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『モンタージュ柄の平和思想』第一章

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第一章 聖戦は最大の解釈違いによって引き起こされる >>バルカノン連合共和国

ちょっと信心組織のお偉いさん拉致りたいから不祥事の証拠集めてこい。速達でな。

「まただ、まただよこの無茶振り。お偉いさんは俺らのことをなんでもデリバリーと勘違いしてないか?そろそろ叛逆すべきだと思うねこの扱いには」
 ブツブツ呟きながら、ヘイヴィア=ウィンチェル上等兵は絶賛進軍を行なっていた。色濃い疲労をべったりと顔に塗りたくった第三七機動整備大隊のメンツは、各々に呪詛を吐き出している。深夜に起こされたと思えば長距離移動させられて体感的には朝っぱらから太陽が降り注ぐ中を歩かされる。しかも徒歩で。
 欠伸を噛み殺しながら、クウェンサー=バーボタージュ戦地派遣留学生は作戦について再確認する。
「どっかのトチ狂ったエリート様が空白地帯で核を投下したんだっけ?できればもうちょっと時間をズラして欲しかったな」
「まったくの同意だ。というかこのご時世に核ってなんだよ。旧時代の戦争の遺物じゃねえか」
「なんか核汚染に特化した悪名高いオブジェクトらしいね。できればみんな潰したかったんだけど、乗ってるエリートが十字教のお偉いさんすぎて中々手出しが出来なかったっていう」
「このご時世にどこの陣営も政教分離もままならねーってのは笑える話だがよ。なんて名前だったかそのオブジェクト」
「『オールドジェネレーション』だったはず。朝イチで詰めた記憶だから間違えてるかもだけど」
「……畜生、本当だったら今は映画でも観てるはずだったんだよ。なんでクソ野郎とっ捕まえにえっちらほっちら出向かなきゃいけねえんだ」
「なに観る気だったの?」
「ハリウッドの新作映画。あーもーチケット高かったのによー」
 言いながらジャガイモどもは進軍を進める。目的地は火山地帯を抜け、進んで行く中、突然無線が入る。
『おかしい』
「どうしたお嬢様?」
 お嬢様は困惑を隠しきれない声で告げる。
『ばくはつは「無人地帯」でひがいはないっていってたはず。けど、けんちくぶつがみえる。まちがある』

 その瞬間だった。

 無線越しに爆発音が届く。

 ベイビーマグナムが交戦に入った。そんな簡単な事実を飲み込むのにクウェンサーはしばらく時間を要した。
 ここは信心組織の領土内。先行していた『ベイビーマグナム』に何があってもおかしくはない。
「けど、情報受けて五時間もしない間にここまで来たんだぞ!?どこかで情報が漏れてる……?」
「考えんのは後だ!相手は汚染物質べったりのゲテモノだぞ!?さっさと逃げねえとお嬢様はともかく俺らはオダブツしちまう!」
「ああもう情報が錯綜してんな!?」
『各員、一旦そこから撤退を』
 新たに入った無線は指示を告げた。慎重に、状況を見極めるようにフローレイティアは告げる。
『『ベイビーマグナム』と『オールドジェネレーション』が先ほど交戦状態に入った。こちらの情報では『オールドジェネレーション』は別地点で確認されていたはずよ。今までの作戦は放棄』
「ちょ、どういうことですか」
『こっちだってバタバタしてるの。情報部が拾ってきた観測衛星の情報が間違ってたとか信じられるか?今正しい地形の情報を送信したから各自確認を』
 急いで端末を確認したへイヴィアはFから始まるワードを連発した。お茶の間に絶対流せない存在になった相棒の隣でクウェンサーも確認する。
「『バルカノン連合共和国』の飛び地……!?火薬庫もいいとこじゃないか!?」
 『バルカノン連合共和国』は、世界がステンドグラスになる前から既にステンドグラスだった。俗に、「13つの国境、12つの国家、6つの民族、4つの言語、7つの宗教」と表現される、他民族社会。現在では各陣営に各々分裂された、数歩歩けば国境に辿り着くと言われる導火線と隣り合わせの『安全国』。そのうちの一つが今自分たちが足を踏み入れている場所だと、そうデータは告げている。
「……というかモロ補給基地らしきものがあるんですけど!?」
『分かってる、こっちだって申し訳ないと思ってるのよ』
「今回ばかりは擁護できねえぞ爆乳!!」
『分かってるってば!!今エクスカリヴォールに救助要請してるの!お嬢様には逃げの一手に徹してもらってる、だから今のうちに大義名分を取ってきて、このままだとこっちが会議で叩かれて潰される』
「それはつまり補充基地に突っ込めって言ってますか??」
『本当に申し訳ないけど』
 ジャガイモたちは互いに顔を見合わせる。追い込まれている。それだけは理解していた。

