セールスじゅうたん爆撃の巻(こち亀)

登録日:2020/10/27 Tue 20:21:46
更新日:2020/10/30 Fri 06:28:16
所要時間:約 10 分で読めます





こち亀のエピソードのひとつ。単行本第55巻に収録されている。


◆ストーリー



両津「なに!? 私がスパイに!!」

部長「悪質セールスマングループを一網打尽にしたいのだが、もうひとつ確証がつかめんのだ。そこで敵の内部に潜入して探る計画にした!」


部長が語る警察の一大摘発の作戦の要人として抜擢される両さん。
「昔からスパイにあこがれてたからな! かっこいい!」と両さんはいつになくやる気満々の様子である。


中川「部長! 先輩で大丈夫ですか?」

部長「一番警官らしくない人物ということでアイツに決まった! たぶん平気だろう!」




こうして両さんはいつもの制服ではなくスーツを身に纏い、悪質商法で有名な件のセールスマングループ「集英商事」の前に到着する。例によってどこかで聞いたような社名である

初めっからやる気に満ち溢れた両さんは、勢いよく面接のために会社の中に乗り込むが…


社員「よし!! 採用だ! この人についていきなさい!」

両津「えっ!? 採用!? あの履歴書もってきたんですけど」

社員「そんなもんあとでいい!!」


なんと面接会場に案内されるどころか、受付で採用を言い渡される両さん。
「健康な男子なら合格だ」と語る社員は採用した両さんにすぐ制服・アタッシュケース・ポケットベル・パラシュートを渡す。


両津「パラシュート!?」

社員「すぐ現地に飛んでもらうから」

両津「ぬおっ!!」


なんと荷物を受け取って外に出るとそこには大きな飛行機が。
他のサラリーマンが詰め込まれた飛行機に両さんも有無を言わさず押し込まれ、飛行機は飛び立ってしまう。



集英商事の制服を身に纏い、アタッシュケースを手に持ってパラシュートを背負う両さん。
辺りには両さんと同じように即採用された新人だけではなく、ベテランの社員までもがぎゅうぎゅう詰めになっていた。
その時、配送係の腕章を身につけた人物から「注目!」と声がかけられる。


配送係「本日のターゲットは日本最大のマンモス団地 光町ニュータウンだ!! 目標は9割だ! 10件のうち9件はかならず売るのだ!わかったな!!」

両津「セールスの方法も習ってないのにどうやって売れというんだよ!!」


理不尽な激を飛ばす配送係にボヤく両さん。
しかしそのうちもっと理不尽な指令が配送係から飛んでくることになる。


アナウンス「光町ニュータウンの上空に到着しました」

配送係「よし!! おりろ!!


両津「おりるって!? ここから飛び降りるのか!?」

配送係「当たりまえだ! そのためのパラシュートだろ!!」


なんとパラシュートを渡されたのは、上空から団地に降り立つためだったのだ。
「ムチャ言うなよパラシュートのやり方もわからんぞ!!」と真っ当な文句を言う両さんだったが、「人間必死になればなんとかなる! 行け!!」と配送係に飛行機から蹴落とされてしまった。


「なんとかならなかったらどうするんだくそ!」と叫びながら落ちる両さんだったが、なんとか引くべきパラシュートのひもを引くことに成功。
とりあえず一安心してふと辺りを見渡せば、空中に広がる大量のパラシュート。
まさにタイトル通り「セールスじゅうたん爆撃」と言うべき光景が広がる。PUBG感も強い
その中に紛れるベテランのセールスマンに至っては、なんと両さんが地面に着地するより早く商談を一件まとめ上げる強者もいるほど。

一方、両さんがようやく地面に降り立ってパラシュートをまとめていると、突然大量の観光バスが団地に到着し始めた。
両さんが疑問に思っていると、その観光バスからドドドドドと物凄い勢いで走り出してきたのは、なんと大量のセールスマン!


