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SCP-2184-JP

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&font(#6495ED){登録日}:2026/05/01 Fri 19:27:02 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 18 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- #center(){#bold(){強欲、嫉妬、暴食、色欲、怠惰}} #center(){#bold(){傲慢、憤怒、運転}} SCP-2184-JPとは、怪異創作コミュニティサイト『[[SCP Foundation]]』に登場する[[オブジェクト>オブジェクト(SCP Foundation)]]の一つである。 [[オブジェクトクラス>オブジェクトクラス(SCP Foundation)]]は &bold(){&color(red){Keter}}。 * 概要 SCP-2184-JPは改造を施された高級車「キャデラック・ドゥビル((かつてアメリカの自動車メーカー「ゼネラルモーターズ」によって製造されていたモデル。現在は販売されていない。))」である。 主な異常性として物品系オブジェクトにはもはやお馴染みの破壊耐性を持っており、それに加えて『任意の空間座標への移動、時間跳躍能力』を持っている。 つまり指定さえすればそれがどこだろうが、たとえ過去だろうが未来だろうが行けてしまえる夢の車というわけだ。(それなんてデロリアン?) なおSCP-2184-JPはオブジェクトクラスを見ても分かる通り財団に収容されておらず、先ほどの情報も財団が回収した情報から推測したものというだけだったりする。 特別収容プロトコルは ・財団はSCP-2184-JPの痕跡を捜索しているよ ・20██/██/██以降、財団のいる世界で痕跡は観測されていないよ というかなり簡素なもの。 「タイムパラドックス起こし放題で未収容オブジェクトの割に収容プロトコル短くない?」と思うアニヲタ諸兄もいるかもしれないがしっかりその理由も後述されるため安心してほしい。 というわけで発見経緯に移るが財団が初めてSCP-2184-JPを認識したのは1994年であり、[[マーシャル・カーター&ダーク社>マーシャル・カーター&ダーク株式会社(SCP Foundation)]]のオークションに出品されていたところを確認したのが最初とのこと。 しかし財団がオークションの情報を入手し所有者宅への調査を行った時点で既に住居は無人でありSCP-2184-JPも確認できなかったという。 「マーシャル・カーター&ダーク社?」となってる人に向けてザックリ解説しておくと、マーシャル・カーター&ダーク社(通称MC&D社)は主に異常存在を&bold(){売り物}として扱う株式会社である。 他の要注意団体のように自ら異常物品を作ることは少なくもっぱら異常存在をドコからか仕入れては金持ちへ売り込んだり今回のようなオークションを開催したりしている。 話を戻して、結局回収できなかったSCP-2184-JPだが、幸いにもSCP-2184-JPが置かれていた地点での会話を記録していた音声記録が発見されており財団はそこから消失の経緯をある程度推測できたようだ。 音声記録は『音声記録2184-JP.1』と題して報告書にも記載されているため早速追っていこう。 * 音声記録2184-JP.1 『音声記録2184-JP.1』は1994年のとある日に記録された会話ログで、内容は主にルドルフ・アダムス、グレッグ・ウィンストンという2人の不良少年の会話を記録したもの。 なお報告書ではこのパートが最上部に設置されており言わばプロローグのように機能している。 >[足音] > >アダムス: こんな時間に呼び出して何のつもりだ。 > >ウィンストン: どうも。かなり面白いものが見つかったから見せようと思ってね。 > >アダムス: ……酒くせぇな。これは流石にサツに見つかった時言い逃れできんぞ。 > >ウィンストン: 大声出したりしない限りは、こんな夜遅くにわざわざ来ることはないさ。 > >アダムス: それなら問題なさそうだな。お前が笑い上戸なことを除けば。 > >[数秒の沈黙] > >アダムス: そもそもこの家は誰の所有なんだ?空き家にしては小綺麗すぎるし、確実にお前の家ではなさそうだが。 > >ウィンストン: さあ?俺の見た限り住人はいなさそうだった。だが妙に取っ散らかってたり、窓が開けっぱなしだったり、慌てて誰かが家を出たような痕跡はあった。 > >アダムス: 未成年飲酒に不法侵入、加えて窃盗か。高校生とは到底思えないな。 > >ウィンストン: この後もう一つ罪を犯すつもりだから安心してくれ。 > >アダムス: 何をどう安心しろと。 > >ウィンストン: せっかくだしそれが何なのか当ててみてくれ。 > >アダムス: 銀行強盗? > >ウィンストン: 違う。 > >アダムス: 殺人? > >ウィンストン: そんな野蛮なことじゃないさ。答え合わせをしよう。 > >[ドアが開く音] > >アダムス: ……飲酒運転か。確かに未開の地に住む野蛮人には到底できない所業だな。 犯罪の三重奏に加えて飲酒運転まで犯そうとしている時点で十分野蛮人に思えるが、それは一旦置いておくとしてウィンストン少年の目的は侵入した空き家で発見したSCP-2184-JPを友人と乗り回すことだったらしい。 >アダムス: リスクとリターンが見合ってないんだよ。こんなのよりバイクの方がずっと使いやすいし、とっとと売り払うべきだ。 > >ウィンストン: ならこいつを見てくれよ。考えが変わると保証する。 > >アダムス: ……これは説明書か何かか? > >ウィンストン: おそらく。まあ大事なのは最初の方だけだ。 > >アダムス: ……「任意で3次元座標を逸脱し、空間跳躍・時間渡航が可能」? > >ウィンストン: あと最高速度は950マイル出るらしい。 > >アダムス: バック・トゥー・ザ・フューチャーみたいなことが出来るってことであってるか。 > >ウィンストン: 多分。少なくとも子供だましじゃないことを今から証明してやるよ。 > >アダムス: ……おいお前何を—— > >[金属音] > >ウィンストン: 今ハンマーでこいつのフロントガラスを思いっきり殴ったけど、傷一つついてない。ドアもタイヤも同じくね。少なくとも、これは絶対に普通の車じゃない。 > >アダムス: ……ならこいつが本当にタイムマシンってことも十分あり得るかもな……。 オブジェクトならもはやお馴染みの破壊耐性だがヴェールの内側の少年からすれば十分奇異に映るだろう。それは&bold(){「この車は本当にタイムマシンかもしれない」}と思えるほどに。 こうして2人はこの不思議なタイムマシンを乗り回すことを決めた。 >アダムス: 今更だが、自分が今から何をしでかそうとしてるか本当に分かってるのか?とっくにお遊びで済まされるラインは踏み越えてるぞ。 > >ウィンストン: お前の方がな。これが本当に悪いことだと思ってるなら、ここに来る前に警察を呼びつけてたはずだ。 > >[沈黙] > >ウィンストン: 「ガキは酒を飲むな」とか「真面目に学校に行け」「人のものを盗むな」だの、そういう当たり前のルールは最初からあったわけじゃない。昔に大人たちが自分のルールを押し付けるために作ったんだ。 > >ウィンストン: そんなものに俺たちは縛られて、苦しめられて、不自由でつまらない生き方を強いられている。お前もそれが理不尽だと思っているんだろ。 > >アダムス: ……あいつらが「反抗期」って呼んで、適当にあしらってるものだな。 > >ウィンストン: なら反抗してやろうぜ。そして俺らをガキ扱いする奴らに見せつけてやるのさ、俺たちはお前らなんかに縛られないって。 > >アダムス: 素敵だな。あいつらの吠え面を拝んでやりたいわ。 > >ウィンストン: お前ならそう言うと思ったよ。 > >[エンジンの起動音] > >ウィンストン: 今の俺たちは、誰よりも自由だ。 >[走行音] > >[複数の衝突音] > >[悲鳴] > >[爆発音] > >«ログ終了» &s(){爆発オチなんてサイテー!} 飲酒や学校はともかく窃盗禁止に関しては苦しめられることより守られることの方が多そうだが、「大人たちに反抗してやる」という意思を固めた彼らにそんなことを言ったところで無駄だろう。 あと車が破壊耐性持ってなかったら普通に大怪我してたんじゃないかこの2人。 というわけで音声記録は以上である。現場付近のガードレールや電柱からは車両が高速で衝突したような損傷が確認されており、そのこともこの記録が重要視される理由となっているとのこと。 * 時をかける未成年飲酒暴走車 音声記録を見る限りウィンストン少年の運転技術はかなりお粗末のようだが、SCP-2184-JP持ち前の耐久力が功を奏したのかSCP-2184-JPによると見られる痕跡は数多く確認されている。 それらをまとめた『補遺1』によると、ほぼ全ての記録においてSCP-2184-JPは「ふらついた動き・運転」「静止しようとする意志が見受けられない」と言及されているらしく、 また痕跡が年代も時間帯もバラバラなことから『不良少年二人組はSCP-2184-JPを十分に制御できていない』と財団は推測している。 以下にSCP-2184-JPの痕跡事例をいくつか挙げよう。 ***SCP-2184-JP-A-1 1925/11/24、ドイツでの出現事例。民間人による目撃情報で現場には衝突跡が残っている。 ***SCP-2184-JP-A-4 紀元前200年あたりの中国での言及事例。『史記』の第8巻にてSCP-2184-JPと見られる記述が発見されている。 『史記』は皇帝や有名人の活躍、政治イベントなどを年代ごとに並べた古代中国の歴史書で司馬遷が記したとされる。 ***SCP-2184-JP-A-10 約2億5190万年前~約6600万年前の地層にて発見されたタイヤ痕。何らかの要因によって生じた窪みに別の土砂が堆積することで残る「足跡化石」と同じ要領で発生したと推測されている。 過去の地層に埋もれた時間遡行系SCPというと[[SCP-077-JP『過去への暴走』>SCP-077-JP]]などがあるがアチラが数百万年前への時間遡行なのに対してコチラは文字通り桁違いの時間遡行である。 というかそんな大昔のタイヤ痕なんてよくピンポイントに見つけられたな… ***SCP-2184-JP-A-17 1976/08/13、イギリスのマンチェスターにて記録された事例。住民約26000人が「路上を歩いていると突如自動車が出現し、目の前を通り過ぎた」という内容の夢を見たと報告しており自動車の外見はSCP-2184-JPと一致しているとのこと。 数多くの夢に現れる同一存在というと都市伝説&bold(){『This Man}((現実には存在せず大勢の夢のなかにのみ姿を表すとされる特徴的な顔の男性。なお真相としてはマーケティングの実験として意図的に流された都市伝説だったりする。))』を連想するかもしれないが、あちらが全世界的かつ不定期に出現していたことに対しコチラは特定地域における特定日のみ見られたという点で相違点がある。 『過去と未来はともかく何故「夢の中」にまで出現できるんだ?』となっているかもしれないが、これについては財団も「SCP-2184-JPに形而上領域に侵入・干渉する機能は備わっていない可能性が高いため原因は不明」としている。 とまあSCP-2184-JPは様々な時代で大暴れをしていたらしくこれらの影響か財団世界では ・古代の戦車「チャリオット」が衰退 ・アルコールの摂取に対する厭忌感の増大 ・人類文明全体における「自動車」及びその運転という概念をタブー視・拒絶・憎悪する伝承や思想の発生 といった過去改変が発生してしまった。 