論理哲学論考

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論理哲学論考 - (2021/08/28 (土) 16:26:31) のソース

&font(#6495ED){登録日}:2010/09/27(月) 00:56:48
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&font(#6495ED){所要時間}:約 3 分で読めます

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#center(){&big(){&bold(){&color(Blue){語りえぬものについては、}}}}
#center(){&big(){&bold(){&color(Blue){沈黙せねばならない}}}}


論理哲学論考とは、オーストリア出身の哲学者ウィトゲンシュタインが生前に刊行した唯一の哲学書である。

#center(){&big(){&bold(){&color(red){概要}}}}
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ウィトゲンシュタインは、この書で「全ての哲学的問題は解決した」とまで語っている。
数ある哲学書の中でも難書として有名で、本書に解説を載せた【哲学入門】で有名なラッセルをもってしても、この論理哲学論考(以下論考)の真意に達することはできなかった。

しかしウィトゲンシュタインは冒頭で、

&color(Blue){おそらく本書は、ここに表されている思想―ないしそれに類似した思想―をすでに自ら考えたことのある人だけに理解されるだろう}

と述べており、人によっては彼の意見を当たり前のように汲み取ることができたりもする。

また、本書を理解することができずとも、簡潔で美しく力強い言葉の数々に惹かれる者も多い。

#center(){&big(){&bold(){&color(red){内容}}}}
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美とは何か
正義とは何か
神は存在するか
死とは何か
幸福とは何か
そういった哲学的問題は思考不可能な問題であるという考えのもと、
『&color(Blue){私にはどれだけのことが考えられるのか}』を基本問題として、思考の限界を認識することによって思考しえぬものを浮き彫りにし、従来の哲学的お喋りに終止符を打とうとする。

しかし、『&color(Blue){どれだけのことが考えられるのか}』という問題に対して再び思考によって答えようとすることには、根本的な困難がある。
そこでウィトゲンシュタインは、言語の限界を明らかにすることによって思考の限界を示そうとする。
かくして、思考の限界の問いに代えて、
『&color(Blue){私にはどれだけのことが語りうるのか}』
という問いを出発点として、本書は長く深い言語哲学の道を歩み始める。
全体は
+世界は成立していることがらの総体である
+成立していることがら、すなわち事実とは、諸事態の成立である
+事実の論理像が思考である
+思考とは有意味な命題である
+命題は要素命題の真理関数である(要素命題は自分自身の真理関数である)
+真理関数の一般的形式はこうだ:[p,ξ,N(ξ)](携帯では表示できないがpとξの上には-がつく)
+語りえぬものについては、沈黙せねばならない
という7章からなり、それぞれの章は、番号づけられた短い命題の集合で構成される。
とても難しい言葉で書かれているが、一つ一つの命題がとても丁寧に書かれており、じっくりと読めばおおよその理解は可能であろう。

人には分かってもらえないかもしれないが、言葉にできないけれど、確実に存在してる感情が自分の中にある。
そういう考えを持っている方は、この本を読むとスッキリするかもしれない。

ちなみに、語りえぬものの存在はゲーデルが不完全性定理で炙り出しているので、この項目を見ている誰かが語りえぬものを語ることができるかもしれない。

#center(){&big(){&bold(){&color(red){余談}}}}
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・ケロQのAVG「[[終ノ空]]」と「[[素晴らしき日々~不連続存在~]]」では、主題のひとつとして物語の根底に「論考」を初めとしたウィトゲンシュタインの思想が引用されている。&br()哲学好きの方はプレイしてみては如何だろうか。

・この本は彼の弟子W.ラムゼイに「ただのスコラ哲学(神学)」と批判され、以後二十年の沈黙の後に『哲学探求』を記すことになる。



本書についてしっかりと書ききれる方の追記修正を望みます。
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- 「人には分かってもらえないかもしれないが、言葉にできないけれど、確実に存在してる感情が自分の中にある。……」この本読んでみるわ。ありがとう。  -- 名無しさん  (2013-12-11 20:48:31)
- 名著の項目はネタ項目も多いけど、この項目は丁寧かつしっかりと書かれていて好印象。こういうのが増えるといいな  -- 名無しさん  (2016-05-14 09:45:51)
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