ウィレム・ホーランド(宇宙暦763年 - )は自由惑星同盟の軍人。原作登場人物である。男性。

1 外見

 精悍な面構え、二メートル近い身長、鍛え抜かれた肉体、全身にみなぎる鋭気。生まれながらにして選ばれた存在という印象。

2 略歴

2-1 前世

 少将として3000隻前後の少艦隊の司令官を務める。宇宙歴794年10月、第六次イゼルローン攻防戦に参戦。この戦いで「D線上のワルツ作戦」を作案し、宇宙艦隊司令長官ラザール・ロボス元帥からも高く評価され、同盟軍史上最年少の32歳という若さで中将に昇進し第一一艦隊司令官に就任し、「ブルース・アッシュビーの再来」とマスメディアに持ちあげられる。
 宇宙歴795年2月、第三次ティアマト会戦に参戦。巧みな指揮で帝国軍のグレゴール・フォン・ミュッケンベルガー元帥の艦隊を撃破する。だがマスメディアに持ちあげられた事を実現する為に友軍の第五艦隊第一〇艦隊からの交代勧告を軍法会議出頭に至っても無視をし続け孤軍突出し、攻勢の臨界点まで行き、それを見極めたラインハルト・フォン・ミューゼル中将の指揮の艦隊の一斉攻撃で宇宙のチリとなった。

2-2 新版

 宇宙暦763年、リオヴェルデ星系第三惑星メディアルナの北極圏の町インカダで生まれる。(90話)
 幼少期に両親を失い、伯母夫婦に育てられる。(120話)

 宇宙暦791年にイゼルローン方面辺境奪回を目的として行われた「自由の夜明け」作戦に第三艦隊の戦隊司令官として従軍、12月8日にエル・ファシル周辺宙域で行われた会戦では同艦隊副司令官ジェフリー・パエッタ宇宙軍少将の指揮下に入り、帝国軍の背後に回り込み強襲した。階級は宇宙軍准将。若手軍人の中で最優秀と目されている。(11話)
 宇宙歴794年のヴァンフリート星域会戦にも従軍、第一惑星第九衛星への上陸戦を指揮した。この時宇宙軍少将。(20話)同年の第六次イゼルローン遠征軍では第七艦隊B分艦隊司令官を務めている。先鋒部隊を率いて、第六次イゼルローン遠征の緒戦を圧勝で飾った。(25話)イゼルローン要塞の外壁にミサイル艦で直接攻撃を仕掛ける作戦案を提出、アンドリュー・フォーク宇宙軍中佐の精密な分析を加えた上で採用され、指揮を行った。ラインハルト・フォン・ローエングラムの神がかり的な奇襲攻撃によって失敗、敵中に孤立するも包囲を突破し生還する。(27話)作戦終了後、最も大きな武勲をあげた事が評価され、自由戦士勲章に次ぐハイネセン特別記念大功勲章を授与された。(29話)
 宇宙歴795年の第三次ティアマト会戦では第二艦隊副司令官を務めている。同艦隊司令官ジェフリー・パエッタ中将と噛み合わず、実力を発揮できなかった。(31話)その後、閑職の第八予備役分艦隊司令官に回される。(35話)
 宇宙歴796年のレグニツァの悲劇によって多くの将官が戦死したために、第一一艦隊D分艦隊司令官に就任。エリヤ・フィリップス宇宙軍准将の上官となる。(51話)
 宇宙歴798年、「冬バラ会」の一員となり「神々の黄昏(ラグナロック)作戦」を最高評議会に提出する。(54話)その見返りに全軍の先鋒を任された。(55話)作戦を通じて特筆すべき活躍をしたが、特に第三段作戦「ヴィーグリーズ会戦」中にはビルスキルニル星系で三個艦隊四万隻への奇襲を成功させた。(58話)第一次ヴァルハラ会戦の後、宇宙軍中将待遇の宇宙軍少将に昇格する。(60話)
 宇宙歴799年に宇宙軍中将に昇進する。(63話)同盟軍の攻勢が停滞し始めると、エリヤに英雄願望を煽られた事で撤退論者となった。(65話)同年4月12日、マクシミリアン・フォン・ヒルデスハイム中将率いる三倍の帝国軍艦隊をソーレン星系で打ち破るなど、ヴァナヘイム撤退作戦の中でナポレオン・ボナパルトになぞらえられる程の活躍をする。(66話)第二次ヴァルハラ会戦では弱体化した部隊を率いながらもヘルムート・レンネンカンプを撃退するなど善戦した。(68話)会戦の最終盤では右翼のモートン支隊と共に左翼からウルリッヒ・ケスラー中将のL分艦隊を突破し、ラインハルトの直属部隊を強襲した。ラインハルトの旗艦「ブリュンヒルト」を撃沈させるなど健闘するが、ラインハルトを仕留めきれず敗北、重傷を負う。(70話)作戦後、遠征を推進した責任から予備役に編入される。(71話)
 ラインハルトに敗北し、旗艦と運命を共にしようとしたが、副参謀長ダーシャ・ブレツェリの諌言によって脱出。彼女も含めた戦死者達に対する責任を痛感し、宇宙歴801年頃には故郷のリオ・ヴェルデでひたすら責任と向き合う生活を続けていた。余命宣告を受け、全てを失いながらも挟持だけは失って居なかった。その姿を見たエリヤに第一一艦隊司令官に就任するよう説得される。(90話)
 宇宙歴802年、第一辺境総軍所属の第一一艦隊司令官に就任する。階級は宇宙軍大将。第一一艦隊の練兵に文字通り命をかけて取り組む。そのおかげか、第一一艦隊の練度は他の艦隊よりも上昇ペースが早い。(93話)同年の第九次イゼルローン要塞攻防戦では第一一艦隊を率いて援軍に駆け付ける。その後のオペレーション・モンブランでは第二艦隊と共に囮役を担当する予定だったが、国防委員会の要請で第四艦隊に交代した。(108話)その後、消極策による士気の低下を懸念し、控えめな言い方でエリヤに積極策への転換を進言した。(109話)帝国軍が要塞と共に前進した後の戦いでは慎重すぎるほどに慎重に戦った。かつてのダイナミックさは影を潜めた。損害は少なかったが、戦果も少なかった。衰えたわけではなく、部下に基礎を叩き込むため、あえてオーソドックスな戦い方を選んだ。(111話)同攻防戦の後、銀色五稜星勲章を授与された。(113話)
 宇宙歴803年、先の第九次イゼルローン要塞攻防戦を経て、同盟軍と帝国軍の差が予想以上に小さいことに気づいた為、ヘラルド・マリノ宇宙軍中将に自身の芸術的艦隊運動を伝授することを決め、エリヤ・フィリップス上級大将にマリノ中将を一時的に預けてくれるように依頼する。(114話)

