コララインとボタンの魔女3D(映画)

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コララインとボタンの魔女3D(映画) - (2023/03/05 (日) 12:28:29) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2011/07/09(土) 20:50:26
更新日:2023/11/10 Fri 08:01:42
所要時間:約 7 分で読めます





扉の向こうは理想の世界。


でも気をつけて。

かなえてはいけない願いごとがある───


概要


『コララインとボタンの魔女3D』(原題:Coraline)は2009年2月6日にアメリカで公開されたダークファンタジー映画。
日本では2010年2月19日に公開。
原作は『アメリカン・ゴッズ』や『グッド・オーメンズ』などで知られるベストセラー作家、ニール・ゲイマンによる同名の児童書である。
監督は『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』や『ジャイアント・ピーチ』のヘンリー・セリック
アニメ映画だがCGではなく、ストップモーションアニメという技術で作られたアニメ。

『ナイトメアー~』のファンであるゲイマンはセリックに興味を持ち、原作出版の1年半前に原稿を送っていた。
世界観が気に入ったセリックはすぐさま映画化を申し込み、脚本の執筆に取りかかった。
その世界観をよく表現できる手法とは何かを考え、実写やCGも考慮されたが、結局ストップモーションアニメに落ち着くことに。
この判断にゲイマンも大満足。「ストップモーションは想像の世界に現実味を持たせるんだ。ヘンリーの作品には、心を奪われるよ」と語る。

あらすじ



築150年のピンクパレスというアパートに引っ越してきたばかりのコララインは、家の中を探検している時に壁紙に隠された小さなドアを見つける。
それは、驚くべき“もう一つの世界”への入り口だった―。

扉の向こうでコララインを待っていたのは自分がいる世界と正反対。
心躍るサーカスやミュージカル、花が咲き誇る美しい庭、そして優しくて、コララインの願いを何でも叶えてくれる別のママとパパだった。
ただ一つ奇妙なことに、ママもパパも、そしてこの世界にいる全ての者の目がボタンなのである。


向こうの世界の方が素敵だと、夜ごとドアを開けるコラライン。
ある日別のパパとママにプレゼントを貰い、箱を開けると中にはボタンと糸が入っていた。

向こうの世界で暮らすには目をボタンにしなくてはならない。
怖くなったコララインが元の世界に帰ると、本物の両親が消えてしまっていた……




登場人物(言語版声優/吹き替え版声優)



◇現実の世界

  • コラライン・ジョーンズ(ダコタ・ファニング/榮倉奈々)
11歳のお転婆で好奇心旺盛な少女。
面白そうなものを見つければ、それが何なのか確かめなければ気が済まない性格。

新しい町には友達もおらず、忙しい両親は仕事に明け暮れ全然構ってもらえない為、常に不満を抱えている。
新しい家を探検していた時に壁紙の下にある小さなドアを見つけて開けたことで”現実の世界”によく似た“別の世界”へと迷い込んでいく。

何故かよく“キャロライン”と呼ばれる。*1


  • メル・ジョーンズ(テリー・ハッチャー/戸田恵子)
コララインの母親。
園芸雑誌でライターをしている。その割には泥が嫌い。
いつもピリピリしていて料理も苦手。
締め切り間近で仕事が忙しい為に、コララインの世話にはあまり時間が割けないことも多い。


  • チャーリー・ジョーンズ(ジョン・ホッジマン/山路和弘
コララインの父親。
ママと同じく園芸雑誌のライター。
しかし庭いじりが嫌い。
いつも締め切りに追われて青白い顔をしている。
ママが料理を作れない時は自慢の料理を作るが何故かスライム状になる。


  • 黒猫(キース・デイヴィッド/劇団ひとり)
気まぐれな野良猫。
扉の向こうの世界では人語を喋り、コララインに助言を与える。
吹き替え版では前情報無しで見て「黒猫カッケェェェェェェ!」となった後キャストを見ると驚く。

それぐらいかっこいい。


  • ワイボーン(ロバート・ベイリー・Jr/浪川大輔
ピンクパレスの大家の孫。通称・ワイビー。
引っ越してきたばかりのコララインに何かとちょっかいを掛けてくる意地も口も悪い少年。
コララインの後を付けるストーカー
しかし終盤は何かかっこいい。
デコチャリに乗っている。

