アイル人
水を愛し敬う種族
その遊泳速度は見た目を裏切らない

特徴
男性の平均身長は175cm、女性の平均身長は150cm(いずれもヒレを含まない)
女性は男性に比較して15%程度小柄である。
女性は男性に比較して15%程度小柄である。
外観的特徴
表皮は熱帯魚のような光沢のある細かい鱗に覆われている。手の指は4本、水掻きを持つ。拇指対向性があり握力、精密な動作ともによく発達している。足の指は3本で水掻きはないが、膝下に大きなヒレがある。水掻きとヒレは水に濡れると広がり乾くと縮む。衣類等でヒレや水掻きを圧迫しても痛みや激しい不快感はないが、やはり多少の窮屈さは感じるため柔らかくゆったりとした服装を好む傾向がある。
鱗の色は個人により様々であるが青みを帯びた緑色をしていることが多い。ヒレや瞳の色は鱗以上に個人差がある。鱗やヒレの色、またヒレの大きさや形は親から子へと受け継がれる。
一般に筋肉質で肩幅が広く、やや上肢が長い傾向がある。男性は特に肩幅に対して骨盤が小さい。鎖骨が外に向かうにつれ下に向いており所謂なで肩の状態となる。手足は平たく大きい。
ヒレは頭頂部、側頭部、喉、後頚部、肩、前腕、腸骨稜、下腿、足首の後ろ(アキレス腱のあたり)にあり、水に濡れた状態でそれそれのヒレがどの程度広がるかは個人差がある。泳ぐために有利なヒレほど広がりやすく、頭部や喉のヒレの大きさは殆ど変わらない。上図ではヒレは乾いた状態、水掻きは濡れた状態である。
ヒレは頭頂部、側頭部、喉、後頚部、肩、前腕、腸骨稜、下腿、足首の後ろ(アキレス腱のあたり)にあり、水に濡れた状態でそれそれのヒレがどの程度広がるかは個人差がある。泳ぐために有利なヒレほど広がりやすく、頭部や喉のヒレの大きさは殆ど変わらない。上図ではヒレは乾いた状態、水掻きは濡れた状態である。
側頭部のヒレのあたりに耳があるが見た目には殆ど分からない。歯は上下一列、鮫のように尖っている。
やや珍しいながら毛髪のあるアイル人も存在する。
やや珍しいながら毛髪のあるアイル人も存在する。
生殖と子育て
性交により体内で受精が行われる。妊娠期間は25週間前後。通常ひとつの卵を産み、卵は10~15週間ほどで孵化する。卵の大きさは平均して横幅10cm、長さ25cmほどになる。手に抱くと少し凹む軟らかな殻に覆われており、産卵後の卵は布や綿を敷いた籠の中に置かれる。赤ん坊は卵の中で大きくなり自力で殻を破って孵化する。卵が置かれた環境が暖かいほど早く孵化すると言われている。
孵化した赤ん坊は果物や粥をすり潰したものを食べて育つ。個人差はあるが生後6ヶ月程度で軟らかく煮て裏ごしした白身魚など動物性の食物も少しずつ摂取できるようになり、1歳頃には固形物を食べる。
孵化した赤ん坊は果物や粥をすり潰したものを食べて育つ。個人差はあるが生後6ヶ月程度で軟らかく煮て裏ごしした白身魚など動物性の食物も少しずつ摂取できるようになり、1歳頃には固形物を食べる。
アイル人の赤ん坊は卵の大きさ以上には大きくならないため出生自の平均身長は40cm前、平均体重は2500gと小さい。1歳頃には身長は70~80cmまで伸びる。男児と女児の体格に差が出るのは12歳頃(思春期)からで男児は特に身長が伸びヒレが大きくなる。
非常に稀ではあるが、双子の出生の記録もある。ひとつの卵から胎児がふたり生まれる一卵性双生児と産卵の時点で卵がふたつある二卵性双生児がある。一卵性双生児は通常の赤ん坊より体が小さくなるため身体が弱く育ちにくい。二卵性双生児は産卵時の母体への負担が大きい。
他の種族との生殖のも不可能ではないが特殊な例と言える。
性規範
アイル人の多くは性行為について非常に肯定的な考え方を持っており、性行為とは対等な関係における愛情表現のひとつと位置付けられている。未成年者の性的活動、未婚の男女または同性間の性行為についてもそれを否定し罰するべきとはしていない。ただし、これは無軌道で衝動的な性行為を容認、助長するものではなく、相手の人権の尊重、感染症や妊娠といった性行為に伴う責任や自己管理の重要性は親から子へと伝えられて然るべきものとされている。
