ピーチと二号! 生まれる救世の光!!(後編) ◆LuuKRM2PEg



【1日目/昼前】
【E-2/森】


【石堀光彦@ウルトラマンネクサス】
[状態]:健康、仮面ライダーアクセルに変身中、凪を抱えている。
[装備]:Kar98k(korrosion弾6/8)@仮面ライダーSPIRITS、アクセルドライバー@仮面ライダーW、ガイアメモリ(アクセル、トライアル)@仮面ライダーW、エンジンブレード+エンジンメモリ@仮面ライダーW
[道具]:支給品一式、メモレイサー@ウルトラマンネクサス、110のシャンプー@らんま1/2
[思考]
基本:今は「石堀光彦」として行動する
0:凪を守りながら涼村暁と黒岩省吾を保護する。
1:周囲を利用し、加頭を倒し元の世界に戻る
2:今、凪に死なれると計画が狂う……
3:凪と暁と黒岩と共に森を通って市街地に向かう
4:孤門、姫矢、つぼみの仲間を捜す
5:都合の悪い記憶はメモレイサーで消去する
6:加頭の「願いを叶える」という言葉が信用できるとわかった場合は……
[備考]
※参戦時期は姫矢編の後半ごろ。
※今の彼にダークザギへの変身能力があるかは不明です(原作ではネクサスの光を変換する必要があります)。
※ハトプリ勢、およびフレプリ勢についてプリキュア関連の秘密も含めて聞きました
※良牙が発した気柱を目撃しています。
※つぼみからプリキュア、砂漠の使徒、サラマンダー男爵について聞きました
※殺し合いの技術提供にTLTが関わっている可能性を考えています

【西条凪@ウルトラマンネクサス】
[状態]:疲労(中)、ダメージ(中)、気絶中
[装備]:コルトパイソン+執行実包(2/6)
[道具]:支給品一式、ガイアメモリ説明書、.357マグナム弾(執行実包×18、神経断裂弾@仮面ライダークウガ×8)、照井竜のランダム支給品1~3個、相羽ミユキのランダム支給品1~3個、テッククリスタル@宇宙の騎士テッカマンブレード
[思考]
基本:人に害を成す人外の存在を全滅させる。
0:…………(気絶中)
1:一文字隼人と共に暗黒騎士キバを倒す。
2:状況に応じて、仮面ライダーアクセルに変身して戦う。
3:孤門、石堀と合流する。
4:相手が人間であろうと向かってくる相手には容赦しない。
5:五代雄介、美樹さやかの事を危険な存在と判断したら殺す。
[備考]
※参戦時期はEpisode.31の後で、Episode.32の前
※さやかは完全に死んでいて、助けることはできないと思っています
※まどか、マミは溝呂木に殺害された可能性があると思っています


【涼村暁@超光戦士シャンゼリオン】
[状態]:ダメージ(中)、疲労(大)、汗だく
[装備]:シャンバイザー@超光戦士シャンゼリオン、スカルメモリ&ロストドライバー@仮面ライダーW
[道具]:支給品一式(ペットボトル一本消費)、首輪(ほむら)
[思考]
基本:願いを叶えるために優勝する………………(?)
1:石堀、黒岩と行動し、黒岩が変な事をしないよう見張る。
2:何故黒岩が自分のことを知っているのか疑問。
3:可愛い女の子を見つけたらまずはナンパ。
4:ラブちゃん、大丈夫なのか……?
[備考]
※第2話「ノーテンキラキラ」途中(橘朱美と喧嘩になる前)からの参戦です。
 つまりまだ黒岩省吾とは面識がありません(リクシンキ、ホウジンキ、クウレツキのことも知らない)
※ほむら経由で魔法少女の事についてある程度聞きました。但し、まどかの名前等知り合いの事については全く聞いていません。
※黒岩はダークザイドなのではないかと思っています。


