三騎士が行って約五分。
 雷電を操るセイバーがいなくなってまだ一分。
 神代の狩人アタランテ空母ヲ級の戦いはより苛烈に、より魔的に加熱している。
 ただし、その攻防は一方的なものとなっていた。

 今も増え続ける総兵力数万のうち七割を擁する中央本隊はその軍勢を軍勢として使っていなかった。


「ふっ!」


 アタランテが全力で引き絞った矢を放つ。引けば引くほど強力になる弓術の関係上、その攻撃はAランクにすら届く。
 深海棲艦など鎧袖一触だろう。
 アタランテの矢がヘドラと己の間に入った深海棲艦を七、八隻破壊する。だが、たったの八隻だ。
 その間にも数隻の深海棲艦が浮き上がり、肉の盾として整列する。


 ────では残りの深海棲艦はどこにいるか。
 確かに数万あったはずの深海棲艦が三桁程度に減っている。本人以外が見ればアタランテが殲滅したのかと問うだろう。
 その問に答えるようにしてヘドラの体の数十ヶ所に黒子のごとくあった黒点が蠢く。
 生理的に嫌悪感を催すそれは全て大口径の単装砲口だ。
 その蠢きは弾が装填されていたのを意味していた。
 苦虫を噛み潰すような顔をするアタランテへそこから“砲弾”が発射される。


「この、こんなの、ふざけるなッ!」


 否、砲弾ではない。これは駆逐艦イ級だ。地面に着弾と同時にトマトのように潰れるが、その光景とは裏腹に爆雷の如き轟音と震動が世界を揺らす。
 たった一発でビスマルクがユー・オルタを倒すために作ったクレーターの数倍広い穴を作り出していた。それもそのはず、弾……つまり駆逐艦イ級は質量千数百トン。口径は岩石ほどもある。
 決してビスマルクが低火力なのではない。そもそも比較対象が間違えている。質量が駆逐艦と同等の弾丸など戦艦が使用できるはずもないのだ。火器とは人間が運用することを前提にしている以上、その質量にも上限が定まる。だが怪物たるヘドラに人間の尺度は存在しない。怪物が自身の極限まで兵器を拡張すれば世界最強の火器が生まれるのは自明の理だろう。
 ヘドラはヘドロ砲撃のヘドロを駆逐艦イ級に替え、駆逐艦一隻一隻を弾丸として撃ち込む。神秘としては最低級、質量としては規格外の連射は既に周囲を窪地に変えていた。更に着弾点のグシャグシャに潰れた駆逐艦の残骸からヘドロが広がり、火花が散れば爆発し、そうでなくても深海棲艦が量産される。


 少し前。戦闘開始から僅か四分でベアトリス・キルヒアイゼンは1万以上の深海棲艦を沈めた。
 亜光速で飛ぶ超広範囲の雷撃。高圧電流はヘドロすら蒸発させて増殖を防ぎ、更に砲撃は透過して一方的かつ劇的に深海棲艦の数を減らしていた。
 まさに黒円卓の戦乙女の面目躍如と言えるだろう。ヘドラとの相性はどのサーヴァントよりも有利である。仮に令呪で呼び出されずに宝具を維持していれば1時間と経たずにヘドラは討伐されていたに違いない。
 一方でアタランテでいえば宝具を使っていないためせいぜいが200くらいだ。透過できず弾雨を避けていたとあれば三桁減らしているだけでも大健闘であるといえる。
 だからヘドラと空母ヲ級は学習した。この敵には「数」ではなく、「質」で攻める必要があると。
 融合と凝集を繰り返して残存兵力をすべて取りこみ、その質量を極限まで高め、形態を変えて砲弾として撃ちだしたのだ。



「この化物め!」
「…………」


 ヲ級の瞳はアタランテを捉えてはいかものの如何なる感情をも映していない。
 無感情。アタランテのことを生えている雑草、転がった石ころ程度にしか見ていないのだ。この怪物は。

 怪獣の腕が降り下ろされると同時に大地が揺れる。駆逐艦弾幕を避けながらも、躱すアタランテ。
 まるで虫の命で遊ぶ子どもだ。勿論、アタランテは射撃を止めていないし、全矢直撃してはいるものの何ら痛痒を生んでいない。
 獣毛の如きヘドロをうねらせた手がまた降り下ろされる。降ろされた腕から生じた風すらもが毒気を含んでおり、アタランテの全身が悲鳴を上げていた。


「クソッ、宝具さえ使えれば」


 倒せないにしてもダメージを与えられるかもしれないのにと考える。
 いいや、論外だ。本日だけで既に三度も使用している。桜の負担を考えればもう使うわけにはいかない。
 撃破不可能。進軍を止めることすらも不可能。では撤退か、一体どこにだ!

 敵は陸を目指している。仮にマップの反対側まで逃げたとしてもその時は逃げ場以外の全てを肉(ヘドロ)に変えたコレと戦うことになる。
 つまり撤退は論外。そしてアタランテ単体での勝利はもはや那由多の彼方。アタランテは敗北を悟りながらゆっくりとすり潰されていくしかないのだ。

 雨霰と降り注ぐ黒鯨を躱しながら、矢を射る。今度は頭上のヲ級本体を狙うも無数の獣毛が矢を阻んだ。
 報復とばかりに発射口が二倍に増えた。




 アタランテの悔しがっている一方、空母ヲ級は自らの軍勢──特に三騎士──が全く戦果をあげていないことから計画外の戦況分析を行う必要に迫られていた。
 また昼間に吹雪の攻撃によって分断された陸側の飛び地、その主戦力「戦艦ル級」が信号途絶(シグナルロスト)していることで更に自軍の戦力を下方修正する必要がある。

 三騎士──あれらはO芝島の戦闘で陸地での戦闘が困難と理解したヲ級が陸地で戦うために造った深海棲艦である。
 陸地に適応するために陸地を材料にし、此度の侵攻戦でも大隊長として働けるだけの権限と能力を与えている。
 特に意識したわけでもなく陸上要塞型の深海棲艦になったのは偶然か、必然か。あるいは生命基盤をデザインした創世の女神の悪戯かもしれない。
 されど姿を似せても本来の性能には遠く及ばない。だから未だサーヴァントを殲滅できていないのだ。
 この程度の小兵すらも倒せない己も同じく。何故、これほどの物量差があってまだ鎮圧できないのか。


 矢を弾き、建造物を破壊し、大地を犯し尽くしながら怪獣は躍進する。されど戦果は微少。
 なんだこれは。ふざけるなとその事実に苛立つ…………待て、苛立つとは何だ?



         ド   ク   ン



 極大の鼓動が空母ヲ級に生じる。波紋の如く広がり、それが何やら体に不備を生じさせている。
 機動性が低い。精度の誤差が広がり、ついに敵を捕捉できなくなっている。何だこれは。動作不良。如何なる故障か。
 鼓動が止まらない。理解が追いつかない。内燃機関の暴走は止まらない。何かが、おか、しい。


 彼女は知る由縁も無いが、この時、彼女の中に異物(U-511)が混ざった結果、デミサーヴァント化した時に停止していた機能────“感情”がより高まっている。
 異物が潜り込んだ結果、さらにフラストレーションは加速する。


「オオオオオォォォォォーー!」


 ハチャメチャに腕を、砲を、汚泥を振り回し被害を広げるヘドラ。
 狙いなどつけられるはずもなく、生まれ出る感情エネルギーが暴走する。

 U-511を取り込む原因となった赤騎士に責任があるわけではない。
 そもそも赤騎士は資材にするためにU-511を沈めたのだ。まさか、自我が溶けないどころか自分達を喰って新生するサーヴァントなど想像しろという方が無理だろう。
 ヘドラと同化する以上、霊基が汚染され自我が極限まで希釈され、肉体が解けてヘドロに換わるのが常である。
 だが、U-511はどうやら違ったらしい。あの艦娘、喰った時は自我が無かったくせに同一化した瞬間に肉を奪い、意思を以て、出ていった。
 押し込み強盗のような無恥で、脱皮の如き進化は赤騎士から資源を奪うだけではなく、“感情”という猛毒を残していったのだ。


 その結果がこの始末。人生初の癇癪は治まりつつあるが、もう手遅れだ。なぜならばこの瞬間、ヘドラの三騎士は彼女の癇癪に引きずられる形で再生を始めとしたバックアップを失っていたのである。
 大ダメージを受けても再生できず赤騎士は光に焼かれ、黒騎士は自由鳥に啄まれ、白騎士は槍に貫かれる。


「ヅゥアアアォ!!」


 そして空母ヲ級もまた同じように傷を負う。
 胸にナイフが突き刺さった。体感で刃渡り十センチも無いそれが、無駄なく心臓に突き刺さっていた。
 ただのナイフだ。この世界で市販の、ただの果物ナイフ。『腐毒の肉』を持つ空母ヲ級に刺さるはずがない。ただし、投擲したのが近代では世界最高峰の殺し屋『死神』であれば話は別。
 いつの間にか、アサシンはヘドラの頭頂部にいるヲ級の背後に立っていたのだ。

 いつ接近したのか、どうやって近付いたのか。
 ただ言えることは狂えるヘドラの猛攻を掻い潜り、汚泥(はだ)の上をヘドラに気づかれず走ったということになる。
 一体いかなる神業によるものか。海に生きて艦隊戦をやっていた空母ヲ級がそれを知るには遠すぎる。
 一方でヲ級の表情と視線から心理状況を正確に読み取った死神はため息をつく。


「何を驚いているのです? 貴方は船なのだから乗れるのは当たり前でしょう」


 もしも空母ヲ級の口舌が豊かならば一体、どこの世界の暴論だそれはと怒ったに違いない。
 言葉の代わりに激情が渦巻き、それが暴力となって具現する。死神の足元の汚泥が泡立ち、次の瞬間には三十を超える杭が生えてきた。一秒足らずで死神が串刺しになる姿を幻視したする。
 だが、死神はあろうことか杭の先から先へ跳び跳ねていた。鋭利な先を丁寧かつ軽やかに、河原の水切り遊びのように、接近してそのままヲ級の頸動脈を裂いた。その傷、僅か4cm。されど噴き出る血液(オイル)の量は致死量。
 死神の名に相応しい、無駄のない致死の一撃だった。




 頸動脈を裂いた。黒い液体が吹き出てオイル特有の臭いがあたりに充満する。
 死神の得物は市販の果物ナイフ二本。モノは貧相であっても死神を持って振れば絶技を出力する名刀となる。
 だが、物質としては果物ナイフのままであるが故に、ヘドラに触れたことで刃先が溶けて落ちてしまった。
 そして空母ヲ級はというとグチャグチャと生理的に不快感を催す音をさせて首筋の傷を塞いでいた。


