SCP-155-JP

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SCP-155-JP - (2020/06/06 (土) 00:49:30) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2018/02/01 Thu 22:20:46
更新日:2023/12/18 Mon 20:12:26
所要時間:約 5 分で読めます




迎えに来たよ。


SCP-155-JPとは、怪異創作コミュニティサイト「SCP Foundation」に登場するオブジェクトの一つである。

オブジェクトクラスは「Euclid」で、JPのコードが示す通り日本支部の管轄にある。
項目名は「ほしのおひめさま」。



概要

このオブジェクトは、SCP-155-JP-1と-2の2つの要素から成り立っている。
まず1の方だが、これはローティーンの女の子である。アニヲタ的に言うと幼女。SCP的にはヤバいか。
生物学的には通常のヒトと変わらないのだが、問題はお腹。本来ヘソがあるべき部分に、棘皮動物海星目を思わせる開口部が存在するのである。ま、ぶっちゃけヒトデの口みたいなもんがあるのだ。

さらにこの部分だけ、遺伝子検査をすると女の子本来のものに加えてヒトデのそれが検出されている。おまけにこの開口部は消化能力があり、本来の臓器に繋がっている。
具体的には小腸、子宮、卵巣、膀胱に繋がっており、問題なく機能している。が、何かしら問題が、それも公開するとヤバいレベルの何かが判明したらしく、データが消されている。
ちなみに小学2年生の時の健康診断やそれ以前の記録にはなんの異常も無かった。
最後の健康診断から7か月後、夏休み明けに彼女は登校せず、そのまま不登校状態となった。それから2か月後、負傷したSCP-155-JP-1が医療機関に運ばれたため、財団に発見された。

で、もう一つの特異性として、この女の子はSCP-155-JP-2の意志をテレパシーで受け取ることが可能になっている。

通常オブジェクトに指定されたものに対しては職員が愛着を抱かないように番号、この子の場合は「SCP-155-JP-1」と呼ばれることになるのだが、普通に名前で呼ぶことになっている。
また、収容されている理由を「異常存在として収容」ではなく「難病のために入院」と本人に信じさせる。
両親が死んでしまってる事を本人には伝えないなど心理的動揺を防ぐ必要がある。


そして2の方、問題なのはコイツらである。
これは、上空350kmに集団で生息する宇宙ヒトデの群れである。NASAや各国の宇宙軍に対してはデブリとして偽装報告されている。
こいつらのスピードは非常に速く、1.5時間ほどで、かつ必ず日本上空を通過するルートで地球を周回している。
大きさも様々で、財団が観測できる5cm以上の個体は約4000体とかなりの数。

互いに集合、離散を繰り返しながら、生息環境の宇宙線や低温に問題なく耐えて生存している。
真空に近い環境でどのように呼吸や栄養を取っているのか、生殖を行っているのかは判明していない。
ちなみに、今までに確認された個体は全て雄である
回収された個体は通常の海星と同様の餌を食って生きるが、絶食実験をしている個体は収容から数ヶ月以上生存している。
例の女の子への情報の発信後、日本上空に群れが到達すると、群れのうちの1体が腕の一部を未知の化合物の反応で破裂させ、大気圏へ突入する。その後、体積を増やしながら女の子のいるポイントへ向かって降下してくるのだ。
この時の進入角度、位置調整は非常に正確であり、過去の誤差は50m以内とかなーり精密。この際、表皮に含まれる銅成分により緑色の流れ星として観測される。

着地したヒトデの表皮は黒く焦げているが、内部に損傷はない。着地後1時間から2時間で、焦げた表皮を割り、更に数倍の大きさに成長した後、女の子に接近を試みる。で、ルートを遮る位置にいる人間は襲われる。
ちなみに、分離した時点でテレパシー能力は失われるらしく、女の子も存在を感知できない。


記録
テレパシーの内容は群れ全体の意志である上、受信者である女の子が幼いため、多分に主観を含んだ抽象的な表現になっている。
とりあえずインタビューで分かったことをまとめると、
  • 女の子曰く、自分は宇宙に住む一族の一人
  • ヒトデたち(女の子はこのことは知らない)は、地上に落ちてしまった姫である女の子を星の世界へ迎えに来ようとしている
  • 変異した腹部は王族の証である
と捉えている模様。

どうやらこのテレパシーで女の子の位置を特定しているようだったが、逆に極度の心理的動揺が見られた場合、あるいはテレパシーが遮断されている場合でも突入して来るため、財団は現状維持を続けている。


ところで、収容直前と収容後、現在までにあわせて6回の事件記録がある。
時系列順に見ていくことにしよう。

事件番号 発生日時 概要 備考
155-JP-0 20██/8/21 あるアマチュア観測者が、自宅近くに落ちる緑色の流星を発見 対応するヒトデは未発見
155-JP-1 20██/11/2 女の子の家に緑の流星が落下。両親は死亡し、女の子は収容された ヒトデを発見。全長70cm、精巣の肥大が確認された
155-JP-2 20██/12/9 サイト-8181に移送後、女の子がヒトデの落下を感知。対応できないままサイト付近に落下したが被害はない ヒトデを発見。幅長60cm、精巣の肥大を確認
155-JP-3 20██/12/15 女の子を電磁波遮断施設に移動。12体のヒトデがサイトに落下し、施設に被害 ヒトデを複数回収。解剖したが生物的変化はなし
155-JP-4 20██/01/14 女の子を別の小島の施設に移動。島内にヒトデが落下 ヒトデを回収。幅長50cm、精巣の肥大を確認
155-JP-5 20██/02/17 移動してから1か月後、女の子の収容室にヒトデが落下 接触前に機動部隊がヒトデを破壊。しかし、ヒトデとその破壊を見た女の子は激しく動揺した
155-JP-6 20██/02/17 事件5から1時間半後、大量のヒトデがサイトに落下。人的物的含め損害多数 捕獲できる数ではなかったため全個体を破壊、女の子には記憶処理。以後、同日の落下はなし


コレまでの情報をあわせると何が起こったのかがおおよそ見当がつく。
まず、女の子は(恐らくは)元々は普通の女の子だったが、夏休みの終盤に事件が起こる。
8月21日の夜に宇宙からヒトデが落下してくる、そして数日間のうちに少女の身体に寄生した。
それにより少女は登校拒否になるが、約二ヵ月後子作りしようと突撃してきたヒトデに巻き込まれ両親が死亡する。
この事件で財団が女の子の異常性に気がつき収容という流れだろう。

そして、このヒトデの繁殖方法も大体推測できる。
このヒトデには事前の観測どおり雄しか存在しない。
そこで、まずは一体が先行して地上に落下し雌の身体に寄生してその体の子宮、卵巣を確保。
次いで落下してきた個体が確保された卵巣との交尾で繁殖するのだろう。


最後に女の子に関してもう一つ。
女の子はよく、空想に基づいて「ほしのおひめさま」である自分の絵を描いて遊んでいる。
当初はティアラを被り魔法のステッキの様な物をもった女の子を笑顔の可愛いヒトデが囲んでいる絵を描いていた。
しかし、事件5と6の直後、記憶処理の前に彼女が描いた絵は、



「ほしのおひめさま」に襲い掛かる、巨大でグロテスクなヒトデの絵。



今はまだ幼い彼女も、いずれ大人になる。
その時、彼女は何を知り、どんな選択を下すのだろうか。




追記・修正は流れ星を見るか、潮干狩りでヒトデを発見してからお願いします。


CC BY-SA 3.0に基づく表示

SCP-155-JP - ほしのおひめさま
by mizuno
http://ja.scp-wiki.net/scp-155-jp

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