MIU404(ドラマ)

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MIU404(ドラマ) - (2023/05/28 (日) 01:57:58) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2020/09/14 Mon15:42:53
更新日:2024/04/12 Fri 08:32:18
所要時間:約 ? 分で読めます





タイムリミットは24時間

誰よりも早く犯人にたどり着け


概要


『MIU404』とは、2020年6月~9月にTBS系列で金曜夜10時に放送されていた連続テレビドラマ。
事件発生から24時間以内の初動対応を行うMIU(Mobile Investigative Unit=機動捜査隊)の活躍を描く刑事ドラマである。

脚本はドラマ『アンナチュラル』『逃げるは恥だが役に立つ』の野木亜紀子。一部の話では『アンナチュラル』とのクロスオーバーが展開され、同作に出演したキャストがそのままの役柄でゲスト出演している。

本作においては、犯人と機捜隊員の攻防がシリアスに描かれる一方、不幸な偶然や運命のいたずらから犯罪を犯してしまう人間の弱さ、救おうとする側の同じく弱い人間の心の葛藤と闘いが描かれる。
また、実力派ゲストによる圧巻の演技や、社会問題に鋭く切り込む野木氏の脚本も魅力。一方で『アンナチュラル』に比べるとコメディ要素が多めで、陣馬メインの第7話などはほぼコメディ回。
脚本の展開の上手さなどが評価され2020年9月期のギャラクシー賞を受賞した。

主題歌は米津玄師の『感電』。
主人公の伊吹と志摩のテーマとも言える歌詞で印象的な曲である。

当初の予定では2020年4月開始、東京五輪開会前に全14話で終了する予定だった。しかし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により撮影が停滞したことから、6月末から9月初めまでの全11話構成に変更された。
加えて、東京五輪も延期されたことから、脚本も最新の社会情勢に合わせて変更されている。
なお、最終話では東京五輪が描写されている(CGや五輪の過去映像の流用だったが)。

ストーリー

働き方改革により増設されることになった機動捜査隊第4部隊、通称4機捜。
そこに元上司の桔梗ゆづるにより招聘された志摩一未は、人事上の変更により、悪名高いトラブルメーカーで、暴力事件(というよりほぼ殺人未遂)で奥多摩の交番に飛ばされていた伊吹藍を相棒として押し付けられてしまう。

聞き込みすらまともに出来ず、バカ丸出しの言動を繰返し、犯人に暴力を振るおうとする狂暴な伊吹にうんざりする志摩だったが、伊吹の秘められた能力と性根の優しさに次第に気づいていく。

水と油の関係から次第に深い絆で結ばれていく二人だったが、二人を待っていたのは人を操り犯罪に向かわせる謎の男、久住との苛酷な闘いだった。



登場人物


4機捜 コールサイン404


伊吹と志摩のバディ。第1話でいきなり覆面パトカーを破壊してしまい、第2話以降はメロンパンの販売車を覆面パトカーにしている。
勘違いした一般人からメロンパンの販売を求められることが多く、客の中にはパワハラ上司に電話で怒鳴られているムーミンを抱いたUDI職員も。


  • 伊吹(いぶき)(あい)
演:綾野剛
奥多摩の交番から4機捜にやってきた野生のバカ。階級は巡査部長。
人数あわせのために急遽4機捜に連れてこられ、志摩の相棒となる。

外見はどうみてもヤンキーそのもので、しゃべり方も刑事とは思えないほどチャラく、切れると見境なく暴力に走ろうとする。
語彙も貧困で、付き合いの浅い人間には理解不能な言動を繰返し、今まで配属された部署ではことごとく爪弾きにされてきた。

しかし、実は超人的な身体能力(特に脚力)と野性動物なみの五感の持ち主で、犯人をアスリートなみのスピードで追跡、麻薬所持者を匂いでかぎ分け、犯人の車をエンジン音で識別するなど機捜においてはその能力を大いに発揮する。一見間の抜けた物言いは、五感が鋭すぎるが故に入ってくる大量の情報を言語化しきれていないのが原因。

また外道相手には容赦ない暴力で臨むが、仲間や弱者にはとことん情が深く優しい性格で、他者に対する共感性が高い。
4機捜の面々とは次第に打ち解け、志摩をちゃん付けで呼んだり桔梗の家に遊びに行ったりと順応していく。
ふだんは言い間違いやボケた発言が多く、ツッコミの志摩を相手に漫才を繰り広げているが、ここぞという時には物事の本質をついた発言も目立つ。
犯人も含めた他者を救いたいという前向きな意思を持ち、その存在は実際に志摩を初め多くの人を救うことになる。
志摩の影響で後半では搦め手を使う狡猾さも身に付けていく。

茨城の出身で、少年時代貧困と周囲の無理解から荒んでいたところを蒲郡刑事に救われ、刑事を志す。蒲郡とは疑似親子のような関係だったが、後半では彼との間にある事件が降りかかり、一時的に精神的に追い詰められる。