「どうやら頭を吹き飛ばす必要がありそうですね」


 念のために用意していたフライ返しを取り出す。マスターから渡された魔法のフライ返しだ。
 ここに来るまで試しに振るってみたが廃ビルの屋上にあった空の貯水タンクが轢断され、逆にフライ返しに傷は無かった。恐るべき耐久性だ。
 これならばあるいは、と思ったところで空母ヲ級の頭部から生えている二本の触手がこちらへと伸びる。
 先端部は亜音速に達し、破壊力は言うまでもない。故にフライ返しで叩き落とす!
 一撃、二撃、三撃! 金属音と共に触手は弾かれ、それでも撓ってこちらへ迫る。
 同時に地面からは杭が何度も飛び出し、躱してもしつこく追ってくる。更に足場が液状化し始め、死神の足が沈み出す。体勢の維持が困難になったところで触手の一撃を受け、死神の体勢が崩れる。


「あ」


 死神の防御が崩れたところ触手が狙う。
 肉片が飛び散り、顔の左半分が消失し、粘性の液体が傷から溢れた。
 衝撃で顔面の肉が千切れて飛んでいた────空母ヲ級の。
 不可解な事にフライ返しを持った死神が一瞬で空母ヲ級の後ろにいた。


「防がれましたか」


 顔を吹き飛ばした死神は笑みを浮かべたままそういった。
 何が起きたか分からぬ空母ヲ級は傷口を左手で押さえる。

 何が起きたか分からない? いいや、理解できる。この大気に満ちるミストも己の肌なのだから手に取るように分かる。
 しかし、理解が及ばなかったのだ。まさか敵が今までわざと遅く動いてこちらの認識を欺いていたなど……!


 死神が行った行為は言葉にすればなんということはない。死神はただ全力で走ってすれ違い際に一撃叩き込んだだけ。
 しかしこの局面でわざと走力を落とし、崩れる足場の上で機会を狙い続けるなど正気の沙汰ではない。
 空母ヲ級はそこにこの男の恐ろしさを感じた。
 この男には勝てないと。このままでは空母ヲ級は壊されると。故に────


 たった一言。単純な命令を下す。
 K市内全てにいる己に命令を下す。


「来ヲォォォイ!!」


 号砲の如くヲ級の声が轟いた時、死神は見た。
 彼女の令呪が一画、消失するのを。
 そして次の瞬間。





 ────暴力が形を得て、殺意をもって具現する。





 【D-3】


 セイバー・リリィの宝具を受けた赤騎士は全身から炎と青黒いオイルを出しながらも生存していた。
 痛覚が無いのか燃え盛る炎に焼かれながらも苦痛に喘ぐことなく憎悪の瞳をリリィに向けている。
 肌に突き刺さる怨嗟、どす黒い思念は神秘が濃ゆけし時代の魔獣を思わせる。


 トドメを刺さなくては。
 踏み込み、セイバーが剣を構えた時、赤騎士は光に包まれ消失した。
 いいや、消失ではない。アレは先ほど見た現象、転移だ。


「逃げた……いや、違う……」


 赤騎士だけではなく周りの汚泥や酸の霧もまた消失していた。
 溶解していたコンクリートや瓦礫もまた汚染された部分だけが消失し、もはやここにヘドラの眷属がいたという痕跡は一切ない。
 天を覆っていた酸性雲海すらも消失して青白い月光がリリィたちを照らしていた。


(何か嫌な予感がします……)


 虫の知らせともいうべき第六感が追えといっている。
 そして、リリィの背後から突き出されたスペードの槍を咄嗟に防げたのも『直感』によるもの。
 歪な金属音を立ててアサシンが弾かれた。
 スペードの4のアサシンが立ち上がる前に剣の切っ先を向け、そして言う。


「なんのつもりですかアサシン。あなたとは同盟関係に非ずとも今は共にあの怪物を討つべきと理解できるはずです」
「───」


 アサシンは答えない。
 剣を弾いて立ち上がり再び槍を構えた。
 このまま私とやるつもりか。


「くっ」


 リリィもまた弾かれた剣を構え直す。
 足に力を入れ、アサシンが突進してくる。
 アサシンのクラスにあるまじき遅さだ。
 鍔競り合ってそのまま切り倒そうとリリィもまた足を踏み込んだ時。


「もういいアサシン、僕の気分は晴れた」


 その一言でスペードの4のアサシンが後退する。
 声の主はアサシンの主……怪物の姿が解けて人の姿へと戻っていた。
 傍らにはスペードの10、K、A。リリィを殺すのに十二分な戦力がいる。
 しかし、下がらせたということは共闘の意志が──


「帰るぞ」


 リリィの希望を打ち砕くように相手のマスターが撤退の号令を出した。
 途端にスペードのアサシンを除いたアサシン達が霊体化した。


「待ってください。ヘドラはまだ……」
「僕たちの要件は済んだ。後は他の連中が何とかすればいい」


 一方的な拒絶。
 一度共に戦えば戦友というアルトリアの時代とは異なり現代人はひたすらドライであった。


「どうか油断なさらぬように。奴の真名はおそらくアーサー王です」
「アーサー王だと。でも女だぞ」
「事実は時に歪められます。特にそれが当時の権力者にとって不都合であればあるほど。そうだろうセイバー」
「ええ、その通り。ここに至っては隠しません。
 私はかつて、そして未来にブリテン治めるとされた者。アルトリア・ペンドラゴンの現身です」




 アーサー王。イギリスで伝説となった騎士達の王。ただ完璧であった理想の王。
 その伝説は元山も知っている。その完璧な王の栄光は集った不完全な騎士達によって汚され、王の汚点とも言うべき私生児のモードレッドが反逆したことによって幕を閉じる。
 さぞかし無念であっただろう、自身が完璧であったゆえにと元山は思う。
 だからこそ問わざるを得なかった。


「アーサー王。貴女は完璧でありながら何故、完璧ではない人間を治めようとしたのだ?」


 完璧なのに社会に加わるなど無意味ではないか。完璧なものは心を乱されず、隠者のように生きていけただろう。
 生まれながらに完璧な者ならば何故、こんな欠陥だらけの世を統べようとしたのか。
 されどアーサー王は元山の前提を否定する。


「私は完璧ではありません。仮にそうだったとしてもそれは民草が完璧である王を求めたからであり、私が求めたからではありません」


「ならば貴方が治めた国を滅ぼした民草や部下、反逆に荷担したり裏切った騎士達に怒りは無いのか?」


「さあ、どうでしょう? 『実際に王として成長した私』ならば責務として裁くことはあったでしょう。でも怒りはきっと無かったはずです」


「何故だ? 足を引っ張られ、築き上げたものを台無しにされ、何故それで怒りが無かったと言えるんだ?」


「だって王になるってそういうことでしょう」


「だからそれが過ちだと言っている!!」


 ああ、駄目だ。我慢ならない。
 完璧であるはずなのに何故、こんな雑音と醜悪が入り交じる世の中に愛着を持つ。
 何故、そんな世界に身を投げ出せるのだ。絶対におかしいだろう。


「あなたとその剣を抜いた時の伝説は知っている。その剣が抜けなかった騎士共は勝手に馬上試合で王位を決めようとし、あなたがその剣を抜いても、騎士達は侮り、認めず、戦を仕掛け、時間と命を浪費した。それを見て落胆も怒りも無かったとは言わせないぞ!」


 主の憤怒に応じてスペードのアサシン達が槍を構えた。一瞬にして一触即発の事態。それでもアーサー王は凪の如く穏やかな表情を浮かべて言った。


「私が剣を抜いたのは王になるためではありません」
「何だと?」
「人々が完璧を求めた理想の王……そうですね、こそばゆいですが『本物』の私はきっとそうなるのでしょう。
 でもスタート地点は……王になると決意としたのは完璧だったからでも、伝説を残すためでもありません」


 そういって少女は己の過去を語りだした。
 セイバー・リリィは厳密にいえばアーサー王ではない。彼女の修業時代が華やかであって欲しいという if の存在である。
 剣を抜いてからの修業時代から花の騎士と騎士王は分岐した。それでも、スタート地点は同じなのだ。
 だから“ここ”は────この想いは彼女と同じに違いない。




 遠くでは騎士達の喧騒が聞こえる。国中の騎士達が集まったこの場で王を決めようと馬上試合をしているのだ。その喧騒から離れた所。誰もいなくなった選定の剣の前に私はいた。風で髪が靡く。空の光がリリィの金髪を照らし、サラサラと砂のように反射した。
 運命を前にしてアルトリアではなく少年騎士のアルとして過ごした日々を思い返す。 馬の世話をし、義兄と言葉を交わし、養父エクターに剣の指導を受けていた。
 町にいけば人々が賑わい、ブリテン崩壊の危機に怯えながらも明日の生活をより良くしようと生きて、そして笑っていた。
 彼等はブリテンの救世主を、理想の王を求めた────自身が完璧でない故に。誰かが人柱にならなくてはならない。
 ならば、私が成ろう。ブリテンのためではなく、ブリテンに生きるみんなのために。
 誰も抜けなかった剣を抜くべく、柄に手をかけようとした時、背後から声がした。


「悪い事は言わないから止めた方がいい。
 それを手にしたが最後、君は人間ではなくなるよ。それだけじゃない。手にすればあらゆる人間に恨まれ、惨たらしい死を迎えるだろう」


 選定の剣を前にした私に魔術師はそう言った。
 その光景を覚えている。その質問を覚えている。その時の気持ちを覚えている。
 まず感じたのは恐怖だ。魔術師が言ったことは忠告ではなく預言である。
 リリィの表情を読み取った魔術師は何故自分がそんなことを言ってしまったのかを不思議に思い、その忠告が失言であったと理解し、リリィが剣を抜かないと確信してその場を離れようとした。

「────いいえ」

 その恐怖が、逆に私に決意をもたらした。

「いいのかい」

 正直に言います。私は怖かった。
 惨たらしく死ぬことが怖いのではなく、私が王になることが過ちになるのが怖かった。
 もしも自分より相応しい人がいるんじゃないか。
 もしも自分より国を、民を平和へ導ける人がいるんじゃないか。
 もしも自分が剣を抜くことで、その未来が無くなってしまうんじゃないか。
 でも頭の端っこで理解していた。そんな人は数十年は現れない。ならば現れるまでに引き継ぐモノが必要だ。
 そして魔術師の一言は、私が王になれることを意味していた。


