アンナチュラル(ドラマ)

登録日:2020/08/08 Sat 15:42:53
更新日:2025/03/17 Mon 00:03:57
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不自然(●●●)な死は、許さない



概要

アンナチュラル』とは、2018年1月~3月にTBS系列で金曜夜10時に放送されていた連続テレビドラマ。
世間に溢れる死因不明の「不自然な死」を究明する研究機関を舞台に、数々の「不自然死」を調査し、物言わなくなった被害者の無念を晴らすべく戦う法医学者たちを描いた物語。

脚本は映画『図書館戦争』『アイアムアヒーロー』、ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』の野木亜紀子。

一見ミステリーのようにも見えるが、死因不明の死体を調査するうちに被害者の抱えていた悩み・問題が浮き彫りとなり、やがてはパワーハラスメント・女性差別・いじめ・性犯罪といった社会問題に対する問題提起等に発展していく骨太な筋書きが特徴。
また、各話のオチもスッキリしたものは少なく余韻があるものが多いが、一筋の救いを与える作風となっている。
石原さとみ、井浦新、窪田正孝といった実力派の俳優陣の掛け合いもまた見どころの一つ。

主題歌は米津玄師の『Lemon』。
毎回絶妙なタイミングで流れるのがポイントで、演出と合わせて視聴者の心に残る非常に心憎い使われ方をしている。
この主題歌によって、米津玄師の知名度は飛躍的に上昇。YouTubeにおいて3か月で1億回再生を突破するなど数々の記録を樹立し、2018年の第69回NHK紅白歌合戦でもこの曲を歌唱した。


ストーリー

世間には、「死因不明」で片付けられる「不自然な死」が存在するが、その多くは解明されることなく荼毘に付されてしまう……。
そんな「不自然死」の「死因」を究明する民間の研究機関・UDIラボに所属する解剖医・三澄ミコトは、放置される「不自然死」を何よりも許さない。
彼女は、ラボに運ばれてくる「不自然な」遺体に敬意を払いながら、彼らの無念を晴らすべく、ライバルの解剖医である中堂系らと共に、今日も「死因」を解明していくのだった。


登場人物

  • 三澄(みすみ)ミコト
演:石原さとみ
UDIラボに在籍する女性法医解剖医。
仕事一筋で、人一倍法医学者としての誇りを持っている。
普段は温厚で人当たりのいい性格だが、他人の尊厳を貶める行為には静かに怒りを滲ませる場面も。


  • 中堂(なかどう)(けい)
演:井浦新
UDIラボのもう一人の法医解剖医。
極めて優秀な解剖医だが口が悪く粗暴で、ラボの内外で多くの敵を作っており、辞めていった部下は数知れず。
被害者への向き合い方でミコトとは対立しがちだが、同じ実力のある者同士で認め合っており、なんだかんだで協力してくれる。
しかし一方で若い女性の遺体を勝手に監察し、おまけに何やら過去にある罪を犯しているらしいが……。


  • 久部(くべ)六郎(ろくろう)
演:窪田正孝
UDIラボで記録員のアルバイトをしている医大生。
大人しく真面目だが言うときには意志を持って意見できる。
医者の家系の出身で、父親から医者としての道を強要されている。実は臨床医志望。
その環境あってか、自分の進む道に迷い、UDIの目を盗んでジャーナリストのバイトにも手を出しており、週刊誌にUDIが関わった案件をリークしている。
当初は法医学を見下していたが、仕事に真摯なミコトや中堂の在り方に触れるうちに、真剣に法医学に向き合うようになる。


  • 東海林(しょうじ)夕子(ゆうこ)
演:市川実日子
UDIの臨床検査技師。
ミコトの良き相棒というべき存在。思ったことは素直に口にするサバサバした性格。
独身であることに悩んでおり、隙あらば合コン=異性間交流に参加しているが、第6話ではその相手が不自然死を遂げたことで容疑者にされてしまう。
かつては巨災対に所属していた。


  • 神倉(かみくら)保夫(やすお)
演:松重豊
UDIの所長。
元厚生労働省医政局の役人で、UDI設立に関わったが、UDIを国営の研究機関にできなかったことを悔いている。
その経緯に関しては、東日本大震災の身元不明遺体調査がきっかけか、あるいは単なる天下りかが通説。
UDIの存続のため研究員の無茶に苦言を呈する毎日だが、彼らの仕事には絶大な信頼を寄せている。


