2000本安打(プロ野球)

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2000本安打(プロ野球) - (2017/11/05 (日) 06:21:43) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2015/09/13 (日) 20:37:00
更新日:2023/10/11 Wed 00:52:03
所要時間:約 13 分で読めます







小笠原道大「やっぱり1本目と、2000本目のヒットというのは記憶に残ると思います」




2000本安打とは、項目名の通りプロ野球で2000本ヒットを打つことである。


解説


プロ野球の打者にとっては、一つの目標となる数字。

ある選手が1900安打に到達するあたりから、2000本安打への期待は高まってくる。
2000本安打達成まで残り20~30安打程になってくると、ニュース番組などでもカウントダウンが始まるようになる。
応援席にいるファンが、手作りのカウントダウンボードで安打を記録していく光景も見られる。
それほど2000本という数字は重みがあるものなのだ。

無事2000本安打が成し遂げられると、球場は拍手と歓声の嵐。
ホーム・ビジター問わずに試合は一時中断となり、塁上の選手には花束が贈呈される。
この時ばかりはファンもアンチも関係なく、皆が挙って祝福の言葉を贈る。

それくらい讃えられて当然なほどに、この記録は難しいのだ。

プロ野球のレギュラー野手が年間に打つ安打数はおおよそ100~150本。
単純に考えて、2000本安打到達までには早くても15年ほどの時間はかかる。
一方で、プロ野球選手の平均的な在籍期間は10年に満たないとも言われる。
この時点で、2000本安打という記録の壁の高さがわかることだろう。

仮に40代までプロ選手として活躍するとしても、実働期間はせいぜい20~25年。
早くても15年ほど時間を費やす必要性や年齢的な衰えを考慮した場合、入団から間もないうちにレギュラーを獲得する必要がある。
2000本安打を達成するためには、若いうちからレギュラーの座を掴み、その後もずっとその地位を守り続けていかなければならないのだ。
さらに言うと、1年目の時点で高卒選手よりも年齢が上となる大卒・社会人選手は、記録達成の難易度がさらに上がる。

これまでプロ野球の世界には、多くの『天才』と呼ばれる打者が存在した。

入団して間もないうちにレギュラーを掴み、活躍した野手も多数存在する。
中には『将来2000本安打も余裕な勢いだね』と語られた若手選手もいるだろう。
そうした中で努力を重ね、1000本安打、1500本安打と記録を積み上げた選手もいる。
しかし、2000本安打を達成した選手は歴代で僅か50人しか存在しないのだ。

才能に溢れた野手が血のにじむような努力を重ねてさえ、この記録を達成できる可能性は高くない。
本塁打王や打点王に何度も輝いているのに、2000本安打に届かなかった選手もいる。
2000本安打とはそれほどまでに高い壁であり、気の遠くなるほどの長い道のりなのだ。

ただし、偉大過ぎる記録達成を目指すが故にチームの足を引っ張ることも。

2000本達成間近という状況は、往々にして選手の野球人生の晩年期になる。
この頃には選手の実力は衰えており、不動のレギュラーという立場にいることは難しい。
打撃が衰えたり、逆に打撃は大丈夫でも守備や走塁が話にならないレベルで酷くなったりと、
スタメンで試合に出るには厳しいというケースもままある。

しかしながら安打というのは積み上がる記録であり、よほど衰えていない限りは
試合に出し続けることでどうにかなってしまう。
すなわち、2000本達成の為にその選手を勝敗度外視で出場させるという事態が起きる。
それが仇となり、チームの雰囲気に悪い方向で影響を与えることも……。
こういうパターンはファンからしても見苦しく、批判が起きることもしばしば。

一方で、打撃成績で貢献できなくとも、2000本安打達成に向けて頑張る選手の姿が他の選手を良い方向に刺激することもある。
そのため、ゴリ押し起用が悪いと簡単に言い切る訳にもいかないのだが。
また、衰えることなしにバリバリ活躍し続け、2000本安打すらも通過点として頑張る選手ももちろん存在する。

ただ、上記のような複雑な環境に置かれてしまった結果、2000本安打を達成することなく引退を決断した選手も存在する。
非常に悲しいことである。


名球会との関係


2000安打は、名球会の入会条件でもある。

しかし、単純にプロ野球で2000本安打を達成すれば良いという訳では無い。
名球会の掲げる『2000本安打』には、特定の条件をクリアしなければ名球会の一員にはならない。