【黒岩省吾@超光戦士シャンゼリオン】
[状態]:健康
[装備]:デリンジャー(2/2)
[道具]:支給品一式、ランダム支給品0~2
[思考]
基本:周囲を利用して加頭を倒す
1:あくまで東京都知事として紳士的に行動する
2:涼村暁との決着をつける ……つもり、なのだが……
3:人間でもダークザイドでもない存在を警戒
4:元の世界に帰って地盤を固めたら、ラビリンスやブラックホールの力を手に入れる
5:井坂とティアナが何を考えていようとも、最終的には自分が勝つ。
6:桃園ラブに関しては、再び自分の前に現れるのならまた利用する。
7:涼村暁が石堀光彦に妙なことを口走らないよう、警戒する。
[備考]
※参戦時期は東京都知事になってから東京国皇帝となるまでのどこか。
※NEVER、砂漠の使徒、テッカマンはダークザイドと同等又はそれ以上の生命力の持主と推測しています。(ラブ達の戦いを見て確信を深めました)
※ラブからプリキュアやラビリンス、ブラックホール、魔法少女や魔女などについて話を聞きました 。
※暁は何らかの理由で頭が完全におかしくなったのだと思っています。





 仮面ライダー二号は暗黒騎士キバの斬撃をかわし続けながら、ひたすら反撃の機会を窺っている。石堀光彦も彼の上官である西条凪も逃がした今、一人で戦わなければならない。
 もっとも、それ自体は慣れているのだが相手が悪すぎた。がんがんじいの偽物な割には頑丈で素早く、しかも剣術の技量が異様なまでに高い。
 認めるのは反吐が出るが、キバは自分より強かった。これまでの戦いでも、沖一也や石堀達の乱入が無ければ確実に負けている。加えて今は二度にも渡るキバとの戦いや、タイガーロイドの襲撃による疲労が完全に癒えてない状態だった。
 無論、それに諦めて死を選ぶ二号ではない。石堀や一也達と再び出会うと約束したのだし、何よりも散ってしまった者達に報いることはできなかった。

(それにあいつらだって……特に本郷なら、どんなハンデを背負ったとしても負けなかった。俺がそのくらいのことをしなくて、どうする!)

 この島のどこかで、誰かを守るために死んでいったはずの本郷猛に約束を交わしたのだから、倒れるつもりは毛頭ない。キバによって与えられた刀傷が痛むも、死んでしまった者達に比べたら何てこともなかった。
 キバが持つ漆黒の剣による太刀筋を、二号は横に跳んで避ける。それにより、名も知らぬ植物もろとも地面に傷が刻まれていった。こんな小さな命すらも奪われたことに、少しだけ良心の呵責を感じながらも赤い拳を振るう。
 その顔面にクリーンヒットするが、やはりキバは揺るがない。続くように反対側の手で殴りつけるが、結果は同じだった。
 埒が明かないと思いながら二号がバックステップを取るのと同時に、キバの斬撃が繰り出されて胸板にまたしても傷が刻まれる。ダメージ自体はそこまで酷くないが、かなり蓄積されているので、これ以上受けると流石に危険だった。

「中々粘るようだが……そろそろ終わらせて貰うぞ、仮面ライダー二号」

 そして、そんな二号の焦りを見透かしたかのようにキバが嘲りの言葉をぶつけてくる。
 猛獣を模した仮面の下で、黒装束を纏った名も知らぬ男は笑っているに違いない。それに怒りを覚えるも、明らかな挑発に惑わされる二号ではなかった。
 猛る感情をすぐに抑えつけて、仮面の下から静かにキバを睨みつける。

「それはこっちの台詞だ……いい加減、しつこいんだよ」
「そうか」

 二号は対抗するように煽るも、キバはただ頷くだけだった。
 その反応を見た二号は、つまらねえ奴だなと心中で呟く。直後、キバは漆黒の刃に右手を添えてきた。

「ならば、終わらせてやろう」

 殺意に満ちた宣言と共に、掌と刃を擦れ合わせる。すると灼熱が噴出するのを見て、二号は思わず身構えた。
 それは先程、仮面ライダーアクセルに変身した凪を軽く吹き飛ばした一撃に用いられた炎。その威力は彼女を戦闘不能にまで追い込むほどだから、かなり高いはずだった。
 しかしそれでも、最後まで諦めるわけにはいかない。例え勝てないとしても、石堀達を逃がすための時間稼ぎになるのなら、それで結構。

(一か八か、ライダーキックをやってみるか!)