「多くの人が笑っていました。それはきっと間違いではないと思います」


 たとえ今後、何度も人々から疎まれ、忌まれ、排斥されようとも。
 たとえ今後、幾度も戦おうと、孤独な破滅が待ち受けようとも。
 私は人々の営みを守りたい。その笑顔を守りたい。
 だから私は『人間だった私』に別れを告げて───剣を抜いた。




 アルトリアが語り終えると相手のマスターはポツリと呟いた。


「笑顔……笑顔か」


 笑顔という単語に思うところがあったのかその単語を繰り返している。
 はたして彼(性別は分からないが)が一体何に思いを馳せているのか分からない。
 だけど、多分この人は。


「貴方がなぜ完璧であることに執心なのか、私にはわかりません。
 でも完璧を求めるということはそうなってでも守りたいものがあるからじゃありませんか?」
「────!!」


 その問いに元山は剣を強く握り、しかしすぐに力を緩めた。
 リリィから目を逸らし、アサシンに命じた。

「帰ろうアサシン」
「承知いたしました」


 そういうと騎馬戦のようにマスターの肢体をスペードのアサシン達がそれぞれ担ぎ、超高速で離脱していった。


(殺されなかっただけでも良しと見るべきでしょうか? それにしても悔しい)


 アサシンを連れていくカリスマも力もない自分の無力を恨みながら、
 リリィもまた戦場を移す。




「宜しかったのですか? 誰も邪魔が入らずに倒す好機でしたが」
「そうだな。今朝の僕ならそうしたかもしれないな。キィキィ五月蠅いのは消そうとしたに違いない。それがヘドラであろうともアーサー王であろうとも」

 だが知ってしまった。アカネという魔法少女を。
 だが教えられてしまった。アーサー王の過去を。
 二人とも『ただ守りたかった』だけだった。
 そして元山も────ああ、そうだ。僕は笑っていて欲しかったんだ。
 僕の絵を見て感動する幼い子供たちにただ、善いものを送りたかった。


 今ここに、元山は己の願望────渇望を思い出した。


【1日目・夜/D-3・△△港】
【元山総帥@仮面ライダーフォーゼ】
[状態]健康
[令呪]残り一画
[装備]ペルセウス・ゾディアーツのスイッチ(ラストワンまで残り?回)
[道具]財布 、画材一式
[所持金]高校生としては平均的
[思考・状況]
基本行動方針:静かな世界で絵を描きあげる
0:僕は、子供たちの笑顔を……
0:お前、音楽家のことを知っているのか――?
1:作品の完成を優先する。だから、ここで脱落するわけにはいかない
2:作品を託せる場所をあたる。候補地は今のところ『高校』『小学校』『孤児院』
3:ヘドラは絶対に排除しなければならない
4:自分の行動範囲で『顔を覚えた青年』をまた見かけることがあれば、そして機会さえあれば、ひそかに排除する
[備考]
※『小学校』と『孤児院』の子どもたちに自作を寄贈して飾ってもらったことがあります。
※創作活動を邪魔する者として松野十四松(NPC)の顔を覚えました。
もちろん、彼が歌のとおりの一卵性六つ子であり、同じ顔をした兄弟が何人もいることなど知るよしもありません。
※セイバー・リリィの正体がアーサー王であることを知りました。

【アサシン(シャッフリン)@魔法少女育成計画JOKERS】
[状態] 健康
[装備] 『汝女王の采配を知らず』(深海棲艦を屠ったことで補給済み)
[道具]
[所持金] なし
[思考・状況]
基本行動方針:新たなマスターに従う。しかし新たなマスターの口から矛盾した命令でも出ない限りは、前マスターの意向を守る(前マスターの家族とその友人を守る)
1:新たなマスターに『音楽家』のことを説明する。
2:一刻も早くシャッフリンの再補充を済ませて万全を期したい。海岸にヘドラの雑魚でも打ちあがっているといいのだが……
※魔法の袋は、一松と共にいたシャッフリンが消滅した時にともに消滅しました。
シャッフリンの再補充が完了すれば復活させられます。


【セイバー(アルトリア・ペンドラゴン<リリィ>)@Fate/Unlimited cords】
[状態] 疲労(大)、善き心
[装備] 『勝利すべき黄金の剣』
[道具] なし
[所持金] なし
[思考・状況]
基本行動方針:マスターを元の世界へと帰す
0:コマリを守る
1:ヘドラの討伐。
2:青木奈美のサーヴァントを倒す
3:青木奈美本人にも警戒
4:バーサーカーのサーヴァント(ヒューナル)に強い警戒。
5:白衣のサーヴァント(死神)ともう一度接触する機会が欲しい

※イリヤスフィール、ハートロイミュード秋月凌駕、シャッフリンの姿を視認しました。名前や身分等は知りません。
※アサシン(シャッフリン)の姿と宝具を見ました。
ゼファー・コールレインの声を聴きました。
※青木奈美(プリンセス・デリュージ)が聖杯戦争参加者だと知りました。




【C-3】


 一方で黒騎士も────


 黒騎士の胸部におよそテニスボールほどの風穴が空く。
 黒騎士の背後が見えるほどの損傷、それも心臓部に、である。
 だが。


 「チョウシニ……ノルナ……!!」


 黒騎士から無数の腕が伸び、周囲をちぎりながら彼女を中心に竜巻のように回転する。
 周囲にあるものはバラバラに引きちぎられて巻き上げられ、あるいはその渦へ呑まれる。
 黒騎士への間近にいるメアリー・リードにも手は襲い掛かった。
 メアリーの肩へ、脇腹へ、太ももにも指がめり込み、ちぎる。
 無数のひっかき傷と穿孔から血を噴き出して膝をつくメアリー。


「メアリー!?」


 メアリーは助からない。
 そうアン・ボニーが確信した瞬間、黒騎士の姿が光に包まれて消えた。
 続いて他の深海棲艦達も崩れるようにして消える。まるで引き潮が早送りに再生されたように、ヘドロが海岸へと消えていった。
 一体何が起きたとサーヴァント達が訝しむ中、アン・ボニーとそのマスターはメアリー・リードに駆け寄る。
 メアリーが親指を立てて息も絶え絶えにいった。


「間一髪、って、ところかな」
「もう、心配させないで!」


 安堵するアンと岡部倫太郎
 その様子を遠巻きに見ていたキャスター、仁藤攻介は手を叩いた。


「おお、これにて一件落着かマスター……マスター?」


 マスターは茫然とライダー達……正確にはそのマスターの方を向いている。
 仁藤が話しかけても何の返事もなく仁藤が肩を揺するまで意識が明後日の方へ行っていた。


「大丈夫か」
「え、ええ。大丈夫よ」
「おお、そうか。とりあえずお前の無事が確認できればOKだ」
「あの……そこのあなた」


 仁藤の背後から声がした。
 振り向けばそこには軍服を着た女性が立っていた。
 パチパチと物理的に火花を散らし、金の長髪をまとめている。体格は華奢であるが、その凛とした覇気が弱卒であることを否定させる。
 おう、なんだと仁藤が答える。


「うちのマスター返してもらっていいですか」
「ああ、お前のマスターこいつだったのか」


 一応、敵であるはずのマスターなのだが、仁藤はあっさりと肩に背負っていた青年を抱きかかえ、サーヴァントに渡した。
 何か夢を見ているのか、青年はうなされている。冷や汗を流し、顔面蒼白だ。
 問題があるのは青年だけではない。青年を受け取った女性の手は透けていた。


「お前……消えかかっているぞ。大丈夫か?」
「それが何です。主を守るのは騎士の本分です。
 自分が守れず、ましてや敵に守らせるなんて恥以外の何物でもありません」


 恥じているのか、怒っているのか。恐らくは両方だろう。
 金髪の女性は己に怒っていた。


「ともあれ助けていただきありがとうございました。
 この礼はいつかさせてもらいます」
「なら飯をたくさん奢ってくれ」
「貴方はサーヴァントなのにご飯を食べるのですか?」
「サーヴァントが飯食ったら悪いのかよ」
「いえ……そうですね。サーヴァントだろうと飯を食べる人は食べますね
 まあ、私は無一文なので食事はマスター次第ですが」
「よし、決まりだ。楽しみにしているぜ。あんたの名前は?」


 いきなり真名を尋ねるキャスターにクリスは呆れて頭を抱えた。
 仁藤にそのつもりは無いが真名など初対面のサーヴァントがいうはずがない。
 金髪の女性も呆れたように言った。


「言うわけないでしょう。馬鹿ですか」
「恩人に対してちょっと辛辣じゃね? お前のマスターずっと守って戦っていたの俺だぞ」


 そういうと逡巡する女性。
 彼女の中では恩義と道理の間で板挟みになっているのであろう。
 数十秒の沈黙の後、最終的に女性は観念したように名乗った。といっても真名ではなくクラス名だが。


「クラスはセイバーとだけ言っておきます」
「そうかじゃあな、セイバー。飯のおごり、期待してるぜ」
「ええ、戦場で会わないことを祈ります」


 そういうとセイバーは去っていった。
 仁藤はそれを見届けた後、額に手を当てあたりを見回す。


「それで、あのバーサーカー達はどこだ?」


 同盟相手のマスター。白い魔法少女を探すと探し人はいた。
 そのサーヴァントからはプスプスと白煙が出ていた。




 深海棲艦の軍勢は消失し戦いの音は既に遠い。
 魔法少女の聴覚が捉えるのは波の音ばかりである。
 美国織莉子はキリカの傷に治癒魔法をかけながら《白い男》に言われたことを反芻していた。


“世界救済をお題目に人殺しを容認し、それを背負う気も省みる気もない救済者よ。お前の輝きは守るべきものにあらず”


 あの図々しい物言いに腹が立つ。


(そうよ、私は私の■■を……)


 織莉子にキリカが寄りかかる。
 その目がごめんねと言っていた。


「貴女が謝ることはないわ」


 その頬を撫でる。
 おーいと牧瀬紅莉栖のサーヴァントがこちらへ手を振っている。
 あちらも生き残れたようだ。


「とにかく今はヘドラを倒すことに専念しましょう」


 今度は頭をなでると猫のようにニャアと鳴いた。




「う……ん……」


 黒鉄一輝が目を覚ませば、知っている金髪の女性におんぶされていた。


「マスター、起きましたか?」
「セ……イバー……ぼくは……一体……。
 そうか、ぼくは、また……この才能で、迷惑をかけてしまったのか」


 捻出できる魔力が少ない。
 黒鉄一輝が落第騎士と呼ばれる原因がそれである。
 どこにいても付きまとう呪いのような体質はここでも悪い方向に発揮していた。


「お、いたな」


 一輝が恥じているところに棗恭介の声が聞こえた。
 ところどころ砂や泥で汚れているが、目に見える外傷はない。
 傍らには彼のサーヴァント、アーチャーがいる。
 こちらも見た限り、疲弊していた。というかあの可愛らしいマスコットはなんだろう?