まず、大正生まれの選手は2000本安打の記録を所持していても名球会には入会できない。

これは、名球会自体が大正生まれのプロ野球選手の入会を認めていないためである。
現に2000本安打の最速達成記録を持つ伝説的存在の、故・川上哲治氏は名球会員にはなっていない。
多少話が逸れるが、大正生まれの選手が名球会に入会できないことを疑問視する声はあった。
ただ、発足当時は今ほど名球会が強い知名度を持っていなかったためあまり問題視されなかったという面もある。

次に、名球会における2000本安打の記録スタート地点は『NPBから』という決まりがある。

MLBからスタートした選手は、日米通算で2000本安打を達成しても入会は認められない。
最近の例では、アンドリュー・ジョーンズ選手がNPBで2000本安打目を達成したが、名球会の会員扱いはされない。
もちろん、ジョーンズ選手は2000本安打達成のお祝いをしては貰ったが。
つまり、ジョーンズ選手はNPBでは215安打という扱いなため、当然名球会の入会条件には満たさないこととなる。

逆に、NPBからスタートすれば問題はない。

NPBで2000安打に達成せずとも、その後MLBで残りの安打を消化すれば名球会に入会できる。
松井秀喜選手や松井稼頭央選手などがその代表例である。
稼頭央選手の場合は、日米通算2000本安打達成後にも活躍し続け、NPB単独で2000安打を達成したという怪物なのだが。

人種的な縛りは無いので、NPBから2000本安打を達成すれば外国人選手でも入会できる。
というか結成時点で台湾籍の王貞治氏、韓国籍の張本勲氏がメンバーなので…(なお、2人とも日本で生まれ育っている)。

2013年に横浜DeNAのアレックス・ラミレスが初めて外国人選手で通算2000本安打を達成した。
しかしこれはラミレス選手が伝説的すぎるだけで、2000本を達成できる外国人選手はいないと思われた……

ところが、同年2013年に特例が発生してしまうこととなる。

先ほどのスタート地点関連の話を思い出してほしい。
例えばMLBで1900本打った後に日本に来日し、NPBで100本安打を作っても名球会の入会条件は果たせない。

……逆に考えてみてもらいたい。

この外国人選手を拒むかのようなルールには抜け穴がある。
そう、NPBをスタート地点にすれば、極端な話『NPB通算1安打+MLB通算1999安打』でも条件は満たせちゃうのだ。

この条件を自然と達成してしまった選手が、元広島のアルフォンソ・ソリアーノ選手なのだ。
彼はかつて、広島東洋カープが取り組んでいたドミニカ共和国の野球スクールを経て広島へと入団する。
しかし、日本では結果を出せず1軍の試合に9試合のみ出場して2安打に終わり、日本を去った。

その後、ソリアーノはニューヨーク・ヤンキースと契約しメジャー昇格。
そして様々な球団を渡り歩きながら、何やかんやで日米通算2000本安打を成し遂げたのだった。
よってソリアーノ選手の記録は『NPBで2安打→MLBで1998安打』という、上記の極端な例に近い数字と化した。

この極端な2000本安打記録というごく稀な事態に、名球会は動揺。

様々なプロ野球OBの間でも、ソリアーノ選手を名球会に入会させるかどうかの賛否を問う議論が起こった。
結果的に、ソリアーノ選手の名球会入会の是非は総会で話し合われることになった。
……ソリアーノ自身は『入れたら嬉しいな』程度の軽い反応だったが。

だが、総会の話し合い後もソリアーノの名前は名球会の公式サイトに記載されていない。
どうやら、ソリアーノ選手の入会は果たせていないようだ。
名球会から反応のないところを見ると、話し合い自体が決着つかずに終わった可能性もある。
ソリアーノ選手も引退してしまったし、今後何らかの説明がほしいところだが……

なお、2000本安打を達成して名球会の入会条件を満たしても、入会拒否した選手や退会した選手も存在する。


200勝との価値的議論


2000本安打の価値は、投手の『200勝』の価値と比べられることがある。

何故なら投手における200勝は2000本安打と同じく、名球会の入会条件であるためだろう。
プロ野球ファンの間では『投手は200勝・野手は2000本』というイメージがある人もいるのではないだろうか。

