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  • 寝ぼけ署長09我が歌終る

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寝ぼけ署長09我が歌終る

最終更新:2019年11月01日 06:00

harukaze_lab

- view
管理者のみ編集可
寝ぼけ署長
我が歌終る
山本周五郎

-------------------------------------------------------
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)措《お》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)美|豪奢《ごうしゃ》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号またはUnicode、底本のページと行数)
(例)※[#「二点しんにょう+官」、第3水準1-92-56]
-------------------------------------------------------

[#6字下げ]一[#「一」は中見出し]

 この土地は冬の来るのが早く、十一月のこえを聞くと大抵もう雪になるのですが、その年は中旬まで粉雪も降らなかった代りに、毎朝ひどく霜が下りたのと、寒さも例年になく烈しかったのを覚えています……さよう、秋葉権現のお祭りでしたから、十七日の午後のことだったでしょう。山手分署から電話で「佐多子爵が自殺された」という報告があった。署長は書き物をしていましたが、これを聞くとペンを措《お》いて、椅子の背に凭《もた》れながら深い溜息《ためいき》をつきました。
「――もう歌も音楽もいらないね、ポルカは終った」
 署長には似合わない科白《せりふ》めいた言葉ですが、私にはその意味がよくわかったし、それだけの理由もあったのです。佐多英一子爵は東京の出身で、十五年ほど前にこの市へ移って来た、山手の二本松に当時としては豪華な洋館を建て、たいそう派手な生活ぶりで、来る早々から市の社交界の人気をさらい、前後七八年は殆んどその中心人物というかたちで、絶えず華やかな評判をふりまいたものです。家族は貞子という美貌《びぼう》の夫人と、秀次と呼ぶ男の子が一人ありましたが、英一氏が婿であり、子供の秀次君も養子だそうで、家庭生活は余り調子がよくなかったのでしょう、夫人も英一氏に輪を掛けた遊び手で、――かんばしからぬ風評《ゴシップ》がずいぶん飛んだものでした。――然《しか》しそれも数年のことで、夫人は間もなく病死(堕胎の失敗だという噂《うわさ》でしたが真偽は不明です)し、あとは子爵の独《ひと》り天下《てんか》という訳で、更に狂気じみた歓楽と遊蕩《ゆうとう》の生活が続いたものです。この事件の起こる三年まえ、子爵は衝撃に因《よ》る腰椎麻痺《ようついまひ》にかかり、立つことも歩くこともできなくなりました。それでも車付きの自動椅子を英国から取寄せ、自邸に客を招いて絶えず宴会をする、舞踏会を催すという、相変らずの生活が暫く続いたのです。そういう評判を聞かなくなってから僅かに一年でしょうか、病気が重くなったのだとか、資産を蕩尽《とうじん》したらしいとか、噂が尻すぼまりになって、殆んど消えかかっているとき、「自殺された」という知らせがあった訳で、まったくの激しいボヘミア踊りがようやく終ったという感じなのでした。
「然しちょっと寂しいですね」私は私の感じ方でこう云いました、「こういう風に結末がついてしまって、あれだけ思い切った華やかな生活が当分みられないとすると、なんとなく張合のぬけたような気持がしますよ」
「いやたくさんだ、あれは派手とか華やかなどというものじゃない、単なるきちがい沙汰《ざた》、どたばた騒ぎに過ぎないよ、まっぴらだ」
「けれども大抵の金持は、待合で隠れ遊びをするくらいが関の山ですから、偶《たま》にはああいう度外《どはず》れな明るい遊蕩があってもと思います、ちょっと世紀末風な匂いがあるし、その点では自殺という結末も悪くはないですよ」
 ふん世紀末か、署長は眉をしかめながらペンを取りました。そのとき捜査主任が入って来たのです。「山手分署から今また電話がありまして」主任は緊張した容子《ようす》で、こう云いながら署長の前へゆきました。
「佐多子爵は自殺ではなく、他殺らしいと云って来ました」
「ほう、――」署長の椅子ががたっと音を立てました、「他殺らしい、というと、まだ決定した訳でもないんだね」
「現場を見ないとわかりませんが、子爵は厳重に鍵《かぎ》のかかった書斎の中で、心臓部を刺して死んでいた、絶対に外から出入りの出来ない状態だし、他に疑わしい点もなかったので自殺と判定したのですが、今しがた庭で兇器が発見されて、急に自殺説が覆《くつがえ》ったのだと云っています、署長にもすぐ来て頂きたいということですが」
「密室の殺人か」署長は気乗りのしない容子でまたペンを措きました、「探偵小説みたいでおれの柄じゃあないな、が、まあとにかくいってみよう」
 私たちが二本松の佐多邸へゆくと、既に検事局から来てひと調べ済まし、広間《ホール》の一隅に卓子と椅子を集めて茶を飲んでいるところでした。署長はこれらの人々に無言の会釈をすると、すぐに分署の係長から事件の説明を聴きましたが、その要点を簡単に云いましょう。
 ――その前の夜の八時に、石田ちか子という婦人が子爵を訪《たず》ねて来た。彼女は半年ほど前から時どき(前後四回)子爵を訪ねて来るが、なにか個人的な事情があるとみえ、子爵は毎《いつ》も二人だけで長いこと話すのが例であった。そして、「石田が来たらすぐ書斎へ通すように」と云われていたので、そのときも取次に出た女中(お村という名の)は、彼女の顔を見ると、「どうぞ」と云って書斎へ案内した。それから二十分ほどして女中は紅茶を運んでいったが、扉を叩《ノック》しようとしたとき、書斎の中からこういう会話が聞えて来た。
 子爵「どうしてもだめなのか、赦《ゆる》しては呉《く》れないのか、そんなにおまえは残酷なのか」
 石田「私はもっと残酷になれないのが口惜《くや》しいくらいです、貴方《あなた》なんか……」

[#6字下げ]二[#「二」は中見出し]

