タンムーズ戦役とは宇宙歴793年2月銀河帝国宰相ルートヴィヒ皇太子の命令から始まる宇宙歴793年3月~11月の帝国軍の一大攻勢に対する防衛戦をさす。最終的な決戦地がタンムーズ星域であったことから自由惑星同盟では「タンムーズ戦役」と呼ばれる。

1 戦いの背景

 宇宙歴791年10月の対帝国反攻作戦「自由の夜明け」作戦により全占領地を失い、翌年8月の第五次イゼルローン要塞攻防戦で敗北寸前まで追い込まれた銀河帝国はその威信を大きく低下させていた。帝国の支配が揺らいだとみた帝国内の反体制派が各地で蜂起し、一説によれば、国土の三パーセントが占拠されたという。帝国軍は直ちにこれに反撃し、宇宙歴793年2月までには反乱を鎮圧した。そして、帝国の健在を示すために、対外戦争の勝利が必要になった。そこで同年2月、銀河帝国宰相ルートヴィヒ皇太子は宇宙艦隊司令長官アルトゥール・フォン・ツァイス元帥に自由惑星同盟に対する一大攻勢を命じた。

2 両軍の指導者・指揮官


自由惑星同盟 銀河帝国
ラザール・ロボス宇宙軍大将
ドワイト・グリーンヒル宇宙軍中将
シャルル・ルフェーブル宇宙軍中将
グスタフ・フェルディーン宇宙軍中将
イアン・ホーウッド宇宙軍中将
ジェニファー・キャボット宇宙軍少将
ウランフ宇宙軍少将
ジャミール・アル=サレム宇宙軍少将
ウラディミール・ボロディン宇宙軍少将
アルトゥール・フォン・ツァイス元帥
皇太子派の幹部たちが参加していたものと思われる
ルートヴィヒ・ノイン」やオイラーが参加していた可能性も

3 戦いの経過

 帝国軍宇宙艦隊司令長官ツァイス元帥は帝国の大艦隊を動員して積極的な攻勢に出た。宇宙歴793年3月には五万隻の大艦隊がシャンダルーア星系へと殺到し、7月にはドラゴニア星系とパランティア星系にそれぞれ二万隻が侵攻した。

 宇宙艦隊司令長官ラザール・ロボス大将が迎撃の任務にあたった。しかし、昨年に国防予算が削減された結果、動員に費やせる予算が著しく減少していた。その結果、動員できるのが第三艦隊(司令官ルフェーブル中将・参謀長アル=サレム少将)、第七艦隊(司令官フェルディーン中将・副司令官ウランフ少将)、第九艦隊(司令官不明・副司令官ボロディン少将)の三個艦隊だけとなり、戦力不足に苦しむこととなる。

 数で劣る戦いを強いられたロボス大将は、何度も敗北の危機に陥った。3月から4月にかけてのシャンダルーア戦役、7月から9月にかけてのドラゴニア=パランティア戦役における同盟軍の勝利は、すべて薄氷の上の勝利だった。特に3月25日の第二次シャンダルーア星域会戦では、ウランフ少将の到着が20分遅れていたら、全軍が崩壊していた。

 同年11月8日の第三次タンムーズ星域会戦において、ロボス大将率いる同盟軍三万九〇〇〇隻は、宇宙艦隊司令長官ツァイス元帥率いる帝国軍四万八〇〇〇隻を完膚なきまでに打ち破った。

4 結果及びその影響

 一年近くに及んだ帝国軍の大攻勢は失敗に終わり、同盟軍は国境地域における全般的な優勢を確保した。
 銀河帝国ではこの翌年794年2月までに保守派の急先鋒グレゴール・フォン・ミュッケンベルガー元帥が新たに宇宙艦隊司令長官に就任した(15話)ことが確認される。おそらく、ツァイス元帥はこの敗戦の責任問われ、宇宙艦隊司令長官から失脚したものと思われる。またツァイス元帥の後任が保守派のミュッケンベルガー元帥に決まったことから、改革派の宰相ルートヴィヒ皇太子の権威が大きく傷ついたものと推測される。
 一方、自由惑星同盟では宇宙歴793年12月初旬にハイネセンに帰還したロボス大将が宇宙軍元帥に昇進し、名実ともに宇宙軍の頂点に上り詰めた。また、タンムーズ星域会戦の勝利に貢献した宇宙艦隊総参謀長ドワイト・グリーンヒル宇宙軍中将も宇宙軍大将に昇進して統合作戦本部作戦担当次長を兼務した。(15話)この戦役以降、自由惑星同盟遠征軍を率いる「総司令官ロボス元帥、総参謀長グリーンヒル大将」体制がここで確立した。
最終更新:2019年10月09日 10:06