だが、2000本安打が投手で言う200勝ほどの価値が無いのではという意見もある。

まず、投手分業体制である現在では1勝の重さが1安打とは比べ物にならない。
先発は中継ぎ投手が同点に追いつかれてしまった時点で、勝利資格が消滅する。
『試合には勝ったが先発投手は勝てませんでした』なんてのは日常茶飯事。

投手分業体制確立以前は、先発が休みを挟まず連投する光景も見られた。
当然勝てる確率も高くなり、シーズン20勝が現在ほど希少価値のある勝利(もちろん20勝自体は凄い数字だが)では無かったことが挙げられる。

それに、先発が1点で抑えても味方打線が0点で負けましたなんてのも今ではよくある話。
いくら良いピッチングをしようが、味方が点を取らなければ勝てない。
チーム状況に左右されるとはいえ、投手自身が悪い場合は当然先発の地位を剥奪されるので、『運悪く達成出来なかった』ことはあっても
『運良く達成』なんて事案はほぼない。


一方、2000本安打はチーム状況に振り回されにくい。

打者が安打を打てば、チームが勝とうが負けようが安打記録は更新される。
そのため、投手の名球会条件よりも運要素に比較的振り回されにくいと言える。
また上記でも述べたように、力の衰えた選手でも試合さえ出れば打席が回ってくるので、安打の場合は更新できる可能性は高い。

そのため『200勝は2000本安打より重い価値なんだ』と考える人が出てもおかしくない。
実際な話、2000本安打の方が達成しやすい状況ではあると言えるだろう。
現に、今の名球会は打者の方が投手の名球会員より大幅に数が上回っている。
一部では入会条件のハードルを下げるため、200勝ではなく150勝に条件を変更するよう求める声もあるほど。

ただ、200勝という数字が異常すぎるだけであって、2000本安打も達成困難な記録である。
上記でも記載したように、2000本安打の方が達成しやすいのかもしれないが、性質が違うのでお互いの記録の優劣はそう簡単につけられるものでは無い。

なお、名球会の設立時点では200勝投手は15人なのに対して2000本安打達成者は11人だった。
当時の時点では、200勝投手の数が上回っていたという事も付け加えておく。

ちなみに近年250セーブも投手の名球会への入会条件になったのだが、あまり比べられることは無い。
導入当初は「案外楽なのでは?」と思っていた人も多かったようだが、その後候補者が次々脱落していったことにより、
「実は2000本安打・200勝よりも難しいのでは?」と言われていたりもする。


主な達成者一覧(※2017年シーズン終了時点、☆は現役選手)


