登録日:2026/11/01 Sun 11:07:25
更新日:2026/11/02 Mon 08:59:22NEW!
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野球の指標とは、野球における選手やチームの成績、プレーの特徴、得点や勝利への貢献などを数値で表したもの。
おなじみの打率・本塁打・防御率から、OPS・wRC+・WARまで、その種類は多い。
ただし、実際に起きた出来事を数えたもの、出場機会当たりの成績を表したもの、一定の仮定に基づいて貢献度を推定したものでは意味が異なる。
本項目では、基本的な記録も含めて「何を表すのか」「何に使えるのか」を紹介する。
基本はNPBでの利用を念頭に置き、MLBで用いられる指標も併せて扱う。
各指標の計算式・実例・詳しい注意点は、説明の下にある「計算式・詳しい解説」から開くことができる。
読む前の基本事項
「多さ」と「割合」は別物
本塁打数や安打数のように積み上げる記録と、打率や出塁率のように一定の機会に対する割合を表す指標は、役割が異なる。
例えば、100打席で10本塁打の打者と600打席で40本塁打の打者では、前者の方が本塁打を打った頻度は高いが、後者の方が多くの本塁打をチームにもたらしている。
どちらの数字も正しく、見ているものが違う。
能力や効率を比較したいのか、その期間の貢献量を比較したいのかで、使う指標を選ぶ必要がある。
これに関しては必ずしも指標・統計、あるいはそれを積極的に活用するセイバーメトリクス野球だけではなく個人タイトルの選定でも考慮されており、普通はタイトルの対象となる最低ラインが「規定打席」「規定投球回」として設けられている。
「成績」と「能力」も同じではない
成績には実力だけでなく、対戦相手、球場、味方の守備、起用法、偶然なども影響する。
優れた成績を残したことと、その成績を今後も再現できることは別の話である。
特に打席数や投球回が少ないと、数回の好結果・悪結果で数値が大きく動く。
10打数4安打の打率.400と、500打数200安打の打率.400を、同じ確かさで評価することはできない。
指標を読むときは、数値と一緒に打席数・投球回・守備イニングなども確認したい。
ただしこれは実際に選手の野球能力を測る場合の話であり、例えば
パワプロシリーズの制作現場では明確に「成績」をもとに「能力」を決定しているとのこと。
いわゆる青特殊能力の増加に伴い、最近は指標類はどうしても特殊能力による再現優先になってしまってあまり基礎能力を盛れなくなってきているんだとか。
年度・リーグ・算出元をそろえる
同じ数値でも、年度やリーグの得点環境によって評価は変わる。
また、同名の指標でも算出元によって定義や補正方法に差がある。
同じ防御率3.00でも、リーグ全体が打高か投高かで評価は変わる。厳しいことを言ってしまえば、シーズンごとに公式球の飛びやすさ・飛びにくさは大きく差があるのが少なくともNPBでは現状。
球場補正の有無、故意四球の扱い、打球の分類方法などによって、同名の指標でも算出元ごとに差が出ることがある。
本項目の式は代表的な方式を示す。
「概念式」としたものは仕組みを説明するための式であり、公開成績表だけで掲載値を完全に再現できるとは限らない。
また、wOBAなどの係数は年度やリーグによって変わる。
MLB用の係数をそのままNPBに持ち込めば、NPB向けに算出された公式な値になるわけではない。
略号と数値表記
計算式では英語の略号を使用する。
特に、打席と打数、投球回の小数に見える表記には注意が必要。
| 略号 |
意味 |
| G |
試合数 |
| PA |
打席 |
| AB |
打数 |
| H |
安打 |
| 1B |
単打 |
| 2B |
二塁打 |
| 3B |
三塁打 |
| HR |
本塁打 |
| TB |
塁打 |
| BB |
四球 |
| IBB |
故意四球 |
| HBP |
死球 |
| SO/K |
三振・奪三振 |
| SH |
犠打 |
| SF |
犠飛 |
| SB |
盗塁 |
| CS |
盗塁死 |
| GDP/GIDP |
併殺打 |
| IP |
投球回 |
| BF/TBF |
対戦打者数 |
| R |
得点。投手成績では失点 |
| ER |
自責点 |
| lg |
リーグ全体、またはリーグ平均 |
割合を百分率で示す場合は、割り算の結果に100を掛ける。
打率などは.300のような小数表記が一般的。
投球回の「6.1」「6.2」は6.1回・6.2回という十進数ではなく、それぞれ6回1/3・6回2/3を意味する。
計算時は分数に直す必要がある。
攻撃
打席(PA:Plate Appearances)・打数(AB:At Bats)
打席は打撃機会の総数。
打数は、そのうち四死球・犠打・犠飛・打撃妨害などを除いた数で、打率の分母に使われる。
先述した規定打席はこの打席がいくつ記録されたかで判定される。
NPB・MLBは「所属するリーグの試合総数の3.1倍を小数点以下四捨五入した数」となっている。
計算式
打数=打席-四球-死球-犠打-犠飛-打撃妨害などによる出塁
打率の分母は打数、四球率や三振率の分母は通常打席。
この違いを押さえないと、後に登場する指標の計算がまとめてずれる。
NPBの実例
2015年の柳田悠岐は605打席・502打数。
四球88、死球14、犠飛1で、605-88-14-1=502となる。
この年のパ・リーグは143試合なので143×3.1=443.3、規定打席は443打席。柳田はクリアとなる。
安打と記録された打球の総数。
どれだけ安打を積み上げたかを示す、最も基本的な記録の一つ。
計算式
H=1B+2B+3B+HR
単打も本塁打も「1安打」なので、安打数だけでは長打力の違いは分からない。
また、積み上げる記録なので、出場機会の多さにも左右される。
打率(AVG/BA:Batting Average)
打数のうち、どれだけ安打を打ったかを示す。
安打を打つ結果を端的に表す一方、四球による出塁や安打の種類は評価しない。
計算式
AVG=H÷AB
500打数150安打なら.300、すなわち3割。
4打数1安打も、1打数1安打3四球も、打席数は同じだが打率の計算は大きく異なる。
前者は打率.250、後者は打率1.000となる。
NPBの実例
2015年の柳田悠岐は182安打÷502打数≒.363だった。
本塁打(HR:Home Runs)
本塁打と記録された本数。
走者を含めて確実に得点できる強力な打撃結果であり、長打力を見る最も分かりやすい記録の一つ。
本塁打の本数は、球場の広さや形状、風、使用球、出場機会にも影響される。
また、本塁打が同じ30本でも、二塁打や四球の数が違えば打撃全体の価値も変わる。
長打力の一面をよく表す記録だが、打撃全体を説明する数字ではない。
本塁打率(AB/HR・HR%)
本塁打を打つ頻度を示す。
「何打数に1本打つか」と「打席の何%で打つか」の2種類があり、数字の良い方向が逆になる。
計算式
AB/HR=打数÷本塁打
HR%=本塁打÷打席×100
AB/HRは「何打数に1本打ったか」で、小さいほど高頻度。
HR%は「打席の何%で打ったか」で、大きいほど高頻度となる。
計算例
500打数・600打席で25本塁打なら、AB/HRは20.0、HR%は約4.17%。
「本塁打率」という名前だけで判断せず、分母と表記を確認する必要がある。
二塁打(2B:Doubles)・三塁打(3B:Triples)・長打(XBH:Extra-Base Hits)
二塁打以上の安打をまとめたものが長打。
本塁打だけでは見えない長打生産を確認できる。
計算式
XBH=2B+3B+HR
特に三塁打には打球の飛距離だけでなく、走力、打球方向、外野の形状なども関係する。
三塁打が多いから、本塁打の多い打者よりパワーがあるとは限らない。
塁打(TB:Total Bases)
安打で得た塁の数を合計したもの。
安打の種類による違いを反映し、長打率の計算に使われる。
計算式
TB=1B+2×2B+3×3B+4×HR
単打1本なら1、二塁打1本なら2、本塁打1本なら4を加える。
四球、盗塁、味方の安打による進塁は加算しない。
名前だけ見ると全部の進塁を数えそうだが、対象はあくまで自身の安打である。
長打率(SLG:Slugging Percentage)
1打数当たりに、安打で何塁を得たかを表す。
名前に反して「安打のうち長打が占める割合」ではなく、単打でも上昇する。
計算式
SLG=TB÷AB
理論上の最大値は、全打数本塁打の4.000。
割合というより、打数当たりの塁打の平均である。
NPBの実例
2015年の柳田悠岐は317塁打÷502打数≒.631だった。
打点(RBI:Runs Batted In)
打撃によって生じた得点のうち、記録規則上その打者に認められた数。
実際に走者をかえした実績を示す。
安打や本塁打だけでなく、犠飛、押し出しの四死球、一定の内野ゴロなどでも記録される。
一方、併殺打では原則として打点は付かない。
前の打者がどれだけ出塁したかにも大きく左右されるため、打点の多さだけで、異なる打順・チームの打者の能力を比較することには限界がある。
得点(R:Runs Scored)
自身が本塁に生還して記録された得点の数。
出塁力、長打力、走塁だけでなく、後続打者の打撃にも左右される。
「自分が生還した回数」が得点、「打撃によって走者をかえした実績」が打点。
ソロ本塁打なら、打った選手の得点と打点の両方に1が付く。
出塁しても後続が打てなければ得点にならないため、個人の攻撃能力を単独で測る指標ではない。
四球(BB:Bases on Balls)・死球(HBP:Hit By Pitch)
それぞれ四球・死球による出塁の数。
安打を打たずに出塁することも、攻撃への重要な貢献となる。
故意四球(IBB:Intentional Bases on Balls)は四球の内数である。
四球の多さには選球だけでなく、相手に警戒される長打力、後続打者、試合状況も関係する。
四球数だけから選球眼の優劣が完全に分かるわけではない。
出塁率(OBP:On-Base Percentage)
安打・四球・死球で出塁した割合を示す。
打率では評価されない四死球による出塁も含め、どれだけ塁に出たかを確認できる。
計算式
OBP=(H+BB+HBP)÷(AB+BB+HBP+SF)
失策出塁や野手選択は分子に含まれず、文字通りの「あらゆる出塁の割合」ではない。