 女中が紅茶を出して退《さが》ると、三十分ほどして石田ちか子は帰っていった。それと殆んど入違いに秀次君が帰って来たのであるが、石田ちか子が出ていったとき、門の外に一人の男が待っているのを見たそうである。
 今朝午前九時、また石田ちか子が来た。毎ものように女中が案内してゆくと、廊下を曲るところで、「ゆうべこの時間に来る約束をしてあるから待っているだろう、独《ひと》りでゆくからよい」と云った。それではと女中はそこから引返し、すぐに茶の支度をして持っていった。このあいだの時間にして十分くらいだろうか、書斎へいって叩《ノック》したが返辞がないし、室内は森閑としてまったく物音が聞えない。どうしたのかと不審ではあったが、なにか内密な話でもあるのかと思い、そのまま戻って来た。そのときもう一人のお勝という女中が、「お庭じゃあないの」と云ったので、ちょっと庭へ出てみたが、庭には秀次君がなにか捜し物でもする風で、足早に花壇のあたりを歩きまわっているきり、子爵も石田ちか子もみあたらなかったのである。――そのまま呼鈴《ベル》も鳴らず一時間経った。十時にはチョコレートとビスケットを持ってゆく定《きま》りなので、お村はその用意をして運んでいった、ところがやっぱり叩《ノック》に答えがない、かなり高く五度ばかり叩《たた》いた後、なんの物音もしないので急に怖《こわ》くなり、戻って来てすぐ秀次君にその由を告げた。話を聞いた彼はちょっと肩をすくめて、「あの女が来ているんなら、話しこんで叩《ノック》が聞えないんだろう、呼鈴が鳴るまでそっとして置けばいい」こう云って立とうともしない。そこでお村は室内にさっきから人の声も物音も聞えないことを告げ、どうしても容子が変だからと、半ば頼むようにして彼に来て貰った。
 秀次君が叩《ノック》しても返辞はなかった。彼は拳《こぶし》で扉を敲《たた》いたが、すぐ廊下を戻って庭へとびだし、書斎の外にあるベランダに上って室内を見た。――子爵は車付きの自動椅子に腰掛け、熟睡しているように片方へ首を垂れている。秀次君は一枚だけ扉の明いている窓から、かなり大きな声で続けざまに呼んだ。返辞もなく身動きしない。そのうえ子爵の左の胸になにか突刺さっているのが見える。秀次君は後ろへ来た女中のお村に、「おまえすぐ内野先生を呼んで来い」と命じ、自分は警察へ電話を掛けるためにそこを去った。
「然しなぜ」署長がこう質問しました、「そのときなぜ秀次君は書斎へ入らなかったのかね」
「入れなかったのです、というのはその窓には鉄の格子《こうし》が篏《は》まっているのですから」分署の係長はこう答えました、「御覧になればわかりますが、廊下からの出入口も、左右の部屋へ通ずる扉も、ベランダへ出る両開きの扉も、恐ろしく頑丈《がんじょう》な造りのうえに、ばかばかしいほど厳重に内側から鍵が掛っていたのです」
 電話を聞いて分署から係長や刑事たちが駆けつけたとき、既に内野医師が来ていて、秀次君や下男の兼吉といっしょに、廊下の扉をこじ開けようと苦心していた。係長はいちおう庭のベランダから室内を覗《のぞ》き、そこの両開き扉のほうが開け易《やす》そうなので、廊下のほうは中止させた。然し結局その扉も開ける方法がなく、遂に毀《こわ》して入ったのである。――室内へ入ったのは係長と刑事の一人、内野医師と本田警察医の四人だけだった。診察するまでもなく子爵は死んでいた。心臓を細身の短刀で刺したのが致命傷で、死後約二時間と推定される。短刀は心臓部に刺さったままであったが、それにしては出血量が少し多いように思えた。「自殺ですな」係長がこう云うと、内野医師も本田も、「まあそうでしょう」と頷《うなず》いた。――そこで本署へ電話で報告させ、家人から聴書を取っていると、石田ちか子という来訪者の件が出て来たのである。九時に書斎へ案内したが、それっきり帰ったのかどうかもわからないと云う。
「その女の住所はわかっていますか」
「旅館に泊っているようです」秀次君がこう答えた、「この土地の者ではなく、此処《ここ》へ来るときは毎も旅館に泊っているような容子でした」
 こう聞いた係長は念のため、刑事の一人にすぐ全市の旅館へ手配するように命じた。そのとき庭のほうを調べていた刑事が、血痕《けっこん》の付いた一本の細身の短刀を手帛《ハンカチ》で包んで持って来た。「花壇の沈丁花《じんちょうげ》の間に落ちていた」と云うのである。手帛《ハンカチ》をひろげて見ると、刃のほうには脂肪ぐもりだけであるが、白鞘《しらさや》の柄のところに新しい血痕が染付いていた。兇器の一つが庭に落ちていたとすると他殺の可能性が多い、改めて本署へ知らせる一方、徹底的に捜査のやり直しに掛った。――そして死躰《したい》のすぐ脇のところに、細い金鎖の付いたロケットが落ちているのを発見した。女中たちはもちろん、秀次君もこれまでついぞ見かけたことがないという。ロケットを明けてみると、中には古びて褪色《たいしょく》した男の写真が入っていた。秀次君はひと眼みてすぐ、「父の若い頃の写真です」と証言したのである。係長は他殺の確信を固め、検事局へ報告すると同時に、石田ちか子への手配を更に鉄道各駅から国道筋まで弘《ひろ》げたのであった。

[#6字下げ]三[#「三」は中見出し]