「お前達も無事だったか」
「これが無事に見えます?」
「そうよマスター、私はもうスカスカよ」


 顔から血の気が引いた一輝。
 ところどころ透けているベアトリス。
 弾数0まで撃ち尽くしたアーチャー。


「これは後で補給が必要ね」




「補給!?」


 アーチャーの問題発言にびっくりしてつい声が出る。
 首を傾げているのはマスターの男子二人だけだ。

 いや、いや、魔力の補給ってアレですよね!
 私知ってますよ。チョメチョメするアレですよね。


「あのー二人はもうそんな仲に?」
「マスターなら当然じゃない」


 さらっとアーチャーは言った。
 ベアトリスの顔面温度が上昇した。


(大和撫子は凄いですね。螢が初心すぎたのでしょうか)


「貴女も補給をしたら?」
「なっ────!」

 アーチャーの提案にあんぐりと口を開け、即座に拒絶した。


「するわけないでしょう! 私を何だと思っているんですか!
 情婦(バビロン)ですか? 魔女(マレウス)ですか? いいえ騎士(リッター)です!
 確かに魔力は不足してますけどそんな事に身をやつしたりしません!!」


 まくし立てる自分の発言に今度はアーチャーが首を傾げた。


「何を言っているの貴女? 騎士……だっけ? 侍みたいな者よね。騎士って甘い物が嫌い?」
「え、甘いもの?」
「こんなに運動したんだもの。糖分補給は必要でしょ」


 あー間宮の餡蜜が恋しいわというアーチャーが嘆く。だがベアトリスは羞恥のあまり聞こえていない。


「ケーキでもいいわよ」


 背後の声で我に帰ったベアトリスは後ろを向くとライダーが立っていた。
 艤装はボロボロで衣服の各所が破れている満身創痍。


「あなた……北方棲姫とやったの? 最終再臨までして大破するなんて相当激しかったようね」
「いや、北方棲姫は私が殺ったんじゃないわよ。それより────」


 もしこちらがボロボロでなければ倒すチャンスだったのかもしれない。
 しかし今は。


「これからどうする?」
「どうするって……」


 どう見ても戦闘続行は不可能だ。
 ここに同盟を組んだ3人。三騎のサーヴァントはみな極限まで疲弊している。
 むしろ、今襲われでもしたらたまったものじゃない。


「とりあえずどこか落ち着ける場所まで下がりましょう」
「そうね、ここは危険よ。さっき漁夫の利を狙う奴に襲われたばかり」
「やっぱりそんなことをするマスターはいるのね」
「ええ。でも他のマスターに助けられたわ」
「襲ってきた奴はどんなサーヴァントだったんですか?」
「知っている顔だったわ」
「艦娘?」
「いいえ、『あの戦い』の時にいたドイツ将校よ」


 ドイツ将校。なら自分も知っているんじゃないかとベアトリスも思う。
 尤も、自分はドイツ海軍ではなかったから可能性は低いが。


「────────よ」
「え、今、なんて?」


 だからこそ、自分の知りうるドイツ将校の中でも最悪に部類する名前を聞いた時、思わず二度聞いた。


 だって…………だって、だって、だって、だって、だって!


 そいつは────


「ラインハルト・ハイドリヒよ。ゲシュタポの長官、首切り役人。なんか神父の服を着て、『ヴァレリア・トリファ』とか名乗ってたけど間違いない」


 黄金聖餐杯、参戦の事実を今知った。


【一日目・夜/C-3・通学路の河川敷】
【ライダー(アン・ボニー)@Fate/Grand Order】
[状態] 疲労(大)
[装備] マスケット銃
[道具] なし
[所持金] なし
[思考・状況]
基本行動方針:マスターに従う。
1:とりあえずマスターの意向には従いますわ
2:殺人鬼の討伐クエストへ参加する。ヘドラの方は見送り。
3:セイヴァーとそのマスター(ニコラ・テスラ)には注意する

【ライダー(メアリー・リード)@Fate/Grand Order】
[状態] 瀕死(体の至る所に裂傷と刺傷)、疲労(極大)
[装備] なし(カトラス:黒騎士に奪われた ピストル:弾切れ)
[道具] なし
[所持金] なし
[思考・状況]
基本行動方針:マスターに従う。
1:あの光、どっかで見たような……
2:殺人鬼の討伐クエストへ参加する。ヘドラの方は見送り。
3:セイヴァーとそのマスター(ニコラ・テスラ)には注意する

【岡部倫太郎@Steins;Gate】
[状態] 疲労困憊、魔力消費(極大)、気疲れ(大)、少しいつもの調子が戻ってきた
[令呪] 残り二画
[装備] 白衣姿
[道具] なし
[所持金] 数万円。十万にはやや満たない程度
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯戦争に勝利する
1:『アレ』と戦うのはまずい
2:未来を変えられる者を見つけ出して始末する
3:殺人鬼の討伐クエストへ参加しつつ、他マスター及びサーヴァントの情報を集める。ヘドラについては相性が悪すぎる為見送りの姿勢
4:『永久機関の提供者』には警戒。
5:セイヴァーとそのマスター(ニコラ・テスラ)は倒さねばならないが、今のところは歯が立たない。
[備考]
※電機企業へ永久機関を提供したのは聖杯戦争の関係者だと確信しています。
※世界線変動を感知しました。
※セイヴァーとそのマスターに出会いました。
【吹雪】による汚染一掃とその宝具を見ました。
※ビスマルク、駆逐艦吹雪、天津風、棗恭介、黒鉄一輝、ベアトリス・キルヒアイゼン、美国織莉子、呉キリカ、牧瀬紅莉栖、仁藤攻介の姿を見ました。
ジャック・ザ・リッパーの姿を見ました。
※天津風、ベアトリス、ビスマルクの宝具を見ました。

【キャスター(仁藤攻介)@仮面ライダーウィザード】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]各種ウィザードリング(グリフォンリングを除く)、マヨネーズ
[所持金]なし
[思考・状況]
基本行動方針:出来る限り、マスターのサポートをする
1:ヘドラの迎撃準備。
2:黒衣のバーサーカー(呉キリカ)についてもう少し詳しく知りたいが……
3:グリーングリフォンの持ち帰った台帳を調べるのは後回し。
4:セイバーと飯だ、飯。
[備考]
※黒衣のバーサーカー(呉キリカ)の姿と、使い魔を召喚する能力、速度を操る魔法を確認しました
※御目方教にマスターおよびサーヴァントがいると考えています。
※御目方教の信者達に、何らかの魔術が施されていることを確認しました。
※ヘドラの魔力を吸収すると中毒になることに気付きました。キマイラの意思しだいでは、今後ヘドラの魔力を吸収せずに済ませることができるかもしれません。

【牧瀬紅莉栖@Steins;Gate】
[状態]決意
[令呪]残り三画
[装備]グリーングリフォン(御目方に洗脳中)
[道具]財布、御目方教信者の台帳(偽造)
[所持金]やや裕福
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯を破壊し、聖杯戦争を終わらせる。
1:色々と考えることはあるが、今はヘドラを討つ準備を整える。
2:グリーングリフォンの持ち帰った台帳を調べるのは一旦後回し。
3:聖杯に立ち向かうために協力者を募る。同盟関係を結べるマスターを探す。
4:御目方教、ヘンゼルとグレーテル、および永久機関について情報を集めたい。
[備考]
※黒衣のバーサーカー(呉キリカ)の姿と、使い魔を召喚する能力を確認しました。
※御目方教にマスターおよびサーヴァントがいると考えています。
※御目方教の信者達に、何らかの魔術が施されていることを確認しました。
※吹雪、ビスマルク、棗恭介、天津風、黒鉄一輝、ベアトリス・キルヒアイゼン、岡部倫太郎、アン・ボニー&メアリー・リードの姿を確認しました。
※アン・ボニー&メアリー・リードの宝具を確認しました。
※天津風の宝具を確認しました。
※ベアトリス・キルヒアイゼンと食事の約束をしました。


【バーサーカー(呉キリカ)@魔法少女おりこ☆マギカ】
[状態]不機嫌、火傷、令呪『今後、牧瀬紅莉栖とそのサーヴァントに手を出してはならない』
[装備]『福音告げし奇跡の黒曜(ソウルジェム)』(変身形態)
[道具]なし
[所持金]なし
[思考・状況]
基本行動方針:織莉子を守る
1:命令は受けたが、あの女(牧瀬紅莉栖)はものすごく気に入らない。
[備考]
※金色のキャスター(仁藤攻介)の姿とカメレオマントの存在、およびマスター(牧瀬紅莉栖)の顔を確認しました


【美国織莉子@魔法少女おりこ☆マギカ】
[状態]魔力残量4割、焦燥
[令呪]残り二画
[装備]ソウルジェム(変身形態)
[道具]財布、外出鞄
[所持金]裕福
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯戦争に優勝する
1:ヘドラを倒さないと。
2:令呪は要らないが、状況を利用することはできるかもしれない。町を探索し、ヘンゼルとグレーテルを探す
3:御目方教を警戒。準備を整えたら、探りを入れてみる
[備考]
※金色のキャスター(仁藤攻介)の姿とカメレオマントの存在、およびマスター(牧瀬紅莉栖)の顔を確認しました
※御目方教にマスターおよびサーヴァントがいると考えています
※予知の魔法によってヘドラヲ級を確認しました。具体的にどの程度まで予測したのかは、後続の書き手さんにまかせます
※夕方、K市沖合の海上にて空母ヲ級&ライダー(ヘドラ)により報道ヘリが消息を絶ちました。このことはテレビやインターネットで報道され、確認することができます。
※《白い男》と出会いました。憎く思っています。
佐倉杏子と出会いました。彼女を知っています。
※プリンセス・デリュージと会いましたが魔法少女であること以外は知りません


【セイバー(ベアトリス・ヴァルトルート・フォン・キルヒアイゼン)@Dies irae】
[状態] 半透明(魔力不足)、火傷、腐蝕ダメージ、手足に破片がめり込んでいる
[装備] 軍服、『戦雷の聖剣』
[道具] なし
[所持金] なし
[思考・状況]
基本行動方針:マスターが幸福で終わるように、刃を振るう。
0:一時撤退
1:ヴァレリア・トリファですって……!
2:ビスマルクに対して警戒。
3:棗恭介に不信感。杞憂だといいんですけど……
4:マスターである一輝の生存が再優先。
[備考]
※聖餐杯参戦の事実を知りました。