いくつが砲弾がやられた。その事実を脳内で計算しながら急旋回を繰り返すエリートの少女は焦りを隠せなかった。戦争の代名詞であるオブジェクトのエリートとして、少女は理解していた。
(……このままだとかてない)
 決定打が足りない。大小100門以上ある砲を用いる余裕がない。相手は『ベイビーマグナム』より、単純なスペックだと上。それを認める。しかしながらエリートとしての腕は自分に軍配が上がるとも理解していた。
(しこうがたんじゅん。このエリートは、うちたがりの気がする。……イノシシたいじしてるみたい)
 時間的な余裕はない。今自分がやるべきことを再確認して、兵装を切り替えるスイッチを握る。視界の端で自分が巻き起こした砂埃で動きを止める『オールドジェネレーション』を確認しながら後退する。
(まちからはなれないと。せめてふみつぶさない所まで)
 しかしながら、『オールドジェネレーション』はある一定の距離まで遠ざかるとそこから狙撃に切り替えていた。コイルガンの大型砲弾で応戦しつつ、研ぎ澄まされたエリートの情報処理能力で持って状況を整理する。何か裏がある。何か目的がある。それは分かる。じゃあ、『オールドジェネレーション』は何をしようとしている?
『……こちら、『ギャラルホルン』』
 思考は突如入った通信で中断された。落ち着いた男性の声は告げる。
『これは聖戦である。十字教の名の下に、くだされるべき聖書の一節である。ゆえにつげる。異教徒よ、なぜほろびを受け入れぬ?』
「……イカれてるの?あなたはせんそうをものがたりかなにかとかんちがいしてるの?」
『すべては聖書にかかれたじじつである』
「おーけー。イカれてるのね」
 ぐるんと機体を回して挨拶がわりに一発ぶち込む。それを軽々と回避されるて舌打ちしつつ、操縦桿を握る手に力を入れる。
『それにしても。なにをそこまでおこっているんだ』
「は?」
 至極当然のことを告げるように。自身が正義だというように。『オールドジェネレーション』のエリートは言った。
『わたしは異教徒のサルどもを神の光でそうじしただけだろう?なぜ正統王国のエリートがふくしゅうにきた?ペットでもいたのか?』

 問題。スパイ大作戦と核汚染対策のために一晩で調整した装備でガチな基地を襲うとどうなるでしょうか。尚、情報は間違っていたものを掴まされていたとする。

「死ぬ死ぬ死ぬ、これ流石に死んじゃうって!」
「ごちゃごちゃ言ってないで頭下げてろ学生!!舌噛んで死んだら自殺判定で労災おりねーぞ!!」
 発見、即攻撃だった。悪速斬と言わんばかりの対応にジャガイモたちはアワアワと逃げ惑う。しかしながら現代的なクリーンな戦争に慣れ切っている補給基地の面々よりは無策とはいえ泥臭い戦争で洗われ続けているジャガイモたちの方が強かった。
「痛!撃たれた!今絶対撃たれたってば!!」
「安心しろ爆弾の余波で跳んだイシコロが頭に当たっただけだ。エイセイヘーイ!!ちょっと見てやって!!」
「麻酔ないんだがバーナーでいいか?」
「髪ごと燃やす気かよ!?というかゆるふわパーマのナースちゃんは?厳ついデコヒロハゲマッチョマンはお待ちじゃないんだけど?」
「OK。衛生兵って命を弄べる人間の前で触れてはならない話に触れたな?モテないようにしっかり髪の毛焼いてやんよ」
「つーかオマエ故郷に幼馴染のカノジョいたろ。頭打って忘れたのか?」
「3アウト。ギルティー。毛根の死地へ招待してやる」
 大学生のサークルの打ち上げ状態だった。あっちこっちで助け合いというか、口喧嘩が始まっている。完徹させられた上に意味の分からない状態に突っ込まれた部隊の面々は、一周まわってテンションが振り切れていた。いわゆる深夜テンションフィーバータイムである。
 ドタバタしながら建物へと入って怪我人の輸送先を確保する。ドーパミンがドバドバ出始めた元祖学生は、補給基地内に入った瞬間に歓喜の声をあげた。
「涼しい!火山地帯だかなんだか知らないけどずっとあっつい中歩いてたから涼しさが身に染みる!!」
「馬鹿大声出すな!人が来るだろ!!」
「こんなバカスカ銃を撃ってる中で関係あるか?」
 やってきた警備員へ容赦無く銃口を向けていく中、不意に地面が揺れる。
「なんだなんだ!?オブジェクトでも来たのか!?」
「落ち着けよへイヴィア。ここは火山地帯だって言ってたろ。ただの地震だって」
「シマグニじゃねぇんだ。地震なんて滅多に体験しねーのに分かるかよ」
 矯正脱毛体験をしたらしい、頭に包帯を巻いた男が半泣き半笑いで叫んだ。
「畜生弾切れだ!おい誰か予備譲ってくれ!!」
「まあ待て罪人。銃がないならナイフを使えばいいだろ」
「おい、ギャグで言ってんだよな。ギャグだよな?おいコンバットナイフ渡されても困るんだが??」
 背後の男の嫉妬によるイジメへの学級会請求は素気無く拒否される。ムキムキマッチョマンがへイヴィアに声をかけた。
「ここからどうするんだ?敵兵の練度が低いって言ってもこのままだとジリ貧だぞ」
「知るか!とりあえずパパラッチしなきゃいけねえんだ。ハリウッド女優の濡れ場でも収める気で死ぬ気で情報探せ!!」
「ならスマートに行こう。死体の端末漁れば多少は情報手に入るよな。多少のハッキングは俺がやるから誰か取ってきてくれ」
「オーケーだクウェンサー。じゃあ綺麗な死体が必要だな。ヘイナースちゃん!!出番だ」
 呼ばれたゆるふわメガネの衛生兵のお姉さんは、あらあらうふふと笑いながらへイヴィアの前へと躍り出る。声をかける暇もなくお姉さんは慣れた手際で首に手を伸ばし一瞬で窒息させる。
正にプロの技だった。
「一丁あがり☆」
 取ったどー!と敵兵をデリバリーしてくれた白衣の天使さんには逆らわないようにしようと心に決めつつ、まだ温かい死体から端末を抜き取る。指紋認証をパスして、中の情報を漁っていく。
「……待て待てこれジョークだよな?」
「何がジョークだって?」
「この基地馬鹿でかい核爆弾持ってやがる!?どこに使う気だったんだよ!?」
「は?イカれてんのかよ??」
 これだからもー!とへイヴィアが空を仰ぐ。ナイフ無双中の味方の叫び声を聞きつつ、クウェンサーは思考をまとめる。
「これあのオブジェクトにぶつけたらいけないか?」
 細かい作戦を口にしようとした。が、それは言葉になる前に霧散した。敵兵の端末に、ピコンと浮かび上がったメッセージ。それは。

