SCP-399-JP

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SCP-399-JP - (2020/11/27 (金) 17:03:08) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2017/03/31 (金) 14:56:02
更新日:2024/03/22 Fri 23:14:12
所要時間:約 5 分で読めます




SCP-399-JPとは、怪異創作コミュニティサイト「SCP Foundation」に登場するオブジェクト (SCiP) の一つである。
項目名は『胡蝶の夢』。
JPのコードが示す通り、日本支部生まれのオブジェクトである。
オブジェクトクラスは「Euclid」。


概要

コイツが何かと言うと、いつから起きているのか不明な、国際規模の現実改変事象と、それに伴う記憶改変現象である。
つまり、財団世界恒例「どうやって収容するんだシリーズ」の一つ、現象系のオブジェクトである。

財団が最初に発見したこのオブジェクトの痕跡は、紀元前のある時代の、ドイツはシェルクリンゲン近郊の洞窟内部に存在するG-1791壁画に描かれているものであった。

異常な特性はどんなものなのかというと、局所的現実改変とそれに対応する記憶改変、および描写実体の生成である。
このオブジェクトである現象が発生するのは、絵や小説、ゲームなどの創作作品の中である。
SCP-399-JPは完成した作品の中に武装集団として出現し、その内容を自分の存在と整合が取れるように改変。
さらに、製作者と関係者の記憶を、「最初からこういう風に作った」と改変してしまうのである。
顕著な発生例においては作品出演者の死亡、一国家の解体、大規模な国際テロなどがある。

つまり創作物に勝手に出現+魔改造して、最初からそういうストーリーだったと現実改変する武装集団
現実改変というか虚構改変とでも言うべきだろうか。

発生する制作物は昔なら壁画、現在なら映像作品までと幅広く、対策の目途は立っていない。
しかし、大ざっぱな傾向として、国家間の戦争、内戦、軍事行動、火器などを使った人間の殺害を含むもの……要は何らかの争いを描写する作品に乱入して来るケースが全体の8割を占めている(ちなみに財団が最初に発見した壁画は、牛の闘争に介入していた)。

もう一つの特徴として、SCP-399-JP実体とされるこの乱入者だが、集団である。さらにこの連中、1940年代の某国陸軍のBDUを99%の事例で装着しているのだ。現在まで、海軍に相当する実体は確認されていない。



まあ、これだけなら「制作物の内容を改変する迷惑なオブジェクト」で終わるのだが、そうは問屋がノット・ダウン。
厄介なのはこの現象、つまり戦闘行為への乱入が映像作品で発生した場合である。
映像作品内に現れた実体群が登場人物に攻撃した場合、現象発生と共にその登場人物を演じた役者にも同様のダメージが襲い掛かるのだ。
しかも前述した記憶改変により、それらの傷や死は撮影中の事故や事件で受けたものである、と片づけられてしまう。
この現象に際し、現実では到底遭遇し得ない様な原因も確認されていることから、SCP-399-JPはレベルE現実改変オブジェクトであると同時に、レベルDの記憶改変オブジェクトであると認定されている。

しかし、記憶改変を伴う都合上、収容のためには大規模な記憶処理が必要とされる。


事例

ここからは、SCP-399-JPが実際に発生した作品と改変内容を羅列していく。

タイトル 種類 あらすじ 元々の内容 改変後の内容 現実改変の結果
脱獄劇 その時彼は 映像 捕虜となった主人公と収容所監督による、脱走を巡る頭脳戦 主人公は脱走に成功するが、地雷原に気付かず爆死 国陸軍による収容所の襲撃が発生、主人公も監督も地雷原への爆撃に巻き込まれ死亡 爆薬の使い過ぎで出演者が事故死
21世紀宇宙旅行 映像 国連宇宙ステーションに勤務する主人公が、宇宙人との交信で地球の危機を回避するコメディ あるユニットの修理中に、それが宇宙人からの交信の影響だと気付く 間違ってでたらめな信号を送信。それにより国軍の核攻撃が開始されるが、謎の組織(財団らしい)の介入により阻止 不明。どうやら作中の宇宙ステーションと通信ユニットがまんま現れた模様
小☆怪☆兽 蓝翼 ゲーム モンスターを仲間にして戦わせるゲームの4作目 13の敵と対戦。勝利すれば表彰、負ければチェックポイントからリスタート 最後の戦闘の最中に謎の集団が現れ、敵味方問わず全滅してやり直し 何も起きなかったが、収容のために1000万人規模の記憶処理を要した

まあ、無茶苦茶である。というか、事態を収拾するというより戦いさえ終わらせればそれでいい、と思っているような節さえある。
特に2番目のコメディ作品での事例では、「出現した実体がステーションを破壊しようとするが、財団らしき組織が介入してきて阻止」という流れであり、明らかにSCP財団の存在とその役割を理解していることがわかる。

この関係上、オブジェクトの研究は専門チーム「バチカンのカメオを持つ者」に限定され、一般研究員がうっかり深度J-88の情報にたどり着いてしまった場合は記憶処理の後終了することになっている。


補遺

実は、このオブジェクトについてはある仮説がある。
財団はSCP-399-JPを、「創作作品に自身を乱入させ、映像であれば現実にも影響させる」オブジェクトだと考えていた。

ところが、2014年にある事件が起きた。
アメリカはアリゾナ州で起きた銀行強盗立てこもり事件において、某国陸軍のBDUを装着した謎の集団が突然現れて銀行に突入、犯人を確保して警察に引き渡すという出来事があったのだ。
この集団はその後、警察の制止を無視して北北東に撤退、銀行から30Kmほど離れたところで忽然と消えてしまった。

この事件以降、様々な国や地域や場所で、戦闘、紛争、犯罪行為に介入する同様の集団の情報が相次いでいる。
財団はこの連中をSCP-399-JP実体だと推測しているが、得られている情報と矛盾する部分が多く、詳細は謎のままである。

ちなみに、プロトコルで定義されている深度J-88の情報とはこのようなものである。
今まで何故SCP-399-JPが作品でなく現実に現れたか議論してきましたが、逆ではないのかと思う時があります。そのための資料請求が通らない事についてどなたかご存じないですか?

この研究員はプロトコルに沿って処理されたが、つまるところ、この補遺の事件において、作品でもなんでもないのに何でSCP-399-JPが出てきたんだ? という疑問を常々議論していたのである。
しかしこの研究員は、「もしかしてこの世界自体が『作品』なのでは?」と思ってしまったらしい。


つまるところSCP-399-JPの本質とは、何らかの作品における戦闘行為への乱入と、それに伴う現実改変を起こす謎の実体群、というものなのだ。
そしてその作品とは、財団世界そのものもまた含まれている。件の研究員は、そしておそらくは「バチカンのカメオを持つ者」も、そう考えたのだろう。


財団世界は現実なのか? 虚構なのか?
財団が異常な存在を収容しているのか、それとも異常な存在の作った幻影が財団なのか。

今の自分は夢を見ていたのか、自分が誰かの見る夢なのか。



荘子に曰く―――




SCP-399-JP

胡蝶の夢






余談

このSCP、実は同じ筆者の作品であるSCP-400-JP「ペンは自動小銃よりも…」と二対一組になるように作られている。
向こうに登場する謎の軍隊、仮称「文房軍」と、アリゾナの銀行強盗を制圧した謎の軍隊は全く同じオブジェクトであり、同一のオブジェクトを別の視点から描いたのが二つの記事である。


追記・修正をお願いします。


CC BY-SA 3.0に基づく表示

SCP-399-JP - 胡蝶の夢
by SenkanY
http://ja.scp-wiki.net/scp-399-jp

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