 短刀のうち死躰に刺さっていたのは佐多家のもので、仏蘭西《フランス》あたりの中世紀の作かと思える。柄に金の彫刻飾りのある美しい品であって、毎《いつ》も書斎の机の上に置いてあった。庭にあったほうは此の家の品かどうか不明だが、これも備前物の鎧徹《よろいどおし》とみえる高価なものだった。両方とも指紋はまったく検出されなかったそうである。
「それで石田という婦人はまだみつからないのかね」
「いやみつかりました、十分ばかり前に電話で知らせて来たのですが、中央駅の前の山水荘ホテルに泊っていたそうです、男が一緒だそうでそれも伴《つ》れて来ると云ってました」
「とにかく現場を見せて貰おうか」
 こう云って署長は椅子を立ちました。ここにその見取図を出して置きましたが、総建坪に比して大き過ぎる広間《ホール》と、この書斎の造り方に特徴のある他《ほか》は、まあどこにでもみられる平凡な富豪の邸宅に過ぎません。広間はちょっと日本ばなれのした豪華な飾り付で、紹介する値打は充分あるのですが、この事件には関係がないので省きましょう。問題は書斎です、これは三間の五間ほどの広さで、三方の壁間に書棚や飾り棚があり、東西の文学、美術、評伝、哲学などの書冊や、出土品らしい古壺《こつぼ》、瓶子《へいし》、土偶などが飾ってありました。南側の庭に面したほうに窓が二つ、ベランダへ出る両開き扉(これは毀《こわ》されてある)東側に扉があって、これは隣りの寝室へ通じる。西側にある扉は浴室へゆくのですが、これらの扉は厚い桃花心木材《マホガニイざい》で作られた恐ろしく頑丈なものだし、そのうえ厳重に内側から鍵《かぎ》の掛るようになっている。二つの窓には内側へ開く硝子《ガラス》扉があるが、その外に鍛鉄製の彎曲《わんきょく》した格子《こうし》が篏《は》まっています。これは寝室も浴室も同様で、またその二つの部屋には独立した戸口がなく、どちらも書斎を通らなければ出入りの出来ないように造ってある。――窓に面して両側に抽出《ひきだし》の付いた大きい仕事机、革張《かわば》りの回転椅子、喫煙用の胡桃材《くるみざい》の卓子と椅子、濃い牡丹色《ぼたんいろ》の布を張った低くて深いソファ、これらの家具もみな時代のついた重おもしいがっちりした作りで、ぜんたいに陰影と気品に富んでおり、然しかなり悒鬱《ゆううつ》な雰囲気を感じさせるもの許りでした。
 子爵の死躰は胸に短刀を刺されたまま、車付きの自動椅子に乗せてありました。位置は大きな仕事机の脇で、片方だけ硝子扉の明けてある窓と正対し、窓から五尺あまり隔たっています。死躰は両肱を腕木に掛け、首をやや左前方に垂れて、なるほどちょっと見には、熟睡している人のような姿勢です。署長はやや暫く死者の顔を見まもっていました。
「なにかこの部屋から無くなった物はないかね」
「秀次氏に見て貰ったんですが、この」と、係長は仕事机の上にある黒檀《こくたん》の手文庫を指して、「この中から財産目録と遺言状を入れた封筒が無くなっていると云ってました」
「ほう、財産目録と遺言状ね」こう云いながら、然し署長はまだ死者の顔を眺《なが》めています、「――この傷口は調べてみたろうね」
「はあ、本田君に検診し直して貰いましたら、穿入口《せんにゅうこう》は同時に二本の短刀で刺した広さがあるそうです」
「同時に――二本で――」
「初め出血量が少し多いと思ったのは、詰り二本で刺して置いて、一本だけ傷口から抜いた時のものだった訳です」
「二本の短刀で刺す、――」署長はふんと鼻を鳴らし、なにやら不服そうに首を振るのでした、「なんのためだろう、……なんの、――」
「犯人が自殺とみせかけるために拵《こしら》えた、そう思うより他《ほか》に説明はつきません、庭から短刀が発見されるまでは私共もそう信じていたのですから」
「それにしても同時に二本の短刀で刺すというのは妙だよ、子爵が半身不自由で、抵抗の少ない状態だったとしてもさ、――二本で刺すということは自然じゃあない」
「けれども二本で刺して一本だけ抜けば、比較的に出血量が少なくて済むでしょう」
「それだけ気のまわる人間なら」署長はこう云いながら車椅子の側を離れました、「――そこまで考える人間なら、大事な兇器を庭へ落したのはおかしい、なにしろ唯一の、最も重大な手懸《てがか》りになる物なんだから」
 そして署長は悠《ゆっ》くり室内を歩き始めました。寝室や浴室も入念に見ましたが、書斎の中は特に興味を持った容子で、部屋の飾り付や家具類、書棚の本の種類、窓框《まどがまち》の周囲から鍛鉄製の窓格子など、なにか感慨に耽《ふけ》る人のような調子で見まわるのでした。そのとき一人の警官が扉口から顔を出して、「石田ちか子を連行して来ました」と知らせました。係長はすぐ出てゆきましたが、署長は壁に掲げてある肖像画を眺めたまま、動きません。それは佐多子爵の半身を描いた油彩画ですが、ぜんたいに暗い配色だし、肖像の顔も冷やかで憂鬱な感じが強く出ています。
「ひじょうに孤独癖の強い人だったんだな」署長は画を見ながらこう呟《つぶや》きました、「――この書斎の閉居感、窓の鉄格子や、すべての扉の必要以上な厳重さ、これはまるで古典的な瞑想者《めいそうしゃ》か隠者の部屋のようだ、到底あんな華やかに豪奢《ごうしゃ》な遊蕩《ゆうとう》生活をした人間の書斎とは思えない、……聞いているかい」
「僕ですか、――聞いています」
「おれには今こういう場面が眼にうかぶ、酒と煙草と踊りと雑談でわき返っている広間から、人知れず※[#「二点しんにょう+官」、第3水準1-92-56]《のが》れて来た子爵が此処《ここ》に坐っている、扉に鍵を掛け窓を閉めた、呼ばない限りいかなる人間にも邪魔をされる気遣《きづか》いはない、彼はあの画にあるような沈鬱な寂しげな顔をして、じっと孤独な瞑想に耽る、――一杯のコニャックと土耳古《トルコ》煙草があればいい、彼はただ静かさを愛する、集めてある画集はラファエル前派から前期印象派のものが多い、哲学もカントまで、小説は英国作家のものが大部分だ、これらの本を好むままに読んだり眺めたり、またぼんやりもの思いに耽ったりしている、――たった独《ひと》りでだ」

[#6字下げ]四[#「四」は中見出し]