「……『再度警告する。これは最終通達である。『ギャラルホルン』の暴挙は許されざる行為である。故に、我々最早『ギャラルホルン』を身内とは思わない。これは正式な通達である。現時刻をもって、『ギャラルホルン』討伐聖戦を宣言する』だって??」

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『ギャラルホルン』についてのレポート

 この度は弊社をご利用いただき誠にありがとうございます。

 まず、『ギャラルホルン』についてのカタログスペックを解説させていただきます。
 『ギャラルホルン』は信心組織が保持する技術実験機であり、第二世代オブジェクトを建造する為の技術を試験的に投入した機体です。第二世代機相当の技術を投入したため、分類上は第一世代オブジェクトでありながら第二世代オブジェクトに引けを取らない程の高性能を誇ります。いわば、意図的にオールラウンダーに造られた研ぎ澄まされた技術の結晶です。
 一方、選択された技術は旧世代的といえます。核燃料。核兵器のオブジェクト化と言っても過言ではないでしょう。
第一世代オブジェクトらしく無数の対地上戦力用の火器を備えていますが、その最大の特徴は機体に直接接続された巨大な多薬室砲です。時代遅れな機構でありながら凄まじい射程距離と破壊力を保持しており、数千km先から敵オブジェクトに致命的な損害を与える事が出来るます。しかも水爆を搭載していますので、戦闘後はあたり一帯に深刻な汚染問題を引き起こす、時代から逆行したダーディーなオブジェクトと言えるでしょう。
 さて、いよいよお待ちかねの『ギャラルホルン』の問題行動について取りまとめます。
 他の組織の戦闘においての問題行動は以下の通りです。
  • 白旗をあげられないように事前に敵基地を襲撃。殲滅。
  • 偶然射線上に入ったという理由で安全国を狙撃
  • 救出中だった難民の消失
 その他につきましては添付資料をご確認ください
 次に信心組織に与えた被害は以下の通りです。
  • 乱戦中、味方のオブジェクトを大破させること13回
  • エリートの問題行動を報告しようとした内部監査員の消息不明8回
  • バルカノン連合共和国の安全国の襲撃3回
 その他につきましては添付資料をご確認ください。
 一方で、エリートであるユリウス・ピニャコラーダは十字教における司祭の資格を持っています。政治的な面でかなりの影響力を持っていることに留意してください
 残りの細かな問題点につきましては添付資料をご確認ください。

 この度は弊社をご利用いただき誠にありがとうございます。またのご利用、お待ちしております。

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 フローレイティア少佐は呻いていた。
 愛しの戦場産ジャガイモから送られていた情報は、悪いニュースととっても悪いニュースを告げている。不幸中の幸いは敵地に潜入した言い訳は通ることか。ひとまず簡単な問題を解決したら次は馬鹿みたいに大きな問題が降りかかってきている。
「信仰主義の内ゲバに巻き込まれるってどういうこと?いやそもそも全部情報部門が間違った情報をつかまされたのが原因で、それ以前に雑な指示を出した上の判断ミス……ああもう!!」
 最悪なことに事件が起きている現場では部下たちが生死を反復横跳びしている。無駄なことをしている暇がない。苛立ちのままに折ってしまったペンの代替品を取ってくるよう指示を飛ばして、お嬢様からの情報と再度仕入れ直した情報を整理する。
 バルカノン連合共和国は火薬庫であり地雷原だ。下手に行動すれば他の組織に付け入る隙を耐える結果に終わる。そもそもがブラックボックスすぎる。
(援軍に『エクスカリボール』は呼び出せる、だが問題はどれだけ信心組織からオブジェクトがやってくるか分からないこと。現状お姫様でなんとか持ってる、けどここから一気に均衡が崩れる)
 そして新たに入った確定情報に頭を悩ませた。3機。オブジェクトが向かってきている。
 同じ敵だからといってこちらの味方ではない。乱戦が始まる。

