ジュラシック・パーク(映画)

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ジュラシック・パーク(映画) - (2015/08/20 (木) 01:33:57) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2015/07/26 (日) 22:34:38
更新日:2024/04/23 Tue 20:49:57
所要時間:約 6 分で読めます




映画の歴史が変わる。

スピルバーグが変える。




概要


93年に公開された米映画。

原作はSF作家マイケル・クライトンの同名の小説で、
監督は『ジョーズ』、『インディ・ジョーンズ』シリーズ、『E.T.』等、数々の傑作映画を生み出したスティーブン・スピルバーグ。

遺伝子操作によって現代に蘇った恐竜が生息するテーマパークで起こった事故により従業員が次々と襲われていくパニック映画の傑作。
これは、序盤、肉食恐竜が登場せず焦らしに焦らした、サスペンス映画で培ったスピルバーグ監督の演出力の高さもその高い評価の理由の一つ。

脚本にはマイケル・クライトン本人も脚色を担当し、原作とは大幅にストーリーが異なる。

本作の最大の特徴は、アメリカの映画で初のフルCGアニメーション合成が使用されたことである。
当初はアニマトロニクス(機械仕掛け)とストップモーションアニメを中心に撮影する予定だったが、
スピルバーグがVFX担当のインダストリアル・ライト・マジック(ILM)の仕事に興味を持ち、恐竜のシーンの大半で使用することが決定。

そして、フルCGによる、作り物とは思えないほどのリアルな恐竜の動きに、世界中が熱狂。
このILMの働きは『スター・ウォーズ』に続く「映像革命」として映画史に残っている。

現在、続編が3本製作されている。
飼育用の島サイトBを舞台とした『ロスト・ワールド』と『ジュラシック・パークⅢ』、
再オープンしたパークを舞台とした『ジュラシック・ワールド』がある。

コミカライズもされており、何と日本でも公開時期に合わせてコミックボンボンで漫画版が連載されていた。


物語


古生物学者のアラン・グラント博士と助手のエリーは、
大企業インジェン社の社長にして稀代の億万長者、ジョン・ハモンドに自身が設立した新しいテーマパークのモニターとして招待される。

そのテーマパークは大西洋・コスタリカ沖の孤島イスラ・ヌブラルを貸し切ったところにあった。
そしてその「ジュラシック・パーク」最大の目玉は、6500万年前に絶滅したはずの、本物の生きた恐竜。

ハモンドは最新鋭の遺伝子技術を用いて、古代の蚊が吸った恐竜の血液から恐竜のクローンを生み出したのだ。

「最新型の厳重セキリュティ」、「遺伝子組み換えによる子孫を作らない恐竜」等、
絶対安全の革命的テーマパークに期待に満ち溢れたハモンドだったが、グラントはそれを懐疑的な視点で見る。
そして、初のパーク周回ツアーが開かれた時、最悪の事態は起こった。

ハリケーンの到来によるツアー客の遮断、ほとんどの従業員が本島に帰宅、
そして従業員の一人の造反によるセキリュティシステムのダウン……。
高圧電線の電源は落ち、フェンスで囲まれたはずの肉食恐竜が脱走し、人々を襲い始めたのだ……!


登場人物


アラン・グラント
演:サム・ニール/吹き替え:富山敬
古代生物学の博士。恐竜を中心とした古代の生物の権威として有名。
子供に好かれる性格で、発掘現場でも人気がある。
しかし本人は子供の扱いは苦手で、「鳥と恐竜は近縁」という持論を嗤った子供に前脚の爪の化石を突きつけて恐竜の恐ろしさを半ば脅すような形で教える大人げない一面も。
本作ではこの持論が半ば正しいこととして扱われており、一部の恐竜の動きに表れている。

ジュラシック・パークのモニターとして選ばれ、更に日給2万ドルの顧問手当に釣られてノリノリで参加してしまう(発掘に必要な資金3年分に相当)。
当初は初の生恐竜に興奮していたが、徐々に明らかになるパークの「穴」により、否定的な意見を寄せる。
T-レックスの襲撃で子供客二人と共に島を彷徨する冒険に出る羽目になる。


