ヨーギ・パラバ(ゴルゴ13)

登録日:2023/08/20 (日) 23:32:59
更新日:2025/04/11 Fri 21:31:03
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それは宣伝というものじゃ!




ヨーギ・パラバとは、『ゴルゴ13』の第58巻・184話に収録されたエピソード「テレパス」に登場するゲストキャラクター。

概要

ソ連大使館付武官ボリス・ゴドノフ大尉の殺害をCIAに命じられたもののダレス空港での狙撃に失敗したゴルゴ。あの百発百中のゴルゴが2発も撃っておきながらゴドノフにかすりすらしなかった。*1
最初はゴドノフを舐めきってて側近を調べていなかったCIAによるとゴルゴが外した理由はゴドノフに付き添っていたKGBエスパー研究所に所属するエフゲーニャ・アンドレーエヴァ(通称アンナ)がゴルゴの殺気を感じ取ってゴドノフを守ったからと判明。
殺気を詠む彼女に対抗するためゴルゴが「殺気を消す」技術を求めて訪れたヨーガ教室の館長でいかにも修練者的な容姿をした高齢の男性がヨーギ・パラバである。
彼に直接教わるのはとても運がいいとされており、徳が高い人物でゴルゴの「職業」を一目で見抜いた。

ゴルゴはパラバに接触する以前に超能力者によって狙撃を回避されるという前代未聞の事態に陥っていた。
そこでパラバのようなヨガを使える人物による超越的な能力を得ることで対策を考えていたのである。

胡散臭さすらあるが、一目でゴルゴを見てその本性に一瞬で辿り着くなどその実力は本物であることが描かれている。
ただし、ゴルゴ的には不満があったのか、教えを乞う相手とは言っても終始いつもの愛想のない態度だった。

パラバはゴルゴの人柄について以下のように評している。

  • 今まで多数の人間を殺めておきながら、心に一点の影も落としていない
  • 第六段階まではマスターしている
  • 第一段階の「禁欲」から既に悟りの道を踏み外している

パラバのヨーガ修練表

パラバによれば、ヨーガの修練には8段階あるとして以下のように区分している。

第一段階 カーマ(禁戒)…殺生禁欲の倫理規定
第二段階 ニャーマ(勧戒)…苦行祈念
第三段階 アーサナ(坐法)
第四段階 プラナヤーマ(呼吸法)
第五段階 プラチャーハーラ(制感)…感覚のセルフ・コントロール
第六段階 ダーラナ(凝念)…ある事柄に意識を集中すること

ここまではゴルゴは既に習得しているという。

第七段階 ディアーナ(静慮)…あらゆる外界からの感覚に何のこだわりも持たず意識の中に受け入れること
第八段階 サーマディ(三昧)…意識が肉体から開放され、無の境地で眠ったまま行動でき、何の気配も示さない

第八段階を習得すればゴルゴの目的は達成できるが、パラバ館長がこの域に達するのに40年を費やしたという。
ゴルゴは才能はあるが、この段階を1日で習得するのは無理だと断言までしている。
そもそも、第七・第八段階は第六段階までを長年繰り返して自ら至るもので、教えてできるようなことではないとのこと。

劇中の活躍

ゴルゴがヨーガ教室に訪れる際に登場し、直接教えることになる。
彼はゴルゴを一目見ただけで「職業」を見抜くが、「まあ、それはそれでいいだろう」として教えに入る。
ゴルゴにアサーナ・坐法を手始めに教えようとしたところ、料金をいくらでも出す代わりに一週間分の講座を1日で教えるように要求される。

ところが修練に段階のあるヨーガは、ゴルゴお得意の金銭による時短交渉が通じる話ではなかった。
呆れたパラバはヨーガの修練の段階を長々と解説した後、ゴルゴに教えることはないとして結局は教えることを拒絶した。
パラバは対エスパー対策としてゴルゴが殺気を消す手段を求めていたことは察していたが、敵に接近するために必要な思念波の遮断は殺害の対象に強い思念を向ける殺人という行為と矛盾することを指摘。

ゴルゴもこれには不満だったのか、「パンフには“心身に悩みのある人、すべて歓迎。誰でも瞑想が得られます”とあったが……?」と皮肉るが「それは宣伝というものじゃ!」と言い返した。
当人たちは大真面目だが、互いに揚げ足を取るコミカルさのある会話故に笑いがこみ上げるシーンである
それ以上は何も言わずに去っていったゴルゴを見届けるが、内心では「恐ろしい男じゃ……マントラマントラ……」と述べるのだった。

余談

一見するとゴルゴに何もしないまま出番が終わったような無意味な存在に思えるパラバだが、「眠ったまま行動できる」という言葉を聞いた時にゴルゴが考え込む描写があり、実はゴルゴにとってヨーガ修練の段階の説明がヒントになったと思われる。
そこでゴルゴはテレパス対策として自己催眠の技術を身に付けることとし、そこで「睡眠状態から(ブザーによる指令付きで)瞬時に覚醒する」スキルを習得した。
これはパラバに説明された第八段階のサーマディに近い性質である。
眠ったまま行動できるサーマディその物は即座に取得することは不可能だが、眠りの状態を利用することで敵が殺気を察知しても対処が遅れるという発想に応用させたのだろう。
そういう意味ではパラバもゴルゴに貢献したと言えるが、パラバが不可能と述べた殺気の排除を短期間で近い事を行えてしまったゴルゴは彼の想像を上回っていたと言えよう。

実際、ゴルゴに自己催眠の指導を担当した科学者も習得の早さに舌を巻いており、「例えるなら冷え切ったエンジンをいきなり全開にしているようなもので、普通なら精神が持たない」と評している。





しかたがない。一応追記・修正はしておこう……

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最終更新:2025年04月11日 21:31

*1 ゴルゴが狙撃に失敗したのは「アクシデンタル」以来で2度目。ただしこちらの理由は銃器店の職人が好奇心で不発弾を忍ばせたからでありゴルゴに非はない