SCP-4127

登録日:2019/09/19 (木曜日) 02:29:47
更新日:2024/03/06 Wed 14:52:18
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突然ですがコイントスをしてください。
(手元にコインがなかったら適当にどちらかを選んでも構いません。)




どちらが出ましたか?






























SCP-4127はシェアード・ワールドSCP Foundationに登場するオブジェクトである。
オブジェクトクラスNeutralized
メタタイトルは「か裏か」。

概要

SCP-4127は1936年製のアメリカの5セント硬貨だ。
本来は表にバッファロー・裏にネイティブアメリカンの顔が描かれているのだが、裏の絵柄がなぜか人間の頭蓋骨になっている。

その異常性は単純明快。こいつでコイントスをすると、常にが出るのだ。
…模範的Anomalousじゃね?とお思いだろうが、その通りこいつはAnomalous上がりのオブジェクト。つまりそれだけではなかったということ。

2006年、Anomalousアイテムの定期点検中。サイト-96の用務員エミリオ・ロドリゲスによって新たな異常性が見つかった。
何かというと、「コイントスで表/裏が出たら○○する」と言った直後にコイツでコイントスして予想した通りの面を当てると、それが実現してしまうのだ。
上述の通りコイツのコイントスはしか出ない。もはやコレは誰でも使える無制限の現実改変装置にも等しい。こんなのが一人の人間の元にあったら世界が大変である。
このオブジェクトは一体何を巻き起こし、そしてNeutralizedになったのか。以下がそれを示す記録である。

実験記録


言った内容、およびSCP-4127が出した面ごとに見ていく。

  • 「表が出たら、昇進する」
この因果的な異常性が発見されたきっかけとなる事例。
何の気なしにこう言って当時AnomalousだったSCP-4127を放ったロドリゲス用務員だったが、その直後サイト管理官オーガストのオフィスに呼び出され、「勤務態度が模範的なので昇進」と言われた。
彼は正直にもさっきのコイントスのことを話し、これによってSCP-4127が発見された。この誠実さを考慮して、この昇進はそのまま良しとなった。

  • 「表が出たら、続けて私の25セントで行うコイントスでは裏が出る」
ここからはSCPオブジェクトとしての(おそらく昇進したロドリゲス用務員による)実験記録。
25セント硬貨は裏を示した。

  • 「表が出たら、続けて私の25セントで10回行うコイントスでは全て裏が出る」
当然のごとく全部裏だった。

  • 「裏が出たら、続けて私の25セントで10回行うコイントスでは最低でも1回裏が出る」
10回のコイントスは全て表だった。
しかしこれには疑問が浮かぶ。このコインは表裏を当てたときだけその直後に言ったことを実現させるので、「裏が出たら~」と言って表が出た時点で10回のコイントスに影響が出る理由がないのだ。1024分の1なので偶然の線も薄いだろう。
原文でこうなのでミスの可能性はあるが、もしかしたらこのコインは「表裏が当たったら言ったことが実現する」つまり「言ったことが実現しなかったら表裏は当たっていない」を逆手にとって、「このコインはしか出ない」ということを言ったことを実現させないことで示したのかもしれない。
もっとシンプルに「表裏を当てられなかったらその直後に言ったことは実現しなくなる」という可能性もなくはないが。

  • 「表が出たら、私の25セントは常に裏が出るようになる」
Anomalousアイテム誕生のお知らせ。

二度とやるんじゃない。 — サイト管理官オーガスト

このせいか、次の実験から担当者が変わる。

  • 「表が出たら、5秒以内に電話がかかってくる」
ここからの実験はロジャース研究員が担当する。
この直後奥さんから電話がかかってきて、「学校に息子を迎えに行くのを忘れないでね」と言われた。

  • 「表が出たら、5秒以内にパブリッシャーズ・クリアリング・ハウス社の懸賞委員会から電話がかかってくる」
つまり「あなたが懸賞に当たりました」という電話が欲しくてこう言ったのだろう。私利私欲に走りだしているがいいのか。
なお実際は委員会のメンバーから間違い電話がかかってきた模様。

  • 「表が出たら、俺はクソリッチになる」
もっと直接的に金持ちになろうとしてきたが、実際はもっとひどいことになった。
この後、トイレの下水管が破裂してロジャース研究員の研究室が排泄物まみれになった。さらに彼の母親が雇った調査員から電話がかかってきて、「あなた生まれたときの名前はリッチャードだったみたいですよ」と言われた。
つまり彼はクソまみれのリッチャードになったわけだHAHAHA。

