Der Fuehrer's Face(ディズニー)

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Der Fuehrer's Face(ディズニー)」を以下のとおり復元します。
&font(#6495ED){登録日}:2018/01/06 Sat 13:53:40
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&font(#6495ED){所要時間}:約 5 分で読めます

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Der Fuehrer's Faceとは1943年のディズニー短編アニメ。直訳すると''「総統の顔」''。
あまりにヤバ過ぎるためか、現在まともな日本語訳バージョンは皆無である。
一応パブリックドメイン扱いであるためか、動画サイトで探せば原語バージョンは閲覧可能。
しかし、他のパブリックドメインディズニーアニメと違い、安売りDVDなどとして発売される可能性は今後も皆無であると思われる。

*あらすじ
ここはドイツ……風の街「ナチタウン」。朝早くからナチスの軍楽隊が「ハイル!」を唱えながら行進していた。
[[ドナルドダック]]は寝ぼけながら「ハイル!」をしつつ惰眠を貪っていたがナチスがそれを許すわけもなく、窓の外から銃剣で突かれて叩き起こされる。

飛び起きたドナルドはまずは「''ヒトラー''」「''ヒロヒト''」「''ムッソリーニ''」の写真に挨拶。
その後ヒトラーの絵の裏に隠したコーヒーを軍楽隊に見つからないよう飲みながら、「ベーコンエッグの香りの香水」と「鋸でないと斬れないパン」で朝食。
そして家に飛び込んできた軍楽隊に無理矢理工場まで連行されていく。

''「総統閣下のために1日48時間働くべし」''のスローガンと共に弾薬生産ラインに叩き込まれたドナルドは、次々と流れてくる弾薬を必死に処理しながら''なぜか同時に流れてくるヒトラーの写真に敬礼''していく。
あまりに大量の弾薬に疲れ果てたドナルドが「やってらんないよ」と呟くと即座に無数の銃剣が突き付けられ、「ハイルヒトラー!」を強要される。
さらに大量の弾薬を処理していたドナルドの下に待望の知らせが届く。
''「喜べ、労働者諸君!総統閣下の御慈愛により、ただいまより有給休暇とする!''」

同時にドナルドの背後に吊り下げられるアルプスの美しい風景。
「''総統閣下は君たちがもっと効率よく仕事ができるように体を鍛えることを望んでおられる!ワン・ツー・スリー・ハイ!ワン・ツー・スリー・ハイ!」''
号令と共に機械的に腕を動かし、体操するドナルド。
「''よし、休暇は終わりだ!」''
わずか''30秒''の有給休暇は終わりを告げ、再びドナルドは生産ラインに戻る。

その後もとにかく大量に流れてくる弾薬を必死に処理するドナルド。
疲れ果てた彼はとうとうわけのわからない幻覚を見始める。

……その後突然ベッドの中で目覚めたドナルド。壁に映るヒトラーの影に思わず「ハイル!」してしまうが、よくよく見るとそれは窓際に置かれた自由の女神像のレプリカだった。
壁には「HOME SWEET HOME」と書かれたそこがアメリカのわが家であり、今までの光景が悪夢であると理解したドナルドは、自由の女神像に抱き付き、「アメリカに忠誠を誓います」と言ったのだった。

そして最後はヒトラーのイラストにトマトが投げつけられ、トマトの残骸が「THE END」の文字となる。

*解説
わずか8分弱のアニメーションながら、かなり強烈な風刺とプロパガンダを含んだ作品である。
なお、当時は「ダックスバニー」を初め多くのアニメがこのようなプロパガンダを行っていたので、特にディズニーが国粋主義だったわけではないことは留意しておこう。「そういう時代だった」のだ。
同時に当時の「アメリカから見たナチス(及び日本とイタリア)」を容易に理解できるため、歴史資料としての価値も高い。
また、プロパガンダ作品ながら軽快かつヌルヌルと動く軍楽隊のアニメーション、終盤のドナルドの幻覚などコミカルなシーンも多く普通にアニメとしてのクオリティも十分。

ドナルドダック以外の登場人物は全てオリジナルであるが、冒頭の軍楽隊はナチスだけでなく日本人と含まれるメンバーが紛れている(芸の細かいことに他の登場人物がドイツ訛りの英語なのにコイツだけ日本語訛りの英語である)。

ドナルドが敬礼する三人の写真はいずれも極端に漫画風にデフォルメされているが、特にヒロヒト(昭和天皇)は悲惨で極端な出っ歯に吊り目と眼鏡という典型的な日本人像に描かれている(どちらかと言うと東条英機に似ている)。

コーヒーをわざわざ金庫に隠していたのは嗜好品を極端に制限するナチス(とコーヒーが大嫌いだったヒトラー)への皮肉であろう。「鋸でないと斬れないパン」も典型的なドイツ食のイメージである。

終盤のドナルドの幻覚は、国民を機械のように扱うナチスへの強い敵対心が感じられるシーンであり、「ハイルと唱える汽笛」「機械化するドナルド」「弾薬によって製造されるドナルド」など、短いながら印象的なシーンが多い。

ラストは「我らが自由の国アメリカ」への希望を描くシーンであるが、''自由の女神像の影がヒトラーに見える''というのは実に意味深である。''「アメリカだって気を付けないとナチスのようになる」''という警告、あるいは''「結局どちらの国も大して変わらないよ」''という皮肉を読み取ることも可能だろう。


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- YouTubeで見てきたが凄いプロパガンダだった… 当時の事が良く分かるし何より戦時中なのにこんなアニメを作れるなんてすごい。  -- 名無しさん  (2018-01-06 14:39:00)
- ↑戦時中だからではないだろうか?というかプロパガンダはそういう時期に作られるもので…  -- 名無しさん  (2018-01-06 14:55:54)
- プロパガンダなんてどこの国もやってるし  -- 名無しさん  (2018-01-06 15:38:07)
- 昔の海外から見た日本人のイメージ、眼鏡と吊り目(細目)はまだ分かるけど出っ歯のイメージはどっからきたんだ?  -- 名無しさん  (2018-01-06 17:15:09)
- ↑単純に戦前の日本では出っ歯が多かったから。背が低い+眼鏡+出っ歯はステレオタイプの日本人として「ティファニーで朝食を」にも出てくるよ  -- 名無しさん  (2018-01-06 17:36:26)
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