「第一世代の『エッジストーン』、第二世代の『ソードライン』、自称2.5世代の『ミラーハウス』……、第一世代の『オーソドックス』は避難誘導に徹するから戦闘に参加しないらしいけど、3機もゲテモノオブジェクトが集まるってマジか??」
『残念ながらマジよへイヴィア。そこも十分戦闘区域内だから注意して』
「あのーフローレイティアさん?この『ソードライン』、突っ込んできて一撃必殺する古参のヤバい機体の記憶があるんですけど??」
『さすが学生。よく研究してるわね。そうよ、今回は老兵が二人もお出ましときた。信心主義も必死よね』
「こっちの命が瀕死なんですが??」
 明日の命どころか数分後の命さえ危なくなってきた馬鹿二人は必死に送られてきたデータを確認していく。
 ちなみに現在がどのような状態かというと。

「見ろよ、信心組織でもエロ本あるんだな」
「ちょっとこっち持ってくんなよ男ども」
「ヤッベ食堂見つけた」
「やめとけ、冷蔵庫の中バターもどきの高カロリーバーしか入ってなかったぞ。しかも味がしねえ」
「なあ、髪って火傷の後でも生えてくると思うか?」
「安心しろ。俺が最後まで責任を持って荒地にしてやるよ」
「ちょっとナースちゃん!!それ麻酔じゃないって気持ちよくなるお薬だって!?」

 絶賛家探し中だった。
 飲み会から宅飲みに移行したかのような周囲のはしゃぎっぷりに若干苛立ちつつ、優等生二人はオブジェクトのお勉強に励む。
「ええと、『エッジストーン』は時代遅れな上にほぼ安全運転の自動車並みの速度しか出せない時代遅れのオブジェクトなんだよな?」
「カタログスペックだけ見るとね。そいつがヤバいのは機体の方じゃない。エリートの方。どう考えても不利なのに絶対に生き残ってる狂気の現役だよ」
「なんでこんなんで生き延びられんだ??」
「そんでもって、鈍足の盾を牽引してるのが『ミラーハウス』。こいつに関してはほとんど情報がないな。実践経験が少ないらしいんだけど」
「どうせロクでもねえギミック仕込んでんだろうぜ、というか初めてオブジェクトがオブジェクトに牽引されてるとこ見たわ……」
「基本的に『他のオブジェクトと共に』現れるからね。情報がない上に数的有利を取るから嫌われてるらしいよ」
「そして最後に第二世代の『ソードライン』。マッハ1.5とかいう馬鹿みたいなスピードで突っ込んできて一瞬で敵を蹴散らす、これまた古参のエリートが乗ってるオブジェクトだね」
「ここは同窓会の会場じゃあねーんだぞ!?」
「世界一物騒な同窓会の招待状をもらったのとんだとばっちりだよね」
 結局戦闘が始まるまでは正直言って何が起こるか分からない。そう結論が出てしまった馬鹿二人にフローレイティアさんから無慈悲な通達が届く。
『基地から撤退して。根こそぎ物は奪った?資料はなんでもいいから持って帰るのよ。あと今から端末に通達が行ったやつは居残りでお姫様の補助を引き続きお願い』
 優等生二人の元には、悲しいかな、きっちり居残り掃除のお願いが先生から届いていた。はしゃぐだけはしゃいだクラスメイトがそそくさ帰宅するのを目にして、少年の主張を始める。
「はいはい!なんで俺たちは居残りなんですか??」
『それはね、今まで実績があるからよ問題児諸君』
 不良の悲しい過去を暴かれて不貞腐れる面々は、より良い未来のために仕事を開始する。別に帰宅部が羨ましいとか思ってはいけない。彼らも仕事をしているだけなのだから。

「ところで信心組織って連携取れるのか?」
「一応、三機集まったわけだし、取れるんじゃない?まさかバラバラに戦うとか、そんなまさか」

 戦場で、一秒が生死を分けるというのはもはや常識で言うまでもないことだ。それはお姫様だって十分に承知していた。だが。

『おれが「せいぎのてんびん」としてさばいてやる!』
『さばき?なにをたわごとをいうのかねこの異教徒は。我々は正しいことをただしくおこなっているだけだ』
『はいはいどーどーおちついて、ぼっちゃん。そんなにはしゃがれると乗りものよいしちゃうよ』
『ドンソクサマはいうことがちがうねえ』
『あ?やんのかていじきたくヤロウ?』
『じょうとうですよセンパイ、今日こそ引たいさせてやる……!』