また、単打も本塁打も分子では1なので、長打の価値は別途見る必要がある。
NPBの実例
2015年の柳田悠岐は、
(182+88+14)÷(502+88+14+1)≒.469。
打率.363だけでは見えない、四死球による出塁も反映されている。
OPS(On-base Plus Slugging)
出塁率と長打率を組み合わせた打撃指標。
出塁と長打の両方を簡単に確認でき、基本成績から手軽に算出できる。
計算式
OPS=OBP+SLG
NPBの実例
2015年の柳田悠岐は出塁率.469、長打率.631で、OPSは1.100前後。
掲載元の丸め方によって末尾の桁に差が生じることがある。
注意点
便利な一方、分母の異なる数値を単純に足しており、出塁と長打の得点価値を厳密に配分したものではない。
また、通常のOPSには球場やリーグの補正がない。
当然だが盗塁やその成功率、得点圏打率なども換算されていないため、その点も注意が必要。
非常に極端な例として、守備率のNPB記録を樹立した2011年の
宮本慎也は長打率.354・出塁率.333なのでOPSは.687。こういった守備とバットコントロールに特化した選手の評価には向かないと言える。
純長打率(ISO/IsoP:Isolated Power)
安打のうち、単打を超えて得た塁の分を取り出した指標。
単打で長打率を稼いでいる打者と、長打で稼いでいる打者を区別しやすい。
計算式
ISO=SLG-AVG
=(2B+2×3B+3×HR)÷AB
計算例
打率.300・長打率.450ならISOは.150。
打率.250・長打率.450ならISOは.200。
同じ長打率でも、後者の方が打数当たりの「追加の塁」が多い。
IsoD(Isolated Discipline)
出塁率と打率の差。
四死球によって出塁率をどれだけ上積みしているかを見る簡易的な目安になる。
計算式
IsoD=OBP-AVG
出塁率と打率では分母が異なるため、四球率そのものではない。
また、四球には相手の警戒や試合状況も影響するので、選球眼だけを完全に取り出した数値でもない。
四球率(BB%:Walk Rate)
打席のうち四球を得た割合。
打席数の違う打者でも、四球を選ぶ頻度を比較しやすい。
計算式
BB%=BB÷PA×100
故意四球を含むかどうかは算出元を確認する。
死球は通常含まれない。
三振率(K%:Strikeout Rate)
打席のうち三振した割合。
打者のコンタクト面を見る入り口になる。
計算式
K%=SO÷PA×100
三振を減らすために弱い打球ばかり打つようになれば、打撃全体が改善するとは限らない。
三振の多い長距離打者は、長打や四球によってその分を補っている場合がある。
最たる例が明確に「三振してもいいから、君はその長打力を活かしたバッティングをするべきだ!」と指導・指示を受けていたし、実際そのような成績を残していたブライアント(近鉄)だろう。
四球三振比(BB/K:Walk-to-Strikeout Ratio)
三振に対してどれだけ四球を得ているかを表す。
四球と三振のバランスから打撃の傾向を見る補助になる。
計算式
BB/K=BB÷SO
1.00なら四球と三振が同数。
ただし、四球10・三振10と四球100・三振100は同じ値になる。
頻度の違いを把握するにはBB%・K%も必要。
得点圏打率(AVG with RISP)
走者が二塁または三塁にいる場面での打率。
その期間の好機で、どれだけ安打を打ったかを示す。
RISPはRunners In Scoring Positionの略。
計算式
得点圏打率=走者が二塁または三塁にいる場面の安打÷同場面の打数
二・三塁に走者がいれば、一塁にも走者がいるかどうかは問わない。
通常の打率より対象打数が少なく、変動も大きい。
また、四球や犠飛による貢献は十分に表せず、「精神力」や将来の勝負強さを直接測るものではない。
犠打(SH:Sacrifice Hits/Sacrifice Bunts)・犠飛(SF:Sacrifice Flies)
それぞれ犠牲バント、犠牲フライと記録された回数。
チームの戦術や選手の起用を知る手掛かりになる。
数の多さだけで攻撃への貢献を決めることはできない。
犠打は走者を進める代わりにアウトを一つ使うため、局面によって得点期待値や勝利確率への影響が変わる。
なお、犠打は打率・出塁率の分母から除かれる。
犠飛は打率の分母から除かれるが、出塁率の分母には含まれる。
併殺打(GDP/GIDP:Grounded Into Double Play)
ゴロによる併殺打と記録された数。
一度に複数のアウトを失うため、攻撃上の損失が大きい。
走者一塁で無死・一死という機会が多い打者ほど増えやすい。
併殺打数の比較では、打席数だけでなく「併殺打が起こり得る場面が何回あったか」も重要になる。
併殺打率を表示する場合も、分母が全打席なのか併殺機会なのかを確認したい。
援護率(Run Support per Nine Innings)
特定の投手が9イニング投げたとした際に、味方チームが何点得点できるかを換算したもの。
攻撃指標としては珍しい投手の指標。防御率の攻守逆バージョンと言える。
登板成立中に味方打線が記録した得点×9÷投球イニング
投手の野球能力で上下させることは二刀流起用でない限り非常に困難だが、性質上勝利数・敗戦数に大きく絡むため、防御率と比較することで「打線のせいで勝てていないのか、単純に自責点が多いから勝てていないのか」を推測することができる。
おおむね2点台あたりからは
ムエンゴ扱いを受けることも多い。
また当然ながら、
大谷翔平のようにほぼ毎試合二刀流起用をされる選手や、秋山拓巳やJ.ウィーランドのように本塁打を十分狙える選手についても考慮された指標ではない(極論だが投手の満塁ホームランで得た得点の4点だけしか得点できていない・投球回7回の場合、この試合における援護率は5.14・投手を除いた打線による援護率は0.00となる)。
BABIP(Batting Average on Balls In Play)
本塁打を除いた打球が、どれだけ安打になったかを示す。
三振と本塁打を分け、それ以外の打球の結果を調べる指標。
計算式
BABIP=(H-HR)÷(AB-SO-HR+SF)
守備や偶然の影響を受けるが、打球の質、走力、打球方向なども関係する。
したがって、「BABIPが高い=運が良いだけ」ではない。
リーグ平均から離れているかだけでなく、本人の過去の水準や打球内容を確認して使う。
打者によって維持しやすいBABIPは異なる。
wOBA(Weighted On-Base Average)
打撃結果を、それぞれの得点価値に応じて重み付けした指標。
単打・四球・本塁打などの価値の違いを反映し、打撃全体を評価する。
代表的な計算式
wOBA=
(a×非故意四球+b×死球+c×単打+d×二塁打+e×三塁打+f×本塁打)
÷(打数+非故意四球+死球+犠飛)
a~fは年度・リーグなどに応じた係数。
非故意四球はBB-IBBである。
出塁率では単打も本塁打も同じ「1」だが、wOBAでは本塁打により大きな重みを与える。
打率より評価範囲が広く、OPSより打撃結果の価値を体系的に扱える。
出塁率に近い尺度に調整されるが、実際の出塁確率ではない。
通常は走塁・守備を含まず、wOBA自体には球場補正が入っていない。
NPBの実例
2015年の柳田悠岐はwOBA .469(NPB成績に基づく簡易算出サイトの値)。
wRAA(Weighted Runs Above Average)
同じ打席数を平均的な打者が打った場合と比べて、打撃で何点分多く、または少なく貢献したかを示す。
平均が0となる、積み上げ型の指標。
計算式
wRAA=(wOBA-リーグ平均wOBA)÷wOBAスケール×PA
wOBAスケールは、wOBAの差を得点の差に換算する係数。
+20なら、平均より20点分の上積みと評価される。
wOBAが打席当たりの指標なのに対し、こちらは打席数に応じて積み上がる。
通常のwRAAと、さらに球場補正などを加えた打撃得点は区別する必要がある。
NPBの実例
2015年の柳田悠岐はwRAA +76.5(日本プロ野球RCAA&PitchingRunまとめblogの算出値)。
wRC(Weighted Runs Created)
打撃によって生み出したと推定される得点の総量。
wRAAが「平均との差」なのに対し、wRCは平均的な打者が生み出す分も含む。
計算式
wRC={(wOBA-リーグ平均wOBA)÷wOBAスケール+リーグ得点÷リーグ打席}×PA
実際の打点や得点を数え直したものではない。
打撃結果から推定するため、前後の打者に左右される打点とは異なる角度で評価できる。
wRC+(Weighted Runs Created Plus)
球場やリーグの得点環境を考慮し、打撃による得点生産の効率を比較する指標。
リーグ平均が100で、高いほど優れた打撃成績を表す。
計算の基本形
wRC+=球場補正後の打席当たりwRC÷比較対象リーグの打席当たりwRC×100
| wRC+ |
平均との関係 |
| 150 |
平均より50%高い |
| 120 |
平均より20%高い |
| 100 |
リーグ平均 |
| 80 |
平均より20%低い |
球場や得点環境の違いを考慮できるため、単純なOPSより異なる年度・球場での成績を比較しやすい。
例えば、打低の年のOPS.800が、打高の年のOPS.850より高いwRC+になることもある。
ただし、これはそのリーグ内での打撃の傑出度。
NPBのwRC+150とMLBのwRC+150が、同じ絶対的打力を意味するわけではない。
また、打席当たりの指標なので出場量は別に確認する。
走塁、守備、守備位置の価値も含まない。
NPBの実例
2015年の柳田悠岐はwRC+ 221(日本プロ野球RCAA&PitchingRunまとめblog)。別方式の簡易算出では208となる。
OPS+(Adjusted On-base Plus Slugging)
出塁率と長打率をリーグ・球場環境に合わせて評価し、平均を100としたもの。
通常のOPSより、時代や球場の違いを考慮しやすい。
代表的な基本式
OPS+={OBP÷補正後リーグOBP+SLG÷補正後リーグSLG-1}×100
Baseball-Referenceなどで利用される。
「本人のOPS÷リーグOPS×100」ではない。
また、wRC+とは計算方法が異なるため、同じ打者でも数値は一致しない。