2つ目に関しては『イスラム教など、該当行為そのものを禁じるように改変された宗教・文化も存在する』とのこと。 仏教における五戒の1つ『不飲酒戒((酒を飲んではいけない、という戒め。他に不殺生戒、不偸盗戒、不邪婬戒、不妄語戒がある。))』なども財団世界ではSCP-2184-JPの影響で生まれたものだったりするのだろうか。 そして3つ目の自動車タブーであるが報告書曰くなんと『創造主の名を唱える、イスラム教における豚肉の摂食などの破戒的行為と同等かそれ以上の禁忌』と見做されていたようで 19██/██/██に行われた&bold(){アンニュイ・プロトコル}((ザックリ言うと記憶処理薬でも文化捏造でも何でも使って元々 "異常" とされた物事を "正常" であるという認識へ書き換える処置。財団の敗北宣言と揶揄されることもある。))まで極めて強力な文化的影響力を持ってしまっていたらしい。 さてSCP-2184-JPによる痕跡と過去改変影響を見てきたわけだが、痕跡に対して過去改変の内容が明らかに飲酒・車両の抑制に傾き過ぎているとは思わないだろうか。 その問いの答えは次の会話ログ『音声記録2184-JP.2』にて用意されている。 *補遺2: 音声記録2184-JP.2 音声記録2184-JP.2は20██/██/██、元々は別の用事で召喚されていた悪魔実体が先述の自動車タブーが発生した理由について有力な情報を持っていると判明したため行われたインタビュー記録である。 >悪魔実体: 全ての始まりは、あれがローマ帝国の時代のカナン——今でいうパレスチナに現れて、とある人間を撥ね飛ばしたことだった。 > >██研究員: たかだか一人の人間が死んだくらいで、あれほど大きな伝承が生まれるとは思いませんが。 > >悪魔実体: そいつがナザレのイエスじゃなければな。 > >██研究員: ……イエス? > >悪魔実体: そうイエス・キリスト。偶然にも祝福された神の子を轢き殺しちまったんだ。 > >██研究員: ……彼らがキリストを殺したのなら、キリスト復活や最後の晩餐の伝承は存在しないのでは? > >悪魔実体: あまりにも哀れな死に方だったから神が復活させたんだよ。その数日後に磔にされてもう一回殺されたらしいが。 > >悪魔実体: ともかく息子を殺された神はお怒りになって、彼を殺した鉄の塊が何なのか未来を視て調べたら、未来の人間たちが作った「自動車」とかいうやつに、酒に酔ったガキが乗って暴れてた結果こんな惨事になったことが分かった。神はそれが後世に生み出されないよう、世界中の色んな人間に「あの『自動車』という名の鉄の塊を許すな、作らせるな」と預言した。これが後々発展したのが自動車を忌避する伝承だ。 > >悪魔実体: あと酒を飲むことも避けるような教えも一緒に授けて、この後作ったイスラム教では飲酒自体を完全に禁止させたらしい。 &bold(){悪魔}<つまり自動車と飲酒が禁忌になったのは悪ガキがキリスト轢いて神の怒りを買ったからなんだよ! &bold(){ΩΩΩ}<な、なんだってーー!? ともかくあの執拗なまでの飲酒&自動車ヘイトは、神が&bold(){「飲酒運転が未来永劫生まれぬように」}と仕掛けたモノだということが判明した。 まかり間違っていれば人間という存在そのものを根本的に捻じ曲げられていたのかもしれないのだからそう考えるとヘイト対象が飲酒と自動車程度に収められたのは不幸中の幸いだったのかもしれない。 それでSCP-2184-JPと神からの呪いを一身に受けてそうな二人組は現在どうなったのだろうか。██研究員の「SCP-2184-JPの最終的な行方を知っているか」という問いに悪魔はこう答えた。 >悪魔実体: 少なくとも一度は見たことあるな。地獄で。 > >██研究員: 地獄にあれが現れたんですか? > >悪魔実体: ああ。しかも神の子を殺した影響であの車自体が聖遺物みたいな存在になっちまったらしく、轢かれた悪魔は軒並み完全に浄化されていた。 > >悪魔実体: 現世のものがなぜ死後の世界に来られたのかは分からないが、あの車が元々持ってた力がキリストを殺して得た聖なる力によって増幅されて、行ける場所の制限がなくなったとかそんな感じだと思う。前例がないから推測の余地を出ないがな。あんな所業をしたのに天罰が下った様子が無いし、神が干渉できないような領域に踏み込んでるのかもしれん。 > >██研究員: となるとあの車の所在はもう知りようがないというわけですか。 > >悪魔実体: まあ現世も地獄や夢みたいな形而上空間も観測外の領域の方が遥かに広いし、動いてるとして今もそういう虚無を走り続けてるんじゃねぇかな。こっちにまた現れる可能性は相当低いだろう。 キリストの死を確認する目的で脇腹を貫くのに使われた槍は後に『聖槍』または『ロンギヌスの槍』と呼ばれる聖遺物となった。 死を確認するために刺された槍さえ聖遺物となる、いわんや直接的に死に至らしめた自動車をや。 といったところでキリストを跳ね飛ばしたSCP-2184-JPは後天的に異常性が強化され過去・未来だけでなく異世界への渡航すら可能な無敵のモンスターマシン聖遺物へと変貌したらしい。 前述のイベントで夢の中に出現したのもこの効果によるものだったのだろう。 先ほど神が2人のことを見逃しているような書き方をしたが、どちらかと言えば&bold(){手を下したくても下せない}域にまで2人は飛び出してしまったと言ったほうが正しかったようだ。ある意味「誰よりも自由」な存在になれたと言えるかもしれない。 ちなみに『神を殺すことで存在が再定義され後天的に能力が上昇する』という点では似た事例として[[SCP-2105-JP『神身事故』>SCP-2105-JP]]が挙げられる。 そして肝心のSCP-2184-JPだが、今でも虚無空間を彷徨い走っているとの推測が立てられた。 もし仮に運良く現実世界に帰ってくる事が出来たとしても今度はどの時間軸へ転移できるかのガチャを引く必要があるし、彼らの無事な帰還はそれこそ神の祝福でも無いと到底無理だろう。 最後に悪魔はこう付け加える。 >悪魔実体: 少なくとも楽しい冒険ではないってことは断言できる。地獄にあれが現れた時、窓から中にいる奴らの顔を拝めたが、あれはどう見ても何かに怯えてるような、絶望し切った顔だった。 > >██研究員: ……確かに彼らはもうどんな他者にもルールにも、挙句は神にも縛られていないが、それが幸福であるとは限らないと。 > >悪魔実体: まぁ要するにあれだ、「自由には責任が伴う」って話に落ち着くってわけだ。 > >«ログ終了» ……財団が必死に活動してなお異常をせき止められない財団世界で、無限の並行世界を駆け抜けた少年たちが何を見たかは想像すらできない。 どれだけ周囲から自由になっても、過去の自分の行動からは逃げられなかった。 *自由を望んだ少年たちの後始末 過去改変影響については先ほど「アンニュイ・プロトコルかまして何とかしました」とアッサリ流したが、ソレが単なるバタフライ・エフェクトではなく創造主の意向でそうなっていたのであれば話は変わってくる。 財団は創造主の意向に真っ向対立しあまつさえそれを一般化させてしまったわけであり、ドライバー達がいつ神の逆鱗に触れて神罰を下されるか分かったモノではないからだ。 そこで財団が目をつけたのが免罪符。『何らかの対価と引き換えにその身に宿る罪を赦してもらえる書状』で実際に中世キリスト圏では盛んに使用されていたシステムである。 どうやら財団世界における免罪符の一部には実際に魔術的な効果を発揮して罪を軽減できるものがあったようで、それを財団が改造することで『ドライバーを神罰から守る免罪符』こと&bold(){SCP-2184-JP-T}を生み出したのだ。 なおSCP-2184-JP-Tの取得には試験に偽装した奇跡術的儀式を通過する必要があり、非合法・不正に入手したものでは効果を発揮してくれないらしい。 また、もしSCP-2184-JP-Tを所持せず車を運転するとその98.4%が交通事故や検挙により負傷・死亡、または社会的地位の喪失という洒落にならないデメリットを喰らうことになるため財団世界で車を運転するならもはや必需品である。 ちなみに報告書にはSCP-2184-JP-Tの一例が載っているためココでも最後にそれをお見せしよう。 #center(){&image(https://scp-jp-storage.wdfiles.com/local--files/file%3A9122253-34-w8o9/Japan_Drivers_Licence_Ver2019.JPG)} &bold(){財団}<つまりお前らが持ってる運転免許は神にお目溢ししてもらうための免罪符なんだよ! &bold(){ΩΩΩ}<な、なんだってーー!?((ちなみに免許を持たずに運転する自動車教習等の場合は使用車両自体に免罪符効果を付与しているため問題無いとのこと)) #center(){#bold(){&sizex(6){SCP-2184-JP}}} #center(){#bold(){&sizex(6){自由を望んだ青年たちの進撃、}}} #center(){#bold(){&sizex(6){あるいは未成年飲酒運転}}} 追記・修整と車の運転はしっかり免許証を取ってからお願いします。 ---- #right(){#openclose(show=▷ CC BY-SA 3.0に基づく表示){ SCP-2184-JP 自由を望んだ青年たちの進撃、あるいは未成年飲酒運転 by CrabButter_12 http://scp-jp.wikidot.com/scp-2184-jp 運転免許 by CrabButter_12 http://scp-jp-storage.wikidot.com/file:9122253-34-w8o9 この項目の内容は『[[クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス>https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/deed.ja]]』に従います。}} #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,5) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #areaedit() - 盗んだタイムマシンで走り出す -- 名無しさん (2026-05-01 20:04:30) - 免許証じゃなくて免罪証だったのか… -- 名無しさん (2026-05-01 20:24:31) - 子供用のカートとかが免罪符効果付きだと思うと妙に可笑しくなってくるな -- 名無しさん (2026-05-01 21:53:05) - キリストを轢殺は笑えて来る -- 名無しさん (2026-05-01 23:25:59) - 運転免許証をマイナンバーカードに合流させるのは危険な気がするなぁこれ -- 名無しさん (2026-05-02 04:55:56) - なんで財団世界には神を轢き殺した自動車が2台もあるんだよ -- 名無しさん (2026-05-02 12:54:12) - 若気の至りで神の祝福を受けられなくなったと考えれば可哀想な少年たちだ -- 名無しさん (2026-05-03 04:47:14) - 財団世界で定期的に出てくる一般悪魔実体兄貴好き -- 名無しさん (2026-05-04 12:59:05) - ブッダまげたなぁ -- 名無しさん (2026-05-04 15:05:49) - こんなことがあったらそりゃベガスにも行きたくなるよな -- 名無しさん (2026-05-06 08:58:33) - オチ好きw -- 名無しさん (2026-05-13 13:13:04) - 神様でも罰を与えられない領域に行ったって話だけど最後の少年たちの顔つきやらの話を聞くと天罰を与えるまでもないと思ってたりして -- 名無しさん (2026-06-24 01:23:08) #comment() #areaedit(end) }