  • 「表が出たら、このコイントスで裏が出る」
SCP-4127の両面がになって、異常性がなくなってしまった。これをもってNeutralized認定。
これ以降SCP-4127は低危険度収容庫に実験禁止で保管されている。
こういうアノマリーにパラドックスを試すのは危険だというのがよく分かる。またここで彼の悪事が露呈。

異常存在を金銭的利益のために濫用した廉で、ロジャース研究員を用務員に降格とする。 — サイト管理官オーガスト

用務員と研究員が入れ替わった形になったが、善人に悪人が淘汰された形なので結果オーライかもしれない。SCP-4127は無力化したけど新しいAnomalousアイテムができてしまったので仕事は減らないけど。
ロジャース用務員も更生していつか研究員に戻れるといいね。

追記・修正はコイントスしてを出してからお願いします。






























SCP-4127はシェアード・ワールドSCP Foundationに登場するオブジェクトである。
オブジェクトクラスNeutralized
メタタイトルは「表かか」。

概要

SCP-4127は1922年製のアメリカの25セント硬貨だ。
本来は表に鷲・裏に自由の女神が描かれているのだが、裏の絵柄がなぜか人間の頭蓋骨になっている。

その異常性は単純明快。こいつでコイントスをすると、常にが出るのだ。
…模範的Anomalousじゃね?とお思いだろうが、その通りこいつはAnomalous上がりのオブジェクト。つまりそれだけではなかったということ。

2006年、Anomalousアイテムの定期点検中。サイト-96の用務員ウィリアム・ロジャースによって新たな異常性が見つかった。
何かというと、「コイントスで表/裏が出たら○○する」と言った直後にコイツでコイントスして予想した通りの面を当てると、それが実現してしまうのだ。
上述の通りコイツのコイントスはしか出ない。もはやコレは誰でも使える無制限の現実改変装置にも等しい。こんなのが一人の人間の元にあったら世界が大変である。
このオブジェクトは一体何を巻き起こし、そしてNeutralizedになったのか。以下がそれを示す記録である。

実験記録


言った内容、およびSCP-4127が出した面ごとに見ていく。

  • 「裏が出たら、昇進する」
この因果的な異常性が発見されたきっかけとなる事例。
何の気なしにこう言って当時AnomalousだったSCP-4127を放ったロジャース用務員だったが、その直後サイト管理官オーガストのオフィスに呼び出され、「勤務態度が模範的なので昇進」と言われた。
彼は正直にもさっきのコイントスのことを話し、これによってSCP-4127が発見された。この誠実さを考慮して、この昇進はそのまま良しとなった。

  • 「裏が出たら、続けて私の5セントで行うコイントスでは表が出る」
ここからはSCPオブジェクトとしての(おそらく昇進したロジャース用務員による)実験記録。
25セント硬貨は表を示した。

  • 「裏が出たら、続けて私の5セントで10回行うコイントスでは全て表が出る」
当然のごとく全部表だった。

  • 「表が出たら、続けて私の5セントで10回行うコイントスでは最低でも1回表が出る」
10回のコイントスは全て裏だった。
しかしこれには疑問が浮かぶ。このコインは表裏を当てたときだけその直後に言ったことを実現させるので、「表が出たら~」と言って裏が出た時点で10回のコイントスに影響が出る理由がないのだ。1024分の1なので偶然の線も薄いだろう。
原文でこうなのでミスの可能性はあるが、もしかしたらこのコインは「表裏が当たったら言ったことが実現する」つまり「言ったことが実現しなかったら表裏は当たっていない」を逆手にとって、「このコインはしか出ない」ということを言ったことを実現させないことで示したのかもしれない。
もっとシンプルに「表裏を当てられなかったらその直後に言ったことは実現しなくなる」という可能性もなくはないが。

  • 「裏が出たら、私の5セントは常に表が出るようになる」
Anomalousアイテム誕生のお知らせ。
二度とやるんじゃない。 — サイト管理官オーガスト
このせいか、次の実験から担当者が変わる。

  • 「裏が出たら、5秒以内に電話がかかってくる」
ここからの実験はロドリゲス研究員が担当する。
この直後奥さんから電話がかかってきて、「学校にを迎えに行くのを忘れないでね」と言われた。