RC(Runs Created)
打撃成績から得点生産を推定する指標。
出塁と進塁を組み合わせ、四球や単打も得点生産の一部として評価する。
最も基本的な式
RC=(H+BB)×TB÷(AB+BB)
単純に本塁打や打点だけを見るのとは異なる、得点生産の評価を行う。
上記は基本形であり、盗塁・盗塁死・併殺打などを取り込んだ改良版もある。
同じRCという名前でも、どの式を採用した値か確認が必要。
XR(Extrapolated Runs)
打撃・走塁の各結果に係数を掛け、得点生産を推定する指標。
過去の分析記事や成績サイトで目にすることがある。
代表的な計算式
XR=
0.50×1B+0.72×2B+1.04×3B+1.44×HR
+0.34×(BB-IBB+HBP)+0.25×IBB
+0.18×SB-0.32×CS
-0.09×(AB-H-SO)-0.098×SO
-0.37×GDP+0.37×SF+0.04×SH
RCと異なり、各結果の足し算・引き算で計算できる。
係数が固定された歴史的な推定式であり、あらゆる年度・リーグの得点環境に最適化されているわけではない。
RC27・XR27
RC・XRを27アウト当たりに換算したもの。
アウトの消費に対し、どれだけ得点を生み出したかを比較する。
基本式
RC27=RC÷アウト数×27
XR27=XR÷アウト数×27
アウト数の近似には「AB-H+SH+SF+CS+GDP」などが使われるが、採用方式によって異なる。
「この打者を並べた打線なら何点取れそうか」という説明に使われることもある。
ただし、実際に同じ打者を9人並べて試合を再現した結果ではない。
スイング率(Swing%)・ボール球スイング率(O-Swing%)
どの程度積極的に振るか、ボール球を追っているかを示す。
打者のアプローチや、その変化を調べる材料になる。
計算式
Swing%=スイング数÷投球数×100
O-Swing%=ゾーン外へのスイング数÷ゾーン外投球数×100
Z-Swing%=ゾーン内へのスイング数÷ゾーン内投球数×100
OはOutside、ZはZoneを表す。
O-Swing%はChase Rateと呼ばれることもあるが、細かな対象範囲は提供元による。
ゾーン内でも打ちにくい球はあり、ボール球でも強く打てる場合はある。
単独で打撃の良し悪しを決める指標ではない。
コンタクト率(Contact%)
振ったときに、どれだけバットに当てたかを示す。
ミート面の特徴や変化を調べるのに使える。
計算式
Contact%=バットに当たったスイング数÷全スイング数×100
O-Contact%=ゾーン外で当てた数÷ゾーン外スイング数×100
Z-Contact%=ゾーン内で当てた数÷ゾーン内スイング数×100
ファウルもコンタクトに含まれるため、安打率やフェアゾーンに飛ばした割合とは違う。
また、当てた打球の強さは別に見る必要がある。
空振り率(SwStr%・Whiff%)
投球、またはスイングのうち空振りした割合。
打者の空振りの多さと、投手が空振りを奪う力の両方に使われる。
計算式
SwStr%=空振り数÷投球数×100
Whiff%=空振り数÷スイング数×100
いずれも空振りを扱うが、分母が違う。
計算例
100球中50球を振り、10球を空振りした場合、SwStr%は10%、Whiff%は20%。
「空振り率20%」だけでは、どちらを指すのか分からない。
打球速度(EV:Exit Velocity)
バットに当たった直後の打球の速さ。
強い打球を打てているかを見る物理的なデータ。
平均値の計算
平均打球速度=計測対象打球の速度の合計÷対象打球数
平均値、最高値、強い打球だけを対象にした値では意味が異なる。
速い打球でも正面に飛べばアウトになり、角度が低ければ長打になりにくい。
打球角度と組み合わせて使う。
打球角度(LA:Launch Angle)・Sweet-Spot%
LAは打球が飛び出す上下方向の角度。
Sweet-Spot%は、一定の角度帯に入った打球の割合を示す。
Statcastの計算式
Sweet-Spot%=打球角度8~32度の打球数÷対象打球数×100
ライナーやフライになりやすい角度帯の打球を、どれだけ打てたかを見る。
名前に「Sweet Spot」とあるが、バットの芯に当たった割合を直接示すものではない。
平均角度が同じでも、低いゴロと高いフライばかりの打者と、同じ角度のライナーを打ち続ける打者では内容が違う。
ハードヒット率(Hard-Hit%)
一定以上の速さで打った打球の割合。
安打になったかどうかとは別に、強い打球を生み出しているかを確認できる。
Statcastの計算式
Hard-Hit%=打球速度95mph以上の打球数÷対象打球数×100
95mphは約152.9km/h。
打球を弱・中・強に分類した別方式の「Hard%」と、StatcastのHard-Hit%は同一とは限らない。
比較する際は、名称だけでなく算出方法を確認する必要がある。
バレル率(Barrel%)
打球速度と角度の組み合わせが優れた「バレル」の割合。
単に速いだけでなく、長打につながりやすい角度も満たす打球を捉える。
基本式
Barrel%=バレルに分類された打球数÷対象打球数×100
打席を分母にしたBarrels/PAもあるため、比較時は分母をそろえる。
バレルは打球の分類であり、本塁打になったことを意味する記録ではない。
期待打率(xBA:Expected Batting Average)
打球速度・角度などから推定した安打のなりやすさを、打率の形にしたもの。
実際の安打数とは別に、打球内容を評価できる。
概念式
xBA=各打球の安打確率の合計÷打数
似た打球がどれだけ安打になっているかを利用する。
一部の打球では走力も考慮され、三振は安打確率0として扱われる。
好守に阻まれた強い打球や、守備の間に落ちた弱い打球を、実際の結果とは違う角度から評価できる。
ただし、将来必ずこの打率になるという予言ではない。
期待長打率(xSLG:Expected Slugging Percentage)
打球ごとの期待塁打を合計し、長打率の形にしたもの。
長打になりやすい打球をどれだけ打っていたかを見る。
概念式
xSLG=Σ{単打確率+2×二塁打確率+3×三塁打確率+4×本塁打確率}÷打数
Σは、各打球について計算した値を合計することを表す。
実際のSLGとの差を確認する際は、モデルが十分に取り込んでいない球場や打球方向などの影響にも注意が必要。
期待wOBA(xwOBA:Expected Weighted On-Base Average)
打球の期待結果に、実際の三振・四死球を組み合わせて打撃を評価する指標。
打球内容と実際の結果のずれを調べられる。
概念式
xwOBA=期待される各種安打の加重点+実際の四死球の加重点を、所定の分母で割った値
強い打球を打っていても三振ばかりなら、その三振も評価に反映される。
wOBAとの差は分析の材料になるが、その差をすべて「運」と断定することはできない。
盗塁(SB:Stolen Bases)・盗塁死(CS:Caught Stealing)
盗塁成功と盗塁失敗の記録。
走塁評価では、成功数だけでなく失敗数も重要になる。
盗塁数は次の塁を奪った実績を示すが、失敗すると走者とアウトを失う。
成功数だけを見て失敗数を無視すると、走塁の評価を誤りやすい。
また、盗塁には脚の速さだけでなく、スタート、投手の癖、捕手の送球、試合状況が関係する。
盗塁成功率(SB%:Stolen Base Percentage)
盗塁を試みたうち、成功した割合。
成功数と失敗数を組み合わせ、盗塁の効率を確認できる。
計算式
SB%=SB÷(SB+CS)×100
30盗塁10盗塁死なら75%。
仮に成功時の利益をG、失敗時の損失をLとすると、損益分岐となる成功率は「L÷(G+L)」。
ただし、GとLはアウトカウントや走者状況、得点環境によって変わるため、「何%なら必ず得」という固定の線引きはできない。
盗塁による得点貢献(wSB:Weighted Stolen Base Runs)
盗塁と盗塁死を得点換算し、平均との違いを見る指標。
成功率だけでは分からない試行数も反映できる。
代表的な式
wSB=SB×成功の得点価値+CS×失敗の得点価値-同程度の機会での平均的貢献
失敗の得点価値はマイナス。
1盗塁0盗塁死の成功率100%と、多くの盗塁を高い成功率で重ねた選手を区別するためにも役立つ。
走塁貢献(UBR:Ultimate Base Running)
盗塁以外の進塁や走塁死などを得点換算した指標。
単打で一塁から三塁へ進むといった、打球への判断を含む走塁を評価する。
概念式
UBR=各走塁で生じた得点期待値の変化-同じ状況での平均的な走塁による変化、の合計
外野フライで進塁する、走塁死を避けるといったプレーも評価の対象となる。
正確な算出には走者状況や打球ごとのデータが必要で、盗塁数と得点数だけからは計算できない。
総合走塁指標(BsR:Base Running)
走塁の価値を得点単位でまとめたもの。
盗塁だけでなく、その他の進塁や走塁死なども含めた貢献を見る。
概念式
BsR=盗塁による貢献+その他の進塁・走塁死による貢献+採用方式に応じた併殺回避の貢献
0が平均の目安で、プラスなら平均より多くの得点に貢献したと評価される。
構成は提供元や対象年度によって異なる。
例えばFanGraphsの従来方式では「wSB+UBR+wGDP」を用いる。
異なるサイトのBsRを無条件に混ぜて比較することは避けたい。
なお、得点推定式のBase RunsもBsRと略されることがあるが、こちらのBase Runningとは別物。
NPBの実例
2015年の柳田悠岐は盗塁由来のwSB +3.1(同ブログの算出値)。これはBsR全体の値ではない。
スプリントスピード(Sprint Speed)
Statcastで用いられる走速度の指標。
走塁の結果とは別に、純粋な脚の速さを見るのに向く。
算出方法
対象となる走塁の「最も速い1秒間」の速度を求め、一定の基準で選んだ走塁について平均する。
単位はフィート毎秒。
30ft/sなら約9.14m/s。
シーズン値は全走塁の単純平均でも、一度だけ出した瞬間最高速度でもない。
また、スタートや判断、盗塁技術まで直接評価するものではない。
守備
ここでは、失点を防ぐ側の働きとして投球と野手守備を扱う。
投手の成績と野手の守備成績は相互に影響するため、両者を完全に切り離せるわけではない。