【黒鉄一輝@落第騎士の英雄譚】
[状態] 疲労(極大)、魔力消費(極大)
[令呪] 残り二画
[装備] ジャージの上に上着
[道具] タオル
[所持金] 一般的
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯を勝ち取る。
0:止まってしまうこと、夢というアイデンティティが無くなることへの恐れ。
1:棗恭介、吹雪と時期が来るまで協力する
2:後戻りはしたくない、前に進むしかない。
3:精神的な疲弊からくる重圧(無自覚の痛み)が辛い。
[備考]
※吹雪および棗恭介とヘドラ討伐同盟を組んでいます
Bismarckの砲撃音を聞き独製の兵器を使用したと予測しています。
※牧瀬紅利栖、キャスター(仁藤攻介)、岡部倫太郎、ライダー(アン・ボニー&メアリー・リード)の姿を確認しました。
※天津風、アン・ボニー&メアリー・リードの宝具を見ましたが真名はわかりません

【ライダー(Bismarck)@艦隊これくしょん】
[状態] 疲労(大)、ドライ形態
[装備] 艤装(砲一門を残して全壊)
[道具] なし
[所持金] なし
[思考・状況]
基本行動方針:吹雪を守る
0:マスターは無事かしら
1:後退する
2:棗恭介、黒鉄一輝と同盟してことに当たる。ただし棗恭介には警戒を怠らない。
3:ティキは極めて厄介なサーヴァントと認識。御目方教には強い警戒

【棗恭介@リトルバスターズ!】
[状態] 健康
[令呪] 残り三画
[装備] 高校の制服
[道具] なし
[所持金] 数万円。高校生にしてはやや多め?
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯入手。手段を選ぶつもりはない
1:吹雪、黒鉄一輝と同盟してことにあたる。
2:吹雪たちを利用する口実として御目方教のマスターを仮想敵とするが、生存優先で無理な戦いはしない。
3:吹雪に付き合う形で、討伐クエストには一応参加。但し引き際は弁える。

【アーチャー(天津風)@艦隊これくしょん】
[状態] 健康
[装備] 艤装
[道具] なし
[所持金] なし
[思考・状況]
基本行動方針:恭介に従う
1:間宮の餡蜜が食べたいわ
2:マスターの方も艦娘だったの? それに島風のクラスメイトって……
3:吹雪、一輝の主従と同盟してことにあたる。




【B-5】


 レオニダス一世の槍が白騎士の腹から引き抜かれた。抉られた傷口からは内臓の代わりにヘドロと金属部品がこぼれ出る。
 致命傷だと誰もが思った。しかし、これは白騎士にして深海棲艦。
 勝利の象徴にして敗北が反転したもの。ましてや元になった艦娘がアレである以上、そう簡単に倒れるわけがない。


「カエシテェェェェ!」


 “赤い海”が蠕動する。何かが始まったのだと警戒するサーヴァント達。
 "彼女たち"がやってきたのはその足元だった。

 海から腕が生える!
 見渡す限りの腕、腕、腕、腕畑。土左衛門の如く蒼白な腕が各々の足首を掴み、引きずり込まんと足を引く。


「おお」
「ぬぅ!」
「きゃあ!」


 沈む。沈む。“赤い海”の中へと引きずり込まれていく。
 海底(じめん)に足が付くほど浅いはずなのに脛、膝、腰と沈んでいく。
 シズメ、シズメと合唱しながら足を引く白い手。僅か数十秒で全員が海中へと没した。ここにいるサーヴァントは全滅する。
 だが、その時、令呪によって白騎士が消失し────“赤い海”は全てただの海水へと変わった。


「ぷはぁ」


 海中から顔を出す犬吠埼樹
 続いて各サーヴァント達の顔が海上へと現れる。
 白騎士という「海底」が無くなったことで次々と海水は流れ出し山が未曽有の大洪水に襲われた。
 ダムの決壊、あるいは冬の雪崩れのように山中へ、そして麓へと海水が流れていった。




 プリンセス・テンペストは山崩れの時に上昇していたおかげで一人だけ引きずり込まれずに助かっていた。
 浮かんできた自分のサーヴァントを見つけて空から降りる。


「大丈夫?」
「ああ、何とかね。君の方こそ無事かい」
「魔法少女だから、ちょっとヒリヒリするけど平気かなー。空飛んでたからあんまり効かなかったみたい」


 魔法少女にヘドラの毒は効かないという前提が怪しくなる発言だった。
 あ、しまったというテンペストが気付いた時にはもう遅く、ランサーは彼女に言った。


「今からでも遅くない。やっぱり君は帰るべきだ。あまりにも危険すぎる」
「でも令じ────」
「君は戦場を舐めている」


 言い訳しようとするテンペストに釘を刺すようにランサーは言った。
 サーヴァントとしてではなく戦鬼として。戦場を見てきた屑として。


「大丈夫、何とかなる、自分は死なないと思っているようじゃこの先、命がいくつあっても足りないぞ。
 殺される時にどれだけ命乞いをしたところで殺される。殺されてここらに転がっていた深海棲艦のように塵として捨てられる。
 戦場とはそういうものだよ。いいかい、戦場では人間も魔法少女も関係なく弱い奴は死ぬ。
 知らなかった。教えられなかった。そんな泣き言を言う暇もなく死んでしまう」


 諭すように、そしてプリンセス・テンペストの勘違いを糾すように戒は教えた。


「君は幼く、そして弱い。自分より強いサーヴァントがそこら中にいるのに未だ助かると舐めている。だから付いてくるべきじゃないんだ」


 真摯に戒は訴えた。
 流石のテンペストも彼の言葉を蔑ろにするわけにはいかず、しゅんと項垂れる。


「あなたもです、ランサー。」


 ブレイバーが現れて、戒に指をさして言った。
 その表情は自信なさげながらも瞳には強い光が宿っている。


「子どもにきつく言って聞かせる前に、自分を心配してください。あなたの体、もうボロボロじゃないですか。あなたこそ下がるべきです」
「でもそれではヘドラ本体が」
「私が行きます。あなたも、それに鳴ちゃんも行っちゃあダメ」


【一日目・夜/B-5 山中】
【犬吠埼樹@結城友奈は勇者である】
[状態] 疲労(小)
[装備] ワイヤーを射出できる腕輪
[道具] 木霊(任意で樹の元に現界することができる)
[所持金] なし
[思考・状況]
基本行動方針:蛍を元の世界に帰す
0:二人を蛍のところに返して、自分はヘドラを倒しにいく
1:蛍の無事を最優先
2:町と蛍ちゃん両方を守るためにも、まずはヘドラ討伐を優先したい
3:討伐対象の連続殺人は許すことができないけれど…
4:あのバーサーカーさんに、何があったんだろう…
[備考]
※U-511の存在に気付けませんでした。

【櫻井戒@Dies irae】
[状態]裂傷多数、『創造』を一度発動
[装備] 黒円卓の聖槍(ヴェヴェルスブルグ・ロンギヌス)
[道具]
[所持金]なし
[思考・状況]
基本行動方針:妹の幸福のため、聖杯を手に入れる。鳴ちゃんは元の世界に帰したい。
1:ヘドラは討伐すべきだ。しかし、マスターの護衛も必要だ。
2:今は「正義のため」にアサシンを討伐する
[備考]
 ※討伐令を出されたヘドラを他のマスター達の中で一番警戒しています。
 ※少しマスターに対する後ろめたさが消えました
 ※『創造』を一度使ったことで何か弊害があるかどうかは、後続の書き手さんに任せます

【プリンセス・テンペスト@魔法少女育成計画JOKERS】
[状態]健康、人間体
[令呪]残り三画
[装備]なし
[道具]魔法少女変身用の薬
[所持金]小学生の小遣い程度
[思考・状況]
基本行動方針:帰りたい
0:帰ろう、蛍ちゃんのところへ
1:悪い奴をやっつけよう!
2:ランサーは、聖杯のために他のマスターを殺せるの???
3:元の世界に帰りたい。死にたくはないが、聖杯が欲しいかと言われると微妙
[備考]
 ※討伐令に参加します
 ※情報交換中に一度ランサーを使いにだし、魔法少女になるための薬を持ってきてもらいました。




 ランサーとブレイバーが何やら揉めている。
 元気だなぁとシップは眺めつつ海水のなくなった地面に寝ころんでいた。
 水を吸った土砂がねちょねちょしていて気持ちが悪いけれど、今はただ休みたい。
 そこへぬっとあらわれる暑苦しい顔。同盟者のサーヴァントがいた。


「ほう。シップ殿はもう一度戦うようですな」
「いやいや、この様見て何言ってんのランサー」
「疲弊を癒しているのでしょう。次の戦いのために」
「……んなわけないじゃん」


 流石にもう無理とばかり呆れてまた寝ころんだ。
 槍を突き立て、それを背もたれに座った。


「んー何してんのー?」
「我々も槍と盾がこれ以外は割れてしまいましてな。素手で戦うこともできなくはないのですが、ヘドラ相手では下手でしょう。槍が回復するまで待ちましょう」
「ああ、悪いね。槍と盾、あたしの修復に使っちゃってさ」
「謝ることはありません。シップ殿の活躍あればこそ、今こうして我々は生きているのですから」
「そう言ってくれるとありがたいかなー」


 疲労困憊の中、望月は沈むように霊体化した。
 続いてレオニダス一世とその守護者たちもまた霊体化して消えていく。
 次なる戦いに備えて、魔力を温存するために。


【一日目・夜/B-5 山中】
【レオニダス一世@Fate/Grand Order】
[状態] 霊体化、疲労(大)、手足に腐蝕ダメージ
[装備] なし(時間経過による魔力回復で槍と盾が復活)
[道具] なし
[所持金] なし
[思考・状況]
基本行動方針:マスターに従う。マスターを鍛える
1:シップと協力してヘドラを討つ。
2:マスターを勝利させる(マスターを生きて元の世界に帰すこと自体は大前提)

【望月@艦隊これくしょん】
[状態] 霊体化、疲労(極大/令呪により即座に回復)、裂傷多数、強い決意、行動に対する強化(『好きにしていい』という令呪3画分)
[装備] 『61cm三連装魚雷』(令呪により即座に回復)
[道具] なし
[所持金] なし
[思考・状況]
基本行動方針:頑張る
0:休息してからどうするかなぁ
1:鈴とランサーに協力しつつ、一松を守る
2:一松を生還させてあげたい
※フラッグコーポレーションに脅迫電話をかけました