メガホン持ち「第8班から第16班までは東地区へ行け! 第105班は西地区へいそげ!!」


両津「すげーっ!! あれもセールスマンか!?」

社員「われわれのライバル『鶴亀セールス』の連中だよ」


両津の後ろから集英商事の社員が解説する。
彼の話によれば、集英商事が飛行機によるセールスマンじゅうたん爆撃を行うのに対し、鶴亀セールスは10数台のバスで団地に乗りつけ、大量のサラリーマンがわずか1時間で500万円を売り上げて次の団地へ向かう方式をとる、短期決戦型のセールスマングループなのだという。


セールスマンとしての心得を語る社員は、鶴亀セールスの乱入によって乱戦状態と化したこの団地では9割の売り上げは無理だと判断。
その上で両さんは団地セールスに向いてないとしてアパート密集地区へのセールスを勧めてきた。


「団地セールスの条件として若くハンサムであることが重要なポイントだ。わが社でも整形した奥田瑛二のそっくりさんが20人ほどいる」
それはそれで不気味な会社である




両さんと共に歩く社員は、セールスの一番のターゲットは主婦。二番目のターゲットは独身男性だと語る。
両さんは「独身の男がどこに住んでいるかわからんだろう」と言うが、社員はとあるアパートをふと見上げただけで「三人いる」と看破してみせる。


社員「スシや天丼ではなく安いラーメンの出前もの(の跡)」

社員「お昼なのにまだ寝てるらしくはさんだままの朝刊」

社員「ドアの前に落ちているマージャンの点棒。これらの細かい所に目を配るのが大事だ」


アパートの階段を登る社員は、三つの部屋のうち朝刊の挟まった奥の部屋をまずターゲットに見定めた。


社員「新聞をとっているということは、新聞勧誘をことわれなかったということだからな」

両津「するどい分析!」


早速社員がノックするも、部屋からはなんの返事もない。
両さんは留守だと思ったが、社員が注目したのはドアの覗き穴。


のぞき穴「スッ」


社員「どうもこんにちは!」ペコリ

中の人「あっ、な、なんでしょうか…?」バタン

社員「実は消火器の販売できたのです」


なんと中の住人がのぞき穴を覗いたタイミングですかさず挨拶。居留守がバレていることを知った住人はシラを切ることができず出てきてしまう。
おまけに一度ドアが開けば、左足をさりげなくそのドアに挟み込むことでドアを閉めさせることを防いでいた。
そのテクニックに、両さんは感服するやら半分引くやら。


