヘイヴィアさん、クウェンサーさん?」

 ではまた戦場でー。と気の抜けた声を出した紫少女を目で追い、倉庫から出て、完全に見えなくなってから二人は顔を見合わせた。

「ナウマンって確かウチの『イエーガーシューター』のエリートの苗字じゃなかったか?」
「情報だけは正しそうだし、多分気にしたら負けだよ。十中八九ヤバい子だし。というか『情報同盟』ってなんでおほほといいイロモノが多いいの?」

紫の少女は、ため息をついた。引きこもりの知り合いを参考にして被った猫の皮は、じわじわとダメージを自分に与えていた。辛い。けど自分のパーソナリティーとかけ離れてるため、一番丁度よかったから仕方がない。
 わざわざ変装してまで来た理由を果たすため、歩みを進める。
 想定通り、その人物は猫を愛でていた。暖かな日差しの下、急拵えのベンチに座り野良猫だろう黒猫を膝に乗せている。

「『護衛』はどうしたの。それでもエリート?」

 声をかけると、ピクリと視線を上げた。伸ばしっぱなしの箒頭をこちらに向けて、そしてにいっと口角を上げる。

「あら、あらあら。どうしたの?」
「おばさんにあいさつしに。あと、今は『アリエル=オーレイスフィア』ってなのってるから……十年ぶり?」
「おぼえてないけど久しぶり。あんたがウチのぐまいにふりまわされてぶり。『情報同盟』はどう?」
「ぼちぼち。……ねえ、おばさん。一つけいこくしにきたの」

 『正統王国』所属の『イエーガーシューター』のエリート、アンブリエル=ナウマンは、隣に座った姪をじぃっと見ていた。その視線を介さず、少女は単刀直入に言った。

「こんかいの『戦争』でない方がいい。たぶん、おばさんはしぬよ」
「それが?」

 淡々と、エリートの女性は言う。するり紫の少女の頬を撫でる。少女が抵抗しないのを確認して髪へとさらに手を伸ばした。

「あんたがいうならしぬのかもね。けど、しぬことはこわくないでしょう?まがりなりにも『正統王国』のエリートなんだよ、わたしは」

 パチクリと。紫の少女は何度か瞬きをした。そして諦めたように背もたれに体重をかける。

「そうだよね。しってたよおばさんはそういう人だって」
 グッと体を一気にバネのようにしならせ、立ち上がる。今まで微睡んでいた黒猫が、警戒するように唸り声をあげる。

「じゃあね。そこそこきらいでそこそこすきだったよ、おばさん」
「さよならエアリアル。にせものじゃなくて、ほんとうのあんたをなでたかったよ」
「あれ、おぼえてたんだ、ワタシの目のいろ」

 その言葉に、ウィッグ、カラーコンタクト、特殊メイクと偽装で固めた姿の少女は、初めて心の底から笑った。



「いまどっかでしんみりムードのりょうしつなホームムービがあったようなきがするわ!」
「きぶるなカリモーチョ、ほこりがひどい」

 急に立ち上がって体をくねらせ始めた同僚に冷めた目をウィリアムは向けた。急遽用意されたブレイクルームはそこそこ狭い。カリブの動きに合わせて机に置いたコーヒーが音を立てるのを嫌がり、ウィリアムはマグカップを手に取った。
 今回の事件に最も近かったのは『資本企業』である。それ故に徹底的に翻弄されていた。もしもカリブ=カリモーチョが違和感を覚えなれば今回の大規模作戦に参加していたのは『イスラデピノス』のみになっていただろう。最低限の二機、『イスラデピノス』と『エリーゼ』が参加できたのは彼の功績だ。
それを理解しているからこそ、ありがたいとは思いつつ、ウィリアムは目の前でくねる軟体生物に対してどうしようもなく興味を削がれていた。

「ろんてんをまとめよう。こんかいのじけんのくろまくはなにをやりたいのか。それこそがいちばんじゅうようなことだ」
「5WIH?まあそれはだいじね。けどたぶんそれはかんがえるだけむだだとおもうわよ」
「ふむ。りゆうは?」
「あいつらアリスよりぶっとんでるから」
「やくさいかなにかか?」
「やくさいそのものなのよねえ。なまみのにんげんがちかづいたらひきにくになっちゃうレベルのもうじゅうというか」

 ピンポンと。カリブの手元の端末にメッセージが届いた。片手で会話を中断する合図をウィリアムに送りながら内容を確認する。

「だれからだ?」
「『情報同盟』のゆうじんのようせいちゃんから。ああん、やっぱりヤバいじゃないのこいつ……」

 ひらひらと手を振りながらカリブは言った。

「『アリス』の『技術』、がっちり『主砲』まわりにくみこまれてるっぽいのよね。ほんっとさいあく。よりにもよって『アリス』はじぶんの『設計図関係』ぜんぶぶちこわしてからもじどおりきえたからてがかりなし!あのおてんばはどっかきえたし!!さーいーあーく!!」
「おきてしまったことはしかたいだろう。だいいちにおちつけ」