&font(#6495ED){登録日}:2026/05/01 Fri 19:27:02 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 18 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- #center(){#bold(){強欲、嫉妬、暴食、色欲、怠惰}} #center(){#bold(){傲慢、憤怒、運転。}} SCP-2184-JPとは、怪異創作コミュニティサイト『[[SCP Foundation]]』に登場する[[オブジェクト>オブジェクト(SCP Foundation)]]の一つである。 [[オブジェクトクラス>オブジェクトクラス(SCP Foundation)]]は &bold(){&color(red){Keter}}。 * 概要 SCP-2184-JPは改造を施された高級車「キャデラック・ドゥビル((かつてアメリカの自動車メーカー「ゼネラルモーターズ」によって製造されていたモデル。現在は販売されていない。))」である。 主な異常性として物品系オブジェクトにはもはやお馴染みの破壊耐性を持っており、それに加えて『任意の空間座標への移動、時間跳躍能力』を持っている。 つまり指定さえすればそれがどこだろうが、たとえ過去だろうが未来だろうが行けてしまえる夢の車というわけだ。(それなんてデロリアン?) なおSCP-2184-JPはオブジェクトクラスを見ても分かる通り財団に収容されておらず、先ほどの情報も財団が回収した情報から推測したものというだけだったりする。 特別収容プロトコルは ・財団はSCP-2184-JPの痕跡を捜索しているよ ・20██/██/██以降、財団のいる世界で痕跡は観測されていないよ というかなり簡素なもの。 「タイムパラドックス起こし放題で未収容オブジェクトの割に収容プロトコル短くない?」と思うアニヲタ諸兄もいるかもしれないがしっかりその理由も後述されるため安心してほしい。 というわけで発見経緯に移るが財団が初めてSCP-2184-JPを認識したのは1994年であり、[[マーシャル・カーター&ダーク社>マーシャル・カーター&ダーク株式会社(SCP Foundation)]]のオークションに出品されていたところを確認したのが最初とのこと。 しかし財団がオークションの情報を入手し所有者宅への調査を行った時点で既に住居は無人でありSCP-2184-JPも確認できなかったという。 「マーシャル・カーター&ダーク社?」となってる人に向けてザックリ解説しておくと、マーシャル・カーター&ダーク社(通称MC&D社)は主に異常存在を&bold(){売り物}として扱う株式会社である。 他の要注意団体のように自ら異常物品を作ることは少なくもっぱら異常存在をドコからか仕入れては金持ちへ売り込んだり今回のようなオークションを開催したりしている。 話を戻して、結局回収できなかったSCP-2184-JPだが、幸いにもSCP-2184-JPが置かれていた地点での会話を記録していた音声記録が発見されており財団はそこから消失の経緯をある程度推測できたようだ。 音声記録は『音声記録2184-JP.1』と題して報告書にも記載されているため早速追っていこう。 * 音声記録2184-JP.1 『音声記録2184-JP.1』は1994年のとある日に記録された会話ログで、内容は主にルドルフ・アダムス、グレッグ・ウィンストンという2人の不良少年の会話を記録したもの。 なお報告書ではこのパートが最上部に設置されており言わばプロローグのように機能している。 >[足音] > >アダムス: こんな時間に呼び出して何のつもりだ。 > >ウィンストン: どうも。かなり面白いものが見つかったから見せようと思ってね。 > >アダムス: ……酒くせぇな。これは流石にサツに見つかった時言い逃れできんぞ。 > >ウィンストン: 大声出したりしない限りは、こんな夜遅くにわざわざ来ることはないさ。 > >アダムス: それなら問題なさそうだな。お前が笑い上戸なことを除けば。 > >[数秒の沈黙] > >アダムス: そもそもこの家は誰の所有なんだ?空き家にしては小綺麗すぎるし、確実にお前の家ではなさそうだが。 > >ウィンストン: さあ?俺の見た限り住人はいなさそうだった。だが妙に取っ散らかってたり、窓が開けっぱなしだったり、慌てて誰かが家を出たような痕跡はあった。 > >アダムス: 未成年飲酒に不法侵入、加えて窃盗か。高校生とは到底思えないな。 > >ウィンストン: この後もう一つ罪を犯すつもりだから安心してくれ。 > >アダムス: 何をどう安心しろと。 > >ウィンストン: せっかくだしそれが何なのか当ててみてくれ。 > >アダムス: 銀行強盗? > >ウィンストン: 違う。 > >アダムス: 殺人? > >ウィンストン: そんな野蛮なことじゃないさ。答え合わせをしよう。 > >[ドアが開く音] > >アダムス: ……飲酒運転か。確かに未開の地に住む野蛮人には到底できない所業だな。 犯罪の三重奏に加えて飲酒運転まで犯そうとしている時点で十分野蛮人に思えるが、それは一旦置いておくとしてウィンストン少年の目的は侵入した空き家で発見したSCP-2184-JPを友人と乗り回すことだったらしい。 >アダムス: リスクとリターンが見合ってないんだよ。こんなのよりバイクの方がずっと使いやすいし、とっとと売り払うべきだ。 > >ウィンストン: ならこいつを見てくれよ。考えが変わると保証する。 > >アダムス: ……これは説明書か何かか? > >ウィンストン: おそらく。まあ大事なのは最初の方だけだ。 > >アダムス: ……「任意で3次元座標を逸脱し、空間跳躍・時間渡航が可能」? > >ウィンストン: あと最高速度は950マイル出るらしい。 > >アダムス: バック・トゥー・ザ・フューチャーみたいなことが出来るってことであってるか。 > >ウィンストン: 多分。少なくとも子供だましじゃないことを今から証明してやるよ。 > >アダムス: ……おいお前何を—— > >[金属音] > >ウィンストン: 今ハンマーでこいつのフロントガラスを思いっきり殴ったけど、傷一つついてない。ドアもタイヤも同じくね。少なくとも、これは絶対に普通の車じゃない。 > >アダムス: ……ならこいつが本当にタイムマシンってことも十分あり得るかもな……。 オブジェクトならもはやお馴染みの破壊耐性だがヴェールの内側の少年からすれば十分奇異に映るだろう。それは&bold(){「この車は本当にタイムマシンかもしれない」}と思えるほどに。 こうして2人はこの不思議なタイムマシンを乗り回すことを決めた。 >アダムス: 今更だが、自分が今から何をしでかそうとしてるか本当に分かってるのか?とっくにお遊びで済まされるラインは踏み越えてるぞ。 > >ウィンストン: お前の方がな。これが本当に悪いことだと思ってるなら、ここに来る前に警察を呼びつけてたはずだ。 > >[沈黙] > >ウィンストン: 「ガキは酒を飲むな」とか「真面目に学校に行け」「人のものを盗むな」だの、そういう当たり前のルールは最初からあったわけじゃない。昔に大人たちが自分のルールを押し付けるために作ったんだ。 > >ウィンストン: そんなものに俺たちは縛られて、苦しめられて、不自由でつまらない生き方を強いられている。お前もそれが理不尽だと思っているんだろ。 > >アダムス: ……あいつらが「反抗期」って呼んで、適当にあしらってるものだな。 > >ウィンストン: なら反抗してやろうぜ。そして俺らをガキ扱いする奴らに見せつけてやるのさ、俺たちはお前らなんかに縛られないって。 > >アダムス: 素敵だな。あいつらの吠え面を拝んでやりたいわ。 > >ウィンストン: お前ならそう言うと思ったよ。 > >[エンジンの起動音] > >ウィンストン: 今の俺たちは、誰よりも自由だ。 >[走行音] > >[複数の衝突音] > >[悲鳴] > >[爆発音] > >«ログ終了» &s(){爆発オチなんてサイテー!} 飲酒や学校はともかく窃盗禁止に関しては苦しめられることより守られることの方が多そうだが、「大人たちに反抗してやる」という意思を固めた彼らにそんなことを言ったところで無駄だろう。 あと車が破壊耐性持ってなかったら普通に大怪我してたんじゃないかこの2人。 というわけで音声記録は以上である。現場付近のガードレールや電柱からは車両が高速で衝突したような損傷が確認されており、そのこともこの記録が重要視される理由となっているとのこと。 * 時をかける未成年飲酒暴走車 音声記録を見る限りウィンストン少年の運転技術はかなりお粗末のようだが、SCP-2184-JP持ち前の耐久力が功を奏したのかSCP-2184-JPによると見られる痕跡は数多く確認されている。 それらをまとめた『補遺1』によると、ほぼ全ての記録においてSCP-2184-JPは「ふらついた動き・運転」「静止しようとする意志が見受けられない」と言及されているらしく、 また痕跡が年代も時間帯もバラバラなことから『不良少年二人組はSCP-2184-JPを十分に制御できていない』と財団は推測している。 以下にSCP-2184-JPの痕跡事例をいくつか挙げよう。 ***SCP-2184-JP-A-1 1925/11/24、ドイツでの出現事例。民間人による目撃情報で現場には衝突跡が残っている。 ***SCP-2184-JP-A-4 紀元前200年あたりの中国での言及事例。『史記』の第8巻にてSCP-2184-JPと見られる記述が発見されている。 『史記』は皇帝や有名人の活躍、政治イベントなどを年代ごとに並べた古代中国の歴史書で司馬遷が記したとされる。 ***SCP-2184-JP-A-10 約2億5190万年前~約6600万年前の地層にて発見されたタイヤ痕。何らかの要因によって生じた窪みに別の土砂が堆積することで残る「足跡化石」と同じ要領で発生したと推測されている。 過去の地層に埋もれた時間遡行系SCPというと[[SCP-077-JP『過去への暴走』>SCP-077-JP]]などがあるがアチラが数百万年前への時間遡行なのに対してコチラは文字通り桁違いの時間遡行である。 というかそんな大昔のタイヤ痕なんてよくピンポイントに見つけられたな… ***SCP-2184-JP-A-17 1976/08/13、イギリスのマンチェスターにて記録された事例。住民約26000人が「路上を歩いていると突如自動車が出現し、目の前を通り過ぎた」という内容の夢を見たと報告しており自動車の外見はSCP-2184-JPと一致しているとのこと。 数多くの夢に現れる同一存在というと都市伝説&bold(){『This Man}((現実には存在せず大勢の夢のなかにのみ姿を表すとされる特徴的な顔の男性。なお真相としてはマーケティングの実験として意図的に流された都市伝説だったりする。))』を連想するかもしれないが、あちらが全世界的かつ不定期に出現していたことに対しコチラは特定地域における特定日のみ見られたという点で相違点がある。 『過去と未来はともかく何故「夢の中」にまで出現できるんだ?』となっているかもしれないが、これについては財団も「SCP-2184-JPに形而上領域に侵入・干渉する機能は備わっていない可能性が高いため原因は不明」としている。 とまあSCP-2184-JPは様々な時代で大暴れをしていたらしくこれらの影響か財団世界では ・古代の戦車「チャリオット」が衰退 ・アルコールの摂取に対する厭忌感の増大 ・人類文明全体における「自動車」及びその運転という概念をタブー視・拒絶・憎悪する伝承や思想の発生 といった過去改変が発生してしまった。 2つ目に関しては『イスラム教など、該当行為そのものを禁じるように改変された宗教・文化も存在する』とのこと。 仏教における五戒の1つ『不飲酒戒((酒を飲んではいけない、という戒め。