SCP-049-ARC

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SCP-049-ARC - (2018/07/01 (日) 21:04:38) の編集履歴(バックアップ)


登録日: 2017/11/28 Tue 19:58:17
更新日:2024/03/06 Wed 02:19:20
所要時間:約 7 分で読めます





ゾンビになっちまったじゃねぇかよ!このヤブ医者!


SCP-049-ARCは、シェアード・ワールドSCP Foundationに登場するオブジェクトである。
オブジェクトクラスはEuclid。

項目名は『Plague Doctor(ペスト医師)』。

「ペスト医師/Plague Doctor」とは?

まず、ペスト医師について少し解説をしておきたい。

黒死病という病気がある。
これはペスト菌に感染した人が発症する病気で、罹患すると肌が黒くなってやがて死に至ることからこの名前が付いている。
抗生物質を使うことで治療ができるが、抗生物質が発見されたのは20世紀に入ってからであるため、
それ以前は恐ろしい病気として知られていた。
1346年から1351年には黒死病の大流行が起きており、『大悪疫/the Great Pestilence』と呼ぶ。

ペスト医師/Plague Doctorとは、黒死病患者を専門的に治療した医師のことである。
14世紀頃から存在したとされるが、17世紀頃からは大量の香辛料を詰めた嘴のあるマスクを被って治療行為に臨んでいた。
これは所謂瘴気論に基づく、黒死病の感染源と見做されていた悪性の空気から身を守るためであったが、
無論黒死病はペスト菌による病気であり、当たり前にそんなマスク被ろうが黒死病に罹って死んだようだ。
全身は肌をなるべく露出しないような服で多い、木の棒(ワンド)を常時携帯していた。
これは患者に触らずに触診を行うためのものでもあるが、ペスト医師であることを一目でわかるように携帯を求められていたようだ。

まあ黒死病の最前線ということもあり、あまりいい仕事ではないし、
そもそも彼らの医療行為が黒死病の流行を食い止める効果があったかも不明。
ただし報酬が市から支払われたため、貧富の隔てなく治療行為を行ったとされ、
二流の医師や若い医師、果ては元々果物屋さんだった人までやっていたらしい。

主な方法は瀉血、他に歌(賛美歌など)や香りの良い物による瘴気論的な治療など。
因みにパラケルススやノストラダムスも有名なペスト医師である。まあ彼らの頃には嘴のある被り物はなかったけど。

SCP-049-ARCの概要



SCP-049の外見。
画像出典:scp-wiki.net/scp-049-arc
この画像は『 クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス 』に従います。

SCP-049は1.9mの体長と95.3kgの体重の人型実体で、見た目は上述の通りの17世紀頃のペスト医師の標準的な衣装。
ただしどうやらそういう見た目の生物らしく、例えばマスク部分はセラミックに見えるけど筋組織のようなものを持っていて、
人間の目によく似た眼球を露出させている。
最初にイングランドで発見されたようだ。

当初は話はしないものと思われていたが、後にペラペラ喋り出している。
英語自体は当初から理解していることが確かめられていた。手術をしようとするまでは従順である。

さてこいつの面倒くさい点は二つある。
まず一つ目は、こいつが物理的に接触した人間が死亡すること。
二つ目はペスト医師がその人を治療しようとすること。
そのためにまずはまわりにいる人を全員殺害する。
これは邪魔されないようにするための行動ではないかと考えられている。

その後、メス、縫合針、縫合糸、未知の物質の入った幾つかの薬瓶を収納した[データ削除済]でできたバッグを
体の中のどこかからから取り出し、治療を始める。なお体の何処にそんなバッグを入れているのかは不明。
犠牲者を解剖して、よくわからない薬を注入しまくり、その後縫合すると、犠牲者は晴れて生き返るのである!

…高次脳機能を欠いたゾンビとして。
でゾンビは生きている人を探しては殺そうとする。
なおペスト医師は無事に黒死病の治療をやりとげたと思っているらしい。
そしてこのゾンビは人を殺す際にアドレナリンとエンドルフィンが三倍になるらしい。
正直こうなってはもう生きてるとは言えないので、職員はこのゾンビを終了することが許可されている。
検死解剖の結果、このゾンビからは数種類の珍しい物質、及び未知の物質が(一般的な物質と一緒に)発見されているようだ。

そんなペスト医師がある日、実験施設に向かう途中に突然喋り出した。

SCP-049:ここはどこだ?
████博士:何?ここは研究…[████博士が驚いて記録装置を落としてしまったことによる大きな衝突音]
SCP-049:研究施設? 実に素晴らしい。ここで患者を見かけなかったのも不思議ではないな。やっとわかったよ。
████博士:あ…ああ。いや、君は話せないのかと思っていたよ。少し驚かされた、うん、話せるのか。
SCP-049:勿論話せるさ、先生。私はただ会話が好きじゃないんだよ。この病気の患者の殆どはかなりの黒胆汁質で、まったく会話に反応してくれないからね。これで貴方に会うのは何回目かだが、貴方の中にはこの病気が発見できなかった。ということはだ、貴方も医者なのではないかと思うのだが?
████博士:ああ、その通り。[編集済]と呼んでくれ…しかし、君が言っているのはなんの「病気」のことだい?
SCP-049:おいおい、先生、大悪疫の事だよ。それ以外に何があるというんだい?
████博士:悪疫…ああ、ペストのことか。当然予想して然るべきだったな。だが、ここではだれも罹っていないよ。私が君に保証する。
SCP-049:いや、先生、保証するのは私が貴方に対してだよ。ここには悪疫がある。私には感覚でわかるんだ。世界から悪疫を無くす事こそが私の生涯の義務だ。私の治療はこの上なく効果的なのだよ。
████博士:君の治療?君の治療のお蔭で我々は何百人もの生命を犠牲にしたんだぞ!君の治療は間違っている!
SCP-049:先生、私の治療はこの上なく効果的なのだよ。

[SCP-049は黙りこみ、話をさせようという更なる試みはいずれも功を奏しなかった。]

まあみんながゾンビになれば黒死病もへったくれもないとは思うが…
どうやら、SCP-049がぶち殺す対象にはなんらかの共通点が有り、この伏せ字の博士はSCP-049的には問題はなかったようだ。
なおこのあと実験でSCP-049は数人のDクラスを「治療」するが、財団はこれらのDクラスに共通点を見いだせなかった。

そんなSCP-049だが、その後一度収容違反している。
職員が再び発見するまでの間に、伏せ字になっている別のアノマリーと接触し、穏やかになったようだ。
最もその後、「治療」時にややおしゃべりになったことが発見されている。
また賛美歌を口笛で吹いたり、患者に話しかけたりするようになった。
すごく…元ネタのペスト医師に近づいてる…。

この話していた相手のアノマリーは「くそったれの仮面」と職員から呼ばれており、おそらくSCP-035(取り憑くマスク)と思われる。

『死と医師達ハブ』というこいつが登場するTaleハブがあるようだが、該当Taleがまだひとつも翻訳されていない。

ARCってついてるけど?

実はSCP-049はアニヲタWikiに記事ができたあと、大幅に改稿された。
それに伴い、旧版のアーカイブが特例的にSCP-EN及びSCP-JPにて決定され、
SCP-049-ARCとなった。

アニヲタWikiでもこれに倣い、SCP-049-ARCに項目名を変更し、新版の内容をSCP-049のリンクに入れる。


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