SCP-087

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SCP-087 - (2017/11/01 (水) 14:20:42) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2017/10/30 (月) 01:19:34
更新日:2024/01/27 Sat 15:18:54
所要時間:約 11 分で読めます




SCP-087は、シェアード・ワールドThe SCP Foundationに登場するオブジェクト (SCiP) のひとつである。
項目名は『The Stairwell (吹き抜けた階段)』、オブジェクトクラスはEuclidである。


概要

SCP-087は、[編集済]のキャンパスにある、コンクリートで出来た手すり付きの階段である。
無許可な侵入が無いように、清掃員用クローゼットに偽造された電子ロック付きの鋼材扉で封印されており、鍵を回した上で定められた電圧をかけないと開かない仕組みとなっている。
SCP-087は下り階段であり、13段毎に180度向きを変える踊り場を挟む。内部に電灯や窓などは無い為真っ暗であり、灯りを持っていったとしても、その構造上1.5階分の範囲しか見る事は出来ない。
ただしSCP-087の性質として、強力な光は吸収する性質がある。その為、光源は75Wが望ましい。
その75W電灯でさえ、普通なら廊下の非常に遠くまで照らす事が出来るのに、内部ではせいぜい9段目までしか照らす事が出来ない。

SCP-087は、それ自体は特徴を持たない階段に見える。しかしながら、SCP-087は建物や地形を無視してひたすら果てしなく降下しているという異常性質がある。今のところ、SCP-087に底が存在するのか、あるとしても何が存在するのかは不明である。
更に、最初の踊り場に降下した時点で、子供の泣き声と思しき音声が聞こえるようになる。その声は、最初の踊り場から約200m降下した位置から発せられるように聞こえ、内容は「お願い」「助けて」「降りて来て」と言った具合である。
しかしながら、いくら音源に近づく努力をしても、どういう訳かその音源に近づく事は出来ない。音量の増大をちっとも感じないためである。

更にSCP-087内部には、SCP-087-1と呼ばれる存在がいる。
SCP-087-1は人の顔に見える物の、その顔には瞳、鼻孔、唇が存在しない。SCP-087-1が一体何であるかは分からない物の、泣き声の主ではない事だけははっきりしている。
これまでにDクラス行われた4回の探査では、SCP-087-1に必ず遭遇している。
遭遇したDクラスは、強烈な疑心暗鬼と恐怖心を感じてSCP-087-1から逃げ出す。この異様に暗い延々と続く階段でこんなものに遭遇すれば恐ろしいに決まっているが、これが正常な反応かSCP-087-1の作用かは不明である。

SCP-087の探査

これまでに行われた4回の探査の概要は以下の通りである。

探査I

被験者はD-8432。
最初に泣き声を聞いてから50階分、累計51階分降下しており、泣き声の音源と推定された200mに到達するが、音源との主観的な距離は変化していない。
この地点で、顔をD-8432に向けたSCP-087-1に遭遇。その顔が約50cmまで近づいた事でD-8432はパニック状態になり、18分を全速力で駆け上った。
D-8432は入口へと戻ったが、階段を急速に上がった事による疲労で倒れて死亡した。
映像と音声記録は、下りと昇りが全く同じ段数である事を示しており、泣き声は当初聞こえたのと同じ、最初の踊り場を通過した時点で聞こえなくなった。

探査II

被験者はD-9035。
前回と異なり、装備に壁に取り付けるLED電灯が持ち物として追加され、1階分降りる毎に壁に取り付ける。
LED電灯は手持ちの電灯のスイッチを切っても正常に動作する。
探査IでSCP-087-1に遭遇した51階分では、これまでになかった変化が見られた。長さ50cm幅10cm程の円弧状の溝が壁に存在し、その断面はガラスのように滑らかだった。また、さらに下へと降りる階段の最初の段は完全に崩壊している事が観察された。
更に38階分、累計89階分、350m降下した時点でSCP-087-1に遭遇。やはり顔を近づけた事による恐怖でD-9035はパニック状態になる。階段を駆け上がるも地上から17階のところで昏倒した。
暫く映像は暗転し、音声は泣き声とD-9035の呼吸音だけであったが、速い心臓の鼓動音および低い割れノイズが入った直後に意識を回復、無言のまま応答に応じず入り口まで戻った。
D-9035はその後へたり込み、緊張病の状態に陥って回復しなかった。

探査III

被験者はD-9884。
探査IIと比較して、まず取り付けたLED電灯は無くなっており、そこには何か汚いものが壁についていた。
探査IIでDクラスが倒れた17階では、床に何かベトベトした、古い金属と尿に感じる悪臭がするものが付着していた。
51階では、探査IIと同様の崩壊が観測された。
探査IIでSCP-087-1に遭遇した89階では、直径1mの穴が開いていて、D-9884は危うく落下するところであった。光を照らしても底は見えなかった。が、どれ程の距離かは見当がつかないが、約4秒後に光の瞬きが約2秒間続いた。D-9884の主観では、最低でも1km以上深いと推測。
途中休憩を挟み、469階目、地下1.8kmまで下りた時点で、ふと後ろを振り返ったD-9884はSCP-087-1に遭遇。これまでと異なり、SCP-087-1はD-9884の顔より、むしろカメラレンズの方を向いていた。その距離は約30cmであった。
4秒間の映像のフリーズと金切り声のようなノイズの後、パニック状態で階段を下降するD-9884の映像に切り替わる。途中3回SCP-087-1が写るが、距離約20cmまで近づいたその顔はやはりカメラレンズの方を向いていた。
注目すべき変化に、これまで一切距離の変化が見られなかった泣き声が、SCP-087-1との遭遇後は音量が増大している。
約150階分の降下の後、D-9884は躓いて転倒した。映像はまだ階段に続きがある事、ノイズ交じりの音声は泣き声の音源がかなり近くにある事を示唆していた。
その後、SCP-087-1の顔が画面一杯に写り、音声及び映像通信は途絶えた。