「然しそうだとしても」私は喉《のど》のあたりがむずむずしてきました、「それとこの事件となにか関係があるんですか」
「誰にそんなことがわかるものか、おれはただこの書斎を見て、――」そう云いかけて署長はふと口を噤《つぐ》みました。そのとき仕事机の側にいたのですが、机の上に一冊の本があり、読みかけなのでしょう、栞代《しおりがわ》りに挾《はさ》んだ紙が見えている。署長はその本を取り、ワイルドかと呟《つぶや》きながら、挾んである紙を抜き出しました。本はドリアン・グレイの画像です。私がその頁《ページ》をめくっていると、署長がいま抜き取った紙片を差出しました。「読んでみたまえ」
 受取ってみると、紋章を刷込んである書簡箋《しょかんせん》に、次のようなことが書いてありました。
「この部屋に於《お》ける余の生活を常に見まもり、余の心情を知る者は彼[#「彼」に傍点]だけである、今も彼[#「彼」に傍点]は余を見まもっている、余が死んだ後にも彼[#「彼」に傍点]の胸裡《きょうり》には余の凡《すべ》てが蔵されているだろう」これがその全文です。
「インクの色でみるとまだ書いてから間がないようですね」私は署長に紙を返しました、「然しこれに、――なにか意味があるんでしょうか」
「意味の有無はわからないが、これを眼につく[#「つく」に傍点]ように置いてあったことだけは慥《たし》かだ、そして問題は傍点を打ったこの『彼[#「彼」に傍点]』という三人称だが、――」
 署長は紙片を上衣《うわぎ》の内隠しへしまい、こんどは毀れている両開き扉からベランダへ出ました。そして例の、片方だけ硝子扉の明いている窓から、書斎の中を覗《のぞ》きました。ちょうど正面に子爵の死躰が見えます。――署長はそこからじっと死者の姿を眺めていました。私はその間にベランダの上を調べ、庭へ下りて、第二の兇器が落ちていたという、花壇の沈丁花の付近まで見て歩きました。短刀の在《あ》った位置には目印が立ててあり、五寸ばかりに折った木の枝が置いてあります。私がそのまわりを見ていますと、署長が大きな声で叫びました。
「そこが短刀の落ちていた場所か」
「そうです、此処に印があります」
「じゃちょっとその印の処《ところ》に立っていて呉れたまえ」
 署長はベランダから庭へとび下り(四尺ほどの高さです)芝生《しばふ》の上を歩いて、まっすぐに私の処まで歩いて来ました。さっきまでの渋い顔つきがどことなく晴れやかになり、唇のあたりには微笑が浮んでいるようです。まっすぐに私の側まで来ると、振返って窓のほうを眺め、「よし」と低く呟くのが聞えました。それから大股《おおまた》に戻って書斎の中へはいる、跟《つ》いていってみますと、例の窓の内側から窓枠《まどわく》、硝子扉の辺を頻《しき》りになにか捜す様子です。
「なにか変った事でもあったんですか」
「一つ足らないんだ」こんどは床の上を見まわりながらこう云いました、「たった一つ、それさえあればいいんだが、――」
「どんな物です、捜しましょう」
「どんな物かって、――」署長は片手を腰に当てて溜息をつき、「どんな物かというと、詰り、此処に有る筈《はず》で、無い物さ」
 こう云っているところへ刑事の一人が、「証人の訊問を始めますから」と知らせに来ました。署長は頷《うなず》いて、とにかく聞いて来ようかと云い、監視の巡査を残して書斎を出ました。――広間《ホール》では卓子と椅子を並べ直し、係官もそれぞれの席についてすっかり準備ができていました。署長は設けられた位置よりずっと後ろへ離れ、殆んど壁際に肱掛け椅子を持ってゆき、楽な姿勢でそれへ掛けると、まるで事件には無関係な人のように、腕を組み眼をつぶるのでした。
 訊問には分署の係長が当り、まず女中のお村から始め、他の三人の女中、庭番、下男など、これらを簡単に片づけてから秀次君の番になりました。彼は二十八歳、がっちりした体格《たいかく》で、頬《ほお》から顎《あご》へかけて濃い髭《ひげ》をきれいに剃《そ》っています。噂《うわさ》に依《よ》るとたいへん勤勉な事務家肌の人間で、父や母の遊蕩には決して加わったことがなく、寧《むし》ろこれを冷笑しながら、家産の管理に没頭していたそうです。はっきりした眉、きりっとひき結んだ薄手の唇、冷やかな然し強い光りのある眼つき、言葉少なに要領を得た話しぶりなど、いかにも冷静で非感情な、噂どおりの人柄にみえました。
「私には父の死が自殺か他殺か見当もつきません」秀次君はこう答えました、「元もと父とは事務的な話より他に、親しく口をきいたことが殆んどありませんから、父が近頃どんな精神状態にあったかまるで知らないのです、ただ半年ほど前のことですが、――資産がどうなっているか見たいと云いまして、私の預かっていた帳簿を(これは不動産と銀行関係のものだけですが)取寄せ、十日ばかり独りで調べたことがあります、その帳簿を返すときに、事に依ると資産の一部を分譲するかも知れないから了解するようにと云われました、それはどういう理由かと訊《き》きますと、自分の個人的な問題だから訳は話せないという返辞です」
「それは石田ちか子という婦人が訪《たず》ねて来た後のことですか」

[#6字下げ]五[#「五」は中見出し]

「そうです、慥《たし》かその直後だと思います」秀次君は極めて事務的に続けました、「私は法律上の相続人でもあり、長いあいだ資産の管理をして来た人間として、正当な理由のない財産分譲は承知する訳にまいらないと答えました」
「分譲の相手がなに者であるか想像されましたか、例《たと》えば、石田ちか子ではないかという――」
「いや私はなにも想像しません」秀次君はきっぱり首を振りました、「私は想像や推察に依って物事を判断する習慣をもちませんし、また軽蔑《けいべつ》します、――父はなにも申しませんでしたが、つい一週間ほど前に書斎へ呼ばれました、父は五寸に一尺ほどの麻の封筒を見せまして、この中に財産目録と遺言状が入っている、これをこの中へ入れて置くから、こう云って机の上の手文庫の中へ入れました、さよう、それには鍵は掛らなかったと思います、私は父がなぜそんなことを云うのか理解できませんでしたが、なにか必要があるのだろうと思い、別に理由は訊かずに出て来ました、気がついた事といえばこのくらいのものです」
「貴方《あなた》は今朝九時ごろ、――」係長は手帳へなにか書止めてからこう訊きました、「庭の花壇の付近でなにか捜し物をなさいましたか」
「庭の花壇」秀次君はちょっと考えた後、「あああれは捜し物ではありません、庭をひとまわり散歩したのですが、花壇の処《ところ》まで来たときゴム紐《ひも》が靴にひっ掛ったのです、そのまま通り過ぎたのですが、包み物に使うのを思いついて拾いに引返しただけです」
 係長はなお今朝なにか邸内に変った事はなかったかどうか慥かめ、壁際の椅子に掛けている洋装の若い娘を知っているかと訊きました。秀次君は冷やかに彼女を見やってから、「自分は紹介されたことはないが、石田ちか子という人であることは知っている」と答えました。
「昨日あの婦人が子爵を訪《たず》ねて帰るとき、門の外に待っている男があるのを御覧になったそうですが、その時の容子《ようす》をもういちどお聞かせ下さい」
「夕食の後で私は本町通りまで買物に出ました、経済学に関する本を買うためで、三軒ばかり捜したのち、柳町通りでみつけて帰って来ました、ちょうど門の四五間てまえまで来たときです、玄関の扉が開いて出て来る者がある、と思ったとき、門の石柱に付いている電燈の光りで、その柱の蔭に誰か立っているのが見えました、なんという理由もなくふと足を停《と》めると、玄関から出て来たのは石田ちか子という人で、門の処へ来ると柱の蔭にいた人がなにか云いながらその前へ出ていった、その人は茶色の合外套《あいオーバー》を着て黒いソフトを冠《かぶ》っていたと思います、ちか子という人はたいへん吃驚《びっくり》した容子で、いちど後ろへ跳《と》び退《の》きました、そしてそのときかなり大きな声で、『約束をおやぶりになったのね』と云うのが聞えました、それから急ぎ足にさっさと台町のほうへゆかれる、待っていた人も後を追って見えなくなりました、私の見たのはこれだけです」
 この供述を聞きながら、私はそれとなく石田ちか子を観察していました。彼女は二十三四になるでしょう。理知的な眼の美しい、かなりノーブルな顔だちで、背丈も高く、躯《からだ》ぜんたいに匂うような気品を持っている。然しそのときの表情は硬《かた》く、冷たい反抗的な色を帯びているようにみえました。殊に秀次君が供述を終って退《さが》ったあと、代って係長の前へ呼出されたときそれがいっそう際立つように思えたし、訊問に対する答え方には一種冷笑的な調子さえ感じられました。
「名前は石田ちか子、住所は東京麹町区麹町二丁目十一番地、石田、……ゆき子の長女、年は二十五歳です」
「佐多子爵とはどういう御関係ですか」
「母の知人でございます」
「半年ほど前から四回、貴女は此処《ここ》へ訪ねておいでになったが、それはどういう用件ですか」
「それは申上げる必要がないと思います、この出来事には関係がございませんし、ごく個人的な問題なのですから」
「――――」係長はちょっと髭《ひげ》を噛《か》みましたが、こんどはやや厳《きび》しい調子で、「昨夜ここへ訪ねて来られた用件も、同じ個人的な問題で話せないというのですか」
「そうです、ごの家の御主人の亡《な》くなったこととはまったく関係がないのですから」
「然しどうしてそれがわかるんです、子爵の亡くなった理由を知ってでもいるんですか」
「そんなことは存じません、また決して知りたいとも思いませんわ」彼女はこう云って眉をあげ、「人間はそれほど大きな理由なしにも自殺くらいするものですから、あの方は、――いいえ、わたくしなにも存じません」
「ゆうべ訪問された上き」係長はちょっと間を置いて続けました、「今朝九時にまた来るという約束をなすったのですね、――ふん、そして、約束どおり子爵に会われたのですか」