登板(G)・先発(GS:Games Started)
登板は投手として出場した試合数、先発は最初の投手として登板した試合数。
起用法と稼働量を見る基本記録。
60試合の短い救援登板と25試合の先発登板では、登板数だけを比べても負担や貢献は分からない。
投球回、球数、登板間隔などと併せて見る。
投球回(IP:Innings Pitched)
どれだけのアウトを積み上げたかを示す。
投手の成績の良さだけでなく、投げた量を確認するための基本記録。
規定投球回は規定打席と違いルールブックで明確に定義されており(9.22(b)項)、1軍選手の場合は所属球団の総試合数と同値。
なのでNPB黎明期には30~40イニング投げていれば規定到達と今の目で見るとかなりハードルが低い線引きだった。
計算式
IP=投手の登板中に記録されたアウト数÷3
20アウトは6回2/3。
成績表の6.2を、そのまま十進数の6.2として計算機に入力してはいけない。
投手の評価では、少ない失点で抑えたことと、それをどれだけ長い回数続けたかの両方が重要になる。
完投(CG:Complete Games)・完封(SHO:Shutouts)
完投は先発投手が交代せずに試合を投げ終えた記録。
個人の完封は、原則として一人で投げ切り、相手に得点を与えなかった記録。
長い回を投げる力と実績を示す。
ただし、継投方針や時代によって機会が大きく変わる。
また、チームの継投による完封勝利と、個人の完封は区別される。
勝利(W:Wins)・敗戦(L:Losses)・勝率(W%)
記録規則によって特定の投手に付与される勝敗と、その割合。
実際に勝利投手になった実績を示す一方、援護点や救援投手にも左右される。
計算式
勝率=W÷(W+L)
登板数から勝敗数を引いた試合には、勝ちも負けも付いていない。
好投しても味方が点を取れなければ勝てず、失点しても大量援護で勝つことがある。
NPBの実例
2013年の田中将大は24勝0敗で勝率1.000。
ただし、登板した28試合すべてで勝利投手になったという意味ではない。
失点(R:Runs Allowed)・自責点(ER:Earned Runs)
失点は、その投手の責任として記録された得点の数。
自責点は、失策や捕逸などの影響を記録規則に従って除いたもの。
自責点は単純な「失点-失策で入った点」ではなく、失策などがなかった場合のイニングを再構成して判断される。
走者を残して降板し、その走者が後続投手から生還した場合も、原則として走者を出した投手に失点が付く。
最後に打たれた投手だけの数字を見ればよいわけではない。
創作物ではあるが、漫画『ONE OUTS』ではこの違いから「この『0点で抑える』は失点でカウントであって自責点でカウントではない(=失点0が対象であって、自責点0でも提示したルールの非対象になる場合はある)」と主人公が明確に説明する展開があった。
防御率(ERA:Earned Run Average)
9イニング当たりの自責点。
小さいほど、自責点を少なく抑えた成績となる、投手評価の代表的な指標。
計算式
ERA=ER×9÷IP
NPBの実例
2013年の田中将大は212回・自責点30。
30×9÷212≒1.27となる。
注意点
味方の守備や、走者を残した後の継投結果にも影響される。
失策を除いているからといって、守備の影響まで完全に消えているわけではない。
失点率(RA9:Runs Allowed per 9 Innings)
9イニング当たりの失点。
自責点だけでなく、すべての失点を対象にして実際の失点の少なさを見る。
計算式
RA9=R×9÷IP
NPBの実例
2013年の田中将大は212回・失点35。
35×9÷212≒1.49となる。
同年の防御率1.27との違いは、自責点にならなかった失点も含むため。
実際にどれだけ失点したかを把握できるが、投手個人と野手守備の責任を分離した値ではない。
例えばいわゆるファイアーフォーメーションを敷いている場合は当然エラーによる失点が増えるので、失点率は自責点に比べ大きく増えることになる。
WHIP(Walks plus Hits per Inning Pitched)
1イニング当たりに、安打と四球で何人の走者を出したか。
走者を出す頻度を見るための指標。
計算式
WHIP=(被安打+与四球)÷IP
通常は死球、失策出塁などを含まない。
NPBの実例
2013年の田中将大は、
(168被安打+32与四球)÷212回≒0.94。
注意点
単打と本塁打を同じ1被安打として扱う。
同じWHIPでも、長打の多さによって失点は大きく変わる。
被打率(BAA:Batting Average Against)
対戦打者にどれだけ安打を許したか。
打者の打率を、投手が許した結果として見る指標。
計算式
BAA=被安打÷被打数
分母は対戦打者数ではなく、四死球などを除いた被打数である。
被出塁率、被長打率、被OPSも、打者側と同じ考え方で算出できる。
安打を抑える投手でも四球が多ければ被出塁率は高くなるため、併せて確認すると特徴が分かりやすい。
奪三振(SO/K:Strikeouts)・奪三振率(K/9)
奪三振数は三振を取った総数、K/9は9イニング当たりの頻度。
打球処理に頼らずアウトを奪う働きを見る。
計算式
K/9=奪三振×9÷IP
三振なら通常、野手に打球処理を任せずアウトを取れる。
ただし、K/9はアウト数を基準にするため、走者を多く出して多くの打者と対戦する投手が高くなる場合もある。
打者単位の頻度を見るK%とは分けて考える。
与四球率(BB/9)・被本塁打率(HR/9)
それぞれ9イニング当たりの四球、本塁打。
基本的に低い方が、その結果を少なく抑えている。
計算式
BB/9=与四球×9÷IP
HR/9=被本塁打×9÷IP
BB/9は制球を考える手掛かりになるが、四球には勝負を避けた結果も含まれる。
HR/9は球場や対戦相手、打球の性質にも影響される。
奪三振割合(K%)・与四球割合(BB%)
対戦した打者のうち、どれだけを三振に取り、どれだけに四球を与えたか。
投球回ではなく対戦打者数を基準にする。
計算式
K%=奪三振÷BF×100
BB%=与四球÷BF×100
NPBの実例
2013年の田中将大は822打者に対し183奪三振・32与四球。
K%は約22.3%、BB%は約3.9%となる。
奪三振与四球比(K/BB)
三振を取ることと、四球を抑えることを一つにまとめた比率。
投手の基礎的な投球内容を見る材料になる。
計算式
K/BB=奪三振÷与四球
NPBの実例
2013年の田中将大は183÷32≒5.72。
注意点
K%10%・BB%2%と、K%30%・BB%6%は、ともにK/BBが5。
投球内容の違いはK%・BB%を別々に見る必要がある。
与四球0では通常の割り算が成立しないため、表示方法もサイトによって異なる。
K-BB%(Strikeout Rate minus Walk Rate)
三振割合から四球割合を引いたもの。
三振が多く四球が少ないほど大きくなり、投球内容を比較しやすい。
計算式
K-BB%=K%-BB%
K/BBと違って比率ではなく差を使う。
K%25%・BB%5%なら20ポイント。
ただし、被本塁打や打球の質は直接含まない。
クオリティ・スタート(QS:Quality Start)・QS率
先発投手が一定の回数を投げ、試合を大きく崩さなかったかを見る目安。
6イニング以上・自責点3以下でQSとなる。
定義・計算式
QS=先発で6イニング以上を投げ、自責点3以下
QS率=QS数÷先発数×100
6回3自責点はその登板だけなら防御率4.50相当で、9回無失点も同じ「QS1回」。
基準を満たしたかどうかを数える指標であり、投球内容を細かく順位付けするものではない。
7回2失点を指標とする「HQS率(High Quality Start」も存在する。
ちなみに沢村賞の選考基準は「7回3失点以内の回数」と、QSとHQSの間になっている。
セーブ(SV/S:Saves)
勝利した試合を最後に締めた救援投手が、所定の条件を満たした場合に得る記録。
抑えとして勝利を完結させた実績を示す。
登板機会は、チームがどれだけセーブの付く状況を作ったかに左右される。
また、同じセーブでも登板時の難しさは異なる。
セーブ失敗(BS:Blown Saves)と組み合わせた成功率には、次の式が使われる。
セーブ成功率=SV÷(SV+BS)×100
セーブ失敗は抑え以外にも付くため、対象投手の役割にも注意が必要。
ホールド(HLD/H:Holds)・ホールドポイント(HP)
ホールドは、救援投手がリードや同点を維持して後続につなぐなど、所定の条件を満たした場合の記録。
中継ぎ投手としての実績を表す。
NPBでは同点での登板でも、条件を満たせばホールドが記録される。
ホールドを挙げた後にチームが逆転負けしても、そのホールドが必ず消えるわけではない。
計算式
HP=ホールド+救援勝利
NPBの最優秀中継ぎ投手の評価に使われる。
いずれも起用法やチーム事情に左右されるため、登板内容そのものの指標とは分けて見る。
継承走者(IR:Inherited Runners)・継承走者生還率(IRS%)
前の投手が残した走者を、救援投手がどれだけかえさずに済ませたかを見る記録。
救援投手の防御率だけでは見えにくい部分を補える。
IRは登板時に引き継いだ走者数、IRSはそのうち生還を許した数。
計算式
IRS%=生還した継承走者÷継承走者×100
継承走者の失点は、原則として前の投手に付く。
ただし、無死満塁で登板するのと二死一塁で登板するのでは難度が違う。
当然
極端に高頻度な場合は批判を免れないだろうが、生還率だけで起用状況を無視して比較することはできない。
残塁率(LOB%:Left On Base Percentage)
出した走者をどれだけ得点させずに済ませたかを見る指標。
防御率の変動を調べる材料になる。
代表的な推定式
LOB%=(H+BB+HBP-R)÷(H+BB+HBP-1.4×HR)×100
ここでのH・BB・HBP・HRは投手が許した数。
試合のスコアに載る残塁数を、そのまま割ったものではない。
高いLOB%は低い防御率につながりやすいが、奪三振能力などの影響もあり、単純な運の指標ではない。
投手BABIP
本塁打以外の打球が、どれだけ安打になったか。
味方の守備、打球内容、偶然などによる影響を調べる材料になる。
計算式
投手BABIP=(被安打-被本塁打)÷(被打数-奪三振-被本塁打+被犠飛)