エリー・サトラー
演:ローラ・ダーン/吹き替え:弥永和子
古代植物学の博士。グラント博士とは恋人同士。
劇中では植物の知識を生かして、毒草を食べたトリケラトプスの検診をし、糞の山にまで手を突っ込むほどの男気を見せる。
その際グラントとは離れ、ビジターセンターで彼らの救助のために手を尽くす。
終盤でも男気を発揮していたが、電源復旧後は衝撃の事態が畳み掛けてきたので流石に一時的に挫けてしまう。


イアン・マルコム
演:ジェフ・ゴールドブラム/吹き替え:大塚芳忠
数学の博士。カオス理論の専門家。
自然生物の複雑性に重きを置いており、絶滅した生物を復活させたパークの方針に批判的。
軽薄な皮肉屋で、エリーにナンパしていた。
原作では死亡(後の続編では生存が確認)するが、映画では中盤で負傷しずっとベッドで寝たきりだった。


ジョン・ハモンド
演:リチャード・アッテンボロー/吹き替え:永井一郎
大企業インジェン社の社長で、ジュラシック・パークの創設者。

相当年を喰っているにも関わらず子供のような夢を持った好々爺で、
パークの開業により子供たちを喜ばせることに何よりの情熱を持っている。
それに伴い、最新鋭の技術を投入し絶対安全な施設を自負していたが、全く予期していなかった事故に動転してしまう。
もっとも、その事故の根本的元凶でもあるため割と自業自得でもあるのだが。
それでもパーク開業を諦めずディズニーランドを例えに出してマルコムから「カリブの海賊は故障しても人は食わない!」と皮肉られる。
更にアランからも今回の件がトドメとなって「推薦状は書けません!」ときっぱり一蹴されてしまう。
尤も、本人もこの時点で自分がとんでもない過ちを犯したことを自覚しており「当然だ」と返している。

原作では金利主義の銭ゲバクソジジイで、映画とは正反対な性格。原作では終盤にコンプソグナトゥスの群れに食われて死亡する。
これは、映画版ではスティーブン・スピルバーグが自身を投影しているからではないかと言われている。


レックス
演:アリアナ・リチャーズ/吹き替え:坂本真綾
ハモンドの孫娘。タンクトップが眩しい。
年頃らしい生意気な小娘で、恐竜には疎い。パソコンのプログラムが得意。


ティム
演:ジョゼフ・マゼロ/吹き替え:大島一貴
レックスの弟。
恐竜が大好きで、グラントに懐いている。劇中では何かと酷い目に遭う。


レイ・アーノルド
演:サミュエル・L・ジャクソン/吹き替え:梁田清之
パークのチーフエンジニア。
技量はあるが怠惰な部下に頭を悩ませ、さらに最悪な事態を引き起こされたことにより苦悩する。
今でこそ名俳優のサミュエルだが、今作では驚くほど地味な役。
終盤、エリーと再会できたことはできたのだが…。


ロバート・マルドゥーン
演:ボブ・ペック/吹き替え:田中信夫
パークの恐竜監視員。
猛獣の扱いのベテランで、パークの管理面において火力がかなり不十分であることを嫌というほど理解しており、対戦車用装備の配備を要求していた。
終盤、武器を完備してエリーの護衛に参加するが…。


ドナルド・ジェナーロ
演:マーティン・フェレロ/吹き替え:納谷六郎
インジェン社の顧問弁護士。
慣れない森の中のパークにあからさまに嫌な態度をとっていたが、パークの開演で見込まれる収益に浮かれ気味に。
子供を置いて自分だけ逃げるというお約束の行動をとった結果、お約束通り最初の犠牲者に。

原作でも拝金主義のビビリ系で性格も悪人寄り。
だが子供を体を張って守るなど映画よりは勇敢な人物であり、半ば強引に付き合わされたのも大きいが生き残って意外と活躍する。