 『ベイビーマグナム』のエリートの少女は、初めて戦場であっけに取られるという現象を味わっていた。
 やってきた、信心組織のオブジェクトが、目の前で口喧嘩を始めている。ちまちまと副砲は撃ち合っているとはいえ主砲に手を伸ばしもせず、口汚く罵り合うことに専念している。
 確か記憶だと彼らの敵は自分、そして最大の討伐対象は『オールドジェネレーション』のはず。にもかかわらずこちらの存在を完全に無視した子供の喧嘩は続く。

『そもそもおれはアンタのことがきらいなんだよ、なんだよそのチマチマチマチマ動きやがって!ぎじゅつによったえんそうが音楽の中でいちばんげれつだってんだよクソッタレ!』
『はーあ?いっつもいっつもシッポまいて逃げかえるのがとくいなコウハイはいうことがちがうねえ?さっすがにげあしナンバーワン!』
『そもそもなぜオマエのようなガキが名誉あるオブジェクトのエリートなんだ、むしずがはしる』
『それは、それはおれがえらばれたからだ!だからおれは正しいんだ!』
『キャンキャンキャンキャンうるせえなちびっ子。ここはせんじょうだぞクールダウンしろよ』
『ぼっちゃんをさとせる立場なのかなあ?そうなのかなあ?』
『やっぱりいますぐぶちかましてでんせつに終止符をうちこんでやる』

 学級崩壊が終わったのは一発の砲撃によってだった。流石に戦場に生きている奴らというか。先程までの喧嘩はどこへやら見事に砲撃を避けて迎撃体制に入る。
 教室に乱入した先生、『エスカリヴォール』に向かって子供たちは心を一つにした。

『『『『うっせえな、じゃますんな!!』』』』

「なあ、信心組織ってなんで分裂してねえの?」
「それは今見事に『エスカリヴォール』が示してくれたように、外敵を迎撃するときは手を組むからじゃないかな」
「昨日の敵は今日の友、ただし明日には他人って感じがしっくりくるな……」

 白けた目で居残りメンバーは規模の違う子どもの喧嘩を見ていた。すでに徹夜で頭が死んでいる中、曲がりなりにもシリアスな、シリアスな理由で世紀末に抗うための戦争の準備をしていたにもかかわらず、諸々の大義名分を殴り捨てて気に入らない奴をぶっ叩くを体現しているオブジェクトをどういう目で見ればいいのか。悪ガキどもには分からなかった。
「そういえばへイヴィア映画見るって言ってたじゃん。丁度世界をかけた熱い戦いが見れてよかったね」
「ちげえ、俺が見たかったのはハリウッドであって、B級おバカ映画の気分じゃなかったんだよ。ジャンクフードじゃなくて最高級料理が食べたかったんだよ」
「やめろよ、食い物の話すんの。意識したら腹減ってきたじゃんか」
 死んだ魚の目をしながらクウェンサーは映像を確認していく。
「一番わかりやすく厄介なのは『ソードライン』だな。超高速で近づいてぶっ放す一撃必殺は防ぎようがない」
「なあ、なんでこの鈍足なはずの安全運転オブジェクトは『ソードライン』の突撃を避けられてるんだ??」
「怖、あのオブジェクトが通った後真っ黒じゃん」
 戦闘は続いていく。内容はどうあれオブジェクトが真正面からぶつかる泥沼の試合は続く。
「なあどうすんだクウェンサー。なんか案はあるのか?」
地形を確認して、クウェンサーは言う。
「そうだな。とりあえずあの危ない放射能撒き散らすものの解体をしよう。真面目な話、あれを使われたら俺たちどころかオブジェクト以外全員死んじゃうし」

 蟻たちが必死に働いてる中、巨人たちもヒートアップしていた。

(……あの、どんそくオブジェクト、つよい!)
『おやおじょうちゃんしょうじゅんはきっちり合わせないと意味がないぜ、こんな風にな』
 副砲を掠めたプラズマ砲にゾッとしながら戦場の間隙へ身を滑らせる。
高速で展開される戦場で、その片遅れのオブジェクトはどう考えても置いていかれるはずだった。にもかかわらず、『エッジストーン』は戦場のど真ん中で、その巨体を晒し、未だに無傷だった。
単純な話だ。全ての攻撃が予測できるなら。最小限の動きでいいなら。確かに速度は必要ない。
焦れたのか、『オールドジェネレーション』が『エッジストーン』に照準を合わせる。その瞬間、いや、照準が合わせられる前に、『エッジストーン』は動いた。地面に向かって主砲を二発ぶち込む。地面がぐらりと大きく揺れ、全員の視界が揺れる。完全にブレた『オールドジェネレーション』の照準を、『エッジストーン』は悠々と射抜く。