 相手が必殺技でかかってくるなら、こっちも必殺技で抵抗するだけ。キックと剣の激突で身体が吹き飛ぶ可能性もあるだろうが、それに怖がっていたら仮面ライダーをやってられない。
 剣を構えるキバと睨み合いながら、二号は全身に力を込めながら腰を落とす。そして、キバが疾走するタイミングを見計らって飛び上がろうと考えた、その直後だった。

「プリキュア! ラブ・サンシャイィィィィィィンッ!」

 少女の叫び声が二号の耳を打ち、眩い桃色の光が太陽と混じりながら周囲を照らす。
 こちらを両断しようとしていたはずのキバは振り向くと同時に構えを解いて、背後に飛び退いた。それにより、キバの立っていた場所を桃色の光線が一瞬で横切っていく。
 必殺技を受けずに済んだのは幸いだろうが、二号はその喜びを嚙み締めることはできなかった。

「プリキュア……だと?」

 聞き覚えのある単語を反芻しながら、二号は光が発射された方に振り向く。見ると、ここから数メートル離れた先から、輝いて見えるような金色でツインテールを結んで、鮮やかな桃と白を基調にした衣服を着ている少女が近づいていた。
 二号はその煌びやかな格好に、デジャブを抱いている。洋服や飾りの形状こそは違うが、雰囲気は何処となくキュアブロッサムを思い出させた。つまり彼女こそ、キュアブロッサムの仲間であるプリキュアの一人と考えて、間違いない。
 そう推測した二号の隣に、現れた少女は隣に駆け寄ってくる。その真摯な表情からは敵意が感じられないので、やはり味方だと考えて間違いはなかった。

「大丈夫ですか、仮面ライダー二号!?」
「ああ……君はもしかして、キュアブロッサムと同じプリキュアなのか?」
「はい、あたしはキュアピーチです! 石堀さんから、あなたがあの一文字隼人さんだってことも聞いてます!」
「なるほど」

 力強くて眩い笑顔を前に、二号は頷く。
 記憶が正しければ、キュアピーチとは桃園ラブという少女が変身するプリキュアのはずだった。それに、つぼみ達よりも少し先輩らしい。
 そんな彼女が助っ人に現れるのは嬉しいが、同時に少しだけ心苦しくなる。恐らく彼女は石堀の制止を振り切ってまでわざわざ駆けつけてくれたのだろうが、キバに勝てるかどうかは別だった。
 無論、アクセルから与えられたダメージは残っているだろうが、それでも奴の戦意は微塵にも衰えない。

「色々と話はあるけどな、まずはあの野郎を何とかするか? キュアピーチ、奴はかなり強い……気を引き締めて行こうぜ」

 だが、二号は怖気づくことなどしなかった。
 ここで少しでも震えては石堀達の元に戻れないし、何よりもこうして現れたキュアピーチの想いを裏切るだけ。彼女は自分を信頼しているのだから、それに全力で答えなければならなかった。
 キュアピーチと力を合わせてキバを倒し、石堀達に無事であるとこの身で証明する。そして、ラブとつぼみを再会させて殺し合いを止めるまでは絶対に死ねなかった。

「勿論です! あいつを倒してから、みんなの所に戻って……それからつぼみちゃん達と合流しましょう!」
「ああ!」

 活力に満ちた言葉をぶつけあった後、二人は同時に暗黒騎士キバの方に振り向く。
 その漆黒はおぞましさを感じさせるほどに濃く、太陽の光を容赦なく塗り潰さんとする雰囲気を醸し出していた。

「愚かな……例え何人増えようとも、我が暗闇の前では塵に等しい。あの男と共に逃げていれば、命が延びただろうに……」

 そして当のキバは相変わらず気取ったような態度で、見下すような口を利いている。凄まじい殺気が感じられるが、二号はあまり脅威と感じない。
 念の為、キュアピーチに目を呉れてみたが、キバの邪念を前にしても怯えてるようには見えなかった。やはり多くの修羅場を切り抜けてきたのだから、この程度で怖気づくこともないのだろう。
 キュアピーチへの頼もしさを感じながら、二号はキバに向かって走り始めた。
 当然ながらキバも疾走してきて、その剣を横に振るってくるが二号は少し屈んだことで回避し、そこから燃え上がる炎の如く赤い拳を漆黒の装甲に叩き込む。
 打撃音が鈍く響いた瞬間、一瞬で腕を引いて反対側の拳で胴体を殴った。そこからマシンガンのように連打をするが、キバもただ黙って受けている訳ではなく、体制を少しずらしながら回避し、そこから得物を振るおうと腕を掲げてくるのを二号は見る。

