PCエンジン

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&font(#6495ED){登録日}:2019/06/17 Mon 05:12:24
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&b(){『PCエンジン』}はハドソンとNECの協力で開発され、1987年10月30日にNECホームエレクトロニクスから販売された家庭用ゲーム機。
位置付け的には第4世代ゲーム機の先陣を切った機種として紹介されているが、元々の開発理由は&b(){第3世代ゲーム機(特に最大シェアを誇っていた[[FC>ファミリーコンピュータ]])の性能に限界}をソフトメーカーであるハドソンが感じたことからで、発売当初は既に発売から数年が経過していたFC(と、セガマークⅢ)とも競いあった。
PCエンジン本体は8ビットゲーム機であるが、当時のゲーム機の常識を覆す高性能、高速演算機能を誇っていた。

また、PCエンジン最大の特徴と言えるのが、CDロム媒体を利用した拡張機器(CD-ROM2)が存在していたことである。
こうした仕様はコア思想と呼ばれ、形こそFC型を踏襲しているものの、端子接続で取り外し可能なコントローラーパッドや、多人数プレイに対応したマルチパッド等、後にゲーム機のスタンダードとなった仕様が最初に盛り込まれた先鋭的なゲーム機であった。

これは、PCエンジンの当初からの企画であり、世界でも初めて現在にも通じる光ディスクを使用したゲーム機であった。
1992年当時では[[スーパーファミコン]]に次ぐ、業界2位のシェアを誇っていたりと、忘れ得ぬ名機とシリーズである。

本項目では、そうしたPCエンジンの各機器についての解説も行っていく。
&b(){糞高かったり、存在する意味を考えてしまうバリエーションもあるが}。


*【開発経緯】
#openclose(show=後にPCエンジンとして結実する企画は、同時期にハドソンとNECの双方で起こっていた。){

先ず、ハドソンはFC市場にてソフトメーカーとして十分な成功を納めており((当時だけでも『ボンバーマン』シリーズや『桃太郎伝説』シリーズ『高橋名人』シリーズや『スターソルジャー』等のキャラバン対象ゲームを世に送り出している。))、会社には潤沢な資金があった時期だった。

FCやPCを対象にゲーム開発をしてきたハドソンだったが、当時のハードの限界性能に直面し、開発チームではより高性能のゲームを作ってみたいという欲求が募り、当時のハドソン社長工藤浩以下のハドソン技術者が動き、ハードメーカーでは無かった為に、性能を上げるチップを作ってみようという計画がスタートした。

しかし、半導体メーカーでも無いためにハドソン単体ではチップの開発も不能だったので、取りあえずは仕様書を書いて国内の半導体メーカーを回ってみることになった。
ゲーム開発でゲーム業界では有名になっていたとはいえ、北海道からやって来た怪しげなメーカーの話を聞いてくれる会社は(NECも含めて)なかなか見つからなかったが、そんな中でセイコーエプソンが話を聞いてくれることになった。

自ら赴いた工藤は「製品にするつもりはないから取りあえず一つだけ作ってくれ」「FCより性能のいいゲーム機が机の上にあればいい」と説得し、開発には相当な金がかかるというセイコーエプソン側に対し、工藤は「金から幾らでも用意するし何なら今ここに積む」と語り、これにはセイコーエプソン側も呆れたという。

そんなやり取りを挟みつつ、双方の開発者が合流してチップの開発を開始し、2億円の資金が投じられて1985年の末から1986年の初め頃に1000個から10000個の新型チップ=Hu7(またはHu6270)が完成した。

この新型チップはFCのCPUを上回る性能を発揮し、続いてハドソンはPC関係で付き合いのあるシャープにチップを持ち込んだ。
チップの性能を見たシャープは、これは商売になるとして、独自のゲーム機を開発する計画の話が出たが、
……結局、シャープでは任天堂と協力関係にあるということで、商売の邪魔になるようなハードの開発は出来ないということになってしまった。