  • 坂本(さかもと)(まこと)
演:飯尾和樹
中堂の部下の臨床検査技師。
3話で中堂の度重なる暴言に耐え兼ね、UDIを辞めて大学の研究室に入ったが、その後もなんやかんやでUDIに協力するようになる。
ムーミン大好き。


  • 三澄(みすみ)夏代(なつよ)
演:薬師丸ひろ子
ミコトの「母」で弁護士。
血は繋がっていないものの、「娘」にたっぷり愛情を注いでいる。彼女の男女関係に関しては少々お節介を焼かずにいられないようだ。
時にミコトに助言を与えたり、仕事で協力したりすることもある。


  • 三澄(みすみ)秋彦(あきひこ)
演:小笠原海
ミコトの「弟」で予備校講師。
少々シスコン気味。彼女の仕事を応援している。


  • 毛利(もうり)忠治(ただはる)
演:大倉孝二
西武蔵野署の刑事。
不審死をした遺体をUDIに解剖に依頼することが多いが、大体事件にせず事故や自殺として片づけようとする。


  • 向島(むこうじま)(すすむ)
演:吉田ウーロン太
毛利刑事の相棒刑事。
建設的な意見をしてはよく彼にどやされる。


  • 木林(きばやし)南雲(なぐも)
演:竜星涼
フォレスト葬儀社の社員。
遺族からの依頼の際に遺体を提供することでUDIに協力する。
その裏で中堂の復讐にも個人的に協力しており、不審な女性の遺体の情報を提供している。


  • 末次(すえつぐ)康介(こうすけ)
演:池田鉄洋
週刊誌『週刊ジャーナリスト』の編集者。
六郎の才能を見込んで、UDIの情報を手にするために彼をUDIへ送り込んだ。
その後も、ミコトや中堂の過去を六郎に情報提供する。
扇情的な記事を好みUDIの名誉を考えもしない卑劣漢ながら、事実の捻じ曲げだけは良しとしない最低限の誇りも併せ持つ。


  • 宍戸(ししど)理一(りいち)
演:北村有起哉
週刊ジャーナリストに度々出入りしているフリーライター。
事件のあるところすぐに嗅ぎ付け、あれこれ詮索したがる最低のマスゴミ
そして、中堂を煽るような真似をしながら、彼の昔の事件を知っているような素振りを見せるも……?


【用語】

  • UDI
正式名称「Unnatural Death Investigation(不自然死研究所)」。
だが、やっぱり長いので登場人物たちは単にUDIあるいはUDIラボと称していることがほとんど。
「不自然な死」を調査・究明するために設立された民間の中立研究施設であり、依頼は個人から警察まで様々。
国が運営しているわけではないので、司法機関や警察機関との軋轢が頻繁に起こる。


  • 赤い金魚
不自然死を遂げた者の口の中に遺されていることがある、奇妙な痣のようなもの。
何者かに殺された中堂の元恋人・糀谷夕希子の口内にもあったことから、同じ痕跡が残っている遺体には何らかの関連性があると考え、中堂が、そしてUDIの面々がその謎を追う。


余談

  • 2020年6月期にTBS系列で放映されたドラマ『MIU404』には脚本の野木や主題歌の米津をはじめとした本作に関わったスタッフが参加しているが、本作との世界観の共有が示唆されている。
    • 3話で毛利刑事と向島刑事が本作の役柄そのままでゲスト出演
    • 6話に登場した遺体の解剖に三澄ミコトが携わる(石原さとみ本人は未出演)
    • 8話には神倉と坂本が登場、すっかり強気になった坂本が声のみの出演の中堂と電話で口論を繰り広げていた。
      このエピソードでは中堂の所見が事件解決に貢献するが、この回の犯人と中堂の境遇がよく似ており、両者の運命を対比すると何やら感慨深いものがある。
  • 名探偵コナン』単行本カバー折り返しのコラム「青山剛昌の名探偵図鑑」(96巻)で本作の主人公・三澄ミコトが取り上げられている。
    • 青山先生お勧めエピソードは第1話『名前のない毒』。
  • 同じ脚本家が手掛けた2024年公開の映画『ラストマイル』には『アンナチュラル』のキャラクターも数人登場している。



不自然な追記・修正は、許さない。

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