複数の異性ないし同性と性的な関係を結ぶことは、未婚者に限り法的には制限されないが、推奨もされていない。これは感染症のリスク回避を含めて相手の人権の尊重に関わる道徳規範による。婚姻により夫婦となった者には法的にも貞操義務が生じる。スンビランの婚姻制度は男女にのみ適用されるが、同性愛者が殊更に、公に否定されることもない。聖職者の婚姻、異性同性に関わらず恋愛や性行為も禁止されていない。
性行為そのものは忌避、または厳格に秘匿すべきものではないが、故意に第三者の目に触れる場所や時間を選ぶなどして公然と行えば刑法により罰せられる。とはいえ、たとえ住宅内であっても完全に第三者の目に触れない場が存在しないケースが多い地方の住宅事情や、まったく人気のない熱帯雨林が多い環境から屋外での性行為は決して珍しくはなく、偶然にそれを目撃してしまった場合には気付かれないよう静かに立ち去るのが礼儀である。
民族衣装
長さ2~3mの布を巻いて身につけるパンジャンや三角形に折った布を前掛けのように結ぶセギティガ等、アイル人の民族衣装の基本は『巻くだけ』である。タリーと呼ばれる10~20cm幅の帯をパンジャンの上から締めることもある。タリーはパンジャンを留める目的の他に物を挟んだり包んだりとポケットのように使われる。
普段着としての民族衣装
薄手の木綿地の布は熱帯の気候に適して涼しく機能的なため、現代でも多くの人々が身につけている。パンジャンは布の巻き方、結び方、ひだの作り方、模様の見せ方に個人の趣味が表れる。セギティガは最も簡素な普段着で労働する男性または子供の服装とされており思春期以降の女性が身につけることは殆どない。タリーを着けると多少改まった雰囲気になる。
パウス山脈付近の冷涼な土地に暮らす人々を除いてアイル人には元々上半身に衣類を身につける習慣がない。性器以外の肌の露出はタブー視されず、女性についても胸を隠すべきとはされない。農村・漁村では特に殆ど裸のような姿の住民の姿が見られる。しかし、外国人の多い首都ストゥンガでは若者を中心に柔らかくゆったりとしたシャツなどを身につける人が増えている。
靴を履く習慣も冷涼地を除いて一般的ではなかった。現在一般に流通している靴とは木で作られた下駄のようなもので、専らお洒落を楽しむ目的で着用されている。裸足で外出するのは普通のことであり、繁華街や役所のような場所でも裸足で歩いている人は珍しくない。
礼装としての民族衣装
礼装としてのパンジャンとタリーは絹を用いる。上半身が裸でも本来何も問題はないが、外国人が多く出席する場や国際的な会談などではパンジャンに合わせた布で上着を誂えることが多い。パンジャンの幅は1m以上で、足首まで隠れるように身につける。後述する礼装用の靴に合わせて足より長く巻く場合もある。
成人したアイル人は礼装にガムランベルという直径3cmほどの鈴をつける。紐をつけてタリーに絡ませる、腕に巻く、首から下げるなど、ガムランベルのつけ方は様々あるが、帯を含めて上半身につけるべきとされており下半身にはつけない。また、複数のガムランベルを同時につけることもしない。ガムランベルはかつては男性用の装身具であり、成人男性が改まった場においてガムランベルをつけないことは非常識とされている。現代では女性もガムランベルを身につけているが、男性ほど絶対視はされていない。
礼装用の靴は5cm以上のヒールがある木製のサンダル様のもので、靴底の高さによっては履くと8cmほど背が高くなる。ヒールの上限は特に定められていないが、あまり極端なものは品がないとされる。男性女性の区別なく踵の高い靴を履くことには走らない、暴れないという意思表示の意味があり、内乱の時代から他部族同士の会談の場などで戦意がないことを示すために用いられてきた。
この歴史に因んで、スンビラン協和議会の議員は議員としての活動時には踵の高い靴を履く。尚、議員の服装が絹のパンジャンである必要はない。
この歴史に因んで、スンビラン協和議会の議員は議員としての活動時には踵の高い靴を履く。尚、議員の服装が絹のパンジャンである必要はない。
冷涼地の毛織物と靴
パウス山脈付近の冷涼な土地では厚手の木綿地の布を主に用いるが、パウス州の高地の年間平均気温は20℃ほどで、山脈から吹き下りる風で体感温度は更に下がることも多い。このため山羊の毛を紡いだ糸で織った布を巻いて寒さをしのぐ。この毛織物は大きさ、形状を問わずハンガットと呼ばれる。冷涼地であってもアイル人の民族衣装の基本は『巻くだけ』である。