続いて、工藤は以前にチップ開発は断られたNECに向かってみると、チップの性能を見たNECは、予てより企画に上がっていた、当時はPC業界でも高価過ぎて普及していなかったCDロムを利用したゲーム機の開発計画を工藤に話し、ここに両者の利害は一致を見たのだった。

こうして企画されたPCエンジンは、新型チップ搭載でHuカードを媒体とする本体を発売しておいてから、後にCDロム媒体の拡張機を発売する計画=コア思想に基づき販売計画が立てられていくこととなったのである。

PCエンジンは、チップはセイコーエプソン、本体販売はNECホームエレクトロニクス。
Huカードは三菱樹脂とハドソンが共同開発することで1987年10月より市場に投入され、FCのキャラバン企画でハドソンと協力関係にあった小学館の『コロコロコミック』等で特集が組まれたという。
}


*【主な機種の説明】

**PCエンジン
-小売価格 24,800円
-発売開始 1987年 10月30日
最初に発売された白い機種で、初代のみ映像出力がRF端子となっている。

**PC-KD863G
-小売価格 138,000円
-発売開始 1988年 9月27日
PCエンジン本体をCRTディスプレイに内蔵、RGB接続したもの。
初代よりも綺麗に映るのでゲーム雑誌が撮影用に利用した。

**PCエンジンシャトル
-小売価格 18,800円
-発売開始 1989年 11月22日
奇態な形をしたコア思想を廃した廉価版。
宇宙船イメージだが通称はカブトガニ。
変な形過ぎて通常のバックアップブースターが利用出来ない、これが発売された時には初代の店頭での販売価格が下げられてたり、中古にも出回ってる等、何の価値も見出だせない地雷バリエーション。

**PCエンジンコアグラフィックス
-小売価格 24,800円
-発売開始 1989年 12月8日
本体カラーを黒(暗灰色)にした初代のマイナーチェンジ版。
映像出力がコンポジットAV出力となり、家庭でも映像が綺麗に、接続も容易となった。
また、コントローラーパッドに連射機能が標準装備されており、以降のバリエーションの基本となった。

**PCエンジンスーパーグラフィックス
-小売価格 39,800円
-発売開始 1989年12月8日
通常型(初代、コアグラフィックス)に搭載されているグラフィックチップを2倍にした上位互換機で、真逆の発想のシャトルと並んで、奇態な形状をしている。
高性能を売りにし、その名の様に高いグラフィックを売りにしたが、対応ソフトが5本しか発売されない等、こちらも地雷バリエーションとなった。
尤も、専用の接続アダプタや電源アダプタが2つ必要となる等の問題はあるがCD-ROM2やスーパーCD-ROM2とも接続可能とシャトルよりはマシ。

**[[PCエンジンGT]]
-小売価格 44,800円
-発売開始 1990年 12月1日
詳細は当該項目参照。
Huカードを手元で楽しめるという、夢の携帯ゲーム機で、当時の子供達の憧れだが……高い。

**PCエンジンコアグラフィックスⅡ
-小売価格 19,800円
-発売開始 1991年 6月21日
コアグラフィックスのモデルチェンジ&値下げ版で、基本的な仕様は同一だが文字が青からオレンジ色に変わっている。
値段もお手頃でシャトル涙目である。

**PCエンジンDuo
-小売価格 59,800円
-発売開始 1991年 9月21日
PCエンジン本体とスーパーCD-ROM2の一体化型で、複数の本体バリエーションと、発展していく拡張機器のバリエーションに悩まされていた新規ユーザーにとっては夢のバリエーション。
とはいえ、本機種の登場でコア思想は事実上の終焉を向かえることになった、とか寂しいことを書かれている。
専用のモニターとバッテリーを利用して持ち運びも可能。
ゴチャゴチャしたこれまでのPCエンジンとは違い、洗練されたデザインは通産産業省のグッドデザイン賞を獲得している。
また、本機種の登場がソニーが任天堂にスーパーファミコン用のCDロム拡張機の開発を進言する切欠になったと言われており、それが後の第5世代覇権ハードの[[PlayStation]]になった辺り、如何にエポックメイキングなハードだったかが解る。