防御率が急に改善・悪化した際、その理由を調べるために使える。
ただし、低ければすべて幸運、高ければすべて不運と決め付けることはできない。
ゴロ率(GB%)・ライナー率(LD%)・フライ率(FB%)
打たせた打球の種類を表す。
ゴロを多く打たせる投手、フライを多く打たせる投手など、投球の性質を把握できる。
基本式
GB%=ゴロ数÷分類対象打球数×100
LD%=ライナー数÷分類対象打球数×100
FB%=フライ数÷分類対象打球数×100
GB/FB=ゴロ数÷フライ数
打者側にも同じ分類が使われる。
打球分類やバント・本塁打の扱いは提供元によって異なるため、異なるサイトの数字を混ぜる際は注意が必要。
内野フライ率(IFFB%)・フライ本塁打率(HR/FB)
IFFB%は内野フライの発生、HR/FBはフライが本塁打になった頻度を見る指標。
いずれも打球の結果を詳しく調べるために使う。
代表的な式
IFFB%=内野フライ数÷フライ数×100
HR/FB=本塁打数÷フライ数×100
IFFB%は、一般的なFanGraphs方式では全打球ではなくフライが分母。
比較的アウトになりやすい内野フライを、どれだけ生み出したかを見られる。
HR/FBは球場や打球の強さにも影響されるため、平均からのずれだけで運不運を断定しない。
FIP(Fielding Independent Pitching)
本塁打、四死球、三振を中心に投球を評価する指標。
打球が野手の正面に飛んだかどうかに左右されにくい結果を使い、防御率とは違う角度から投球を見る。
代表的な計算式
FIP={13×HR+3×(BB+HBP)-2×SO}÷IP+定数
低いほど良い。
定数は、リーグ平均FIPがリーグ平均防御率と対応するよう調整するためのもの。
ただし、「守備の影響を完全に除いた真の防御率」ではない。
打球の質を細かく評価せず、投球回にも守備の影響が残る。
故意四球の扱いなどは算出元を確認する。
xFIP(Expected Fielding Independent Pitching)
FIPの被本塁打数を、フライ数と平均的な本塁打発生率から見積もった数に置き換えたもの。
被本塁打の一時的な増減に左右されにくい評価を試みる。
代表的な計算式
xFIP={13×FB×リーグ平均HR/FB+3×(BB+HBP)-2×SO}÷IP+定数
この式のHR/FBは、10%なら0.10として使う。
投手ごとの本塁打抑止能力や球場の違いまで、すべて平均に置き換えてよいとは限らない。
FIPと併せて、何を平均化した指標なのかを意識して読む必要がある。
tRA(True Runs Average)
三振・四死球・本塁打に加え、ゴロ、ライナー、フライなどの打球分類も使う投球指標。
FIPより打球の種類を細かく扱い、守備から独立した評価を試みる。
概念式
tRA=各投球結果から推定した失点÷各投球結果から推定したアウト×27
各結果に、平均的な失点価値とアウトになる確率を割り当てる。
算出には詳細な打球データと係数が必要。
防御率ではなく失点率に対応する尺度なので、ERAと数字だけを直接比較しない。
SIERA(Skill-Interactive Earned Run Average)
三振、四球、ゴロなどの割合と、それらの組み合わせを使って防御率を推定する指標。
投球内容の相互作用までモデルに取り込む。
計算構造
定数+三振割合・四球割合・打球傾向の項
+それらの二乗項・相互作用項
例えば、同じ四球でも他の走者を出しにくい投手と出しやすい投手では影響が違う、といった関係をモデル化する。
単純な足し算だけでは扱いにくい投球内容を評価するもの。
回帰式の係数や追加補正には版による違いがあるため、ここでは単一の固定式として扱わない。
主にMLBの分析で用いられ、そのままNPBの環境に適合するとは限らない。
期待防御率(xERA:Expected Earned Run Average)
三振・四死球に加え、許した打球の速度や角度などから投球を評価する。
打球の計測値を取り入れ、防御率に対応する形で表示する指標。
計算の考え方
被xwOBAを、防御率に対応する尺度へ変換する。
「打球の分類」を使うtRAと、「打球の計測値」を使うxERAでは、評価の材料が異なる。
ERAとのずれを調べる材料になるが、将来の防御率を保証する数値ではない。
厳密な算出には、該当年度のモデルと換算方法が必要。
ERA-・FIP-・xFIP-
防御率やFIPなどを、球場・リーグ環境に合わせて比較する指標。
リーグ平均が100で、低いほど良い。
基本式
ERA-=球場補正後ERA÷リーグERA×100
FIP-=球場補正後FIP÷リーグFIP×100
xFIP-も、xFIPを同様の考え方で補正・指数化する。
ERA-80なら、補正後の防御率がリーグ平均の80%という意味になる。
年度や得点環境の違いを考慮しやすい。
wRC+とは良い方向が逆なので、100を上回れば優秀とは限らない。
ERA+(Adjusted Earned Run Average)
防御率をリーグ・球場環境に合わせて評価した指標。
ERA-と異なり、平均が100で、高いほど良い。
基本式
ERA+=球場環境を考慮したリーグERA÷本人のERA×100
Baseball-Referenceなどで用いられる。
ERA-とは分子と分母の向きが異なる。
補正を省いた例でリーグERA4.00・本人ERA2.00なら、ERA+は200、ERA-は50となる。
ERA+150を「平均より50%失点が少ない」と読むのは誤り。
比率の向きに注意したい。
球速(Velocity)・回転数(Spin Rate)
球速は投球の速さ、回転数はボールの回転の多さ。
投球結果だけでは分からない球質を調べる材料になる。
回転数の単位は通常rpm、すなわち1分間当たりの回転数。
平均球速や平均回転数は、対象球の計測値を合計して球数で割る。
最高球速と平均球速、直球だけの値と全球種の値は区別する。
回転数は多ければ必ず良いわけではない。
球種によって有効な回転の方向や量は異なる(むろん多い方がいい球種も存在するし)。
また球速についても速ければいい・遅いとそれだけで問題ありなのかはまた別の話で、
藤浪晋太郎のように悪い意味で球速極振りに近い投手はかえって扱いづらいし、
星野伸之のように緩急を重視したピッチングを主にする投手や、渡辺俊介のようにアンダースローの利点に特化したような投手の評価は「球速が遅い」だけでは測れないだろう。
変化量(Movement)・エクステンション(Extension)
変化量は投球が縦横にどれだけ動いたか、エクステンションはマウンドからどれだけ打者寄りで球を放したかを表す。
投球の特徴やフォーム変更の影響を確認できる。
同じ球速でも、リリース位置や変化の仕方によって打者への届き方は変わる。
変化量には重力を含む表現と除く表現などがあり、計測方式をそろえて比較する必要がある。
球種によっては先述した回転数の影響もある。少ない方が優れる場合があると書いたのはこのため。
例えば
ナックルボールは少ない方がよいとされるし、杉下茂は「(スプリットを除く場合の)フォークボールは本来無回転系の球種」と述べている。
刺殺(PO:Putouts)・補殺(A:Assists)・失策(E:Errors)
アウトの完成、その成立への関与、守備上のミスを記録した基本成績。
守備位置によって記録されやすいプレーが異なる。
刺殺はアウトを完成させた野手に、補殺はそのアウトの成立を助けた野手に記録される。
失策は、通常の守備行為で処理できたと判断されるプレーを失敗するなど、記録上の条件を満たした場合に付く。
一塁手の刺殺には送球を受けたアウトが多く、捕手には三振による刺殺が多い。
そのため、刺殺や補殺の数を守備位置の違う選手同士でそのまま比較しても、守備能力の順位にはならない。
守備機会(TC:Total Chances)
刺殺・補殺・失策を合計したもの。
守備率の分母に使われる。
計算式
TC=PO+A+E
守備範囲外を抜けた安打などは、必ずしも守備機会に含まれない。
「その選手の近くに飛んだすべての打球数」ではないことが重要。
守備率(FPCT/FLD%:Fielding Percentage)
記録された守備機会のうち、失策にならなかった割合。
同じ守備位置で、処理の確実性を確認する基本指標。
計算式
守備率=(PO+A)÷(PO+A+E)
難しい打球に追い付けず安打になった場合は、失策にならないことが多い。
守備範囲が広い選手は、他の選手なら触れない打球で失策が付くこともあるため、守備率だけで守備全体を評価することはできない。
レンジファクター(RF:Range Factor)
一定の出場量に対し、どれだけ刺殺・補殺を記録したか。
失策の少なさだけでなく、アウトへの関与を評価しようとする指標。
代表的な式
RF/9=(PO+A)×9÷守備イニング
RF/G=(PO+A)÷守備試合数
味方投手がゴロを多く打たせるか、三振を多く取るかなどにも左右される。
打球の難易度まで補正した守備範囲の指標ではない。
守備効率(DER:Defensive Efficiency Ratio)
チームが、本塁打などを除く打球をどれだけアウトに変えたかを見る。
野手全体の守備結果を調べる指標。
基本的な考え方
DER=対象打球のうち打者をアウトにした数÷対象打球数
代表的な近似式
DER=1-(H+失策出塁-HR)÷(PA-BB-HBP-SO-HR)
投手がどのような打球を打たせたかにも影響される。
失策出塁、野手選択、犠打などの扱いには算出方式による差がある。
失策出塁を含む方式では、単純に「1-BABIP」と同じにはならない。
UZR(Ultimate Zone Rating)
同じ守備位置の平均的な野手と比べ、どれだけ失点を防いだかを得点単位で推定する。
守備範囲だけでなく、失策や送球なども評価する。
概念式
UZR=打球処理の貢献+失策抑止の貢献+併殺完成の貢献+外野送球の貢献
+10なら、平均より約10点分、失点を防いだ評価となる。
代表的な内訳
| 略号 |
評価する内容 |
| RngR |
打球処理・守備範囲による貢献 |
| ErrR |
失策の多寡による貢献 |
| DPR |
内野手の併殺完成による貢献 |
| ARM |
外野手の送球による進塁抑止などの貢献 |
打球の位置や種類などを使うため、基本成績表だけでは再計算できない。