機捜は誰かが最悪の事態になる前に止めるのが仕事だという信念を持っており、この信念が物語のテーマである。
名前の藍は虚数のiから。 
ちなみに中の人は野木作品では『空飛ぶ広報室』に出演、また志摩の中の人とは『コウノドリ』で共演している。


  • 志摩(しま)一未(かずみ)
演:星野源
本作のもう一人の主人公。階級は巡査部長。
捜査一課の敏腕刑事だったが、ある事件をきっかけに捜査一課を追われ、旧知の桔梗の引きで4機捜に入る。
当初は陣馬と組む予定だったが、陣馬が九重の教育係に決まったことで、やむなく選考段階で一度落とされていた伊吹と組まされることになってしまった。

冷静で狡猾な切れ者であり、法の守護者としての確固たる信念を持つ。
上司などには猫をかぶっているが、本性は口が悪く辛辣な性格。
マウンティング合戦は苦手だと言いながら、切れるとごみ箱を蹴倒したり気に入らない相手を早口で徹底的に煽り倒して怒らせることも。
一方で責任感が強く何かあるとすぐ自責の念に駆られドツボにはまる。
過去の事件で後輩を失ったトラウマに苛まれており、自らの死を希求するかのような行動をとることも。
第1話でカーチェイスで覆面パトカーを廃車にするなど無茶な行動も多く、伊吹のストッパーであると同時に本質的には同じ穴のムジナ。思い詰めやすい性格も相まって、見ようによっては伊吹以上の危険人物である。

伊吹の能力を見抜くと同時にその信念に共感、相棒として認めるが、トラウマからくる人間不信ゆえに当初は冷淡に接していた。
しかしトラウマの元凶である事件を伊吹に掘り返されて以降は打ち解け、一緒に悪ふざけまでするように。
野生の衝動に任せて好き放題する伊吹に手を焼き、野犬呼ばわりしているが、伊吹のために密かにメロンパンを購入したりとなんだかんだで伊吹にはかなり甘い。
伊吹の脚についていくために、途中からマウンテンバイクに乗るようになる。

桔梗に惚れているが、ゆたかにはなつかれているものの本人からは気の毒なほど相手にされていないため、伊吹にからかわれている。
伊吹相手に逆ギレして言った「キャッキャもうふふもしてねえよ!」は迷言。
名前の一未は文字通り一未満から。ちなみに設定上は兄弟(姉妹?)が4人いるらしいが、全員こんな性格なのかは気になるところである。
中の人は『逃げるは恥だが役に立つ』『罪の声』など野木作品の主役常連である。




4機捜 コールサイン401


陣馬と九重のバディ。404と協力して事件を追う。
404に比べると若干良識的で、二人に振り回されることも。


  • 陣馬(じんば)耕平(こうへい)
演:橋本じゅん
勤続35年のベテラン刑事。桔梗や志摩の師でもある。階級は警部補。
典型的な体育会系の熱血漢で、おおらかで豪快、アナログだが優秀な刑事。401と404のお父さん的存在。ヤクザへのガサ入れで最前列に配置されるぐらい顔が怖い。
うどんが大好物であり、401と404の夜食にうどんをよく作るが、第1話で茹で汁を窓から捨てて4機捜が本部から追い出されるきっかけを作ってしまった。
仕事一筋のため、家族から若干邪険にされており、息子の婚約者に会いにいく途中に指名手配犯を見かけて追跡しようとし、呆れた家族から車の外に投げ捨てられたりと不憫な扱いを受けている。酔うと泣きながら絡む性格。
九重からはオヤジ臭漂う言動と足の臭さで疎まれていたが、経験からくる含蓄ある発言で信頼を獲得、良き相棒となる。
終盤では久住を一度は単独で追い詰めるが…。


  • 九重(ここのえ)世人(よひと)
演:岡田健史
4機捜に配属された新人キャリアで、刑事局長を父親に持つエリート。
愛称キューちゃん。階級は警部補。
当初は二世としてのコンプレックスの裏返しから高慢で鼻持ちならない所があり、陣馬を最悪の相棒だと思い、伊吹を馬鹿にしていた。
しかし、伊吹に容易く言いくるめられて非番に私的な調査に駆り出された挙げ句に二人揃って酔っぱらって職場に現れ桔梗に叱られるなど実は意外にポンコツ気味。404の『バカ二人』に振り回されるうちすっかり染まってしまった。
実は福岡の出身で地は博多弁(岡田健史も福岡出身である)。博多うどんを侮辱されると切れる。
後半では陣馬を尊敬するようになり、スーツを見立ててあげる等すっかり仲良くなった。(が、陣馬の真似をして無理やり怖い顔を作ったり、酔って絡んだり変なところまで似てしまった。)
成川の件もあって作中で大きく成長し、最終盤では一度は機捜を離れるもののメロンパン号に乗って颯爽と現れ、伊吹たちを助けて大活躍する。