 ばさりと。机の上に紙束が投げられる。

「えっと、それは?ウィリアム?」
「みはっぴょうのろんぶん。いや、たいのやつらにまかせるかまよったんだが、カリモーチョの方がじょうずにあつかえるだろう」
「いや、そこじゃないわよ。わたしは今、なんで、わたしに、これをまかせようとしているのかをきいてるの」
「いや、そろそろまとまったかねがほしくてな、つぎのちょうさに出るための元手をつくりたいんだ。それをたのんでいいか」
「ふーん、まあそういうことにしといてあげるわ。せかいいちのおねさんにまかせなさい、かんぺきにもうけてあげるわ」

 胸を張ったカリブを確認して、ウィリアムはコーヒーを口に含んだ。

「……ところでこのくろいえきたいをよういしたのはカリブか?」
「ええ、おいしいでしょダイズコーヒー」
「ふつうのコーヒーをのませてくれ、せつじつに」



 さて。しんみりした雰囲気が各陣営で漂う中、真剣勝負が行われていた。
 そう、『信心組織』の大人気ない大人どもである。

 ジャラジャラと牌ををかき混ぜる音が続く。血走った目で互いの動向を確認するエリートたちは、正に獣と表現するに相応しい形相だった。

「あっは、リーチです」
「またかよエディス!?」
「ちょ、これいじょうおかしもってかれたらいもうとになんていいわけしたら!?」
「ふーむおもしろくなってきたの。それワシもリーチ」
「ざっけんなジジイ、なぐりあいになるじゃねえか!!」

 ニコニコ笑顔でリーチをかけた女性、『パラダイス』のエリートのエディス=ブラッドアンドサンドはサンドウィッチを摘む。作業服のようなエリートスーツを着こなす彼女と妙にサンドウィッチが似合っていた。
天才と呼ばれ続けているティツィアーノはその脳を最大出力で回していく。ベタオリすることを決め、安牌を切る。チーズを口に突っ込んだところで、ふと隣の男を見る。
マキシミリアン=ヴァリアー。『セフィラム』のエリートであり、後輩である男は落ち着きなく周囲を見渡している。今日も断么と平和でしか上がってない典型的な逃げ勝ちチキン野郎は、どうやら緊張しているようでさっきから水ばかりを飲んでいる。

「おい、そういえばエンヴィとオレがおくったれいのアレどうした?」

 その質問でゴフっと咽せた。胸を叩いてこちらを恨みがましく見ているマキシミリアンを見て最長にてこの麻雀の主催者のソル=クバーノがゲラゲラ笑う。
 マキシミリアンにハンカチを渡しながら、エディスは尋ねた。

「ティツィさん、なにをプレゼントしたんです?」
「ダッ○ワイフ」
「……まあ、しゅみは人それぞれですよね」

 そっと、ハンカチを雀卓に置いてエディスは手を引いた。それを見て焦ったようにマキシミリアンは捲し立てる。

「ちがいますちがいます!?ボクはホントにこまってるんですよあれやけにできがいいし、どこにおいてもめだつし、あきらめていもうとのふくかりてきせておいてるんですよ!?」
「よそうのななめ下をいくかつようほうなんだが?まて、オマエんとこのいもうとって『歳の離れた義妹』だったよな?なあ、ホントにだいじょうぶか?たのむからはんざいとタブーはやめろよ?」

異端審問一歩手前の変態予備軍に対して真面目にコールガールでも紹介するか悩んでいる中、紅一点のエディスが明るい声を上げた。

「あ、ツモです!リーチドラドラのみ、ですね。裏ドラはないかー」
「ま、まあまだいたくないか」

 ジャラジャラと再び牌をかき混ぜる音が部屋を満たしていく。

「こんかいのてきってつよいんですよね」
「そうじゃな。というか、しょうじきワシらあんまりかんけいないんよなー。あの『暴走変態宗教狂い』くらいしかかかわってないからの」
「バルカノンあたりはオレらのかんりすべきとこだろ」
「じゃけどここにいるエリートに『バルカノン専属』いないしの。ミモザちゃんだったっけか?あの子はいい子よなー」
「ええ、うちのいもうとにもみならってもらいたいくらいいい子です」
「ねえ、マキシミリアン?もうちょっとわたしあなたのことをしんじていたいからいもうとってもう言わないでくれる?」
「あきらめろエディス。こいつはそういうやつだ」