比較基準は同じ守備位置なので、一塁手のUZR+5と遊撃手のUZR+5は、守備位置そのものの違いまで含めた評価ではない。
短期間では大きく変動しやすく、単年の小差だけで守備能力を断定することは避けたい。
UZR1000・UZR/150
UZRを一定の出場量に換算したもの。
出場量の違う選手の守備成績を、条件をそろえて比較するために使う。
計算式
UZR1000=UZR÷守備イニング×1000
UZR/150は、採用元の方式で150試合相当の守備機会に換算した値。
短い出場時間の好成績を大きく引き伸ばすため、少数機会では極端な値になりやすい。
「100イニングでUZR+3だから、1000イニングなら必ず+30」と予測できるわけではない。
DRS(Defensive Runs Saved)
平均と比べて何点分の失点を防いだかを推定する守備指標。
UZRとはデータ処理や構成が異なり、捕手などの評価も含む。
概念式
DRS=守備範囲・送球・併殺・捕手守備など、各構成要素の得点貢献の合計
同じ選手でもUZRとDRSの評価が一致するとは限らない。
異なる指標で結果が違う場合は、どの要素をどう評価しているのかを確認する必要がある。
OAA(Outs Above Average)
Statcastの計測データを用い、平均より何個多くアウトを取ったかを推定する。
プレーの難しさを考慮した、守備範囲を中心とする指標。
概念式
OAA=Σ{実際にアウトにした結果-そのプレーの予測アウト確率}
例えばアウト確率25%の打球を処理すれば+0.75、処理できなければ-0.25。
簡単な打球を処理するより、難しい打球を処理した方が大きく加点される。
UZRやDRSと違い、基本単位は得点ではなくアウト。
また、これだけで捕手のフレーミングや外野送球などをすべて評価できるわけではない。
守備得点価値(FRV:Fielding Run Value)
Statcastの各種守備評価を、得点という共通の尺度にまとめたもの。
守備全体でどれだけ失点を防いだかを評価する。
概念式
FRV=守備範囲・送球・併殺・捕手守備などの貢献を得点単位に換算した合計
OAAがアウト単位なのに対し、FRVは失点抑止の得点単位で読める。
採用要素や計算方法は更新されるため、異なる時期の資料を比較する際は同じ方式か確認したい。
盗塁阻止率(CS%:Caught Stealing Percentage)
捕手が盗塁をどれだけ阻止したかを示す。
捕手の送球を評価する基本的な記録だが、投手や走者の影響も受ける。
計算式
CS%=盗塁刺÷(許盗塁+盗塁刺)×100
投手のクイック、牽制、走者のスタート、野手のタッチなども結果に影響する。
また、強肩を警戒されて盗塁企図そのものが減る効果は、阻止率だけでは捉えにくい。
ポップタイム(Pop Time)
捕手が投球を受けてから、送球が対象塁に届くまでの時間。
捕球後の持ち替え、足運び、送球速度などが関係する。
基本的な計測範囲
捕手の捕球から、送球が対象塁に届くまで。
一般に短いほど素早く送球を届けられる。
ただし、投手が投げ始めてから捕手に届くまでの時間や、野手がタッチするまでの時間とは別。
送球が速くても、逸れてしまえば盗塁を防げない。
フレーミング得点(Framing Runs)
際どい投球を受ける技術が、判定を通じてどれだけ失点抑止につながったかを推定する。
捕手の捕球技術を得点単位で評価する指標。
概念式
Framing Runs=平均より増減させたストライク判定数×判定1個当たりの得点価値
単にミットを大きく動かした回数を数えるものではない。
Baseball Savantの方式では、投手や球場などを補正し、ストライク1個を0.125点として換算する。
採用する判定制度やモデルによって意味合いが変わるため、方式の確認が必要。
ブロッキング(Blocks Above Average)
捕手が、難しい投球をどれだけ後ろに逸らさず止めたかを評価する。
単純な捕逸数と違い、受けた投球の難しさを考慮する。
概念式
Blocks Above Average=同じ投球群で予測される暴投・捕逸の数-実際の暴投・捕逸の数
Baseball Savantでは、これを得点換算したCatcher Blocking Runsも示される。
荒れ球の投手を多く受けた捕手を、捕逸数だけで不利に評価しないためにも有用。
捕手防御率(CERA:Catcher Earned Run Average)
その捕手が出場している間に、投手陣がどの程度の防御率だったかを見る成績。
捕手ごとの結果を比較できるが、配球能力を独立して測るものではない。
計算式
CERA=その捕手の出場中に投手へ記録された自責点×9÷対象イニング
組んだ投手、対戦相手、球場などが違えば数値も変わる。
低いCERAだけを根拠に「この捕手のリードが優れている」とは断定できない。
総合評価・試合状況に関する指標
WAR(Wins Above Replacement)
代替可能な水準の選手と比べて、何勝分の貢献を上積みしたかを推定する。
打撃・走塁・守備や出場量をまとめ、異なる役割の選手を比較するための総合指標。
野手の代表的な概念式
WAR=
(打撃得点+走塁得点+守備得点+守備位置補正+リーグ補正+代替水準補正)
÷1勝当たりの得点価値
投手は、投球による失点抑止と投球量、先発・救援の役割などを用いて計算する。
例えば、強打の一塁手と、打撃は平均的だが守備で貢献する遊撃手を、同じ「勝利への貢献」という尺度で評価しようとするもの。
ただし、WARは世界共通の一つの計算式ではない。
| 表記・算出元 |
主な意味 |
| fWAR |
FanGraphsによるWAR |
| bWAR/rWAR |
Baseball-ReferenceによるWAR |
| DELTAのWAR |
NPBのデータと採用モデルに基づくWAR |
投手について、FanGraphsはFIPを軸に、Baseball-Referenceは実際の失点と各種補正を軸に評価する。
DELTAではtRAを用いるなど、算出元によって考え方が違う。
WAR5は「チームの実際の勝利のうち5勝に、その選手の名前を付けた」という意味ではない。
また、0はリーグ平均ではなく代替水準であり、マイナスだから人間としての価値まで低いという話でもない。
NPBの実例
2015年の柳田悠岐はWAR 10.4(日本プロ野球RCAA&PitchingRunまとめblogの算出値)。
平均比貢献(RAA:Runs Above Average)・平均比勝利貢献(WAA:Wins Above Average)
平均的な選手に対して、何点分・何勝分上積みしたかを表す。
WARとは比較の基準が異なる。
基本式
WAA=RAA÷1勝当たりの得点価値
RAAは得点単位、WAAは勝利単位。
どの要素を含むRAAなのかは、算出元と対象を確認する。
平均的な働きを長期間続けた選手は、WAAが0前後でも、代替水準を上回る分だけWARを積み上げる。
勝利確率増分(WPA:Win Probability Added)
プレーによってチームの勝利確率をどれだけ動かしたかを表す。
何をしたかだけでなく、「いつ結果を出したか」を評価する。
計算式
WPA=Σ(プレー後の勝利確率-プレー前の勝利確率)
打者なら攻撃側、投手なら守備側の視点で評価する。
同じソロ本塁打でも、大差の試合と最終回の同点場面では勝敗への影響が違う。
そうした局面の違いを反映できる。
ただし、出番の状況に大きく左右されるため、環境から独立した能力評価とは異なる。
WPAが高いから、将来も同じ場面で必ず活躍するという意味ではない。
レバレッジ・インデックス(LI:Leverage Index)
試合の重要局面かどうかを表す。
平均が1で、高いほど一つの結果が勝敗を大きく動かしやすい。
概念式
LI=その局面で見込まれる勝利確率の動きの大きさ÷平均的な局面での動きの大きさ
救援投手がどれだけ厳しい場面で使われているかを見るのに役立つ。
登板時のLIを平均したgmLIなどがある。
LI自体は起用状況の指標であり、良い投球をしたかを直接示すものではない。
得点期待値増分(RE24:Run Expectancy based on 24 Base-Out States)
走者を進めたこと、アウトを増やしたこと、実際に得点したことを、得点期待値の変化で評価する。
塁・アウト状況を踏まえてプレーの価値を見る指標。
計算式
RE24=Σ(プレーで入った得点+プレー後の得点期待値-プレー前の得点期待値)
走者の配置8通りとアウト数3通りを組み合わせた、24通りの状況を使う。
ここでの得点期待値は、その状況からイニング終了までに平均何点入るかという値。
犠打や進塁打を、結果として得点機会がどう変化したかで見ることも可能。
WPAと違い、基本的には試合の点差やイニングではなく、塁・アウト状況を扱う。
投手側の評価では符号を反転させるなど、表示上の視点にも注意する。
パークファクター(PF:Park Factor)
球場が得点や本塁打などの発生に与える影響を表す。
異なる本拠地の選手を比較する際の補正に使われる。
単純な基本形
PF=本拠地での1試合当たり両軍合計得点÷遠征先での1試合当たり両軍合計得点
1を中立とする表示と、100を中立とする表示がある。
得点用、本塁打用、左右打者別など、対象によっても別の値になる。
実際の分析では対戦相手、複数年データ、日程などの調整を加えることがある。
単年の値だけで球場の性質を完全に決めることはできない。
本拠地のPFが1.10でも、その選手の全打席がその球場で行われるわけではない。
個人成績を機械的に1.10で割れば正しい補正になるとは限らない。
ネタ指標
野球の指標には、選手の発言やインターネット上での議論、あるいは思いもよらない出来事をきっかけに生まれた非公式の指標も存在する。
これらは主になんJ系譜の掲示板を中心に野球ファンの間でネタとして扱われるものであり、統計学的な妥当性が検証された指標とは限らない。また、名前の由来となった人物が実際に計算式を提唱したとは限らない。
もっとも、中にはネタとして生まれたにもかかわらず、意外と理にかなっている指標も存在する。
アダム・ダン率
本塁打・四球・三振という、打球がインプレーにならずに打席が完結する3種類の結果に注目した指標。
計算式
アダム・ダン率=(本塁打+四球+三振)÷打席×100
例えば500打席で30本塁打、80四球、150三振なら、
(30+80+150)÷500×100=52.0%
となる。
