PCエンジン

登録日:2019/06/17 Mon 05:12:24
更新日:2019/08/05 Mon 21:09:23
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『PCエンジン』はハドソンとNECの協力で開発され、1987年10月30日にNECホームエレクトロニクスから販売されたHE-SYSTEM規格に基づく家庭用ゲーム機。
HE-SYSTEMとは、本機種の開発に伴い提唱されたもので、PCエンジンのライセンス証明として、正規の本体機種とオプション商品全てにロゴが付けられている。


【概要】

位置付け的には第4世代ゲーム機の先陣を切った機種として紹介されている。
が、同じく第4世代に数えられるスーパーファミコンやメガドライブが16ビットゲーム機であったのに対し、PCエンジン本体は8ビットゲーム機である。
これは本機の開発の発端が第3世代ゲーム機(特に最大シェアを誇っていたFC)の性能に限界をソフトメーカーであるハドソンが感じたことからで、発売当初は既に発売から数年が経過していたFC(と、セガマークⅢ)とも競いあっている。
それゆえ当時のゲーム機の常識を覆す高性能、高速演算機能を誇っていた。


また、PCエンジン最大の特徴と言えるのが、CDロム媒体を利用した拡張機器(CD-ROM2)が存在していたことである。
こうした周辺機器との接続を前提とした仕様はコア構想と呼ばれ、形こそFC型を踏襲しているものの、
多人数プレイに対応したマルチパッド等、後にゲーム機のスタンダードとなった仕様が最初に盛り込まれた先鋭的なゲーム機であった。

これは、PCエンジンの当初からの企画であり、世界でも初めて現在にも通じる光ディスクを使用したゲーム機であった。
1992年当時ではスーパーファミコンに次ぐ、業界2位のシェアを誇っていたりと、忘れ得ぬ名機とシリーズである。

本項目では、そうしたPCエンジンの各機器についての解説も行っていく。
糞高かったり、存在する意味を考えてしまうバリエーションもあるが


【開発経緯】



【主な機種の説明】


PCエンジン

  • 小売価格 24,800円
  • 発売開始 1987年 10月30日
最初に発売された白い機種。上から見るとコンパクトな正方形サイズで、他社のゲーム機より小さくすっきりした印象を受ける。当時の子供たちに「ファミコンより小さいのにリアルな画質でゲームができてスゲー」というインパクトを植え付けることに成功した。
この初代機のみ映像出力がRF端子となっている。コンポジットAV出力にも対応するが、後に発売されたCD-ROM2またはスーパーCD-ROM2を利用するか、本体サイズと同じくらいはあるオプション機器のAVブースターやバックアップブースターを接続しなければならない。

PC-KD863G

  • 小売価格 138,000円
  • 発売開始 1988年 9月27日
PCエンジン本体をCRTディスプレイに内蔵、RGB接続したもの。
初代よりも綺麗に映るのでゲーム雑誌が撮影用に利用した。

PCエンジンシャトル

  • 小売価格 18,800円
  • 発売開始 1989年 11月22日
コア構想を捨てた廉価版。
フラットなデザインの初代機から一転、奇態な形をしている。宇宙船イメージだが通称はカブトガニ。コロコロコミックの記事では同年のスーパーX2(平成ゴジラ)に似ていると評された。廉価版なのに同梱コントローラはわざわざ他機種と異なる特別デザイン。
変な形にこだわり過ぎて拡張バスを取っ払ったため、PCエンジン最大の特徴でもあるCD-ROM2システムとの接続はできない。さらにバックアップにはシャトル専用品が必要で、安価に出回っていた初代機&コアグラフィックス共用のバックアップブースターも利用出来ない。
これが発売された時には初代の店頭販売価格が下げられてたり、中古も出回っている等で、何の価値も見出だせない地雷バリエーション。

PCエンジンコアグラフィックス

  • 小売価格 24,800円
  • 発売開始 1989年 12月8日
本体カラーを黒っぽい暗灰色にした初代のマイナーチェンジ版。黒地にロゴの水色が映える。通称コアグラ。
映像出力がコンポジットAV出力となり、家庭でも映像が綺麗に、接続も容易となった。ただRF接続の場合は別売りの専用ケーブルが必要。また、コントローラーパッドには連射機能が標準装備された。これらは以降のバリエーションの基本仕様となった。(実はどっちもシャトルの方が先だったりするけど)

