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スンビラン共和国

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kenja

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スンビラン共和国(Sembilan Republic)

魚に似た特徴を持つ人外の国
技術水準は概ね19世紀相当
現地の神が篤く信仰されているが、宗教的儀式によって神を顕現させることは一般的ではない

  この国の歴史における詳しい経過年数、内乱期の勢力分布などは設定しません。
  人口、地理的距離、経済、軍備などについても同じく具体的な数値は設定しません。
  明示された設定や他の国の情報と大きく矛盾しない範囲で楽しく捏造してください。

國の統治機構や政治など

概要

エウロペア大陸南部に位置する共和制国家。首都はストゥンガ。
グリタ半島とルンプットラウト島を領域とする。国土の大部分がエウロペア洋に面しており、南方の海域をオースーム海、北方の海域をクジャン海と呼んでいる。内陸の国境はパウス山脈(*アイル人がそう呼んでいるだけなので隣国は別称を用いるとかして頂いてOK、政府発足以前に外国の介入がなかった理由にできそうなので平ぺったくて高い険しい山にしたい)である。

かつては9つの部族が覇権を争い内乱状態にあったがヒタム族が国土を統一して諸外国から人材や技術を積極的に招き入れ、技術的援助の見返りとしてストゥンガの港を補給地として解放、近代的な法制度を整備しスンビラン共和政府を発足させた。
スンビランとはアイル人の古い言葉で『9』を意味する。9部族の平等と平和を掲げ、これをもって国是としている。
政治、職業、婚姻等において特定の部族を優遇または差別することはスンビラン法典によって禁止されている。現代では混血が進み部族同士の対立は殆ど見られないが、政府発足の前後にヒタム族が中心となって推し進めた外国人の受け入れについては未だに懐疑的な意見も根強く、北部ほど排他的性格が強い傾向にある。

スンビラン共和国は比較的若い国家であるが、グリタ半島及びルンプットラウト島におけるアイル人の歴史は太古の昔にまで遡ることができる。国内の至るところに様々な時代の遺跡が確認されている。


9つの州から構成され、基礎自治体として郡が置かれる。
郡内には軍事・商業施設などを中心に栄える比較的規模の大きな街や数十世帯が暮らすのみの小さな村が存在するが、いずれも法人格を持たない地理上の区域となる。

グリタ半島とルンプットラウト島を隔てるサルデン海峡は、スンビランの平和と秩序または安全を害しないこと、継続的かつ迅速な通過を行うこと、国旗の掲揚、潜水艦は海面上を航行(浮上)することを条件として外国船舶の航行が認められている。しかし、サルデン海峡は大陸棚の上にあり水深30mと浅く、クジャン海の暗礁の多さからも大型船は特に航行に困難を伴う。また、オースーム海側は気象の変化が著しいことからスコールによる視界不良も多い。海峡の監視にはスンビラン海軍海上保安隊が当たり、海中についても兵士が巡回している。

 関連ページ
  ストゥンガ
  パネェ
  ディンギン 
  カパス
  チャミラン
  アイル人についての詳細

政治

政治体制は議院内閣制(二院制)を採用しており、スンビラン主席宰相(以下首相)と首相に指名された国務大臣によって構成される内閣が行政を担当する。首相はスンビラン共和議会議員から任命され、事実上代議院において多数勢力を占める政党の党首が就任することになる。
半ば形式的なものとなってはいるが両院とも議員は9部族から同数を選出することが定められており、議席数は9の倍数となる。

 上院(元老院) 被選挙権は30歳以上、任期5年、153議席
 下院(代議院) 被選挙権は25歳以上、任期3年、306議席

選挙権は18歳以上の国民に平等に与えられる。公職選挙は全て民選である。
選挙は普通選挙、平等選挙、直接選挙、秘密投票、自由投票であることがスンビラン法典により保障されている。