  • 「裏が出たら、5秒以内にパブリッシャーズ・クリアリング・ハウス社の懸賞委員会から電話がかかってくる」
つまり「あなたが懸賞に当たりました」という電話が欲しくてこう言ったのだろう。私利私欲に走りだしているがいいのか。
なお実際は委員会のメンバーから間違い電話がかかってきた模様。

  • 「裏が出たら、俺はクソリッチになる」
もっと直接的に金持ちになろうとしてきたが、実際はもっとひどいことになった。
この後、トイレの下水管が破裂してロドリゲス研究員の研究室が排泄物まみれになった。さらに彼の父親が雇った調査員から電話がかかってきて、「あなた生まれたときの名前はリッチャードだったみたいですよ」と言われた。
つまり彼はクソまみれのリッチャードになったわけだHAHAHA。

  • 「裏が出たら、このコイントスで表が出る」
SCP-4127の両面がになって、異常性がなくなってしまった。これをもってNeutralized認定。
これ以降SCP-4127は低危険度収容庫に実験禁止で保管されている。
こういうアノマリーにパラドックスを試すのは危険だというのがよく分かる。またここで彼の悪事が露呈。

異常存在を金銭的利益のために濫用した廉で、ロドリゲス研究員を用務員に降格とする。 — サイト管理官オーガスト

用務員と研究員が入れ替わった形になったが、善人に悪人が淘汰された形なので結果オーライかもしれない。SCP-4127は無力化したけど新しいAnomalousアイテムができてしまったので仕事は減らないけど。
ロドリゲス研究員も更生していつか研究員に戻れるといいね。

追記・修正はコイントスしてを出してからお願いします。




















…さて。
このオブジェクトの元記事には仕掛けがある。ランダムで二つの記事のうちどちらかが表示されるのだ。
片方が上記「表しか出ない5セント」の記事、もう片方が上記「裏しか出ない25セント」の記事。つまりこの記事は読んだ時点で知らないうちにコイントスをしているようなものなのだ。これを再現するため、このような形を取らせてもらった。
以下では、この両方を踏まえて考察することにする。

考察

これら2記事はほとんど同じ話で、単体として見ればただ誠実な用務員が昇進して欲をかいた研究員が自滅するだけの笑い話。
だが、この二つを併せて見ると話が変わってくる。
登場する用務員と研究員の名前。SCP-4127であるコインの種類。異常性で出る面の方向。所々の対比される事柄。

考えられる可能性は三つ。
一つ、この二つの記事は奇妙なほどに対応しあった二つの異なる世界で起きたこと。
二つ、この二つの記事は同じ世界で2連続で起きたことだが、それ以上の対比された事柄はあくまで偶然であり意味はなかった。

しかし、上二つの可能性はメタ的に見ると弱い。根拠は元記事に付与されたタグ「ループ」。

三つ、この世界はこの2記事が互いに無限ループする状況に閉じ込められている。
実験記録の2番目から5番目は誰によって行われたか明記されていないため憶測を含むが、以下のようなことが延々と繰り返されている可能性がある。
  • ロドリゲス用務員がAnomalousアイテムの5セント硬貨の異常性を発見し、硬貨がSCP-4127に指定され昇進する。
  • ロドリゲス用務員→研究員が実験をし、新しいAnomalousアイテム25セント硬貨を生み出してしまう。
  • それを引き継いだロジャース研究員が私利私欲に走った末5セント硬貨SCP-4127を無力化してしまい、降格する。
  • ロジャース研究員→用務員二つ上で生み出されたAnomalousアイテム25セント硬貨の異常性を発見し、硬貨がSCP-4127に指定され昇進する。
  • ロジャース用務員→研究員が実験をし、新しいAnomalousアイテム5セント硬貨を生み出してしまう。
  • それを引き継いだロドリゲス研究員が私利私欲に走った末25セント硬貨SCP-4127を無力化してしまい、降格する。
  • ロドリゲス研究員→用務員二つ上で生み出されたAnomalousアイテム5セント硬貨の異常性を発見し、硬貨がSCP-4127に指定され昇進する。

この場合旧SCP-4127がどんどん増えていくし、硬貨のデザインの点がおかしいし、そもそも二人のどっちかか管理官が気付くだろう。
だがもし、それにすら気づけないとしたら?



この世界に未来は…?



追記・修正はこのコインの真の力を見抜いてからお願いします。

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最終更新:2024年03月06日 14:52