パウス州では革製の靴を履く習慣がある。ヒレを圧迫しないように踵はなく、冷える場合には足首に布を巻くなどする。国内の他の地域に比較して靴の着用が身近ではあるが裸足で過ごすことも多く、寒いときに履くという位置づけとなっている。
聖職者の衣装と装身具
聖職者であるプサランは木製の球形のビーズを数珠のように90個つないだボラと、ガムランと呼ばれる小さな鍵盤打楽器(鉄琴)を持っている。ボラのビーズの直径は2cm前後で両端にふさがついている。輪にはなっておらず、長さ2mほどのそれを首に巻いている。ボラはプサランであることの目印になっており、プサランは常にボラを身につけている。
ガムランは大きさの違う9枚の青銅の板を並べたもので木製のマレットで叩いて音を出す。それぞれの音と音を鳴らす順番に意味があり、プサランはガムランの音色を海神オースームに捧げる。祈祷にはガムランの音が不可欠となっている。ガムランを携行する際にはマレットとともに腰に下げるが、ガムランは常に携行を求められるものではない。
ガムランは大きさの違う9枚の青銅の板を並べたもので木製のマレットで叩いて音を出す。それぞれの音と音を鳴らす順番に意味があり、プサランはガムランの音色を海神オースームに捧げる。祈祷にはガムランの音が不可欠となっている。ガムランを携行する際にはマレットとともに腰に下げるが、ガムランは常に携行を求められるものではない。
プサランの服装に特に決まりごとはないが、パンジャンの色や模様は華美なものを避ける傾向がある。
成人の装身具であるガムランベルはプサランのガムランの音を模していることから名前が付けられている。ガムランの音色は祈祷であり祝福であることからガムランベルは縁起の良いものとして贈り物に好まれる。
アイル人の名前
アイル人の名前は 個人名+部族名+家族名 で構成される。
部族名は改まった場や公文書などで用いるのみで普段は省略される。
子供は母親の部族名と家族名を受け継ぐ。
部族名は改まった場や公文書などで用いるのみで普段は省略される。
子供は母親の部族名と家族名を受け継ぐ。
名付け
個人名は空や植物など自然物(*グーグル翻訳で出てくる程度のインドネシア語)から取ることが多いが、魚は「神から与えられた糧」と考えられるため名づけに用いられることは殆どない。男性名・女性名の明確な区別はなく、名前から男女を判別することは困難である。
家族名はグラングラン、ボナボナなど2~3音節を2回繰り返す。これは「人々」や「山々」など繰り返すことで複数を意味するようになる畳語のようなもので、例えば「ボナボナ」とは「ボナ家の人々」を意味する。家族名の原型は所属する家族を明らかにするための集落内での記号のようなものだったことから言葉としての意味は重要視されず、出身地や出身部族にまつわる規則性もないとされる。
婚姻と家族名
夫婦の間に生まれた子供は母親の部族名と家族名を受け継いで名乗る。婚姻によって夫が妻の部族名と家族名を名乗ることはなく、夫婦は別姓となる。たいていの場合、夫は妻の共同体(集落や家族)に寄り添って生活する。集落や家族の中の支配権は男性(妻の父親など)が持っていることが多く、夫は妻の家の若い働き手、また将来の導き手として参加する形になる。しかし、現代では若い夫婦とその子供のみの世帯も増えている。
通過儀礼と冠婚葬祭
初水の儀式
生後30日前後の水曜日に赤ん坊を初めて海や川の水に浸ける儀式。プサランの祈りを受けた赤ん坊を仰向けにして水面から顔だけが出るように水に浸す。海や川の水に浸すことで授かった赤ん坊が元気に育っていることを示し、神たる海と水を敬うことを誓う。儀式の最中は原則として父親が赤ん坊を抱く。この儀式までは赤ん坊が海や川の水に直接触れることは避けるべきとされる。
生後30日前後の水曜日に赤ん坊を初めて海や川の水に浸ける儀式。プサランの祈りを受けた赤ん坊を仰向けにして水面から顔だけが出るように水に浸す。海や川の水に浸すことで授かった赤ん坊が元気に育っていることを示し、神たる海と水を敬うことを誓う。儀式の最中は原則として父親が赤ん坊を抱く。この儀式までは赤ん坊が海や川の水に直接触れることは避けるべきとされる。
