L85A1

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L85A1 - (2017/10/02 (月) 16:15:10) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2011/08/14(日) 14:53:11
更新日:2024/01/01 Mon 10:17:01
所要時間:約 5 分で読めます




諸元
全長 785mm
重量 4.65kg
口径 5.56mm×45
装弾数 30
製造 RSAF(所謂エンフィールド造兵廠)→ロイヤルオードナンス社(英)

銃といえばガーランドコルトのアメリカ、H&Kのドイツ、FNのベルギー、SIGのスイス、AKシリーズのロシア、
その他諸々ひっくるめて欧米が有名所だと思う。
なのだが「イギリスの製造した銃」といえば何があるだろうか*1
近代イギリス製の銃のなかでも有名なのが縞パン&ワイシャツと今回紹介するRSAF(ロイヤル・スモール・アームズ・ファクトリー)のL85A1である。





○開発中…
NATO弾が7.62mmから5.56mmに切り替わる中、イギリスも制式突撃銃であるFN FAL(イギリスではL1A1)の後継として開発される。

なのだが、7.62mmをごり押しされ痛い目を見たからか「いいもん!独自で弾薬作るもん!」と部屋に閉じこもっておかしな工作(4.85mm×44弾)を始めてしまう。
XL64、XL65、XL68、XL69と試作品だけ豊富で採用されず。

しかし1980年代にベルギーの5.56mm弾(SS109)が登場すると「4.85mm<SS109」という評価を下された為さっさと採用弾を乗り換え、1984年にようやく実用化される。





○出来ました!!!……あれ?
AUGと同じくブルパップ式を採用し小型化され、全体的にスマートな外観となっている。
さらに本体にはプレス鉄板、ハンドガードやグリップにプラスチック部品の導入を行うなど、生産性と耐久性の向上が図られ、低コストな仕上がりである。
1980年代のライフルらしさが残っており好感が持てるのではなかろうか。
イギリス軍も大喜びで陸海空の全軍に導入し華々しいデビューを果たしたが……

ブルパップの照準線の短さを補う為のスコープをつけたところ、
スチールプレス製のフレームとスコープという組み合わせから4kg超というフルサイズ突撃銃以上の重量となってしまう*2


なんだかよい滑り出しではないようだ…





○どうしてこうなった
プラスチック製の半透明マガジンは残弾数を確認しやすいのだが、底部のバネが弱く弾を装填してくれない。
なおかつ、挿入口を広く取ったのはいいが、マガジンキャッチが弱く自重で落ちる。

排莢機構があるくせに弾を排莢してくれず、出来たとしてもボルトに直接取り付けられたコッキングレバーに引っかかり、薬莢がリリースされる。
むしろ薬莢が薬室に叩き込まれる。

この為、装填されず排莢もされない事件(所謂ジャム、細動不良)が起こる。これが平均99発毎に起こるとあってはたまったものではない。

マガジンを外たり、コッキングレバーを動かし手動で排莢・装填したりして解決すれば儲けもので、分解しても直らず工場送りになることも珍しくないとか。

そしてどうしようもないのが「ファイヤリングピン折れ」
この部品が薬莢の尻をぶっ叩くことで弾が発射されるのだが、ここが折れるとただの鉄の棒になってしまうので、やはり工場送りとなる。

さすがのイギリス軍も放っていたわけではなく、多数の改修を施しL85A1となったが、依然としてトラブルは続いたらしい。





○L85A2へ更新
それでも不満の声が多かったのか、当時BAE傘下だったH&K社に改修を依頼し、L85A2へと更新される。
改修は80か所以上におよび「改修していない場所はない」とまで言われたが、おかげで動作不良は平均25000発に一回の割合に減ったという。

また追加の機能として専用のアンダーバレルグレネードランチャーが使用可能になる*3など、機能面でもいくつかの変更がなされた。

そこまでやってようやく「A2になって、ようやく世界標準に近くなった」「(前と比較して)まあまあ、いい銃だよね」との評価。

改修費用もそれなりに掛かっており、20万挺を150億円、一挺あたり7万5千円(G36の本体価格の半額ちょっと)となってしまった。

他にも個別にレールシステムの追加やポリマー製マガジンの採用など細々とした改良も重ねられてきた。

そしてイギリス軍は更なる改良をH&Kに依頼しており、2017年前半までにより進化したL85A3へと改修されるとのこと。アッパーレシーバーを中心に大きな改修が施されており、もはや外観からして初期のL85とは別物と化している。



○派生型

  • L86 LSW
銃身の延長、バイポッドの追加などを施した分隊支援火器仕様。一度採用されたが、マガジン給弾かつ装弾数がL85と同じで銃身の交換もできないため火力に欠けるなどの理由からイギリス軍の分隊支援火器はFN MINIMIへ変更されお役御免となった。
が、その後マークスマンライフルとして転用されたことが確認されている。
リアヘビーな重量バランスが多少改善されていること、7kg超(!)の重量、646mmの長銃身*4などから射程と精度が評価された結果だとのこと。





○登場作品

  • バイオハザード3…ラスベガスでチェイスが使用

  • 攻殻機動隊S.AC. 2nd GIG…「左目に気をつけろ」で国連軍に参加した英国兵士

  • ブラックラグーン…プライヤチャットの店の壁

  • S.T.A.L.K.E.R.…重いうえに高反動でジャム頻度が高く劣化速度も早い、おまけに売値すら安い地雷銃。ある意味、愛ある再現と言えるかもしれない……。

擬人化した場合「病弱」「(見た目に相反する重量から)隠れ巨乳・着痩せする」「ドジっ子」といった属性を付けられることが救いと言えば救いかも。



○余談と補足と豆知識
  • 不評なのだが、英国気質で周囲の意見を意に介さない為か、2020年頃まで主力火器として使用し続ける事が既に決定している。予算の問題だろうか。

  • バッキンガム宮殿での衛兵任務でも使用する部隊があるので観光ついでに見られるかも。

  • イギリス虎の子の特殊部隊SASでは初期からこの銃を見限っており、もっぱらM16辺りをずっと使っている。

  • H&K社はL85を普通の突撃銃に変えた為に米国防省から「ウチのM4もリメイクしてよ」とお呼びがかかりHK416を作り出しており、こちらはこちらで採用している国もあるらしい。



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