名称は、MLBで活躍したアダム・ダンに由来する。
ダンは通算462本塁打を記録した強打者である一方、2379三振を喫し、四球も非常に多いという極端な打撃スタイルで知られていた。
つまり、打席に立つとホームランを打つか、四球で歩くか、三振するかという、いかにも大砲らしい選手だったのである。
これら3種類の結果は投手と捕手と打者だけで完結し、打球がインプレーにならないため他の野手の守備力に影響されない。そのため、アダム・ダン率が高い選手はBABIPの影響を受けにくく、毎年同程度の打撃成績が期待できるという特徴がある。
海外では同様の指標として「Three True Outcomes(TTO)」というものがある。元々はアダム・ダン同様に打席結果が三振・四球・本塁打ばかりであることで知られた
ロブ・ディアーを評価するためのネタ指標として作られたものだが、上述の特性が知られるとセイバーメトリクスで実際の野球分析にも用いられるようになった。
もっとも、本塁打も四球も三振も同じ1として数えるため、この数字が高ければ優秀な打者というわけではない。
三振ばかりしていても数値は上昇するため、アダム・ダン率だけで打者の良し悪しを判断するのは禁物。
あくまで打撃スタイルの極端さを楽しむ指標である。
赤星式盗塁
盗塁成功数から盗塁死の2倍を差し引く指標。
単純な盗塁数だけでなく、失敗による損失も考慮する。
計算式
赤星式盗塁=盗塁-盗塁死×2
元阪神タイガースの赤星憲広が、盗塁は成功数だけでなく失敗数も考慮して評価すべきだと主張したことに由来する。
赤星は盗塁死が盗塁数の半分に達すれば価値はゼロ、それを上回ればマイナスになるという趣旨の考え方を示しており、これが数式化された。
体感的にも「盗塁に失敗するとアウトカウントが1つ増える、ランナーが居なくなる」と、マイナス要素が2つ来るのでわかりやすい。
例えば30盗塁・5盗塁死なら20、30盗塁・15盗塁死なら0。盗塁成功率が約66.7%を下回るとマイナスになる仕組みである。
実はこの基準、セイバーメトリクスによる盗塁の損益分岐点が約70%とされることと比較的近い。
そのため、ネタ指標として広まったにもかかわらず、盗塁の効率を評価する簡易的な指標として一定の合理性がある。
実際の記録では、福本豊が通算1065盗塁・299盗塁死から467を記録(日本記録)。
1973年には95盗塁・16盗塁死で63を記録しており、通算・シーズンともに非常に高い数値を残している。
赤星自身は通算381盗塁・88盗塁死から205を記録(セ・リーグ記録、歴代5位)。
2003年には本人のシーズン最多記録となる61盗塁・10盗塁死で41を記録している。
なんJ民による計算の結果、赤星本人が実働シーズンすべて・通算共に黒字をキープし続けていたことが判明したのも高い評価を集めた一因か。
一方、盗塁数が多くても失敗が多ければ評価が下がるため、単純な盗塁ランキングとは異なる結果になる。
もっとも、盗塁の価値はアウトカウントや走者状況によっても変わるため、実際の得点貢献を厳密に算出したものではない。
どちらかといえば全体への貢献度よりも盗塁判断の上手さそのものを単体で推測するための指標と考えたほうがいいか。
赤星式盗塁阻止
赤星式盗塁を捕手側に応用した派生指標。
盗塁を阻止した成果と、許した盗塁数を組み合わせる。
計算式
赤星式盗塁阻止=盗塁阻止数×2-許盗塁数
例えば盗塁阻止20回・許盗塁30回なら10となる。
盗塁を阻止することの価値を強調した指標だが、捕手の能力を評価するうえでは大きな問題がある。
それは強肩の捕手ほど、そもそも相手走者が盗塁を仕掛けてこないという点である。
どれほど優れた捕手でも、盗塁を試みられなければ盗塁阻止数は増えない。
そのため、盗塁を抑止する能力が高い捕手ほど数値が伸びにくくなる場合がある。
また、盗塁阻止には投手のクイックモーションや牽制、投球の種類なども影響するので、捕手個人の能力を単純に評価できるわけではない。
片岡式本塁打
本塁打数と盗塁数を足し合わせた指標。
盗塁1個を本塁打1本と同じ価値として扱う、非常に大胆な計算方法が特徴。
計算式
片岡式本塁打=本塁打+盗塁
元西武ライオンズの片岡易之(片岡治大)が、2009年の契約更改時に盗塁の価値を訴えたことに由来する。
片岡は「盗塁は本塁打と同じくらい価値があると思っている」という趣旨の発言をした。
ただし、これは盗塁王というタイトルの価値を訴えたものであり、本人が盗塁1個と本塁打1本を同じものとして計算するよう提唱したわけではない。
しかし、この発言が拡大解釈され、
盗塁1個=本塁打1本
という斬新な理論が誕生した。
例えば本塁打30本・盗塁10個なら片岡式本塁打は40本。
一方、本塁打5本・盗塁40個なら45本となり、前者を上回る。
当然ながら、実際に盗塁と本塁打の得点価値が等しいわけではない。
それでも計算が簡単で分かりやすいため、現在でもシーズン終了後などに片岡式本塁打ランキングが作られることがある。
なお、片岡自身は2009年と2010年に片岡式本塁打王となっている。
本人の知らないところで誕生した指標で、本人がタイトルを獲得したという、何とも不思議な話である。
小松式ドネーション(KD)
投球回によって獲得したアウト数と、勝利・ホールド・セーブを組み合わせた投手向けの指標。
元々は「寄付金額を計算する」ためのものだったが、意外にも投手の貢献度をうまく表しているとして話題になった。
計算式
KD=投球回×3+(勝利+ホールド+セーブ)×10
元オリックス・バファローズの小松聖が2011年に始めた社会貢献活動「ONEアウトドネーション」が由来。
これは1アウトにつき1000円、勝利・ホールド・セーブ1個につき1万円、タイトル獲得などで10万円を動物愛護団体へ寄付する取り組みである。
…しかし、開始初年度の2011年は故障などによりわずか1アウトしか記録できず、通常の投球成績に基づく寄付額が1000円となってしまったことが話題に。
その後、他の投手にも同じ計算式を当てはめる遊びが始まったところ、先発・中継ぎ・抑えを問わず、投手の貢献度を意外なほど適切に表していることが判明した。
特に、勝ち星に恵まれない先発投手でも投球回を稼げば評価され、逆に投球回の少ない救援投手でもホールドやセーブを積み重ねれば高く評価される。
この絶妙なバランスと計算の簡単さから、ネタ指標でありながらファン目線の体感的な貢献度と比較的よく一致すると好評を博し、実際に野球データサイトでも掲載されるようになった。
以下は実際のシーズン成績をもとに計算した例。
| 選手 |
年度 |
勝・H・S |
投球回数 |
KD |
備考 |
| 小松聖 |
2008 |
18(15勝3H) |
172.1 |
697 |
小松本人の最高成績 |
| 金田政彦 |
2002 |
4(4勝) |
140.2 |
462 |
最優秀防御率を獲得 |
| 一場靖弘 |
2006 |
7(7勝) |
193.2 |
651 |
最多14敗など逆7冠 |
| 平井克彦 |
2019 |
41(5勝36H) |
82.1 |
657 |
パ歴代最多の81登板を記録 |
| 久保田智之 |
2007 |
55(9勝46H) |
108 |
874 |
歴代最多の90登板を記録 |
| 浅尾拓也 |
2011 |
62(7勝45H10S) |
87.1 |
882 |
中継ぎとして大車輪の活躍でセMVPに |
| 田中将大 |
2013 |
25(24勝1S) |
212 |
886 |
シーズン24勝無敗 |
| 遠藤一彦 |
1984 |
17(17勝) |
276.2 |
1000 |
NPBでは現状最後の4桁KD |
| 稲尾和久 |
1961 |
42(42勝) |
404 |
1632 |
歴代最多シーズン42勝 |
| 権藤博 |
1961 |
35(35勝) |
429.1 |
1638 |
セ新人王、「権藤権藤雨権藤」と揶揄された酷使で知られる |
| 野口二郎 |
1942 |
40(40勝) |
527.1 |
1982 |
NPBにおける歴代最高記録 |
このように、先発のエースだけでなく、チームを支えたセットアッパーやクローザーも高い数値を記録する。
現代における目安としては「530前後で規定投球回に達する先発投手。600以上で主力級、700以上で球界を代表するレベル、850以上なら歴史的な大活躍」とされる。
表を見てみるとわかる通り、浅尾は中継ぎ投手ながら882KDを記録。24勝無敗を達成したマー君の886KDに迫る数字となっており、当時の凄まじい登板量と活躍を物語っている。
また、「逆7冠」とだけ言われれば印象が悪すぎる一場も、この指標を見てみると「当時のチームの悲惨な投手事情の中、紛れもなく奮闘した」ということが数値化される。最多登板を記録した平井と久保田に関しては時代の変化もあるとはいえど、「重要ではない局面も含めたとりあえず的なワンポイントも少なからずあった平井はそこまで伸びていないが、回跨ぎもこなしていた久保田は800台まで伸ばしている」と対照的なことになっている。
一方、2002年の金田政彦は最優秀防御率を獲得しながら462KDにとどまっており、投球内容の優秀さとKDの高さが必ずしも一致しないことも分かる。
また防御率や敗戦数は計算式に含まれず、投球内容そのものを評価する指標ではないという弱点もある。
また、あくまで小松の寄付ルールを流用したものであり、上記の選手たちが実際にKDに応じた寄付を行ったわけではないし、寄付活動そのものは真面目な社会貢献であり、ネタとして扱われているのはあくまで計算式を選手評価に転用した部分であることには留意。
ほかにこれだけでは推測しにくい負の面として、算出方法の性質上、イニングを稼いでしまえばKDは高くなるため、極端に高い場合、浅尾や権藤のように酷使で(投手としては)引退につながるリスクもある。
里崎指数
盗塁を阻止した割合ではなく、相手走者にどれほど盗塁を仕掛けられにくいかを評価する指標。
基本的な考え方
里崎指数=対象イニング数÷盗塁企図数
元千葉ロッテマリーンズの里崎智也が提唱した考え方。
一般的な盗塁阻止率は、実際に盗塁を試みられた際にどれほど阻止できたかを表す。
しかし、強肩の捕手に対しては、相手走者が盗塁そのものを控えることがある。
そのため、盗塁阻止率だけでは盗塁を抑止する能力を十分に評価できない。
そこで、盗塁を1回企図されるまでに何イニングを要するかという観点から、バッテリーの盗塁抑止力を評価しようとするのが里崎指数である。