警察関係者


  • 桔梗(ききょう)ゆづる
演:麻生久美子
4機捜の頼れるボス。階級は警視。
男社会において実力でのし上がってきた強さと、人間としての優しさをあわせ持つ理想の上司で、曲者揃いの部下たちを毅然として統率する。
ハムちゃん、亡き夫との間の息子のゆたかとの三人暮らし。
部下には厳しいが息子にはデレデレで、ハムちゃんのことも一生一緒に暮らしてもいいというくらい気に入っている。肉が好き。
志摩の好意に全く気づいていないのか、自宅に志摩が泊まった際には、いいムードになるどころか泥酔した挙げ句亡き夫の遺影を志摩に突き付けて挨拶を強要しながらクダを巻くという所業に出た。


  • 糸巻(いとまき)貴志(たかし)
演:金井勇太
桔梗が1機捜内に設立した、SNSのリアルタイム監視などを担う「スパイダー班」の班長。
愛称イトマキマキ。激務に追われる苦労人だが、人のいい性格で、伊吹に盗聴に協力させられたりと、404に振り回される。妻子持ち。


  • 我孫子(あびこ)豆治(とうじ)
演:生瀬勝久
刑事部長。基本的に小心者の日和見主義者であり、組織内政治を優先させるタイプ。
桔梗とは仲が悪く、マメジと呼ばれている。九重から目の前でマメジ呼ばわりされたことも。九重の父親に媚びている。
最終回ではちょっとだけ格好いいところも見せる。




その他


  • 羽野(はの)(むぎ)
演:黒川智花
桔梗の家の居候。愛称ハムちゃん。
幼稚園の先生だったが、アルバイトでヤクザの店に関わってしまい、ヤクザの元締めであるエトリを告発したことから追われる身に。
愛らしくも理不尽には毅然として立ち向かう強い女性。
桔梗に保護されており、多忙な桔梗に代わって桔梗の息子ゆたかの子育てをしている。404コンビと仲が良く、伊吹とはメル友でお互いほのかな好意がある模様。


  • 蒲郡(がまごおり)慈生(しげお)
演:小日向文世
茨城県警を退職した元刑事。愛称ガマさん。
荒れていた少年時代の伊吹を救ってくれた恩人で、伊吹に対しては今も父親のように愛情を注ぎ、心配している。伊吹にとっては刑事としての理想像であり、憧れの存在。退職後は妻と二人暮らしでボランティアをしながら生活している。名前の通り、慈愛の化身のような人物だったが…。
因みに彼がメインの8話の展開には、UDIの中堂が陰ながら関わっており、アンナチュラルを見た上でこの回を見ると、さらに重たいものがある。


  • 児島(こじま)弓快(ゆかい)
演:渡邊圭祐
特派員RECを名乗る底辺ナウチューバー。ウォズではない。
興味を持ったネタを大した裏付けもなしに、面白おかしく動画で喧伝する迷惑極まりない男。
序盤からたびたび4機捜がらみのフェイクニュースを発信してきたが、正体を隠して接触してきた久住に利用された挙げ句に使い捨てられる。
終盤では久住と刺し違える覚悟を固めて単独行動に走った志摩と一時的にタッグを組む。


  • 成川(なりかわ)(がく)
演:鈴鹿央士
私立バシリカ高校三年。
陸上部所属だったが、ドーナツEPがらみのスキャンダルで陸上部が廃止になり、憂さ晴らしにマネージャーに虚偽通報をさせては駆けつけた警官を元部員がリレーで撒くという悪質ないたずらをしていた。
4機捜相手のいたずらの最中、マネージャーが変質者に拐われ、伊吹の呼び掛けで他の部員は投降しマネージャー救出に向かったが、九重に追われていた彼のみが何も知らないまま逃亡、そのまま失踪した。
その後は久住に拾われ手駒としてドラッグの売買に関わり、金ほしさに児島と組んでハムちゃんの情報を集めエトリに売るなど転落の一途をたどる。
彼を取り逃がしたことが、九重の悔恨となり、成長を促すことになった。


  • 久住(くずみ)
演:菅田将暉
第3話から登場した本作のラスボス。ドラッグの製造、販売を行う悪党。エセ関西弁で話す。
享楽的な性格で、「ドーナツEP」というドラッグをばらまき*1、SNSを使って人を陥れ、ドローン爆弾によるテロを仄めかすなど悪行の限りをつくす。
他人が破滅する様を高みの見物で嘲笑う趣味があり、楽しみのためだけに犯罪を犯すまさしくクズ。
言葉巧みに人を誑かし災厄を撒き散らすその様を
メケメケフェレットメフィストフェレス」と形容された。

本人曰く「“久住”はクズを見捨てるの略」で、五味(=ゴミ)やトラッシュ(trash/ガラクタ)などの偽名を使い分ける。
相手によって身の上話を変えるなど平然と嘘をつき、自分は人間ではないと嘯くその正体は謎に包まれている。
ハムちゃんの一件にもからんでおり、終盤では4機捜と全面衝突する。
中の人の突き抜けた怪演ぶりは必見。*2




追記、修正はうどんの茹で汁を警視庁の3階窓から捨ててからでお願いします。

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