[#6字下げ]六[#「六」は中見出し]

「はい、それが――」ちか子嬢は眼を伏せ、唇を噛みましたが、すぐに顔をあげて、「それが、扉を叩《ノック》しても返辞がありませんでした、五分ほど待ったのですが、返辞もございませんし、お部屋の中に物音も聞えませんので、そのまま帰ってしまったのです」
「女中にも声をかけずにですか」係長の眼は鋭く彼女の眼に注がれました、「時間の約束までして訪ね、部屋の扉まで叩《ノック》しながら、答えないというだけで取次の者にも黙って帰る、――これはずいぶん変った訪問だと思いますが、どうでしょう」
 彼女は黙っています。返辞ができないというより、その必要を認めないと云いたげな、どこか凛然《りんぜん》とした態度でした。
「ゆうべ門前で貴女《あなた》を待っていた人、そして今日ホテルで御一緒だった人はどういう方ですか」
「わたくしの婚約者でございます」
「その人は子爵と貴女との個人的な問題を知っているのでしょうな」
「はい――或る程度までは知っております」
「例えばですね」係長はここで天床《てんじょう》へ眼をやりながら、「貴女がゆうべ子爵を訪問されたとき、その会話のなかに激しい言葉の応酬があった、子爵は貴女になにか赦《ゆる》しを乞《こ》われた、どうしても赦して呉れないのか、そんなにおまえは残酷なのか、――これに対して貴女が、自分はもっと残酷になりたいと答えられた、こういう問答が殺人の前夜にとり交《か》わされたということは、……どうなすったんです」
 彼女がとつぜん椅子から立上ったのです。その大きな驚愕《きょうがく》の容子は非常にみんなの注意を惹《ひ》きました。「――殺人ですって」彼女は戦《おのの》くようにこう呟《つぶや》きました。
「あの方が、殺された、……のですって」
「自殺とみせかけた殺人、これが現在推定されている状態です、従って昨夜の貴女と子爵の会話が、我われにはかなり重要な意味をもつことになる、そのうえ今朝の訪問の奇妙な帰り方ですね、ゆうべ門の外にいた貴女の婚約者だという青年にしても、例えば貴女には有り得ない残酷な衝動に駆られて」
「そんな事は有りません、そんな事は」彼女は殆んど叫ぶようにこう遮《さえぎ》りました、「――あの方はわたくしが子爵を訪ねることにさえ反対していたんです、どんなに間違ったってそんな事をする筈《はず》は決してございません」
「じゃあ貴女はどうです、子爵との個人的な問題という点で、どうしても赦せない事実という点で、それがぎりぎりに押詰められたとすると、貴女ならその可能性がある訳ですか」
「――――」彼女はきっと唇をひき結びました。
「待たせてある人を呼んで来たまえ」係長が刑事の一人に振返ってこう云いました。刑事は出ていったが、すぐに一人の青年を伴《つ》れて戻りました。それがちか子嬢の婚約者でしょう、三十がらみの、肥えた逞《たくま》しい躰格《たいかく》で、明るい精力的な顔つきをしています。係長は彼をちか子嬢の脇へ招いて、住所姓名から問い始めました。
「鉄村昌三といいます、住所は東京の本郷菊坂、丸ノ内にある東洋人造絹糸の本社で宣伝部に勤めています、――さよう、石田ちか子さんとは今年の二月から婚約の間柄です」
「もちろん、貴方は石田嬢が子爵を訪ねる事情は御承知でしょうな」係長はこう続けました、「そして貴方《あなた》はこの訪問に反対なすったそうだが、それはなにか重大な結果になるような予感でもあったのですか」
「寧《むし》ろ逆の意味ですね、結果はどっちにしろ大したことはないのですが」
「子爵が殺害されたとしてもですか」
「殺《さつ》……」昌三君は明らかに恟《ぎょ》っとしました、「そんな、そんなばかな事が」
「佐多子爵は自殺とみせかけて殺害された、そしてその現場にこれが」こう云って係長は例のロケットを取って見せました、「死躰のすぐ側にこの品が落ちていたのです」
 昌三君は色の変った眼ですばやく石田嬢を見ました。彼女の顔色も明らかに蒼《あお》くなったようです、係長はその瞬間を巧みにとらえ、昌三君に向ってずばりと切込みました。
「これが石田嬢の持ち物だということは御存じの筈です、それとも違いますか」
「わたくしの物でございました」彼女は自分からきっぱりと答えました、「わたくしの物でしたけれど、昨夜ここで、子爵にお返ししたのです」
「返した、――とすると、これは元もと子爵の物だった訳ですか」
「いいえそうではございません、ただ」
 ちか子嬢はそこで口を噤《つぐ》み眼を伏せました。なにか屈辱を感じたような表情です。係長が更に追求しようとすると、向うから署長が暢《のん》びりした声で、「もういいだろう」と云い、腕組みをといて悠《ゆっ》くり椅子から立上りました。
「これで周囲の方たちの事情はだいたいわかったようだし、私も伺っているうちに鍵がみつかったようです、秀次さんと石田さんお二人でどうか書斎へ一緒においで下さい、たぶん凡《すべ》てが明らかになると思いますから」

[#6字下げ]七[#「七」は中見出し]