「やああああああぁぁぁぁっ!」

 直後、キバの一閃を避けることに神経を集中させた二号の鼓膜に、キュアピーチの叫び声が響いた。
 視界の外から、飛び出てくるかのようにキュアピーチが姿を現して、そのまま勢いよくキバの肉体を殴りつける。その衝撃によって鳴った音は凄まじく、キバは微かによろめいた。
 そこからキュアピーチは二号と入れ替わるかのように進撃して、しなやかな右足で蹴りを繰り出す。彼女の一撃は見事、キバの脇腹に命中した。
 彼女が素早く足を引いた後、キバはその手に握る剣を斜め下に振るう。だがキュアピーチは迫り来る斬撃を、横に跳ぶことで軽々と回避した。
 中学生程度の華奢な体形に似合わず、その身体能力はかなりの物かもしれない。きっと、BADANの怪人相手でも引けを取らないだろう。もしも彼女やキュアブロッサムが自分達の世界にいてくれたら、きっと後輩ライダーやSPIRITS部隊の大きな力となっていたかもしれない。

(っと、こんなことを考えても仕方がない……あいつらにはあいつらの世界で役目がある。俺達の世界の問題を、あいつらに押し付けてどうするんだ)

 そう自らを叱責しながら、二号はいつもの変身ポーズを構えてライダーベルトのパワースイッチを起動させる。
 カチリ、と改造された肉体に埋め込まれたパーツが稼働する音が、耳に響いた。

「ライダー……パワー!」

 そんな二号の叫びに答えるかのようにライダーベルトの風車が回転し、力が身体の奥底から溢れ出てくる。
 これまでの戦いでは一対一を強いられていたので余裕がなかったが、今回はキュアピーチという名の強い味方がいた。戦えるからとはいえ、ただの女子中学生に任せるのは気が引ける。だがそんなのを気にしている場合ではないし、何よりも考えていたら彼女に失礼だ。
 そんなキュアピーチは今、キバが振るう刃より放たれる漆黒のかまいたちを、左右に跳んで一生懸命に避けている。しかしその量と速度は凄まじく、僅かとはいえ肌が確実に切り裂かれていた。
 しかも標的から避けられた衝撃波は周囲に激突した後、轟音と共に大爆発を起こす。そんな攻撃をまともに受けたら、いくら彼女でも危ないはずだ。
 そう危機感を覚えた二号は急いで地面を蹴り、全身全霊を込めて疾走する。数歩進んだ後、キバがキュアピーチから振り向くのと同時に彼は飛び上がり、宙で前転をした。

「ライダー……キイィィィィィィィック!」

 雄叫びと共に蹴りの体制に入った二号は、眼下に立つキバが掌で刃を滑らせるのを見る。キバが握る得物の刀身から漏れる灼熱は、そのまま暗黒色の鎧を巻き込んでいった。
 どうやら、奴は確実にこちらを潰しにかかっているようだと、二号は思う。必殺技同士の勝負に出るというなら、望むところだ。
 どの道、決着を付けなければいけないのだから、奴を完膚なきまでに叩きのめさなければ気が済まない。可能性は低いだろうが、今はキュアピーチという頼れる仲間がそばにいるのだから、負けられなかった。
 やがてキバも対抗するように跳躍して、全ての存在を燃やし尽くしかねない灼熱を纏った刃を、勢いよく振るう。
 そうして、仮面ライダー二号の蹴りと暗黒騎士キバの一閃は空中で衝突し、再び大爆発を起こした。




「仮面ライダーッ!」

 数メートル上空で燃え上がる爆炎の熱が肌に突き刺さる中、キュアピーチは頼れる先輩の名前を呼ぶ。
 無差別に広がる爆風は大気をピリピリと振動させて、灼熱は地面に飛び散った。あんな爆発に巻き込まれたら、どんなに強い戦士だろうと無事でいられるとは到底思えない。
 強い不安が胸中に広がっていった瞬間、爆発の中から仮面ライダー二号が飛び出してきて、そのまま落下した。
 勢いよく地面を転がる彼の元にキュアピーチは駆けつけて、その身体を抱える。

「大丈夫ですか、仮面ライダー!?」
「何、大丈夫だ……わざわざ、悪いな」

 仮面の下から聞こえてくる声は震えていて、まるで蚊が鳴いているようだった。
 本人は大丈夫だなんていっているが、全然そんな風には見えない。どう考えたって、戦えるような状態ではなかった。
 一刻も早く二号をここから逃がしたい。キュアピーチがそう思うのと同時に、背後から大地を踏み締める足音が聞こえてきた。また、凄まじい殺気が背筋に突き刺さるのを感じて、彼女は振り向く。
 大輪の炎から生まれた熱によって陽炎が起きて、大気がゆらゆらと揺れる中で暗黒の騎士が近づいてくるのを見た。その狼を模した禍々しい仮面からは、射抜くような鋭い視線が感じられる。
 キバの歩みは威風堂々としていて、未だに戦えるということを実に物語っていた。