探査IV

[データ削除済]
SCP-087への出入りは禁止されました。

その後

探査IVの後、SCP-087の内部から1~2秒間隔でのノック音が聞こえたとの報告が[編集済]キャンパスにいる数人の職員と学生によって寄せられた。
SCP-087の収容手順は改定され、厚さ6cmの工業用スポンジが裏打ちされた。ノック音の報告は無くなった。


追記・修正はSCP-087を降りてからでお願いします。


SCP-087 - The Stairwell
by Zaeyde
http://www.scp-wiki.net/scp-087
http://ja.scp-wiki.net/scp--087 (翻訳)
この項目の内容は『 クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス 』に従います。


















































The SCP Foundatonの存在を知った、当時は一般人、今は財団職員のアニヲタ諸君は、まずはどの報告書からご覧になっただろうか?
元祖SCiPの生きた彫刻だろうか?公式チートの無敵生物だろうか?度の過ぎる恥ずかしがり屋さんだろうか?
恐らく順当にFAQを読んだ方なら、本家の評価の高いページやSCP財団殿堂入りコレクション当たりから読み始めたであろうし、SCP-087が最初だという人も少なくない筈である。
実際、SCP-087はThe SCP Foundatonが誕生した頃に登場した最古参のSCiPであり、コミュニティにとって古典的かつ重要な存在であるとしてSCP財団殿堂入りコレクションの1つに選ばれている。 (意外かもしれないが、SCP-096はこのリストには載っていない。)
更に、ポジティブな評価数で表したランキングでは、全記事中3位、ジョーク記事を除けばSCP-173に次ぐ2位と言う実力者でもある。
参考までに、執筆時点 (2017年10月30日) での本家のランキング上位10記事を掲載するとこうなる。
順位 記事名 項目名 評価数 備考
1 SCP-173 彫刻 - オリジナル 2851 殿堂入り
2 SCP-____-J 先延ばs 2117
3 SCP-087 吹き抜けた階段 1748 殿堂入り
4 SCP-2521 ●●|●●●●●|●●|● 1695
5 SCP-055 [正体不明] 1464 殿堂入り
6 SCP-093 紅海の円盤 1417 殿堂入り
7 SCP-682 不死身の爬虫類 1356 殿堂入り
8 SCP-1981 "演説中に解剖されるロナルド・レーガン" 1219
9 SCP-426 私はトースター 1216
10 SCP-914 ぜんまい仕掛け 1212 殿堂入り

実際のところ、SCP-087は幾つかの点で初心者にもとっつきやすく、かつ財団の世界観をある程度示唆しつつ、かといって深入りし過ぎない程度の体裁にまとまっている。
  • 無限に続く暗闇の階段で謎の存在に遭遇するという、異常空間だが容易に脳内に描きやすいシチュエーションである。
  • 収容状況が何か一般的なものに偽造するという、SCP財団ではおなじみの方法で、かつあまり複雑すぎる形で書かれていない。
  • 「█████」「[編集済]」「[データ削除済]」と言った、やはりおなじみの表現が登場している。
  • 一方でSCP財団特有の用語はせいぜいDクラス職員のみであり、その単語や意味を知らずとも探査記録を見ればどのような存在かが分かる。
  • 本体の記事は短くまとめられ、探査記録は中程度だが長すぎない程度にまとまっている。
  • 探査IIIの結末や、最後の探査記録の内容、鳴き声のやSCP-087-1の正体は意図的に伏せる事で、読者に結論を想像させる余地を残す。
  • エログロな表現がない。
実際、本家のディスカッションでは「真夜中にSCPを読むべきではない理由。」、「寝室は2階だがトイレは1階にしかないのだが。」 (いずれも意訳) といった、ホラーを題材としたThe SCP Foundatonからすればこれ以上ないだろう評価が書かれている。子供の頃に夜の階段で恐怖を感じた人は少なくないだろうが、こういう点でも恐怖の感情を覚えやすい事が功を奏しているのかもしれない。

SCP-087の性質


その他

SCP-087を題材とした、その名も「SCP-087-B」と言うPC上で動くゲームが存在する。
…のだが、ディスカッションを見る限り、Zaeyde氏が知らない内に (Zaeyde氏がネット環境の無い熱帯の島に滞在中に) 作製されたようである。
その経緯上ここでは存在の紹介のみに留めて置く。


追記・修正はもうやめ……[悲鳴]
[パニックかつヒステリック状態]付いて来てたんだ!ずっと全部後ろにじっと居たんだああ神様後ろにじっと私をじっと見てたんだ!██████博士お願いどうにかしてお願い助けて神様やめてあっちやってお願いやめて分かっちゃった付いて来てたんだ助けて離してお願い嫌なの私を見てた睨みつけてた居るのを分かってたずっと全部見てたんだああ神様お願い助けてやめて[これと同様の形式で最後まで続く]


SCP-087 - The Stairwell
by Zaeyde
http://www.scp-wiki.net/scp-087
http://ja.scp-wiki.net/scp--087 (翻訳)
この項目の内容は『 クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス 』に従います。


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