速度で負ける?それなら地形を活かせばいい。逃げ切れない?なら逃げる前に叩き潰す。
戦場で生き抜いてきた古参兵は、笑う。いつも通りにすればいいと。

故に『エッジストーン』。車道と歩道を分ける縁石にして、鋭い石。ただの石。だが戦場でそれは時に命を奪う。信心主義がつけた名は『ガイア』また、彼のエリートのことを、知る者はこう呼ぶ。『戦場のアトラス』と。
『エスカリヴォール』が『ミラーハウス』に仕掛けようとした瞬間、『エッジストーン』が主砲を『ミラーハウス』へと主砲を撃ち込んだ。その意味不明な、一見仲間割れのような行動に危機感を覚えたのか『エスカリヴォール』は大きく旋回した。その瞬間だった。
プラズマ砲が、曲がった。
まるでお手玉。自由自在に、懐いた犬に命令するように。『ミラーハウス』はプラズマ砲を『エスカリヴォール』へと差し向ける。ジリジリと軽く表面を炙られながら、しかしほぼ無傷の『エスカリヴォール』へ子どもの舌打ちが向く。

ここにいるのはゲテモノの極み。
第一世代?まだガキ?関係ない。戦場は平等に開かれる。

「わあ本格的に怪獣大戦争が始まったよ、味方でプラズマ砲のキャッチボールするとか頭おかしいだろこいつら」
 小人どもは必死に穴倉を漁っていた。
「お姫様!!」
『なにっ!いまいそがしいんだけど!?』
「そんなせっかちじゃデートに誘いにくいな。けど大切な話なんだ。聞いてくれるかい?」
『だまってくれる??で、なにをすればいいの??』
「物分かりのいい親友に恵まれて感謝すべきだね。……お姫様、戦場をこっちに近づけられる?」
「ば、お前何言い出すんだ馬鹿!?俺たちが巻き込まれんだろうが!!」
「もちろん死ぬ気はないよ。……睡眠なら今すぐ取りたいけどさ」
 意識したら眠くなったのか。目を擦ってクウェンサーはあくびをした。それに釣られてあくびが連鎖する。
「なんでこんな時間外労働してんだろうね」
「現地時刻だと今は出勤時刻なんだ仕方ねえ」
『で、けっきょくどうするの、ねぼすけさん?』
「単純さ。お姫様の主砲でここの爆弾ぶち抜いて、一気にカタをつけよう。というかこんなバカな量の爆発物、どこから集めたんだよあいつら!?核だけじゃないとかホント冗談じゃないんだど??」

 チリチリと。違和感を『ソードライン』と正統王国に呼ばれる機体、『クラウ・ソラス』のエリートは嗅ぎつけていた。
(もともと、きみょうな話だった。そもそもこんな第一世代がそろうようなせんじょうなんてありえない)

 例えば『エスカリヴォール』。なんであの歴戦の騎士がこんな辺境の地にいた?
 例えば『ガイア』と『アイギス』。あの腹の立つ先輩とこまっしゃぐれた子どもはなぜ招集された?

 積み重なった疑問は、自分の最も信頼する本能へと警鐘を鳴らす。ここまで生き延びた理由。生存本能へと。
 考えて。決意するまでに五秒もかからなかった。
 主砲を動かす。自分の仕事は『戦闘で最善を尽くすこと』。一番優先すべきは『生き延びること』。

 最高速度で、『クラウ・ソラス』が突貫する。タスクをこなすために。


 同時刻。『ガイア』のエリートは、叫んだ。
「あのていじきたくヤロウ!逃げやがった!!」

 戦場を流星の如く駆け抜けた『ソードライン』は、各方面に損害を与えていた。

自身が傷つくことを前提とした、特攻。

 『ベイビーマグナム』は掠っただけで横転した。『エスカリヴォール』はギリギリで直撃は免れたようだが、片足にヒビが入った。なぜか味方の『エッジストーン』も掠めて転がしていたが、たった一度の特攻で、戦場を文字通りひっくり返す。
 『ソードライン』とあだ名された機体は、その名の通り一閃し、戦場に大きな焦付きを作る。しかしながら『ソードライン』自身もその速度は諸刃の剣であることは見て取れる。大きく熱を持った巨体は、見るからに脆そうに赤く色づいている。
『テステス。えーとこちら『クラウ・ソラス』。きたいに対するそんしょうがはげしいため、一時てったいする。あとはたのみましたセンパイ!』
 語尾にハートでもつけそうな勢いで、通信を放った『ソードライン』のエリートは、その後その自慢のスピードを持って、一目散に戦場から姿を消していく。跡形もなく。

『ふざ、ふざけんなよあいつ!?』

 怒りの声を『エッジストーン』エリートがあげる中、『ミラーハウス』のエリートが、年相応としか言えない、幼い声を漏らした。

『えぇ?』

 戦場では、一秒が生死を決する。

 その隙を見逃すほど優しい大人ではなかった。否、そもそもエゲツない性格の大人しかいなかった。
 ドコンと音が響く。それは『オールドジェネレーション』が『ミラーハウス』を撃った音で。
 再び幼い間抜けな声が響いた。



