F-14

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F-14 - (2018/02/01 (木) 19:11:55) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2011/06/27(月) 00:26:17
更新日:2024/01/14 Sun 21:31:16
所要時間:約 9 分で読めます




最高さ!! こいつさえあれば百人力だ!!
―ミッキー・サイモン


F-14は米海軍の艦上戦闘機だった機体である。
マクロスシリーズの顔といえる名機「バルキリー」のモデルとなった機体でもある。


NICKNAME


A.B型:トムキャット
D型:スーパートムキャット
また、対地攻撃能力を付与されたタイプは、上記とは別にボムキャットと呼ぶこともある。


SPECIFICATION


  • 製造 Grumman
  • 原型機初飛行 1970.12.21
  • 退役 2006.9.22
  • 全幅 19.54m(後退角20度)/10.15m(後退角75度)
  • 全長 19.10m
  • 全高 4.88m
  • 主翼面積 52.5u
  • 最大離陸重量 33724kg
  • 最大兵装搭載量 6577kg
  • 主機 P&W製TF30-P-412A/-414A 2基(A/B型)
【推力】54.92kN/92.97kN(A/B使用時)
  • 主機 GE製F110-GE-400 2基(D型)
【推力】62.27kN/102.75kN(A/B使用時)
  • 兵装 20mmバルカン砲×1、ARH型AAM×6(最大)またはSARH型AAM×6(最大)
またはIR誘導型AAM×2~4(通常ARH、またはSARH型×4+IR誘導型×4)

…簡単にまとめると、「大きくて可変翼でエンジン強力でいっぱい兵器積める戦闘機


DEVELOPMENT


当時米海軍はソ連の大型爆撃機から発射される長射程ASMの飽和攻撃に対抗するために、
こちらも長射程のAAMを搭載し複数の目標に同時対処可能な防空戦闘機を求めてF-6D スカイウォーリアを開発したものの、
機動性が劣悪なためAAMを運ぶ仕事しかできなかった。

しかし、ベトナム戦争でドッグファイトの重要性が再認識され

◆海軍(´; −;`)「格闘戦にも強くて長射程ミサイルも積めて、ミグもツポレフもフルボッコにできる最強戦闘機が欲しいよぉ」

となりVFX計画をスタートさせるのだが、

◆マクナマラ(´・3・`)「海軍と空軍の新型機をF-4 ファントムみたいに同一機種で統一したら安上がりじゃね?」

と、当時の国防長官が一瞬名案に見える案を提示し、F-111 アードヴァークを海軍機として使用することになってしまった。
…一見開発費や調達費が安上がりになり整備効率も良さそうに見えるが、兵器の設計は取捨選択が重要であり、アレもコレも取り入れる事などできないのだ。

案の定

F-111の空軍型は爆撃機として活躍したものの、海軍型は成功せず新たに新型機を設計することになった。

◆海軍(´☆ω☆`)「最近調子悪いけどねぇ…、悪いけど今回ミスると後ないよ?ほんと」

とジェット機時代に入り不振続きの海軍機の名門グラマンに依頼。
グラマンも社運と海軍戦闘機の名門のプライドをかけ当時の最新技術である可変翼を使用するプランを提出。コレがそのまま採用され、F-14となる。

かくして可変翼により全領域で良好な運動を持ち、強力なレーダーと長射程ミサイルを搭載可能なF-14 トムキャットが完成したのだ!!!


CHARACTERISTIC


F-14は就役当時、同世代機の中でも優秀なFCSと、唯一、多目標同時交戦能力を持ち、防空用戦闘機として比類なき能力をもつと評された。
その強力な攻撃力は300km前方の敵機24機をとらえ、うち6機をフェニックス・ミサイルで攻撃できる。(←カタログスペックだけはチート級のミサイルなのだが…)

…しかしなんといっても最大の特徴は可変翼である。
主翼の後退角とアスペクト比を飛行状態に応じてコンピューターで自動的に変化させるので、常に高い空力効率で機動できるのだ。

初歩的な航空力学から話をすると、飛行機というのは、翼の面積が広いほど揚力(浮き上がる力)が大きくなり、遅いスピードでも離陸しやすくなる。
一方、離陸してスピードが乗ってくると、今度はこの翼の大きさが邪魔になってくる。大きい翼は空気抵抗も発生させるのだ。
揚力と抵抗は表裏一体のものであり、片方を上げれば片方も上がってしまうのである。

滑走距離に制限がある艦載機としては揚力が大きい方がよいが、超高速でかっとぶ戦闘機としては空気抵抗が少ない方が良い。
この二律背反を解決するにはどうしたらよいか?

答え:翼の大きさを変えられるようにすればいいじゃない



早い話

【発着艦、急旋回時】

主翼広げて高揚力、安定性機動性バツグン♪
(画像跡)

↓↑

【高速飛行時】

主翼後退させて△翼に…HAEEEEEEEE!!!
(画像跡)


初期はパイロットが手動で切り替えていたが、のちにコンピューター制御になり、飛行速度から計算して、常に最適な角度を自動で取ってくれるようになった。
しかしこんな無敵のトムたんも、可変翼のために構造が複雑になり整備が大変だったりする。
また、構造が複雑になるということは、その分だけ重くなるということでもある。
軽さこそが正義な飛行機にとって、これはけっこう重大な問題であった。

また降着装置が弱く、フル装備だと発艦できてもそのまま帰ってくると着艦できないためミサイルを一部投棄しないといけなかったり、エンジンが不安定*1だったりと割と洒落にならない欠陥もあり、運用には気を遣う代物だった。


