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8 「放浪の戦匠」

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8 「放浪の戦匠」



WONDERINGSMITH

■背景:
この家が"黄昏の時代"から続く鍛冶屋だという話を、君は両親や近所の人間から何度も聞かされてきた。
そして君の父も鍛冶師だった。
彼は請われれば何でも作った。
昨日はアルフレイムの木こりたちのために斧を打ち直していたかと思えば、今日は近所の結婚式の贈答品に妖精を象(かたど)った鉄の細工物をこしらえている。
鍛えなおした斧は折れず曲がらず、精緻な妖精の像は台座の円盤を回すとまるで生きているかのように細やかに羽を動かした。
彼の腕が非凡であることは幼い君にもわかった。

しかし君たちの家族はつねに貧しさと共にあった。
父は親しい人々からしか仕事を請けなかった。
そして儲けも一家がなんとか暮らせる程度に抑えていた。
彼は目立つことを恐れていた。
自分のささやかな腕が、力あるものたちに知られることを恐れていた。
法王庁が腕の良い鍛冶師を集めているらしいという噂はずいぶん昔からあった。
在野の技術者を発掘するためではない。
人々は囁きあった。
法王庁は恐れているのだ。
鍛冶師たちが独自に「祝福武器」や「錬金術」「自動人形」などの秘密に辿りつくのを、あるいはその技術が失われた「巨神」の復活に利用されるのを。

君が家を出たのは、物心ついて間もないときだった。
法王庁の目を恐れ、自分の能力が小さな村で埋もれていくことを是とする父親に反発してのことだ。
だが不安はない。
君は天性の才能か、あるいは修練のたまものか、ともかく若くして父に並ぶ腕を持っていた。
この腕が通用しない社会はあるまい。
自負があった。

父には今も反発を覚える。
母にはすまないと思う。
辺境には異端があふれ、都市にすら魔物が潜む。
人々は異端とされることを恐れ、君を異端とみなすことすらある。
君は剣の腕もなければ魔法も使えない。
金もさしてない。
危険な旅だ。

だが、君は聞いてしまった。
あの日村に来た一人の吟遊詩人が歌った、あの『黄昏の時代』の華々しい銀と鋼の宴を。
そして君は知ってしまった。
王都が原理の明かされぬ様々な機械によって支えられ、今もなお発展を続けていることを。

──胸が躍る。

腰周りにたくさんの道具袋。
背には旅の用具を詰めた背負い袋、そして自分の身を守るための"仕掛け人形(パペット)"の棺──これはあの父が家を出る君に餞別としてくれたものだ。

君は旅を続ける。
まだ見ぬ人の手の被造物を知り、新たなるモノを己が手で生み出すために。



■解説:
あなたは旅をしながら未知の技術を探求する鍛冶師です。

類まれなる技術力と物事の仕組みを素早く見抜く観察力や洞察力を武器に世の中を渡り歩いています。
学問を学んだことはありませんが、師の教えや旅先での経験はあなたに錬金術師たちにも一目置かせる知恵と知識を与えています。
背景では父親の生き方への反発と、未知の技術への憧憬によって旅立ちを決意していますが、放浪の旅を主とする鍛冶師たちの多くは、多かれ少なかれ似たような理由を持っています。
 しかしあなたの活動は、かえって人々に未知の不安をかきたてることもあります。
あまりに精緻な細工物は魔法による品と間違われ、その博識や職業柄の異貌はただならぬ出自を連想させます。
なにより一般の人々はあなたに比べて極めて無知です。
その無知ゆえにあなたを異端として迫害しようとすることすらあります。

 また、あなたの力を欲する人々も多数いるでしょう。
法王庁は祝福武器の製造に多くの熟練技術者を求めています。
異端諮問官たちは異端の技術や遺跡の探査にあなたの知識の協力を依頼することがあるでしょう。
錬金術師たちは、自らが鍛冶の腕を持たない限り、研究機材やからくりの製造に鍛冶師の協力が不可欠です。
騎士団は神への敬虔さをもって彼らの武具をいたわる(=整備する)者を歓迎します。
異端たちですら(むしろ彼らだからこそ)隠し持った「巨神」や「自動人形」たちの修理にあなたのような力を必要とするでしょう。

 あなたにはいざというときに身を守る剣の腕も、魔法の知識もありません。
そのため、身を守るために骨組みのみの鎧に人形の部品が組み合わさったような武器"仕掛け人形(パペット)"を携帯しています。
これは背中の棺の中で折りたたまれていますが、あなたの動作一つで展開し、その体に装着されます。
腕一本の動きで全体を操作でき、その力、瞬発力共に並みの戦士を上回る力を発揮します。
これは仕掛けを知り尽くした鍛冶師のみが操作できるものです。
他の人間では指一本も動かせないどころか、バランスもとれずに転んでしまうでしょう。

一般的に好奇心旺盛な性格ですが、同時に自分の考えに固執する頑固さも持っています。
あなたは旅に出てもなお、鍛冶師たちのもつ一途さを受け継いでいるのです。

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