SCP-087の性質は、示されていない内容が多い為推定が多くなるが、大体以下のようである。
財団に馴染み過ぎたアニヲタ諸君は、横の壁や地中から掘ってみるとか、無人機を投入するとか、機動部隊を数名送り込んでSCP-087-1と交戦させるとか、ブライト博士を出すべきではありません。
明らかに長すぎる階段
大多数の人に一目瞭然だが、SCP-087の内部には空間的異常がある。
4回の探査でも底が見えなかったSCP-087は、少なくとも深さ1.8kmまで到達している。
鉱山ですらここまで大深度な穴はそうそうなく、当然こんなコンクリートの普通な階段は存在しない。
無限に続くようである階段と言うのはシンプルではあるが、SCP-087の異常性の主体であると言える。
なお、探査IIIでの469階+約150階=619階で、段数8047段というのがどの程度すごいかと言えば、東京スカイツリーの高さ450mの展望台から地上までの非常階段はたったの2523段、3分の1である。
ただし、現実世界では段数だけは上回っている物があり、スイスのニーゼン鉄道が所有するケーブルカーの線路保守用階段が1万1674段あるとしてギネス世界記録に認定されている。なお、階段は1668mの高低差がある。
階段の構造と矛盾する崩壊
また、探査IIIでは、途中で穴が空いておりDクラスが落ちかけた。この際、穴を照らしても底は見えなかった。
だが思い出してほしい。SCP-087は常に踊り場で180度折り返す螺旋構造なのである。穴があれば、すぐ下の段が見えるはずなのである。
いくら主観とは言え、1階分4mの深さを1km以上とは誤認しないだろう。
また、光を照らした後、4秒の間を置いて2秒間光の点滅があったのは謎である。そのような光源はすぐ下の段にはなかった。
仮に照らした光の反射と考えると、その反射光は60万km=地球46個分の距離を往復した事になる。
あまりに暗すぎる闇
つい忘れがちだが、光を異様に吸収する暗闇も異常である。
75Wと言うのは出力の値であり、明るさを一口に語れるものではないが、相当遠くまで照らせる高出力の電灯である。
実際本文中でも示されているが、SCP-087の外では遠くまで照らせるのに、SCP-087内では次の行先の9段先くらいまでしか見えない。
この為、SCP-087内では常に先が見えず、突然の地形変化に躓いたり、SCP-087-1に遭遇するのである。
先ほどの穴も、暗闇が関与しているせいですぐ下の段が見えなかっただけかもしれないが、だとしても帰ってきた光は説明が付かない。
穴の件と総合すると、SCP-087は最初から階段が用意されているのではなく、進む傍から階段が追加されるのかもしれない。
そう仮定すれば、そもそも照らした光が反射する物がないからこそ暗闇に見えるのかもしれない。
以前の探査の痕跡がそのまま残されている事は、形成された階段は "リセット" されないのかもしれない。
最も、それでは既に形成済みの領域でも異様に暗い事や、穴の底から見えた光の説明にはならないが。
SCP-087-1と泣き声の正体及び目的
一番謎なのはこれであろう。
恐らく4桁のSCiPともなれば、発見の記録や補遺などで、その正体に迫る内容があるだろうが、SCP-087報告書にはそれがないので推定すら困難である。
泣き声は人が深入りするのを誘っているようにも聞こえるので、SCP-087-1と泣き声が一致していれば、獲物を狩る待ち伏せ型捕食者のようにも思えるが、そもそも音源はSCP-087-1ではない。
また、SCP-087-1は異様に接近する特徴はあっても、明確に攻撃した描写はない。
ただし、関連が全く無関係ではない可能性もある。探査IIIでは音源に近づいた事が暗示されているが、これはSCP-087-1の遭遇と一致している。SCP-087-1の遭遇後階段を下りたのは探査IIIだけであり、偶然の一致かもしれないが、遭遇がトリガーになっている可能性も捨てきれない。
いずれにしても、音源に接近した事と、実際に音源となる "何か" が存在する事、そこがSCP-087の終点かは不明である。
SCP-087-1の更なる特徴として、遭遇した際には大体においてノイズなどの通信障害が発生する事である。
SCP-087-1の性質である事は、その描写が無い探査I以外では遭遇後発生している事、ずっと追いかけてきている事が示唆される探査IIIでは継続的に続いていた事からわかる。
一方で、しばらくは振り切っていたらしき探査IIでは、Dクラスが意識を失った際には正常だったのが、突然ノイズが発生し、その直後意識を回復している。この際、異様に早い鼓動音も記録されている。
探査IIではDクラスは生還しているものの緊張病に陥っており、恐らく話を聞ける状態ではない。
このノイズと鼓動音の主が、追いかけてきたSCP-087-1か別の存在だったとして、何をしたのかは不明である。
また、SCP-087-1と出会った場所では、コンクリートを破壊する程度の何かが起きており、またLED電灯が設置されていた場所と、探査IIでDクラスが昏倒し謎の鼓動音とノイズが記録された場所ではべたべたした物質が存在した。
SCP-087-1か別の何かがそれを行った事は明白だが、その理由は不明である。
ただし、探査IVの後のドアのノック音は、その正体が何であれ、外に出たがっているのを示唆しているのではないだろうか…。