現実改変(SCP Foundation)

登録日: 2017/02/26 Sun 01:04:50
更新日:2021/10/10 Sun 02:58:43
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今日の講義は親愛なる現実改変者、タイプグリーン、メアリー・スー、Bixbies、Shapers、魔法使い、神、悪魔、その他もろもろお好きな様に呼んでいい連中、
まあ要するに直感やら意志やらで現実を改変する連中についてだ


ここではシェアード・ワールドSCP Foundationにおける、現実改変について述べる。


概要――現実改変とはなにか?

こんなこといいな、できたらいいな♪

現実改変とはなにか?といってもそこまで難しい言葉ではないしわかるっちゃわかるだろう。
思うがままに世界を変える能力が現実改変で、
『君が望むことなら全てが現実になる』のが現実改変者/Reality Benderというわけだ。
ちなみにGOCからはタイプグリーンや現実歪曲者と呼ばれるが、
稀にSCPのコミュニティでもタイプグリーンと出てくることがあるので頭の片隅に入れておこう。

そこにまんじゅうがあって欲しいと思えばまんじゅうが出現し、金持ちになりたいと思えば札が溢れ、
いやそもそも札なんてなくても欲しいもの出せばいいと思えばNintendo SwitchでもPlayStation5でも好きに出せる存在、
そして目の前の奴を友達にしたり、恋人にしたり、それこそ消してしまうことすらできる…そんな能力が現実改変能力である。

まあ実際には現実改変者にも得意分野や苦手分野、それからスピードや範囲もあるので万能ではない。
万能ではないが、大概の現実改変者は(その能力に自覚的であるならば)万能感を得ることが多い…らしい。
少なくとも財団世界内ではそういうヘッドカノンが主流である。
自覚がないのがアニヲタ的に言えば涼宮ハルヒである。

財団世界では多種多様な現実改変者が登場し、それを利用しようとしたり、自分が現実改変者で要注意団体に貢献したり、
あるいは要注意団体を自分で作ったり、あるいは自分の思うがままに生きている。
で、こういう現実改変者を、大概の場合、財団や世界オカルト連合は殺すのである。

――そう、現実改変者については基本的に財団もGOC同様、殺すほうが主体的となる。何故か?
それについて簡単に、財団世界内の視点と外宇宙からの視点で考えたい。

財団世界内における現実改変者の問題点――あれは収容プロトコルを無意味にしている!

財団世界内での現実改変者が如何に問題なのかについて考えてみよう。

あなたは財団職員です。フィールドエージェントからすっごく危険なオブジェクトを渡されましたが、
不眠不休、それこそ予定されていた有給すら消化できないままモンエナを三本飲んでようやく特性を見極め、収容方法を確立します。
ところがそのオブジェクトを、たまたま近くにいた現実改変者は自分の好きなように作り変えてしまいます。
それまで調べた実験データはパアに。それどころか、あなたは新たな脅威に晒されて、生命の危機です。
なんてことだ、今日本当なら長野でスキーを楽しむはずだったのに!

…そう、現実改変者というのが存在するだけで、どれだけ頑張ってもその努力は全部水泡に帰すわけである。
これでは、財団が世界を異常存在から守りぬくことはできない。

現実改変者も決してみな悪人ばかりではないとは言え、基本的に人間あるいはそれに類する知性は
その時々の機嫌もあるので、やはりリスクファクターであると言える。殺せるなら殺すべきだ、というのが基本的な考え方である。
そもそも「いい人、いい友人」と思っていることすら、現実改変者に改変されたゆえの思考かも知れないのだから。

とはいえ、流石にヘッドカノンによっては、「財団に協力的である」「能力を行使する気がない」ならば監視に留めるという場合もある。

外宇宙から見た現実改変者の問題点――こんなんぼくのかんがえたさいきょうのオブジェクトやん

外宇宙から見た現実改変者の問題点はもっとあっさりしている、と言える。
財団世界には多数の現実改変者が登場するが、そのなかでオブジェクトとして成立するものは
それぞれ特有の難点や性格的な特徴などを有していることが多い。というか、なかったら大体殺される。

あなたは危険なSCiPといえば何を思い浮かべるだろうか?
彫刻? シャイガイ? アベル? はたまた公式チートのクソトカゲ

現実改変者は、基本的に能力に限界がないと仮定するならば、それ以上の存在になってしまうことが問題なのだ。
見てないと殺される像? 見たら殺す人型実体? 何度殺しても復活する半神?そんなの、全部異常性を変えてあげればいいじゃない。
え、アベルを殺せるならいいじゃんって? あなたも影響受けてるんじゃないか? だって次はあなたの番かもしれないよ?
つまり「チートオブジェクトだろうが殺せるなら今度はそっちが脅威じゃねえか」という話になってくる。

