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VHS方式ビデオレコーダー/VHS方式ビデオテープ

登録日:2012/02/16 Thu 21:27:14
更新日:2026/08/09 Sun 22:51:14
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▶概要

VHSビデオレコーダー及びビデオテープとは、1976年に日本ビクター(現在のJVCケンウッド)が開発、販売した映像録画機械とその記録媒体である。
当時のビクターの窓際に追いやられていた開発者達が開発したことで知られている。
また、ソニーの「ベータマックス」との熾烈な規格争いに勝利したことはあまりにも有名。

当初は記録方式のVertical Helical Scan(バーチカル・ヘリカル・スキャン)の略だったが、後にVideo Home System(ビデオ・ホーム・システム)の略称となった。

▶歴史

1976年、先行したソニーのベータに遅れて発売されたVHSは、当時の値段で三十六万円という価格で発売された。現在の価値では、五十万円くらいと考えて差し支えない。
当時ベータが六十万くらいだったため、安めの設定であった。
しかしながら、ベータは映像と音響がVHSよりわずかながらよかったため、「値段は高くてもベータ有利は変わらない」と市場では考えられていた。

もちろん当時の通産省は「さっさと規格を統一しろやボケ!」と両陣営に働き掛けたが、ベータ陣営がこれを拒否したため、熾烈な競争に発展した。
ところが、意外な存在がこの勝負を左右することになった。


それは…



アダルトビデオ業界


後に、パナソニックの創始者である、松下幸之介がベータとVHSを比べた際、
「ベータはデッキが重いが、VHSは必要最低限かつデッキが軽く、素人でも家に持ち帰ってすぐに使う事ができる。
また、部品の数が少ないから、将来的に安くデッキを普及できるだろう」と語っている。
当時、VHSを開発したビクターは、ソニーのベータの特許を極力避ける努力をしたほか、
開発費が限られていたため、部品を極力使わないデッキとテープの開発を余儀なくされた。
これが返って、テープはベータより大きいのに、デッキもテープもベータより軽いという、逆転現象につながった。
ベータはヘッドが相当数にのぼったのに対し、VHSはMローディング式という開発が難しかった割にはヘッドが四つ程度の方式であった。

これに目を付けたのが、「にっかつロマンポルノ」の日活を始めとするアダルト業界で、
テープが特許だらけで高価なベータより、特許をあまりとらずに市場の占有を優先したため、
多くの賛同企業を集め、安く生産できたVHSの方に集まったのは必然的であった。
企画や撮影だけでなく流通までAVは低予算ということもあり、高価なベータより安価なVHSを業界は選択、
当時まだ始まったばかりのレンタルビデオ店には、VHSのAVしかなかったのだから、ユーザーはVHSを買うという具合である。

また、ベータはデッキを改良するたびに、前のモデルとの互換性を失うという、信じられない愚行をやったのに対し、
VHSは基本的に改良を施しても互換性は失わなかった。
また、ビデオテープが大きかったことが幸いし、2倍モードや3倍モード録画も開発が早かったのも、ユーザーから支持された一つとともに、
製造コストの安さからビクターや親会社の松下などもこちらを採用し、ベータ陣営よりも圧倒的な取り扱い店舗数であったのも幸いした。
また、レンタルビデオ店では、ベータビデオが重かったため万が一の場合危険ということもあり、当初からVHSのみというところも多かったという。

最初のうちは、様子見であった大手映画配給会社も、最初のうちは両規格で出していたのを、コスト面やベータの凡ミスなどによりVHSを採用、
さらには海外でもコストの安いVHSが好まれたため、体勢が決した。
ベータはついに全面降伏、ソニーなどもVHSを生産することになった。世の中わからないものである。
しかし、テレビカメラについては違い、「軽くて操作性に優れる」「撮影時間が長い」「画質がVHSに比べたらいい」などの理由からベータ規格が元の「ベータカム」が普及。つい最近まで販売されていた。
その後は地上デジタル放送の移行*1で衰退すると思われたVHSだが、地デジチューナーを繋げばまだまだ現役で使えるためと、ブルーレイの値段が下がらないため、意外と買い替えが進んでいないのが現状である。

とはいえなんだかんだDVDレコーダーは普及しつつあり、DVDレコーダーが普及してからも船井電機が長らくVHSデッキの生産を継続してきたが、そのフナイも2016年7月に生産終了となった。

現在では、VHSテープが耐用年数を過ぎて再生不可ないし困難になる「2025年問題」が起きており、現存するテープのデジタル化が課題となっている。

▶VHSのグレード

  • VHS
基本となる規格。水平解像度240本で、地上波アナログ放送の330本より少ない。

  • S-VHS(スーパーVHS)
1987年から登場。水平解像度400本ほどで当時高画質だったのだが、このテープや専用デッキが高価なことや、VHSの画質でも気にしないという消費者が多かったことなどから、マニアぐらいしか広まらなかった。

  • W-VHS
1993年に登場。アナログハイビジョン放送をそのままの画質と音質で記録可能だが、専用機器が非常に高額(百万円!)なため普及しなかった。
2007年にはアナログハイビジョン放送が終了したため、W-VHSは録画用機器としてはもう役目を終えている。

  • D-VHS
1997年から登場。デジタル放送を記録するための規格。頭文字の「D」はデジタルではなく「データ」の略。
高画質モードで240分記録可能なテープでも50GBもの記憶容量を誇る。
2000年代から広まるようになり、当時DVDでは不可能なHD画質での記録が可能という優位性があったのだが、ブルーレイディスクの普及でそれも無くなった。

  • VHS-C(コンパクト)、S-VHS-C
VHSのビデオカメラ向け規格。VHSの約3分の1の大きさ。
カセットアダプタを使用することで、通常のVHSビデオテープとしてもVHSデッキで再生・録画が可能。
結局はソニーの8ミリビデオやHi8にはシェア争いに勝てなかった。

▶ビデオテープにまつわるエピソードが描かれるフィクション作品

リング』シリーズは、見たら一週間後に死ぬというVHSテープ「呪いのビデオ」が話の主軸となっている。

COWBOY BEBOP』の第18話「スピーク・ライク・ア・チャイルド」ではビバップ号に届けられた差出人不明のビデオテープを巡る話で、そのビデオテープがVHS規格ではなくベータ規格のテープだったため、スパイク達はベータ規格対応のビデオデッキを探す羽目になる。
千葉繁演じるビデオマニアが妙に印象的。

係長 島耕作』では上記のVHS対ベータのビデオデッキ商戦が描かれており、物語にも影響している。

名探偵コナン』の「小さな依頼者」では、VHSテープが事件を解く鍵となっている。
また「初恋のビデオレター」ではVHSとベータについて解説しているシーンがある。

幽☆遊☆白書』の魔界の扉編では、飛影が求めている「黒の章」というビデオテープが登場したのだが、VHSそっくりだった。

▶関連項目


追記・修正は、ビデオテープを巻き直してからお願いします。

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最終更新:2026年08月09日 22:51

*1 2003年に地デジがスタートし、2005年前後になるとそれまでVHSとDVDの同時に発売していたメディア作品のソフト化が、軒並みDVDのみの発売に移行している。