登録日:2009/09/25 (金) 23:30:43
更新日:2024/03/12 Tue 15:10:21
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アラン・ムーア原作、デイブ・ギボンズ作画のアメリカンコミック、及びそれを原作とする映画『
ウォッチメン』に登場するヒーローの一人。
デザイン・名前は精神分析に使用される「ロールシャッハ・テスト」から。
トレンチコートとソフト帽、そして白い生地の上を黒い模様がランダムに流動する全頭マスクがトレードマーク。
この独特のデザインや強烈なキャラクター性から同作に登場するキャラクターの中でも一際人気が高い。原作者アラン・ムーアも一押しのキャラである。
映画版において彼を演じた俳優もまた熱狂的なロールシャッハファンであり、映画化と聞くや否や自分でPVを作って送りつけたとか。
人物
本名ウォルター・ジョセフ・コバックス。
1940年3月21日生まれのアメリカ人。現在は45才(映画版では35歳)。
娼婦の息子として生まれ母親から虐待を受けて育ったが、憎悪していた母が殺害されてしまい、行き場を失った怒りをぶつける矛先として犯罪との戦いを開始した(このため大の女性嫌いで童貞)。
それでもデビュー当初は比較的理性を保っていたが、1975年、とある少女誘拐事件に関わった際、犯人が少女を殺害して犬に喰わせた事を知って人間に絶望。
狂気に陥った彼は「コバックス」を捨てロールシャッハとなり、世界を善悪の二つで割り切る事で辛うじて受け入れている。
ヒーロー活動以外に気を配る精神的な余裕は一切放棄しており、
- 昼間は「終末は近い」と書かれた看板を担ぎ、街を練り歩く。
- とにかく不衛生。部屋は汚いし、食器は洗わないし、服は洗濯してないし、風呂にも入ってないので体臭がキツい。
(しかも自覚しており、口で謝っても改善する気はない模様)
- 栄養が補給できればよいので食事にも頓着せず、主食はハインツの超マズい冷えた豆の缶詰と角砂糖。ちなみにこれらはダニエル(ナイトオウルⅡ世)の家に勝手に上がり込んで食う。
- というか、ダニエル宅にピッキングで勝手に上がりこむ。
……と、生活面はかなり終わっている。
まあこんな所も彼の魅力の一つなのだろう。
犯罪者を尋問する時は指を折り、悪党を見れば一切の容赦なく制裁を加える処刑人。少なくとも殺人容疑が2件、正当防衛の殺人が5件は掛けられているとされる。
きわめて独善的かつ暴力的な男ではあるが、ある事情から子供にだけは優しい。
能力・武器
ヒーローを名乗るだけあり、戦闘能力は非常に高い。ヒーロー排斥運動の際には単独でニューヨーク東側の暴動を鎮圧した事もある。
銃やナイフといった直接的な武器を持ち歩く事はないが、判断力に優れ、身の回りにある物や状況さえも武器にしてしまう。
スプレー火炎放射、コショウ、便器の水、熱々の油、冷蔵庫から飛び出して奇襲、冷蔵庫から飛び出すと見せかけて背後から不意打ち等々。
ゲーム版ではバットや瓶、バールのような物なんかも拾って振り回す。(クズに甘かった頃でも)
唯一のアイテムとして、ガス圧でフックを発射するワイヤーガンを携帯。
これはダニエルの発明品の一つで、超高層ビルの上階まで届く移動用の道具だが、攻撃に転用する事も可能。
パクった経歴はゲーム版で描写されている。
他にも懐中電灯、角砂糖、下水道の地図、小銭、日記帳と鉛筆、胡椒瓶などをポケットに突っ込んでいる。
「超人」として
ロールシャッハは、他のアメコミヒーローのようなスーパーパワーは一切持っていない。
しかし彼には他のヒーローが誰一人として持っていない、最強の精神がある。
一切の妥協を許さない強烈な意志力。
己の正義に異常なまでに忠実な姿は、 彼がニーチェが『ツァラトゥストラかく語りき』で提唱した、精神的「超人」である事を示している。
「超人」とは永劫回帰の無意味な人生の中で、自らの確立した意思でもって行動する事のできる存在。
つまり彼は「自身の善悪観が世界に屈服しない生き方」を貫ける、強靭な精神の持ち主なのだ。
俺たちは実は凄い力を持っているんだが、ソファに座ってビール片手にテレビを見ているだけだ。
スーパーパワーがあったって、やっぱりソファに座ってビール片手にテレビを見てるだけだろう。
馬鹿がコスチュームを着たところで、変な格好のおかしな奴が1人増えるだけだ。
ヒーローってのはスーパーパワーがあるとか、コスチュームを着てるって事じゃない。
自らの意思でもって世界を良くしようと戦う人々の事を言うんだ
何せ彼は、ただの人間にも関わらず神に対してさえ「No」を突きつけた男である。(詳しくは本編を参照)
『ウォッチメン』という物語において、たった一人で最後の最後までヒーローを貫き通した点は、ロールシャッハの行動が引き起こすだろう事態を差し引いても、賞賛に値するはずだ。
己の理想、思想、生き方。
その全てに一切妥協しない彼こそ、本当の意味でヒーロー(=超人)と呼べるのかもしれない。
※余談だが、吹き替えを演じたのは「
だが私は謝らない」でお馴染みの
烏丸啓を演じた山路和弘氏。
和訳された原作(3500円程)が発売されている。もし手が届かなければ映画のDVDも出ているので是非見てほしい。
この、端から見たら頭のイカれたヒーローとも、モラルの欠落した世界で孤独に戦う聖戦士とも取れる姿、そして彼の取り巻く運命、そして「ウォッチメン」の意味は……?
恐らく楽しめるはずである。
名言
- 「世界は天を見上げてこう叫ぶだろう。“助けてくれ!”と」
「見下ろして俺はこう答える。“ノー”だ」
- 「No, NoNoNoNoNo!」
- 「セックスや殺ししか頭にないクソ共、自分の罪でがんじがらめになった政治家やマスコミの連中は、天に向かってこう叫ぶだろう。“助けてくれ!”」
「俺は答える。いやなこった」
- 「何をためらっている?世界を救う救世主になるんだろう?大勢死んだんだ、今さら死体が一つ増えたところで誰も気にしやしない」
「……やれよ……」
「殺せ!!」
「…たとえ全てのWiki篭りに追記・修正を拒絶されても……」
「 俺は絶対に妥協はしない」
- シャッハはコメディアンの妥協のない決断力に憧れを抱いているけど、内面までは理解していない。強姦未遂に関しては母親の件で多分、本能的に女性差別者であると思われるのと、基本的に自分の好き嫌いで判断しているので、自分が肯定しているコメディアンにマイナス的な意見にはカチンと来てるのかなあ、と。 -- 名無しさん (2016-02-25 23:08:13)
- コメント欄が長くなってきたのでリセットしました -- 名無しさん (2016-03-05 18:58:04)