SCP-173

登録日:2016/10/17 Mon 00:37:37
更新日:2021/04/02 Fri 17:19:15
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忠告: もしあなたがSCP-JPのスタッフ(サイト「SCP財団」の管理者)ではないならば、外部サイトで作品のライセンスの問題を持ち出さないでください。


直に誤ったライセンス表記の作品を公開している制作者や管理者をこのページ(編注:引用元)に誘導したり、スタッフと話し合うように助言するのは構いません。また間接的に、ライセンスチームに問題を連絡し、解決するように求めるのもまた構いません。ですが、撤回しろと言外に仄めかすように脅したり、Wikiライセンスの所有者や責任者のように振舞わないでください。

こういうときのためにこそ、ライセンスチームはいるのです。私達があなたを手伝います。

*1



俺は三人の男たちが血と糞と光に満ちた部屋で死ぬのを見た。一人がくしゃみをしただけで奴らは死んだ。


SCP-173はシェアード・ワールド『SCP Foundation』に登場するオブジェクトのひとつである。
タイトルは『The Sculpture - The Original』。日本語訳は『彫刻 - オリジナル』。

『SCP Foundation』の中でも一番最初に産まれ、一番多く言及され、財団の根幹にある意味では一番関わるオブジェクトでもあり、
またSCPというものを説明するのに一番最適なオブジェクトでもある。
収容難度を示す指標:オブジェクトクラスはEuclid(現時点で収容できているが、まだまだ予断を許さないオブジェクト)。


概要



一度の瞬きですら、目をつぶっちゃくれない。


コンクリート製で鉄筋が使われた彫像。
人型の形をしており、「スプレーが洗い流されたような」不思議なフェイスペイントが特徴的。
非常に色合いは不気味で、しかもどこからか常に血と排泄物を垂れ流し続ける。

SCPの施設の一つ、「サイト19」に1993年に移設されたことが判明しているが、
いつ財団がこれを収容したのかはわかっていない。
現状は常に施錠されたコンテナに収容されており、前述の特製から1週間に一度清掃が義務付けられている。

・・・さて、SCP Foundationは、「超自然的なわけがわからないもの」を確保、収容し、保護する。
こいつも当然特異な性質を持つが、それは「誰からも見られていない時、動き出す」ということである。
コンクリートと鉄筋製の彫像なのに。

…そして人に近づくと、その首をへし折る。

このことから、清掃時には一人が清掃中に残り二人はちゃんと照明をつけた状態で交互に瞬きをしながらじっと見つめ続けなければならない。
もし3人が同時のタイミングで目を離すと3人とも首をへし折られる。
ちなみに冒頭の文章はTale『黒、白、黒、白、黒、白、灰色』の一文である。

見られていない時動き出す性質上、コンテナ収容時には「石を擦る音」がすることが報告されている。
また、血と排泄物を常に出すが食餌行為は現状では確認されていない。

誕生経緯

このオブジェクトは、『SCP Foundation』において最初にできた報告書である。

元々は、海外の掲示板サイト『4chan』に、日本の彫刻作品『無題 2004』の写真が投稿されたことがきっかけであった。
見た目があまりに不気味なその彫刻を見た4chanユーザーは
「こいつ暗闇で首をへし折ってきそうだよな」
「床が赤いのはこいつが垂れ流しているんだ」
などと設定をつけていき、最終的にこのSCP-173の報告書が完成した。

『The Sculpture - The Original』の「The Original」はまさしく「一番最初に書かれた報告書」を意味しており、
これこそがSCP Foundationの「原点」である、というわけである。