**PCエンジンLT
-小売価格 99,800円
-発売開始 1991年 12月13日
PCエンジン本体に折り畳み式の4インチTFT液晶ディスプレイを備えた機種で、GTの発展型といった位置付け。
しかし、携帯機ではなく遊ぶにはACアダプタの類が必要で、本体に電池は入れられない。(今と違って充電も出来ない)
拡張性が無かったGTとは違い、本機種は例の如く専用のアダプタが必要だがCD-ROM2やスーパーCD-ROM2とも接続可能で、小さいながらも通常型と同等の性能を誇るが……高過ぎる。

**PCエンジンDuo-R
-小売価格 39,800円
-発売開始 1993年 3月25日
夢の機種ながら高価格がネックとなっていたDuoの廉価版。
ヘッドフォン端子とバッテリー端子が廃され持ち運びが不能となったが、まず、誰も使ってないので問題無かった。
本体ハードを複数所持する人も増えてたので大助かり。

**レーザーアクティブ
-小売価格 89,800円(※本体のみ)
-発売開始 1993年 8月20日((NECからは同年12月1日から発売開始。))
パイオニアが開発したレーザーディスクプレーヤーで、市販のレーザーディスク、CDビデオに対応しているばかりか、PCエンジン(Huカード、CD-ROM2、スーパーCD-ROM2)、メガドライブ(カートリッジ、メガCD)に対応しているという、如何にも90年代に連発されていたマルチメディアを意識されたごった煮な機種。
本機種専用のアダルトソフト等も発売され、アーケードと同等のグラフィックで再現可能とマニアに喜ばれた。

**PCエンジンDuo-RX
-小売価格 29,800円
-発売開始 1994年6月25日
Duo系統の最終型にして、コア思想を含めたPCエンジンのオーラスを飾った機種。
Duo-Rのマイナーチェンジ版で、更に値下げされているが、CDの読み込み機能がアップしていたりと、買うならこれ。
コントローラーパッドのボタンも、それまでの2つから当時のブームを反映した6ボタンに変更されている。


*【HuCARD】
PCエンジン本体の対応ソフトで、ICカード型というのは、本体発売当時のカートリッジ方式のソフトが一般的だった中では異質な形態だった。
初期型は2Mbit(256KB)しか記録出来なかった為に、PCエンジン初期のキラーソフトの『R-TYPE』が、高いアーケード再現が話題となりながらも、二本に分けて発売される羽目になったりした。
後に容量の大きなカードも登場し、格闘ゲーム全盛時に移植された『ストリートファイターⅡ'』では、20Mbitとなっている。
また、カートリッジの様にソフト自体にバックアップ機能は持たせられたかったために、初期に発売された『邪聖剣ネクロマンサー』等では、パスワードが採用されていたが、後に外付け式のバックアップブースターが発売されて解消された。


*【CD-ROM2】
-小売価格 57,300円((消費税の導入によるユニット一律課税後の値段。発売当初はCDユニットが音響機器扱いで物品税がかかっていたことから、CDユニットは32,800円。税金がかからないインターフェースユニットは27,000円で別売だった。))
-発売開始 1988年 12月4日
PCエンジン本体発売から約一年後に発売された、世界初のCDソフト媒体によるゲーム機。
CDユニットの隣に本体をセットし、Huカードの替わりにシステムカードを挿入することで起動させる。
NECがFC登場以降から計画していた機種で、前述の様にハドソンとの利害の一致により、PCエンジンの周辺機器として実現した。
Huカードに対して、540MBもの大容量を使えるCD-ROM2は大きな話題となり、高額ながらPCエンジンの大きな売りとなった。
当初のRAM容量はメイン64KB、ADPCM64KB程度で、一度に大きなデータを読め込めなかったために容量を食う演出では頻繁な読み込みが必要となったが、後に上位機種であるスーパーCD-ROM2、アーケードカードが登場したことにより解消された。
発売時期によって、初期型、中期型、後期型が存在しており、同梱されたシステムカードもバージョンアップされている。
システムカードは単独でも発売され、更にスーパーCD-ROM2やアーケードカードが登場してからは、専用システムカードを用いることで、通常型のCD-ROM2でも対応ソフトを遊ぶことが可能である。