デニス・ネドリー
演;ウェイン・ナイト/吹き替え:桜井敏治
システムエンジニア。パークのセキリュティシステムの管理を担当する。
ズボラで怠惰なキモデブで、机の上は常に散らかっている。
ただし、DNA配列を解析するスパコンの処理の効率化を成したのは彼であり、エンジニアとしての実力はあった。
性格面がアレだったため、ハモンドや同僚からの評判は最悪で雇用条件も実績に見合わないものだったとか。

実はライバル会社に雇われ、培養していた恐竜の胚を提供する産業スパイを働こうとしていた。雇用条件が悪かったことがこの離反に繋がったらしい。
そして逃げるために嵐の中、セキリュティシステムをダウンさせ桟橋へ向かい、騒動の全ての発端を作る。
詰まる所、ハモンドたちが実績やパークでの功績を「勤務態度を少しは是正してくれたら」程度にでも評価していれば、この惨劇は起きなかったのだ。
実際、ハモンドや同僚たちの彼に対する態度の方にもかなり問題があったのは紛れもない事実。
何しろ作中描写を見る限り、オープンを間近に控えてもシステム担当はネドリーしか常勤していないのである。
(ハーバードにネドリーの仲間がいるので連絡を取れという趣旨のセリフがあることから、流石に1人という事はないようだが……)
システムをダウンした際、簡単に復旧できないように細工した挙句ケンカ売りまくりのブラクラを添えたことからも、相当に頭に来ていたことが伺える。
ハモンドェ…。
だが嵐で道に迷った挙句車も故障し、そこをディロフォサウルスに襲われ死亡。


ヘンリー・ウー
演:B・D・ウォン/吹き替え:中村大樹
生物科学者で、恐竜の培養を担当する。
事件発生時は本島に帰っていたため危機は逃れていた。
後に4作目にてまさかのキーパーソンとして再登場を果たすが、同時にハモンド顔負けのトラブルメーカー(死神)体質であることも明らかに。


ルイス・ドジスン
演:キャメロン・ソア/吹き替え:小室正幸
インジェン社のライバル企業に所属する産業スパイ。
ネドリーに造反を促し、胚を持ち出すためにヘアスプレーに偽装した保管器を手渡した。
映画ではこれっきりの登場だが、原作では黒幕として暗躍、続編のロストワールド(小説版)で恐竜の餌食になった。
ちなみに吹き替え版では言語ネタでネドリーから「ドジ」の部分を強調されている。



登場恐竜


登場する恐竜は、白亜紀の木の樹液が固まった石である琥珀に閉じ込められた蚊の死骸が吸った血液から遺伝子を取り出し、
欠けた部分をカエルの遺伝子で補足したクローン体。ちなみに現実だと消化されてしまってまず残らないとか、残念……。

後年、恐竜の生態について考察が進み本作での描写(外見等)に間違いがあるという指摘がなされたが、
前述したように別生物の遺伝子が組み合わされたキメラ体であるため「実際の恐竜とは異なる」ということで説明がつく。

とはいえ、従来怪獣みたいなイメージを持たれていた恐竜という存在を一般層に知らしめたのは今作でまず間違いなく、
本作以降恐竜研究者、とくに女性の研究者が増えたとか。
また本作のヒットにより恐竜を扱った書籍や作品は非常に増えた。

繁殖は行えないよう雌のみになるよう調整されていたはずだったが、
件の遺伝子の出所であるカエルが「周囲の雌雄比率に応じて性転換する」種であり、
そのせいで実際は産卵が可能となっていたことが発見される。
最も近縁だと映画開始から伏線が張られていた鳥類でも、当時主流の説だった爬虫類でもなく何でカエルやねん…

ティラノサウルス・レックス
肉食恐竜の王者。
最初の周回では姿を見せなかったが、後に雨の中、焦らしに焦らし、フェンスを破って堂々と登場する様はまさに圧巻。
そのままツアーに残った一同を車ごと、あるいはトイレを襲い恐怖のドン底に陥れた。
…が、最後の最後で美味しい所を持って行く。
当時の学説を反映して車にすら追いつかんばかりの勢いで突っ走ってくる。

