&font(#6495ED){登録日}:2019/08/31 Sat 09:25:34 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 5 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- #center(){&italic(){&bold(){いつかあなたが死んじゃった時のためのおとぎ話…}}} #right(){ ――再演時のパンフレットより。 } 「煙が目にしみる」とは、鈴置洋孝原案、堤泰之作の演劇用脚本である。 *▼作品データ **●ストーリー 地方都市にある斎場の待合室で、白装束をまとったふたりの男がソファに座っている。元高校野球監督と、元実業家。窓の外に咲く桜を眺めながら、これまでの人生を振り返る男たち。彼らは、これから火葬される『死者』であった。 そんなふたりの会話を知るわけもなく、それぞれの家族は骨上げの時間を待ちながら思い思い時間を過ごしていた。そんな最中、元高校野球監督がボケ始めたおばあちゃん――自らの母親へつぶやくように遺して逝くことを謝ると、あたしゃまだ死なないよと啖呵を切りだす。彼女には、ふたりのことが見えていたのだ。 それをきっかけにして、「遺してゆく人たち」と「遺される人たち」の想いが少しずつ明かされていく。 これは、火葬が始まってから骨上げを終えるまでの90分の物語。 **●初演 -劇団名:鈴置洋孝プロデュース -劇場:シアターサンモール(東京都新宿区) -原案・プロデュース:鈴置洋孝 -脚本・演出:堤泰之 -上演日:1997年9月11日~9月15日 **●初演時のキャスト -野々村浩介 (元高校野球監督・故人):鈴置洋孝 -北見栄治 (元実業家・故人):[[内海賢二]] -野々村桂 (浩介の母):麻生美代子 -野々村礼子 (浩介の妻):駒塚由衣 -野々村亮太 (浩介の息子):中野順一朗 -野々村早紀 (浩介の娘):保坂エマ -原田泉 (浩介の従姉妹):山路清子 -原田正和 (泉の夫):和田太美夫 -乾幸恵 (栄治の娘):定岡小百合 -能あずさ (栄治の愛人):渡辺美佐 -牧慎一郎 (レンタルビデオ店店長):[[矢尾一樹]] -江沢務 (斎場の管理人):田中完 //「野々村桂」は登場人物として生きて出ているので「故人」表記は正しくありません。元の記述に戻します。 **●再演 -1998年11月3日~11月4日 -2000年8月24日~8月27日 ※紀伊国屋サザンシアターで上演。 -2003年4月22日~4月27日 -2007年2月6日~2月12日 ※鈴置洋孝追悼公演。浩介役は田中完が演じた。 **●概要 声優・鈴置洋孝を中心とした演劇集団の第1回公演作品であり、同演劇集団の代表作。 テーマは「生者と死者との対話」。「脚絆((布製のすね当て。ゲートルとも言う。現世では服の裾を抑えて巻き込みを防いだり、長時間歩行する際の足のうっ血を防ぐ目的で使われる。和装での死装束として身につける装具のひとつ。))のつけ方がわからない」「火葬されて黒コゲになる」「黒コゲのまま喫煙」といったコミカルさを用意しつつ、特異な能力を持つ人物を介して、本来であれば叶わないはずの最後の別れを描いた作品となっている。 2004年1月にはNHK-BS2にて2003年公演分が放送され、翌2005年6月にも再放送。鈴置洋孝プロデュース公演はDVD化されないことが公式で発表されているため、数少ない映像化の機会となった。 上記のとおり4回再演され、鈴置逝去後の追悼公演となった4回目でも本作を上演。鈴置にゆかりのある声優仲間や、過去に鈴置洋孝プロデュース公演に出演した演者たちが大勢ゲストとして登場した。 本作品の脚本は一般向けにも販売されており、鈴置洋孝プロデュースだけではなく、加藤健一事務所を始めとしたプロから高校の演劇部などのアマチュアまで、幅広い層において演劇のレパートリーとして広まっている。 **●エピソード -「鈴置洋孝プロデュース」では、本作以降屋上を舞台にした群像劇「スターダスト」やがん患者とのその妻、失明寸前の父とその息子を描いた「見果てぬ夢」、戦時中アメリカに渡った親族が1980年代に帰郷する「想い出のサンフランシスコ」など、多くの作品が上演された。一部の作品は日本テレビでかつて放送されていた「劇場中継」にて採り上げられている。 -本作以降、鈴置プロデュース公演では[[内海賢二]]と麻生美代子が出演する機会が多く設けられた。特に内海は相棒的な役柄として、麻生はメッセンジャー的な役柄として登場することが多かった。 -2006年5月には福島県いわき市で本作品の公演が予定されていたが、5月21日昼の開演を前にして鈴置が頸椎ヘルニアを発症したとされ入院。英治役の内海が報告に立って公演は中止になり、その2ヶ月半後となる8月6日、肺がんで急逝した。公表は8月10日、所属していた賢プロダクションと鈴置洋孝プロデュースの公式ホームページにて行われた。 -鈴置の逝去後に開かれたお別れ会では、「煙が目にしみる」のセットに遺影が飾られていた。 -麻生は鈴置の逝去に際し「『煙が目にしみる』が現実になるなんて。冗談きつ過ぎるよ。何度つぶやいた事か」と語っている。 -「煙が目にしみる」の最終公演では、観客席の最前列中央に空席が用意された。また、内海が「このステージのどこかの場面に、鈴置もビールを飲みながら出ていたかもしれません。皆さんからの目撃情報を待ってます」と呼びかけた。 -「鈴置洋孝プロデュース」の最終公演作は「この素晴らしき世界」。&font(b,#ff0000){現役ソープ嬢役に麻生美代子、そしてその娘でソープ嬢役にくじらを配する}という置き土産を残していった。 -解散後は麻生美代子を中心として、鈴置の名から採った演劇集団「鈴舟」を2008年に結成。旗揚げ公演の「想い出のグリーングラス」から2015年公演の「ソウルマン」まで活動した。一部公演には内海も参加し、&font(b){「煙が目にしみる」の続編的作品として「太陽のあたる場所」も上演された。} --&font(b){「太陽のあたる場所」}は、「煙が目にしみる」の主役・野々村浩介の娘である野々村早紀が結婚し、嫁ぎ先の義母・照子が亡くなるところから始まる物語。内海は義父である忠義役を演じた。こちらも映像メディア化はされていないが、「鈴舟」の公式ホームページにて舞台の内容がト書き、および写真とともに全て公開されている。 -内海賢二は2013年6月13日に、麻生美代子は2018年8月25日に逝去。これをもって、「鈴置洋孝プロデュース」「鈴舟」は全ての活動を終えた。 #center(){&italic(){&bold(){人の死というものは誰か一人のものではありません。&br()その人が生きている間に関わった、全ての人達のものです。}}} #right(){ ――野々村桂の言葉より。 } 追記・修正は、心残りなくお願いします。 #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,2) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #areaedit() - カッコ内こんなに長くする必要ある?(演劇)ぐらいで十分じゃない? -- 名無しさん (2019-08-31 19:31:51) - ↑自分も迷ったのですが、同名で中身が全く別物な演劇脚本や曲、戯曲、ドラマがあるのでこの表記にしました。 -- 名無しさん (2019-08-31 19:54:59) - オキナワノコワイハナシって番組で同名のドラマがあったなぁ -- 名無しさん (2019-08-31 23:51:11) - 今さらだが鈴置さんの項目まだないんだな… -- 名無しさん (2019-09-01 15:36:00) #comment #areaedit(end) }