そう、つまらないのだ。ただのチートだし。

涼宮ハルヒの憂鬱』は何故面白いのか? ハルヒが自分の能力に気付いてないからだ。
ドラえもん』のひみつ道具(世界変換マシンなど)は何故面白いのか? その時その時で完全に思い通りというわけにいかなくなるからである。
何でも思うがままに操作できる超越存在は、はっきり言って面白みが薄いのだ。
(ただし勘違いしないで欲しいのは、例えばこれが神様で、主役とは別にデウス・エクス・マキナ的にいるとか、
万能チートに見えて実は意外と落とし穴があるみたいな作品において超越存在は面白いし受け入れられる。
ここで問題視されるのはただ只管思うままに世界を作り変えるだけの『何か』である)

だからこそオブジェクトとして成立するのは、大概の場合「これは面白い!」と言わせるだけの説得力があるもの、というわけだ。


現実改変者のフェーズ

GOCは現実改変者について、『特別状況:現実歪曲者』というパンフレットで簡単にまとめている。

フェーズ1では、現実改変者は自分の能力を否定する。
まあそりゃそうだ、思うがままにものを操作できるなんて普通思わないし。
少数はここで止まるみたいだ。偶然と見過ごしてそのまま生きていくのか、病気だと思って精神科医にかかるのか。
ただ、大多数はその次の段階へ向かう。

フェーズ2では、現実改変者は自分の能力を試しはじめる。
水をペプシコーラに変えて見れないかとか、500ウォン硬貨を500円硬貨に変えてみたりとか、
持ってる安いバッグをエルメスのバーキンにしたりとか。

フェーズ3に進むと、彼らは自分の能力の境界を決めるようになる。
能力をどういうふうに使うのか、というわけである。
あくまで質を上げたりとかそういうちゃっちいことで終えるのか(その場合、GOCも気づかないだろうし、別に気づかなくてもそもそも危険ではない)。
あるいは欲を満たしたいといろいろし始めるのか。あるいは、怖くなって結局使わなくなったり、自殺や無気力化したりする。

最後のフェーズ4は『お子様神』とも呼ばれていて…まあ我儘で自分が神様にでもなったつもりになる。
そして残念なことに、一度こうなるともう99%が死ぬまでこの傲慢なお子様神であり続ける。
この状態の現実改変者は、財団やGOCによって大半は殺されることになる。極一部生き延びるのが厄介だが。

あ! 現実改変者があらわれた! あなたはどうする?

まず現実改変者の特徴を考える。

現実改変者は既知の脅威にはいくらでも対処できる。
なにしろ、『「対処しよう」と心の中で思ったならッ!その時スデに行動は終わっているんだッ!』な連中である。
なので、対処しようなんて思わせてはいけない。相手に危機を感づかせる時点でもう現実改変者戦は負け戦だ。

そして、殺す際は一気に致死ダメージを与えなくてはいけない。脳味噌と心臓を爆弾で消し飛ばせ。
仮に片足がなくなろうが現実改変者は回復させるだろうし、そもそも飛び回る可能性すらある。

ここまで書くとただのチートで終わるが、現実改変者も結局は生き物である。
彼らだって感情はあるし、思い入れのあるものや欲しがるものなどもあるし、
それらを前にして気を緩ませることだってある。
そして意識がないときはそもそも何かを動かすこともできない。当たり前だが。
それに彼らは未来を予知することはできない。普段は自分が未来を作るのだからどうでもいいことだが、
裏返せば、意識の外からいきなりスナイパーにヘッドショットされれば現実改変者でも死ぬ。

…まあこれらの要件に時々当てはまらないのが財団世界内にはいるらしいことも示唆されているが。
例えば無意識でも自分を守れるシガーロスちゃんとか。

こういったことを確立したのが世界オカルト連合であるが、後に元GOCのエージェントだったクレフ博士
財団に来てからも現実改変者を終了させている。GOC時代は99人の現実改変者を終了させたようだ。

ヒューム値のお話

現実改変にはついてまわる話なのでこれも語っておこう。
ヒューム値とは、現実性の強さを示す指標である。

…現実性の強さってなんだよって思うだろう。実際、この辺について明確なヘッドカノンは実はない。
ただひとつのアイディアとしては、「現実」と括れるものがいくつもあるなかで、今のストーリーで適用されるある種のヘッドカノンとも言える。
…うん、わかりづらいよね。

