公衆浴場とガスペリ家 - アルカナアリアwiki

　ガスペリ家は共和国同盟で最も権力を持つ家の一つである。
だからこそ、所有物件には妙なものが存在した。

――大浴場。しかも温泉等ではなく湯を沸かすもの。
魔力や魔法の補助があるとはいえこの時代では湯船を張るだけでも重労働であるし、湯の交換一つ考えても手間暇かかるもの。
それを営利目的で所有して、実際に運用できるというのはガスペリ家に技術や権力、富など色々なものがある証左であった。

まあこのアルカナアリア世界、魔術を使えば浴場経営は案外楽である。
呪字魔術を使い、水と炎の魔法を組み合わせる。そうしたものを組み込めばお湯が出てくる……という具合だ。
またそれが出来ないなら蒸し風呂、つまり公衆浴場としてサウナを使ったりする。理由は単純、蒸し風呂にすることで湯船を張るよりも水を使わないからである。

ただ、ガスペリ家が持つのは只の公衆浴場でもなかった。
隣に宿が併設されていて、宿に泊まれば風呂代が安くなるのである。

ガスペリ家は共和国同盟で最も権力を持つ家の一つである。
だからこそ、所有物件には妙なものが存在した。

――大浴場。しかも温泉等ではなく湯を沸かすもの。
魔力や魔法の補助があるとはいえこの時代では湯船を張るだけでも重労働であるし、湯の交換一つ考えても手間暇かかるもの。
それを営利目的で所有して、実際に運用できるというのはガスペリ家に技術や権力、富など色々なものがある証左であった。

まあこのアルカナアリア世界、魔術を使えば浴場経営は案外楽である。
呪字魔術を使い、水と炎の魔法を組み合わせる。そうしたものを組み込めばお湯が出てくる……という具合だ。
またそれが出来ないなら蒸し風呂、つまり公衆浴場としてサウナを使ったりする。理由は単純、蒸し風呂にすることで湯船を張るよりも水を使わないからである。

ただ、ガスペリ家が持つのは只の公衆浴場でもなかった。
隣に宿が併設されていて、宿に泊まれば風呂代が安くなるのである。
つまり現代風に言うのであれば大浴場付きのホテルに近い。
公衆浴場に併設される宿は、多少なりともお金を持ってる一人前の冒険者や裕福な町人等の層向けの価格設定をしていて、最低限の客の質の確保も欠かさない。
また、宿も浴場も従業員の教育を怠らず何処でも同じ質のサービスを受けられる――

とまあここまで書けば「普通のことでは？」となるが、アルカナアリア世界では事情が些か異なる。
情報伝達速度が遅いこの時代、系列としてホテルと公衆浴場を複数建てるのは資本力だけでなく情報収集能力もいる。
勿論一軒一軒施設を作り、それを維持するなら可能だが。それを均質な教育を行い、ブランド化し、チェーン店にする。こればかりは自前で銀行すら運営できるガスペリ家の資本の暴力であった。

ただ、さしものガスペリ家であっても各地に支店や施設を置けるのは宿と銀行、商館くらいであり。その三つも西マジョリアくらいなのだが――

「主要都市の何処に行ってもある程度の質が保証された宿がある。この安心感は金になるわ。これを思い付いた先祖様々ね」

受益者であるリリアーナにとって、別段そのことは気にすることではなかった。

勿論一軒一軒施設を作り、それを維持するなら可能だが。それを均質な教育を行い、ブランド化し、チェーン店にする。
受益者であるリリアーナにとって、別段そのことは気にすることではなかった。