 分署長と係長、検事局の二人、石田嬢と秀次君、これだけを導いて書斎へ入ると、わが寝ぼけ署長は上衣《うわぎ》の内隠しから例の紙片を取出しながら、「この出来事の外貌《がいぼう》をいちおう考えてみます」と云いだしました。
「女中さんの証言に依ると、今朝六時に子爵は寝室でパンと珈琲《コーヒー》の朝食をとられた、そして同じく十時過ぎ、死躰《したい》となって発見された、二本の短刀に依る心臓部刺傷の死で、医師の検按《けんあん》は死後約二時間ということです、――死躰のすぐ脇にロケットが落ちていたのと、庭から兇器の一つが発見されたこと、もう一つ手文庫の中から書類が紛失していたこと、この三つが他殺の疑いを起こし、前後の関係から石田ちか子さんに嫌疑が掛って連行された、但し、――この書斎は有ゆる出入口が内側から厳重に閉められてあり、一つだけ明いていた窓には鉄の格子が篏まっている、殺人とすればいわゆる密室殺人というかたちで、犯人(有るとすれば)がどこから入ってどう出たか出入りしないとすればどんな方法で殺したか、この点が問題の中心であります、然し私はさっきこの部屋を捜査しているとき、仕事机の上にある本の中から、こういう紙片をみつけました」署長はそう云いながら取出した紙片を示し、「本に挾《はさ》んであったのですが、いかにも人眼につき易《やす》いようにしてあるので、取ってみるとこういう文句が書いてありました、――この部屋に於《お》ける余の生活を常に見まもり、余の心情を知る者は彼[#「彼」に傍点]だけである、今も彼[#「彼」に傍点]は余を見まもっている、余が死んだ後にも彼[#「彼」に傍点]の胸裡《きょうり》には余の凡てが蔵されているだろう、これだけです」
 署長はその紙片を係官たちに見せてから、「さて」といって仕事机に片手を置き、悠くりと次のように続けました。「仮にこの文句になにか意味が隠されているとして、その彼[#「彼」に傍点]というのがなに者であるか、子爵の許しがない限り誰も出入りのできないこの部屋で、常に子爵の生活を見ており、その気持まで知っていたという人物、――この不可解な人物が誰であるか、私は訊問を聞きながら考えていたのです、そしてこういうことを想像してみた」署長はちょっと言葉を切り、部屋の周囲をゆっくりと見まわしながら、「――初めこの書斎を眺《なが》めたとき、私は一種の驚きと感慨にうたれたのです、子爵の生活はたいへん華やかで、御令息には失礼ですが、殆んど遊蕩《ゆうとう》に明《あ》け昏《く》れするという状態が続いていた、社交界のゴシップは子爵を離れては存在しない、そういう生活がなが年続いて来た、――だがこの書斎は到底そういう人のものとは思えない、この造り方も家具も蔵書も、飾り付けも、非常に孤独癖があり閑居を好む人の部屋と思えるのです、あんなに華美|豪奢《ごうしゃ》な遊蕩に耽《ふけ》り、社交界の花形と謳《うた》われた子爵は、実は極めて孤独な、静かに閑居することを好む人ではなかっただろうか――こう想像してきたとき、私にはこの紙に書いてある彼[#「彼」に傍点]の意味がわかるように思いました、子爵の生活には二つの面があった、彼とはその一方の子爵自身を指す訳です、そしてこの部屋で常に子爵を見まもっていたもう一人の子爵、今も見ているし、死んだ後には子爵の凡てを胸にしまっているという文字、これは――」署長はしずかに片手をあげて、壁に掲げてある肖像画を指さしました、「これはあの肖像画を暗示しているのではないだろうか」
 人々は一斉にそっちへ振返りました、暗い配色で描かれたあの肖像画のほうへ、――冷やかに憂鬱な表情で、肖像はそこから我われを見下ろしています。私はそのときさっき眺めたときとは違った、へんに生なましい圧《お》しつけられるような印象を受けました。
「紙に書いてある文句の終りに」署長は画のほうへ歩み寄りながら、「――余が死んだ後にも余の凡ては彼の胸裡にある、こう結んでありますが、これが今まで述べた私の想像を裏書きして呉れると思うのです、ちょっと手を貸して呉れたまえ」
 私にこう云って、署長は肖像画を取下ろしに掛りました。それは眼どおりに掲げてあるのですぐ下ろせます。署長は画を喫煙卓子の上へ裏返しに置き、しずかに裏蓋《うらぶた》を取外《とりはず》しました。それから押えの板紙を除くと、そこに――大きな麻の封筒の隠されてあるのが見えたのです。誰からともなく、深い溜息《ためいき》の声が聞えました。
「御令息に伺いますが、手文庫の中から紛失したのは是れでしょうか」署長は麻の封筒を取って秀次君に示し、それに違いないことを慥《たし》かめると封《ふう》じ紐《ひも》を解きながら、「この中には子爵の死の謎《なぞ》も隠されていると思いますし、子爵の目的もそこにあると信ずる理由があるので、私がここで開封させて貰います」
 そして封筒を明け、中から三っの書き物を取出しました。孰《いず》れも薄い巻紙に毛筆で書いたもので、一には「財産目録」二には「遺言状」とあり、第三の裏には「吾《わ》が告白」というのに添えて、――検察官に依って披読されることを望む、ということが書いてありました。署長はそれを人々に示したうえ、「どうか皆さん掛けて下さい」と云い、自分も仕事机の回転椅子に掛けました。検察官に読んで貰いたいという、このふしぎな告白にはどんな秘密があるのでしょう。室内にいる人たちはそれぞれの興味と好奇心に唆《そそ》られながら、ソファや椅子に腰掛けて、じっと署長の朗読に聞き入ったのです。
「――ちか子よ、これが読まれる席には、恐らくおまえがいるに違いない、なぜなら自分はそうなるように手段を講ずる筈《はず》だし、その方法には狂いがないと信ずるから」告白はこういう書出しで始まっていました。

[#6字下げ]八[#「八」は中見出し]