例えばあなたは空を飛ぶことも、海を駆けることもできない。あなたは幻想少女でも艦娘でもないからだ。
でもあなたがもし「自分は空を飛べる! 海を走れる!」と思った時、その能力が発現してしまうならば、
それはあなたの考えた『現実』がそれまでの『現実』に勝ってしまった、ということになる。
でも普通、そんなことは起こるわけがない。これはあなたの考えた『現実』は、今ある現実に勝てない=ただの妄想で終わるからだ。

基本的に普通の状態のヒューム値は1であり、ふつうの人間の持つヒューム値も1である。
だが現実改変者は周りの現実性を薄くして、それでいて自分の現実性がちょっと普通の人より高い*1
これによって、周りに無理矢理自分の『現実』を押し付けられるのである。

周りのヒューム値を0.4とかに下げて、自分が3(0.4/3と書く)とかだともう強力な現実改変者である。
ちなみに上で出てきたちいさな魔女は0.3/50。SCP-343(神)は周りこそ下げないが1/86。
ここでSCP-1000-JPっていくらだったっけ。550Hm?これがどれだけやばいかわかるだろうか。

とはいえ、強ければいいってわけではないことはわかるだろう。
ちいさな魔女ちゃんは確かにおかしい強さを持つが、基本的に能力を発現できる範囲が狭い。
(それですら結局はあの惨事を免れなかったが)
SCP-1000-JPは確かに強いが、やることは思うがままに変える、のではなくむしろ「全ての異常性を消す=出る杭を叩く」形で作用する*2

現実改変自体は「変えたいモノのヒューム値を、変えようとする側のヒューム値が大幅に上回っている」という条件さえ満たせば特殊能力者じゃなくても行える。
なので、「ヒューム値が低い場所でごくふつうの子供たちが怪談話をした結果、本当にその怪談が実現しちゃった」という経緯を経てSCP認定されたものもある。

敢えて喩えるならヒューム値は気圧のようなもので、高い方から低い方へと風=『現実』が流入する、というイメージが近いだろうか。
つまり例え5Hmの現実改変能力があろうが10Hmの現実改変能力者には(改変勝負では)無力だし、1Hmしか無い常人でも周囲の空間が0.6Hmしか無ければ現実改変を行える可能性があるわけである。
また、一部の報告書では非常にヒューム値の低い領域が周囲の現実性を「吸引」するといった記述もあるが、これも「気圧のようなもの」と考えると幾分か分かりやすいかもしれない。

一方で、逆にヒューム値に極端な差がある物同士が接触すると、低い方が構成材質の剥離を引き起こしたり、最悪消滅するという場合もあるが、「希釈」と表現される事からも分かるように、この場合は「(現実性の)濃度」と考えた方が分かりやすい。
例えば、バケツ一杯の水にたった一滴の墨汁を垂らした場合、最初は黒い雫が薄まりながら周囲に拡散するが、次第に水と同じ無色透明に近づいていく……といった事例を想像して頂ければいいだろう。


備考

  • 普通の人が現実改変者になることは可能か?
周りのヒューム値を下げるか、自分のヒューム値を上げる道具を有していれば現実改変者になることは可能ではある。
もちろん、そういう道具は得てしてそれ自体がオブジェクトなんだが。

身も蓋も無い言い方をすれば、ヒューム値が極端に低い場所に行ってそこで空想さえすれば誰でも現実改変できる。
ただし現実性の低い領域というのは非常に不安定なので、常人が「空想すれば叶う」レベルでヒューム値の低い場所にノコノコ出向いて無事で済むかは微妙だし、
かといってほとんど無害な0.9Hm台程度の場所では逆に差が少な過ぎて顕著な改変など起こせようもないようだが。

  • スクラントン現実錨(SRA)って時々出てくるけどなに?
ヒューム値を任意の値に留めるため、財団が作った道具である(つまりSCPではない)。
これを起動すると周囲の現実性を一定の値で留め、現実改変を初めとする様々な改変を防ぐ事ができるのである*3
しかしその誕生の裏には、一人の財団職員が辿った、血に塗れた救いの無い現実があった。
そして、それは決して小さくはない代償を払った上で稼働している存在でもある…。

その割には小型化して起源弾よろしくアノマリーにブチ込んだり野球ボールに仕込まれてインチキできないようにしたりとかヘンな使い方もされているが。

関連するオブジェクト

  • SCP-239 - The Witch Child (ちいさな魔女)
シガーロス・ステファンドッティルという名前の少女。
意外と忘れられているが現実改変者であるほかには、未知の放射線を出すという能力…というか体質も持っている。