公共設備

電気 水力発電が行われ電気自体は普及している。
   一般家庭の照明は魚油のランプが多い。都市部の大通りには街灯もあるが、脇道は暗い。
水道 都市部では水道が普及している。地域によっては生活用水を井戸から汲み上げている集落もある。
   上水道設備より下水道設備が充実しており、生活排水等の汚水は各自治体の下水処理施設で処理される。
通信 各都市に電話交換局が置かれているが、電話機が設置されているのは公共施設のみで一般には普及していない。
   軍部は専ら無線通信に頼る。また、洋上では軍民を問わず電鍵やライトを用いたモールス通信が主流となっている。
   一般的な通信手段は主に郵便、急を要する場合には電報が用いられる。電報局は電話交換局が兼ねる。

公共設備とはやや異なるが、情報の発信源としてラジオ放送がある。公共放送の他にも民間のラジオ局が開設されており国民の重要な娯楽ともなっている。全てのラジオ放送は電波塔の普及の関係で所謂ローカル放送となるが、国営に近いスンビラン放送協会による放送は同一の番組を各地域の支局で放送するため全国的に聴取が可能。
ラジオと同様に新聞も各自治体や民間の新聞社から発行されている。

交通

道路が整備された市街地では自転車が多く見られる。
陸上の公共交通機関としては乗合シャンタクがある。シャンタクとはルンプットラウト島原産の鳥類で、飛ぶことはできないが強靭な脚力を有し古くから乗用や運搬に用いられている。乗合シャンタクは4頭の大型のシャンタクに車両を引かせたものである。一定の路線を時刻表にしたがって運行する。都市間を運行する乗合シャンタクは長距離シャンタクと呼ばれ区別される。
シャンタクに騎乗するには免許を取得する必要がある。また、乗用の際には鞍や手綱を装着することが義務付けられている。

シャンタク免許の種類
 ・ 普通シャンタク免許 比較的小型なキャンティ種シャンタクの騎乗に必要
 ・ 大型シャンタク免許 運送用の荷車の牽引に用いる大型のチャパット種シャンタクの騎乗に必要
 ・ 特殊シャンタク免許 軍用シャンタクの騎乗に必要、士官学校の必修科目となっている
 ・ 第二種シャンタク免許 キャンティ種シャンタクが引く車に乗客を乗せ営業するために必要
 ・ 第二種大型シャンタク免許 乗合シャンタク及び長距離シャンタクの運用に必要

シャンタクの他にも手漕ぎの漁船以外の船舶を航行させるには免許が必要である。

産業

農業 全国的に稲作が盛んである。北サレム州でのみもち米が栽培されている。
   その他の主要農作物はバナナ、パパイヤ、ジュルック(ブンタン)、ココヤシ、キャッサバ、サトウキビ。
   食用のもの以外では綿花、ゴム、アブラヤシが挙げられる。
漁業 マグロ、カツオ、アジ、タイ、エビ、カニの水揚量が多く、甲殻類や貝類は養殖も行っている。
   淡水魚ではナマズ、ウナギ、コイ等が漁獲される。
畜産 山羊の飼育が盛んで、肉、乳、毛織物など用途は様々ある。
   卵を取るための鶏や家鴨、乗用や運搬のためのシャンタクを繁殖させている牧場もある。
鉱業 石炭、銅、錫が産出される。
工業 食品工業、繊維業、窯業、造船業が盛ん。
   特に伝統的なろうけつ染めの織物と青磁色の素朴な風合いの陶器は特産品として輸出されている。

言語

公用語はスンビラン語と世界共通語。共通語については小学校で履修する。
スンビラン語とは9部族それぞれの言葉をヒタム族の言語を中心に整備したもので、スンビラン共和政府発足後に第一公用語として制定された。9部族の言葉の文法は殆ど同一で語彙も似通っており、意思の疎通には支障がなかったものの、繊細な表現の差異による混乱がしばしば生じたため統一されることとなった。9部族それぞれの言葉は現代も地方言語として残っている。

気候

年間を通して高温多湿、熱帯雨林が形成される。南岸部は特に降雨量が多い。強風や雷を伴う局地的で激しい降水が頻繁に見られるが、長くて30分ほどで降り止むのが通常である。
パウス山脈近辺の地域は標高が高くなるほどに平均気温は下がる。山頂付近の年間平均気温は10℃を下回る。

