登録日:2026/10/24 Sat 16:44:12
更新日:2026/10/24 Sat 17:46:51NEW!
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———遠い未知の惑星から
雨とともに、風とともに
底知れぬ恐怖が舞い降りてきた!
眠りについた肉体を乗っ取る恐るべき侵入者!
この映画をみたらもう、誰も眠れない!
『SF/ボディ・スナッチャー(原題:Invasion of the Body Snatchers)』とは、1978年に公開された米映画。
監督は『ライトスタッフ』のフィリップ・カウフマン。
原作はジャック・フィニィのSFサスペンス小説『盗まれた街』で、本作は1956年の『ボディ・スナッチャー/恐怖の街』に続く2回目の映画化となる。
概要
本作のテーマとなるのは「異星人による地球侵略」であり、ジャンルとしてはSFであるが、舞台は終始、1970年代のカリフォルニア州サンフランシスコで、宇宙のシーンは冒頭部分しかなく、映画の作風としてはサスペンスに近い。
というのも、本作に登場する異星人の大半は従来のSF映画のような奇怪な見た目をしているわけではなく、「人間の体を乗っ取った」状態で登場するのだ。
そう、本作は「人間の体を乗っ取ることによる静かな侵略」を主題としており、敵が人間と同じ姿である以上、警察や政府といった行政府機関も信用ならず、誰が敵で誰が味方か分からない、まさしく「日常が侵される恐怖」を描いた作品である。
本作の原作小説は1954年に書かれ、「赤(共産主義者)狩り」を元ネタにしており、当時の「誰によりいつ密告されるか」という疑心暗鬼が世論を埋め尽くしたことが恐怖の大本にある。
そうした疑心暗鬼の恐怖は本作でも健在であり、特に本作は1970年代に流行したアメリカン・ニューシネマの作風が強く、終始陰鬱とした雰囲気が漂い、物語は悪化の一途を辿り衝撃の結末を迎えてしまう。
ラストシーンのあまりの救いの無さは必見であり、多くの観客にトラウマを残したことで有名。
異星人の特殊メイクにも作り込みが深く、特に後半に登場する「人面犬」は絶大なインパクトを誇る。
『盗まれた街』は本作を含めて4回の映画化を果たしているが、サスペンス演出に関して本作の評価は群を抜いており、リアルタッチなストーリーも含めて「『盗まれた街』の映画化としては最高傑作」の呼び声も高い。
ストーリー
ある日突然、地球に飛来してきた胞子状の物体。
それは雲に溶け、雨となって地上へと降り注ぎ、植物に咲いた小さな花となって姿を現したが、気づく者は誰もいなかった。
サンフランシスコの衛生局員のエリザベスは路上で奇妙な花を見つけて自宅に飾るが、数日後の朝、恋人のジェフリーの様子がおかしいことに気づく。
ジェフリーの違和感は日増しに強くなり、エリザベスは同僚のマシューに相談し、ジェフリーが「別人」になってしまったのではないかという疑念を口にする。
マシューは知人の精神科医にエリザベスを診せ、医者は被害妄想だと診断し、ひとまずは安心させる。
だがその晩、マシューは友人のジャックから呼び出され、自分そっくりになりかかった「複製体」を見せられる。
気になったマシューはエリザベスの自宅を訪ねると、彼女の傍にも同様の複製体が見つかった。
しかし、複製体を調べようとした矢先に、何者かにそれらは処分されてしまう。
独自に研究したマシューたちは、複製体の正体が「異星人が人間に成り代わるために作られた体」だと気づき、周囲の人々に警告しようとするが、既に侵略者の勢力は彼らの想定を遥かに超えていた。
孤立無援となった彼らは当てもない逃亡の旅に出るが、一人、また一人と侵略者の手に落ちていき……。
登場人物
演:ドナルド・サザーランド
主人公。サンフランシスコの衛生局員。
生真面目な性格で、あらゆる不正も見逃さない潔癖主義者。
やり手の局員故に顔も広く、行政府機関にも多数知り合いがおり、ワシントンDCにもコネがあるという。
誠実な性格なためエリザベスから絶大な信頼を得ており、ジェフリーの異変を相談され、当初は彼女の妄想を疑っていたが、次第に明らかになる侵略者の影に気づき、周囲に警告しようとする。
しかし、悉く断られた挙句、侵略者に取り囲まれて逃亡の旅に出る羽目になる。
絶望的な状況に立たされる中、自分に出来ることを模索していたが……。
演:ブルック・アダムス
ヒロイン。マシューの同僚の衛生局員。
功労賞に選ばれるほど仕事熱心な人物として好評を得ている。
恋人のジェフリーがまるで「別人」になったという違和感にいち早く気づき、違和感が膨れ上がる中でマシューに相談し、キンバー医師に診てもらって一度は安心する。
しかし、眠っている間に出来上がった「複製体」を見て、自分の感覚が正しかったと自覚してからはマシューと一緒に対応策を考えるが、状況は悪化の一途を辿り、更には襲い掛かる睡魔によって窮地に立たされる。
マシューと共に孤独な逃避行を続けるが、遂に睡魔が限界となってしまい……。