なおその後、SCP Foundationを発足するにいたり、サイト運営側がこの彫像を作った彫刻家の加藤泉氏にコンタクトをとり、
「非営利な使用であれば、消極的に画像の使用を認可する」という認可を貰っている。
この都合から、SCP-173が含まれる創作においてはその画像を使用する限り、営利利用は禁止されている。
SCP記事は全ての記事と画像が『クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス』に従うように作成されるが、
例外として、SCP-173は「文章のみクリエイティブ・コモンズに従い、画像は一切の営利利用は不可」であることを認識して欲しい。
(無論、画像を伴わない文章のみの言及であれば営利利用は可能である。他に、SCP-111の画像およびSCP-1926の記事全体についても、同様に営利利用は不可であり、SCP-111の文章はクリエイティブ・コモンズに従う)
また、海外から加藤氏のスタジオに直接、「『無題2004』の画像をSCP-173として営利利用させてもらえないか?」という問い合わせが何度かあったようだが、スタジオは「そのような交渉に応じる意思はない」と明言しており、SCPサイトも「加藤氏に対してSCP-173関連の直接連絡・交渉は行わないこと。画像の営利利用の交渉については勿論禁止、SCPサイト管理スタッフも交渉の仲介はできない。とにかく営利利用が許可されることは一切無い」という(結構強めの)声明を出している。

また、加藤氏の個展などで『無題 2004』を見つけて、「SCP-173だ!」などと声に出すことも好ましくないと言える。あくまで加藤氏からすればSCP-173とは「自分の作品に付けられてはいるが、自分とは無関係なストーリー」ということに変わりはないのだから。

SCPの「原点」であるがゆえに

SCP-173はSCP世界観の「原点」であり、
SCPを発展させたGears氏、Kain氏、FritzWillie氏がいわば「クトゥルフ神話の世界観をまとめたダーレス」であるとするならば、
SCP-173の報告書の作者であるMoto42氏はラヴクラフトの立ち位置に近い。

このことから、SCPを語る上では歴史的にも、そして初心者にわかりやすくSCPを語る上でも説明しやすい存在である。

わかりやすいSCP

まず、「見てない時に動いて、理由もなく首をへし折る彫像」というのは非常にインパクトがあり、
画像も不気味なことからすぐにイメージができる。
他の多くのSCPは、その世界観をある程度認識してないとわかりづらい説明があるものも多いが、
これは最初に「まだ『財団』という設定がない頃に」書かれたため財団を知らなくても素直に読める。
またSCPの報告書はしばしば長くなりやすい傾向があるが、SCP-173は短い。これも初心者におすすめしやすい点であろう。

そして初心者が興味を持ち、他の多くのSCPについて知った時、
「オブジェクトクラスはあくまで収容難度であって、危険度の指標とは必ずしもいえない」ことを簡単に示してくれるのもこいつである。

Euclidは「Keterの下」じゃない

SCP世界観において、おそらくこいつと同程度に知名度があるのがSCP-682
『Hard-to-Destroy Reptile(不死身の爬虫類)』という名前の通り、どれだけ身体を失おうが再生し、
状況に合わせて変態を繰り返し、そして他の人類含めた生物種に非常に敵対的な
まさしく「ぼくのかんがえたさいきょうのクソトカゲ」であり、これを超えた作品はメアリー・スー的であるとして削除される指標である。
当然こっちは「Keter(放っておくと地球が滅びるくせに、収容が困難あるいは不可能なオブジェクト)」。

だがSCP-682のクロステスト*2記録において、
SCP-173に対してSCP-682は攻撃をしかけるどころか金切り声を上げながら実験室の壁にはりつき、
6時間SCP-173を凝視し続ける。その目を財団のスナイパーが撃ちぬいたことで
SCP-173は「見られていない」状態になりSCP-682を攻撃。
殺害には至らなかったがSCP-682はダメージを負い、その後スナイパーが攻撃できないように
表面を薄い装甲組織で覆った目を背中に複数形成してその場をやり過ごしている。

SCP-682との因縁はまだ終わらない。
財団に投稿されているTale(簡単にいえば、SCPにまつわる物語)のひとつ、『Duke 'till Dawn*3』でも
SCP-682が出演。収容違反を起こしたSCP-682はコンドラキ博士と闘いながらあちらこちらを爆走するのだが、
その途中でSCP-173のコンテナを通過。その際、SCP-682もコンドラキ博士もそれまで戦ってたのに
コンテナ中では仲良くSCP-173を見つめ続けていた、と記録されている。
もしかしてSCP-173がでっかくなったり分身したら682もかなわないのでは…?