ここでは2000本安打達成者を記載する。

名球会員でなくとも、2000本安打を達成した選手であれば記載。
ただし、名球会に所属していない選手は備考で記述する。

名球会のルール同様に、MLBからスタートしてNPBで2000本安打を達成した選手は記載しない。



選手名 通算安打数 備考
川上哲治 2351安打 故人
大正生まれのため名球会入会資格なし
NPB最速2000本安打達成記録保持者
投手としての勝利経験あり
山内一弘 2271安打 故人
『内角打ちの天才』
榎本喜八 2314安打 故人
引退後野球界との関わりを絶ったため事実上入会辞退扱い
元祖『安打製造機』
野村克也 2901安打 一時期名球会退会後復帰
捕手初
長嶋茂雄 2471安打 『ミスタープロ野球』『ミスタージャイアンツ』
広瀬叔功 2157安打 福本豊が憧れた伝説の一番打者
張本勲 3085安打 通算安打NPB記録保持者
王貞治 2786安打 『世界の王』
通算本塁打世界記録・日本人シーズン最多本塁打記録保持者
国民栄誉賞受賞
江藤愼一 2057安打 故人
両リーグ首位打者タイトル獲得
土井正博 2452安打 『18歳の四番打者』
高木守道 2274安打 二代目『ミスタードラゴンズ』
二塁手
松原誠 2095安打 『ミスターホエールズ』
ベストナイン選出経験無しとしては初の達成
柴田勲 2018安打 スイッチヒッター初の2000本安打
シーズン三割未達での達成(初)
大杉勝男 2228安打 故人
両リーグ1000本安打
藤田平 2064安打 阪神タイガース生え抜き打者初の名球会入り
衣笠祥雄 2543安打 元祖『鉄人』
国民栄誉賞受賞
福本豊 2543安打 『世界の盗塁王』『韋駄天』
2000本安打以前、通算800盗塁達成時に入会許可を出されるが辞退。
山崎裕之 2081安打 主に二塁手・遊撃手での達成
山本浩二 2339安打 現在の名球会理事長
『ミスター赤ヘル』
有藤通世 2057安打 『ミスターオリオンズ』
若松勉 2173安打 身長168cmの『小さな大打者』
初代『ミスタースワローズ』
谷沢健一 2062安打 名球会退会
加藤英司 2055安打 パの関西3球団(阪急・近鉄・南海)を渡り歩いた渡り鳥
門田博光 2566安打 『不惑のスラッガー』
大島康徳 2204安打 39歳10ヶ月で達成、達成時の最年長記録
1年目、2年目一軍出場なしの選手として初の達成者
ベストナイン選出経験無しとして二人目
新井宏昌 2038安打 『近鉄史上最高の2番打者』
通算300犠打達成者
「イチロー」「パンチ佐藤」の名付け親などコーチとしても著名
落合博満 2371安打 名球会入会拒否
『オレ流』
三冠王3回、両リーグ1000安打
秋山幸二 2157安打 『メジャーに最も近い男』
トリプルスリー達成者
駒田徳広 2006安打 『究極の満塁男』
立浪和義 2480安打 三代目『ミスタードラゴンズ』
通算二塁打日本記録保持者
イチロー 記録更新中 日米通算。年齢・試合数ともに史上最速での2000本達成
メジャー通算でも2000本安打を達成
日米通算3000本・3500本・4000本達成
連続無三振記録保持者 ☆
清原和博 2122安打 『無冠の帝王』
通算三振・死球・サヨナラホームラン・サヨナラヒット日本記録保持者
古田敦也 2097安打 大学・社会人の2つを経由して初の2000本安打達成者
捕手二人目
野村謙二郎 2020安打 トリプルスリー達成者
石井琢朗 2432安打 遊撃手最多試合出場日本記録保持者(1765試合)
投手としての勝利経験あり(二人目)
松井秀喜 2643安打 日米通算
『ゴジラ』
田中幸雄 2012安打 『ミスターファイターズ』
シーズン三割未達の2000本安打達成(二人目)
前田智徳 2119安打 『ガラスの天才』
金本知憲 2539安打 『鉄人』『アニキ』
トリプルスリー達成者
連続試合フルイニング出場1492試合、連続試合出場1766試合
松井稼頭央 記録更新中 日米通算
日米通算2000本安打達成後、NPB通算でも2000本安打達成
トリプルスリー達成者 ☆
小笠原道大 2120安打 『ガッツ』
高校通算本塁打0本
稲葉篤紀 2167安打 WBC最年長出場
宮本慎也 2133安打 主に二塁手・遊撃手での達成
通算400犠打達成者
小久保裕紀 2041安打 『ミスターホークス』
日本シリーズMVP最年長受賞
アレックス・ラミレス 2017安打 外国人選手史上初の通算2000本安打
中村紀洋 2101安打 MLBでは通算5安打
名球会入会は本人の希望で、NPBのみでの通算2000本安打時点で入会
谷繁元信 2108安打 通算試合出場数最多記録
試合数・打席数歴代最遅達成
捕手三人目
井口資仁 2253安打 日米通算
主に二塁手での達成
アルフォンソ・ソリアーノ 2097安打 日米通算
名球会入会は果たせていない
和田一浩 2055安打 『輝く男』
2015年時点で史上最高齢の42歳11ヶ月での達成
新井貴浩 記録更新中
福留孝介 記録更新中 日米通算
サイクルヒット史上最年長達成者 ☆
荒木雅博 記録更新中 二塁手
通算33本塁打(2000本安打達成時)は史上最少 ☆
青木宣親 記録更新中 日米通算
4代目『ミスタースワローズ』 ☆
阿部慎之助 記録更新中 捕手4人目(達成時は内野手登録)
鳥谷敬 記録更新中 主に遊撃手での達成
阪神生え抜き打者2人目の名球会入り ☆


2000本安打に近い現役選手(※2017年シーズン終了時点、残り100本以内)


選手名 通算安打数 備考
内川聖一 1975安打 『横浜を出る喜び』
福浦和也 1962安打 『幕張の安打製造機』







実況『Wiki篭り選手は、この編集で通算2000追記・修正を達成いたしました!

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