演:ジェフ・ゴールドブラム
マシューの友人。
職業は小説家だが著作は売れたためしがなく、マシューに愚痴をこぼしていた。
自宅のスパで一休みしている最中に自分の「複製体」を発見し、マシューに連絡して事態の深刻さに気づく。
その後はマシューの自宅に避難するが、逃亡することになって追い詰められ、時間を稼ぐために自ら囮役を買って出、一同からはぐれてしまい……。
演:ヴェロニカ・カートライト
ジャックの妻。自宅でスパを経営している。
植物の育成が趣味で、よく音楽を聞かせている。
スパの中でジャックの「複製体」を目撃し、彼を眠りから起こして窮地を脱する。
植物の知識を活かして侵略者の生態系を考察し、また彼らの目を欺く方法も察知するなど、機敏に富んだ一面がある。
逃亡の途中でマシューたちとはぐれ、以降は身を潜めて侵略者の目からかいくぐっていたが……。
演:アート・ヒンドル
エリザベスの恋人。職業は歯科医。
スポーツ観戦が趣味で、恋人との性交渉に盛んな、良くも悪くも典型的な現代人。
しかし、エリザベスが拾ってきた花が部屋に置かれて数日後の朝、突然礼儀正しい性格となり、花をすぐに処分してしまう。
その後も知らない他人と頻繁に密会し、正体不明の物体を周囲に行き渡らせるようになり、エリザベスに疑念を抱かれる。
既に侵略者と入れ替わっており、身元がバレてからはエリザベスを追跡する。
演:レナード・ニモイ
マシューの知り合いの精神科医。著作が有名で、ジャックから嫉妬されていた。
ジェフリーが「別人」になったのではないかという疑念からエリザベスに相談されるが、「恋人を疎ましく思っていたことから生じた妄想」と断じ、彼に素直になるよう助言する。
どうやら、ここ数日は同じような症状を訴える患者が増えたらしい。
しかし、マシューの周囲に次々と現れるサヤの複製体により、彼から危険を訴えられるも、落ち着くよう訴えかけるだけで何も手を打たない。
そう、実は彼も既に侵略者と入れ替わっていたのだ。マシューたちを一度は捕まえ、自分たちの仲間になるよう勧誘されるが、逆襲される。
演:レリア・ゴルドニー
キンバーの患者の女性。
夫が「別人」になったと訴え、エリザベスから同じだと思われ、連絡先を交換する。
しかしその後、事態は解決したと態度を一変させてしまう。
演:ケヴィン・マッカーシー
マシューの乗るタクシーにぶつかってきた男。
「彼らが来る」としきりに呟き、「次は君たちだ」とマシューに警告するが、直後に通りがかったトラックに撥ねられて死亡。
死体を周囲の人間は遠巻きに見守るだけであった。
演じるケヴィン・マッカーシーは1956年版『ボディ・スナッチャー/恐怖の街』の主演俳優。
「侵略者」
本作に登場する敵であり、遠い宇宙の滅んだ惑星からやって来た異星人。
本体は胞子型の不定形生物であり、本来なら意思疎通すら不可能かつ他者に危害を加えることもできない無害な生物だが、別の生命体の肉体をコピーすることで実体を得るという特徴を持つ。
胞子を大気圏の雲に溶かした後、雨となって地上に降り注ぎ、植物に肉体を変化させて野生植物に寄生した花として社会に溶け込んだ。
その後は花から胞子を飛ばし、人間に種を寄生することで感染させ、宿主が睡眠状態に落ちることで体がサヤに包まれ、周囲の植物体に遺伝情報を飛ばされ、植物からはサヤに包まれた複製体が出来上がる。
この時点ではまだ目覚めれば複製が途中で中断されるだけだが、完全に寝入って複製が完成した場合、宿主の肉体は劣化して消滅し、蘇生は不可能となる。
作中で登場した人面犬は、複製の途中で犬の遺伝情報を取り入れてしまった副産物と思われる。
人間同様の知性を持っているが、主な違いとして「感情」や「個性」が備わっておらず、憎しみや悲しみが存在しないため争い事とは無縁であり、その件に関して「進化した生物」であると誇っている。
感情を押し殺した人類を見分けることが困難なようだが、見つけるや否や金切り声を上げて周囲の仲間に獲物を伝える習性がある。
入れ替わった後は母体となる植物を栽培し、街から街へと運搬することで繁殖させている。
『盗まれた街』の映画化
本作以外の『盗まれた街』映画化シリーズについて紹介する。
1956年製作。監督はドン・シーゲル。
特殊技術は少ないが、サスペンスとして評価が高く、ラストシーンは追加撮影により改変されている。
1993年製作。監督はアベル・フェラーラ。
軍事基地という閉鎖環境が舞台の作品であり、モンスターホラー寄りの作風となっている。
2007年製作。監督はオリバー・ハーシュビーゲル。
1978年版である本作のリメイクと大々的に宣伝されたが、ラストを大幅に改変されている。
余談
「静かな侵略」を描いたSF作品として金原石的位置づけである本作をオマージュした作品は多く、劇中でのストーリーについても引用した『
パラサイト』などが有名。
追記・修正は眠らない自信がある人がお願いします。
最終更新:2026年10月24日 17:46