ミトラ/ミスラ

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ミトラ/ミスラ - (2014/08/20 (水) 19:09:16) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2012/04/28(土) 22:50:19
更新日:2022/10/11 Tue 17:26:55
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◇ミトラ◇

「ミトラ(Mithra)」或いはミスラ、ミトラス…etc.は古代インドで誕生した後に、現在の中東から欧州地域にて広く信仰された神性。

今日ではゾロアスター教の神として紹介される場合が殆どだが、その威光により嘗てのローマ帝国に於いては単独での信仰を獲得し、キリスト教が信仰される以前に隆盛を誇った「ミトラス教」の主神としても知られている。

その名前と属性は遠く東方世界にも伝播しており、仏教では弥勒菩薩の源流ともなっている。

名は“契約”を意味しており、勝利を契約する神として、主に戦争の守護者としての信仰を集めた。

ゾロアスター教では「千の耳と万の眼を持つ神」と呼ばれ、ミトラス教では全能の光明神として天球を支配する神と考えられ、黄道12宮の支配者とも考えられた。
「牡牛を屠るミトラ」の姿は、そうした信仰上の属性の意訳である。



【概要】

■インド~東方世界

最も古い記録は何と紀元前15世紀の古代インドにまで遡り、バラモン教の聖典「リグ・ヴェーダ」に於ける契約の神としての姿である。
司法神と呼ばれるヴァルナとは表裏一体の存在であると考えられており、二神は自然界の秩序や人間界の規律を司り、それが守られているかを見守る神として重要な働きをしていた様だ。

ヴァルナは水と深く関わりのある神であり、時代が下ると水神としての信仰を集める様になり、仏教では水天の名前で知られている。
一方のミトラは契約の神としての属性が約束を意味すると解釈された事により、前述の様に釈迦入滅後、56億7千万年後に衆生を救うべく降臨する未来仏、弥勒菩薩(マイトレーヤ)として取り入れられている。


■中東地域

古代ペルシャでは契約の神としての性格を基本としつつ、牧畜の神、戦争の神としての信仰も集めた。

これは中東地域が遊牧民の住む地域であった事が関係しており、他民族との争いに明け暮れていた彼らにとってのミトラの“契約”とは、即ち戦争での勝利と、家畜などの富を与えてくれる事を祈る事に他ならなかったのである。

前述の様にミトラは「千の耳と万の眼を持つ神」であり、自らとの契約を望む民の生活を常に監視していると考えられていた。
ミトラは民族の守護者として契約により敵を打ち砕く強き者(報復者)であると同時に、契約に背いた者を罰する者(断罪者)でもあった。

この両極端な二面性により畏れられたミトラは、古代ペルシャに於いて太陽神アフラ・マズダ、豊穣の女神アナーヒターと並ぶ三柱の神としての信仰を集めたと云う。

……しかし、紀元前6世紀頃にゾロアスター教が誕生すると、同地域で信仰されていた神々も善神アフラ・マズダと悪神アーリマンにより支配された善悪二元論に置き換えられた。


ゾロアスター教では信仰を強調するべく、アフラ・マズダの属性を分けた六(七)大天使が信仰の最上位に置かれた為に、ミトラらは六大天使の下位の諸神(ヤサダ)の地位に落とされたが、ミトラはそれらの中でも最上位の神に置かれた他、矢張り信仰上の都合はともかく、古来からのミトラ信仰を止める事は出来なかったらしく、相変わらず篤い信仰を集めていたと云う。
また、ゾロアスター教では水の無い砂漠の地域である事も関係してか特別に清められた牛の尿を聖水として使用すると云う慣わしがあるのだが、ミトラへの戦争の加護を祈る際にも、その神聖な動物である牛が捧げられたと云う。


■欧州~西方世界

ミトラス教でも、基本的な性格や属性は上記のゾロアスター教での性格を引き継いでいたが、他の神性の属性をも取り入れた至高神、唯一神として信仰された。

勝利を齎す契約の神であると同時に、世界を照らす光明神と考えられており、古代ローマ帝国に於いて篤い信仰を集めていた。


キプリングの『プークが丘の妖精パック』でも、ブリテン(当時はローマ領)を守るローマ帝国軍人のパルネシウスがミトラを信仰していた。


実はクリスマスは元来は古代ローマの冬至を告げる日であり、ミトラ神の誕生した日であると考えられていた。
ミトラ(太陽)は12月25日に創世の岩から生まれたと考えられ、太陽は黄道12宮を巡り、宇宙を支配すると考えられていたのである。

……これに徹底的な弾圧を加えたのがキリスト教であり、キリスト教はミトラス教の教義を取り込みつつ拡大し、後にはミトラス教に替わりローマ帝国の国教となっている。

今日では12月25日が救世主イエス・キリストの誕生日とされているのは周知の事だが、イエスが処女生殖により誕生したのも、ミトラが創世の岩より誕生した伝説の変形であるとの説もある。


ともかく、ミトラス教は初期のキリスト教にとって、親許のユダヤ教とは別の意味での最大の敵であった事は間違いない。

……この為、中世ではミトラを悪魔や堕天使とする伝承も誕生しているが、それも当然の帰結であったのかもしれない。






【主な登場作品】

◆ゲーム『女神転生』シリーズ
魔王として登場する機会が多い。
姿はバラバラ。

◆ゲーム『ムーンライトシンドローム
物語の原因となる少年の正体がミトラとされている。
以降のSUDA51作品にも登場していたり。

◆ゲーム『ルドラの秘宝
本作品のラストボスとして登場。
一定量のダメージを与えるとDBのフリーザと同じく変身する





追記修正は「」か「悪魔」と契約してからお願いします。




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