「キ、キバ……!」
「震えることはない、すぐに永遠の闇へ送ってくれる」

 冷酷無常な言葉をぶつけながら剣を構えるキバに、キュアピーチは戦慄しながらも睨み返す。
 ほんの少しだけとはいえ戦闘を繰り広げたが、キバはとても強いとキュアピーチは察していた。その実力はあのテッカマンランスと同等、あるいは遥かに超えているかもしれない。仮に二号が戦える状態だとしても、勝てる可能性は低かった。
 それでもここで戦わなければ多くの人が犠牲になるだろうから、キュアピーチは戦おうと決意する。どんな相手だろうと、諦めなければきっと負けないはずだから。

「テメェ……言ってくれるじゃねえか……」

 だが、キュアピーチの耳に二号の震える声が響いたことで、その決意は一気に揺らぐ。
 この腕の中にいる彼は、今すぐにでも休ませなければいけない。でも、彼一人だけでは何処かに移動するなんてできる訳がなかった。
 今の二号を放置して戦いに出たら、キバの手にかかってもおかしくない。

『どうか、一文字のことを頼んだぞ。彼はこんな所で死んでいい男じゃないからな』

 直後、石堀の願いがキュアピーチの脳裏に蘇る。
 彼に無理を言ってまでここに来たのは、何のためか? こんな戦いを打ち破ってくれる仲間の一文字隼人を助けるためだ。それに石堀は、二人揃って戻ってくることを望んでいる。
 ここで無理をしてまでキバと戦うのは、彼の願いではない。一文字の命を救えるのは、キュアピーチ一人だけしかいなかった。
 だからキュアピーチはゆっくりと二号の身体を地面に下ろして、立ち上がる。そのタイミングを見計らったかのように、ピックルンが姿を現した。

「お、おい……」
「ちょっとだけ待ってください、すぐに終わらせますから」

 一瞬だけ微笑んだ後、キュアピーチは再びキバに睨むような目を向けて、一気に走る。
 同じようにキバも突貫してくるが、彼女はそれに構わずピックルンを手に取ってリンクルンに挿し込んだ。そこからリンクルンを横に回したことでピーチロッドが現れたので、キュアピーチはそれを掴む。
 徐々に距離を詰めながら、彼女はピーチロッドのスイッチを指で流してメロディを奏でた。ハート形の宝石が輝きを放つと同時にキバは一閃するが、キュアピーチが少し屈んだことで、頭の上を通り過ぎるだけに終わる。

「プリキュア! ラブサンシャイン・フレーーッシュ!」

 その直後、彼女はキバの胴体を目掛けて腕を真っ直ぐに伸ばして、強く叫んだ。
 すると桃色の輝きがキバの巨体を飲み込み、轟音と共に突き飛ばしていく。宝石から開放された光は、一気にハートの形となった。
 しかし、キュアピーチは決して油断してはいない。ピーチロッドを握る腕から、こちらを弾き飛ばすかのような凄まじい圧力が伝わってきたからだ。あの光を吹き飛ばそうとキバは足掻いていると、キュアピーチは推測する。
 このままではその圧倒的な膂力によって、光が打ち破られてもおかしくない。だからこそキュアピーチは、エネルギーを増幅させることをせずに後ろを振り向いて、二号の元に駆け寄った。

「おいキュアピーチ、何をしてる!?」
「すみません仮面ライダー、しっかり掴まってください!」

 投げかけられた疑問に答えることをせず、キュアピーチはデイバッグと二号の身体を抱えて全力疾走をする。普段なら持てる訳がないが、プリキュアの力さえあれば可能だった。
 敵から逃げ出していけないのは、キュアピーチだって理解している。しかし、必殺技で動きが止まった隙を付いて逃げる以外、二号を助ける方法が思いつかなかった。
 みんなを助けられるであろう、力強い戦士を救うためにも、キュアピーチは走り続ける。二号や、彼の仲間達が再び平和な日々を過ごせることを信じて。




 この肉体を拘束する光はそこまで力強くないが、あまりにも不愉快な眩さで満ちていた。
 魔戒騎士……それも、かつての師匠である冴島大河が選ばれた黄金騎士を思い出させてしまう。まるで、この期に及んで大河の亡霊が邪魔をしているかのようだと、暗黒騎士キバは思った。
 だがそんな錯覚に囚われているわけにもいかない。