Ifの世界を描いたTaleの一つ『SCP-173のRevised Entry*4』では
無論別個に書かれたTale故に意識はしてないだろうがこれに対するひとつのアンサーが示されている。
なんとこのifではコンテナ内でSCP-173が増殖。世界中の人々を虐殺して回るようになる(もちろんKeterに格上げされている)が、
この世界では150体のSCP-173がSCP-682をずたずたに引き裂いてしまったことが判明している。
財団世界で意図的に最強のチートとして描かれたSCP-682ですら、SCP-173には無力だった。
そこ、「引き裂かれた破片一つ一つがまたクソトカゲになってそう」とか言うな。

EuclidオブジェクトであってもKeterオブジェクトに負けるわけではなく、
むしろ条件次第では勝利してしまうことが説明できる(まあTaleなので、世界によっては682が173を倒してもいいのだが)。
EuclidであるのはKeterより安全というわけではないのである。

「意味がわからない」

SCPの報告書は「読み進めて理解するにつれて」怖さがわかるものがしばしば見かけられる。
日本では「意味がわかると怖い話」があるがあれに近いイメージだろうか。
それに対して、SCP-173は「意味がわからないけど怖い」オブジェクトとして人気である。

・・・なにしろなんで首を折りたがるのか、誰もわからないのだから。
所謂ホラー映画で、特に行動原理はわからないがひたすら人間に襲いかかる甲冑とかゾンビとか、
あれに近い怖さをSCP-173は有している。

よくある疑問

  • なんか似たような設定の見かけるんだけど
FAQでは『Weeping Angel』や『エンダーマン』が挙げられているが、SCP-173のほうが先に登場していることが確認されている。

  • 無人機で掃除できないの? 監視カメラは見ているうちに入らないの?
しばしば見かけられる例として「SCP-173の清掃を無人機で行えばいいのではないか?」というものが見受けられる。
確かに毎回毎回命がけで清掃するのは馬鹿げているし、無人機で行う、あるいは自動で清掃するシステムのコンテナを用意する、
というのは財団の財力も高いしできるはずである。
この記事が書かれた当時はルンバはそこまで一般的じゃなかったし。

・・・だがもういちど振り返ってみよう。「こいつコンテナの中で常に動いている」のである。
ルンバだの自動清掃システムだの、そんなものはぶっ壊される可能性が非常に高いとはいえないだろうか?

監視カメラについてだが、これは本家wikiをよく読んでみればわかる。
「The object cannot move while within a direct line of sight.(SCP-173は直視されている間は動くことができません。)」とあるからだ。
Euclidであることから考えても、おそらくカメラや写真を使った間接的な視認では意味がない可能性が高い。
普通に動くのか映らないのか、それとも破壊されるのかは定かではないが。

機械とは違うが、SCP-131『The "Eye Pods"("アイポッド")』をつれて清掃を行ったことがある。
SCP-131は真ん中に目玉がついた涙型の生き物であり、こいつは目を閉じないため監視役として持って来いであった。*5
そのためこいつを使って安全に掃除できないかという議論がなされているようだ。

  • いつ収容したかは結局わかってないの?
わかっていない。

このためJoke-SCP記事の一環として、『SCP-173-J The Original - The Sculpture(SCP-173の真実)』というものが書かれている。
SCP-173-Jの記事中では「1992年に収容、本来は友好的で猫の顔を水性ペンキで描かれていたが、
SCP-173-Jを洗浄する際にペンキが落ちてしまい、結果敵対的になった」
ことが書かれている。ただしJoke-SCPは「SCP世界に存在しない」ジョークであるという前提であるため、公式設定ではなく、
むしろ過去を描いた一種のTaleであると解釈すべきである。ジェラルド博士は他のTaleでも事故ってた? なんのことだい?

