ダンゴムシ

登録日:2011/07/31 Sun 10:35:57
更新日:2025/07/09 Wed 22:46:01NEW!
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ん~?間違ったかな?



















ダンゴムシとは、節足動物門軟甲綱(エビ綱)等脚目(ワラジムシ目)属するもののうち、体を丸める性質をもつものの総称である。

一般的にダンゴムシと呼ばれているものは、標準和名オカダンゴムシを指すことが多い。
学名はArmadillidium vulgare(仮名転写:アルマディリディウム・ウルガーレ)。属名は「小さなアルマジロ」、種小名は「ありふれた、普通の」という意味である。
英名はPill-bug(錠剤の虫、の意味)、Pill Woodlouse(錠剤の木のシラミ、の意味)、Roly-Poly(丸まって転がるもの、の意味)、Slater(屋根葺き職人、の意味。背中の甲羅を屋根のスレート板に見立てた)など、様々な呼び名がある。

大きさは普通は1cm程度で、特大のものでも2㎝は越えない。
逆にそれ以上でかかったらビックリするが…

多くの名称の由来でもある最大の特徴は、突いたり触ったりと、ある程度の刺激を与えるとダンゴのように丸くなること。
基本的には防御体勢であって外敵から身を守るために行い、冬眠の際にも同じような体制をとるため、乾燥や温度変化への抵抗とも考えられている。
丸くなった時の強度は中々のもので、弾まないスーパーボールのようなイメージもある。

たまにダンゴムシだと思って突いても、丸くならずに走って逃げるものがいる。
大抵の場合、それは近いグループの生物であるワラジムシPorcellio scaberやホソワラジムシPorcellionides pruninosusなどで、少し慣れれば甲羅の形や触角の長さなどでも簡単に区別出来る。

エビやカニと同じ甲殻類の一員であり、腹側にある腹肢という脚の表面からガス交換を行うため、水中でも鰓呼吸のような真似も可能だったりする。但し、あまり長時間はガス交換が間に合わず溺れてしまうため、を渡るダンゴムシ……は難しそうだ。

多少の土があるば、大抵の場所に生息する。枯れ葉や朽ち木のようなものが有れば御の字。
石や植木鉢、プランターの下なんかでアリやミミズ、ヤスデなんかとよく一緒にいる。

因みに、日本全国で最も一般的なダンゴムシであるオカダンゴムシはヨーロッパ原産の外来種である。
幕末から明治初期にかけて何らかの物資に紛れて日本に侵入したらしい。ヨーロッパでも地中海地域が原産地であるため、極端な寒さや多湿は苦手で、昔は北海道沖縄県はいなかったが、最近ではちらほら見られるようになった。そうした事情から、原生林のような人間の手が全く入っていないような場所では見られず、都市公園や校庭、街路樹周りや耕作地など「人間臭い」場所にいるのが普通である。
序でにいうと、ワラジムシやホソワラジムシも外来種でオカダンゴムシと同じ時代に日本に侵入したと考えられている。これらの種は今も世界各地で分布を広げ、世界共通種や汎存種、コスモポリタン種などと呼ばれている。
一方で、日本在来の種もそれなりにおり、セグロコシビロタンゴムシSpheqillo obscurusやハマダンゴムシTylos granulatusなどがいる。
セグロコシビロダンゴムシは里山や雑木林で見られる。大きさはオカダンゴムシの半分くらい。
ハマダンゴムシはその名の通り海辺の砂浜で見られる。オカダンゴムシよりも一回り大きく、2㎝を超えるものも普通にいる。
南西諸島には木の上や洞窟の壁に棲むようなアクロバティックな種類もいる。
海外には赤や白や黄色の斑点が入る派手なものや、卸金や鑢のように表面の起伏が目立つもの、果てはハリネズミかハリセンボンかという具合に長い棘を生やしたような種さえいる。