出漁式
9歳になった年に海や川に90秒間潜る。元々は素潜り漁で魚を獲ってきて一人前という男児が成人と認められるための通過儀礼だったものが子供が健康に育っていることを水の中に示して祝う行事となった。必ずプサランが立ち合い、子供はプサランのボラの端を握って水中に潜る。プサランは砂時計で90秒を計り、砂が落ちきったら首飾りを引いて子供に水から上がるように促し、ガムランの音色を神に捧げ子供がこの先も健やかに育つよう祈る。出漁式を祝う食事ではタコを食べることが通例となっている。
アイル人の子供にとって90秒間の潜水は難しいことではないが、途中で水面に顔を出してしまうと決まりの悪い思いをするため出漁式を迎える子供たちは潜水の練習をする。
9歳になった年に海や川に90秒間潜る。元々は素潜り漁で魚を獲ってきて一人前という男児が成人と認められるための通過儀礼だったものが子供が健康に育っていることを水の中に示して祝う行事となった。必ずプサランが立ち合い、子供はプサランのボラの端を握って水中に潜る。プサランは砂時計で90秒を計り、砂が落ちきったら首飾りを引いて子供に水から上がるように促し、ガムランの音色を神に捧げ子供がこの先も健やかに育つよう祈る。出漁式を祝う食事ではタコを食べることが通例となっている。
アイル人の子供にとって90秒間の潜水は難しいことではないが、途中で水面に顔を出してしまうと決まりの悪い思いをするため出漁式を迎える子供たちは潜水の練習をする。
成人
スンビラン共和国は法律上18歳で成人と見做される。現代では前述の出漁式の原型のような通過儀礼は行われておらず、18歳の誕生日を節目として特に祝うのみである。成人の祝いには親族からガムランベルが贈られることが多い。男女ともに18歳以上で婚姻が認められる。
スンビラン共和国は法律上18歳で成人と見做される。現代では前述の出漁式の原型のような通過儀礼は行われておらず、18歳の誕生日を節目として特に祝うのみである。成人の祝いには親族からガムランベルが贈られることが多い。男女ともに18歳以上で婚姻が認められる。
結婚式
新郎新婦ともに絹のパンジャンとタリーを着用する。布の色や模様に決まりはない。明るい色の大きな花輪や花冠をつける。たいていは妻の住む地域のテナン(教会に当たる)でプサランの祈祷を受け、夫婦が水のように交わり滞らず清らかであることを誓う。結婚式は親族や友人を大勢招き、料理と酒を振る舞って祝う。参列者の服装は普段着でよい。
新郎新婦ともに絹のパンジャンとタリーを着用する。布の色や模様に決まりはない。明るい色の大きな花輪や花冠をつける。たいていは妻の住む地域のテナン(教会に当たる)でプサランの祈祷を受け、夫婦が水のように交わり滞らず清らかであることを誓う。結婚式は親族や友人を大勢招き、料理と酒を振る舞って祝う。参列者の服装は普段着でよい。
葬儀
遺体は火葬して砕かれ、その灰を海にまく。プサランの手により「最後の水」と呼ばれる極々少量の水を遺体の口に含ませ、テナンの裏手にある火葬用の窯で焼く。火葬には3~4時間を要し、その間に故人を偲んで盛大な宴を催す。火葬が終了するころには喪主を含め親族や弔問客に酔いが回っているため散骨は別日に近い家族のみで行うことが多い。故人との別れは悲しむべきものであり、子供や若者の死は特に嘆かれるが、大いなる神(海)に交わり漂うならば心を込めて送り出そうという気持ちも強く、アイル人の葬式は明るい。
遺体は火葬して砕かれ、その灰を海にまく。プサランの手により「最後の水」と呼ばれる極々少量の水を遺体の口に含ませ、テナンの裏手にある火葬用の窯で焼く。火葬には3~4時間を要し、その間に故人を偲んで盛大な宴を催す。火葬が終了するころには喪主を含め親族や弔問客に酔いが回っているため散骨は別日に近い家族のみで行うことが多い。故人との別れは悲しむべきものであり、子供や若者の死は特に嘆かれるが、大いなる神(海)に交わり漂うならば心を込めて送り出そうという気持ちも強く、アイル人の葬式は明るい。
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