SCP-1337

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SCP-1337 - (2017/01/19 (木) 15:44:04) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2017/01/04 (水曜日) 10:23:00
更新日:2024/04/04 Thu 05:09:59
所要時間:約 6 分で読めます




SCP-1337とは、怪異創作コミュニティサイト「The SCP Foundation」に登場するオブジェクトの一つである。
項目名は『幽霊ヒッチハイカー(The Hitchhiker)』。オブジェクトクラスはある事情により一定しておらず、現在は「Euclid」に指定されている。

SCP-1337は、有り体に言ってしまえば古今東西、世界各国に伝わるある『怪談』である。

夜、暗い道を自動車で行く運転手が、何故か一人ぼっちで佇んでいた女性に呼び止められ、ある場所までヒッチハイクさせてくれと頼まれる。
ドライバーがそれを受け入れ、送って行った先はある一軒の民家だった。
さて、到着しましたよお嬢さん…と、女性を乗せていたはずの後部座席を見ると何故か誰もいない。
「で、出たー!?」
パニックに陥ったドライバーが車から飛び出し、幽霊が指定したその民家に駆け込んでみるとなんとそこは…幽霊となった女性の生家だったのだ。

女性は、死してもなお家に帰ろうとしていたのである。

SCPの原型のひとつとも言えるかも知れない『都市伝説』という概念の生みの親、民族学者のジャン・ハロルド・ブルンヴァン博士も本のネタとして取り上げているこの怪談話を、SCP-1337はほぼそのままなぞって進行するのである。

幽霊として出現する女性は、1952年5月19日にインディアナ州のマンシーで誘拐され、カルト教団によって生贄とされて非業の死を遂げた女性、メアリー・タリッシュ(Mary Talish)であることが特定されている。
彼女の死の19ヶ月後、自身の命日である毎月19日にメイフェア・ロード(以下1337-α)という道沿いに出現するようになったメアリーは、通りかかった車を呼び止めると迷子になった自分を家(以下1337-Δ)まで送り届けてはくれないか、と頼むようになった。

心優しいドライバーが頼みを引き受けると、メアリーの幽霊は車に乗り込み、彼女の家ではなく彼女が埋葬されている墓地(1337-β)へと車を誘導。
墓地へ到着すると、車から降りた彼女は姿を消し、後には生前に彼女が着用していたセーター(1337-γ)が必ず残されるのである。
このセーターに手を触れると、ドライバーはこのセーターを彼女が生前住んでいた家に今も住んでいる、彼女の両親に届けなければならないのだという強迫観念にとりつかれることになってしまう。

こうして、ドライバーはセーターに導かれるように、彼女の両親の棲む家を目指すようになってしまうのであった。
因みに、このセーターを封じ込め下に置く試みが過去に行われていたが、毎月19日の日没前後に必ず封じ込め下から消滅してしまうため結果的には無駄な行為となってしまっている。

その為、財団は口封じとSCP-1337を安全に収容する二つの目的でメアリーの親族に接近し、「娘さんの魂を安らかに眠らせるために協力してほしい」という名目でEクラスエージェントとして雇用し、セーターを届ける役として財団職員をあてがうことにより、無事SCP-1337を鎮めることに成功したのであった。

追記・修正は、メアリーの魂が1日でも早く天に召されることを祈りつつお願いします。




SCP-1337 - The Hitchhiker
by TheDuckman
http://ja.scp-wiki.net/scp-1337
この項目の内容は『 クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス 』に従います。

























これで終わっていれば、この話は美談として財団に長く語り継がれ、同時に都市伝説を真似た駄作としてwikiから葬り去られることになっていたかも知れない。

しかし、先述した『セーターを拾い、メアリーの両親に届ける役目を担う財団職員』の人事を担当していた某博士の暴走により、SCP-1337はとんでもない事になってしまったのである。

頭文字Lとだけ記されているこの大馬鹿者は、あろうことか独断でメアリーの親族を殺害し、彼女の帰るべき家である1337-Δまでぶっ壊してしまったのである。

L博士「帰るべき場所さえ消してしまえば、幽霊は二度と現れなくなるんじゃね? うは、俺って天才! これで昇進間違いなしじゃん♩」

というのが、このバカの動機であった。
当然、『確保・収容・保護』という理念を土足で踏みにじってくれたこのバカに財団は激怒し、博士を昇進どころか降格処分に処した。
そして、帰るべき場所を根こそぎ奪われたメアリーの幽霊が、もし恨むならこのバカ自身であるだろうと考え、あえて解雇はせず飼い殺しにしたのである。

案の定というか、1986年の6月19日にSCP-1337が消滅していることを再確認しに出かけたバカ博士がメイフェア・ロードに通りかかったところで「待て、何だお前は」という謎の言葉とともに失踪。
再び発見された時には、バカはメアリーがカルト教団の手によってつけられたのと寸分たがわぬ傷をつけられた惨殺死体となっていた。

そして、このバカ博士の暴挙をきっかけとしてメアリーの幽霊は変わってしまった。

まず、現れるときの姿から変貌した。
当初の彼女は、地味ながらも整った容姿をしていたのだが、再び姿を現した彼女は彼女自身がカルト集団の手によって負わされた傷がそのまま残されたおぞましい姿…両目が眼窩から抉り取られ、服は胸の真ん中で切り裂かれており、心臓をくり抜かれた空の胸腔が覗いているという姿で現れることになったのである。

彼女の行動も一変した。
当初はメイフェア・ロードにのみ出没していたものがマンシー全域に出没するようになり、彼女の呼びかけに応じて車を停車させるとその場から消滅して他の道路に現れ、もし彼女を無視すると、薄情なドライバーの運転する車の中に出現し、ドライバーを彼女自身がされたのと同様の方法で殺害する様になってしまったのである。

類似するオブジェクト

オブジェクトへの対処を誤ってしまった結果、本来なら出るはずのなかった犠牲が出てしまった事例はかなり多い。

SCP-1609(椅子の残骸)
要注意団体筆頭、世界オカルト連合がやらかしてしまった事例。
元々は、「座りたいなー」と考えている人の元へテレポーテーションで座らせに来てくれるありがたい椅子だったのだが、オカルト連合が木材破砕機で抹殺しようとした結果ーー

SCP-026-JP(現代のハイヌウェレ)
こちらは財団がやらかしてしまった事例。
『ハイヌウェレ』とは、世界各地に伝わっている食物起源神話の型式の一つで、排泄物や死者の肉体の一部から作物が生まれたとするものである。
財団に収容されているハイヌウェレは、2000年代初頭に徳島県で生まれた10代の少女だった。
神話と同様、彼女の排泄物や彼女の肉体の一部は、彼女自身の体から離れると同時にきちんと食器に盛られた様々な形態の『食事』に変化する。
この、神話の体現者である少女に興味を持った財団日本支部の研究員の一人、井沼博士は彼女が作り出す『食事』の限界を確かめようと遂に人体実験に手を出してしまい――


追記・修正はスタンドプレーを行わない方にお願いします。


SCP-1337 - The Hitchhiker
by TheDuckman
http://ja.scp-wiki.net/scp-1337
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