「おや、あれは……」


 気絶して変身が解けているデリュージを連れて撤退する中、ヴァレリア・トリファは遠くの山が無くなっていることに気付いた。
 そして大量の水が雪崩れていることも。


「可哀想に。確かあのあたりには街があったはずですが、あれではたくさんの方が亡くなってしまいますね」


 勿体無いとヴァレリア・トリファはひとりごちた。


【1日目・夜/B-2】
【青木奈美(プリンセス・デリュージ)@魔法少女育成計画ACES】
[状態] 健康、人間体(変身解除)、強い苛立ち
[令呪] 残り二画
[装備] 制服
[道具] 魔法少女変身用の薬
[所持金] 数万円
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯の力で、ピュアエレメンツを取り戻す
1:あの赤い魔法少女、次会った時は認めさせてやる
2:ピュア・エレメンツを全員取り戻すためならば、何だって、する
3:テンペストには会わない。これは、私が選んだこと。
4:越谷小鞠への苛立ち。彼女のことは嫌い。
5:アーチャーにファルの言動から得た推測(聖杯戦争の運営側は一枚岩ではない)を話してみる
 ※アーチャーに『扇動』されて『正しい魔法少女になれない』という思考回路になっています。
 ※学校に二騎のサーヴァントがいることを理解しました。一騎は越谷小鞠のセイバーだと理解しました。
 ※学校に正体不明の一名がいることが分かりました。スタンスを決めかねているマスターだと推測しました。
 ※ファルは心からルーラーのために働いているわけではないと思っています

【アーチャー(ヴァレリア・トリファ)@Dies irae】
[状態]疲労(小) 、
   令呪による制約(シャッフリンに敵対行動を取らない)、
   黄金聖餐杯破損(右胸部だけが隙間になっている)、
   ユー・オルタの魂を吸収して全ステータス上昇中
[装備]なし
[道具]なし
[所持金]なし
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯を手にする
1:これは、やられましたか
2:アサシン、ヘドラを狙う他のマスターを殲滅 ??
3:櫻井戒にはなるべく早く退場を願いたい
4:同盟相手の模索。
5:エクストラクラスのサーヴァントに興味。どんな特徴のサーヴァントか知りたい
6:ルーラーの思惑を知るためにも、多くの主従の情報を集めたい。ルーラーと接触する手段を考えたい
7:廃墟街のランサー(ヘクトール)には注意する
[備考]
 ※A-8・ゴーストタウンにランサー(ヘクトール)のマスターが居るだろうことを確信しました
 ※プリンセス・テンペストの主従、一条蛍の主従に対して、シャッフリンから外見で判断できるかぎりの情報を得ました(蛍の名前だけは知りません)



 同じくして佐倉杏子とメロウリンク・アリティーもまたその大洪水を見た。


 助けるべきではないのだろう。疲弊しきった今、他のサーヴァントとの戦闘は死に直結する。


 だがそれでも。


「行ってみようぜランサー」


 佐倉杏子はもう決めたのだ。守りたいものを守ると。
 たとえそれが間違いであっても。


【1日目・夜/D-4】
【佐倉杏子@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態] 魔力消費(大)、ソウルジェムが濁り始めた、魔法少女態
[令呪] 残り三画
[装備] ソウルジェム、三節棍
[道具] お菓子
[所持金] 不自由はしていない(ATMを破壊して入手した札束有り)
[思考・状況]
基本行動方針:今はただ生き残るために戦う
0:様子見
1:他にはどんなマスターが参加しているかを把握したい。
2:令呪が欲しいこともあるし討伐令には参加してみたい。
3:海の中にいるサーヴァント、御目方教の存在に強い警戒。狩り出される側には回らない。
[備考]
※秋月凌駕とイ級の交戦跡地を目撃しました。
※ヘドラ討伐令を確認しました。
真庭鳳凰の断罪円と記録辿りを確認しました。

【ランサー(メロウリンク・アリティー)@機甲猟兵メロウリンク】
[状態] 疲労(大)、負傷(軽微だが一定期間は不治)、中毒
[装備] 「あぶれ出た弱者の牙(パイルバンカーカスタム)」、武装一式
[道具] なし
[所持金] なし
[思考・状況]
基本行動方針:あらゆる手を使ってでも生き残る。
0:霊体化して回復する
1:駅前を拠点にして、マスターと共に他のマスターを探る。
2:港湾で戦闘していた者達、討伐令を出されたマスターを警戒。可能なら情報を集める。
3:マスターと共に生き延びる。ただし必要ならばどんな危険も冒す。
※ヘドラ討伐令を確認しました。
ファルス・ヒューナルの宝具およびバリアなどの能力を確認しました。



 吹雪のスタミナは限界が訪れ、今は小走りで進んでいた。
 この聖杯戦争を運営する者の仕業なのか、電車が止まっていて、タクシーの運転手も眠っていたため交通手段は徒歩しかない。
 そこへ突如として海水が流れ込んできた。


「ひゃああああああ」


 突然の激流を前に無くなっていたはずのスタミナが蘇り、全力で走った、走ったが努力空しく流れに飲み込まれた。
 彼女は艦娘である。進水式よろしくすぐに浮かび上がってきた。だが波に乗るというより流される吹雪は地面や電柱、瓦礫に何度もぶつけ、次第に腹が立ってくる。


(まだ戦っているんだ。ライダーも、私も!)


 ならばこの程度の激流にやられている場合ではない。
 艤装展開。水面に手を付けて立ち上がり、今度は流されないように足をつけ、踏ん張った。


(もう、足手纏いだった頃の私じゃない!)


 波に乗り、海岸へと船を進めた。

【一日目・夜/D-4・住宅街】
【吹雪@艦隊これくしょん(アニメ版)】
[状態] 健康、一輝に思うところがある
[令呪] 残り三画
[装備] 高校の制服
[道具] 艤装(装着)
[所持金] 一万円程度
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯戦争からの脱出。
1:空母ヲ級の下へ
2:ビスマルクが心配
3:ティキが恐ろしい。




 集まる。萃まる。蒐まる。そして一つになる。


「────────────────────────────────────────────────!」


 爆雷の如く咆哮するヲ級。
 その頭部から生える触手の先が爆発的に広がり、巨大な掌となって死神へと降り下ろされた。デカい。掌があまりに巨大過ぎて、回避する暇が無い。
 ならばと巨大な指と指の間に入り込んで回避するも風圧に吹き飛ばされる。
 宙に浮いた所へもう一本の掌が死神を叩いた。巨峰にも等しい質量の手で殴られ、木っ端の如く吹き飛ぶ暗殺者。
 スケールが違いすぎてもはや受け流すという次元ではない。ロケット花火の如く地面へと吹き飛んだ。
 それでも即死どころか重傷すら避けたその身のこなしは妙技と言っていい。だが、死神には何の慰めにもならないだろう────この窮地では。


 ヲ級から顕現したのはヘドラの両手だった。足元の巨獣から腕を移したのではなく、新たに生やしたのだ。
 この戦場にいる全ての深海棲艦とヘドロを一瞬で呼び戻し、彼女達で編み上げた怪獣の手は想像を絶する質量を有する。
 そして驚愕すべきは攻撃力だけにあらず。
 腕だけではなく吹き飛ばした顔面が傷ひとつなく元通りに戻っており、胸の傷も塞がっていた。
 人間であれば致命の傷ですら即時に修復する再生力。それは死神にもはや空母ヲ級を倒す術がないことを示している。


 大怪獣。大空母。巨大異形。〝ただ一人からなる最高戦力(ワンマン・アーミー)〟の具現である。
 量ではなく、質を窮めた場合の彼女がまさにこれだ。汚染濃度も極まり、両手からは悪性情報が黒いオーラとなって吹き出て世界を冒す。
 彼女を中心にノイズや生じ、第一次と同様に電脳世界そのものに甚大なダメージを与えていた。
 これに比べれば赤黒白の三騎士など所詮源流を劣化しただけの前座に過ぎない。事実をそうである証明が行われる。


「『礼号作戦──集積地棲鬼(バトル・オブ・ミンドロ──マンガリン・ベイ)』 」


 ヲ級を中心に油田の如くヘドロが沸き上がり、それらを吸ったヘドラの巨体とヲ級の巨掌がトン単位で重量を増していく。


 ゆっくりと山が動く。死神の視界に納まりきらない、汚泥の山が。
 目に極寒の殺意を滾らせ、黄金瞳と蒼眼が敵を捕捉した。
 そしてヘドラと空母ヲ級はその巨大な腕を振り上げて。


「カエセ、カエシテ、カエリタイ──死ネ」


 短い死刑宣告と共に本日最大の攻撃力、四つの手が死神とアタランテへ振り降ろされた。

 迫る手はヘドロを滴らせながら津波の如く到来する。その巨手から逃れるために二人は大地を駆ける。
 二人の敏捷性を持ってすればギリギリ避けられる規模だ。裏を返せば、Aランクの彼等ですら回避が極めて困難といっていい。


「ぐ、は」


 故にここで死神に致命的となる速度低下が発生する。
 先ほど受け流した攻撃が汚染という形で死神に牙を剥く。
 述べたとおり、汚染濃度としても窮めた一撃を受けたのだ。触れられれば衝撃を殺そうが意味がない。
 よって死神は鈍足となり────蚊の如くヘドラの掌に潰された。


 それだけに留まらず、汚染によって脆くなっていた大地が叩きつけられた衝撃でメンコの如くひっくり返り、家や車やらが天高く舞い上がる。
 不可視の津波の如く衝撃波が広がり、建造物を薙ぎ払われ、大地が割れ、山脈が分断されていた。
 もはや未曾有の大災害。天変地異にも等しい。

 アタランテは宙の瓦礫を次々と足場にしながら怪獣を睨み、見知らぬサーヴァントの死にアタランテは歯噛みする。
 仲間意識など無いが、次は自分がああなるかもしれないのだ。
 苦し紛れに空母ヲ級に矢を放つも────

「なっ……!?」

 届く前に溶滅した。
 それが意味するところは極濃の空間毒。もはや触れることすら不可能な次元にアレはある。
 攻撃は無意味。防御は不可能。ここにきて戦闘そのものが成り立たない。
 サーヴァントの中では間違いなく上位に位置するアタランテを持ってしてもこの怪物と対峙することができない。


 いや、あれならば。あるいは。


 アタランテはもうひとつ宝具がある。忌むべき魔獣の皮。あれで狂化した己ならば汚染に耐えられるのではないか。
 しかし、使えば二度と正気には戻れまい。

 自分が守ると誓った少女のことを考える。同盟相手の少女とそのサーヴァントを思う。
 仮に自分が正気を喪ったとしてもあの男ならば何とかしてくれるのではないだろうか。
 あれは冷徹であるだろうが、見境なく暴れる自分はまだ利用価値があるはずだ。桜をすぐさま殺すようなことはするまい。