「……フンッ!」

 キバは全身に力を込めて、ハートの光を一気に吹き飛ばした。
 そのまま彼は戦いによって荒れ果てたエリアを見渡すが、既に誰もいない。石堀光彦達は勿論のこと、仮面ライダー二号とキュアピーチの姿も見えなかった。
 恐らくキュアピーチは攻撃のためでなく、足止めを目的にしてあの光を放ったのだろう。仮面ライダーと同じ、別世界に存在する戦士も所詮はただの軟弱者ということか。

「僕ともあろう者が、ここまでしてやられるとはな……」

 しかしそれでも、キバは屈辱を感じている。奴らの術中にまんまと嵌って、挙句の果てに見失ってしまった。戦いに勝ったとはいえ、この手で止めを刺せないなんてあってはならなかった。
 尤も、逃げられたのならばいつまでも拘る訳にもいかない。再び相見える時が来れば殺せばいいし、そうでないのなら勝手に死ぬのを待てばいいだけ。
 この戦場には、まだ大勢の参加者が残っている。だからいつまでも、特定の相手だけと戦っている訳にもいかない。一文字隼人を潰すことに尽力しすぎて、他を忘れては不測の事態が起こる可能性もあった。
 とにかく今は数人相手の戦いで少し消耗したから、休んで体力を回復させなければならない。そう判断した彼は鎧を構成するデスメタルを解体して、バラゴの姿に戻る。
 生身を晒して軽く息を吐いた彼は、一文字隼人が移動に使っていたビートチェイサー2000に手を触れた。奴らは皆、同行者の存在があったからこそ、この乗り物を見捨てて撤退している。そのせいか、鍵も残っていた。
 魔導馬・雷剛に比べればその速度や性能は圧倒的に劣るが、この場では召喚ができない。だから、代用品が手に入ったのは有難かった。

(やはりこの場では力が抑えられている……首輪の影響か?)

 主催者達によって、自らに架せられた首輪を撫でながらバラゴは思案に耽る。
 二度に渡って烈火炎装を放ったが、仮面ライダーアクセルに変身した西条凪という女や、一文字の命を奪うことはできなかった。それにこれまでの戦いでも閻魔斬光剣を召喚しようとしたが何も起こらず、黒炎剣だけでの戦いを強いられている。
 大方、加頭順やサラマンダー達が何らかの下らない仕掛けを施しているに違いない。そうでなければ、殺し合いの根底を崩される恐れがあるからだ。首輪の効果か、それともこの島全体に参加者全員の力を抑える結界でも張られているのか……
 だが、ここで考えていても仕方がない。今は体力の回復を待ちながら、次の行動を考えることに集中すればいいだけだ。
 不意に、バラゴはデイバッグから取り出した地図を広げる。その中央には、彼にとって非常に関心を引く建物が描かれていた。
 冴島邸。かつて大河と共に暮らしていた、今のバラゴにとっては忘却の彼方に葬りさりたい記憶が眠る屋敷だ。
 恐らくこれは、主催者が用意した偽者だろう。だから、カオルやゴンザもこの屋敷にはいない。何故、こんな偽の屋敷を作るのかという疑問が芽生えたが、すぐに振り払う。
 どうせ、主催者達も皆殺しにするのだから、深く考えても意味はなかった。

「冴島鋼牙……」

 そしてマップを仕舞い込んだ後、名簿の中に一際気になる名前があったのを、バラゴは思い出す。あの冴島大河の息子である、冴島鋼牙もこの殺し合いに巻き込まれていた。
 風の噂によると、奴は大河の遺志を継いで黄金騎士となったらしい。ならば、この手で闇に葬る必要があった。
 無論、それは実際に遭遇してからの話。放送で呼ばれなかったのでまだ生きているだろうが、この戦いで死ぬ可能性もある。そうなれば、メシア降臨の邪魔者は一人残らず消えるだろうが、過度な期待はしない。
 いくらこの地に仮面ライダーやプリキュアのような戦士がいるからとはいえ、鋼牙とて魔戒騎士の一人。簡単に殺されることはないはずだ。
 もしも冴島邸に行けば、鋼牙と戦うことになるのか? そう取りとめのないことを考えながら、バラゴはひたすら身体を休めていた。


