殺し屋1

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殺し屋1 - (2019/08/12 (月) 07:30:47) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2010/03/03(水) 18:13:15
更新日:2024/03/31 Sun 15:36:31
所要時間:約 5 分で読めます


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愛は、かなりイタい。



1998〜2001年頃に週刊ヤングサンデーで連載していた山本英男の漫画。全10巻。
同作者による外伝としてイチが殺し屋になる前を描いた「1-イチ-」もある。全1巻。

2001年には実写映画化がされ、2017年にはLINEスタンプが発売された。
基本的に性描写で指定される映倫のR-18指定に、暴力描写が理由でブッ込まれた初めての作品とも言われている。

◆ストーリー

ドSの聖人(セイント)イチとドMの垣原の眠らない街、新宿の「ヤクザマンション」で巻き起こる笑いあり、涙あり、必然性ナシのラブ&コメディ!


過激な暴力描写が目立ち、そこばかりが取り上げられることが多い本作品だが、実際はSMを通じて作者の人間観が見られるとてもハートフルでロマンティックな作品である。







以下にはネタバレ暴力的表現を含みますので未読の方やそういった内容を好まない方は注意して下さい。

◆主な登場人物


〇主人公

  • イチ
本作の主人公。本名・城石一(しろいしはじめ)。真正サディスト。
気弱な性格で、一人称は「ボク」。

新潟出身で、歌舞伎町までは10時間かけて自転車で通っている。
超人的な脚力を持っており、戦闘の際は足技を使う。戦闘時は背中にカメの甲羅がついた奇妙なボディアーマーと、かかとに刃を仕込んだ靴を装備する。
蹴りの精度も靴の刃の切れ味も尋常ではなく、閉まっているドアのラッチと鍵を正確に切る、一撃で人体を真っ二つにするなど訳の分からない離れ業を披露している。

中学生時代にいじめを受けており、その時のトラウマを現実に応用し妄想に浸ることで瞬発的に殺人マシーンと化す。知能遅滞の疑惑あり。
垣原曰く「聖人(セイント)」。

人に対しては基本引きつった笑顔を見せるが、子供の前ではとても普通に笑う。
最後は稼いだ金で東京で暮らし始めたようだが、新宿の欲望に飲まれ、普通のイケメンになった。
が、些細な事でヤクザにケンカを吹っかけられ、「殺し屋イチ」復活を匂わせるラストシーンで幕を閉じる。


  • 垣原雅雄
本作のもう一人の主人公。真正マゾヒスト。35歳
安生組の若頭。後に安生組の大本である三合会を絶縁され、垣原組を立ち上げる。
顔に大きな傷痕が三本と大量のピアス、ヒゲ、口は大きく裂け、髪型はアシンメトリーと一度見たら忘れられない風貌をしている。

錐のような細長い棒を愛用し、武器としてはもちろん、オトシマエにも使う。
希望がないため怖いモノがなく、ひたすら強い。
凶暴な性格ではあるが、シノギで繋がってる半グレや、喧嘩を売られた時以外はカタギには極力手を出さず、
殺し屋と知らずに知り合ったイチを笑顔がキモくて殴ったものの「この田舎モンの金一銭も取るんじゃねぇゾ」と部下に命じて見逃してやったりと、「極道」としての最低限の人情は持っている描写もある。

戦闘では裂けた口を利用した噛みつきが得意。
口が裂けているので、大の大人の拳を丸ごと咥えられる。
スーツの下は亀甲縛りをしている。
また体幹・脚力も相当で脚だけでブリッジができ、そのまま起き上がれる。

ちなみに作者はこの作品の連載中、彼のキャラがよく分からなくなり精神学者のもとに相談に行ったという。その時得られた学者の答えは「初夜を前にした十七の少女」

最後の最期にイチという圧倒的な暴力を前に絶望と痛みを味わい、生という希望へ向けて決死の逃亡を図った。
逃亡の中でマンションから隣のビルの屋上のフェンスに飛び付くもイチのキックビーム(刃の付いた靴を投げただけ)で3本の指を切断され、残った人差し指と親指でしぶとく縋ったものの偶然止まったハトの糞を食らってしまい、糞で指が滑って転落死した。

読者人気も高く(多分)、名ゼリフも多い。


ちなみに実写版では、スクリーンで目立たせる為、黒スーツから派手なブランド物ファッションに金髪の風貌に変更されている。


〇はぐれ者グループ(仮称)