主に7月から8月にかけて、スンビラン近海で発生する熱帯低気圧に南方からの寒波が巻き込まれて雹や霙を伴う嵐が発生することがある。船舶の航行や漁獲量に深刻な影響を与える冷たい嵐は古くからイトハカと呼ばれる。嵐は海上で発生するが、特にスンビラン南部は嵐の暴風域に含まれるため農作物に被害が及ぶこともある。小さな子供を叱るときには「悪い子はイトハカに連れて行かれる」などと言うほどに、イトハカはアイル人にとっての身近な脅威として恐れられている。

オースーム海は突発的な風雨は多いものの波は穏やかで、東から西に緩やかに流れる。この穏やかな海流をオースーム海流と呼ぶ。クジャン海は潮の流れが速く、暗礁も多いため航海の難所とされるが、オースーム海と比較して降雨は少ない。

暦や単位など

暦・時間

惑星歴、世界標準時間に準拠する
古くは月の満ち欠け、太陽の動き、潮汐で日時を表していた。
北部には太陽の動きに合わせ生活している集落も少数ながら存在する

祝祭日など

国民の休日 水曜日 水曜日は神に感謝して水に漂う日なので原則として仕事はしない
元日 1月1日 改暦休暇として12月29日から翌1月3日までは多くの企業、店舗が休業する
建国記念日 8月8日 北部の集落によっては住民が殺気立つ

感謝祭
水と雨と食べ物に感謝する祭り。9月から10月にかけてスンビラン各地で催される。
聖職者によるガムランの演奏とともに野菜や果物、米などを積み上げた車、魚の形を模した色鮮やかな花飾り車を引くパレード行われ、車を引くシャンタクも花で飾られる。感謝祭の開催日は自治体ごとに違い、特に盛大で毎年多くの人々が参加する首都ストゥンガの感謝祭は10月の第2水曜日に開催される。
感謝祭ではタカナンタカナンというイベントが行われ人気を集めている。タカナンタカナンは海上に浮かべた約5m四方の筏に乗った複数人が海に落としあって勝ち負けを競い、最後まで筏に残ったものは「自らの意思で海に飛び込む」という栄誉を得る。競技人数は筏が沈まなければよいというだけで特に規定はない。感謝祭では予選を勝ち抜いた10名前後で争われる。海に落ちた、または飛び込んだ後は自力で岸まで帰るのが作法である。

単位

長さと質量はメートル法に準拠する
通貨はマルとドロン 、100ドロン=1マル、1マルは100円程度
硬貨は1、10、50ドロン、1マルでいずれも青銅製、紙幣は5、10、50、100マル

在住種族

主なもの

スンビランの住民の殆どはアイル人である。アイル人についての詳細
ヒレや全身を覆う鱗といった魚に似た特徴を持つ種族で、太古よりグリタ半島及びルンプットラウト島で生活している。9つの部族に別れており代々母親の部族名を名乗るが、現代では混血が進み、特に都市部では部族ごとの意識は薄れている。外国人はしばしばスンビラン人という呼称を用いるが人種としてはアイル人(アイル人種)である。

母方の部族名を引き継ぐ母系制ではあるが、集落や家庭の政治的な支配権は男性が持つ場合が多い。男性は力強い働き手、女性は部族の血を繋ぐ存在であるとして男女の役割が明確に別けられた生活様式が一般的である。伝統的に戦や漁といった外に出ていく仕事を男性が、家事や耕作のような集落や家屋に比較的近いところでの仕事を女性が担当する。現代においてもこの傾向は変わらないが、元よりこのような役割分担は男女の優劣ではなく適性によるものとされている。基本的に男女は同権であり女性の就学や就労が制限されることはない。近年では女性政治家や女性兵士の姿も見られるようになった。

アイル人9部族と掲げる旗の色
 ・ ヒタム族 (黒)
 ・ プティ族 (白)
 ・ アブアブ族 (灰色)
 ・ メラ族 (赤)
 ・ クゥニン族 (黄色)
 ・ ヒジョ族 (緑)
 ・ ビル族 (青)
 ・ ウングゥ族 (紫)
 ・ オラニュ族 (橙色)

