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テーオーエルビス(競走馬)

登録日:2026/11/03 Tue 10:27:07
更新日:2026/11/03 Tue 10:35:33NEW!
所要時間:約 9 分で読めます




テーオーエルビス(T O Elvis)とは日本の競走馬。


目次

【データ】

誕生:2022年2月14日
父:ヴォラタイル
母:ストップショッピングデビー
母父:カーリン
調教師:高柳大輔 (栗東)
馬主:小笹公也
主戦騎手:鮫島克駿、坂井瑠星
生産者:Jeff Prunzik & Melissa Prunzik
産地:アメリカ
セリ取引価格:不明
通算成績:10戦7勝 [7-0-3-0](2026年9月現在)
主な勝鞍:
'25カペラS(GⅢ)
'26チャーチルダウンズステークス(GⅠ)・BCスプリント(GⅠ)

【誕生】

2022年2月14日生まれの黒鹿毛の牡馬。
父ヴォラタイルはアメリカダートGⅠのアルフレッド・G・ヴァンダービルトハンデキャップを勝利したものの、
直後に右前肢第3中手骨の骨折が判明したことで4歳で引退している。
母父カーリンもプリークネスステークス、ジョッキークラブゴールドカップ、BCクラシック、ドバイワールドカップ等々
数々の名だたるダートGⅠレースを勝利し、引退レースのBCクラシック4着を除き全レースで3着以上と抜群の安定感も併せ持っていた。

上記血統も含め調教師の高柳大輔氏がアメリカでの庭先取引で購入した純アメリカ血統アメリカ生まれの馬であり、
「ガッチリした感じでしっかり歩いてリズムも良かった」と、好印象だった模様。
馬名の由来は馬主である小笹氏のテーオー冠名と、アメリカのキングオブロックンロールとして名高い大スター、エルヴィス・プレスリーから取られている。

詳しくは後述の戦歴を見て頂きたいが、日本競馬史のダート界において紛れもない伝説を築いた一大スターの一角として瞬く間に有名となった強豪ダートスプリンターである。

【戦歴】

2024年9月8日の2歳新馬戦において鮫島克駿騎手と共にデビューするも、最後の直線での追い上げが間に合わずパンジャタワー勝利を後ろで眺める形で3着に終わる。
直後の未勝利戦からダートに転向し、初戦の敗北がまるで嘘のように後続のセントールビーストに大差を付けての初勝利を飾り、その実力の高さを見せつけた。
しかし、3戦目のカトレアステークスでは距離を1600mに伸ばした影響や、相手が後の羽田盃&東京ダービーを制した強豪ナチュラルライズだったこと等も合わせ3着という結果に終わる。

翌年3歳シーズンは1勝クラス戦3着→次戦で1着勝利と積み重ねていった先で、
かの最強クラスのダートホースであるフォーエバーヤングの相棒として名を上げていた坂井瑠星騎手に交代。
浜松特別では先頭2頭のアスタールフナとエコロネオが後続集団を大きく突き放していく中、
最終直線から猛加速をかけてテーオーエルビスが2頭を纏めて抜き去っての豪快な勝利。
続くオークランドサラブレッドレーシングトロフィーにおいても最終直線直前では5番手の位置に控えながら
直後に纏めて抜き去っていき最終的には4馬身もの差を付けて圧勝と凄まじい実力を見せつけていく。

その後は騎手を再び鮫島克駿に交代し、初の重賞となるGⅢカペラステークスへ挑戦。
これまで見せてつけてきた数々の圧勝劇から1番人気に推される中出走。
序盤から中盤にかけては中団やや後ろ辺りで控え、最終直線前には前方の馬群に阻まれるような位置取りになってしまったものの、
僅かに空いた隙間からあっという間に抜け出し、いつも通りの爆裂スパートをかけ一気に先頭に躍り出る。
後続2着のヤマニンチェルキが必死に追い縋るも差が縮まることなく5馬身差での圧勝。
重傷初制覇と共に同時代におけるダートスプリンターとしての実力を盤石なものに固めていった。