2-3 旧版


3 能力

 「グリフォン」の異名で知られる機動戦に長けた指揮官。普通の分艦隊司令官は一年か二年おきに転任するが、ホーランドは大きな出兵があるたびに出征部隊に転任して戦った。現役宇宙軍軍人の中で分艦隊司令官時代にこういう扱いを受けたのは、ラザール・ロボスアレクサンドル・ビュコックウランフモシェ・フルダイライオネル・モートンジェフリー・パエッタとホーランドの七人だけ。かなり高い評価を受けている。(24話)
 士官学校を首席で卒業したにも関わらず、幕僚経験は一度だけ副官を務めたのみ、参謀経験は皆無という異色の経歴を持つ。准将となってから三〇回近い戦闘を指揮したが、一度も負けを知らない。同盟軍が敗北した戦いでも彼の受け持った戦域だけは勝利した。
 士官学校時代、生徒総隊と風紀委員会の運営に関しての新たな枠組みを作り、その後一貫してその枠組みで動いているらしい。

4 性格

 自己顕示欲や上昇志向がとても強い。戦いぶりは大胆にして奔放。用兵家というより勝負師だと評される。
 「英雄は強くなければいかん」と本気で思っているので、自分を高めるための努力を怠ることがなく、いつもみんなの先頭に立って手本を示し、何でも自分でてきぱきと決める。
 「英雄は高潔でなくてはいかん」と本気で思っているので、横暴に振る舞うことはなく、弱い者いじめは決して許さない。
 「英雄は寛容でなくてはならん」と本気で思っているので、部下の私生活についてうるさく言わないし、部下の失敗に対しては怠慢や無気力によるものでなければ許す。
 部下との接し方については、古代の武将みたいなエピソードがいくつもある。
 異常にアグレッシブ。成功率三〇パーセントだが戦果の大きい案と、成功率九〇パーセントでそこそこの戦果を得られる案を提示されたら、迷うことなく前者を選ぶ。

 ただし、第二次ヴァルハラ会戦での敗戦により、放射線障害となり、余命宣告を受けた後は以前とは別人のように穏やかな人間になっている。残された時間を後進育成に注ぎ込む決意を固めている。

5 座乗艦

  • 第一一艦隊D分艦隊旗艦「「ディオニューシア」」(少将:第一一艦隊D分艦隊司令官として乗艦)*1
  帝国領侵攻作戦「神々の黄昏(ラグナロック)作戦」(第56話 - 64話)
  • フラインスハイム星域軍*2 旗艦「「ディオニューシア」」(中将:フラインスハイム星域軍司令官として乗艦)
  帝国領撤退戦 - 第二次ヴァルハラ会戦(第64話 - 69話)
+ タグ編集
  • タグ:
  • 自由惑星同盟
  • 同盟軍将官
  • 英雄
  • 原作登場人物
  • 名将
  • 第二艦隊
  • 第一一艦隊
  • 第一辺境総軍
  • ホーランド機動集団
  • ロボス派
  • 正規艦隊司令官
  • 冬バラ会

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年04月20日 11:52

*1 原文に記載はない。あくまで推測

*2 ホーランド機動集団の正式名称