多くのアイル人は非常に穏やかな性質を持つ。自分たちの領域を侵されることを嫌うが外部に対して自分たちの様式を強要することはしない。自分たちの文化や生活習慣を重視する一方で異邦の地にあっては極力現地の様式に従おうと努める。ただし、海や水を汚すことについては殊の外敏感であり、敵と見做したものに対しては極端に攻撃的になる傾向がある。

少ないが在住している種族

人口に占める割合としては少ないが、外国人労働者や貿易関係者、外国船の乗組員等あらゆる他民族の姿を見ることができる。入国管理法により外国人の居住・滞在が認められているのは原則として首都ストゥンガのみである。

民族と国際化

前例は非常に少ないが外国人とアイル人の婚姻は認められている。しかし、現状として外国人はスンビラン国籍を取得することはできないため、夫婦がスンビランで生活することを望む場合にはストゥンガに居住するか、外国籍の配偶者がストゥンガに留まり夫婦別居とするしかない。現在においては稀有な例であるが、将来的に国際結婚が一般化することがあればストゥンガへの人口の集中が加速し生活環境や自然環境が悪化することが懸念されている。このためストゥンガ以外の地域も諸外国に開放するべきとの声もある。

現在、ストゥンガ以外の地域を外国人に解放することについては、外国人の居留をストゥンガに限定している現状を維持するべきという意見が大勢を占めている。将来的には外国人の受け入れを拡大する必要があるという主張もあるが、あまりに急速な変化はスンビランの自然環境を破壊しかねないという点から、また地域住民の意見を取り入れる必要もあることから慎重な対応が求められるともしており実質として現状維持派に近い立場に止まっている。
外国人の受け入れ拡大とともに国内に多く現存する遺跡を観光資源として利用する提案もあるが、やはり環境保護と地域住民の理解を優先させるべきとの意見が強く開発には消極的である。

入国管理法の例外

入国管理法による外国人の立ち入り規制の例外として国賓等の国が認めた者による視察、国際的機関による動植物や地質の調査がある。視察および調査には必ず外務省職員と現地人のガイドが同行する。また、この他に企業や教育機関の技術指導者等の滞在が認められている例もある。必要により外国人がストゥンガ以外の地域に滞在する場合には入国管理局で地方滞在申請の手続きを済ませ、更に滞在する州において到着の手続きを行う必要がある。到着の手続きが滞れば不法入国と見做される。滞在を許可する期間などは厳密に定められており許可された州から他の州に移動することはできない。地方滞在中の外国人は定期的に役所にて所在確認を求められる。

治安

法律

憲法、民法、商法、刑法、民事訴訟法、刑事訴訟法をまとめたスンビラン法典の他、洋上交通法や漁業基準法などの多くの法律が整備されている。司法権の行使は裁判所が担う。

死刑制度あり。有期懲役は原則として最長20年だが、複数の犯罪を犯して刑が加重される場合の上限は設けられていない。懲役刑に仮釈放制度はないため、仮に刑期が50年とされれば事実上の終身刑となることもある。受刑者は刑務所敷地内の農園や縫製工場などで作業することが刑法により定められている。

入国管理法
北部ほど外国人の受け入れについて懐疑的で排他的な傾向があり、スンビラン政府は国際的な摩擦を避けるため外国人の居住や滞在を原則としてストゥンガのみに限定している。ストゥンガから他の都市に向かう街道には関門があり外国人の通行は厳しく規制されているが、何処かしらの沿岸等から密かに出入りすることは比較的容易である。また、実際にストゥンガ以外の地域であっても外国人だというだけで直接の危害を加えることは多くはない。中には金銭を受け取り外国人の通行を手引きする者もいる。

犯罪を取り締まる機構

警察、消防、海上保安、国土の防衛は全てスンビラン国防軍の管轄となっている。
スンビラン国防軍とは海軍、陸軍からなる軍事組織の総称である。警察隊、消防隊につては郡ごとに駐屯施設が置かれている。ストゥンガ以外の地域での外国人の被災、犯罪被害については目撃・通報があれば対応するが、救助された外国人はそのまま入国管理局に身柄を拘束される。多くの場合罰金を請求された上で本国に強制送還となる。