  • ジジィ
はぐれ者グループを仕切る切れ者。
眠らない街新宿の最もオモシロい場所ヤクザマンションでの安生組壊滅を目論む。
ジジィの目的は『平和の新宿(ハイキョ)計画』
口癖は「へへ…」
パッと見は小柄なジジィだが、大量のステロイドを摂取しており、作中でも屈指のマッチョ。
実年齢は…


  • (のぼる)
ジジイのはぐれ者グループの一人。坊主で筋肉質。
銃器の密輸入をシノギにしている。

半グレだが人情深く、作中の数少ないまともな人間の一人。
…しかし
・手の甲の肉を噛みつきで削がれる
・素手で両腕をもがれる
チンコをハサミで縦に両断される
・最後は助けにきたと思っていたイチに殺される
などの酷い扱いを受けた。

はぐれ者3人組の中で唯一イチと出会った人物でもある。(上記の通り、会ってすぐ殺されたが)


  • 井上
はぐれ者グループの一人。
スキンヘッドでヤク中でヘロインを打っている。
その上ネクロフィリアで、男女関係なく喰ってしまう両刀使いという、垣原とは別ベクトルでイヤな属性てんこ盛りの男。

実は本名は「加納」。
元安生組の組員で、3年前にジジィの命令により盗聴機を設置したりしていた。
安生組では(一応)禁じ手にしてるシャブの件で不祥事を起こしたとして破門されたらしいが、この破門自体もワザとの可能性もある。
破門後は新宿で生きていく為に整形している。

留守番中にヤクが切れてしまい、禁断症状で奇行に走ってた中、垣原達に踏み込まれてシュールかつ凄惨な拷問を受けた末に頭を針で刺し貫かれて死亡。
死亡後に処女喪失した。
何気に名言多し。

「顔…いじってあるからな……」
「天国で射精しな」
「俺が死んだら犯してぐれねェが……」


  • (りゅう)
はぐれ者グループの一人。イケメン中国人。
女に貢がせて食べている、いわゆる「ヒモ」。
でも彼なりに女に対する優しさを持っており、根は良いヤツ。

カレンの罠にかかって彼女のミユキとの逢い引き中に双子に攫われ、拷問を受けてしまう。
拷問中に双子のくだらねェケンカが勃発。悲鳴対決と称され散々いたぶられた挙句に二郎に睾丸を潰され、三郎に潰れた睾丸をドスで刺されて死ぬ。
…が、「男」としてはある意味勝った。
ミユキも龍の死の直後に二郎に殴られて死亡した。

映画版では昇の設定を統合された。
将来はミユキと二人で自由が丘で喫茶店を開くことが夢だった。

「女ダマしてるワケじゃないよ。女って、寂しい生き物。
 一人じゃ生きられない女、世の中にいっぱいいるね。
 そういう女助けて、お金もらう。当たり前よ。」   
「ミユキ……対不起(トエプチ)(ごめんね)……」


〇安生組→垣原組

  • 金子修二
垣原組の組員で鉄砲玉。
元キックボクサー。(実写版では元警官)
ことある毎に銃を向け発砲しようとするが、実はヘタレで昇に銃を向けられた時は怯えて何もできなかった。

正体を知らずにイチと友達になっていたが、最後は戦い、イチに殺された。
「タケシを頼む……」


  • 高山(たかやま)
垣原組の組員。
垣原の右腕のような立場で、垣原組が独立してからは若頭に昇格したのか、「カシラ」と呼ばれるようになった。

「凡人欲しか持たないブタ」と評されたが、作中ではまともな方。
双子には「ゴリラ」と呼ばれている。

最期はジジイに首を折られる。


  • 藤原
垣原組の組員で下っ端。
チ〇コピアスされたり命令で井上の死体と死姦させられるなど、損な役回りばかり。

それでもなんだかんだ長く垣原組に留まっていた*1が、二郎の死亡後についに限界を迎え、二郎・高山・昇の3人の死体を処分すると共に実家へ逃げ帰っていった。
そのおかげで辛うじてジジィの殺害リスト入りを免れた。(ジジィも元から彼だけは見逃してやるつもりだったようだが)


  • 二郎
  • 三郎
垣原もいた6年前に解散した阿藤組の元組員で、垣原に助っ人として呼ばれる。
リーゼントの方が二郎でドレッドヘアーの方が三郎。
元は「一郎」を長男に持つ三つ子だったが、兄弟喧嘩の際、一郎が死に双子になった。