『あいつぜったいあとでシメる!ぜったいだ!ぜったいだからな!!』

 一気に均衡を(主に味方によって)崩された『エッジストーン』は呪詛を吐きながら戦場を這いずり回る。足を奪われたにも関わらず、戦場を悠々と安全運転していく。
(……エリートのれんど。ここまではがゆいとはおもわなかった)
 『ベビーマグナム』の損傷は軽微。しかし、目立った戦果をあげられたとは言えない状態だった。『ミラーハウス』は『エッジストーン』と協力して、『エスカリヴォール』へダメージを与えた。『エッジストーン』はそのスペックからはありえない立ち回りを続けている。『エスカリヴォール』は機敏な判断で集中砲火を潜り抜けた。
「けど。やくそくははたせる」
 目の前に迫った基地を見て、『ベイビーマグナム』のエリートの少女は胸を撫で下ろす。

戦場のコントロール。それを完璧に果たして見せたお姫様は、間違いなく歴戦の猛者の一人である。

「さすがお姫様」
「なあ、あれあんまりにも『ミラーハウス』のエリートが気の毒じゃね?」
「子どもの頃に理不尽な体験はしといたほうがいいのさ。きっと」
「そうか。そうかあ?」
 基地から避難し、灼熱の中でジャガイモたちはバテていた。もう死神に取り憑かれてんじゃねえのかってレベルで顔色が悪い野郎どもは。口々に呪詛を吐いていた。
「なあ、これが終わったら情報部門に殴り込みに行こうぜ」
「手伝うよ相棒。今回という今回は頭にきてるんだ」

 情報部門襲撃計画が着々と現実味を帯びていく。

「けどこれでチェックメイトだ。いくら歴戦のエリートとはいえ、この状態はキツい」
「そのチェックメイトからサラッと『オールドジェネレーション』を中破させてるんだが。なんだあの化け物」
「老兵を見たら警戒しろってホントだよね……」



 逃げきれない状態で、『エスカリヴォール』からの一撃を受ける。軽く機体を回転させ、ダメージを分散させつつ、『エッジストーン』のエリートは理解した。そろそろリタイアだと。
(あとでぼっちゃんなだめなきゃな、まあ、『ギャラルホルン』もどのみちリタイアだ)
 そう考えたところで、ふと気づいた。『ギャラルホルン』から感じる、厄介な気配を。その正体を理解した瞬間、『エッジストーン』のエリートはオープン回線で叫んだ。

「やっこさん、自殺するきだ!だれでもいいから止めろ!!ここまでがぜんぶちゃばんになっちまう!!」


 その言葉を聞いて。一番状況を理解できたのは、クウェンサーだった。
「やばいやばい、あいつバカみたいな自爆機能持ってんだよ」
「は、オブジェクトはぜんぶ自爆機能ついてるだろ」
「違う違う、あいつのは自爆というか世界と心中する系というか」
 基地内で見つけた資料を思い返す。バカみたいな計画がいくつも書かれたそれを。
「火山に特攻して、ここいら一帯を死の火山灰で覆うって計画どう思う?」
「迷惑以外何者でもねえ!?」
 大慌てでジャガイモたちは頭を回す。基地の爆弾とか言ってる場合じゃない。今すぐ止めないと、バルカノン連合共和国内が死の灰で覆われる最悪の事態が起きる。その場合引き起こされる事態なんて考えたくもない。
 通信機に向かって叫ぼうとして、そして口を閉じる。計算する時間が足りない。
 そう判断した瞬間、通信機を相棒に押し付けていた。
「は?お前どういう??」
「時間稼げ!!」
「無理だろ見ろよマジで自爆する五秒前じゃねえか!?」
「なんでもいいから!!あれだ、罪の告白とかは??」
「そんなもん聞き入れられるかよ!?」
「いやあいつら割と話は聞いてくれるだろ、初めの方なんか棒立ちで口喧嘩してたし」
 任せた!と言って端末でデータを確認し始めたクウェンサー。へイヴィアは頭を掻き毟りって、深呼吸した。信じてもいない神に関する知識を必死に思い出しつつ。

「聴いてください司祭様。自分は罪を犯しました」

 へイヴィアの死んだ顔のまま、真に迫った声色で告げられる言葉を聴きながしながら、地図を再確認する。
(ぎりぎり、お嬢様だけだと足りないか。いやどの角度でもダメか)
 焦るクウェンサーの元へ、ピコンとメッセージが入る。不審に思いつつ開くと、幼い声がデバイスから響いた。

『しゃくにさわるけど。てつだってやる。おれとティッツ兄さんが、力をかす。だからなにをすればいい?』

 正統王国から『ミラーハウス』と呼ばれている機体、『アイギス』のエリートである少年は、不服だった。
(じぶんのしっぱいで、ティッツ兄さんにめいわくかけた)
 大破したといえ、できることはある。動かせる箇所を確認し、エクストラアークが起動することを確かめる。
 正統王国の狗のいうことを聞くのは正直嫌だった。だが、このままあの変態野郎にコケにされたままのほうが腹立たしい。
信頼する相方に連絡をする。
「オーケー。ティッツ兄さん、いけるよ」

 終わりを悟った異教徒のサルだろうと、死ぬ間際の言葉に耳を傾けることの大切さは知っていた。自分は『エリート』である前に、司祭なのだから。
 司祭でいられる時は心地いい。人を救っている気分でいられる。
 音がした。いや、自分は戦闘の手を止めていない。ミスもしていないはずだ。今戦場で動いているのは、正統王国の二つの機体のみのはずだ。

 ……本当にそうか?