スンビラン海軍 主にスンビラン領海内で活動し、スンビランの防衛と海上の秩序の維持を主任務とする
        士官には儀礼用の短剣として刃渡り20cmほどのクリスナイフが与えられる

  ・国防艦隊  直接侵略及び間接侵略に対抗しスンビランを防衛する。滑空隊を含む。
  ・海上保安隊 違法行為への対応、海難救助、海上交通整理などを行う。海上の警察隊にあたる。

スンビラン陸軍 主にスンビラン本土で活動し、スンビランの防衛と公共の秩序の維持を主任務とする
        士官には儀礼用として刃渡り15cmほどのカランビットナイフが与えられる

  ・国境警備隊 国境線を巡視して不法出入国企図者の侵入逃走防止や密輸の阻止を行う。
  ・警察隊   犯罪の防止、取り締まりや捜査を行い社会の安全や治安を維持する。
  ・消防隊   火災現場での消火活動と要救助者の救助、また交通事故や災害時の捜索救助を行う。

犯罪組織など

小型の商船や漁船を狙う海賊が出没することがあり、これは海軍の海上保安隊が巡回、取り締りを行っている。
北部には外国人排斥と称して侵入した(たとえ正式な手順で入国していたとしてもストゥンガ以外の地域に侵入すれば不法滞在者扱いとなる)外国人を殺害する過激派が存在すると言われている。一方で外国人の侵入を手引きして金銭を得ようとする者もあり、いずれも各地方警察隊が取り締まりを担当する。

不法入国の問題

アイル人の古い伝承に「洞穴を進め、沼の底に光り輝く川がある」という言葉がある。これをハイドライトの鉱脈を指すものと解釈して探し求める冒険家が不法入国(不法滞在)することがある。ハイドライトとは石とも金属ともつかない光沢を放つ水のように透き通った青白い鉱物であるとの記述が古代の石碑に残るが、その石碑の他に確たる採掘の記録は残っていない。また、沼とは後述するアイル人の信仰「ラーワ」の語源であり、一般にこの太古からの伝承は宗教的または道徳的戒めの言葉とされている。しかし、国内に多く存在する遺跡でハイドライトを用いたと思われる(状態は良くないものの青白い輝きを宿しているように見える)幾つかの宝飾品が見つかっていることから全く信憑性のない話とも言いきれないとの見方もある。真偽のほどは定かではないが、いずれにしても外国人のストゥンガ以外への立ち入りが禁止されている以上外国人による探索や調査は違法行為である。
この他にも観光目的等の軽い気持ちでストゥンガの外へ出ようとした外国人が摘発される事件が年間に数件発生している。

国際関係

カルブ公国
スンビラン共和国成立以前、海路にて南下してきたルベルク族バフラの民とアイル人の漁師が洋上にて物々交換をするなどの交流があった。バフラの民がグリタ半島本土に上陸することはなく、取引は全て洋上で行われていた。年代等についての詳しい資料は現存せず、スンビラン共和国の成立後に改めて国際的な関係を築くこととなったが、寿命の長い種族であるルベルク族がアイル人との交流を記憶していたことから始まり、以前より洋上での取引があったことが次第に明らかになった。現在、カルブ公国とスンビラン共和国は非常に良好な関係を築いていると言える。また、両国間では国家安全保障と領土保全を目的とした相互防衛条約を締結している。

呀族自治区
エウロペア大陸に所属する殆どの国で合意されている伏族を保護する協定にスンビラン共和国も合意している。これは入国管理法による外国人の滞在制限の例外となっている。しかし、この協定への合意については当初スンビラン共和国は難色を示しており、スンビラン協和議会で長らく議論の的となっていた。結果としてスンビラン政府はこの協定に合意したが、国土の北部ほど外国人の受け入れについて否定的な意見が根強くそれについて格別の保護を確約することは困難であること、また、あくまで国内法の例外として受け入れているということを強調している。とはいえ、伏族と送り手の知識や技術に助けられることも事実であり、現代に至るまで伏族と地域住民の間に大きな諍いが生じたという話は聞かれていない。