 どういうやつですかー!?と泣き言をいうラノベシュジンコウを無視してゲームを続ける。

「お、『役満』。『天和』わるいの」
「ざっけんなおもてでろジジイ!!」



『ふふ、ワタシはむのうでーす、『人工無能』なbotでbutなふりょうひんでーす『パルス220』じゃなくて『バルス220』にかいめいするべきなんでーす……』
『おいおいヒキコモリじょうちゃん、おちつけよ。アイドルのじょうちゃんがドン引きしてんだろ』
「い、いえもんだいはありませんわ。……しょうじきこわいですけど」

 会議は混迷を極めていた。『パルス220』のエリート、ベリエール=アンダルシアは回線越しにまで伝わる湿度をもって落ち込んでいた。ぶつぶつと言葉を重ねていく。

『ふふふ、わかってました、わかってまーしーた。『アナザー001』のとくしゅなA Iにかんするじょうほうはかくじつにエサだってのはわかってまーしーた。けどリスクヘッジてきにのらないとかあたまおかしかったんですもん、ふふ、プロメテウスインダストリーめぇ……ゆるさない、ぜったいにゆーるーさーなーい』
『けっきょくヒキコモリじょうちゃんはなにやられたんだ?』
『なあに、ちょっとしさくひんのエリートのっとりシステムをうばわれた上に『人間のA I化』とかいうちょうドきゅうのネタとむかーしウチから『亡命』したけんきゅうしゃの『研究データ』をさいしゅうかくできそうだったのに、めのまえでぜーんぶとかされた上にだいじなほんめいのエリートがあとかたもなくきえただーけーでーえーす』
「だいさんじじゃあないですの」
『ふへへ、『推し』が正しいことをいってやがる……』

 落ち込んだ笑い声が続く。自分のファンの現状に微妙に引き気味になりつつ、ラッシュのエリートの少女は端末に届いたデータを確認していく。

「この、プロメテウスインダストリーとやらは『資本企業』しょぞくなワケでしょう。あちらはどのていどこのことについてしってるのかしら?」
『そっちについちゃシスター、『バジレウス004』のエリートからまとめられてる。ほぼなにもつかんじゃねえよ。しっかしさすが『資本企業』。ぜんぶカネでごまかしてたらしいわ』

 『オーソリティ001』のエリートの言う通りだった。土地については『信心組織』を誤魔化し、『資本企業』内に潜伏し、『情報同盟』を情報戦で翻弄したその会社の名前は『プロメテウスインダストリー』という名前だった。ではその一企業が何をやったのか。天敵同士である陣営が一時的にでも同じ場所に集められた理由とは何か。

「今回のメインターゲット、『プロメテウスインダストリー』はオブジェクトを所持している」

 麗しの上官は、手に持った資料を見てため息をついた。

「その、全勢力の情報を手にとるように集めて、転がし続けたことから分かるように、その影響力は絶大。そしてその経緯からどこのお上もカンカン。今即興とはいえ、17機ものオブジェクトの合同の仕事になった。もちろん我々も参加する。が、お前たちには『プロメテウスインダストリー』への強襲を命じる」
「はい先生」
「なあに学生くん」
「具体的にはウチはどんな被害被ったんですか?資料に書かれてないんですけど」
「……いい?知らなくていいことってあるの。別に誰もが清純派アイドルの夜の生活を知りたいワケじゃないでしょ?」
「つまり『貴族』がらみのスキャンダ「クウェンサー?」……はい黙りますサー!!」

 禁忌中の禁忌に手を出したらしいトンデモ企業に戦慄していると、相棒がため息混じりに言った。

「で、なんで自分たちは今、輸送されてるんですかねー?」

 現在、ジャガイモたちはコンテナにギッチリ突っ込まれて海上輸送されていた。先程までいたはずの地上が恋しくなる。荷物扱いで凍える野郎どもを睨め付けて、コートを着込み直したフローレイティアは資料に目を落とす。

「いい質問ねヘイヴィア。本社、というか拠点にしてたらしき場所がオブジェクトが確認された場所からは離れているからよ。具体的には離れ島。ええと、登録上の名前は『ラプタ・イスラ・ヌブラル島』ね」
「なんだその科学者と恐竜の楽園になりそうな島」
「とにかく、今回はオブジェクトを徹底的に潰す側と元凶を叩く側に分かれるの」
「先生、そろそろ休暇が必要だと思うんですけど」
「そうねクウェンサー。私も欲しいわ。だからさっさと全世界に喧嘩売りやがった野郎を叩きのめして美味しいご飯を食べましょう。全く、どんなこと考えたらこんな真似できるのかしらね、この首謀者」

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