■■見るな、聞くな、言うな■■
誤謬の魔王デド・メディオ
共和国同盟のとある街の郊外にたたずむ、遺棄された修道院に存在する魔王。
その姿は──
「美しい女である」「浮腫まみれの青黒い肉塊である」「ねじれた虹色の柱である」「前衛的な絵画である」「獅子をベースとした巨大な怪獣である」「鉄の燭台である」
──見た者によってすべて異なる。
その能力は──
「触れずに人をねじ切ってしまう」「誘惑によって人を奴隷にする」「何もしないがひたすら硬い」「猛毒を撒き散らしている」「地水火風すべての属性の攻撃魔法を使い分ける」
──戦った者によってすべて異なる。
また、デド・メディオと遭遇した者、戦った者、調査のために修道院に赴いた者たちは、ことごとく──
「行方不明になった」「自殺した」「怪物に変貌し退治された」「発狂した」「嘘をついていたことがわかった」
──修道院から戻って以降、三週間以上の正常な生存が確認されたことはない。
共和国同盟のとある街の郊外にたたずむ、遺棄された修道院に存在する魔王。
その姿は──
「美しい女である」「浮腫まみれの青黒い肉塊である」「ねじれた虹色の柱である」「前衛的な絵画である」「獅子をベースとした巨大な怪獣である」「鉄の燭台である」
──見た者によってすべて異なる。
その能力は──
「触れずに人をねじ切ってしまう」「誘惑によって人を奴隷にする」「何もしないがひたすら硬い」「猛毒を撒き散らしている」「地水火風すべての属性の攻撃魔法を使い分ける」
──戦った者によってすべて異なる。
また、デド・メディオと遭遇した者、戦った者、調査のために修道院に赴いた者たちは、ことごとく──
「行方不明になった」「自殺した」「怪物に変貌し退治された」「発狂した」「嘘をついていたことがわかった」
──修道院から戻って以降、三週間以上の正常な生存が確認されたことはない。
〓〓〓説明〓〓〓
デド・メディオは、情報そのものに攻撃を乗せる性質を持つ魔王である。
それについての情報は、伝達のたびに間違いを生じる。言語、図画、彫刻、ジェスチャー、あらゆる方法で正しく伝えることができない。
また、正確な情報は、所持する時間が長ければ長いほど有害になる。
デド・メディオの正確な情報を持った者(デド・メディオと直接接触した者)は、やがて、デド・メディオに関する情報以外の事柄も、正しく伝えることができなくなる。
他者とのコミュニケーションが不可能になる、他者に外見を正しく認識されなくなる、他者に認識されなくなる──どうなるかはランダムだが、およそ三週間程度で、人間社会で生きていくことは不可能な状態になるようだ。
そうならないためには、個人でこの魔王を倒せばいいのか? と考える者もいるだろうが、修道院に突入した人々の中には腕利きの戦士も大勢いたはずなのに、彼らがデド・メディオを倒した様子はない。
物理的にもそれほど強いのか?
それとも──修道院にデド・メディオがいるということ自体が誤りなのか?
そこに何かがいるとしても、デド・メディオ本体ではなく、その能力だけなのかもしれない。
だとしたらどう倒せばいいのか? 謎である。
それについての情報は、伝達のたびに間違いを生じる。言語、図画、彫刻、ジェスチャー、あらゆる方法で正しく伝えることができない。
また、正確な情報は、所持する時間が長ければ長いほど有害になる。
デド・メディオの正確な情報を持った者(デド・メディオと直接接触した者)は、やがて、デド・メディオに関する情報以外の事柄も、正しく伝えることができなくなる。
他者とのコミュニケーションが不可能になる、他者に外見を正しく認識されなくなる、他者に認識されなくなる──どうなるかはランダムだが、およそ三週間程度で、人間社会で生きていくことは不可能な状態になるようだ。
そうならないためには、個人でこの魔王を倒せばいいのか? と考える者もいるだろうが、修道院に突入した人々の中には腕利きの戦士も大勢いたはずなのに、彼らがデド・メディオを倒した様子はない。
物理的にもそれほど強いのか?
それとも──修道院にデド・メディオがいるということ自体が誤りなのか?
そこに何かがいるとしても、デド・メディオ本体ではなく、その能力だけなのかもしれない。
だとしたらどう倒せばいいのか? 謎である。
〓〓〓追記〓〓〓
直接デド・メディオと接触せずとも、間違った無数の情報を分析することで推理し、真実にたどり着いた者も「デド・メディオの有害情報攻撃」の餌食になるようだ。
恐らくはその結果であろう、数人の優れた魔王研究者が何の前触れもなく失踪するという事件が、ここ50年で3回ほど起きている。
恐らくはその結果であろう、数人の優れた魔王研究者が何の前触れもなく失踪するという事件が、ここ50年で3回ほど起きている。