 決断は迫られている。既に大地は破壊され桜達のいる山へと近づいているからだ。
 そして、遂に使おうとしたところで、ヘドラが止まった。




 マスターは戦いに向かない娘だった。
 彼女の魔法は「触れているものを料理に変える」というもの。
 一見すれば平和的な力であるが、対象が人間となればこの上ない暗殺能力だ──彼女が望めば。

 戦闘力と危険度は等しくない。弱者であれ状況が揃えば強者を殺せるから大金星や大判狂わせなどという言葉がある。その逆もまた然り。
 彼女は戦いに向かない性格だ。痛みに怯え、死を忌み、殺しを躊躇う。
 それが普通だ。治世に生まれ、法治国家に生まれた者の常識であり特権だろう。

 彼女がヘドラと戦うことを決意した時、死神は躊躇した。
 彼女が腕を犠牲にしてヘドロに触れ続ければ、ヘドラは料理となって消滅する。
 腕一本で倒せるのだから今の状況に比べれば安上がりと言わざるを得ない。
 でも、死神は彼女に伝えられなかった。
 腕一本を捨てさせることに躊躇いを覚えたのではない。それは『未来の自分』が感じるものであって死神には関係ない。
 合理的な判断の下、漁夫の利や討伐参加のみでよいというルールだったからヘドラを倒した後のことを考えてペチカの腕を残しただけだ。

 よって彼女の代わりにフライ返しを借り受けた。それを持って戦場へ向かう時、彼女は令呪でこう言った。


「必ず帰ってきて下さい。もう一人だけ生き残るのは嫌ですからね」


 その令呪が死神に無限の生命力を与えていた。
 必ず帰れと、何を使ってでも。
 己の意思か、はたまた令呪による強制か、死神は忌むべき第二宝具を発動する。


 死神の正位置(ころしや)から────────死神の逆位置(かいぶつ)へ。


「『反物質・月殺しの種(アンチマター・アースキャンサー)』」




 ヲ級の掌の下から、何かが飛び出した。その正体は潰したはずの敵だった。頭から血を流し、両手足は折れている。
 故にヲ級は驚いた────何故死んでいない? 一撃で潰せる質量だったのに何故その程度で済んでいる!?

 空母ヲ級は再び男を蚊の如く両手で挟み潰した。大質量が亜音速で衝突したことで再び風が吹き荒れる。
 靡く髪を無視してヲ級が手を開いたら敵の姿はなかった。
 次の瞬間、ヲ級の視界が90度傾いた。何が起きたかを考えるより早く、側面から衝撃が与えられ体が捻れる。

 何かに殴られている。何にだ? 動体視力(カメラ)がまるで追い付かない。
 原因を探るべく足場のヘドラを崩壊させ、大地にヘドロを、空に硫酸ミストをばらまく。
 ヲ級本体はマントをたなびかせながら落下する。落下途中でも正体不明の衝撃は続き、ベキという音と共に左足が折られた。
 骨折は再生する。再生するが鬱陶しい。濃硫酸霧(ふく)の中を移動するソレを感知し、ソレの手を捕らえた。


「──────ヲ?」


 何だこれは。捕まえたのは消えた男だった。
 敵は体から触手を生やし、みるみるうちに肉体の構造を変えて全く未知の異形と化していた。
 その姿は樹木、それともコズミックホラーに登場する触手まみれの黒い邪神か。
 男は触手で捕らえられた腕を切断し、そのまま超音速でフライ返しが振る。
 超音速で振るわれた一撃は衝撃波と轟音を生みながら空母ヲ級の顔面へ炸裂した。
 今や鋼鉄以上の硬度を誇る顔面がフライ返しの形に歪む。衝撃の正体が超音速で振るわれるフライ返しだとヲ級は理解した。
 また捕らえようとするも姿が消える。透明化の正体も速度だ。速すぎて見えない。計測器によると速度は音を超えてマッハ20と出ている。
 つまりマッハ20で飛行し謎の強度を誇るフライ返しで殴る怪物。それが衝撃の正体だった。




 肢体に溢れる力。超音速の行動についてこれる思考速度。
 死神は宝具によって最強の生物へと変生している。

 しかし脳を満たすのは悲劇の思い出。
 燃える研究所の中で抱き上げた女教師の顔が浮かぶ。


「……雪■■ぐ■先生」


 宝具を使えば思い出すのだ。
 まるで誰かがこの記憶がお前の罪だとでも言うように。
 お前が殺ったのだと言うように。


「そうだとも」


 ああ、そうだ。私が殺した。私が奪った。
 私はもはや死の因果をもたらす害悪でしかない。
 この身は恐ろしき人外の化生。反物質の塊である。たとえ未来の私が子どもたちを導いても、今の私はただの怪物。
 故に、死神は怪物を殺す怪物としてその力を振るおう。私もお前もこの地球には無用だ!
 生体サイクルに従って膨れ上がる反物質。抽出されるエネルギーはもはや大型爆弾が生み出す熱量を超えていた。


 慣性など無いかのように伝説の魔弾めいた鋭角の方向変換を受けて繰り返す。
 魔法のフライ返しで、時には生えすぎた触手で叩きつけて削る。その繰り返しだ。ヲ級の肉体の再生が追いつかなくなりつつあり、パンを千切るように少しずつではあるが削れてきた。
 逆に空母ヲ級はアサシンを捕捉できずにいる。一度捕らえたものの、マッハ20での戦闘に慣れてきた死神が動きを鋭くしたためだ。


 勝てると死神が聡明な頭脳から勝利を確信したその時。
 勝てるとアタランテが僅かながら希望を抱いたその時。


「ゼロ、オイテケ」
「カエリタイ、カエシテ」


 大地に崩れたヘドラの残骸、膨大なヘドロの中から二人、敵が生えてきた。
 二人が同時に手を空へと伸ばすと無数の鎖と腕がヘドロ溜まりから出てきて世界樹の如く空を埋め尽くす。
 マッハ20の死神と言えど空間全てを縛錨の鎖と略奪の腕に占められれば逃れる術はなく、気づいた時には怪物を捕らえる檻が完成していた。


「邪魔ダ」


 捕らわれの死神を空母ヲ級の巨大な剛腕が薙ぎ払う。
 まさにハエを払い落とすが如く、檻ごと殴られた死神は触手を散らせながら吹き飛び、この戦線から脱落した。
 ペチカの令呪がなければ霊核が砕かれ、聖杯戦争からも脱落していたのは想像に難くない。




 これにて前哨戦は終わった。
 かの夥しい軍勢は全てが汚泥と化した海を残してすべて一つへ。
 今をおいてヘドラを完全討滅することはできず、故にここが正念場である。


 だが、できるのか。あの質量を滅することが?
 汚泥の海ある限り、ヘドラは不死身だ。
 一体彼らに、彼女達に何ができる?



【1日目・夜/C-6・海岸(陸地部分がなくなりつつある)】
【アーチャー(アタランテ)@Fate/Apocrypha】
[状態] 疲労(大)、聖杯に対する憎悪
[装備] 『天窮の弓(タウロポロス)』
[道具] 猪の肉
[所持金] なし
[思考・状況]
基本行動方針:もう迷わない。どれほど汚れようとも必ず桜を勝たせる
1:ヘドラ討伐。
2:ジャックの討伐クエストには参加しない。むしろ違反者を狙って動く主従の背中を撃つ
3:正体不明の死霊使い、及びそれらを生み出した者を警戒する
4:ランサー(ヘクトール)との同盟関係を現状は維持。但し桜を脅かすようであれば、即刻抹殺する
[備考]
※アサシン(死神)とアーチャー(霧亥)の戦闘を目撃しました
衛宮切嗣の匂いを記憶しました
※建原智香、アサシン(死神)から霊体化して身を隠しましたが察知された可能性があります
※ランサー(ヘクトール)の真名に気付きましたがまだ確信は抱いていません

【空母ヲ級@艦隊これくしょん(アニメ版)】
[状態] 薄い自我、足からヘドラを生やしている、触手の先がヘドラの両腕、質量約1億トン
[装備] 艦載機
[道具] なし
[所持金] なし
[思考・状況]
基本行動方針:艦娘、轟沈
1:全てを沈める


【1日目・夜/B-4 宿泊施設】
【ペチカ(建原智香)@魔法少女育成計画restart】
[状態] 健康、魔法少女体、死相、魔力消費(中)
[令呪] 残り二画(右手)
[装備] 制服
[道具] なし
[所持金] 一万円とちょっと
[思考・状況]
基本行動方針:未定
0:ヘドラの被害を防ぐ
1:聖杯を手に入れ、あのゲームをなかったことにする?
2:魔法少女として、聖杯戦争へ立ち向かう?

※ペチカは記憶復活直後からの記憶がありません。
※山に誰かがいたことを知りました。(アタランテです)

【1日目・夜/???(K市内上空)】
【アサシン(死神)@暗殺教室】
[状態] 触手化、全身にダメージ(極大)、令呪による生存能力強化
[装備] なし
[道具] いくつかの暗殺道具
[所持金] 数十万円程度
[思考・状況]
基本行動方針:マスターを導く
1:方針はマスターに委ねる
2:バーサーカー(ヒューナル)に強い警戒。
3:アーチャー(霧亥)を討つ策を考えておく




 アレクサンドル・ラスコーリニコフは自分が霊体化してマスターの下へ帰還している。
 その途中、サーヴァントの気配を感じた。
 まさか、孤児院にいるマスターを狙っているのかと実体化してその姿を確かめればそこにいるのは二人の男。
 一人の年代はすぐに分かった。第二次世界大戦期の大日本帝国軍の軍服を着ていたからである……どこか意匠が違う気がするが聖杯から与えられた知識がそう言っている。
 もう一人はさっぱり分からないが、ヘドラの光線にぶつけた槍を持っていた。つまりクラスは自分と同じランサーだ。

「答えよ。貴様達の目的は何だ」

 実体化したアレクサンドルは無機質に、機械的に、そうして高圧的に問う。アレクサンドルに対し、軍服の男はやれやれと首を振り、ランサーの方はへらへらとしていた。
 サーヴァントとサーヴァントが対峙したにも関わらずこの緩みように違和感を感じる。我が身は鋼鉄と歯車である定義しているが、それでも歴戦で鍛えられた勘というものは無視できない。
 その勘が言っている────────この二人の緩みは、緩くはあるが軽くはない。