二人とも「マメドロボウ*2」で食ってるが、二人の暴力に耐えられなくなった女達が夫に打ち明けた事で、複数の組から追われる身になっている。
二郎は怪力で三郎はドスグセが悪い。
実は垣原の口を裂いたのは二郎で、顔の傷痕をつけたのは三郎。
双子だが実は仲は最悪で、どっちが優れているか、というしょうもない理由でしょっちゅう兄弟同士で張り合っている。
カタギすら平気で巻き添えにする事もあり、垣原にさえ「人に迷惑かけたらイカンだろ」と釘を刺されるほど。

二郎は昇の拷問中にイチの襲来を受け、昇の視線からイチの武器を見抜き、脱がして封じて殴るなど割と善戦したがイチの異常な脚力で両腕を壊された後首を折られて死亡。
三郎は垣原とイチの捜索中に遭遇。初撃をドスで受け止めるも緊張でドスを落としてしまい、その隙を突いたイチによって頭の皿を切断され、脳をぶちまけて死んだ。
最期の「ドス落としただけなのに…」は印象的。

つまらないケンカで周囲を巻き込み、作中でもかなりえげつないことを平然とやってのけて読者からかなりヘイトを集めていた二人だが、その最期はあっけないものだった。


  • 安生芳雄
新宿の暴力団の中でも武闘派として一番恐れられている、安生興業(安生組)の組長。ロリコン。
第一話にてイチに殺害されるが、密かにダイイング・メッセージを遺していた。*3
生粋の武闘派ヤクザであり、垣原は安生から受ける暴力に悦びを感じていたとされるが、実際は次の存在が見つかるまでの気休めでしかなかったらしい。


〇その他の人物

  • カレン
ホステス。
安生の元愛人で、垣原に様々な手助けをするが、実は裏でジジィと二つの意味で繋がっていた(←うまい)。

最後にジジィに用済みと見なされ、イチと鉢合わせにされて死ぬ。
ジジィとしてはイチと会わせたことはイチに対する運試しの一面もあった。
実はイチの学生時代のクラスメートの「立花さん」本人だったのではないかと思わしき描写がある。
最期の言葉は、果たしてイチの妄想だったのか、それとも…


  • 鈴木
三合会傘下の「船鬼一家」の幹部。
ジジィの策略で勘違いから垣原達に拷問され、全身大火傷の重傷を負わされてしまう。
その後チャイニーズマフィアに扮したジジィ達に、垣原への恨みから安生組壊滅を依頼する。

ジジィにカタギの家族を人質に取られたり、最期は依頼がバレてしまい、三郎に「ちょっと死んでろ」とゲーム感覚で頭にドスを刺されて死亡してしまうなど、最後まで踏んだり蹴ったりなカワイソーな人。


  • マリア
井上が常連客にしている、新宿に蔓延る麻薬組織の女ボス。タイ人のおばはんだが、何故か関西弁。
麻薬を盲信しており、自分のペットの犬にまで麻薬漬けにして従えてる姿は、カレンはおろか垣原にさえドン引きされた。

垣原に拷問されて井上の居場所を誘導させられたが、「信用出来ない」として最後は垣原に絞殺された。
結果として、垣原のおかげで新宿の麻薬組織がひとつ潰れる事となった。


  • 金子タケシ
金子修二の息子。何故か額を手で覆い隠している。

実は学校でイジメられおり、前髪を切られていた。
ずっとその事にコンプレックスを抱いていたが、イチに教わった空手のキックでいじめっ子達をやっつけ、以降はイジメられなくなったらしい。

イチが垣原を殺した後、ジジイに引き取られ第二の殺し屋になる予感を感じさせる描写がされていた。


登場人物には垣原、安生、高山など実在したプロレスラーの名前をとったのも多いらしい。


◆暴力描写一覧

非常に生々しく、人によってはトラウマものである。
手足の切断は当たり前、普通の発想ではまず出てこない描写も数多く登場する。
閲覧注意。





ちなみに映画監督のクエンティン・タランティーノは本作を大変気に入り、監督作である「キル・ビル」には、本作からのオマージュや映画版に出演した役者やスタッフが何人か登場している。





追記・修正は岩を砕けるぐらいキック力を鍛えてからお願いします。

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