これだけの圧倒的実力を見せつけたということもあり、更なる栄光を求めて次は中東遠征プランが検討され、
リヤドダートスプリントやドバイゴールデンシャヒーン等を目標に据え、
ドバイゴールデンシャヒーンの方はUAEからの招待も受ける程であった……のだが、
間の悪いことにアメリカ・イスラエル陣営とイランの紛争による中東情勢悪化を受け、遠征断念となってしまった。

チャーチルダウンズステークス、日本競走馬のアメリカダートスプリントGⅠ初勝利の快挙

そんなゴタゴタも交えながら始まる4歳シーズン。
改めて東京スプリントへの出走を予定していたものの、海外遠征経験を積ませたいという陣営の方針により、
アメリカのダート短距離GⅠであるチャーチルダウンズステークスへの遠征を行うこととなった。

芝・中距離が主流の日本においてどうしてもマイナーと言わざるを得ないダート・短距離路線。
対してダートの本場たるアメリカ競馬での同路線GⅠ勝利を果たした日本競走馬は未だ現れたことが無く、
同レースでもパシフィッククラシックステークスを始め数々のアメリカGⅠを勝ち取っているナイツブリッジや
前走においてBCスプリント2着を記録したイマジネーション等を始めとしたライバルたちの存在もあり、
如何に日本国内で目覚ましい活躍を見せ続けたテーオーエルビスと言えども厳しい戦いになるだろうと思われていた。

それでもアメリカ国内でも3番人気に推され、更に騎手を再度坂井瑠星へと交代し、万全の態勢の中でレースがスタート。
マッチョミュージックやナイツブリッジが先頭を走る中、テーオーエルビスは4~6番手辺りをキープ。
途中バニシングが大外に逸走してしまうなんてハプニングも交えつつ迎えた最終直線。
イマジネーションが先んじて先頭に躍り出ようとしたその瞬間、すかさずテーオーエルビスもスパートをかけて先頭へ。
負けじとイマジネーションもそれに食らいつき、先団にいたナイツブリッジも共に迫っていく、最後はこの3頭の接戦か?

と、思われた次の瞬間、何とテーオーエルビスが再加速。
あれよあれよという間に横にいたイマジネーションとナイツブリッジを置き去りにしていくというとんでもない爆走をかます。
同じく後続からスパートをかけ始めていたディスラプターの追撃もまるで意に介することなく3.1/4馬身差でゴールイン。
本場アメリカのライバルたちすらも大きく離しての大勝利を掴み取るに至った。

繰り返しになるがこれまでアメリカのダートGⅠを勝利した日本競走馬は皆無であり、
それを初めて成し遂げて見せた逸材ということから、この1戦の勝利を以てテーオーエルビスの知名度も爆発的に高まることとなった。

BCスプリント、怪物イングリッシュマンを討ち取り新たな伝説へ

アメリカダートスプリントGⅠの初制覇、となればと多くのファンが期待に応えるように、
テーオーエルビスの次戦は世界最高峰のダートレースにしてその短距離路線の頂上決戦であるBCスプリントに決定。
主要路線の違いもあることから、凱旋門賞やBCクラシックと同等か、もしくはそれ以上に日本競走馬の勝利は困難であると目されている同レース。
テーオーエルビスがその悲願を果たす存在となり得るのかと大いに期待が高まっていた。

だが、そんな日本の夢と期待を遮るかのような怪物が突如として名を上げてくる。
2025年9月にデビューし、ウッディスティーヴンにH.アレン・ジャーケンといったアメリカダート短距離GⅠを凄まじい強さで連勝してみせたイングリッシュマンが同じく同年のBCスプリントに参戦することとなった。
そのレース内容はテーオーエルビスにも匹敵するかもしくはそれ以上の実力者と目される程であり、
日本競馬界の悲願達成を前に思わぬ試練が課されることになったのである。

