VHS方式ビデオレコーダー/VHS方式ビデオテープ

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VHS方式ビデオレコーダー/VHS方式ビデオテープ - (2023/09/14 (木) 18:03:02) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2012/02/16(木) 21:27:14
更新日:2024/01/14 Sun 12:27:51
所要時間:約 5 分で読めます




VHSビデオレコーダー及びビデオテープとは、1976年に日本ビクター(現在のJVCケンウッド)が開発、販売した映像録画機械とその記録媒体である。
当時の日本ビクターの窓際に追いやられていた開発者達が開発したことで知られている。
また、ソニーのベータマックスとの熾烈な規格争いに勝利したことはあまりにも有名。

1976年、先行したソニーのベータに遅れて発売されたVHSは、当時の値段で三十六万という価格で発売された。現在の価値では、五十万くらいと考えて差し支えない。
当時ベータが六十万くらいだったため、安めの設定であった。
しかしながら、ベータは映像と音響がVHSよりわずかながらよかったため、「値段は高くてもベータ有利は変わらない」と市場では考えられていた。

もちろん当時の通産省は「さっさと規格を統一しろやボケ!」と両陣営に働き掛けたが、ベータ陣営がこれを拒否したため、熾烈な競争に発展した。
ところが、意外な存在がこの勝負を左右することになった。


それは…



アダルトビデオ業界


後に、パナソニックの創始者である、松下幸之介がベータとVHSを比べた際、
「ベータはデッキが重いが、VHSは必要最低限かつデッキが軽く、素人でも家に持ち帰ってすぐに使う事ができる。
また、部品の数が少ないから、将来的に安くデッキを普及できるだろう」と語っている。
当時、VHSを開発したビクターは、ソニーのベータの特許を極力避ける努力をしたほか、
開発費が限られていたため、部品を極力使わないデッキとテープの開発を余儀なくされた。
これが返って、テープはベータより大きいのに、デッキもテープもベータより軽いという、逆転現象につながった。
ベータはヘッドが相当数にのぼったのに対し、VHSはMローディング式という開発が難しかった割りにはヘッドが四つ程度の方式であった。

これに目を付けたのが、「にっかつロマンポルノ」の日活を始めとするアダルト業界で、
テープが特許だらけで高価なベータより、特許をあまりとらずに市場の占有を優先したため、
多くの賛同企業を集め、安く生産できたVHSの方に集まったのは必然的であった。
企画や撮影だけでなく流通までAVは低予算ということもあり、高価なベータより安価なVHSを業界は選択、
当時まだ始まったばかりのレンタルビデオ店には、VHSのAVしかなかったのだから、ユーザーはVHSを買うという具合である。

また、ベータはデッキを改良するたびに、前のモデルとの互換性を失うという、信じられない愚行をやったのに対し、
VHSは基本的に改良を施しても互換性は失わなかった。
また、ビデオテープが大きかったことが幸いし、二倍モードや三倍モード録画も開発が早かったのも、ユーザーから支持された一つとともに、
製造コストの安さからビクターや親会社の松下などもこちらを採用し、ベータ陣営よりも圧倒的な取り扱い店舗数であったのも幸いした。
また、レンタルビデオ店では、ベータビデオが重かったため万が一の場合危険ということもあり、当初からVHSのみというところも多かったという。

最初のうちは、様子見であった大手映画配給会社も、最初のうちは両規格で出していたのを、コスト面やベータの凡ミスなどによりVHSを採用、
さらには海外でもコストの安いVHSが好まれたため、体勢が決した。
ベータはついに全面降伏、ソニーなどもVHSを生産することになった。世の中わからないものである。
しかし、テレビカメラについては違い、「軽くて操作性に優れる」「撮影時間が長い」「画質がVHSに比べたらいい」などの理由からベータ規格が元の「ベータカム」が普及。つい最近まで販売されていた。
その後は地上デジタル放送の移行で衰退すると思われたVHSだが、地デジチューナーを繋げばまだまだ現役で使えるためと、ブルーレイの値段が下がらないため、
意外と買い替えが進んでいないのが現状である。

2012年10月現在、VHS方式のレコーダーを生産及び販売しているのは、
日本とアメリカでは船井電機(日本ではDXブロードテックブランドとして発売)だけになってしまったが、
アナログ放送しか行っていない国や地域は未だにVHSが当たり前のように流通している。


  • ビデオテープにまつわるエピソードが描かれるフィクション作品

COWBOY BEBOPの第18話「スピーク・ライク・ア・チャイルド」ではビバップ号に届けられた差出人不明のビデオテープを巡る話で、そのビデオテープがVHS規格ではなくベータ規格のテープだったため、スパイク達はベータ規格対応のビデオデッキを探す羽目になる。
千葉繁演じるビデオマニアが妙に印象的。

係長 島耕作では上記のVHS対ベータのビデオデッキ商戦が描かれており、物語にも影響している。


追記・修正は、ビデオテープを巻き直してからお願いします。

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