フレイア王国
フレイア王国とスンビラン共和国では自由貿易協定をめぐる交渉が続けられている。現在、スンビラン共和国はフレイア王国から小麦を中心とした農産品、乳製品、酒類を輸入し、一方でカツオやマグロなどの多くの海産物をフレイア王国に輸出している。この協定はこれらの物品にかかる税の撤廃・削減についてに加え、造船業を含む各産業の分野での人の移動、知的財産権の保護、投資、競争政策など様々な協力が盛り込まれている。外国人の受け入れを首都のみに限定しているスンビラン共和国の現状としても協定の詳細決定には殊更に慎重にならざるを得ず、両国が交渉開始に合意して以降幾度もの交渉会合が開催されたが、未だに大筋での合意には至っていない。

宗教

海神信仰

古来より海神オースームが信仰されている。オースームは海であり、水であり、全ての源であると考えられている。経典と呼ばれるものは存在せず、神たる海と水を敬いその恵みに感謝することが教義とされる。神が与える最も良いものは魚である。魚は最良の糧であり、魚と似て魚より優れたアイル人はより神に愛された存在であるとする。このためアイル人が自分たちと魚類を同一視することはない。また、農耕地を潤す雨も水であることから土の作物もオースームの恵みと考える。
オースームを信仰すること、信仰する者をラーワという。スンビラン共和国の国民の殆どはラーワである。

聖職者はプサランと呼ばれ、ラーワの教義を説き結婚や葬儀、通過儀礼を取り仕切るとともに波の高さや気象を予測することを仕事とする。プサランの気象予報は空や波の観察と経験則を基にした観天望気であり、スコールが多発するスンビランの自然環境のためもあって的中率は決して高くはないが、元より人知を超えた存在たるオースームを測ることなどできないとされているため外れても責められることはない。予測が当たればそれはオースームの慈悲であると考える。
プサランには18の階級があり、上から第一位のプサラン、第二位のプサランと呼ばれる。階級によって身につけるものに違いはないので見た目に違いは分からない。生活態度が悪いなどの問題がなければ概ね年功序列で昇級する。
第十八位から第十三位のプサランは天気を観察するために全国各地を巡り修行を積む。第十二位から教区ごとのテナン(教会に当たる)に配属される。テナンには第六位以上の年配のプサランが管理を兼ねて常駐している。

アイル人は国土南方のオースーム海も、オースーム海流も、場合によっては海や水そのものさえオースームと呼ぶことが多く、しばしば混乱が生じる。海神オースームとは温かく穏やかなオースーム海またはオースーム海流を起源とするものなのか、または海神オースームに因んで南の海をオースーム海と呼ぶのかすら判然としないが、それはアイル人にとっては大きな問題ではない。また、北方のクジャン海(ラウト・クジャン)とは古語から直訳して「残酷な海」ではあるが、このクジャン海にもアイル人は畏敬の念をもって接している。

ラーワ原理主義と外国人

外国人排斥の思想はラーワと密接に関係している。外国の人材や技術を積極的に招いたのはヒタム族だが、それを否定する動きはヒタム族への反発といった部族同士の摩擦よりもラーワの教義に由来している部分が大きい。実際にラーワ原理主義者と呼ばれる人々はラーワではない他民族に本来自分たちが神から与えられたものであるはずの魚や資源を提供することをやめて古来よりの自給自足の生活様式に返るべきであると主張し、伝統的な漁業と耕作によって生計を立ている。このような原理主義者の集落は北部に点在しており、北部ほど排他的性格が強いと評される所以となっている。

玻璃の色の鱗

一般には知られていないが、外国人排斥過激派として暗躍しているのは「玻璃の色の鱗」と名乗るカルト教団である。彼らは異形の神を崇め「深海の貴婦人」と呼び慕う。現代では採掘・精製の技術が失われたハイドライトを神聖視しており、これに近付こうと侵入する外国人を拉致ないし殺害しする。この教団に所属する者はスンビランの人口に占める割合としては極少数ではありながら、政治、司法、軍部、民間のあらゆるところに潜伏している。