 詠嘆調の然し簡潔な文章でしたが、ここでは要点だけ申上げましょう、――亡き英一氏は秋田県でも知名な豪農の家に生れ、大学の工科に在学中から佐多家に出入りしていた。これは当時建築界で高名な仁田博士が、彼の師であると同時に亡佐多子爵の旧友で、初めから彼を佐多家の養子に推すための計らいだった。佐多家には未亡人と二人の娘がいて、子爵の亡くなったあと渋谷|松濤《しょうとう》に新しい邸宅を構え、未亡人の好みで相当派手な生活をしていた。これは亡子爵が鉱山業で巨富を得ながら、殆んど吝嗇《りんしょく》に近い性格だった反動かも知れない。娘二人も母に似ていて、その解放的な家庭には常に多くの青年たちや、音楽家、舞踊家、俳優などが出入りしていた。やがて英一氏は姉娘の園江と婚約ができ、卒業と同時に結婚する筈になったが、或る夜、例のように学生や俳優や音楽家などが集まって、飲み歌い踊りの騒ぎをやっていたとき、廊下の暗がりで妹娘の貞子にむりやり接吻《せっぷん》をされた。そのとき貞子は彼に意外なことを囁《ささや》いたのである。「お気をつけなさい、お姉さまには恋人があるのよ」そして吃驚《びっくり》している彼の首に手をまわしながら、「貴方を本当に愛しているのはわたくしだわ」こう云った。……英一氏は園江を疑いだした。然し元もと解放的な家庭だし生活が享楽的なので、疑えばなにもかも疑わしいが、なにも無いと思えば無いようでもある。ちょっとなにか云いでもすると、「貴方にはまだそんなことを仰《おっ》しゃる権利はない筈よ」と高びしゃに答える有様で、学校を出るまで疑惑の解けない苛《いら》いらした日が続いた。そして卒業して結婚の日取も五月某日と定ったとき、園江は、舞踊家Tと出奔し、そのまま一緒に仏蘭西《フランス》へ去ってしまった。「そのとき自分は佐多家と絶縁すべきであった」子爵の告白はこう繰り返し強調してある。なにを措いても「絶縁し佐多家を去るべきであった」と。――然し仁田博士の責任感と、醜聞を糊塗《こと》しようとする未亡人と、そして貞子のふしぎなくらい積極的な希望とで、婚約は改めて貞子と結ばれ、その年の十一月に結婚式が挙げられた。だが式場から箱根へ新婚旅行に出たその夜、貞子がもはや処女でないことを彼は知った。「だって、なぜ」とそのとき貞子は驕慢《きょうまん》に微笑した、「そんなことになにか意味があると思ってらっしゃるの、――だとしたら女性ぜんたいに対する侮辱だわ」そして彼女は寝台から下りて、飲み残したコニャックを啜《すす》り煙草をふかした、「因習は生活の弁護よ、自由に生活のできる者が因習に縛られるのは愚劣でもあり寧ろ不道徳だわ、私たちは有ゆる感覚を充分に満足させ、生命の与えて呉れる快楽をできるだけ多く味わって生きるのよ、それが人間というものだわ」英一氏は離婚する覚悟で東京へ帰った。然し泣き叫ぶ未亡人と、恩師の慰撫《いぶ》と、周囲の嘲笑《ちょうしょう》を惧《おそ》れる彼自身の虚栄心とで、遂《つい》に離婚の決心は崩れてしまい、享楽と耽溺《たんでき》の生活が始まった。厭悪《えんお》と侮蔑《ぶべつ》に面を外向《そむ》けながら、どうしようもない惰性と虚無感で、彼もずるずると同じ渦の中へ巻込まれていった。
 佐多家に亡子爵の友人の孤児でゆき[#「ゆき」に傍点]という娘が養われていた。子爵の生きているあいだは娘たちと同じ扱いを受けていたが、その歿後、特に松濤の邸《やしき》へ移ってからは、いつかしら小間使のような位置におちてしまった。然しそんなことを悲しんだり恨んだりする風はなかった。明るいすなおな性質で、眼もとに毎《いつ》も柔らかい微笑を湛《たた》えている。――貞子と結婚した年のクリスマス・イブのことだった。十二時の時計を合図に広間《ホール》の電燈を消したとき、金田という作曲家と踊っていた妻が、大胆に相手と接吻するのをみつけた。そこは窓際に近くかなり明るかったので、まわりにいた二三の組にもわかったようだ。一分して電燈が点《つ》くと、再び動きだした踊りの群の中で、英一氏は金田の腕を掴《つか》んで引寄せ、なにも云わずに烈しい平手打ちをくれた。未亡人が悲鳴をあげ、妻は冷笑した。そして再び金田の腕を取ると、客たちを伴《つ》れてどこかへ出ていった。――唯一人、後に残った英一氏は、居間へ籠《こも》って強い酒を呷《あお》った。悔恨と自己否定、泥酔した彼は酒壜《さかびん》や杯を打破《うちわ》り、床の上に倒れて呻吟《しんぎん》した。その物音を聞きつけてゆき[#「ゆき」に傍点]が来た。彼女は毀《こわ》れ物《もの》を片付け、彼を援《たす》け起こし、硝子《ガラス》の破片で切った指の傷の手当をして呉れた。そしてそれをしながら「英一さまがこんなにおなりになるなんて、――」こう呟《つぶや》いてはおろおろと泣いた、「あんまりだわ、あんまりだわ、――」彼はゆき[#「ゆき」に傍点]の呟きを聞きその涙を見た。そして溺《おぼ》れる者が救いを求めるように彼女のほうへ手を差伸ばした。
「自分の生涯を通じて最も純粋で素朴な瞬間であった」子爵の告白はこう書いている、「――そして二人のあいだに愛が生れた」英一氏はゆき[#「ゆき」に傍点]の愛に依って生き直そうと心をきめ、仁田博士の後援の下に建築事務所を開いた。その事業がやや動き始めたとき、五カ月の身重の躯でゆき[#「ゆき」に傍点]が失踪《しっそう》した。「いつまでも貴方をお愛し致します」という一行の文字を遺《のこ》して――。

[#6字下げ]九[#「九」は中見出し]