【1日目/昼前】
【D-2/荒れ地】
※戦いの影響によって荒れ地となっています。

【バラゴ@牙狼─GARO─】
[状態]:胸部に強打の痛み、ダメージ(中)、疲労(中)、顔は本来の十字傷の姿に
[装備]:ペンダント、魔戒剣、ボーチャードピストル(0/8)@牙狼
[道具]:支給品一式×3、ランダム支給品0~2、冴子のランダム支給品1~3、顔を変容させる秘薬?、インロウマル&スーパーディスク@侍戦隊シンケンジャー、紀州特産の梅干し@超光戦士シャンゼリオン、ムカデのキーホルダー@超光戦士シャンゼリオン、『ハートキャッチプリキュア!』の漫画@ハートキャッチプリキュア! 、ビートチェイサー2000@仮面ライダークウガ
[思考]
基本:参加者全員と加頭を殺害し、元の世界で目的を遂行する
0:今は身体を休めて、その後にビートチェイサー2000を使って移動する。
1:冴島鋼牙と出会ったら、この手で葬る。
2:今のところ顔を変容させる予定はない
3:石堀に本能的な警戒(微々たるものです)
4:一文字隼人とキュアピーチは再び出会うことがあれば、この手で殺す。(ただし、深追いはしない)
5:冴島邸を目指すか……?
[備考]
※参戦時期は第23話でカオルに正体を明かす前。
※顔を変容させる秘薬を所持しているかは不明。
※開始時の一件で一文字のことは認識しているので、本郷についても認識していると思われます。
※冴子と速水の支給品はまだ確認していません。
※つぼみ達の話を立ち聞きしていました
 そのためプリキュア、砂漠の使徒、サラマンダー男爵について知りました
※雷剛や閻魔斬光剣の召喚はできません。
 バラゴはこれを制限の影響だと考えています。





 暗黒騎士キバに追い詰められたが、キュアピーチの手によって仮面ライダー二号は何とか戦場から離脱することに成功する。
 既に変身を解いて一文字隼人の姿に戻った後、木に凭れかかる様に身体を休めていた。全身の至る所から激痛が走る中、彼は考える。
 俺ばかりに救いの手が差し伸べられるのに、どうして本郷は死ななければならないのか? あいつのように地獄を見てきた男こそ、救いが必要なのに。

(……もしかしたら、本郷の奴が向こうから祈ってくれてるのかもな。俺達が生きてくれるようにって)

 とはいえ、運命を憎むつもりは毛頭なかった。
 こうして生かされている以上、最後の最後まで戦い抜かなければならない。沖一也、石堀光彦、花咲つぼみ、西条凪、桃園ラブ……命を救ってくれた彼らのためにも、殺し合いを絶対に止めなければならなかった。
 ぼんやりと考える一文字の頬に、冷たくて柔らかい感触が走る。振り向くと、そこにはキュアピーチの変身を解いた桃園ラブと言う少女が、白いタオルを当ててくる姿があった。

「大丈夫ですか、一文字さん?」
「悪いな、何から何まで……俺なら大丈夫だ」

 心配そうな表情を浮かべる少女に、笑顔を返すことしかできない。できる限り力を込めるが、やはり戦いの疲労は誤魔化せなかった。
 彼女に連れられて南を一直線に進んだが、仲間達の姿は見えない。石堀や凪、それにラブの同行者である涼村暁と黒岩省吾という男達とは再会できなかった。
 だが、嘆いていても仕方がない。こうして生きていられたのだがら、市街地を目指せばいつかまた再会できるかもしれないと、信じるしかなかった。

「それとラブ、お前は無茶しすぎだ……俺を助けに来てくれたのは嬉しいけどよ、石堀の忠告を無視するなって」
「うっ……ごめんなさい」
「別に怒ってねえよ」

 ほんの少しだけ咎めたことでばつの悪そうな表情で俯くラブの頭に、一文字は軽く手を乗せてそのまま撫でる。

「確かに俺達はその力を精一杯、使わなければいけない時が来る。けどな、俺達には帰りを待っている人達がいるってことも忘れるなよ……まあ、俺が言えた義理じゃないけどな」

 そう、穏やかに告げた。
 仮面ライダーもプリキュアも平和を守る戦士だが、後ろには自分達を心配する人がいる。ガモン共和国でBADANに襲われた真美や子どもたちだって、悪と戦っている自分の帰りを待っているはずだ。
 平和を守ることだけを考えすぎて、彼らと二度と会えなくなるなんてあってはならない。