文化

生活文化

熱帯のスンビランでは浴槽に湯を張って風呂に入るという習慣がない。パウス州の冷涼な土地では湯でしぼった布で体を拭くことも多いが、殆どのアイル人は川や湖で沐浴するか、大きな桶に汲んだ水で体を洗う。首都にはシャワールムを完備した外国人向けの物件もあるが、一般的な住宅に風呂場というものはなく、行水は庭や家屋の裏手で行う。沐浴は男女混合で行われることが多く、その際はじろじろ見ないことがエチケットとされるが、特に羞恥を伴うものではない。

食文化

米を主食としている。スンビランの米は細長く粘りの少ない品種で、単体で食することは殆どない。たいていは魚介や野菜を炊き込むか味の濃い汁料理とともに供され、いずれもスパイスをふんだんに使用して調理する。
肉よりも魚の消費量が多く、調理法も様々なものが好まれる。スパイスで煮込んだ野菜に白身魚を加えたものが最も一般的で、スパイスの配合は各家庭により異なる。海沿いでは新鮮な魚を生食する習慣もあり、魚は煮ても焼いても蒸しても揚げても生でも美味しい国民食である。
小エビを発酵させたトラシという魚醤の一種(ペースト状)とココナッツミルクも調理に多用される。

スンビランでは肉といえば山羊肉を指す。肉はスパイスに漬け込んで串焼きにする。山羊の乳から作ったチーズを添えることもある。鶏や家鴨などの家禽は専ら卵を取るためのもので、鳥肉を食べる習慣はない。

もち米が栽培されている北サレム州では、もち米を原料とする酒の醸造が盛ん。ヤシのジュースから作られる蒸留酒もあり、こちらは全国的に生産され、親しまれている。醸造酒のアルコール度数は16%程度、蒸留酒は40%程度で、スンビランでは常温で薄めずに飲む。

茶を煎じて口にする習慣はなく、薬効のある植物を加工して煎じたものは薬として扱われる。日常的な飲料は水、山羊の乳である。
たいやき
中津国発祥のたいやきがブームになっている。魚を最も良い食べ物とするアイル人には食べ物を魚の形に成形するという発想が非常に新鮮だった。スンビランでは小麦粉主体の皮の製法につては特に変形はなく、主にナッツ類と果物とココナッツミルクを煮詰めたペーストを入れて焼いている。本家である中津国風に小豆餡を入れたものもあり、これは「オグラ」と呼ばれているが、餡は小豆をココナッツミルクで甘く煮たものが使われている。

音楽

伝統音楽は大小様々な打楽器、鍵盤打楽器、笛によって奏でられる。青銅製の銅鑼や鍵盤打楽器(鉄琴)をガムラン・ルチュー、木製と竹製の打楽器や鍵盤打楽器をガムラン・カユーと呼ぶ。筒形または鍋型の胴に山羊革の膜を張った太鼓はゴン、竹製の縦笛はパンギランという。ガムラン・ルチューの澄んだ音色のアンサンブルが特徴的で、軽快なリズムの楽曲が多い。この合奏を総称してガムラン・ポプラという。
伝統的な男声合唱はクトゥカーと呼ばれる。クトゥカーは胡坐をかいて幾重にも円陣を組んで歌われる。ガムラン・ポプラの音色に合わせて、または無伴奏で「イアー・イアー」という単純な発声を繰り返す。パートごとに一定のリズム・パターンを持ち、それぞれが合わさると非常に重厚な響きになる。

伝統音楽ガムラン・ポプラはプサラン(ラーワにおける聖職者)の祈祷を原点としている。プサランが祈祷に用いる青銅製の9音の鉄琴をガムランといい、ガムランの音と音を鳴らす順番には意味がある。プサランは感謝と畏敬の念を込めてガムランの音色を海神オースームに捧げ、人々がオースームの加護を得て健やかであるよう祈った。このガムランの音色から祈祷としての規則性を切り離し合奏として発展させたものがガムラン・ポプラである。ガムラン・ポプラとは大衆によるガムランを意味する。