SEQUEL


海軍の期待を背負い颯爽と登場したF-14だが、ベトナム戦争は直前で終了し軍は予算を減らされてしまった。

そして高性能故に馬鹿高いF-14は調達数を700機→300機にまで削減されてしまう。

さらに…

◆米政府(^* A*^)「冷戦終わって予算減ったな~。運用コスト高いのがまだ残ってるYO~。(チラチラ)」

◆トムたん(´・ω・`)「…」

◆米政府(^* ∀*^)「OH!超高性能じゃなくても多目的運用できる奴あったらそれ一種で大丈夫じゃね!?」

◆トムたん(´; ω;`)「…」

冷戦終結後に伴う軍縮で従来恐れられていた対艦ミサイルによる飽和攻撃を受ける可能性が減じたため、「艦隊防空を担う艦載機」という存在意義が揺らいでしまったのだ。
また湾岸戦争の戦訓で空母航空団は対地攻撃能力の不足が指摘されており、ハード面の解決策として戦闘攻撃飛行隊を拡充する必要性に迫られていたせいもあった。


こうして
2006年9月22日、最後の運用隊の
VF-31トムキャッターズの解隊により、
グラマン最後の艦上機である野生の猫は
アメリカ海軍から姿を消し、
その座をF/A-18 ホーネットに譲った…


【VF-31のF-14と部隊証】
(画像跡)



【砂漠の猫】
イラン空軍にも配備されているのだがイランが革命により反欧米化したこともあって製造元(つまりアメリカ)からの部品供給を絶たれてしまった。
しかし未だに現役であり、実働状態にあるらしい。
その訳は近年部品の100%国産化が成功し供給されているということだが、米国はこれは単なる大見得と見ており、稼働機体数は一時十数機にまで落ち込んだ…
のだがその後は増加しているらしく、新型レーダーを搭載して2030年まで使い倒すと言っている。
またロシア製の最新ミサイルを搭載しているとされ、それが事実であればロシアからの技術支援を受けていると見て間違いない。
…しかし実際魔改造もいいとこなので、中身はもう所謂「トムキャット」とは別物と考えるべきだろう



CONCLUSION


本機は機体の推力重量比の低さにより格闘戦が意外と不得手であったりしたが、
イラン・イラク戦争では撃墜159機に対して被害3機と大勝利をおさめ、
また本機の爆装型「ボムキャット」は1995年以降、各作戦に参加、航続距離の短いF/A-18に替わって高い攻撃精度による爆撃で最後まで戦い続けた。

艦隊防空戦闘機として本機は間違いなく名機である。大型機ゆえの長大な航続距離・大搭載量能力をもって活躍したことも確かだ。

が、

同クラスのF-15 イーグルが各国で採用されたり発展機が生産されてたりすることと対比すると、時代に遅れた感があるのも、また事実だろう。


退役して10年経つが、最強の艦載機という肩書、スクリーンで見せた雄姿、そして何より可変翼というロマンから、
この雄猫のファンは後を絶たない。




追記・修正は、今は亡きトムキャットの感慨にひたりながらお願い致します。
































敵地、中東で迎えた空爆作戦
先発F/A-18Eが大量爆撃、F-15Eも勢いを見せ快勝だった
基地に響く地上員の歓声、どこからか聞こえる「時代はマルチロールファイターだな」の声
堂々と帰還する攻撃隊をよそに、往年の防空戦闘機F-14は独り格納庫で泣いていた
冷戦時代に手にした栄冠、喜び、感動、そして何より防空戦闘機の存在意義…
それを今の非対称戦で得ることは殆ど不可能と言ってよかった
「どうすりゃいいんだ…」F-14は悔し涙を流し続けた
どれくらい経ったろうか、F-14ははっと目覚めた
どうやら泣き疲れて眠ってしまったようだ、冷たい格納庫の感覚が現実に引き戻した
「やれやれ、帰って埃をはらわなくちゃな」F-14は苦笑しながら呟いた
立ち上がって翼を広げた時、F-14はふと気付いた

「あれ…?出撃命令が出ている…?」
格納庫から飛び出したF-14が目にしたのは、甲板まで埋めつくさんばかりのF-14だった
千切れそうなほどに誘導灯が振られ、地鳴りのようにKenny LogginsのDanger Zoneが響いていた
どういうことか分からずに呆然とするF-14の背中に、聞き覚えのある声が聞こえてきた
「F-14、ミグのお出ましだ、早く行くぞ」声の方に振り返ったF-14は目を疑った
「ま…マーベリック?」  「なんだトム、居眠りでもしてたのか?」
「ハ…ハーモン?」  「なんだF-14、かってにマッコイ特売のミサイルをつけやがって」
「ミッキー…」  F-14は半分パニックになりながらスコアボードを見上げた
1番:ファイナル・カウントダウン 2番:犯罪捜査官ネイビーファイル 3番:エリア88 4番:トップガン 5番:アフターバーナー 6番:超時空要塞マクロス 7番:タミヤ1/32モデル 8番:沈黙の艦隊 9番:エースコンバット
暫時、唖然としていたF-14だったが、全てを理解した時、もはや彼の心には雲ひとつ無かった
「勝てる…勝てるんだ!」
整備員からフェニックスを受け取り、カタパルトで全力疾走するF-14、その目に光る涙は悔しさとは無縁のものだった…

翌日、デービス・マンサン基地でスクラップになっているF-14が発見され、吉村と村田は病院内で静かに息を引き取った



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