他に不殺生戒、不偸盗戒、不邪婬戒、不妄語戒がある。))』なども財団世界ではSCP-2184-JPの影響で生まれたものだったりするのだろうか。 そして3つ目の自動車タブーであるが報告書曰くなんと『創造主の名を唱える、イスラム教における豚肉の摂食などの破戒的行為と同等かそれ以上の禁忌』と見做されていたようで 19██/██/██に行われた&bold(){アンニュイ・プロトコル}((ザックリ言うと記憶処理薬でも文化捏造でも何でも使って元々 "異常" とされた物事を "正常" であるという認識へ書き換える処置。財団の敗北宣言と揶揄されることもある。))まで極めて強力な文化的影響力を持ってしまっていたらしい。 さてSCP-2184-JPによる痕跡と過去改変影響を見てきたわけだが、痕跡に対して過去改変の内容が明らかに飲酒・車両の抑制に傾き過ぎているとは思わないだろうか。 その問いの答えは次の会話ログ『音声記録2184-JP.2』にて用意されている。 *補遺2: 音声記録2184-JP.2 音声記録2184-JP.2は20██/██/██、元々は別の用事で召喚されていた悪魔実体が先述の自動車タブーが発生した理由について有力な情報を持っていると判明したため行われたインタビュー記録である。 >悪魔実体: 全ての始まりは、あれがローマ帝国の時代のカナン——今でいうパレスチナに現れて、とある人間を撥ね飛ばしたことだった。 > >██研究員: たかだか一人の人間が死んだくらいで、あれほど大きな伝承が生まれるとは思いませんが。 > >悪魔実体: そいつがナザレのイエスじゃなければな。 > >██研究員: ……イエス? > >悪魔実体: そうイエス・キリスト。偶然にも祝福された神の子を轢き殺しちまったんだ。 > >██研究員: ……彼らがキリストを殺したのなら、キリスト復活や最後の晩餐の伝承は存在しないのでは? > >悪魔実体: あまりにも哀れな死に方だったから神が復活させたんだよ。その数日後に磔にされてもう一回殺されたらしいが。 > >悪魔実体: ともかく息子を殺された神はお怒りになって、彼を殺した鉄の塊が何なのか未来を視て調べたら、未来の人間たちが作った「自動車」とかいうやつに、酒に酔ったガキが乗って暴れてた結果こんな惨事になったことが分かった。神はそれが後世に生み出されないよう、世界中の色んな人間に「あの『自動車』という名の鉄の塊を許すな、作らせるな」と預言した。これが後々発展したのが自動車を忌避する伝承だ。 > >悪魔実体: あと酒を飲むことも避けるような教えも一緒に授けて、この後作ったイスラム教では飲酒自体を完全に禁止させたらしい。 &bold(){悪魔}<つまり自動車と飲酒が禁忌になったのは悪ガキがキリスト轢いて神の怒りを買ったからなんだよ! &bold(){ΩΩΩ}<な、なんだってーー!? ともかくあの執拗なまでの飲酒&自動車ヘイトは、神が&bold(){「飲酒運転が未来永劫生まれぬように」}と仕掛けたモノだということが判明した。 まかり間違っていれば人間という存在そのものを根本的に捻じ曲げられていたのかもしれないのだからそう考えるとヘイト対象が飲酒と自動車程度に収められたのは不幸中の幸いだったのかもしれない。 それでSCP-2184-JPと神からの呪いを一身に受けてそうな二人組は現在どうなったのだろうか。██研究員の「SCP-2184-JPの最終的な行方を知っているか」という問いに悪魔はこう答えた。 >悪魔実体: 少なくとも一度は見たことあるな。地獄で。 > >██研究員: 地獄にあれが現れたんですか? > >悪魔実体: ああ。しかも神の子を殺した影響であの車自体が聖遺物みたいな存在になっちまったらしく、轢かれた悪魔は軒並み完全に浄化されていた。 > >悪魔実体: 現世のものがなぜ死後の世界に来られたのかは分からないが、あの車が元々持ってた力がキリストを殺して得た聖なる力によって増幅されて、行ける場所の制限がなくなったとかそんな感じだと思う。前例がないから推測の余地を出ないがな。あんな所業をしたのに天罰が下った様子が無いし、神が干渉できないような領域に踏み込んでるのかもしれん。 > >██研究員: となるとあの車の所在はもう知りようがないというわけですか。 > >悪魔実体: まあ現世も地獄や夢みたいな形而上空間も観測外の領域の方が遥かに広いし、動いてるとして今もそういう虚無を走り続けてるんじゃねぇかな。こっちにまた現れる可能性は相当低いだろう。 キリストの死を確認する目的で脇腹を貫くのに使われた槍は後に『聖槍』または『ロンギヌスの槍』と呼ばれる聖遺物となった。 死を確認するために刺された槍さえ聖遺物となる、いわんや直接的に死に至らしめた自動車をや。 といったところでキリストを跳ね飛ばしたSCP-2184-JPは後天的に異常性が強化され過去・未来だけでなく異世界への渡航すら可能な無敵のモンスターマシン聖遺物へと変貌したらしい。 前述のイベントで夢の中に出現したのもこの効果によるものだったのだろう。 先ほど神が2人のことを見逃しているような書き方をしたが、どちらかと言えば&bold(){手を下したくても下せない}域にまで2人は飛び出してしまったと言ったほうが正しかったようだ。ある意味「誰よりも自由」な存在になれたと言えるかもしれない。 ちなみに『神を殺すことで存在が再定義され後天的に能力が上昇する』という点では似た事例として[[SCP-2105-JP『神身事故』>SCP-2105-JP]]が挙げられる。 そして肝心のSCP-2184-JPだが、今でも虚無空間を彷徨い走っているとの推測が立てられた。 もし仮に運良く現実世界に帰ってくる事が出来たとしても今度はどの時間軸へ転移できるかのガチャを引く必要があるし、彼らの無事な帰還はそれこそ神の祝福でも無いと到底無理だろう。 最後に悪魔はこう付け加える。 >悪魔実体: 少なくとも楽しい冒険ではないってことは断言できる。地獄にあれが現れた時、窓から中にいる奴らの顔を拝めたが、あれはどう見ても何かに怯えてるような、絶望し切った顔だった。 > >██研究員: ……確かに彼らはもうどんな他者にもルールにも、挙句は神にも縛られていないが、それが幸福であるとは限らないと。 > >悪魔実体: まぁ要するにあれだ、「自由には責任が伴う」って話に落ち着くってわけだ。 > >«ログ終了» ……財団が必死に活動してなお異常をせき止められない財団世界で、無限の並行世界を駆け抜けた少年たちが何を見たかは想像すらできない。 どれだけ周囲から自由になっても、過去の自分の行動からは逃げられなかった。 *自由を望んだ少年たちの後始末 過去改変影響については先ほど「アンニュイ・プロトコルかまして何とかしました」とアッサリ流したが、ソレが単なるバタフライ・エフェクトではなく創造主の意向でそうなっていたのであれば話は変わってくる。 財団は創造主の意向に真っ向対立しあまつさえそれを一般化させてしまったわけであり、ドライバー達がいつ神の逆鱗に触れて神罰を下されるか分かったモノではないからだ。 そこで財団が目をつけたのが免罪符。『何らかの対価と引き換えにその身に宿る罪を赦してもらえる書状』で実際に中世キリスト圏では盛んに使用されていたシステムである。 どうやら財団世界における免罪符の一部には実際に魔術的な効果を発揮して罪を軽減できるものがあったようで、それを財団が改造することで『ドライバーを神罰から守る免罪符』こと&bold(){SCP-2184-JP-T}を生み出したのだ。 なおSCP-2184-JP-Tの取得には試験に偽装した奇跡術的儀式を通過する必要があり、非合法・不正に入手したものでは効果を発揮してくれないらしい。 また、もしSCP-2184-JP-Tを所持せず車を運転するとその98.4%が交通事故や検挙により負傷・死亡、または社会的地位の喪失という洒落にならないデメリットを喰らうことになるため財団世界で車を運転するならもはや必需品である。 ちなみに報告書にはSCP-2184-JP-Tの一例が載っているためココでも最後にそれをお見せしよう。 #center(){&image(https://scp-jp-storage.wdfiles.com/local--files/file%3A9122253-34-w8o9/Japan_Drivers_Licence_Ver2019.JPG)} &bold(){財団}<つまりお前らが持ってる運転免許は神にお目溢ししてもらうための免罪符なんだよ! &bold(){ΩΩΩ}<な、なんだってーー!?((ちなみに免許を持たずに運転する自動車教習等の場合は使用車両自体に免罪符効果を付与しているため問題無いとのこと)) #center(){#bold(){&sizex(6){SCP-2184-JP}}} #center(){#bold(){&sizex(6){自由を望んだ青年たちの進撃、}}} #center(){#bold(){&sizex(6){あるいは未成年飲酒運転}}} 追記・修整と車の運転はしっかり免許証を取ってからお願いします。 ---- #right(){#openclose(show=▷ CC BY-SA 3.0に基づく表示){ SCP-2184-JP 自由を望んだ青年たちの進撃、あるいは未成年飲酒運転 by CrabButter_12 http://scp-jp.wikidot.com/scp-2184-jp 運転免許 by CrabButter_12 http://scp-jp-storage.wikidot.com/file:9122253-34-w8o9 この項目の内容は『[[クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス>https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/deed.ja]]』に従います。}} #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,5) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #areaedit() - 盗んだタイムマシンで走り出す -- 名無しさん (2026-05-01 20:04:30) - 免許証じゃなくて免罪証だったのか… -- 名無しさん (2026-05-01 20:24:31) - 子供用のカートとかが免罪符効果付きだと思うと妙に可笑しくなってくるな -- 名無しさん (2026-05-01 21:53:05) - キリストを轢殺は笑えて来る -- 名無しさん (2026-05-01 23:25:59) - 運転免許証をマイナンバーカードに合流させるのは危険な気がするなぁこれ -- 名無しさん (2026-05-02 04:55:56) - なんで財団世界には神を轢き殺した自動車が2台もあるんだよ -- 名無しさん (2026-05-02 12:54:12) - 若気の至りで神の祝福を受けられなくなったと考えれば可哀想な少年たちだ -- 名無しさん (2026-05-03 04:47:14) - 財団世界で定期的に出てくる一般悪魔実体兄貴好き -- 名無しさん (2026-05-04 12:59:05) - ブッダまげたなぁ -- 名無しさん (2026-05-04 15:05:49) - こんなことがあったらそりゃベガスにも行きたくなるよな -- 名無しさん (2026-05-06 08:58:33) - オチ好きw -- 名無しさん (2026-05-13 13:13:04) - 神様でも罰を与えられない領域に行ったって話だけど最後の少年たちの顔つきやらの話を聞くと天罰を与えるまでもないと思ってたりして -- 名無しさん (2026-06-24 01:23:08) #comment() #areaedit(end) }

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