ちなみに原作には登場しないオリキャラである。 


◇扉の向こうの世界

  • メル・ジョーンズ
向こうの世界に住む母親。
料理上手でコララインの世話もちゃんとする良い母。
しかしその正体はボタンの魔女でありコララインに良くしていたのはコララインの目をボタンに変えさせる為である
その為、欲しがっているものを全て与え、誘惑していた。
自分の思い通りにならないと凶暴になる作中屈指のトラウマメーカー。
ゲームが好き。


  • チャーリー・ジョーンズ
向こうの世界に住むコララインの父親。
明るくてピアノが趣味というコララインにとって理想の父親。
魔女に操られ、逃げたコララインを襲う。

向こうの世界の住人は全員魔女に作られた存在であり、魔女に操られているだけの人形である。


  • ワイボーン
魔女に作られた人形の一人。
コララインが現実の世界のワイビーのお喋りな所を嫌っていた為、喋ることが出来なくなっている。

向こうの世界では唯一まともな人物であり、コララインのことを助けようとする。

余談


〇ストップモーションアニメだけあって、製作の苦労話は数えきれないほどある。
撮影は、合計1万7千㎡(サッカー場約2面半分)の広さに及ぶ合計52カ所の映画スタジオに設計された150以上のセットで行われた。
さらに通常のストップモーションアニメと違い3D上映のため、全てのコマを最低2回は撮影しなくてはならず、一週間に90~100秒ほどしか撮影できなかった。
本作の上映時間が1時間40分と、当時のストップモーションアニメでは最長だったことを考えると……
また、コララインだけでも表情が207,336通りあり*2、人形一つ製作するのに約3~4か月かかったという。

〇本作のキャラクターの衣装は全て手作り。
編み物作家アリシア・クロームは人間の髪の毛ほどの細さの編み針を使い、全てのセーターをたった一人で製作。
画面に映らない下着まで製作しており、セーター1着デザインして製作するまで、約6週間から半年かかったという。

〇人形の髪の毛も1本1本全てが手作業で作られたもの。実際、その作業は気が遠くなるもので、手の感覚が麻痺するほど過酷なものだったらしい。
コララインのウィッグを作るのに要した糸の長さは、約8㎞にも達したという。

〇冒頭の古い井戸を探すシーンでは、よく見ると井戸の周りにキノコがリング状に生えている。
これは「輪菌」と呼ばれる実際にある現象だが、別名「魔女の輪」と呼ばれており、ヨーロッパではこの中に足を踏み入れると魔女に魂を奪われるという言い伝えが存在する。

〇コララインの家の屋根裏に住む謎のロシア人ボビンスキー。
よく見ると胸に水色のバッジをつけているが、これはチェルノブイリ原発事故の事故処理に従事した民間人と軍人に送られた表彰メダルである。

〇向こうの世界は小ネタが豊富。
例えば、パパの履いているスリッパは、セリックの前作『モンキーボーン』がモチーフ。
ママがボウルに割り入れる卵の黄身は『ナイトメアー~』のジャックの姿を表している。
書斎にあるレコードには、セリックのバンド「The Sharks」と息子ハリーのバンド「The Rockets」の名前が記されている。
また、息子のハリーとジョージは声の担当もしている。
ハリーは寝室にある写真の友達の声、ジョージは幽霊の子供の一人。

〇本作のコンセプト・アーティストとして日本人のイラストレーター、上杉忠弘氏が参加している。
そのきっかけは2004年頃、後に『あの夏のルカ』を手掛けるエンリコ・カサローザが彼のイラストのことを知り、どういう人物か確かめるためにいきなり訪ねてきたことから始まった。
1年後、カサローザは『カールじいさんの空飛ぶ家』のストーリー・スーパーバイザーであるロニー・デル・カルメンを連れて再び訪ねてきた。
その後、二人の話を聞いた、当時同僚だった副監督のマイク・カチュエラがセリックに紹介したことからこの映画に参加することになったという。
「想像もしないような、見たこともないようなものを描いてください」という無茶な要望もあったが、完成後、セリックから「『コララインとボタンの魔女』は本当に美しい作品に仕上がった。3Dにするにあたり、タッチは変わったけど、考え方や色やイメージは君のコンセプトアートからインスピレーションを受けたものなんだ」とお褒めのメールを頂いたとのこと。


この映画は全体的に暗い雰囲気が漂っており、中にはトラウマになりかねないシーンもあるが、それでも

  • 全体のBGM
  • 作り込まれた背景
  • オープニングの人形を作るシーン
  • やたらとかっこいい劇団ひとり(吹き替え版)

など、評価出来る部分がたくさんあるので一度見て頂きたい。




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