当時のカタログチラシではコアマシンと表現されており、以降拡張バスを備えた基本ハードの初代機・コアグラ・コアグラIIはまとめて「コアマシン」と呼称されることとなる。


PCエンジンスーパーグラフィックス

  • 小売価格 39,800円
  • 発売開始 1989年12月8日
通常型(初代、コアグラフィックス)に搭載されているグラフィックチップを2倍にした上位互換機で、真逆の発想のシャトルと並んで、奇態な形状をしている。
高性能を売りにし、その名の様に高いグラフィックを売りにしたが、対応ソフトが5本しか発売されない等、こちらも地雷バリエーションとなった。
尤も、専用の接続アダプタや電源アダプタが2つ必要となる等の問題はあるがCD-ROM2やスーパーCD-ROM2とも接続可能とシャトルよりはマシ。

PCエンジンGT

  • 小売価格 44,800円
  • 発売開始 1990年 12月1日
詳細は当該項目参照。
Huカードを手元で楽しめるという、夢の携帯ゲーム機で、当時の子供達の憧れだが……高い。

PCエンジンコアグラフィックスⅡ

  • 小売価格 19,800円
  • 発売開始 1991年 6月21日
コアグラフィックスのモデルチェンジ&値下げ版で、基本的な仕様は同一だが、本体デザインが若干変わり色もより明るい灰色に、文字は水色からオレンジ色に変わった。これらは後に発売となるSUPRE CD-ROM2本体に合わせたものとなっている。
値段もお手頃でシャトル涙目である。

PCエンジンDuo

  • 小売価格 59,800円
  • 発売開始 1991年 9月21日
PCエンジン本体とスーパーCD-ROM2の一体化型で、複数の本体バリエーションと、発展していく拡張機器のバリエーションに悩まされていた新規ユーザーにとっては夢のバリエーション。
とはいえ、拡張バスを廃止した本機種の登場でコア構想は事実上の終焉を向かえることになった、とか寂しいことを書かれている。逆に言えば完成形とも。
専用のモニターとバッテリーを利用して持ち運びも可能。
ゴチャゴチャしたこれまでのPCエンジンとは違い、洗練されたデザインは通産産業省のグッドデザイン賞を獲得している。
また、本機種の登場がソニーが任天堂にスーパーファミコン用のCDロム拡張機の開発を進言する切欠になったと言われており、それが後の第5世代覇権ハードのPlayStationになった辺り、如何にエポックメイキングなハードだったかが解る。

PCエンジンLT

  • 小売価格 99,800円
  • 発売開始 1991年 12月13日
PCエンジン本体に折り畳み式の4インチTFT液晶ディスプレイを備えた機種で、GTの発展型といった位置付け。
しかし、携帯機ではなく遊ぶにはACアダプタの類が必要で、本体に電池は入れられない。(今と違って充電も出来ない)
拡張性が無かったGTとは違い、本機種は例の如く専用のアダプタが必要だがCD-ROM2やスーパーCD-ROM2とも接続可能で、小さいながらも通常型と同等の性能を誇るが……高過ぎる。

PCエンジンDuo-R

  • 小売価格 39,800円
  • 発売開始 1993年 3月25日
夢の機種ながら高価格がネックとなっていたDuoの廉価版。
ヘッドフォン端子とバッテリー端子が廃され持ち運びが不能となったが、まず、誰も使ってないので問題無かった。
本体ハードを複数所持する人も増えてたので大助かり。
本機種も93年のグッドデザイン賞を受賞している。

レーザーアクティブ

  • 小売価格 89,800円(※本体のみ)
  • 発売開始 1993年 8月20日*2
パイオニアが開発したレーザーディスクプレーヤーで、市販のレーザーディスク、CDビデオに対応しているばかりか、PCエンジン(Huカード、CD-ROM2、スーパーCD-ROM2)、メガドライブ(カートリッジ、メガCD)に対応しているという、如何にも90年代に連発されていたマルチメディアを意識されたごった煮な機種。
本機種専用ソフトにLD-ROM2があり、図鑑やクイズなどに混じってアダルトソフトも発売され、アーケードと同等のグラフィックで再現可能とマニアに喜ばれた。