ヴェロキラプトル
中型の肉食竜。
大変知能が高く頭が切れ、群れを成して行動する恐竜の中のハンター。
終盤ではある意味T-レックス以上の強敵として一同を苦しめた。
なお、本来のラプトルは白亜紀後期に現れたしっぽまでの長さが2m台で、山猫サイズの小型恐竜だが
この作品では上記の通り中型クラスの身体になっている。
スピルバーグが見栄え重視でデイノニクスやユタラプトルサイズにした上で、名前は原作どおりラプトルにしたらしい。
なお、デイノニクスとヴェロキラプトルが同属という説は一応この頃にはあることはあったが、当時からほとんど賛同を得ておらず、現在では忘れられた説と言っていい。

ディロフォサウルス
襟巻を持った小型恐竜。
一見無害だが実は汚い声で鳴き口から毒粘液を吐く肉食恐竜。
なお、本来のディロフォサウルスは5~6mはあるジュラ紀前期としては大型な肉食動物である(腐肉食説・魚食説あり)。
案外まだ生まれてちょっとしか経っていない幼獣なのかもしれない。
襟巻は化石からは見つかっておらず、映画中での創作。
「それにしても、本来威嚇用のものである襟巻をこれから獲物を襲うときに広げるのがおかしい」というツッコミが多数寄せられた。

ブラキオサウルス
パークに来場したメンバーが初めて目にした恐竜。
大型の首長竜で、大人しい草食。人間にも懐きやすい。
冒頭の後ろ足で立ち上がるシーンが、公開当時から恐竜オタにはツッコまれまくった(ブラキオサウルスは体の構造的に後ろ足で立つことはできない)。

ガリミムス
中型の草食恐竜。草原に生息し、群れをなしている。

トリケラトプス
角の生えた大型草食恐竜。
ツアーでは毒草を食べて体調を崩していた。


余談

名作や革新的な作品には面白い裏話が付きものであり、当然この作品にもさまざまな逸話がある。

キャンセルされたストップモーションアニメ
先に述べたとおり当初はアニマトロニクスとストップモーションアニメを中心に撮影する予定だった。
しかし監督がCGに興味を持った事で予定を変更、ストップモーションアニメはキャンセルされてしまう。
これにショックを受けたのはすでに4か月近くかけて映像を作っていたフィル・ティペットという男。
スターウォーズ旧三部作にも関わっていた彼もCGで動く恐竜を見て「私は絶滅(失業)だ」とかなり落ち込んでいたらしい。
しかし「恐竜のリアルなCGは作れても、動きがリアルでなければ意味が無い」とCGのアニメーション監修を任される事に。
こうして命を吹き込まれたのが本編の恐竜達である(特にラプトルがキッチンで暴れるシーンは彼のアイデアがかなり盛り込まれている)

実物大ティラノサウルス・レックス
一般的にアニマトロニクスでは必要な部分だけを作り撮影を行う(頭・脚・尻尾など)
ところが監督はどうせならフルスケールの機械仕掛けのティラノサウルス・レックス(歩行可能)を作りたいとか考えていた。
(流石に歩行は無理だったが、NASAやらMTIやらから研究者を集め検討していた辺りマジで歩かせようとしていた)
その後2年ほどの月日をかけて1/1T-REXが完成。流石に腿から下は無いが全長12mを超える巨大なものに。
しかしこれほどの巨体の割にそこまでトラブルも無く撮影は順調に進み、スケジュールが前倒しになるほどだったそうだ。
監督は「ジョーズの時に比べたら夢のようだ」と笑っていたそうな二度と戻ってこないとか言ってたもんね

急遽変更された"オチ"
当初の脚本では、グラント博士一向は自力でラプトルを倒し脱出するというシナリオだった。
ところが監督が「この映画の看板はティラノサウルスだ。このままティラノを出さないで終わったらブーイングが起きる」と急遽脚本を大幅に変更。
そして生まれたのがあのクライマックスである。
これがどれほどの英断だったかは語るまでもないだろう


「追記修正を初めてする時はどんな時にもトラブルがある。仮面ライダーの項目もそうだった」
「クウガの項目は人を喰わないよ」

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