「わかりました……でも、一文字さんもどうか無理をしないでください」
「わかってるって」

 そうやって軽く頷いた一文字は、隣にいるラブがようやく笑ってくれるのを見る。
 やはり、子どもの笑顔は何物にも勝る最高の宝だなと、桃園ラブを前に一文字隼人は思った。


【1日目/昼前】
【F-2】


【桃園ラブ@フレッシュプリキュア!】
[状態]:疲労(中)、ダメージ(中)、精神的疲労(中)、罪悪感と自己嫌悪と悲しみ、決意
[装備]:リンクルン@フレッシュプリキュア!
[道具]:支給品一式×2、カオルちゃん特製のドーナツ(少し減っている)@フレッシュプリキュア!、毛布×2@現実、ペットボトルに入った紅茶@現実、巴マミの首輪、巴マミのランダム支給品1~2
基本:誰も犠牲にしたりしない、みんなの幸せを守る。
1:今は一文字さんを守りながら休む。
2:マミさんの遺志を継いで、みんなの明日を守るために戦う。
3:プリキュアのみんなと出来るだけ早く再会したい。
4:マミさんの知り合いを助けたい。もしも会えたらマミさんの事を伝えて謝る。
5:犠牲にされた人達(堂本剛三、フリッツ、クモジャキー、巴マミ、放送で呼ばれた参加者達)への罪悪感。
6:ダークプリキュアとテッカマンランス(本名は知らない)と暗黒騎士キバ(本名は知らない)には気をつける。
7:どうして、サラマンダー男爵が……?
8:石堀さん達、大丈夫かな……?
[備考]
※本編終了後からの参戦です。
※花咲つぼみ、来海えりか、明堂院いつき、月影ゆりの存在を知っています。
※クモジャキーとダークプリキュアに関しては詳しい所までは知りません。
※加頭順の背後にフュージョン、ボトム、ブラックホールのような存在がいると考えています。
※放送で現れたサラマンダー男爵は偽者だと考えています。



【一文字隼人@仮面ライダーSPIRITS】
[状態]:疲労(大)、ダメージ(中)、胸部に斬痕、左腕が全体的に麻痺
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、姫矢の戦場写真@ウルトラマンネクサス、ランダム支給品0~2(確認済み)
[思考]
基本:仮面ライダーとして正義を果たす
0:今は身体を休める。
1:ラブと一緒に石堀達を探しながら市街地を目指す
2:他の仮面ライダーを捜す
3:暗黒騎士キバを倒す(但しキバは永くないと推測)
4:もしも村雨が記憶を求めてゲームに乗ってるなら止める
5:元の世界に帰ったらバダンを叩き潰す
6:この場において仮面ライダーの力は通用するのか……?
[備考]
※参戦時期は第3部以降。
※この場に参加している人物の多くが特殊な能力な持主だと推測しています。
※加頭やドーパントに新たな悪の組織の予感を感じています(今のところ、バダンとは別と考えている)。
※参加者の時間軸が異なる可能性があることに気付きました
※18時までに市街地エリアに向かう予定です。
※村エリアから南の道を進む予定です。(途中、どのルートを進むかは後続の書き手さんにお任せします)
※つぼみからプリキュア、砂漠の使徒、サラマンダー男爵について聞きました
 フレプリ勢、ハトプリ勢の参加者の話も聞いています
※石堀の世界について、ウルトラマンやビーストも含めある程度聞きました(ザギとして知っている情報は一切聞いていません)



時系列順で読む

投下順で読む



Back:ピーチと二号! 生まれる救世の光!!(前編) 桃園ラブ Next:目指せ!ハッピーエンド
Back:ピーチと二号! 生まれる救世の光!!(前編) 涼村暁 Next:あざ笑う闇
Back:ピーチと二号! 生まれる救世の光!!(前編) 黒岩省吾 Next:あざ笑う闇
Back:ピーチと二号! 生まれる救世の光!!(前編) 石堀光彦 Next:あざ笑う闇
Back:ピーチと二号! 生まれる救世の光!!(前編) 西条凪 Next:あざ笑う闇
Back:ピーチと二号! 生まれる救世の光!!(前編) 一文字隼人 Next:目指せ!ハッピーエンド
Back:ピーチと二号! 生まれる救世の光!!(前編) バラゴ Next:牙狼~SAVIOR IN THE DARK~


タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2013年03月15日 00:27