『よう司祭様』

 子どもの声がした。自分が止めを刺したはずの。

『「せいぎのてんびん」として、さばいてやる。オマエは有罪だ!!』

 瞬間、馬鹿でかい光が隣を掠めて行った。

 『エッジストーン』のプラズマ砲を『ミラーハウス』が加速させた。
 それを正しく理解する前に、全員は地面の揺れを感知する。

 火山の土手っ腹に穴が空いた。そして、マグマが溢れ出している。それは津波のようだった。事前に知っていたのか。正統王国のオブジェクトが安全圏に逃げていくのを確認しつつ、司祭であると同時に『エリート』であった男は煮え立つような感情と同時に、頭が冷えていく感覚を味わっていた。
(ああ、けっきょくしっぱいか)
 マグマに足を取られた。このままでは捕まるのも時間の問題だ。機体はもう動かせない。
 ならせめて。あのオブジェクトどもは巻き込んでやらねば。
 自爆コードを打ち込んで、目を閉じる。が、いつまで経っても時間はこなかった。

「……爆発しない?」

 足元がマグマによって固まった『オールドジェネレーション』は完全に沈黙した。全員が押し黙る中、苦虫を噛み潰したようなうめき声が響いた。
『……だましたな、あのトリックスターめ!』


 ジャガイモたちは、情報部門、に。殴りかかった!戦力による、直接攻撃!

 情報部門は、懐柔、を、使った! 効果はバツグンだ!!


 差し出されたフライドチキンやらの豪華な料理を味わっているところに、フローレイティアはやってきた。
「いやあ、てんやわんやよ。あの鬼畜野郎の身柄を巡って大論争。このままだとあいつがピザになりそうなレベル」
「あれ、結局生きてたんですねあいつ」
「元気にね。全く、オブジェクトでの自爆はできてもナイフや服毒自殺なんかはできないみたい。宗教ってよくわからないわよね」
 ひょいとポテトを摘んで口に運ぶ。相当疲れていたのか、ぐったりと椅子に座り込んだ麗しの上官を楽しめるほどクウェンサーは欲求が満たされていなかった。三大欲求の中の食欲も睡眠欲も全く満たせていないので。
「結局なんで情報が間違ってたんです?」
「それがウチだけじゃなかったみたい」
 フライドチキンを掴んでぶら下げて、フロレーティアは言う。
「『ミラーハウス』も『エッジストーン』も『ソードライン』も。全員偽情報つかまされてたらしいのよね。それで何か知ってそうなクソ野郎の身柄をめぐってもうぐっちゃぐっちゃ。そもそも私たち正統王国も、信心組織も誰かさんに騙された訳のよね」
 二人は顔を見合わせる。
「じゃあ、いったい誰がそんなことを?」



………とある学生の回想

考えてみたらおかしかったんだ
『オールドジェネレーション』そのものはベーシックな第一世代。主砲だって戦争条約違反の水爆を使用しているだけで、その他の機構はベイビーマグナムと大差ない。
核物質は一般的にミサイルや砲弾の弾頭に使用され、破壊力を増すためにある。それを砲弾を飛ばすために無理やり起爆剤として使うのはどう考えても理屈に合わない。
なんせJP level動力炉は常に桁違いのエネルギーを発生させているんだ。主砲にこの大電力を利用しない手はない。
つまり! やつの高速移動は本来主砲に使用するはずのエネルギーを移動用、また姿勢調整用に回した、『対オブジェクト戦を全く想定ていない』第一世代として完成するはずだったオブジェクトなんだ!
 最速で敵を撃ち必勝の合図とする、そういう尖兵としての、そう、『ギャラルホルン』……そうだ、四大勢力によるオブジェクト戦の構図が整うまでは、最初から最速の火薬庫としての運用を期待されていた機体だったんだよ……思わせぶりなネーミングしやがって。この詐欺師め。
だからどうするってんだ!? あいつは火山を誘爆させて世界戦争を引き起こそうと……違う!
 あいつらの狙いは最初からそんなとこじゃない!いくら頭のいかれた宗教化のおっさんだって、目的達成間近でヘイヴィアのしょうもない命乞いになんか付き合うもんかよ。あいつらには時間稼ぎが必要だった。自国の「使えない」オブジェクトを何個かぶち壊して、最悪火山の溶岩に沈めてでも正統王国である俺たちを近づけたくなかった。確実な隠蔽が完了するまで、最初に反応があった『あの街』に俺たちを近づけさせたくなかった。エリートがとち狂った馬鹿だとか信心組織軍の異端児だとか、全部デマだったんだ……



自分も適当にコピペしただけなので、どこか編集したい所があったらご自由にどうぞ。

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