 英一氏は方法を尽してゆき[#「ゆき」に傍点]を捜した。二年間。だがやがて希望を失った。ゆき[#「ゆき」に傍点]の気持がしだいにわかってきたのだ。彼女はいつかこう云ったことがある。「どんなに真実な愛でも、そのために誰かを不幸にしたり、他から恨まれたりするようでは、本当でもなし幸福でもない」彼女の云う意味は単純ではなかった。養育された佐多家への恩や、未亡人や貞子の怒りや、その醜聞が及ぼす彼の将来への責任など、色いろな感情が複合していたに違いない。そして自分たちの愛を他の犠牲や憎悪《ぞうお》から清潔に守ろうとする、最も純粋な決心で家を出たのである。英一氏は捜すことを断念し、同時に事業も抛《なげう》って遊蕩《ゆうとう》に没頭した。――この市へ移ったのは未亡人が脳溢血で急死するとすぐだった。養子に入れた秀次君は未亡人の実家の妹の子であるが、英一氏にも夫人にも愛情はなく、彼のほうでも養父母には軽侮と冷笑しか感じなかった。「ながい年月の遊蕩|耽溺《たんでき》を今さら意味付けようとは思わない、歓楽は恒《つね》に空《むな》しく絶望的なものだ、唯一つ、自分には書斎に籠《こも》る幸福な時間があった、誰にも邪魔をされることなくそこでもの思いに耽《ふけ》ったり本を読みちらしたりする、そのとき想いに浮ぶのはゆき[#「ゆき」に傍点]のことであった、ゆき[#「ゆき」に傍点]の産んだであろう自分の子のことであった、自分は毎もまざまざと『英一さまがこんなにおなりなさるなんて』というゆき[#「ゆき」に傍点]の呟きを思い返した、あんまりだわ、あんまりだわ、――というあの呟きの声を」そして英一氏は机の上に身を伏せたまま少年のように泣くという。
「ちか子よ、この時間だけが私の救いだった、この時間だけはゆき[#「ゆき」に傍点]と語りおまえを愛することで人間らしく生きた、空想のなかでおまえは男だったが、私はおまえを膝《ひざ》に抱き、好みの服を着せ、通学する姿を眺《なが》め楽しんだ、現実よりは、書斎にいる孤独な空想の時間のほうが、私には本当の生活だったのである、半年まえに、突然おまえが現われたときの、私の驚きと歓《よろこ》びの大きさはおまえには想像もできないだろう、ゆき[#「ゆき」に傍点]が独身をとおしておまえを育てあげたことは、おまえの話を聞くまでもなく私には想像がついた、今こそ始まるのだ、私とゆき[#「ゆき」に傍点]との愛が、誰の犠牲や憎悪《ぞうお》もなしに今こそ始まるのだ、こう考えることがどんなに深く私を幸福にし力を与えたか、それもおまえにはわかるまい、――然しおまえは結婚しようとしていた、そのために、戸籍から私生児という名を除く認知を求めに来ただけだ、私が父だということも、ゆき[#「ゆき」に傍点]と私との愛が純粋だったということも、おまえは認めようとしない、そしておまえは私を『憎む』とはっきり云った、どうしようがあろう、私は認知する約束をしておまえを帰した、それ以後、おまえは四たび此処《ここ》へ来ている、私が約束だけで実際にその手続きをとらなかったから、――私には出来なかった、認知をしてしまえばおまえは再び来はしないだろう、だから少しでも長くおまえに会うために、そして万一にもゆき[#「ゆき」に傍点]と会える機会があるかと思って、今日まで延ばし延ばしして来たのだ、然し四度めの今夜、おまえはゆき[#「ゆき」に傍点]の秘蔵していた(私たちの慎《つつ》ましい記念である)ロケットを返し私に最後の宣告をした、もう認知は求めない、そして死ぬまで憎み続けるだろうと、――これが私にとってどんな罰であったかは云うまい、私は本当に手続きをとることを誓い、明日もういちど来るようにと頼んだ、そしておまえは(たぶん間違いなく)此処へ来ているだろう、必要な書類は机の右側の抽出《ひきだし》の三番めに入っている、それから遺言書の中に、少し許りだがおまえに遺産を分けて置いた、これまで三度ともおまえは冷笑を以て拒絶したが、私が死んだ以上は受取って呉れるものと信ずる、私が児戯に等しい方法で死ぬ理由の重要な一は、私の正当な子に当然受けるべき資産の幾分かを与えたいためだ、私は既になにものをも信ずることのできない人間になっている、だから遺言書の公開に当っては検察官の立会が必要だったのだ。
 冗長なこの告白がおまえにどんな感じを与えるかわからない、私の生涯はこういうものだった、なんの弁解もなしにおまえに示す。おまえの母はその愛を純粋に完《まっと》うするため愛人から去った、おまえならまったく違った方法で生きたろう、時代の差もあり性格の差もある、然し母の生き方を軽蔑《けいべつ》したり嘲《あざけ》ってはならない、結果だけで人間を判断することくらい誤りはないものだから、――私は私なりの歌をうたった、そして今、その歌を終る、幸福であるように」
 署長の朗読は終りました。その告白が人々にどんな感動を与えたかは云う必要がないでしょう。ただ秀次君が依然として無関心な傍観的態度でいたのと、ちか子嬢が眼を涙でいっぱいにしながら、然し昂然《こうぜん》と額をあげていた姿だけは記憶に残っています。
 遺言状の公開があり、遺産分配の件が片付くと、石田嬢は認知の書類を受取りました。問題は子爵の死の疑問だけです。
「それはごく簡単なことさ」署長は玄だ告白文から受けた感情にとらえられているとみえ、浮かない眼つきで秀次君のほうを見ました、「――貴方《あなた》は庭で今朝ゴム紐《ひも》を拾われたそうですが、それはまだお持ちですか」
「有ります、持って来ますか」
 秀次君は自分の部屋へいってそれを取って来ました。それは五分幅で長さ三尺ばかりの輪へ、もう一つやや狭い幅三分に長さ五尺ほどの輪をつないだもので、詰り大小二つのゴム紐が輪になっているのでした。
「子爵はこうやったんだ」署長はそのゴム紐を持って窓の側へゆき、太い方の輪を窓の鉄格子《てつごうし》へまわし、その中央から細い方の輪をこっちへ引きました。「この輪へ短刀の柄を絡《から》んで引いて来る、そして二本の短刀で刺し、手を放すと一本だけゴム紐の弾力で庭へ飛ばす、これだけの事だったのさ、――念のためなら誰かやってみるがいい、僕はお先に失敬する」
 署長は検事局や分署の人たちに挨拶《あいさつ》して佐多邸を出ました。「気の毒な人だ」車が走りだすと間もなく、署長は眼をつむってこう呟きました。
「然し遺書の公開に検察宮の立会を求めたかったにしても」私はなにかちぐはぐな感じがとれないのでこう訊《き》きました、「あんな取って付けたような方法をとる必要があったでしょうか、そこが少し腑《ふ》におちないんですが」
「君の腑におちなくったって子爵はそうしたかったんだ」署長はむっとした調子でこう云いました、「半身が不自由だということもある、秀次という青年の性質、どうしても自分の娘に資産を遺《のこ》したいという焦《あせ》った気持――理由を挙げれば幾らでもあるだろう、然し要するに子爵の生活がこういう結果へ導いたんだ、私は私なりに歌をうたった、……これが凡《すべ》ての説明だよ」
 署長は「ポルカは終った」と仰《おっ》しゃいましたね、こう云おうとして私は黙りました。この偶然の暗合が、なにやら運命的なものに考えられたからです。暫くして署長はまた深い溜息《ためいき》をつき、低い声でこう呟くのでした。「――だがあの娘には良い人生があるだろう、親たちの生きられなかった人生を、あの娘はきっと自分のものにするに違いない、いい眼をしていたからな」



底本:「山本周五郎全集第四巻 寝ぼけ署長・火の杯」新潮社
   1984(昭和59)年1月25日 発行
入力:特定非営利活動法人はるかぜ

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