多くの期待と不安が入り混じる中、遂に迎えたブリーダーズカップデー本番。
大外枠13番に位置するイングリッシュマンに対し、その2つ隣の11番外枠での出走。
チャーチルダウンズステークスを共に勝ち取った坂井瑠星を背に、運命の一戦がスタート。
好スタートを決めつつも後方に位置したテーオーエルビスに対し、
先頭を進むリアムスミスをマークしながらイングリッシュマンは2番手をキープしレースは進んでいく。

コーナー中盤に入ったところでイングリッシュマンが仕掛け、最終直線入りの時点でリアムスミスを抜き去り先頭へと躍り出た。
対するテーオーエルビスは最終直線時点でも中団外目の後方に位置しており、イングリッシュマンとはかなりの差がある。
テーオーエルビスはいつものように猛スパートをかけるも、これまでのライバルとは次元の違う加速をかけるイングリッシュマンも同様に後続をどんどん突き放していく。
流石にこれは厳しいか……と、誰もが思った矢先、信じられない光景を目にすることに。

何とテーオーエルビスの加速はイングリッシュマンのそれすらも上回り、ゴール目前にしてぐんぐん着差が縮んでいく。
そしてそのままイングリッシュマンをかわし、最終的に1.1/4馬身差を付けての大勝利。

大きなガッツポーズを見せました坂井瑠星騎手!

テーオーエルビスが、ブリーダーズカップスプリント!!

豪快な差し切りで勝って見せました!!!

誰もが長きに渡り叶わぬ夢だろうと思い続けていたBCスプリント、世界最高峰のダート短距離レースの頂点、
その夢を掴み取った日本競走馬が遂に現れたという現実を前に、陣営も全国の競馬ファンたちも大いに沸き立つこととなった。
チャーチルダウンズステークスに続くBCスプリント初勝利という偉業と共に、
テーオーエルビスという新たな伝説の名が日本競馬史の1ページに刻まれた瞬間である。

【余談】

兎にも角にも一躍時の人…ではなく時の馬となったテーオーエルビス。
そのあまりにも頭抜けた実力は現段階においてはとにかく規格外というほかないだろう。

特に先行策が基本的に強いとされ、実際に同じ作戦を取ったイングリッシュマンもいたBCスプリントにおいて、
後方に控えてから最後に纏めて抜き去り勝利したというその末脚は恐ろしいものがある。
実際にSNS等の反応を見ても、レース展開的にも誰もがイングリッシュマンが勝つだろうと予測した直後のエルビスの逆転劇には歓喜と共に恐怖を感じたと述べるファンも多かった。
また、BCスプリントのレース中継映像において、イングリッシュマンの鞍上を務めたJ.オルティス騎手が迫るテーオーエルビスに驚いたかのように大きく横に振り向く光景も見られる程。

また、テーオーエルビスと共にBCスプリントを勝利した坂井瑠星騎手は勝利後のインタビューにおいて、
「馬のリズムと持ち味を優先し、テーオーエルビスの末脚を信じて追い続けた」とのこと。
…如何にエルビスの末脚の規格外っぷりを信用していたといっても、イングリッシュマンのような強豪ライバルもいるレースにおいて、本当に後続からの勝負を実行に移せる度胸はこっちもこっちでとんでもないと言わざるを得ないだろう。
この勝利を以て坂井瑠星騎手はブリーダーズカップタイトル2部門制覇、2026年同時点における海外ダートGⅠ4勝等、数々の大記録を打ち立てたジョッキーにもなっている。

調教を務めた高柳大輔氏は先んじてフォーエバーヤングと共に2025年BCクラシックの勝利を果たした矢作芳人調教師の下で学んでいたこともある云わば弟子のような存在でもあり、
その高柳調教師が翌年のBCスプリントを勝つ競走馬を育て上げて見せたという点にも縁を感じるものである。








追記・修正はダート短距離の頂点に立ってからお願いします。

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最終更新:2026年11月03日 10:35