自ら攻撃してくる事もなく、も持っていないので、そんなに嫌われている虫ではない。
(ただし裏側は気持ち悪い)
その無害さから、小さい子供の遊び道具になる事もしばしば。
丸まった状態で、投げられたり転がされたり…
そして気付いた時には死んでいる…
生物をオモチャにするのはやめましょう。

主に雑草や枯れ葉などを食べる雑食性。
ミミズと同じ分解者としての役割も持っている。
動物の死体にも群がり、煮干しを与えれば骨まで綺麗に平らげてしまう。
雨上がりにコンクリートブロックに集っているのは、自然下で不足しがちなミネラルを摂取するため…とよく言われているが、ブロックに生えているコケや地衣類などを食べているとか、遮るものが何もないブロック上で目立つだけで、体が濡れすぎて弱らないように避難しているだけだとか、はっきりしたことは分かっていない。

一般的に甲殻類は、卵から孵化するとプランクトン生活を経て、変態を繰り返して成体になるが、ダンゴムシやその近縁種は、卵の中で変態を殆ど完了し、生殖能力以外は親と殆ど変わらない状態になってから孵化する。
このような発生(成長)様式を直達発生(または直接発生)という。
孵化から1年ほどで性成熟し、野外での寿命は3年程度といわれるが、飼育すると5年近く生きることもある。
昆虫と比べてかなり長生きなのも、グループそのものの差と言えるかもしれない。

ダンゴムシは交替性転向反応と言う性質を持つ。
これは、進行中に壁にぶつかった際に、進行方向を右に替え、次に壁にぶつかった際は左へ…と言うような行動を繰り返す性質のことである。
テレビ番組や動画でダンゴムシが迷路を抜ける実験を時々見かけるが、この性質を利用してダンゴムシを誘導しているか、その性質で抜けれるような迷路を作っているかのどちらかである。

夏休みの自由研究から大学の生物学の研究実験、あるいは純粋に鑑賞ないしは愛玩として飼育される機会も結構多い。
ガラスやプラスチックなど、表面がツルツルしたものは登れないので、水槽・プラケース・ガラス瓶・フラスコ・タッパーなど、規模や予算や使い勝手に応じて適当な容器を用意すれば良い。
餌にもなる腐葉土や昆虫マット、オガクズやヤシ殻繊維などを適当に混ぜたものを容器に敷く。カラカラに乾燥させると干からびて死んでしまうが、ビシャビシャに濡れ過ぎても駄目で、出来れば容器の中でも、よく湿った場所とやや乾き気味の場所を設けて、湿度の勾配を作りたい。蓋は脱走よりは湿度の維持のために必要。
餌は広葉樹の枯れ葉をメインに、ニンジン・カボチャ・ナス・キャベツなどの野菜、コイやカメの餌を与えると良い。意外なところではチーズも好物で、カルシウムの補給として貝殻や卵の殻を入れておくのも重要。

ワラジムシと纏めて「鼠婦(そふ)」の名で、生薬として利用されることがある。利尿や鎮痛作用があるとされる。
無毒なので素揚げにすれば食べられる。外骨格はエビに似た味で、実際あるテレビ番組では出演者がダンゴムシを調理して食べている。



\ヒィー!!/



因みに冒頭の画像(跡)はタマヤスデという虫であり、酷似しているがダンゴムシではない。





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◇そして2018年…

バンダイよりまさかの商品化。しかも最近流行りのカプセルレスモデルとして。
だんごむしの構造を徹底研究、丸まる体を再現したスケールモデルとして世に飛び出した。
特有の構造を徹底研究・試作を繰り返し、二年の歳月をかけて完成した、とは開発者の弁。

甲殻・腹・触角と足はそれぞれ違う素材を用いており、丸まった時・展開した時のボリューム感は圧巻。
2019年現在5弾までリリースされており、プレミアムバンダイ限定のメッキ仕様も存在する。




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最終更新:2025年07月09日 22:46