PCエンジンDuo-RX

  • 小売価格 29,800円
  • 発売開始 1994年6月25日
Duo系統の最終型にして、コア構想を含めたPCエンジンのオーラスを飾った機種。
Duo-Rのマイナーチェンジ版で、更に値下げされているが、CDの読み込み機能がアップしていたりと、買うならこれ。
コントローラーパッドのボタンも、それまでの2つから当時のブームを反映した6ボタンに変更されている。このパッド形状はPC-FXへ流用された。


【HuCARD】

PCエンジン本体の対応ソフトメディアで、サイズはICカードに厚みをもたせたくらい。PCエンジン発売当時の他ハードではカートリッジ方式のソフトが主流だった中、異質な形態だった。
ただしPCエンジンより前にも同種のカード型ソフトメディアとして、セガマークIIIなどセガハードでは「マイカード」、パソコン用にはハドソンが「BEEカード」を採用していた。これらはすべて三菱樹脂が開発したという共通点があり、形状もよく似ている。

初期型は2Mbit(256KB)しか記録出来なかった為に、PCエンジン初期のキラーソフトの『R-TYPE』が、高いアーケード再現が話題となりながらも、二本に分けて発売される羽目になったりした。
一方すでにマイカードからカートリッジに戻していたセガマークIIIの『R-TYPE』は当然1本に完全収録。カードサイズメディアに拘っていたPCエンジンの方向性が伺える。
後に容量の大きなカードも登場し、格闘ゲーム全盛時に移植された『ストリートファイターⅡ'』では、20Mbitとなっている。

また、コストや強度の兼ね合いから、カートリッジの様にカード内部へバックアップ機能を持たせることが難しかったため、『邪聖剣ネクロマンサー』等初期に発売されたソフトではパスワードが採用されていたが、後に外付け式のバックアップブースターが発売されて解消された。
ちなみにバッテリーバックアップ機能付きのHuCARDとしては、バックアップユニットとのセーブデータ管理ができる周辺機器「天の声バンク」が存在するものの、ゲームソフトでは採用されなかった。

【CD-ROM2】

  • 小売価格 57,300円*3
  • 発売開始 1988年 12月4日
PCエンジン本体発売から約一年後に発売された、世界初のCDソフト媒体によるゲーム機。
インターフェースユニットを土台に左へCDユニット、右にPCエンジン本体をセットし、Huカードの替わりにシステムカードを挿入することで起動させる。
NECがFC登場以降から計画していた機種で、前述の様にハドソンとの利害の一致により、PCエンジンの周辺機器として実現した。
Huカードに対して、540MBもの大容量を使えるCD-ROM2は大きな話題となり、高額ながらPCエンジンの大きな売りとなった。
当初のRAM容量はメイン64KB、ADPCM64KB程度で、一度に大きなデータを読め込めなかったために容量を食う演出では頻繁な読み込みが必要となったが、後に上位機種であるスーパーCD-ROM2、アーケードカードが登場したことにより解消された。
発売時期によって、初期型、中期型、後期型が存在しており、同梱されたシステムカードもバージョンアップされている。
システムカードは単独でも発売され、更にスーパーCD-ROM2やアーケードカードが登場してからは、専用システムカードを用いることで、通常型のCD-ROM2でも対応ソフトを遊ぶことが可能である。


【SUPER CD-ROM2】

  • 小売価格 47,800円
  • 発売開始 1991年 12月13日
CD-ROM2の上位機種で、搭載SRAMが4倍に強化された。
これによって、読み込み機能の強化がされ、従来の問題点を解消、よりCD媒体であることを活かした演出のされたソフトも発売された。PCエンジン後半のソフトウェア供給はHuCARDが衰退し、SUPER CD-ROM2へ置き換わっていく。

ハードの形態はCD-ROM2と大きく異なっており、本体の後部にスッポリと被せる形態となっている。
上位機種ながらシステムが一体化されたことにより価格も下げられている。

本機種が発売された頃に、ライバルの一つであるメガドライブの拡張機器であるメガCDが発売され、性能面ではスーパーCD-ROM2をも大きく上回っていたものの、前述の様に従来のCD-ROM2もバージョンアップさせることが可能だったPCエンジンの牙城を崩すまでには至らず、最初からCDソフト媒体で登場した第5世代ゲーム機の登場まで、CD媒体ハードではPCエンジンがシェアを獲得していた。