ついでの余談だが『SCP-666½-J The Roaring Flames of Hell (地獄の業火)』というジョーク記事では、
ギアーズ博士が『サイト-19で2番目の悪夢の夜でした 』と評する食中毒を起こした『カニ身乗せマッシュルーム』を無害なEuclid級SCP(十中八九SCP-173)に
食べさせた結果、攻撃的になり発生源の不明な奇妙な物体を垂れ流すようになったということが書かれている。
無論、こちらは同じ代物を食べさせられたSCP-682が死んでいるためジョーク記事の中でもかなりふざけた記事なのだが・・・。

関連

SCP-173というナンバーそのものもまた、非常にSCP世界では重視されており、韓国支部及び日本支部では
173のナンバーを持つ以下のような記事が書かれている。
というかSCP-173-JPは執筆コンテストが行われ、「173にふさわしい記事」を選定しているほどである。

SCP-173-KO 『彫刻公園 − オリジナル』

韓国国内にある公園。常に30~40個の花崗岩などでできた彫刻が、
「瞬間的に出現してはだんだん粉状に変化して消失する」謎の公園。
謎のアーティスト集団『Are We Cool Yet?』が関与していることがわかっている。

どうやら彫刻のテーマは「やや時代遅れになりかけてきた大衆の流行り」を示すようであり、
「例え、それがしっかりと刻まれた彫刻であったとしても、人々の脳裏ではすぐに忘れ去られる」というのがテーマのようだ。

…だがある日その文章は変化して
『人類は非理性的に加速していく忘却の急流を止め、昔日の太陽を再び思い出す必要がある。』
となっていて…?

こちらはオリジナルとは昔のことを意味するようだが・・・

SCP-173-JP 『恐竜 - イミテーション』

大量の日本製のおもちゃで構成された恐竜のようななにか(故にイミテーション)。
当然おもちゃでできているのでがちゃがちゃ、ガラガラといった音を立てて動く。

この音を聞き続けると、なぜか懐かしさを感じて恐竜の中に入り込んでしまい、
やがて取り込まれ、恐竜はその分大きくなるという謎の性質を持つ。
実験でDクラス職員たちはみなめいめいに
「懐かしいおもちゃがある」「失くしたおもちゃがある」
「思い出のおもちゃがある」「憧れのおもちゃがある」
などと言って吸収されてしまっている。
Dクラス職員たちは基本的に死刑囚を契約で雇った職員なのだが、
そんな彼らがおもちゃに心動かされるところを見るとなかなかせつない。


追記・修正は目を離さないようにお願いします。


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注:アニヲタWiki(仮)はSCP Foundationに基づいた作品のライセンス違反を議論する場ではありません。
またSCP-173それ自体や、それに基づいた作品についての是非を議論する場ではありません。

最終更新:2021年04月02日 17:19

*1 SCP-JP ライセンスガイド序文(http://scp-jp.wikidot.com/licensing-guide)より引用

*2 他のSCPとぶつけあわせたときにどうなるかという実験

*3 SCP-083-D『Duke』を財団が破壊するために財団職員のコンドラキ博士に破壊を命じるが、博士はDukeそっちのけで財団のありとあらゆるSCPオブジェクトで遊び始める…というTaleでも屈指の名作である

*4 Taleではあるのだがタイトルの通り、「SCP-173がIfの未来で報告書がRevised(改訂された)」というていのものになっており、故に報告書形式が踏襲されている

*5 と言っても正確には財団が意図して連れ込んだわけではなく、たまたま清掃スタッフと共にコンテナに入ってしまった模様。131は特別な区画以外であればサイト内を自由にうろつく事を許可されており、この時はコンテナの清掃スタッフに「ついて来てしまって」いたのである。