自分が望む限りなんであっても出現させられる能力を持つが、対象がまだ小さいために
財団職員によって「あなたは魔女で、教えられた呪文しか使うことができないのよ」と教えられることによって、
能力限界を作られている(つまり、本当であればそれこそ際限なく現実改変を実行できるようだ)。
…もっとも、後述の事件の過程で昏睡状態に置かれたが。

現実改変者には珍しく、意識のない時でも無意識下で自分を守ることができる。
そのため、彼女を終了させる試みは現在でも見つかっていない。
彼女を終了させることをクレフ博士は実行しようとして、サイト-17の最大の事件である『事件239 B クレフ-コンドラキ』を引き起こしてしまった。

そのまま全知全能の神。…といっても、実際のところ神様に見えるようなだけのただの人ではないかと考えられている。
特に現在では様々な宗教に依拠するオブジェクトが増えつつあり、こいつを神様認定すると面倒くさいというのもあるのだろう。
財団には友好的で、職員にもかねがね良い影響を与えている。
――研究に関わっていた財団職員の一人が消失したことが判明していたりするがSafe。
非常に強力な現実改変者なのにも関わらず無警戒すぎる気が[データ欠落]

投稿された後、物議を醸したオブジェクトであり(いくら何でも財団も無警戒すぎるし、
収容に自ら協力するオブジェクトも都合が良すぎるという意見があった)、
最終的には認められたものの、その実態としては「似たようなオブジェクトは要らない」というある種の宣言のようなものに近いようだ。
実際これに似た境遇のオブジェクト(現実改変者でないものも含め)はDecommissionedやDV削除になっている。

上に「現実改変者であればアベルであっても勝ってしまう」ということを書いたが、
実際にある意味においてアベルに「勝利した」オブジェクト(流石にクソトカゲと戦うことは「できなかった」が)。

周りの人を「単純な味方」と「幼稚な敵」に変えてしまい、その他いろいろな事物に現実改変能力を行使し、
結果自分がメアリー・スーになる、世界はつまらない小説のようになる、という危険なKeter実体。

ちなみにこいつは、「メアリー・スーになる」ための実績作りということなのか、
他の現実改変者を「現実改変者である」というだけで殺して回った模様。

  • SCP-2996 - It Follows You (ついてくる)
「あれ? SCP-2996って項目名『ERROR/ERROR』じゃなかったっけ?」って思った人は項目参照

電話で頼みごとに応じ、それに合わせて過去を改変して現在の事象を変更することのできる男。
ヒューム値の変動によってではなく、自身のタイムトリップと手作業によって過去を改変するため、ここでいう広義の現実改変者とはちょっと違った存在。

現実改変者のなかでは特異な部類。現実改変をすることで、彼は普通に生きてきた。

  • SCP-019-JP - 普通のボノボ
ある日突然能力を手に入れ、フェーズ4『お子様神』に成り下がった男。神に選ばれたIQ300の救世主を自称し、アメコミヒーローやラノベ主人公を気取っているが、実態は能力を悪用しまくる反社会的な犯罪者(しかもアホ)。
財団職員も参加していた結婚式に乱入し、殺人と強姦をやりまくっていた所を対現実改変能力部隊により捕縛された。
「財団に協力してやるために捕まってやっている」と嘯き、機動部隊編入を希望していたが、頭も態度も悪かったため、終了が決定した。
首をほとんど切断されたのだが、近くに居た実験動物ボノボ(猿の一種)と首を交換して逃げようとした(これだから現実改変者の終了は厄介なのだ)……のだが、その瞬間に死亡。
残ったボノボ頭の男は、真っ先に自分の首から下をボノボに変化させ、以降ただのボノボとして財団に飼育されている。
どうやら現実改変能力の源は首から下だったらしく、首から上には何の価値も無かった模様。







追記・修正よろしくお願いしま…あれ?そもそもこの項目前見た時とちがってない?
でもソース見る限り初版からこうだったみたいだけど…?


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最終更新:2021年10月10日 02:58

*1 よく説明されるのはこの「周囲を下げ自身を高めて差を作る」原理だが、実際には単純に自身のヒューム値が高かったり、自分はそのままに周りだけを下げるなど異なる理屈で改変を行う現実改変者やオブジェクトも多い。

*2 ネタバレになるのであちらを見て欲しいが、この異常性の働きかけ方は『日本』というコンテストのテーマに対してSCP-1000-JPがどう答えたかに関係する。

*3 この「現実性を保証する」性質故か「世界規模の改変に対して、SRAで囲まれた部屋で作業していたある職員だけが改変を免れ……」といった事例は報告書でもtaleでも多々発生している。