SUPER CD-ROM2本体は、まだCD-ROM2を導入していない初代機やコアグラユーザーに向けて発売されたものだが、先行発売の一体型ハードDuoへ買い替え需要が流れたこと、既存のCD-ROM2ユーザーはスーパーシステムカードの導入でアップグレードできたこと、さらに値下げされたとはいえ経済力のない子供ユーザーにはやはり手の出ない価格だったため、このハードの出回りは少ない。

【アーケードカード】

  • 小売価格 12,800円(Duo)・ 17,800円(PRO)
  • 発売開始 1994年 3月12日

PCエンジン最後期に登場した、スーパーCD-ROM2システムのバージョンアップ用のシステムカード。
商品名はアーケードカードDuo。
これを利用することで、更に高速で大容量のデータを読み込むことが可能で、その名の様に一度に大きなデータを読み込む必要がある、当時のアーケードで人気のあったSNK格闘ゲームの移植作品等に用いられた。
尚、通常型のCD-ROM2でアーケードカードを使用する場合には、スーパーCD-ROM2のシステムも読み込める方のアーケードカードを使う必要があった。
商品名はアーケードカードPRO。
とはいえ、それを用いれば古いシステムでも最新のゲームまで遊べる辺りは優しい作りといえる。


【海外展開】

海外市場ではTurboGrafx-16の名称で発売された。
国内のPCエンジンがコア思想に基づくコンパクトなデザインだったのに対し、TurboGrafx-16は海外では小さいと割高感を感じて敬遠されるということから、中身は同じながら、値段に見合った大きさを与えられている。
この為、CD-ROM2ユニットも見た目が大きく変えられている上に、合体させると凸型になる等、国内の物に比べて歪な形状となっている。
米国ではジェネシス(メガドライブ)とスーパーNES(スーパーファミコン)が市場を争う中で此方では食い込めず、売上に苦心した。
尚、PCエンジンは8ビット機なのに、TurboGrafx-16には16と付いてるのは、それらのライバル機が16ビットを売りにしていたからである。
欧州ではフランスを除いては正式販売がされなかったが、フランスでは日本国内版をRGB仕様に変えただけで発売されて、好評を得た。
フランスでは名称もPCエンジンである。
また、イギリスでTurboGrafx-16が極少数販売されたとの報告がされている。


【余談】


  • 90年代当時には専門誌やNECやハドソン提供による、PCエンジンを中心としたゲーム紹介番組も多く制作されていた。ゲーム好きで知られる大竹まことによる『大竹まことのただいま!PCランド』等は、このテの番組では異例の3年近くもの放映期間を誇っている。同じくゲーム好きのダウンタウンと組んだものまである。


  • 2019年に近頃の往年の名ハードのミニブームに乗って、コナミデジタルエンタテインメントより『PCエンジン mini』の発売予定が発表された。形状は初代で、収録タイトル等は未定だが、CD-ROM2のソフト等も含まれる模様。
    本機の共同開発を行ったハドソンはコナミに買収され、NECホームエレクトロニクスは解散。NEC-HEの権利を受け継いだBIGLOBEはNECグループから離脱……という状況から「任天堂やソニー、セガハードと違い復刻は困難ではないか」という不安を良い意味で裏切る発表となった。


  • 当時のハドソン宣伝部の社員で、社命を受けてファミコン名人として広告塔を務めていた高橋名人(高橋利幸)がファミコン名人の肩書きを下ろすことになった切欠でもある。(同時期にファミコンブームも次世代機に地位を譲り渡していった。)PCエンジンの宣伝に回された結果、当時の『コロコロ』で連載されていた名人をキャラクターとした漫画『ファミコンランナー高橋名人物語』が打ちきりとなり、最終巻も発売されなかった。


  • 2019年8月、NECパーソナルコンピュータはゲーミングPCのブランドとして「プロジェクト炎神(エンジン)」を立ち上げた。そのロゴはどう見てもPCエンジンをベースにしたものであり、制作陣も意図的にPCエンジンに寄せたものであると認めている。



追記修正用システムカードを差し込んでから編集お願いします。

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