大衆音楽の分野では外国の影響を受けた歌謡曲やロックが人気を博している。伝統音楽であるガムラン・ポプラの音色を取り入れたものもあり、一定の支持を得ている。多くの楽曲はスンビラン語で歌われているが、地方(部族)言語で歌われるものもある。

舞踊

クトゥカーの円陣の中心で女性が踊る伝統舞踊はクトゥカンタリと呼ばれる。クトゥカーを歌う男性も胡坐をかいたまま様々な手振りや手拍子をつけるが、クトゥカンタリは厳密に女性たちの舞踊のみを指す。クトゥカンタリの動きは激しく、手足や頭を大きく振って踊る。クトゥカーに取り囲まれる形で無心に踊る様は呪術的儀式のようにも見えるが、クトゥカンタリとクトゥカーに祈祷としての意味はない。

文学

元来アイル人は文字や図画のような有形のものを残すことに然程の積極性がなく、西ストゥンガ郡のルバン遺跡に見られるような衝撃的な出来事でもない限りは歴史的資料すら確かなものは残っていない。そのため、文芸の分野が注目されるようになったのは比較的最近のことである。伝統的な影絵芝居の脚本も殆どが口承されたもので、近年ではそれらを地域や部族ごとの差異にも注目しつつ集めた『アイル戯曲集』が高い評価を受けている。その他にも若者の恋愛や冒険を描いた短編小説、内乱時代の英雄譚といった大河小説が出版されている。

スポーツ

国民的人気を誇るスポーツといえば先ず水泳が挙げられる。水泳は競技の枠を超えてより生活に密着したものとなっており、競泳とはやや趣が異なるが、殆ど全ての国民が愛好しているとしても過言ではない。漁師の遊戯から発祥した伝統競技タカナンタカナン、キャンティ種シャンタクによる障害飛越も幅広い世代に愛されている。外国から伝わったスポーツではバドミントンが盛んである。

格闘技の分野では伝統武術であるプンチャック(シラット)の他、ボクシングやレスリングといった打撃系・裸体格闘技が人気。

教育機関

義務教育

義務教育期間は小学校から中学校までの9年間とされている。全ての小学校及び中学校は公立であり教育省が一括管理する。小学校では一般的な教科を学習するが、中学校では技術や漁業、農業などの実技の習得が多くなる。
学事年度は9月から翌年6月までとなる。9月から1月を前期、2月から6月を後期とする2学期制。
授業日は金曜日から火曜日までの5日間。7月と8月の2ヶ月間は雨休み(夏休みに当たる)とされ子供たちは自宅で家業を手伝うなどして過ごす。この時期にはイトハカが発生することもあるため子供たちの安全の確保も長期休業の目的のひとつである。1月には改暦休み、学期の間にも2週間程度の休みが設けられている。

 小学校 6年制 (6歳~12歳)
 中学校 3年制 (13歳~15歳)

高等教育

義務教育課程を修了した者は高等教育機関への進学が可能である。無償で受けることができる義務教育とは異なり入学料と授業料を支払う必要がある。教育省の統計によれば高等学校相当の教育機関への進学率は義務教育課程修了者の6割ほどとなっている。
公立高校の他に私立高校も存在する。専門学校は造船、建築、縫製等の専門技術を学ぶ機関である。専門学校にも公立校と私立校がある。大学及び士官学校に進むためには高等学校卒業が必須とされる。

 高等学校 3年制 (16歳以上の義務教育課程修了者)
 専門学校 2~4年制 (同上)
 大学   4年制 (高等学校教育課程修了者)
 士官学校 3年制 (24歳以下の高等学校教育課程修了者)

※士官学校は軍幹部育成を目的とした機関であり、兵卒としてスンビラン国防軍に入隊を希望する場合に必要なのは義務教育課程の修了のみである(採用試験有り、28歳以下に限る)

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