社員「こりゃダメだ。古くなって使用できん! 危険だ」

住人「ほ…本当ですか?」


両津「この勝負二分以内にカタがつきそうだ」




幾日もの潜入任務の日々が過ぎ、両さんは部長に電話で現状報告をしていた。


両津「カキの口のような厳重な家でも数センチドアをあけたが最後、中に入って強引な売り方をしてますよ!」

両津「原価1000円の鍋を2万円で売っているんです! うわさ通りです部長!」

両津「はい! もうちょっと潜伏して様子を見ます!」


部長に電話していると、突然社員の人が両さんを呼びに来た。なんでも社長が両さんのことを呼んでいるという。
早速社長室に赴くと…


社長「君が新入社員の両津くんか!! いやあ君は実に素晴らしい売り上げだ! ダントツだよ君は! がははは!」

両津「ありがとうございます社長!! (これも社長と会うための作戦だよ)」


両さんがスパイだとは露知らず、褒め上げる社長。悪徳企業の売り上げに大いに加担している両さんだが、あくまで作戦のためと脳内で認識していると…


社長「ボーナスの2000万円だ! とっときたまえ!」

両津「ぎゃおっ!! こ…これいただいていいんですか社長!?」

社長「もちろん! 我が社は実力優先! 新人だろうがかせいだ者には見かえりをやる!」


2000万円の札束をポンと両さんに渡してみせる社長。
露骨に喜んで動揺する両さんに対し、社長はさらに両さんを幹部にしてやろうと申し出る。

両さんは(さ…作戦上幹部のほうがより組織を知れるだろ…作戦上ね!)と、思いつつ幹部昇格を承諾すると…


社長「幹部になったら時給100万円だ!! とっとけ!!」

両津「ぎゃおおおっ!!! 時給100万円もいただいていいんですか!?」

社長「そのかわり売り上げをもっと上げてくれよな。がははは!」

両津「そりゃあもう命にかけても!」


さらにポンと100万円を渡されて、両さんは発狂の声をあげた上に命をかける発言までしてしまう。


両津「これも信用させるための作戦だ! うん! うん!」

両津「し…しかし本気でこの会社に入りたくなってきたなあ…」


そう言う両さんの瞳にはしっかりと「金」の文字が浮かんでいた。




それから更に二週間後。


中川「その後 先輩から全然連絡がありませんね」

麗子「まさかつかまったんじゃないでしょうね。心配だわ!」


二週間も連絡が途切れているということで、さしもの派出所メンバーも不安を隠せない様子であった。


部長「本庁によるとセールスグループはますます勢力をのばし、幹部のひとりが下町をしきってるそうだ」

麗子「まあこわい! この近くにも来るの!?」

部長「サングラスをかけすごみがあり、今では社長の右腕と呼ばれているらしい!」


勢いづく悪徳企業の台頭に、両さんの音信不通。
これらの不安要素が重なり、派出所メンバーはとうとう決断する。


中川「部長!! 本庁を説得し、ふみこみましょう!!」

部長「よし!!」




一方、とあるアパートでは。


両津「ふとんのクリーニングですけど、1000円で!!」

男性「えっクリーニング!? よかった!!独身でふとんを干すのがめんどうで!」


両さんはスーツを身に纏い、笑顔で男性の部屋を訪れていた。
案内されてふとんを見た途端「うわっ!!これはひどい!!」「これはクリーニングしてもムダです!新しいのに取り変えないとダメですね!」などと言い出す。
男性が最近少しだるいと言うと、それはふとんのせいだと捲し立てる両さん。
その上で「おっとこれは偶然! 今ちょうど布団をもってきてるんですよ!羽毛の!」とちょっと白々しく言い始める。


男性「羽毛は高いでしょ?」

両津「うちの品はタダみたいな値段ですよサインひとつで今夜から健康睡眠!ちょっとそこにサインをそう!バッチリ!」


マシンガンのように言葉を捲し立てながら、半ば強引にサインをさせる両津。
そしてサインが済んだと見るや否や仲間の社員に指示して30万円の布団を部屋に入れ始める。
値段を聞いた男性は驚愕し、慌てて「とてもそんな高いの買えませんよ取り消してください!!」と叫び出す。
それを見た両さんはおもむろにサングラスを取り出して装着。さっきまでの物腰とは一気に態度が変わる。


両津「この契約書、おたくが自分でサインしたんでしょう?」

男性「そうですが…まさかそんなに高いとは…」

両津「羽毛ぶとんは高級品で高いのよねふつう!特にうちのは10%も羽毛のはいった最高級スペシャルデラックスぶとんなの!」

両津「デパートで買ったら一億円する品物を本日限り30万円の大特価! どこか不服なの?」


羽毛(ダウン)の比率が51%以上ないと羽毛布団ではないというのに、そんなエセ羽毛布団を30万で売りつけようとするサングラスをかけた幹部、両津。
しかしその瞬間、アパートの外で鳴り響くサイレンが。


警官「いたぞ!! やはりここだ!!」

社員「あっ!?」

警官「社長はすでに逮捕した!! あきらめろ!」

社員「うわっ!」


そう、とうとう悪徳企業である集英商事の大捕物が始まったのだ。
外で待機していた社員が次々と警官に捕らえられるなか、両さんは幹部らしく部屋の社員に指示を飛ばす。


両津「窓から逃げるんだ! はやくしろ!!」

社員「さすが幹部だ! 頭いい!!」
言うほどか?


しかし、同じく屋根伝いに逃げようとした両さんは、その下の道路でこちらを見つめる部長とバッチリガッツリ目があってしまい…


両津「こらあ逃げるな!!」

社員「えっ!?」



動きを一転させて社員に掴みかかる両津。
社員と一緒に屋根の上から落ち、部長の目の前に転がり落ちてきた。




両津「いやあ部長いい所に!よかった! つかまえましたよははは…」




部長「話は聞いたよ。逮捕した社長に全部!!」

両津「」ドキッ!!


両津「ぶ…部長は何か勘違いしていらっしゃる!部長!! 敵をだますにはまず味方から! これが作戦の常とう手段!!」




両津「部長〜!! 誤解です!! 私は敵のうごきをしるためより深く深く潜入しただけですよ〜っ!!」




そんな両津の叫びは当然聞き入れられず、悪徳企業の幹部としてパトカー内部へ連行されて行ったのであった……。



中川「先輩の貯金が180円から一気に1億180円になってましたからね!」

部長「悪いことをしても行動が子供と同じだからな! すぐばれる!」




「ムチャ言うなよ追記修正のやり方もわからんぞ!!」
「人間必死になればなんとかなる! 行け!!」
この項目が面白かったなら……\ポチッと/

最終更新:2020年10月30日 06:28