*【SUPER CD-ROM2】
-小売価格 47,800円
-発売開始 1991年 12月13日
CD-ROM2の上位機種で、搭載SRAMが4倍に強化された。
これによって、読み込み機能の強化がされ、通常型の問題点が解消されて、よりCD媒体であることを活かした演出のされたソフトも発売された。
ハードの形態は通常型と大きく異なっており、本体の後部にスッポリと被せる形態となっている。
上位機種ながらシステムが一体化されたことにより価格も下げられている。
本機種が発売された頃に、ライバルの一つであるメガドライブの拡張機器であるメガCDが発売され、性能面ではスーパーCD-ROM2をも大きく上回っていたものの、前述の様に従来のCD-ROM2もバージョンアップさせることが可能だったPCエンジンの牙城を崩すまでには至らず、最初からCDソフト媒体で登場した第5世代ゲーム機の登場まで、CD媒体ハードではPCエンジンがシェアを獲得していた。

*【アーケードカード】
-小売価格 12,800円(Duo)
-小売価格 17,800円(PRO)
-発売開始 1994年 3月12日

PCエンジン最後期に登場した、スーパーCD-ROM2システムのバージョンアップ用のシステムカード。
商品名はアーケードカードDuo。
これを利用することで、更に高速で大容量のデータを読み込むことが可能で、その名の様に一度に大きなデータを読み込む必要がある、当時のアーケードで人気のあったSNK格闘ゲームの移植作品等に用いられた。
尚、通常型のCD-ROM2でアーケードカードを使用する場合には、スーパーCD-ROM2のシステムも読み込める方のアーケードカードを使う必要があった。
商品名はアーケードカードPRO。
とはいえ、それを用いれば古いシステムでも最新のゲームまで遊べる辺りは優しい作りといえる。


*【海外展開】
海外市場ではTurboGrafx-16の名称で発売された。
国内のPCエンジンがコア思想に基づくコンパクトなデザインだったのに対し、TurboGrafx-16は海外では小さいと割高感を感じて敬遠されるということから、中身は同じながら、値段に見合った大きさを与えられている。
この為、CD-ROM2ユニットも見た目が大きく変えられている上に、合体させると凸型になる等、国内の物に比べて歪な形状となっている。
米国ではジェネシス(メガドライブ)とスーパーNES(スーパーファミコン)が市場を争う中で此方では食い込めず、売上に苦心した。
尚、PCエンジンは8ビット機なのに、TurboGrafx-16には16と付いてるのは、それらのライバル機が16ビットを売りにしていたからである。
欧州ではフランスを除いては正式販売がされなかったが、フランスでは日本国内版をRGB仕様に変えただけで発売されて、好評を得た。
フランスでは名称もPCエンジンである。
また、イギリスでTurboGrafx-16が極少数販売されたとの報告がされている。


*【余談】

-90年代当時には専門誌やNECやハドソン提供による、PCエンジンを中心としたゲーム紹介番組も多く制作されていた。ゲーム好きで知られる大竹まことによる『大竹まことのただいま!PCランド』等は、このテの番組では異例の3年近くもの放映期間を誇っている。同じくゲーム好きのダウンタウンと組んだものまである。


-2019年に近頃の往年の名ハードのミニブームに乗って、コナミデジタルエンタテインメントより『PCエンジン mini』の発売予定が発表された。形状は初代で、収録タイトル等は未定だが、CD-ROM2のソフト等も含まれる模様。





追記修正用システムカードを差し込んでから編集お願いします。

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- 所々にゲーム機とは思えない数の諭吉が飛んでいく値段が…NECさん、家電か何かと間違えてませんか!?  -- 名無しさん  (2019-06-17 09:10:22)
- ミニの発売を見てなんでコナミから?と思ったらハドソン絡みなのか。NECのイメージしか無かったわ。  -- 名無しさん  (2019-06-17 09:34:46)
- PSも家電の一種として流通されてるし、時代が早すぎたんや  -- 名無しさん  (2019-06-17 09:36:39)
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