「海岸にいるヘドラの討伐だが、ヘドラの仲間か? 仲間じゃないならどいてくれ」
「オジサンはただの見物さ。ちょっくら世界が救われるところを特等席で見ようってな」
「言ったはずだぞ。救いはするが怠けはさせんと」


 ランサーの怠慢を戒める男。どうやら二人共ヘドラを倒す算段らしい。
 既に宝具を使用した上に度重なる戦闘でダメージを受けているアレクサンドルに二人を止める余力はない。

「そうか。ならば好きにするといい。
 だが、この道を真っすぐ行くのは勧めない。この先には複数のサーヴァントがヘドラの眷属と戦っていたため未だに殺気立っている。
 いらぬ混乱を避けたいのであれば霊体化してさっさと駆けるがいい」

 そう忠告するとアレクサンドルは再び霊体化して消えた。


「結構いい奴だったな」
「ああ。にしてもヘドラの勢力はここまで来ているのか。早くケリをつけないと収拾がつかなくなるな」
「んじゃあ、霊体化していくか? 罠の可能性もあるが」
「その可能性は否定できんが時間が無い。罠であれば切り抜けるより他に無い……と言いたいが問題がある」
「ほう、なんだ?」
「俺の伝承から派生したスキルでな、霊体化が極僅かな時間しかできなくなっている。戦闘服(これ)を着ている間はせいぜい十分かそこらだ」
「つまり?」
「全力で行くぞ」
「はいよ。じゃあ行きますか!」


 そう言って男二人も霊体化し、海岸へと急いだ。


【B-6/山中/1日目・夜】
【ランサー(ヘクトール)@Fate/Grand Order】
[状態] 疲弊(小)、霊体化
[装備] 『不毀の極槍(ドゥリンダナ)』
[道具] なし
[所持金] なし
[思考・状況]
基本行動方針:とりあえず、程々に頑張るとするかねえ
1:セイヴァーと行動してヘドラを倒す。
2:拠点防衛
3:『聖餐杯』に強い警戒
4:アーチャー(アタランテ)との同盟は、今の所は破棄する予定はない。ただしあちらが暴走するならば……
[備考]
※アタランテの真名を看破しました。
※アレクサンドルと会いましたが何者かわかりません。
柊四四八と同盟を組みました。


【セイヴァー(柊四四八)@相州戦神館學園八命陣】
[状態] 疲労(大)、霊体化
[装備] 日本刀型の雷電竹刀(テスラ謹製/刃が半分になっている)、戦闘服
[道具] 竹刀袋
[所持金] マスターに依拠
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯戦争の破壊を目指す。
1:ヘドラの早期討伐
2:討伐令のアサシンには強い警戒。次は倒す。
[備考]
※一日目早朝の段階で御目方教の禁魔法律家二名と遭遇、これを打ち倒しました。
※ライダー(アン・ボニー&メアリー・リード)の真名を知りました。
※ヘクトールの真名を看破&ヘドラ討伐まで同盟中

【ランサー(アレクサンドル・ラスコーリニコフ)@Zero Infinity-Devil of Maxwell-】
[状態] 疲労(中)、霊体化
[装備] 輝装
[道具] なし
[所持金] マスターに依拠、つまりほぼ0
[思考・状況]
基本行動方針:マスターの采配に従う。
1:マスターの下へ戻るとしよう
2:マスターの決断を委ねるが、もしもの場合は―――
3:空母ヲ級を倒すべきだろう
[備考]




【B-6】


 孤児院で待機していた駆逐艦電は俯瞰的にその光景を見ていた。
 空を覆っていた霧が晴れて、月が顔を出す。
 ランサーさん、勝ったのでしょうかと内心油断していたところで──山からドドドと何か大きなものが流れる音がしてきた。
 目を凝らしてみればそれは濁流。山の木々を押しのけて街へと下ってくる大量の液体だった。


「はわわ! 大変なのです」


 あの量。間違いなく街を浸水させるだけのことはある。
 つまり孤児院で眠っている人達を高いところへ移動させなくてはならない。
 急いで1階で寝込んでしまった人達を二階やベッドの上に運び終えるのと同時に海水が孤児院までも流れ込んだ。
 思っていたよりも水位は高くなく、せいぜいが電の足首くらいまで浸かる程度だ。だが次に流れ込んで来たものを見て楽観視などできなくなってしまった。


「人なのです!?」


 街の中で眠ってしまっていた人。仰向けで寝ている人が流れてきていた。
 それを見て電の背筋に冷たいものが走る。


 ────もしかして、道端で眠ってしまっている人もいるのでしょうか。


 だとしたら大変だ。水位は低くても溺死してしまう。
 すぐさま孤児院の裏に眠っていた電の艤装を掘り出し、装着して街中へと出た。
 溺れる人を助けるべく。

 道端で眠っているのはNPCである。ルーラーの裁量一つで複製される人形である。
 でも、電は無視できない。そういう性格なのだ。

【1日目・夜/B-6・孤児院周辺】
【電@艦隊これくしょん】
[状態] 魔力消費(大)
[令呪] 残り三画
[装備] なし
[道具] なし
[所持金] 孤児なのでほぼ0
[思考・状況]
基本行動方針:ヲ級討伐参加に決めかねている。
1:せめて救える人だけでも!
2:聖杯を欲しいという気持ちに嘘はない、しかし誰かを傷つけたくもない。ならば自分の取るべき行動は……
2:ランサーの言うように、自分だけの決断を下したい。
3:過去を振り返ってみるつもりが、ランサーさんの過去を覗いちゃったのです。
[備考]




 大地震で山が揺れた。
 この山が崩れかかっていることを察知したルアハは何とか桜を連れて山を下りねばと移動する。
 ランサーとは念話が通じない距離にいる以上、独断で判断するしかなく山を下りていた。
 その時に追い打ちとばかりに溢れる大洪水。桜を抱っこして難を逃れるも車やら人やらゴミやらが流れてきてくるし、水の流れもあって簡単に移動できない。
 それでも一歩、更に一歩。機関人間と化したこの体の膂力で先に進む。その時────


間桐桜。遠坂時臣の娘……なるほど、間違いなくマスターだな。だが自動人形(オートマタ)?」


 男性の声に続いてカチャという音がした。
 嗅覚のセンサーがニコチンを検出する。
 そして視線の先には────銃を構える男がいた。


【1日目・夜/B-6・住宅地(足首まで浸水中)】
【ルアハ@赫炎のインガノック-what a beautiful people-】
[状態] 健康、魔力消費(中)、間桐桜を抱っこ中、ランサーと念話ができない距離
[令呪] 残り三画(封印中)
[装備] なし
[道具] なし
[所持金] なし
[思考・状況]
基本行動方針:自動人形として行動
1.桜を守らなくては……。
※情報空間で何かに会いました。
※衛宮切嗣に狙われています。

【間桐桜@Fate/Zero】
[状態] 魔力消費(極大)、ルアハにだっこされています、ランサーと念話ができない距離
[令呪] 残り三画(封印中)
[装備] なし
[道具] 毛布
[所持金] なし
[思考・状況]
基本行動方針:アーチャーさんの言いつけを守ってじっとする
1:…アーチャーさんにぶじでいてほしい
2.お人形さん、どうしたの?
3:どうして、お人形さんは嘘をつくの?
[備考]
精神的な問題により令呪を使用できません。
何らかの強いきっかけがあれば使用できるようになるかもしれません
※衛宮切嗣に狙われています。





 狙われる少女。それを守らんとする機関人間の少女。


 そして溺れる者を助けんとする少女達よ。


 私はお前達に応えよう。


 この絶望の空に、我が名を呼べ。私はそれに応えよう。


【1日目・夜/B-6・???】
【ニコラ・テスラ@黄雷のガクトゥーン】
[状態] 電力消費(大)、魔力消費(小)、雷電魔人
[令呪] 残り三画
[装備] 電気騎士
[道具]
[所持金] 物凄い大金持ち
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯戦争の打倒。
0:輝きを守る
1:昼間は調査に時間を当てる。戦闘行為は夜間に行いたいが、急を要するならばその限りではない。
2:アン・メアリーの主従に対しての対処は急を要さないと判断
3:討伐令のアサシン、二騎のバーサーカー(ヒューナル、アカネ)には強い警戒。
[備考]
K市においては進歩的投資家「ミスター・シャイニー」のロールが割り振られています。しかし数週間前から投資家としての活動は一切休止しています。
個人で電光機関を一基入手しています。その特性についてあらかた把握しました。
調査対象として考えているのは御目方教、ミスターフラッグ、『ヒムラー』、討伐令のアサシン、海洋周辺の異常事態、『御伽の城』があります。どこに行くかは後続の書き手に任せます。
ライダー(アン・ボニー&メアリー・リード)の真名を知りました。
ヘドラ討伐令の内容を、ファルから聞きました。




 越谷小鞠は目を覚ました。


 時刻は夜22時。ヘドラとサーヴァント達が戦っている場所のすぐ傍で。


 そしてすぐ近くで傷を縫合しているサーヴァントが一騎。


 ジャック・ザ・リッパーもまた深海棲艦の群れから生還していた。


【一日目・夜/C-6・人気のいない家】
【越谷小鞠@のんのんびより】
[状態] 魔力消費(中)、体調不良、不安、善き心
[令呪] 残り三画
[装備] 制服
[道具] なし
[所持金] 数千円程度
[思考・状況]
基本行動方針:帰りたい
0:リリィさん、行きましょう!
1:青木さんを止めよう!
2:あの人、大丈夫かな……
3:これが終わったら帰宅して、ちゃんと夏海を安心させる

※イリヤスフィール、ハートロイミュード、秋月凌駕、シャッフリンの姿を視認しました。名前や身分等は知りません。
※ゼファー・コールレインの声を聴きました。
※青木奈美(プリンセス・デリュージ)が聖杯戦争参加者だと知りました。


【一日目・夜/C-6・F病院】
【ジャック・ザ・リッパー@Fate/Apocrypha】
[状態] 治療中、疲労(中)、全身にダメージ(小)
[装備] 『四本のナイフ』
[道具] なし
[所持金] なし
[思考・状況]
基本行動方針:
1:ヘドラを囮にして、他のマスターやサーヴァントを狩る。
2:双子の指示に従う
3:あのサーヴァント(ヘドラ)、殺したい
4:『えいえん』って――???
※ヘドラ討伐令の内容を、ファルから聞きました。


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第三戦局点 鉄底落魂海峡 ホワイトライダー 【1日目】 -

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最終更新:2017年05月14日 12:25