数値が大きいほど、相手走者が盗塁を仕掛けてこないことを意味する。
例えば900イニングで盗塁企図60回なら15.0、900イニングで30回なら30.0となり、後者の方が盗塁を企図されにくい。
ただし、盗塁企図の頻度は捕手だけでなく投手のクイックや牽制、相手チームの走力や戦術などにも左右される。
また、盗塁企図が0回の場合は計算できない。
単独で捕手の守備能力を評価するには限界があるものの、盗塁阻止率では見えにくい抑止力に着目した指標といえる。
江川式本塁打
片岡式本塁打に犠打まで加えた派生指標。
計算式
江川式本塁打=本塁打+盗塁+犠打
元巨人の江川卓が、テレビ番組で「バント=本塁打」という趣旨の発言をしたことに由来する。
これにより、片岡式本塁打の計算式に犠打まで加えるという、さらに大胆な理論が誕生した。
例えば本塁打5本・盗塁20個・犠打30個なら、江川式本塁打は55本となる。
つまり、長打力のある選手だけでなく、盗塁や送りバントを得意とする選手も本塁打王争いに参戦できることになる。
もちろん、犠打1個と本塁打1本の得点価値が等しいわけではない。
片岡式本塁打をさらに拡張したジョークであり、片岡式ほど広く定着しているわけではない。
ウィーランド式防御率
投手自身が打点を挙げれば、その分だけ自責点を相殺できると考えるネタ指標。
計算式
ウィーランド式防御率=(自責点-打点)×9÷投球回
名称は横浜DeNAベイスターズで活躍したジョー・ウィーランドに由来する。
ウィーランドは投手でありながら打撃にも優れていて、特に広島東洋カープを相手に強打を発揮したことで知られる。
本来の防御率は自責点を投球回で割って算出するものの、ウィーランド式では投手自身が稼いだ打点を自責点から差し引いて計算。
つまり、自分で取られた点は、自分で打って取り返せばよいという考え方である。
例えば100投球回・自責点40・打点10ならば(40-10)×9÷100=2.70となる。
実際のウィーランドの2017年の成績では、
| 対象 |
通常の防御率 |
ウィーランド式防御率 |
| シーズン全体 |
2.98 |
2.16 |
| 対広島 |
5.33 |
2.33 |
| 対ヤクルト |
1.10 |
0.83 |
という結果になる。
特に広島戦では、自責で16失点したのに対して打点を9つ記録しているので防御率が大幅に改善される。
もちろん、投手の打点と自責点は同じ条件で生まれるものではなく、投球能力を測る指標としての妥当性はないし、自責点より打点が多ければ通常の防御率ではあり得ないマイナスの数値になることもある。
なお、派生指標として「ウィーランド式QS(UQS)」も存在する。
こちらは6イニング以上を投げ、自責点から打点を引いた値が3以下なら達成とするもの。
投手が自分で打って失点を取り返す「ジエンゴ」を数値化した、いかにもネタらしい指標である。
野球星人はこの指標の申し子である。
名将ポイント
得失点の割にどれほど効率よく勝利を挙げたかによって、監督の手腕を評価しようとする指標。
計算式
名将ポイント=(失点数²×勝利数)÷(得点数²×敗戦数)
2015年の阪神タイガースが、大きなマイナスの得失点差を抱えながら優勝争いを繰り広げたことが発端。
当時の和田豊監督について、得失点差の割に勝ち星を稼いでいるのは名将だからではないか、という議論から考案された。
計算式には、得点と失点から期待勝率を推定する「ピタゴラス勝率」の考え方が取り入れられている。
簡単にいえば、得点が少なく失点が多いにもかかわらず、勝利数が多いチームほど高くなる。
そのため、僅差の試合を勝ち切り、大差の試合で負けるチームの監督は高く評価されやすい。
しかし、この指標には致命的な問題がある。
それはチームの得点を増やし、失点を減らすことも監督の仕事であるという点である。
大量得点で勝つチームを作った監督よりも、得失点差が悪いまま接戦を拾う監督の方が高く評価される場合がある。
さらに、選手の育成や戦力整備、長期的なチーム運営なども反映されない。
そのため、監督の能力を客観的に測るには不向きであり、半ばネタ指標として定着した。
なお、敗戦数が0の場合など、計算式の分母が0になる場合には算出できない。
阪神が大量失点で敗れた際には、「和田監督がまた名将ポイントを貯めた」などとネタにされることもあった。
レジェンドポイント
選手がどれほど「レジェンド級」であるかを数値化した、謎の指標。通称「レジェポ」。
2012年12月27日、インターネット掲示板に投稿された「現役選手レジェンド候補ランキングwwwwww」というスレッドで誕生した。
投稿者は選手の通算記録を参考に、主観でレジェンドポイントを付けたと説明しているが、具体的な計算式は一切公開されていない。
にもかかわらず、数値は1ポイント単位まで細かく設定されており、妙な説得力を醸し出している。
当時発表されたランキングの上位は以下のとおり。
| 順位 |
選手 |
レジェンドポイント |
| 1位 |
武田翔太 |
30327pt |
| 2位 |
イチロー |
21086pt |
| 3位 |
松井秀喜 |
18923pt |
| 4位 |
ダルビッシュ有 |
13358pt |
| 5位 |
金本知憲 |
12189pt |
| 6位 |
小笠原道大 |
9829pt |
| 7位 |
山本昌 |
8271pt |
| 8位 |
前田智徳 |
7281pt |
| 9位 |
田中将大 |
6721pt |
| 10位 |
岩瀬仁紀 |
5683pt |
ご覧のとおり、イチローや松井秀喜、ダルビッシュ有といった球史に残る選手たちを抑え、当時高卒1年目だった武田翔太が堂々の1位に君臨している。
しかも2位のイチローに9000ポイント以上の大差をつけており、まさに格が違う。
なお、武田はこの年に8勝1敗・防御率1.07という、高卒新人としては非常に優秀な成績を残していた。
とはいえ、イチローや松井秀喜を大差で上回る理由は全く説明されていない。
このあまりにも不可解なランキングから、武田翔太は「レジェンド武田」と呼ばれるようになった。
その後は武田が何かをするたびにポイントが増える、レジェポを買い物に使える、他の選手の活躍まで武田のポイントに加算されるなど、設定が勝手に拡張されていった。
当然ながら選手の実力や歴史的評価を客観的に測る指標ではなく、計算方法も不明なため再現性はない。
そもそも何をすればポイントが増えるのかすら分からない。
その意味では、数あるネタ指標の中でも特にネタに振り切った存在といえる。
指標の使い分け
何を知りたいかで選ぶ
同じ選手でも、問いが違えば適切な指標は変わる。
「今年どれだけ貢献したか」と「来年どれだけ活躍しそうか」では、必要な分析も同じではない。
| 知りたいこと |
主な指標 |
| 安打を打った割合 |
打率 |
| 安打や四死球による出塁 |
出塁率 |
| 長打の生産 |
本塁打、長打率、ISO |
| 打撃全体の簡易評価 |
OPS |
| 環境を考慮した打撃の効率 |
wRC+ |
| 打撃の貢献量 |
wRAA、wRC |
| 盗塁以外も含む走塁 |
UBR、BsR |
| 実際の自責点・失点の少なさ |
ERA、RA9 |
| 三振と四球の内容 |
K%、BB%、K-BB% |
| 守備の影響を抑えた投球評価 |
FIP、xFIP、tRA |
| 打球の計測値を使った評価 |
xBA、xwOBA、xERA |
| 野手の失点抑止 |
UZR、DRS、OAA、FRV |
| 出場量を含む総合貢献 |
WAR |
| 勝負の局面で残した結果 |
WPA、RE24 |
指標は選手を理解するためのもの
指標は、選手の能力や実際の貢献を、印象だけに頼らず客観的に評価するための道具である。
ただし、数値には対象範囲と限界があり、記録された成績と本来の能力が完全に一致するわけではない。
低い数値が出たときも、まず確認すべきなのは、何を測った数字なのか、どれだけの出場機会に基づくのか、どのような条件で残された成績なのかである。
指標は選手を貶めるための道具ではない。
プレーの長所や課題を説明することと、選手への侮辱や人格否定は別物であり、数字がその根拠を与えることはない。
追記・修整は指標をレスバの道具として使わない方にお願いします。
- セイバーメトリクスではないでしょうか? -- 名無しさん (2026-11-01 13:31:05)
- ↑セイバーメトリクスは野球のデータを統計的・客観的に分析する研究手法のことで、各指標はその分析に用いられたり、研究の成果として生み出されたりしたものです。そのため、セイバーメトリクスと野球の指標は厳密には別物ですね。 -- 名無しさん (2026-11-01 13:41:41)
- 小松式ドネーション……。うっ頭が・・・・・・。 -- 名無しさん (2026-11-01 14:21:33)
- ↑KDはセイバー的な相関は知らないけど体感的な貢献度的にはめちゃくちゃしっくり来るから面白いんだよな…なんJのネタ指標だから入れて無いけど…ネタ有りで良いなら赤星式盗塁とか片岡式本塁打も -- 名無しさん (2026-11-01 14:29:21)
- 野球ってのはホントややこしい競技だなぁ……よく国民的スポーツ/娯楽になったもんだ(ミスターに思いをはせる) -- 名無しさん (2026-11-01 16:48:16)
- 赤星式盗塁はWikipediaに記事あるくらいだから、載せてしまってもいいかも -- 名無しさん (2026-11-01 17:46:40)
- ↑2こんなもん知らなくても中継や観戦楽しむぶんには何の悪影響も無いけどね -- 名無しさん (2026-11-01 18:18:57)
- ↑2ネタ指標も色々入れてみますわアニヲタwikiだし良いよね…?不適切なのは適宜消してもらえれば良いです。 -- 名無しさん (2026-11-01 18:20:15)
- ↑×2その「間口の広さ」が野球のいいところなんだろうな。 -- 名無しさん (2026-11-01 19:00:58)
- 3倍打点ニキもニッコリ -- 名無しさん (2026-11-01 19:50:51)
- 日ハムが昔、こういった数字で楽しみたい人向けに試合中の球場のビジョンにいろんな指標を並べて表示してた時期があった 球場まで足を運ぶ客層とは合わなかったのか今はやらなくなったけど -- 名無しさん (2026-11-01 22:52:27)
最終更新:2026年11月02日 08:59